JP4896494B2 - 培養組織のための包装体及び培養組織包装体 - Google Patents

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Description

本発明は、培養組織のための包装体及び培養組織包装体に関する。
近年、細胞をインビトロ(生体外)培養することによって培養組織が得られている。このような培養組織は、患者の創傷部位を補填するための移植用組織や、薬剤や化粧品の効能を調べるための試験用組織として利用され得る。とくに、移植用組織として、患者本人やドナーの体組織の一部を採取し、シート状に培養する『培養細胞シート』の作製技術に関しては、実用化の段階に至っている。例えば、皮膚の場合、母斑、潰瘍、熱傷、刺青等の治療や、移植用皮膚を採取した採皮創への適用等に、培養上皮(表皮)細胞シートの移植が試みられている。また、スキャフォールド(Scaffold)と呼ばれる三次元足場材料に細胞を播種・培養することによって得られる三次元培養組織の移植も試みられている。これらの培養組織は、適用する移植面に対して方向性(表裏)を有している場合があり、この方向性を間違えて移植面に適用すると、所望する性能が発揮できない場合がある。
従来、このような培養組織は、移植用または試験用としての使用が予定されている施設内で作製されていたが、培養組織製品の産業化にあたっては施設外の専門施設で作製した培養組織を利用する機会が増加する。したがって、専門施設で作製された培養組織を適切に包装して安定的に輸送する方法が、種々案出されている。
例えば、基質シートにクリップ止めした培養細胞シートをトレイの窪み部の底面上に載せ、このトレイの窪み部に液体培地を入れたあとシート状のリッドによってトレイを密封したものが開示されている(特許文献1)。また、培養細胞シートを保護具で挟持した状態で液体培地に浸漬し、トレイとシート状のリッドで密封したものが開示されている(特許文献2)。さらに、特許文献3には、脆弱な培養細胞シートを支持する支持体に懸架させた状態で液体培地に、トレイとシート状のリッドで密封したものが開示されている(特許文献3)。さらにまた、培養細胞シートの周縁に揺動防止手段を設け、輸送中の振動による揺動を抑制することが可能な包装体も開示されている(特許文献4)。
特許第2733800号 特開2002−335950号 特開2003−070460号 国際公開WO2005/037986号
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示された包装体では、培養細胞シートを内包したシートがトレイ底面などの平坦部に載置されているだけであって輸送中の上下及び水平振動に対してはなんら対策がなされていない。また、特許文献4のように、培養細胞シートの周縁に揺動防止手段を備える場合には、揺動に対しては一定の効果があるが、意図しない輸送中の振動には培養細胞シートがリッドやトレイに衝突してダメージを受ける可能性を否定できない。
さらに、培養細胞シートなどの培養組織は、生きた細胞で再構築された組織であるとともに、医療用途や研究用途のために所定の生理活性を維持した状態で搬送する必要がある。したがって、培養組織は、従来こうした包装体で包装されて搬送される製品としてはかつて存在しないようなデリケートな輸送条件が要求される。すなわち、輸送中のダメージによってこれらの培養組織の性能が低下する可能性を否定できない。また、輸送中に培養組織の方向性(移植面に適用する面)が変化しないように配慮することも重要である。
そこで、本発明は、搬送中に受ける可能性のあるダメージから培養組織を保護することのできる培養組織のための包装体及び培養組織の包装体を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、搬送中に生じる可能性のある振動や衝撃によるストレスが培養組織に容易に加わらない培養組織のための包装体及び培養組織の包装体を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく検討したところ、培養組織をキャリアに内包し、キャリアの周縁領域を選択的に支持すること、より好ましくはキャリアに培養組織を直接内包していないマージン領域を備えるようにしてこのマージン領域を用いて包装体内に固定しキャリアを所定領域に収容することで、搬送によって生じうる培養組織に対する負荷を低減して、搬送において予測されるダメージを回避又は抑制できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明の一つの形態によれば、培養組織を包装するための包装体であって、
