JP4898014B2 - 合成石英粉の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法 - Google Patents

合成石英粉の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、残留ガス成分、特に炭素含有量および水酸基含有量の少ない合成石英粉とその製造方法、およびこの合成石英粉によって製造した気泡含有率の少ない石英ガラスルツボに関する。
【0002】
【従来技術と問題点】
金属アルコキシドを加水分解して得たゲルを乾燥し、焼成して合成石英粉を製造する方法(ゾルゲル法)が知られている。この製法の一例は、エチルシリケートを加水分解してゲル化(nSi(OH)4)し、これを粉砕し乾燥して得たシリカゲル粉末を所定温度(1050℃前後)で焼成することにより脱水して非晶質シリカ粉(nSiO2)を製造する方法である。この製造方法によって得た合成石英粉は天然石英粉よりも金属不純物が少なく高純度であるが、アルコキシ基に起因するカーボンや水酸基が残留することが知られている。このためゾルゲル法によって得た合成石英粉を原料として石英ガラスルツボを製造すると、残留カーボンが気泡発生の原因になる場合がある。
【0003】
そこで、ゾルゲル法による合成石英粉の製造において、乾燥ゲル粉末を焼成してガラス化し合成石英粉にする前に、残留カーボンを燃焼させて除去する試みがなされている。すなわち、乾燥ゲル粉末が閉孔しない600℃以下の温度で、酸素雰囲気下(一般的には空気中)で乾燥ゲル粉末を加熱処理することによって残留カーボンを燃焼させ、炭素ガスに転じて除去することにより残留炭素量を低減する方法が知られている(特開平09-86916号、特願平10-287416号など)。これらの方法は何れも乾燥ゲル粉末が閉孔する前に内部の残留炭素を燃焼させて除去する方法であり、600℃以下で脱炭した後に1000℃〜1300℃前後に焼成してガラス化(閉孔化)することにより非晶質合成石英粉としている。
【0004】
また、ゾルゲル法によって製造したシリカ粉末を加熱処理した後に焼成溶融して石英ガラスインゴットにし、これを粉砕して非晶質石英粉を得る方法も知られている(特公平05-63416号)。この方法はゾルゲル法で得たシリカ粉末を空気中で500℃程度に加熱して有機物を燃焼させた後、さらに1500℃に加熱して溶融ガラス化することによってOH基を除去する方法であり、空気中で乾燥ゲル粉末が閉孔しない600℃以下の温度で加熱し残留炭素を燃焼して除去する点は前者の方法と共通している。なお、この方法では約1500℃のガラスインゴット化の際に真空中で加熱しているが、これはシリカ粉末の間に含まれる空気等を吸引除去するためであり、残留炭素の除去はもっぱら600℃以下のガラス化前の酸化燃焼工程で行われている。1500℃程度の高温焼結ではシリカ粉末が焼結するため炭素を除去するのが難しい。
【0005】
さらに、乾燥ゲル粉末を焼成して合成石英粉にする際、乾燥雰囲気下または減圧雰囲気下で二段階に焼成することによって所定の嵩密度の合成石英粉末を得る方法も知られている(特許第2530225号)。この製造方法は焼成工程の一態様として減圧下での焼成を示しているが、これは脱水効果を高めることを意図しているために真空度が低く、従って脱炭については殆ど効果がない。すなわち、この焼成方法は、減圧容器中での加熱を避け、しかも攪拌を行いながら加熱するものであるために高い真空度を保つことが難しく、実操業では0.5気圧程度の減圧下が限度であり、この程度の減圧では残留炭素を除去することができない。
【0006】
このようにゾルゲル法によって製造した合成シリカ粉末について、シリカ粉末に含まれる残留炭素を空気中で燃焼させて除去する方法が従来から知られているが、この方法によるシリカ粉末中の残留カーボン濃度は5〜100ppm程度が限界であり、残留炭素をこれより大幅に低減するのは難しい。
