JP6737034B2 - 表面磁石型回転子 - Google Patents

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Description

本発明は、R-T-B系極異方性焼結リング磁石を用いた表面磁石型回転子に関する。
R-T-B系極異方性焼結リング磁石を有する表面磁石型回転子において、回転子の軸(シャフト)と極異方性焼結リング磁石との空回りを防止するための回り止めの技術や磁石が回転子のシャフトから軸方向へ抜けることを防ぐ、いわゆる抜け止めの技術が特許文献1(特開2005-304178号)及び特許文献2(特開平7-31120号)に開示されている。
特許文献1は、R-T-B系極異方性焼結リング磁石において、内周面に形成した軸線方向の溝を、ローターヨークの外周面に形成した軸線方向の突条部と嵌合させることにより、前記ローターヨークの空回りを防止する方法を開示しており、前記内周面の軸線方向の溝は、外周面側に極を有するように極異方性配向させた成形体を焼結した時に、前記成形体が収縮し、それに伴って生じる内周面の変形を利用して形成すると記載している。
しかしながら、前記内周面の溝は、外周面側に形成した極異方性配向に伴う焼結時の変形を利用して設けたものであるため、ある程度の製造誤差を含み、ローターヨークの突条部と焼結リング磁石の溝との位置がずれるおそれがある。さらに焼結リング磁石の内径の寸法精度を維持するために、溝部以外の内周面を研磨する工程が必要であり、コストがかかるという問題がある。またローターヨークは磁性金属であるため、必然的に慣性力が大きくなり回転停止を頻繁に行う回転子には不向きである。
特許文献2は、リング状磁石と回転軸との間に樹脂が射出成型された回転子の一例を開示している。リング状磁石の内周面側には面取りが施されている。面取り部と射出成型された樹脂により、リング状マグネットと樹脂の軸線方向の力に対向し、リング状マグネットが軸線方向に抜けることを抑えている。しかしながら、特許文献2に記載の発明では、抜け止めと回り止めを同時に実現することはできない。
特開2005-304178号公報 特開平7-31120号公報
従って、本発明の目的は、リング磁石を用いた表面磁石型回転子において、シャフトと磁石の間の空回りを防止するための回り止めとシャフトの軸方向への抜け止めを同時に実現するとともに、慣性力が小さく回転停止が容易な回転子を提供することである。
上記目的に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者らは、断面多角形の内周面を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石を有する表面磁石型回転子において、R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に面取り又は段差部を形成し、当該磁石に、軸方向中央部に少なくとも一か所の平坦部を有するシャフトを挿入し、シャフトと磁石内周面の間に、前記面取り部又は段差部を覆うように(被覆した状態になるように)樹脂スペーサを充填することにより、シャフトと磁石の空回りを防ぐ回り止めの効果を奏するとともに、シャフトより磁石がその軸方向に抜けることを防ぐ抜け止めの効果を奏することを見出し、本発明に想到した。
さらに、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石を、内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューするように内周面を形成することにより、同様に、シャフトと磁石の空回りを防ぐ回り止めの効果を奏するとともに、シャフトより磁石がその軸方向に抜けることを防ぐ抜け止めの効果を奏することを見出し、本発明に想到した。
また、スペーサとして比較的軽量の材料を使用したことで慣性力が小さいため回転停止を頻繁に行う回転子として有効に利用できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の表面磁石型回転子の第1の態様は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなる表面磁石型回転子であって、
前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、軸方向端面の内縁部に面取り部を有し、
前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含み、かつ前記面取り部を被覆した状態になるように充填されていることを特徴とする。
前記外周面の隣接する二つの極の中間位置の少なくとも一つと、前記内周面を構成する断面多角形の頂点の少なくとも一つとが周方向において一致しているのが好ましい。
前記面取り部は、前記軸方向両端面の内縁部に設けられているのが好ましい。
前記面取り部は、多角形状の前記内縁部の各辺の一部のみに設けられるのが好ましい。
前記樹脂スペーサは、前記R-T-B系極異方性リング磁石の軸方向端面からはみ出さないように設けられているのが好ましい。
前記前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面は無加工であるのが好ましい。
前記前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の極数が前記多角形の頂点の数と同じであるのが好ましい。
前記前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の極数が前記多角形の頂点の数の2倍であることが好ましい。
前記樹脂スペーサは熱可塑性樹脂からなることが好ましい。
前記樹脂スペーサの充填は射出成型で行われるのが好ましい。
本発明の表面磁石型回転子の第2の態様は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなる表面磁石型回転子であって、
前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、軸方向端面の内縁部に段差部を有し、
前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含み、かつ前記段差部を被覆した状態になるように充填されていることを特徴とする。
本発明の表面磁石型回転子の第3の態様は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなる表面磁石型回転子であって、
前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、前記内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしており、
前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含むように充填されていることを特徴とする。
前記表面磁石型回転子の第3の態様において、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を有しているのが好ましい。
前記表面磁石型回転子の第2及び第3の態様において、前記外周面の隣接する二つの極の中間位置の少なくとも一つと、前記内周面を構成する断面多角形の頂点の少なくとも一つとが周方向において一致しているのが好ましい。