前記包装体内に収容される前記培養組織を内包するキャリアの周縁領域の少なくとも一部を前記包装体内に固定して前記キャリアを前記包装体内の所定領域に保持可能とする固定手段、を備える、包装体が提供される。
この形態において、前記周縁領域は、前記キャリアの前記培養組織を内包する領域の外側のマージン領域であることが好ましい。また、前記固定手段は、前記キャリアの前記培養組織を内包する領域が前記包装体の底面及び/又は前記包装体の天井面から離間された状態で前記キャリアを固定する手段、前記キャリアの周縁領域の対向する部位を固定する手段、前記固定手段は、前記キャリアの周縁領域の少なくとも一部を係止する手段、前記キャリアの周縁領域の少なくとも一部を挟持又は押圧する手段などとすることができる。なお、前記培養組織は培養細胞シート又は細胞培養塊とすることができる。
また、前記キャリアを収容する空間を形成するトレイとリッドとを備えることができる。この態様においては、前記固定手段は、前記トレイに前記リッドをセットしたとき、前記キャリアの周縁領域の少なくとも一部を前記包装体内に固定する手段、前記トレイ又は前記リッドから分離可能に備えられる手段などとすることができる。
この態様においては、前記トレイ及び前記リッドは、前記トレイ及び前記リッドにおいて、前記固定手段は、前記トレイ底面からリッド側を指向して設けられたトレイ側凸状部と、前記リッド下面から前記トレイ側を指向して設けられたリッド側凸状部と、を有し、前記トレイ側凸状部と前記リッド側凸状部とが対向して前記キャリアを挟持して固定することが好ましい。また、前記トレイ及び前記リッドは、方形状のキャリアを収容可能な空間を規定する方形状の外形形態を備えており、前記トレイの前記キャリアを収容する空間のコーナー部において前記トレイ側凸状部と前記リッド側凸状部とが対向して前記キャリアのコーナー部を挟持して固定することができる。さらに、前記トレイ及び前記リッドにおいて、前記トレイ側凸状部は、前記トレイの対向する一対の側壁のそれぞれに沿って一対が設けられており、前記リッド側凸状部は、前記トレイの他の一対の側壁のそれぞれに沿うように一対が設けられていることが好ましい。
また、前記包装体には、前記包装体内の前記キャリアを収容する空間と連通するとともに前記空間の周囲に配置され、前記空間よりも高い位置に到達するキャビティを有する一又は二以上のガス貯留部を備えることができる。この態様においては、前記包装体は、前記キャリアを収容する空間を形成するトレイとリッドとを備え、前記ガス貯留部は、前記トレイと前記リッドによる前記空間の形成に伴って前記包装体内に形成されるものであってもよい。また、前記包装体には、液体によって前記空間に封入されたガス泡を前記ガス貯留部にまでガイド可能なガス通路を備えることができる。さらに、少なくとも一つの前記ガス貯留部を、前記キャリアが収容される空間の外周に備えることができ、さらに、少なくとも一つの前記ガス貯留部を、前記包装体の上方を指向して外部から把持可能な外形形態を有して備えることができる。
また、前記包装体には、前記包装体内における前記キャリアの揺動を抑制可能に前記キャリアの周縁近傍に備えられる一又は二以上の揺動抑制手段を備えることができる。さらに、前記包装体には、前記包装体における前記キャリアの浮上を抑制可能に前記キャリアの周縁領域の上面近傍に備えられる一又は二以上の浮上抑制手段を備えることができる。
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかの包装体と、当該包装体に収容された培養組織と、を備える、培養組織が包装された培養組織包装体が提供される。