【0007】
【発明の解決課題】
本発明は従来の上記課題を解決したものであり、湿式法で製造した合成石英粉の残留ガス成分、特に残留炭素量および水酸基含有量を大幅に低減する処理方法を提供するものである。また、この処理方法によって得た合成石英粉、およびこの合成石英粉によって製造した気泡含有率の極めて低い石英ガラスルツボを提供するものである。
【0008】
【課題の解決手段】
すなわち、本発明は以下の構成からなる合成石英粉の製造方法に関する。
)湿式法で製造したシリカゲル粉末を、大気下で脱水酸基温度以上〜粉末焼結温度未満の温度で焼成して合成石英粉とし、この合成石英粉を、真空度100Pa以下の真空下で、脱炭温度以上および粉末焼結温度未満の温度で焼成し、真空下での焼成を真空度が5Pa以下に達した後に終了することを特徴とする合成石英粉の製造方法。
)上記()の製造方法において、大気焼成の焼成雰囲気が乾燥した大気または酸化雰囲気であり、大気焼成の焼成温度が800℃以上〜1400℃以下および焼成時間が5〜70時間である合成石英粉の製造方法。
)上記(1)または)の製造方法において、真空下での焼成の真空度が50Pa以下であり、焼成温度が600℃以上〜1400℃以下である合成石英粉の製造方法。
【0009】
また、本発明は以下の石英ガラスルツボに関する。
上記(1)〜上記(3)の何れかの方法で製造された合成石英粉を原料として、少なくともルツボ内表面の一部製造する石英ガラスルツボの製造方法
上記(1)〜上記(3)の何れかの方法で製造された合成石英粉を原料として、少なくともルツボ内表面の一部における、ルツボ内表面から層厚0.5mm以内の透明ガラス層の気泡含有率0.1%以下とする石英ガラスルツボの製造方法
【0010】
本発明の製造方法は、湿式法によって製造したシリカゲル粉末、またはこれを焼成して得た合成石英粉を、中真空より圧力の低い減圧下、すなわち100Pa以下、好ましくは50Pa以下の減圧下で、脱炭温度以上および粉末焼結温度未満、具体的には例えば600℃〜1400℃以下の温度で、粉末状体を維持して焼成することによって粉末中の残留ガス成分、特に残留炭素を低減する方法であり、本発明の方法によれば残留炭素量が2ppm未満の非晶質合成石英粉を得ることができる。
【0011】
さらに、本発明の製造方法は、大気下で粉末状体を維持して脱水酸基焼成を行った後に、上記真空下での脱炭焼成を行う方法を含む。特定の温度範囲において大気下と真空下での二段階の焼成を行うことにより、残留炭素量と共に残留水酸基量を大幅に低減した非晶質合成石英粉を製造するものであり、具体的には、残留炭素量2ppm未満であって、残留水酸基量50ppm未満の合成石英粉を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の製造方法は、湿式法で製造したシリカゲル粉末または合成石英粉を、真空度100Pa以下の真空下で、脱炭温度以上および粉末焼結温度未満の温度で焼成することを特徴とする合成石英粉の製造方法である。また、本発明の製造方法は、湿式法で製造したシリカゲル粉末を、大気下で脱水酸基温度以上〜粉末焼結温度未満の温度で焼成して合成石英粉とし、この合成石英粉を、真空度100Pa以下の真空下で、脱炭温度以上および粉末焼結温度未満の温度で焼成することを特徴とする合成石英粉の製造方法である。
【0013】
本発明において、湿式法で製造したシリカゲル粉末または合成石英粉とは、アルコキシシランの加水分解等によるゾルゲル法によって製造したシリカゲル粉末であり、このシリカゲル粉末から得た合成石英粉である。アルコキシシランの加水分解等によって生じたゲルを粉砕し乾燥することにより乾燥シリカゲル粉末が得られる。これを所定温度で焼成して脱水することにより非晶質合成石英粉を得ることができる。