本発明の表面磁石型回転子は、軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石に、軸方向中央部に少なくとも一か所の平坦部を有するシャフトを挿入し、シャフトと磁石内周面との間に、前記面取り部又は段差部を覆うように(被覆した状態になるように)樹脂スペーサを充填することにより、シャフトと磁石の空回りを防ぐ回り止め効果とシャフトより磁石がその軸方向に抜けることを防ぐ抜け止め効果とを同時に実現することができる。
また、本発明のR-T-B系極異方性焼結リング磁石は断面多角形の内周面を有しているので、軸方向中央部に少なくとも一か所の平坦部を有する柱状のシャフトを磁石に挿入しシャフトの平坦部を含むように樹脂スペーサを充填することによりシャフトの空転が確実に防止できるとともに比較的軽量の材料、例えば樹脂等で構成された柱状のシャフトであっても確実に空転を防止でき、そのため慣性力を低く保つことができる。従って、回転停止を頻繁に行う回転子に好適である。
さらに面取りの大きさは多角形の内縁部の各辺の一部のみに形成すれば十分であり、面取りの作業効率が向上できコストダウンが可能である。
本発明の回転子の第1の態様の一例を示す、軸を含む面(図1(b)のA-A断面)で切った部分断面図である。 本発明の回転子の第1の態様の一例を示す軸方向から見た模式図である。 本発明の回転子の第1の態様の他の一例を示す、軸を含む面(図2(b)のB-B断面)で切った部分断面図である。 本発明の回転子の第1の態様の他の一例を示す軸方向から見た模式図である。 本発明の回転子の第1の態様のさらに他の一例を示す断面図である。 本発明の回転子の第2の態様の一例を示す、軸を含む面(図4(b)のC-C断面)で切った部分断面図である。 本発明の回転子の第2の態様の一例を示す軸方向から見た模式図である。 8極の極異方性を有する参考例のR-T-B系焼結リング磁石の一例を示す断面図である。 8極の極異方性を有する参考例のR-T-B系焼結リング磁石の他の一例を示す断面図である。 14極の極異方性及び断面14角形の内周面を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石を含む比較例の回転子を示す断面図である。 14極の極異方性及び断面7角形の内周面を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石を含む比較例の回転子を示す断面図である。 R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に設けられた面取り部の半径A、内周面の多角形の中心軸から頂点までの距離B、及び中心軸から多角形を構成する辺への最短距離Cの関係を示す模式図である。 断面14角形の内周面を有し14極の極異方性を示すR-T-B系焼結リング磁石において、軸方向端面の内縁部の各辺の一部のみに面取りを行った場合の軸方向から見た模式図である。 断面14角形の内周面を有し14極の極異方性を示すR-T-B系焼結リング磁石において、軸方向端面の内縁部の各辺に多角形の頂点を含んで面取りを行った場合の軸方向から見た模式図である。 断面14角形の内周面を有し14極の極異方性を示すR-T-B系焼結リング磁石において、軸方向端面の内縁部の各辺に多角形の頂点を超えて面取りを行った場合の軸方向から見た模式図である。 断面多角形の内周面を有するリング磁石の内径の定義を説明するための断面図である。 内外径比の範囲を示すグラフである。 図1及び図2に示す回転子に使用したシャフトを示す正面図である。 図1及び図2に示す回転子に使用したシャフトを示す側面図である。 本発明に使用するシャフトの一例を示す正面図である。 本発明に使用するシャフトの一例を示す側面図である。 本発明に使用するシャフトの一例を示す正面図である。 本発明に使用するシャフトの一例を示す側面図である。 図19に示す回転子に使用したシャフトを示す正面図である。 図19に示す回転子に使用したシャフトを示す側面図である。 比較例の回転子の一例を示す軸を含む面で切った部分断面図である。 比較例の回転子の一例を示す軸方向から見た模式図である。 比較例の回転子の他の一例を示す軸方向から見た模式図である。 比較例の回転子のさらに他の一例を示す軸方向から見た模式図である。 比較例の回転子のさらに他の一例を示す軸方向から見た模式図である。 比較例の回転子のさらに他の一例を示す軸方向から見た模式図である。 比較例の回転子のさらに他の一例を示す軸方向から見た模式図である。 磁界中成形装置の一例を模式的に示す断面図である。 図25のD-D断面図である。 断面多角形の内周面を有するリング磁石を製造するための金型を示す模式図である。 図27(a)の金型で成形した成形体を、焼成して得られたリング磁石を示す模式図である。 図27(b)のリング磁石を加工して得られたリング磁石を示す模式図である。 断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューした内周面を有するリング磁石を製造するための金型を示す模式図である。 図28(a)の金型で成形した成形体を、焼成して得られたリング磁石を示す模式図である。 図28(b)のリング磁石の斜視図である。 R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部の面取りを行う方法を説明するための模式図である。 R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部及び外縁部の面取りを同時に行う方法を説明するための模式図である。 R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に段差部を形成する方法を説明するための模式図である。
[1] 表面磁石型回転子
(1)構成
(A)第1の態様
表面磁石型回転子(以下、単に「回転子」とも言う。)の第1の態様は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなり、
前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、軸方向端面の内縁部に面取り部を有し、
前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含み、かつ前記面取り部を被覆した状態になるように充填されていることを特徴とする。
比較例の回転子を図19(a)及び図19(b)に示す。比較例の回転子900は、断面が正八角形の内周面を有する8極のR-T-B系極異方性焼結リング磁石910と、前記リング磁石910に挿入された柱状のシャフト920と、シャフト920とリング磁石910との間を充填し、シャフト920をリング磁石910に固定するための樹脂スペーサ930とを有する。前記リング磁石910は、内周面を形成する断面正八角形の頂点が軸方向にストレートになるように形成されている。つまり、多角形の頂点が軸方向に沿って傾斜(スキュー)していない。シャフト920は、多角柱部920aと多角柱部920aの軸方向両端に延設された円柱部920bとを有し、多角柱部920aの軸方向長さはリング磁石910の軸方向長さ、及び樹脂スペーサ930の軸方向長さとほぼ同じである。樹脂スペーサ930は、シャフト920の多角柱部920aの外周面とリング磁石910の内周面910bとの間を充填するように配置される。
比較例の回転子は断面多角形の内周面を有しているので、シャフトと磁石との間の周り止めを防ぐことはできるが、本発明の第1の態様の回転子と異なり軸方向端面の内縁部に面取りが形成されていないため、軸方向のシャフトの抜けに対する防止効果は不十分である。