本発明は、培養組織のための包装体及び当該包装体を利用した培養組織包装体に関しており、本発明の培養組織のための包装体は、前記包装体内に収容される前記培養組織を内包するキャリアの周縁領域の少なくとも一部を前記包装体内に固定して前記キャリアを前記包装体内の所定領域に保持可能とする固定手段、を備えることを特徴としている。
本発明の包装体によれば、培養組織はキャリアに内包され、キャリアの周縁領域が包装体内に固定されて包装体内に保持されるようになっている。本発明の包装体の使用例を概念的に図1に示す。図1(a)及び図1(b)に示すように、キャリアはその周縁領域が包装体内に固定されて保持されているため、搬送等における包装体の振動がキャリアに内包される培養組織に伝わることが抑制される。また、包装体に強い力が加わったとしても、その力は固定部位に集中し、固定部位に支持されたキャリアには伝わりにくい。
特に、包装体内に固定されるキャリアの周縁領域が、キャリアに内包される培養組織との関係において培養組織を内包していないマージン領域である場合には、包装体への固定によってかかる培養組織への負荷も回避され、振動や応力(ストレス)による培養組織への影響もさらに軽減されるため、結果として、輸送中の振動や衝撃を一層受けにくくなっている。以上のように、本発明の包装体によれば、培養組織を包装して搬送等するのにあたって、包装体に負荷される振動や衝撃など外力を受けにくくして培養組織へのダメージを抑制することができる。
また、図1(b)に示すように、本発明の包装体によれば、培養組織がシート形状(平膜形状)であっても、三次元形状であっても、同様に搬送中の振動や衝撃の影響を抑制して包装することができる。また、このような支持形態によれば、培養組織の包装体内での転倒や回転を抑制して、移植面などの方向性を維持して搬送することができる。
なお、本明細書において「培養組織」とは、既に述べているように、培養細胞シートなどの平膜形状の培養組織だけでなく、半球状、柱状、管状、体組織類似形状等の三次元形状の培養組織を包含している。すなわち、培養組織としては、(1)細胞増殖の足場となるスキャフォールドを使用することなく細胞単体で培養することによって再構築された単層または複数層(重層化)のシート状培養組織、(2)シート状または平膜形状のスキャフォールドに細胞を播種または包埋する(播種後、培養したものも含む)ことによって得られる平膜状培養組織、及び(3)三次元形状のスキャフォールドに細胞を播種または包埋する(播種後、培養したものも含む)ことによって得られる三次元培養組織等が挙げられる。前記(1)の例としては、表皮細胞や角膜上皮細胞を培養容器底面に播種し、培養することによって作製される培養細胞シートなどが挙げられる。また、培養容器内で培養したシート状培養組織を酵素や温度感応性ポリマーを利用してシート形状のまま剥離し、複数のシート状培養組織を積層することによって得られる積層型培養細胞シートも含まれる。前記(2)の例としては、コラーゲンスポンジに線維芽細胞を播種した培養真皮シートやフィブリンゲル上に角膜上皮細胞を播種した培養角膜上皮シートなどが挙げられる。また、フィブリンゲルに線維芽細胞を包埋した真皮層上に表皮細胞を播種した複合型培養皮膚も含まれる。前記(3)の例としては、コラーゲンゲルに軟骨細胞を包埋した後、培養して得られる培養軟骨が挙げられる。また、リン酸三カルシウムのスキャフォールドに骨芽細胞を播種した培養骨なども含まれる。これらの培養組織は、生細胞を含んだ状態で本発明を適用した方が効果的であるが、凍結されたものや凍結乾燥されたものであってもよい。
ここで「シート状」とは、培養組織の厚さ(高さ)に対して、縦・横の寸法が著しく大きい形状のものをいい、その形状については特に限定されず、矩形状、円形状、多角形状などの種々のものが含まれる。また、「スキャフォールド」は、ゲル状、スポンジ状、フィルム状、メッシュ状、不織布状、編織布状など、種々の状態のものが含まれ、接着や包埋などによってスキャフォールドに細胞が保持されている限り、いずれの形態であってもよい。なお、スキャフォールドの材料は生体親和性材料であることが好ましく、例えば、上述したコラーゲン、フィブリン以外にも、ヒアルロン酸、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸グリコール重合体(PLGA)、ポリロタキサンなど、周知の材質のものが含まれる。また、これらの材料を複数組み合わせたものであっても良い。