【0014】
エチルシリケート等のアルコキシシランを加水分解してゲル化することにより湿潤ゲル(ウエットゲル:非晶質含水ケイ酸塩)を得る。この湿潤ゲルは細孔内にアルコールや水が多量に含まれている。この湿潤ゲルを50〜200℃程度に加熱して細孔内のアルコールや水を蒸発させて乾燥ゲルにする。通常、この乾燥シリカゲル粉末には1000ppm〜10,000ppm程度の残留炭素を含み、H2O含有量で10〜40wt%程度の水分を含んでいる。
【0015】
従来の製造方法は、この乾燥シリカゲル粉末を空気中で細孔が閉じない程度の温度(約600℃以下)で加熱して細孔内の残留炭素を燃焼させ、炭素含有量を50〜2000ppm程度に低下した後、1000〜1300℃程度に加熱焼成し、ガラス化して細孔を塞ぎ、非晶質合成シリカ粉末を得ている。
【0016】
一方、本発明の製造方法は、このような600℃以下での炭素の燃焼のみによって炭素量を低減するのではなく、中真空以下の減圧下、すなわち100Pa以下の真空下、好ましくは50Pa以下の真空下で、粉末状態を維持しながら焼成して脱炭する。この真空焼成による脱炭は、乾燥シリカゲル粉末を大気下で粉末状体を維持しながら焼成して水酸基を低減し、合成石英粉にした後に行っても良い。また、必要に応じ、大気焼成の前に予備焼成を行っても良い。本発明の製造方法は、予備焼成、大気焼成を行った後に真空焼成を行う場合を含む。以下、処理工程の順に予備焼成、大気焼成、真空焼成について説明する。
【0017】
〔予備焼成〕
アルコキシシランを加水分解して得た乾燥ゲルは、先に述べたように、1000ppm〜10,000ppm程度の残留炭素を含み、H2O含有量で10〜40wt%程度の水分を含んでいる。この乾燥シリカゲルを600℃以下の酸素を含む乾燥雰囲気下で焼成することにより、残留炭素を燃焼させ、残留水分を揮発させる。加熱手段は予め500〜600℃に加熱した電気炉内に乾燥シリカゲルを入れて加熱する。加熱時間は2〜50時間程度が適当である。また、酸素濃度が高いほど炭素の燃焼が進むので酸素濃度30vol%以上が適当であり、水分の気化が進むように乾燥雰囲気が好ましい。この予備焼成によって、H2O含有量1〜10wt%、炭素濃度50〜2000ppmに低減することができる。ただし、H2O含有量および炭素濃度を実用的な条件下でこれより低減することは難しいので、以下の大気焼成および真空焼成を行う。
【0018】
〔大気焼成〕
シリカゲル粉末を大気下で焼成することによって、水酸基および残留炭素の含有量を低減して非晶質合成石英粉にする。シリカゲル粉末を直接に真空焼成するよりも合成石英粉を真空焼成するほうが生産性が良いので、大気焼成を行うのが好ましい。大気下でのシリカゲル粉末の焼成は、脱水酸基温度以上〜粉末焼結温度未満の温度で行い、粉末状態を維持しながら焼成する。ここで、脱水酸基温度とは、シリカゲル粉末に含まれる水酸基が離脱する温度を云い、具体的には、概ね800℃以上、好ましくは1000℃以上である。また、粉末焼結温度とは粉末が溶融して塊状になる前の粉末状態を維持する温度を云う。なお、焼成した粉末が解砕できる程度の部分的な焼結を生じる温度は粉末焼結温度未満の範囲に含む。具体的には、粉末焼結温度未満は概ね1400℃以下、好ましくは1300℃以下である。焼成時間は温度によるが5〜70時間であれば良い。
【0019】
大気焼成の昇温速度は、予備焼成から大気焼成を連続的に行う場合、または予備焼成と大気焼成を独立に行う場合の何れにおいても、1〜10℃/分が好ましい。これより昇温速度が早過ぎると、粉末に含まれている炭素や水酸基が急激にガス化して粉末が飛散するので好ましくない。
【0020】
大気焼成の焼成雰囲気は大気または酸化雰囲気の何れでも良い。酸化雰囲気下で焼成する場合には、酸素濃度が高いほど炭素の燃焼が進むので好ましい。具体的には、酸素濃度30vol%以上が適当である。また、水分の気化が進むように乾燥雰囲気が好ましい。具体的には露点−30℃以下、好ましくは−50℃以下の脱湿雰囲気が適当である。