比較例の回転子900は、例えば図20に示すように、断面四角形の内周面を有する4極(又は8極か12極)の極異方性リング磁石911と、柱状のシャフト921と、樹脂スペーサ931とからなる回転子901としても良いし、例えば図21に示すように、断面六角形の内周面を有する6極(又は12極)の極異方性リング磁石912と、柱状のシャフト922と、樹脂スペーサ932とからなる回転子902としても良い。
次に、本発明の回転子の第1の態様の一例を図1(a)及び図1(b)に示す。回転子100は、断面が正七角形の内周面を有する14極のR-T-B系極異方性焼結リング磁石110と、前記リング磁石110に挿入された柱状のシャフト120と、シャフト120とリング磁石110との間を充填し、シャフト120をリング磁石110に固定するための樹脂スペーサ130とを有する。前記リング磁石110は、軸方向端面110e,110fの内縁部に面取り部110a,110bを有する。この面取り部110a,110bは、軸方向端面110e,110fに対してほぼ45°の傾きの円錐面で構成され、この円錐面によって軸方向端面110e,110fに形成される円が正七角形の頂点と重なるような深さで形成されている。リング磁石110の内周面は、断面正七角形の頂点が軸方向にストレートになるように形成されている。リング磁石110は、多角形の頂点の数及び極数が異なることと、並びに軸方向端面110e,110fの内縁部に面取り部110a,110bを有すること以外は比較例の回転子900に用いられるリング磁石910と同様である。
シャフト120は、中央部に一か所の平坦部120cを有する円柱状である。リング磁石110の断面多角形の内周面と、シャフトの平坦部120cとの間に樹脂130を射出成型することにより、シャフトとリング磁石との間での空回りが防止できる。
本発明の回転子の第1の態様の他の例を図2(a)及び図2(b)に示す。回転子101は、リング磁石111の軸方向端面111e,111fの内縁部に形成された面取り部111a,111bの深さが、リング磁石110の面取り部110a,110bよりも浅い以外、回転子100と同様である。すなわち、リング磁石111は、軸方向端面111e,111fの内縁部の多角形の辺の一部のみに面取りを行った例である。
回転子100及び回転子101においては、14極の極異方性配向を有し断面正七角形の内周面を有するリング磁石110及びリング磁石111を用いており、極数に対して多角形の角数(頂点の数)が少なくなっている。極数の多いリング磁石において、極数と同じ頂点の数(角数)を有する多角形で内周面を形成(例えば極数が14極で内周面が14角形)した場合、多角形の各辺の長さが短く、また辺同士の角度も大きくなることから、面取りをする際に辺の一部のみに面取り部を形成することが困難となる。そのような場合、断面多角形の頂点の数を極数に対して減じた内周面を有する極異方性リング磁石を用いることで、抜け止めとして用いる面取り部分の面積を大きくすることができる。
回転子100は、リング磁石110の軸方向端面110e,110fの両方の内縁部に面取り部110a,110bを設け、その面取り部110a,110bを樹脂スペーサ130で覆い、シャフト120の軸方向(図面左右方向)の抜けを抑える構造となっている。同様に回転子101は、リング磁石111の軸方向端面111e,111fの両方の内縁部に面取り部111a,111bを設け、その面取り部111a,111bを樹脂スペーサ131で覆い、シャフト120の軸方向(図面左右方向)の抜けを抑える構造となっている。これらの実施態様において、樹脂スペーサ130及び樹脂スペーサ131は、それぞれリング磁石110及びリング磁石111の軸方向端面からはみ出さないように充填されるのが好ましい。
本発明の回転子の第1の態様のさらに他の例を図3に示す。回転子102は、リング磁石112の内周面にテーパ112cが形成され、面取り部112aが一方の軸方向端面112eの内縁部にのみ形成されている以外、回転子100と同様である。内周面にテーパ112cが形成されたリング磁石112は、成形体を粉末冶金法にて成形する際、成形後に成形体が金型より抜けやすくするため入り口側が奥側に比べて広くなるように構成された金型を使用して製造されたものである。このような金型の構成は抜きテーパと呼称されている。抜きテーパを有する金型にて製造された極異方性焼結リング磁石112は、図3に示すように、一方の軸方向端面112fの内径がもう一方の軸方向端面112eの内径(面取り部112aを除く)に比べて大きくなっている。すなわち、内周面側にテーパ112cを有している。リング磁石112は、このような抜きテーパを有する金型にて製造されたリング磁石に対して、内径の小さい側の軸方向端面112eの内縁部のみに面取り部112aを形成したものである。リング磁石112は、内周面側にテーパ112cを有しているため、両方の端面内縁部に面取り部を設けなくても、内径の小さい側(軸方向端面112e)のみに面取り部112aを設けることによって両軸方向(図面上下方向)の抜け止めの効果を発揮することが可能となる。
(B)第2の態様
表面磁石型回転子の第2の態様は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなる表面磁石型回転子であって、
前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、軸方向端面の内縁部に段差部を有し、
前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含み、かつ前記段差部を被覆した状態になるように充填されていることを特徴とする。
すなわち、表面磁石型回転子の第2の態様は、R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に面取り部を設ける代わりに、段差部を設けた以外は、表面磁石型回転子の第1の態様と同様である。
本発明の回転子の第2の態様の一例を図4(a)及び図4(b)に示す。回転子200は、面取り部110a,110bの代わりに、リング磁石210の軸方向端面210e,210fの内縁部に段差部210a,210bが形成されている以外、第1の態様の回転子100と同様である。
回転子200は、リング磁石210の軸方向端面210e,210fの両方の内縁部に段差部210a,210bを設け、その段差部210a,210bを樹脂スペーサ230で覆い、シャフト220の軸方向(図面左右方向)の抜けを抑える構造となっている。この実施態様において、樹脂スペーサ230はリング磁石210の軸方向端面210e,210fからはみ出さないように充填されるのが好ましい。
(C)第3の態様
表面磁石型回転子の第3の態様は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなる表面磁石型回転子であって、
前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、前記内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしており、
前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含むように充填されていることを特徴とする。
すなわち、表面磁石型回転子の第3の態様は、R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に面取り部を設ける代わりに、内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューするように内周面を形成した以外は、表面磁石型回転子の第1の態様と同様である。内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしていることにより、面取り部又は段差部を有していなくても、軸方向のシャフトの抜けを防止することができる。