なお、培養組織は、単一の細胞種によって構成されるものだけでなく、複数の細胞種によって構成される複合型のものであってもよい。また、培養組織を構成する細胞は、使用目的に応じた種々の細胞が選択的に使用される。細胞種としては、例えば、上皮(表皮)細胞、線維芽細胞、骨細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、筋芽細胞、心筋細胞、肝細胞、膵島細胞、神経細胞又はこれらの前駆細胞、並びに間葉系幹細胞(MSC)や胚性幹細胞(ESC)などが挙げられ、それらの採取先も、皮膚由来、角膜由来、口腔由来、骨髄由来など、目的に応じた特性を有していれば、いずれのものであってもよい。かかる培養組織は、具体的には、培養皮膚(表皮細胞と線維芽細胞による複合体)、培養表皮、培養真皮、培養粘膜上皮、培養角膜上皮、培養軟骨等である。このような培養組織は、熱傷、創傷、褥瘡、母斑、化学傷、レーザーアブレーションの欠損創面、軟骨欠損部等の種々の病変に適用され、あるいは細胞に対する刺激性や化合物の毒性などの試験研究用に適用される。
また、本明細書において「キャリア」とは、培養組織を内包することができるものであれば特に限定されない。例えば、キャリアは、培養組織を挟持又は被包可能な形態を有することができる。また、キャリアは、生物学的安全性が良好な材料を用い、構造的あるいは材料的に吸湿性や水分透過性を有するように形成されていることが好ましい。
キャリアの外形形状あるいは構造としては、シート状、フィルム状、編織布状、不織布状、スポンジ状等の各種形態を挙げることができる。また、このようなキャリアの材料としては、コラーゲン、フィブリン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン等の生体高分子材料の他、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリN−ビニルピロリドンの各種ポリマーあるいはこれらの2種以上のポリマーブレンドなどを挙げることができる。このようなキャリアとしては、具体的には、ベスキチン(登録商標)などの生体成分被覆材、ソーブサン(登録商標)などのアルギニン酸塩被覆材、デュオアクティブ(登録商標)などのハイドロコロイドドレッシング、バイオクルーシブ(登録商標)などのポリウレタンフィルムドレッシング、滅菌ガーゼ、滅菌和紙、滅菌不織布、柔軟性のある高分子材料(例えばシリコーンゴム)、寒天培地等をシート状にしたもの、などが挙げられる。さらに、特開2002−335950号に挙げられるような物理特性の高い種々の挟持部材や特開2003−70460号に挙げられるような裏打ち材も含まれる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、シート状の培養組織である培養細胞シートを搬送等するのに適した包装体2について説明する。図2には、本実施形態の包装体2のトレイ10とリッド30との分解斜視図を示し、図3には、トレイ10の平面図とその断面図とを示し、図4には、リッド30の平面図及びその断面図とを示し、図5には、トレイ10にリッド30をセットして包装体2を構成した状態を示し、図6には、培養細胞シート100をキャリア50で被包する操作等について示し、図7には、キャリア50を包装体2に収容して培養組織包装体120を得る工程を示し、図8には、培養組織包装体120の平面図とその断面図とを示す。
包装体2は、トレイ10とリッド30とを備えている。トレイ10及びリッド30とは組み合わされてキャリア50を収容する包装用空間4を構成する。この包装用空間4では、培養細胞シートが液体に浸漬されてあるいは浸漬されないで収容されるようになっている。トレイ及びリッドの材質は、充填される液体や収容される培養細胞シートに対して不活性かつ液密性なものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)等の合成樹脂、ヒドロキシアパタイトセラミックス、アルミナセラミックス、ガラスなどの無機材料、ステンレス、スティール、アルミなどの金属材料等を用いることができる。また、トレイとリッドとは、培養ディッシュや培養プレートのように通気した状態で係合していてもよいが、密封されていることが好ましい。密封方法としては、接着、螺合、嵌合、溶着など、種々の周知方法で行うことができる。また、リッドはトレイの開口を閉じることができればよいが、複数回開閉可能に構成することもできる。また、一端を基部として回動により開閉可能とすることもできる。