【0021】
上記大気焼成によって、シリカゲル粉末に含まれる水酸基が離脱して水酸基濃度が50〜100ppmに減少する。また、同時に含有炭素も燃焼して炭素含有量が5〜20ppmに減少する。しかし、一般に大気下での焼成ではこの水準よりも残留炭素を低減するのは難しい。そこで、本発明の製造方法では大気焼成の後に真空焼成を行うことによって残留炭素を大幅に低減する。この真空焼成によって水酸基濃度も低減する。真空焼成は大気焼成から引き続いて連続的に行ってもよく、大気焼成と真空焼成を独立に行っても良い。
【0022】
〔真空焼成〕真空下での脱炭焼成は、真空度100Pa以下の真空下で、脱炭温度以上および粉末焼結温度未満の温度で行う。脱炭温度とはシリカゲル粉末または合成石英粉から炭素がガス化して離脱する温度であり、真空度によって異なるが概ね600℃以上、好ましくは800℃以上である。また、先に述べたように粉末焼結温度は概ね1400℃以下、好ましくは1300℃以下である。焼成温度が600℃未満では残留炭素を十分に除去することができない。一方、焼成温度が1400℃を上回ると原料粉末(シリカゲル粉末ないし合成石英粉末)が互いに焼結して塊状になり、比表面積が小さくなるので脱炭が進まない。原料粉末を粉末状態のまま焼成するには1400℃以下が適当である。なお、焼成温度が1200℃以上になると原料粉末の焼結が部分的に始まるので、真空焼成処理後にこれを解砕しなければならず、コスト高となるので、好ましくは800〜1200℃の焼成温度が良い。また、焼成時間は1時間以上が適当であり、2〜24時間が好ましい。1時間未満の焼成では脱炭が不十分になる。
【0023】
焼成時は中真空より高い真空度(低い圧力の真空下)で行う。一般に、真空度はその圧力によって、低真空(大気圧〜100Pa)、中真空(100Pa〜0.1Pa)、高真空(0.1Pa〜10-5Pa)、超高真空(10-5Pa以下)に区分されるが、本発明は中真空より高い真空度、すなわち、100Pa以下の中真空、0.1Pa以下の高真空などの真空下で焼成を行う。真空圧力が100Paより大きい低真空の程度では十分な脱炭効果を得ることができない。好ましくは50Pa以下の真空度が適当である。真空度が高いほど短時間で残留炭素を低減することができる。真空手段は限定されない。
【0024】
原料粉末を100Pa以下の中真空より高い真空度で焼成することにより、原料粉末に混在ないし含有される炭素類、あるいは原料粉末の表面に吸着されている炭素類の何れもが分解し、ガス化して除去される。一般に、シリカゲル粉末ないし合成石英粉に含まれる炭素は、(イ)石英粉の内部に取り込まれているもの、(ロ)粉末表面に吸着されているもの、(ハ)粉末の間に混在するものなど種々の形態で存在する。予備焼成や大気焼成では上記(ロ)(ハ)の炭素は除去できるが、上記(イ)の炭素を十分に除去することはできない。このため、大気焼成では残留炭素を5ppm以下に低減するのは難しい。一方、真空焼成によれば上記(イ)(ロ)(ハ)の何れの炭素も除去することができ、特に石英粉の内部に取り込まれている炭素を除去することができるので、石英粉の残留炭素を2ppm未満に低減することができる。また、同時に残留水酸基もガス化して除去されるので、含有水酸基量を50ppm以下にすることができる。
【0025】
焼成時の減圧と加熱は何れを先に行っても良いが、減圧と同時または減圧開始後に加熱を行えば、所定温度に到達した時に真空度が高いため、より短時間で脱炭できるので経済的である。具体的には、例えば、加熱開始前に炉内を10Paまで減圧し、その後に加熱を開始し、室温(約25℃)から1100℃まで8時間程度の間に昇温し、引き続き1100℃の一定温度下で10時間保持した後に冷却する。なお、昇温速度が早過ぎると、粉末に含まれている炭素や水酸基が急激にガス化して粉末が飛散するので、昇温速度は処理時間との兼ね合いから概ね1〜10℃/分が好ましい。
