JP4900669B2 - 誘導加熱装置および電子機器 - Google Patents
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Description
このような加熱装置における磁気誘導加熱では、励磁コイルとコンデンサを用いて実現した共振回路にスイッチング素子で高周波電流を流すことによって交番磁界を生成し、その磁界の変化によって導電体に渦電流を発生させて加熱する。なお、その際、高周波電流により供給される電力を適切な値に保つために、電流検出手段を用いて入力電流を測定して電力制御を行っている。この電流検出手段は前記スイッチング素子を保護するための電流監視用でもある。このスイッチング素子には通常時から大きな電流が流れ、負荷の異常によって定格を超す電流が流れると短い時間で破壊に至るので電流監視が必要なのである。
本発明は、このような従来技術の問題を解決しようとするものであり、具体的には、電流検出手段の代わりに磁気センサを用いるとともに、負荷異常に対する応答性を早められるようにして、スイッチング素子の破壊を防止できる加熱装置などを提供することを目的とする。
図1は本発明の一実施形態として加熱装置を内蔵する電子写真方式複写機の構成を示す概略図である。この複写機は、複写機能以外の機能として例えばプリンタ機能やファクシミリ機能を有しており、操作部のアプリケーション切替えキーにより複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を切替えて選択することが可能である。複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリントモードとなり、ファクシミリ機能の選択時にはファクシミリモードとなる。
これらのモードのうち複写モードでは次のように動作する。
原稿セット検知器109により原稿台102上に次の原稿が検知された場合には、同様に原稿台102上の一番下の原稿が給紙ローラ103および給送ベルト104により原稿台105上の所定の位置に給送される。なお、給紙ローラ103、給送ベルト104および排送ローラ107は搬送モータによって駆動される。
画像読み取り装置106により原稿から読み込まれた画像データは図示しない画像処理手段を介して書き込みユニット118により光情報に変換され、感光体117上の帯電面がこの光情報で露光されて静電潜像が形成される。この感光体117上の静電潜像は現像装置119により現像されてトナー像となる。
この両面搬送ユニット126へ搬送された転写紙は、両面搬送ユニット126により縦搬送ユニット116へ搬送され、縦搬送ユニット116により感光体117に当接する位置まで搬送され、感光体117上に前記と同様に形成されたトナー像が裏面に転写されて定着装置121でトナー像が定着されることにより両面コピーとなる。この両面コピーは排紙ユニット122により排紙トレイ123に排出される。
また、転写紙を反転して排出する場合には、反転ユニット125によりスイッチバックされて表裏が反転された転写紙が、両面搬送ユニット126に搬送されずに反転排紙搬送路127を経て排紙ユニット122により排紙トレイ123に排出される。
この定着装置121は誘導加熱方式の定着装置として構成されている。この構成のなかで、定着ローラ201と加圧ローラ202は通常のハロゲンヒータ方式などと同様に転写紙の搬送経路に対向して設けられており、定着ローラ201はトナーの転写された転写紙上のトナーを加熱溶解して転写紙上に定着させ、加圧ローラ202は転写紙に圧力をかけてトナーを定着させる。また、定着ローラ201から離間した位置には加熱ローラ203が設けられ、この加熱ローラ203と定着ローラ201との間には定着ベルト204が掛け渡されている。この定着ベルト204は励磁コイル8により誘導加熱される定着用被加熱部材であり、加熱金属部(金属導電体)、非熱伝導部などを含む数層構造から成る。
図示したような構成で、この誘導加熱定着制御部では、交流電源1からの電流が整流回路4により整流され、インダクタンス5とコンデンサ6により構成した平滑回路により平滑化された直流電源を得る。コンデンサ6は容量の大きいものではなくノイズを取る程度なのでコンデンサ6の端子電圧は電源周期を残した脈流状波形のままである。
電流検出部2は例えばカレントトランスであり、誘導加熱定着回路に流れる電流を検出する。電圧検出部3は誘導加熱定着回路に入力される電圧を検出する。この電圧検出部3としては電源電圧を降圧するためにトランスが用いられている。
コンデンサ6の両端の脈流電圧はスイッチング素子9により高周波でスイッチングされる。
被加熱体の近傍には被加熱体の温度を測定するための温度センサ19を備えている。この温度センサ19により測定された被加熱体の温度は制御回路48に入力される。これにより、制御回路48では温度センサ19により測定された温度が目標温度になるように駆動回路18に制御信号を与え、駆動回路18はスイッチング素子9に高周波の信号を与える。
[実施例1]
図4はこの実施例の加熱装置の誘導加熱定着制御部などの構成を示すブロック図である。図示したような構成で、この誘導加熱定着制御部では、交流電源1からの電流を整流回路4が整流し、インダクタンス5とコンデンサ6により構成した平滑回路が整流された電圧を平滑化する。コンデンサ6は容量の大きいものではなくノイズを取る程度なのでコンデンサ6の端子電圧は電源周期を残した脈流状波形のままである。
電圧検出部3は交流電源1の電圧を測定するためのものであり、トランスを用いて、100Vを分圧して低い電圧にするとともに1次側と絶縁する。このトランスにより分圧された電圧はダイオードブリッジにより整流され、コンデンサによって平滑され、電圧リプルのない直流にされ、図示した入力電圧(AN4)となる(この回路は電圧検出部3に内蔵されている)。