図2及び図3に示すように、トレイ10は、中央に長方形状の底面12aを有する凹状部12と、凹状部12の上端に沿って外側に張り出すリム14を備えている。凹状部12の一部は、リッド30がセットされたとき、包装体2に収容する培養細胞シート100を内包させたキャリア50を収容する包装用空間4を形成するように構成されている。以下、凹状部12において包装用空間4に対応する領域を、キャリア50を収容する収容領域16として説明するものとする。
トレイ10においては、この収容領域16は、凹状部12の中央よりに形成されており、その輪郭は、トレイ10の短辺に沿う一対の側壁13a、13bから凹状部12の内側に互いに張り出す複数個の側壁凸状部18と、トレイ10の長辺に沿う一対の側壁13cから凹状部12の内側に互いに張り出す複数個の側壁凸状部19、20とによって規定されている。
側壁凸状部18は、対向する側壁13a、13bのそれぞれに3個ずつ合計6個形成されている。個々の側壁凸状部18は、トレイ10の底面12aから側壁13a、13bのおおよそ上端までの高さにわたって形成されている。また、側壁凸状部19は、対向する側壁13cの両端側にそれぞれ2個ずつ合計4個形成されている。これらの側壁凸状部19も、トレイ10の底面12aから側壁13cのおおよそ上端までの高さにわたって形成されている。さらに、側壁凸状部20は、対向する側壁13cのそれぞれに1個ずつ合計2個形成されている。これらの側壁凸状部20も、トレイ10の底面12aから側壁13cのおおよそ上端までの高さにわたって形成されている。
これらの側壁凸状部18、19、20がそれぞれ互いに対向する先端面18a,19a、20aは、包装用空間4が形成されたとき、キャリア50に当接するかあるいは所定距離(例えば、1〜3mm程度)隔離するように形成されており、こうした先端面18a、19a、20aを連絡する輪郭の内側がキャリア50の収容領域16となっている。
また、トレイ10の底面12aには、側壁13a、13bの近傍にそれぞれ側壁13a、13bに沿って二条の底面凸状部24、26を備えている。二条の底面凸状部24、26は、トレイ10の底面12aが上方に盛り上がるような形態で形成されている。
図2及び図4に示すように、リッド30は、トレイ10の凹状部12の形態に対応するように、下方に突出する下面32bを有する凹状部32を有し、さらに、この凹状部32の上端縁に沿って外側に張り出すリム34を備えている。凹状部32は、下方に凸状の下面32bが収容領域16の凹状形態にほぼ沿うように重ねられ、リム34がトレイ10のリム14の表面に重ねられることにより、凹状部12に所定厚みの包装用空間4を形成して包装体2を構成することができるようになっている。
図2及び図4に示すように、リッド30の短辺に沿う側壁33aは、凹状部12の側壁13aとこれに連設される側壁凸状部18との凹凸形状におおよそ係合する凹凸を有する縦壁状に形成されている。他方の側壁33bは、トレイ10の短辺に沿う側壁13bのとこれに連設される側壁凸状部18との凹凸形状におおよそ係合するとともに、中央の側壁凸状部18に対しては、その凸状には追従せず、大きく凹状部32の内側に張り出す凸状部40を備えている。この凸状部40は、側壁13bの高さに亘る高さを有し、手で把持可能な程度の大きさを備えている。
図4及び図5に示すように、リッド30の凹状部32の長辺に沿う一対の側壁33cは、それぞれ平坦な縦壁状に形成されており、リッド30がトレイ10にセットされるときには、対応するトレイ10の側壁凸状部19、20の先端面19a、20aによって規定される輪郭に沿ってそのすぐ内側に配置されるように形成されている。