表面磁石型回転子の第3の態様は、さらにR-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を有していてもよい。
(2) R-T-B系極異方性焼結リング磁石
本発明に使用するR-T-B系極異方性焼結リング磁石(以下、単に「リング磁石」とも言う。)は、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するとともに、軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を有するか、もしくは内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしている。断面多角形の内周面を有することにより、シャフトと内周面との間に樹脂スペーサを充填し回転子としたときに、樹脂スペーサとリング磁石との間での空回りが防止される。また軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を有するか、内周面を頂点がスキューした多角形で形成することにより、樹脂スペーサとリング磁石とが軸方向にずれることがなくなり、シャフトの軸方向への抜けが防止される。
(A)リング磁石の形状
本発明に使用するリング磁石の形状を、図5に示す8極異方性焼結リング磁石1を例にして説明する。R-T-B系極異方性焼結リング磁石1は、断面円形の外周面1aに複数の極2a〜2hを有する多極異方性(図では8極)であり、リング磁石1の内周面1bの断面は多角形(図では八角形)である。リング磁石1の極数は、多角形の頂点3a〜3hの数の整数倍であり、頂点の数と同じ又は2倍であるのが好ましい。リング磁石の極数は、4極、6極、8極、10極、12極及び14極のいずれかであるのが好ましい。特に極数が10極、12極又は14極の場合には従来に比べて磁石の径方向の厚さを小さくすることができる。多角形の頂点の数をどのように設定するかは、極数に応じて適宜調節すればよい。多角形は正多角形であるのが好ましい。内周面1bの断面が正多角形であるとは、製造上の多少の誤差等を含んでも良いことを意味し、数学的に厳密な正多角形であると限定するものではない。
外周面の隣接する二つの極の中間位置の少なくとも一つ(例えば、中間位置20a)と、内周面を構成する断面多角形の頂点3a〜3hの少なくとも一つ(例えば、頂点3b)とが周方向において一致しているのが好ましい。このような構成とすることにより、断面多角形の形成が容易にできる。リング磁石1内部の磁束は、例えば図5に矢印Aで示すように、1つの極(例えば極2a)から隣接する極(例えば極2b)へ向かって多角形の頂点3a〜3h部分をまたいで円弧状に流れる。頂点3a〜3h部分によって極間を流れる磁束を妨げる様にみえるが、極異方性焼結リング磁石においては磁束の多くは外周面近傍を流れるので、磁気的な効率の低下はほとんど発生しない。特に本願で示す内外径比の範囲においては効率低下は極めて軽微である。
本発明に使用する極異方性焼結リング磁石は、焼結時の内径形状の変形が外表面側に比べて比較的少なく、成形時の内径側の金型形状に倣った形状になりやすい。すなわち極異方性焼結リング磁石の極数と同じ数の頂点を有する内径多角形を磁界中圧縮成形にて作製し、さらに外周面における隣接する二つの極の中間位置と多角形の頂点とを周方向において一致させた場合には、焼結後の内径形状は成形時の内径形状に倣った形状及び傾向となる。これは、R-T-B系焼結磁石の成形時の配向方向と、配向方向に直交する方向とで焼結時の収縮度合いが異なる(磁粉の配向方向の収縮率は、配向方向と直交する方向の収縮率に比較して大きいことから、外周面側の極位置は平坦になり、極間は凸部となるという収縮異方性を有する)ことに起因している。なお、本発明において、隣接する二つの極の中間位置は、設計上の極位置から導かれる位置であり、製造上発生するばらつきを含んで中間位置と呼称している。なお内周面側は、外周面側の収縮変形に倣った形状になるが、特に極数の少ない極異方性磁石の場合には、その傾向が顕著に表れやすい。
図6に示すように、外周面11aに8つの極12a〜12hを有する極異方性焼結リング磁石11が、断面正三角形(3つの頂点13a〜13cを有する)の内周面11bを有する場合(極数が多角形の頂点の数の整数倍でない場合)であっても回り止めの効果は有するが、極異方性焼結リング磁石11の肉厚(径方向の厚さ)が厚くなり、磁石材料を効率的に使用することができない。さらには重量が重くなり慣性力が大となるため、回転停止を頻繁に行う回転機のローターとしては適さない。
R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面は無加工であるのが好ましい。通常、リング磁石は、焼結の後、両端面の研磨、外周面の研磨及び内周面の研磨を行うが、研磨工程において最もコストがかかる内周面の研磨を省略することによりコストダウンに大きく寄与できる。リング磁石の内周面の研磨を行わなかった場合には研磨した場合に比べて内径面の寸法精度は若干悪くなるが、本発明では、磁石とシャフトとの間に樹脂スペーサを射出成形により形成することで磁石とシャフトを一体化できるので、磁石の内周面の寸法精度が低くてもそれほど問題となることはない。
(B)外周面及び内周面の構成
リング磁石の好ましい態様としては、外周面の極数と内周面の断面多角形の頂点の数とが同じである場合が挙げられる。しかしながら、極数の多いリング磁石を採用した場合、それに伴って多角形の頂点の数が多くなり、内周面の断面形状が円に近くなるため、R-T-B系焼結リング磁石とシャフトとの回り止めの効果が低減する場合がある。そのような場合は、内周面の断面形状を、極数の半分の数の頂点を有する多角形とするのが好ましい、さらに極数が多くなった場合には、極数の1/3、1/4・・・と多角形の頂点数を少なくしてもよい。
例えば、図7に示すように、外周面14極の極異方性焼結リング磁石の場合、内周面の断面形状を頂点の数が14個の多角形とすると、断面形状が円に近くなり、回り止め効果が低減してしまう。この場合、図8に示すように、内周面の断面形状を頂点の数が7個の多角形とすることにより、磁石の使用効率はやや低下するものの使用効率の低下を最小限にしながら回り止めの効果を得ることができる。
本発明に使用するリング磁石は、4極、6極、8極、10極、12極又は14極の多極異方性を有するのが好ましく、外周面の極数が多角形の頂点の数の整数倍であるのが好ましい。
R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、外周面の隣接する二つの極の中間位置の少なくとも一つと、内周面を構成する断面多角形の頂点の少なくとも一つとが周方向において一致しているのが望ましい。さらに前記極及び前記頂点が軸方向に沿ってスキューしているのが好ましい。
(C)面取り部及び段差部
図9は、リング磁石31の軸方向端面の内縁部に設けられた面取り部31cの半径(A)、中心軸から多角形の頂点までの距離(B)、及び中心軸から多角形を構成する辺への最短距離(C)の関係を示す模式図である。面取り部は、リング磁石の軸方向端面と内周面とによって形成される角部(内縁部)に中心軸を中心とした円状に形成され、そのときの円の半径が面取り部の半径である。