【0026】
真空焼成の焼成時間は到達した真空度によって判定することができる。すなわち、焼成開始から暫くの間は、加熱炉内に残存する空気の膨張および原料粉末に残存する炭素や水酸基の蒸発によって炉内圧力が上昇するが、時間が経つにつれてこれらのガス成分が除去されるので圧力上昇のピークを過ぎると炉内圧力が比較的短時間に低下し、その後、徐々に圧力が低下する。具体的には、例えば、50Paの減圧下で約1000℃〜1100℃に加熱して焼成すると、最初に圧力が上昇するが短時間(約2時間程度)で10Pa程度の真空度になり、その後、徐々に圧力が低下し、約3〜7時間後に5Pa以下の真空度に達する。目的の真空度に到達した後に焼成を終了すれば良い。
【0027】
通常、5Pa以下の真空度に達した後に焼成を終了すれば、合成石英粉の残留炭素量を2ppm未満、水酸基濃度を50ppm未満に低減することができ、1.5Pa以下の真空度にすれば残留炭素量を0.5ppm以下、水酸基濃度を30ppm以下に低減することができる。従って、概ね、5Pa以下、好ましくは1.5Pa以下の真空度に達した後に焼成を終了すれば良い。
【0028】
真空焼成は大気焼成を経ない乾燥シリカゲル粉末について直接に行っても良いが、乾燥シリカゲルは嵩密度が低いために真空加熱炉への充填量が少なく生産性が低い。従って、乾燥シリカゲルを用いるよりも大気焼成を行って嵩密度の高い合成石英粉末としたほうが真空加熱炉への充填量が多くなるので生産性が向上する。また、大気焼成を経由すれば水酸基の除去効率も良い。
【0029】
以上のように本発明の方法は原料粉を真空下で焼成することによって原料粉に含まれる残留炭素をガス化して除去する方法であり、従来のように残留炭素を酸素雰囲気下で600℃以下の温度で燃焼させることによって除去するものではない。すなわち、本発明の方法は原料粉を真空度100Pa以下、好ましくは50Pa以下の真空下で600〜1400℃で粉末状態を維持したまま加熱することにより、乾燥シリカゲル粉末ないし非晶質合成石英粉の原料粉から残留炭素をガス化して除去する。従って、酸素雰囲気下で残留炭素を燃焼させるものとは異なる。なお、原料粉が焼結すると残留炭素が脱気され難いので粉末状態を維持したまま焼成する。この真空焼成によって残留炭素と共に残留水酸基も大部分がガス化して除去される。
【0030】
本発明の製造方法によれば、炭素含有量2ppm未満および水酸基含有量50ppm未満の非晶質合成石英粉を得ることができる。因みに、残留炭素量が多い合成石英粉を石英ルツボの原料として用いると、石英粉の加熱溶融時に残留炭素が高温下で分解し、ガス化して気泡を生じるので気泡の多い製品になる。シリコン単結晶の引き上げに用いる石英ガラスルツボにこのような気泡が存在すると、使用時に高温下で気泡が膨張し、ついには弾けて凹部を生じ、単結晶の成長を阻害するようになる。
【0031】
一方、本発明の合成石英粉の炭素含有量は2ppm未満および水酸基量は50ppm未満であり、従来の合成石英粉より格段に炭素量および水酸基量が少ないので、この合成石英粉を原料に用いることにより気泡の少ない石英ガラスルツボを得ることができる。具体的には、例えば、ルツボの外表面層を天然石英粉によって形成する一方、本発明の合成石英粉をルツボの内表面層の原料粉として用いることにより、内表面層の炭素含有量が2ppm未満の石英ガラスルツボを得ることができる。また、これによりルツボ内表面から層厚0.5mm以内の透明ガラス層の気泡含有率が0.1%以下である石英ガラスルツボを得ることができる。因みに、従来の合成石英粉を原料とした石英ガラスルツボの内表面層の気泡含有率は0.2〜0.3%程度であり、本発明によればこの気泡含有率を約1/2以下に低減することができる。