また、図2及び図4に示すように、リッド30の凹状部32の底面32aには、側壁33cに沿うとともにトレイ10の底面12aを指向して突出するような二条の凹状部42、46が形成されている。凹状部42、46は、それぞれおおよそ側壁33cの長さに渡って形成され、それぞれの端部近傍には、トレイ10の底面12aを指向してさらに突出するように深い凹部43a、44a、47a、48aが形成されている。すなわち、図5に示すように、合計4個の凹部43a、44a、47a、48aの裏面側の凸部43b、44b、47b、48bは、リッド30がトレイ10にセットされたとき、リッド30の下面32bから包装用空間4に突出し、包装用空間4のコーナー部においてトレイ10の底面凸状部24、26の両端部と対向してその頂面とともにキャリア50を挟持することができるようになっている。
次に、こうしたトレイ10とリッド30とを備える包装体2で、培養細胞シート100を内容したキャリア50を収容する工程について図6及び図7を参照して説明する。本実施形態のキャリア50は、不織布のシート状体である。このキャリア50に培養細胞シート100を内包させるには、図6に示すように、広げたキャリア50の中央部分に培養細胞シート100の移植面が接触するように載置し、培養細胞シート100の左右に開いたキャリア50を、培養細胞シート100上に折り畳む。こうして得られる培養細胞シート100を内包したキャリア50は、培養細胞シート100を被包する内包領域52を折り畳まれたキャリア50の中央部分に有するとともに、折り畳まれたキャリア50の対向する所定幅の周縁領域をマージン領域56として有している。また、折り畳まれたキャリア50の4つのコーナー部はいずれもマージン領域56に位置されるようになっている。
まず、この培養細胞シート100を内包したキャリア50を、トレイ10の収容領域16に収容する。このとき、キャリア50は、トレイ10の底面凸状部24、26にそのマージン領域56が載置されるように収容される。収容領域16は、折り畳まれたキャリア50の大きさに対応して形成されているため、キャリア50の四辺は、収容領域16を規定する側壁凸状部18、19、20先端面18a、19a、20aに接触するかあるいはその近傍に位置した状態で収容され、キャリア50の4つのコーナー部は、それぞれ収容領域16のコーナー部に収容される。キャリア50を収容した後は、トレイ10に搬送に適した所定量の液体を充填する。
次に、図7(a)に示すように、トレイ10にリッド30をセットする。すなわち、トレイ10の凹状部12に対してリッド30の凹状部32を重ね、トレイ10のリム14にリッド30のリム34を重ねる。こうすることで、図7(b)に示すように、トレイ10の凹状部12とそれに対向されるリッド30の下面32bとによって、キャリア50を収容する包装用空間4が形成され、この空間4において、液体に浸漬された状態でキャリア50が保持された培養細胞シートの包装体120を得ることができる。
トレイ10に対してリッド30をセットした後は、包装体120を必要に応じて熱融着等により密封する。なお、密封等は従来公知の方法で行うことができる。また、包装体120の開封も同様である。
次に、こうして得られた培養細胞シート包装体120について、図8等を参照しながら説明する。図8に示すように、この包装体120においては、収容領域16の4つのコーナー部、すなわち、キャリア50の4つのコーナー部が、トレイ10の底面凸状部24、26の両端部とリッド30の下面32bの4隅の凸部43b、44b、47b、48bとが対向することによって挟持され、包装体120に固定されている。具体的には、底面凸状部24の両端に、凸部43b、47bが対向し、底面凸状部26の両端に凸部44b、48bが対向してキャリア50の4つのコーナー部が挟持されている。
このように、包装体120においては、キャリア50のコーナー部がトレイ10とリッド30とによって固定されており、これにより、キャリア50は包装体2内の包装用空間4に保持されることになる。キャリア50は、周縁領域であるコーナー部が挟持固定されているため、培養細胞シート100に対して挟持固定そのものによる負担は抑制されており、包装体120に振動や衝撃が加わって、挟持固定部位に力が加わったとしても、培養細胞シート100への負荷を抑制することができる。特に、包装体120においては、キャリア50のマージン領域56のみが挟持固定され内包領域はトレイ10にもリッド30にも支持されていない。このため、挟持固定部位に力が集中して加わったとしても、それによる培養細胞シート100への負荷の発生が回避されている。