図10、図11及び図12は、断面14角形の内周面を有し、14極の極異方性を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸方向端面の内縁部に、3種類の深さで面取りを設けた例を示す。それぞれの場合について、面取り部の半径(A)と、中心軸から多角形の頂点までの距離(B)と、中心軸から多角形を構成する辺への最短距離(C)との関係を説明する。
図10は軸方向端面の内縁部の各辺の一部のみに面取りを行ったリング磁石41を示す。図10に示すリング磁石41は面取り部41cの半径Aが中心軸から多角形の頂点までの距離Bよりも小さく、中心軸から多角形の辺までの最短距離Cよりも大きい場合を示している。つまり、B>A>Cの関係を有している。
図11は面取りを多角形の頂点部分を含むように行ったリング磁石42を示す。図11に示すリング磁石42は面取り部42cの半径Aと中心軸から多角形の頂点までの距離Bをほぼ同じとしている。つまり、A=B>Cの関係を有している。
図12は面取り部43cの半径Aが中心軸から多角形の頂点までの距離Bよりも大きくなるように面取り部43cを形成したリング磁石43を示す。つまり、A>B>Cの関係を有している。
すなわち、面取り部41c、42c、43cの大きさは図10に示すリング磁石41が最も小さく、図11に示すリング磁石42、図12に示すリング磁石43の順に大きくなっている。面取り部の大きさは大きい方がその後樹脂成形した場合の抜け止めの効果は大きいが、図10に示すリング磁石41の様に、軸方向端面の内縁部の各辺の一部のみに設けられた面取り部41cであっても抜け止めの効果を十分に発揮することができる。従って、必要以上の面取りを行わないことで、面取り作業の効率を上げることができる。
以上、面取り部の形状について説明したが、段差部についても同様に、少なくとも軸方向端面の内縁部の各辺の一部のみに設けた場合であっても、抜け止めの効果を十分に発揮することができる。
(D)断面がスキューした内周面
リング磁石の内周面を、断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューするように形成することで、前述した面取り部又は段差部を形成しなくてもシャフトの軸方向の抜け止め効果を発揮することができる。このような断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしている内周面を有するリング磁石は、後述するように、着磁コイルをキャビティの軸方向に沿って傾斜(スキュー)させて配置した金型を用いて磁場中成形することによって得られる。
(E)内径と外形との比(内外径比)
本発明に使用するリング磁石の内径(D1)と外径(D2)との比D1/D2は、リング磁石の極数Pにより、
式:D1/D2=1-K(π/P)
[ただし、
P=4のとき、Kの値は0.51〜0.70、
P=6のとき、Kの値は0.57〜0.86、
P=8のとき、Kの値は0.59〜0.97、
P=10のとき、Kの値は0.59〜1.07、
P=12のとき、Kの値は0.61〜1.18、及び
P=14のとき、Kの値は0.62〜1.29である。]
で表されるものを使用するのが望ましい。ここで、図13に示すように、リング磁石21の内径D1は、内周面21bの断面多角形に外接する円21cの直径である。Kの値が大きくなると内外径比は小さくなり、Kの値が小さくなると内外径比は大きくなる。
それぞれの極数においてKの値が前述の範囲の下限を下まわると、リング磁石の肉厚が薄くなり焼結体の強度が異方性により発生する応力に負け、焼結時(焼結体が冷却される過程)に焼結体に亀裂が生じたり、またリング磁石を使用する際の発熱等により亀裂が生じたりするおそれがある。一方Kの値が上限を超えても磁石を製造することは可能であるが、リング磁石の肉厚が厚くなり過ぎると不要な(磁気特性に必要のない)磁石の量を増加させるのみであり、さらに重量増加による慣性力の増加をもたらすためモータ等の回転子としては好ましくない。
各極数において、Kの値から式:D1/D2=1-K(π/P)を用いて求めたD1/D2の値の範囲を表1に示す。
極異方性焼結リング磁石の応力による割れの発生をより防止するため、また慣性力の増加を抑えるためには、
極数が4極の場合、Kの値が0.51〜0.64、
極数が6極の場合、Kの値が0.57〜0.76、
極数が8極の場合、Kの値が0.59〜0.84、
極数が10極の場合、Kの値が0.59〜0.91、
極数が12極の場合、Kの値が0.61〜0.99、及び
極数が14極の場合、Kの値が0.62〜1.07であるのが好ましい。
各極数において、好ましいKの値の範囲から式:D1/D2=1-K(π/P)を用いて求めた好ましいD1/D2の値の範囲を表2に示す。
これらのD1/D2の値の範囲、及び好ましいD1/D2の値の範囲を、極数に対してプロットしたグラフを図14に示す。D1/D2の値の上限を線Aで示し、D1/D2の値の下限を線Bで示す。また好ましいD1/D2の値の上限を線Aで示し、好ましいD1/D2の値の下限を線Cで示す。すなわち、線Aと線Bとで挟まれた範囲が本発明のリング磁石における内外径比D1/D2の範囲であり、線Aと線Cとで挟まれた範囲が内外径比D1/D2の好ましい範囲である。図14から明らかなように、好ましい内外径比D1/D2の値は、D1/D2の値の範囲のうち数値が大きい側の範囲、すなわちリング磁石の肉厚が薄い側の範囲であり、内外径比D1/D2がこのような範囲をとることにより、応力による割れの発生が抑制できるとともに、できるだけ少ない磁石量で十分な磁気特性を発揮でき、かつ慣性力の増加をもたらさないリング磁石を得ることができる。
ただし、比較的小さな外径(外径20 mm以下)を有するリング磁石を成形する際には、好ましいKの値を採用すると製造効率の問題が生じてくる場合がある。例えば、同じ内外径比であっても、大きな外形のリング磁石を成形する場合に比べて、小さな外径のリング磁石を成形する場合はリング磁石の肉厚の絶対値が薄くなるため、成形用の金型キャビティのクリアランスが薄くなり、クリアランスへ磁粉を供給することが容易でなくなる。このため生産効率が非常に低下するといった問題が生じる。工業生産的に製造コストを考慮し一定の時間間隔で成形作業を行う必要から、小さな外径のリング磁石の製造においては、内外径比をより小さく(Kの値として範囲のうち大きい側の値を採用)して、リング磁石の肉厚、すなわち金型キャビティのクリアランスを厚く設定するのが好ましい。このように比較的小さな外径を有するリング磁石を成形する場合は、リング磁石の割れを防ぐという目的だけでなく、K値を大きめに設定することでキャビティのクリアランスを確保し磁粉のキャビティへの供給を容易にすることが必要となる。
本発明は磁極がリング磁石の軸線に平行な極異方性リング磁石のみならず、コギングトルク対策として磁極が軸線に対して角度を有する(スキューしている)極異方性リング磁石にも適用できる。
(3) シャフト
図1(a)及び図2(a)に示す回転子100及び回転し101に用いたシャフト120は、図15(a)及び図15(b)に示すように、中央部に形成された平坦部120cと、それ以外の部分を構成する円柱部120bとからなる。また図4(a)に示す回転子200に用いたシャフト220も、シャフト120と同様の形状である。本発明の回転子に用いるシャフトは、中央部に平坦部を有していれば途中でシャフトの太さが変わっていても良い。すなわち、図15(a)及び図15(b)に示すように、平坦部を一箇所の凹部として形成してもよいし、図16(a)及び図16(b)に示すように、平坦部が対向するように二箇所設けてもよい。さらに、図17(a)及び図17(b)に示すように、シャフト20の軸方向両端部よりも軸方向中央部の外径を大きくし、軸方向中央部の外周面の少なくとも一か所に平坦部を設ける構成としてもよい。