【0032】
なお、本発明の合成石英粉を用いて石英ガラスルツボを製造する場合には、この合成石英粉の平均粒径を予め石英ガラスルツボの製造に適した粒径にすると良い。例えば、乾燥シリカゲル粉末については50〜1000μm、好ましくは100〜600μm、非晶質合成石英粉については75〜700μm、好ましくは100〜500μmが適当である。この粒径範囲のものは中真空以上の真空下で加熱処理した際に脱炭反応が進みやすく、石英ガラスルツボに適した粒径の非晶質合成石英粉が得られる。
【0033】
一般に、合成石英粉を原料として製造した石英ガラスルツボは天然石英粉を原料として製造したものよりも気泡が多い。これは天然石英粉に比べて合成石英粉には多くのガス成分(OH基、カーボン)が含まれているためである。このガス成分が気泡の発生源となるが、気泡にはルツボ使用時に膨張するものと、あまり膨張せずに消滅するものとがある。この膨張性気泡の成分は主にCOやCO2であり、あまり膨張しない気泡の主成分は水分(H2O)である。従って、石英ガラスルツボの原料粉に含まれるカーボン量はルツボの品質に大きな影響を及ぼす。
【0034】
本発明の方法によれば、以上のように乾燥シリカゲル粉末および非晶質合成石英粉についてその残留カーボン量を大幅に低減することができるので、これを原料粉として用いることにより、格段に気泡の少ない石英ガラスルツボを得ることができる。また、石英ガラスルツボに限らず、合成石英粉を原料として製造される他の石英ガラス製品についても気泡および炭素含有量の少ない製品を得ることができる。
【0035】
【実施例1】
本発明を実施例によって具体的に示す。
実施例1および比較例1
アルコキシシランの加水分解により得た非晶質合成石英粉を表1に示す条件下で真空焼成した。なお、焼成の進行に伴って発生したガスによって容器内部の圧力が上昇するので、内部を適宜脱気して設定の真空度を保って焼成した。この真空焼成処理による残留炭素量を表1に示した。また、この焼成処理した合成石英粉を原料の一部に用いて石英ガラスルツボを製造した。すなわち、回転モールド法に従い、外側部分に天然石英粉を用いる一方、内側部分に表1に示す合成石英粉を用い、内表面から2〜3mmの層厚(内表面層)を合成石英層とし、その外側(外表面層)を天然石英層(層厚10〜12mm)とした石英ガラスルツボ(口径24インチ)を製造した。この石英ガラスルツボについて、内表面から0.5mm厚までの部分の気泡含有率および炭素濃度を測定した。また、これらのルツボを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った。この結果(5個の平均値)を表1にまとめて示した。
【0036】
【表1】
Figure 0004898014
【0037】
表1に示すように、本発明の焼成処理を施した合成石英粉末(実施例:No.A1〜No.A4)は残留炭素量が格段に少ない。従って、石英ガラスルツボの気泡含有率も小さく、優れた単結晶化率を達成している。なお、これらの試料No.A1〜No.A4は合成石英粉をガラスルツボに入れて蓋をし、これを真空加熱炉に装入して焼成処理したところ、焼成後に蓋の裏面全体にカーボンが付着しており、少なくともこの付着量に相当する炭素が原料の石英粉から離脱(脱炭)されたことが視覚的にも確認された。一方、本発明の焼成処理を外れた比較例(No.B1〜No.B3)ではこのような蓋の裏側に付着したカーボンは観察されず、処理後の石英粉を分析したところ残留カーボン量が多いものであった。このため、この石英粉を用いて製造した石英ガラスルツボの気泡含有率は本発明の2〜5倍に達し、単結晶化率は約1/2と低かった。また比較例No.B4は原料粉末が塊状に焼結し、石英ルツボを製造することができなかった。
【0038】