磁気センサ20は励磁コイル8により発生した磁界の磁場の強さを検出して電圧を出力する。磁気センサ20が磁束密度(B)に比例した出力電圧(Vh)を出力することを図5に示す。
(1)磁気センサ20により検出された磁場の強さが上限値より大きい場合、または下限値より小さい場合、直ちに駆動回路18に停止信号(STOP信号)を送出する。これにより、駆動回路18はスイッチング素子9の駆動を停止する。なお、ここでは、スイッチング素子9および駆動回路18が請求項記載の電力遮断手段を構成している。
(2)磁場の強さに比例した磁気センサ20の出力(電源周波数のリプル電圧を持つ)を内蔵するローパスフィルタ(LPF)により平滑化し、平滑化したOUT信号(図4参照)を増幅器44に与える。
まず、増幅器(磁場電流変換器)44だが、ここでは励磁コイル8の磁場の強さを補正入力電流(AN3)に換算する。換算されたこの補正入力電流は磁場の強さそのものに対応しており、スイッチング素子9や駆動回路18における電力損失を含まない(つまり誘導加熱定着のみの電流分である)。
掛け算器14は入力電圧(AN4)と補正入力電流(AN3)の掛け算を行い、結果を補正電力とする。これはスイッチング素子9の損失や駆動回路18における電力損失を含まない、誘導加熱定着のみで消費される電力である。
ONタイミング生成回路11は整流された交流信号からゼロクロス信号を生成する。そして、ON時間生成回路17は、このゼロクロス信号を用いることにより、脈流電圧の高いところでいきなりスイッチング素子9がONして破壊しないようにしながら駆動回路18に与えるPWM信号を生成し、駆動回路18がスイッチング素子9を駆動する。
前記した図5は磁気センサ(例えばホール素子)20の出力電圧Vhが磁束密度Bに比例していることを示している。つまり、磁束密度(磁場の強さ)によって発熱量が決まるので、磁気センサ20により検出される磁場の強さは誘導加熱定着の発熱量そのものを表す。
この実施例では、磁気センサ20から図8(1)に示したような波形の信号が出力され、遅延時間の短いローパスフィルタ(LPF)30が高周波成分をカットして図8(2)に示したような波形の信号(LPF1出力)を出力する。
一方、比較電圧生成回路34(請求項記載の基準電圧供給手段に相当する)では電圧検出部3(図4参照)から入力された50Hzまたは60Hzの交流分圧電圧から第1コンパレータ31と第2コンパレータ32に与える比較電圧(請求項記載の基準電圧に相当する)を生成する。電圧検出部3からの電源周波数の信号をレベル調整して比較電圧を生成するのである。レベル調整のための値はCPU41から自由に設定することができる。そして、第1コンパレータ31には図8(3)に示した下限値となる下限比較電圧を、第2コンパレータ32には図8(5)に示した上限値となる上限比較電圧を与える。図8に示したように、これらの比較電圧には電源周波数成分をそのまま残す。なお、コンパレータ31、32は請求項記載の比較手段に相当する。
続いて、CPU41は、取り込んだ2つの信号のレベルを判定し(ステップ2)、その判定結果をサービスマンコール(SC)として操作部に表示させる(ステップ3)。UNDERとOVERのどちらが原因で停止したかを表示させるのである。さらに、通信手段でセンターに通知する。こうして、利用者は加熱定着の異常とその原因を知ることができ、適切な対応が可能になる。
この実施例では、励磁電流制御(励磁電力制御)のためのフィードバック信号であるOUT信号としては大きな時定数のLPF35の出力を用いるのに対して、異常な磁場の強さの検出を小さな時定数のLPF1出力で行っているのは異常検出の応答性を良くするためである。これにより、この実施例では、精度の高い励磁電流制御を実現しつつ従来技術に比べて異常検出の応答性を良くすることができるのである。
また、(b)は磁気センサ20によって磁場の強さから求めた損失を含まない検出電流であり、誘導加熱定着で熱となる電力をより正確に表している。なお、図10においてハッチングの部分は損失による誤差を表している。
図11はこの実施例の加熱装置の誘導加熱定着制御部などの構成を示すブロック図である。この実施例では、図4に示した実施例1の構成で、差動増幅器12、目標電力演算回路13、掛け算回路14、差動増幅回路15、ON時間演算16などにより実現していた部分を、CPU41が実行する演算処理部39で実現している。以下、図4に示した実施例1の構成と構成が異なる部分について説明する。
演算処理部39の基本的な動作は実施例1と同等である。
この実施例では、図12に磁場検出回路21aの詳細を示したように、図7に示したLPF35の代わりに積分型AD変換器36を備え、磁場検出回路21の出力を積分型AD変換器36によりデジタル化してCPU41に渡す。また、電圧検出部3の出力をAD変換器45によりデジタル化し、デジタル電圧値(図11にDG4として示す)をCPU41に渡す。
まず、積分型AD変換器36だが、これは低速な変換速度を持つ低価格のAD変換器である。図13(2)に積分型ADC積分タイミングとして示したように、図13(1)に「LPF出力」と示したLPF30からの信号を積分区間で積分し、「HOLD」と示したタイミングでAD変換された値を保持する。なお、保持されたAD変換値は次の積分サイクルが終了すると更新される。