図19(a)及び図19(b)に示す比較例の回転子900に用いたシャフト920は、図18(a)及び図18(b)に示すように、多角柱部920aと多角柱部920aの軸方向両端に延設された円柱部920bとからなる。多角柱部920aは、シャフト920の軸方向中央部に形成され、樹脂スペーサ930との間で回り止めの効果を有するように断面多角形である。本発明の回転子において図18(a)及び図18(b)で示したシャフトを使用することも可能である。
多角柱部920aの断面形状は特に限定されず、例えば、四角形、五角形、六角形が採用できる。またこの断面形状は、リング磁石910の内周面910bの断面形状と同じであっても異なっていても良い。例えば、図22に示すように、断面八角形の内周面を有する8極の極異方性リング磁石913と、断面四角形の多角柱部923aを有するシャフト923との組み合わせでも良いし、図23に示すように、断面八角形の内周面を有する8極の極異方性リング磁石914と、断面六角形の多角柱部924aを有するシャフト924との組み合わせでも良い。その際は図22及び図23に示すリング磁石913及びリング磁石914の軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を形成することで本発明の回転子とすることができる。また、円柱状のシャフトの周面にローレットを有していても良い。
図15(a)〜図18(b)に示すシャフト120,121,20,920において、円柱部120b,121b,20b,920bは回転子を別の機器に接続するための部分であり、円柱状であるのが好ましい。図17(a)及び図17(b)に示すシャフト20の中央部及び図18(a)及び図18(b)に示す多角柱部920aは、その両端部に延設する円柱部と一体で形成してもよいし、前記中央部又は多角柱部920aの軸中心に設けた穴に円柱を挿入して形成してもよい。
シャフトは、リング磁石の内径に比べて、できるだけ小さい径で構成する方が慣性力を小さくできるので好ましい。ただしシャフトをあまり細くしすぎると回り止めの効果が得られなくなるので、回り止め効果を考慮して適宜設定する必要がある。
シャフトの材質は、必要な強度が得られればどのようなものでもかまわず、非磁性体や磁性体を採用することができる。例えば、ラジアルリング磁石のように内径側に磁束が貫通している場合は、磁性体のシャフトを使用した方が磁気回路上効率は良いが、外周面極異方性の場合、材料の磁性非磁性を考慮する必要はない。またコストや強度の観点から鉄材を用いた場合でも、シャフトの外径を小さくすることで慣性力を低減することが可能である。
(4) 樹脂スペーサ
樹脂スペーサは、シャフトの軸方向中央部の多角柱部又は平坦部の外周面とR-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間を充填するとともに、リング磁石の軸方向端面の内縁部の面取り部を覆うように(被覆した状態になるように)充填するものであり、シャフトよりも軽い樹脂を用いることにより、回転子の慣性力を大きく低減することができるとともに、加熱時のシャフトとリング磁石との熱膨張の違いを樹脂スペーサが吸収することで磁石の割れを防止することができる。例えば図24に示すように、比較的径の大きな多角柱部925aを有するシャフト925を使用した場合、樹脂スペーサ935の径方向厚さ(肉厚)が薄くなるため、熱膨張差を吸収する効果が低減する。樹脂スペーサの径方向厚さは、リング磁石の径を考慮しシャフトの径を適宜設定して決めればよい。
樹脂スペーサは、R-T-B系極異方性焼結リング磁石にシャフトを挿入した状態で熱可塑性樹脂を射出成型して充填する。軸方向端面の内縁部に面取り部を有しないリング磁石を用いて組み立てた比較例の回転子(例えば図19(a)及び図19(b)に示す回転子900)の場合、あらかじめ成形した樹脂スペーサ930と、多角柱部920aを有するシャフト920を用い、シャフト920の多角柱部920a及びリング磁石910の内周面910bに接着剤等で接着する方法で固定(充填)する方法もある。
内周面に面取り部や段差部を有しない磁石を使用した比較例の回転子の場合であって接着による方法を選択した場合、接着剤としては、加熱時のシャフトとリング磁石との熱膨張差による磁石の割れを防止するため、付加反応型のシリコン系接着剤等の硬度の低いものが望ましい。ただし付加反応型のシリコン系接着剤は、硬化触媒として白金を含有するため、例えばアミンを含有する塗装面(エポキシカチオン電着塗装等)では硬化しない場合があったり、環境によっては接着性が低下したりする場合がある。それに対して、射出成型により樹脂スペーサを充填する方法は、表面処理の選択範囲を広くできるので、本発明のR-T-B系極異方性焼結リング磁石を用いた回転子を構成する際には適した方法である。なお、いずれの方法においても、樹脂スペーサはR-T-B系極異方性焼結リング磁石の端面(両端面)からはみ出さないように充填するのが好ましい。
[3] 製造方法
本発明に使用するR-T-B系極異方性焼結リング磁石は、R-T-Bから実質的になるのが好ましい。ここでRはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Nd、Dy及びPrの少なくとも1種を必ず含むのが好ましく、Tは遷移金属元素の少なくとも1種であり、Feであるのが好ましい。Bはホウ素である。R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、24〜34質量%のR、0.6〜1.8質量%のB、及び残部Feの組成を有するものが好ましい。R量が24質量%未満では、残留磁束密度Br、保磁力HcJが低下する。R量が34%超では焼結体内部の希土類に富む相の領域が多くなるので残留磁束密度Brが低下し、かつ組織形態も粗大化して耐食性が低下する。B量が0.6質量%未満の場合、主相であるR2Fe14B相の形成に必要なBが不足し、軟磁性的な性質を有するR2Fe17相が生成し保磁力HcJが低下する。一方B量が1.8質量%を超えると、非磁性相であるBに富む相が増加して残留磁束密度Brが低下する。Feはその一部がCoで置換されていても良く、また、3質量%以下程度のAl、Si、Cu、Ga、Nb、Mo、W等の元素を含んでいても良い。
(1)磁粉の準備
磁粉の粉砕は、粗粉砕と微粉砕とに分けて行うのが好ましい。R、T、Bから実質的になる原料合金の粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル、ディスクミル、水素粉砕等で行うのが好ましく、微粉砕は、ジェットミル、振動ミル、ボールミル等で行うのが好ましい。いずれも酸化を防ぐために、有機溶媒や不活性ガスを用いて非酸化雰囲気中で行うのが好ましい。粉砕後の平均粒度は2〜8μm(F.S.S.S.)が好ましい。2μm未満では磁粉の活性が高く酸化が激しく起こるため焼結時の変形が大であり、磁気特性も悪化する。8μm超では焼結後の結晶粒径が大きくなり容易に磁化反転が起こり、保磁力の低下を招く。
(2)成形
(a)第一の方法