実施例2および比較例2
アルコキシシランの加水分解によって製造したシリカゲル粉末(残留炭素量:9340ppm、H2O含有量40wt%)100kgを表2に示す条件下で焼成処理して非晶質合成石英粉を得た。なお、本例の真空焼成は所定の真空度を保って焼成した実施例1の場合とは異なり、50Pa以下の真空下で焼成し、焼成により発生したガスを常時脱気しながら焼成を進め、目標の真空度に到達した後に焼成を終了した。この焼成処理の結果を到達真空度と共に表2に示した。さらに、この焼成処理した合成石英粉を原料の一部に用い、実施例1と同様にして石英ガラスルツボを製造した。この石英ルツボについて内表面から0.5mm厚さまでの部分の気泡含有率および炭素濃度を表2に示した。また、シリコン単結晶引き上げに使用した後の気泡含有率を表2に示した。
【0039】
本発明の処理方法に係る合成石英粉(No.A21〜No.A27)は何れも真空焼成後の残留炭素量が2ppm未満、残留水酸基量が50ppm未満であり、大幅に少ない。また、製造した石英ルツボの気泡含有量も格段に少ない。一方、比較試料No.B21は大気焼成の温度が高すぎるため、シリカゲル粉末の大部分が焼結し、目的の合成石英粉を得ることができなかった。また、比較試料No.B22は真空焼成の温度が高過ぎるために大部分の粉末が焼結した。比較試料No.B23は真空焼成の温度が低過ぎるために真空焼成における脱炭および脱水が殆ど進行せず、残留炭素量および残留水酸基量は大気焼成時と変わらない。比較試料No.B24は大気焼成の温度が低いため、引き続き真空焼成する際に昇温速度が大きく、ガスが急激に発生して原料粉末が飛散した。比較試料No.B25およびNo.B26は何れも到達真空度が低く、焼成後の残留炭素量および残留水酸基量が格段に多い。このため製造した石英ルツボの気泡含有率が高く、比較試料No.B26は大量に気泡が発生して実用に適さなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、湿式法によって製造した合成石英粉末を、真空下で焼成処理することによって残留炭素量を低減したものであり、また、好ましくは、大気焼成の後に真空焼成することによって残留炭素と共に残留水酸基を低減したものであり、本発明の処理方法に係る合成石英粉末を原料とした石英ガラスルツボは気泡含有率が低く、優れた単結晶化率を達成することができる。
【0041】
【表2】
Figure 0004898014

Claims (5)

  1. 湿式法で製造したシリカゲル粉末を、大気下で脱水酸基温度以上〜粉末焼結温度未満の温度で焼成して合成石英粉とし、この合成石英粉を、真空度100Pa以下の真空下で、脱炭温度以上および粉末焼結温度未満の温度で焼成し、真空下での焼成を真空度が5Pa以下に達した後に終了することを特徴とする合成石英粉の製造方法。
  2. 請求項の製造方法において、大気焼成の焼成雰囲気が乾燥した大気または酸化雰囲気、大気焼成の焼成温度が800℃以上〜1400℃以下および焼成時間が5〜70時間である合成石英粉の製造方法。
  3. 請求項1または2の製造方法において、真空下での焼成の真空度が50Pa以下であり、焼成温度が600℃以上〜1400℃以下である合成石英粉の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかの方法で製造された合成石英粉を原料として、少なくともルツボ内表面の一部製造する石英ガラスルツボの製造方法
  5. 請求項1〜3の何れかの方法で製造された合成石英粉を原料として、少なくともルツボ内表面の一部における、ルツボ内表面から層厚0.5mm以内の透明ガラス層の気泡含有率0.1%以下とする石英ガラスルツボの製造方法
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