図13(4)に示したように積分タイミング信号を例えば半サイクルごとに出し、図13(5)に示したように積分型ADCによる変換後の値を半サイクルごとに更新することも可能であり、そのようにした場合、磁場の変化に対してAD変換値は敏感に反応する。敏感に反応する必要のない場合には、図13(2)に示した積分ADCタイミングのように数サイクルに亘って磁場の変化を積分し、AD変換するのである。後者の場合、図13(3)に示したように積分型ADC出力は変動の影響が少なくなっている。この実施例では、急激な磁場の変動はコンパレータ31およびコンパレータ32で異常として検出するので、電力制御の精度を上げるために積分型AD変換器36のほうは積分時間を長くしている。
磁場電流変換回路22は磁場電流変換テーブルメモリとして実現しており、磁場検出回路21からの入力値をアドレスして記憶されているデータを出力する。なお、記憶しておくデータはCPU41により自由に書き換えることができる。この磁場電流変換回路22の出力は補正入力電流(DG3)であり、CPU41により入力電圧(DG4)と掛け算されて補正電力となる。
まず、CPU41が誘導加熱定着の目標温度をメモリに設定する(ステップ11)。そして、目標温度と温度センサ19により検出された温度の温度差によって目標電力を演算する(ステップ12)。目標温度に対して差が大きい場合には大きな電力を、差が小さい場合には小さい電力を設定するのである。
続いて、CPU41は、デジタル化された入力電圧(DG4)と、磁場電流変換回路22により与えられた補正入力電流(DG3)を掛け算して補正電力を求め、目標電力と比較する。そして、補正電力が大きい場合(これは入力電圧が高いか補正入力電流が大きい場合である)、設定電力を小さめに補正し、逆に補正電力が小さい場合には設定電力を大きめに補正する(ステップ13)。さらに、CPU41は補正した設定電力の値からPWM値(パルス幅変調値)を決定し、ON時間生成回路17に出力する(ステップ14)。
なお、図9に示した異常処理はステップ11〜ステップ17の動作フローを実行中に割り込み処理として実行される。
こうして、この実施例では実施例1と同様の効果も得ることができる。
41 CPU、203 加熱ローラ
Claims (12)
- 磁界中に置かれた導電体内に渦電流を生じさせて前記導電体を過熱する誘導加熱手段と、該誘導加熱手段を制御する誘導加熱制御手段とを備えた誘導加熱装置において、
励磁コイルにより発生される磁界による磁場の強さを検出する検出手段と、
前記検出手段により出力された検出信号から高周波成分を除去する、カットオフ周波数の異なる2つのローパスフィルタと、
前記2つのローパスフィルタのうち、カットオフ周波数の高い第1のローパスフィルタの出力に基づいて異常を検出する異常検出手段と、
前記2つのローパスフィルタのうち、カットオフ周波数の低い第2のローパスフィルタの出力に基づいて、前記励磁コイルへの供給電力制御を行う電力制御手段と、
を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1記載の誘導過熱装置において、
前記検出手段を磁気センサとしたことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1または2記載の誘導加熱装置において、
2つの比較手段を備え、前記2つのローパスフィルタのうちカットオフ周波数の高い第1のローパスフィルタの出力信号を前記2つの比較手段によりそれぞれの基準電圧と比較し、高いほうの基準電圧より高い場合、または低い方の基準電圧より低い場合に異常信号を出力する構成とすると共に、前記いずれかの比較手段から前記異常信号が出力されたときに前記励磁コイルへの供給電力を遮断する電力遮断手段を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項3記載の誘導加熱装置において、
前記励磁コイルへ供給される電流および前記基準電圧が電源周波数成分を有した構成であることを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項4記載の誘導加熱装置において、
交流電源側から得た波高値の異なる2つの信号を2つの前記基準電圧としてそれぞれ前記2つの比較手段のそれぞれへ供給する基準電圧供給手段を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱装置において、
前記検出手段からの検出信号に基づいて生成された電流値と入力電圧に基づいて生成された電圧値との積を用いて前記励磁コイルへの供給電力制御を行うことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱装置において、
目標温度と検出温度との差から目標電力を求め、該目標電力に基づいて前記励磁コイルへの供給電力制御を行うことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1または2記載の誘導加熱装置を備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項3乃至5のいずれかに記載の誘導加熱装置を備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項9記載の電子機器において、
前記電力遮断手段による供給電力の遮断が、前記磁場の強さが過大であることにより発生したか、過小であることにより発生したかを取得する取得手段を備えたことを特徴とする電子機器。 - 請求項10記載の電子機器において、
前記取得手段により取り込まれた情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする電子機器。 - 請求項10記載の電子機器において、
前記取得手段により取り込まれた情報を外部装置へ通知する通信手段を備えたことを特徴とする電子機器。
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