R-T-B系極異方性焼結リング磁石の成形は、例えば図25に示すような磁界中成形装置500を用いて行う。磁界中成形装置500は、磁性体からなるダイス501と、ダイス501の環状空間内に同心状に配置された断面多角形の非磁性体からなるコア502とを有し、ダイス501は支柱511,512により支持され、コア502及び支柱511,512はいずれも下部フレーム508により支持されている。ダイス501とコア502の間の成形空間503内に筒状の非磁性体からなる上パンチ504と同様に筒状の非磁性体からなる下パンチ507とがそれぞれ嵌入される。なお上パンチ504と下パンチ507は外周面側が円形であり、内周面側はコア502の形状に対応する多角形である。下パンチ507は基板513に固着され、一方上パンチ504は上部フレーム505に固定されている。上部フレーム505及び下部フレーム508はそれぞれ上部油圧シリンダー506及び下部油圧シリンダー509と連結している。
図26は図25のD-D断面を示す。円筒状のダイス501の内面には複数の溝517が形成されており、各溝517には磁界発生コイル515が埋設されている。ダイス501の内面には溝を覆うように環状の非磁性体の環状スリーブ516が設けられている。環状スリーブ516とコア502の間が成形空間503である。図26において、各溝517内の磁界発生コイル515は、電流が紙面に対して垂直方向に流れるように配置され、周方向に隣り合うコイルの電流の向きが交互に逆向きになるように接続されている。
磁界発生コイル515に電流を流すと、成形空間503に矢印Aで示すような磁束の流れが生じ、磁束が環状のスリーブにあたる点(矢印の始点及び終点)に、円周方向に順にS、N、S、N・・・と極性が交互に変わる磁極(図では8極)が形成される。このとき、磁界発生コイル515によって形成される磁極の位置と、内径側のコア502の多角形の頂点の位置は周方向でほぼ一致するように磁界発生コイル515とコア502とを配置する。
R-T-B系焼結磁石は磁粉の配向方向により焼結時の収縮度合いが異なる。極異方性焼結リング磁石の場合、内径及び外径とも円形のキャビティを使用して磁石を製造すると、焼結後に外径側は極の位置が平坦になり極間が相対的に出っ張る形(極間に頂点を有する多角形)となり、内径側は外径側の変形に対応した多角形、又は外径側で出っ張った部分にくぼみを有する円形となる。従って本発明においては、コア502の多角形の頂点は隣接する二つの磁極の中間位置と一致するように配置する。
磁粉を配向させるために成形空間503に印加する磁界の強さは、好ましくは159 kA/m以上であり、より好ましくは239 kA/m以上である。配向磁界の強さが159 kA/m未満では、磁粉の配向が不十分であり良好な磁気特性が得られない。成形圧力は0.5〜2 ton/cm2が望ましい。0.5 ton/cm2未満では成形体の強度が弱くなりこわれやすい。また2 ton/cm2超では磁粉の配向が乱れ、磁気特性が低下する。
(b)第二の方法
本発明に用いる、断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石は、図26に示すような軸断面円形のダイス501及び断面多角形のコア502を有する金型を用いる以外に、図27(a)に示すような、軸断面円形のダイス601及び断面円形のコア602を有する金型を用いても製造することができる。
図27(a)に示す軸断面円形のダイス601及び断面円形のコア602を有する金型を用いて磁場中成形し得られた成形体を焼結した場合、図27(b)に示すように、成形時の配向に倣い、外周面及び内周面が丸みを帯びた八角形状の筒状の焼結体50が得られる。この焼結体の外周面のみを円形に研削加工することで外周面が円形で内周面が断面八角形の、図27(c)に示す極異方性リング磁石51を得ることができる。なお本願において、断面多角形の内周面とは、成形時に金型コアによって形成された多角形状のみならず、外周面側の変形に倣い、丸みを帯びた多角形(角部が円弧で形成された多角形:角部を面取りした多角形)も含むものとする。
(c)第三の方法
断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしている内周面を有するリング磁石は、例えば図28(a)に示すように、軸断面円形のダイス701及び断面円形のコア702を有し、極異方性配向を行う着磁コイル(磁界発生コイル715)をキャビティの軸方向に沿って傾斜(スキュー)させて配置した金型を用いて磁場中成形することによって得られる。この金型によって成形した成形体を焼結して得られる極異方性焼結リング磁石は、図28(b)及び図28(c)に示すように、外周面側はその角部が軸方向に傾斜(スキュー)した断面多角形状を有し、さらに内周面側は、外周面側に倣い、軸方向に頂点が傾斜(スキュー)した断面多角形を有している(なお図28(b)の内周面のスキューについては図示を省略した。)。この極異方性焼結リング磁石の外周面のみを円形に研削加工することで外周面側が円形で、内周面側が断面多角形の頂点が軸方向に沿ってスキューしている極異方性リング磁石を得ることができる。
(3)焼結
焼結は、真空又はアルゴン雰囲気中で、1000〜1150℃で行うのが好ましい。1000℃未満では焼結不足により、必要とされる密度が得られず、磁気特性が低下する。1150℃超では過焼結により、変形や磁気特性の低下が発生する。
焼結は、Moを用いた耐熱容器中にMo板を入れその上に成形体を置き行う。Mo板への焼結体の焼き付きを防止するために、Mo板の表面粗さを機械加工等により高め、成形体との接触面積を減らすのが望ましい。Mo板が圧延材で表面粗さが低い場合、焼結体とMo板の焼き付きが発生しやすく、さらに焼結に伴う収縮の過程で焼結磁石に変形が生じる場合がある。機械加工としては、ブラスト処理が好ましい。ブラスト後のMo板の表面粗さ(JISR6001-1983)はRmaxで5μm〜100μmが好ましく、7μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmがさらに好ましい。5μm未満では、焼結体とMo板の焼き付きが発生しやすく、焼結後の磁石が変形する。100μm超では、収縮の過程でMo板に焼結体が引っかかり変形が発生する。Mo板に酸化ネオジム等を塗布し焼結時の焼結体とMo板の焼き付き防止とすることもできる。
(4)熱処理
焼結の後、焼結体に熱処理を施すのが好ましい。熱処理は、後述の加工前に行っても良いし加工後に行っても良い。
(5)加工及び表面処理
得られた焼結体は、必要に応じて要求される寸法に外周面、端面を加工したのち回転砥石を用いて軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を形成する。
図29は本発明に用いるR-T-B系極異方性焼結リング磁石1の軸方向端面の内縁部に面取り部を形成している様子を断面図で模式的に示したものである。砥石800は円錐台の形状を有し、円錐台形状の側面をリング磁石1の軸方向端面の内縁部に接触させ、回転させながら矢印方向に押し下げることで面取りを行うことができる。
また外周面側に表面処理の膜厚均一を図ったり、またカケを防止するための面取り部を有していても良い。図30はR-T-B系極異方性焼結リング磁石1の軸方向端面の内縁部及び外縁部に同時に面取り部を形成している様子を示素模式図である。砥石810は円盤状砥石の片面に円弧状又はV字状の溝部を有し、この溝部をリング磁石1の軸方向端面の内縁部及び外縁部に当接させ、回転させながら矢印方向に押し下げることで軸方向端面の内縁部及び外縁部を同時に面取りすることが可能となる。
図31はR-T-B系極異方性焼結リング磁石1の軸方向端面の内縁部に段差部を形成している様子を断面図で模式的に示したものである。砥石820は円板形状を有し、円板面(外周付近)をリング磁石1の端面に接触させ、回転させながら矢印方向に押し下げることで段差部を形成することができる。
加工は外径研磨機、内径研磨機、平面研磨機又は姿加工機等の既存の設備を適宜使用できる。加工後のメッキ、塗装、アルミの真空蒸着、化成処理等の表面処理を必要に応じて行うことができる。
次に参考例により本発明に使用するリング磁石の特徴の一つである内外径比について説明する。
参考例1
前述の製造方法に準じて、図25及び図26に示す磁界中成形装置を用いて、23.5質量%のNd、2.2質量%のDy、6.5質量%のPr、1.0質量%のB、残部Fe及び不可避不純物、並びに微量の添加元素としてAl,Nb及びGaからなる組成を有し、外周面に8極を有する極異方性焼結リング磁石を10個作製した。さらに極数に応じて磁界中成形装置の構成を変更した以外、8極異方性焼結リング磁石と同様にして、4極、6極、10極、12極及び14極の極異方性焼結リング磁石を各10個ずつ作製した。なお、各極数の極異方性焼結リング磁石を製造するための磁界中成形装置は、リング磁石の極数に応じた磁界発生装置を備え、リング磁石の極数と同数の頂点を有する正多角形の断面形状を有するコアを、正多角形の頂点位置が隣接する二つの磁極の中間位置に一致するように配置したものを使用した。
焼結後のリング磁石は、外径を取り代0.5 mmで研磨した後、両端面を平面研磨した。内径面の研磨は行っていない。各リング磁石の内外径比は表3の通りであった。
外径研磨後のリング磁石の亀裂の有無を確認したところ、すべての磁石において亀裂の発生はなかった。
参考例2
磁界中成形装置のコアの外径を変更して、得られるリング磁石の内外径比を表4に示すように変更した以外は参考例1と同様にして4極、6極、8極、10極、12極及び14極の極異方性焼結リング磁石を作製した。
外径研磨後のリング磁石の亀裂の有無を確認したところ、すべての条件で10個中1〜7個の磁石に亀裂が発生していた。
参考例3
磁界中成形装置のコアの外径を変更して、得られるリング磁石の内外径比を表5に示すように変更した以外は実施例1と同様にして4極、6極、8極、10極、12極及び14極の極異方性焼結リング磁石を作製した。
外径研磨後のリング磁石の亀裂の有無を確認したところ、すべての磁石において亀裂の発生はなかった。しかしこの磁石は内外径比が小さく重量が重いため、小さな慣性力を求められる回転機の回転子としては不向きである。
1・・・R-T-B系極異方性焼結リング磁石
1a・・・外周面
1b・・・内周面
2a〜2h・・・極
3a〜3h・・・頂点
20a・・・中間位置
11・・・極異方性リング磁石
11a・・・外周面
11b・・・内周面
12a〜12h・・・極
13a〜13c・・・頂点
20・・・シャフト
20b・・・円柱部
20c・・・平坦部
21、31、41、42、43、50、51、61・・・リング磁石
21a・・・外周面
21b・・・内周面
21c・・・円
31c、41c、42c、43c・・・面取り部
100・・・第1の態様の回転子
110・・・リング磁石
110a,110b・・・面取り部
110e,110f・・・軸方向端面
120、121・・・シャフト
120b、121b・・・円柱部
120c、121・・・平坦部
130・・・樹脂スペーサ
101・・・第1の態様の回転子
111・・・リング磁石
111a,111b・・・面取り部
111e,111f・・・軸方向端面
131・・・樹脂スペーサ
102・・・第1の態様の回転子
112・・・リング磁石
112a・・・面取り部
112e,112f・・・軸方向端面
112c・・・テーパ
132・・・樹脂スペーサ
200・・・第2の態様の回転子
210・・・リング磁石
210a,210b・・・段差部
210e,210f・・・軸方向端面
220・・・シャフト
230・・・樹脂スペーサ
500・・・磁界中成形装置
501、601、701・・・ダイス
502、601、701・・・コア
503・・・成形空間
504・・・上パンチ
505・・・上部フレーム
506・・・上部油圧シリンダー
507・・・下パンチ
508・・・下部フレーム
509・・・下部油圧シリンダー
511,512・・・支柱
513・・・基板
515、715・・・磁界発生コイル
516・・・環状スリーブ
517・・・溝
800,810・・・面取り砥石
820・・・段差部形成砥石
900、901、902、903、904、905・・・比較例の回転子
910、911、912、913、914、915・・・リング磁石
910b・・・内周面
920、921、922、923、924、925・・・シャフト
920a、921a、922a、923a、924a、925a・・・多角柱部
920b・・・円柱部
930、931、932、933、934、935・・・樹脂スペーサ

Claims (5)

  1. 断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するR-T-B系極異方性焼結リング磁石と、前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の軸中心に挿入された柱状のシャフトと、前記シャフトと前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石との間を充填し、前記シャフトを前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石に固定するための樹脂スペーサとからなる表面磁石型回転子であって、
    前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、前記内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿って連続的にスキューしており、
    前記シャフトは軸方向中央部に形成された少なくとも一か所の平坦部と前記平坦部の軸方向両端に延設された円柱部とを有し、
    前記樹脂スペーサは、前記シャフトの軸方向中央部の外周面と前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石の内周面との間に、前記シャフトの平坦部を含むように充填されていることを特徴とする表面磁石型回転子。
  2. 請求項1に記載の表面磁石型回転子において、
    前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石は、磁極が軸線に対して角度を有していることを特徴とする表面磁石型回転子。
  3. 請求項1又は2に記載の表面磁石型回転子において、
    前記R-T-B系極異方性焼結リング磁石が、軸方向端面の内縁部に面取り部又は段差部を有していることを特徴とする表面磁石型回転子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の表面磁石型回転子において、前記外周面の隣接する二つの極の中間位置の少なくとも一つと、前記内周面を構成する断面多角形の頂点の少なくとも一つとが周方向において一致していることを特徴とする表面磁石型回転子。
  5. 断面円形の外周面と断面多角形の内周面とを有し、前記外周面に複数の極を有するとともに、前記内周面を形成する断面多角形の頂点が軸方向に沿って連続的にスキューしているR-T-B系極異方性焼結リング磁石を製造する方法であって、
    軸断面円形のダイス及び断面円形のコアを有し、極異方性配向を行う着磁コイルをキャビティの軸方向に沿って傾斜させて配置した金型を用いて磁粉を磁場中成形し、得られた成形体を焼結し、得られた焼結体の外周面のみを円形に研削加工することを特徴とするR-T-B系極異方性焼結リング磁石の製造方法。
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