また、包装体120においては、キャリア50の内包領域52は、トレイ10の底面12a及びリッド30の下面32bから離間されて自由な状態で保持されており、包装体120に対してキャリア50が上下動しにくい状態で固定されている。このため、通常の保持状態にあっては、キャリア50の内包領域52は、トレイ10の底面12aやリッド30の下面32bによって干渉されることが回避され、包装体120に振動等が加わったときにおいても、直ちに底面12aや下面32bに衝突することが回避されるようになっている。さらに、包装体120においては、キャリア50の固定部位がマージン領域56にあるので、包装体120に振動や衝撃が加わっても、こうした振動等が培養細胞シート100に伝達されにくく、しかも包装用空間4に充填された液体による衝撃緩衝作用が有効に作用し、培養細胞シート100への負荷が抑制されている。
さらにまた、包装体120においては、キャリア50のコーナー部のみが、すなわち、キャリア50のマージン領域56において部分的にしかも点状に固定されている。こうした固定形態によれば、キャリア50の周縁領域を一定距離連続して線状に固定するよりも、キャリア50やキャリア50に内包される培養細胞シート100への衝撃の伝達を効果的に抑制することができるようになっている。また、こうした固定形態によれば、キャリア50の上下及びその周辺に空間が確保されることになる。こうした空間が後述するガスを貯留可能なキャビティ106、108に連通されることで、包装用空間4内のキャリア50の上下面になんらかの事情により空気などの気泡が入ったりしたときでも、こうした空間が気泡をキャビティ106に移動させるための通路となり、キャリア50の上下面から気泡を包装体120の内壁近傍のキャビティ106やリッド30側のキャビティ108に逃がしやすくなっている。さらに、包装体120における固定形態は、キャリア50において左右対称又は点対称的に支持されているといえるため、包装体120に対して加わった振動や衝撃によって、培養細胞シート100の一部にのみ負荷が発生することも回避されている。
包装体120においては、キャリア50のマージン領域56は、トレイ10の底面凸状部24、26上に載置された状態となっており、これら底面凸状部24、26によって下方から支持された状態となっている。このため、キャリア50は安定しトレイ10の底面12aから離間した状態で保持されている。
また、包装体120においては、リッド30の凹状部42、46の下面42b、46bは、それぞれキャリア50の両長辺に沿ってキャリア50表面に当接することなく所定距離上方に隔離して位置されており、キャリア50の浮上を抑制することができるようになっている。好ましくは、下面42b、46bの部分に相当するキャリア50の領域は、マージン部分56であることが望ましい。こうすれば、包装用空間4に突出される下面42b、46bは、包装体120に振動や衝撃が負荷されて変形したときでも培養細胞シート100を押圧することなく、培養細胞シート100へのストレスの負担を回避することができる。
さらに、包装体120においては、キャリア50のコーナー部の固定に加え、複数個の側壁凸状部18、19、20が、キャリア50の四辺に沿って備えられているため、包装体120に振動や衝撃が生じた場合におけるキャリア50の揺動(主として包装体120の平面方向の揺動)が効果的に抑制されている。
また、包装体120においては、キャリア50の包装用空間4以外の部分において、包装用空間4と連通するキャビティ106、108が形成されている。キャビティ106は、いずれも包装用空間4、すなわち、キャリア50の外周に沿ってトレイ10の側壁13cとリッド30の側壁33cとによって形成されており、キャビティ108は、トレイ10の側壁13bとリッド30の凸状部40とによってキャリア50の上方の一部に形成されている。また、キャビティ106は、キャリア50を収容したトレイ10に対してリッド30をセットして包装体120内に包装用空間4を形成すると同時に包装用空間4の外周側に形成されるようになっている。また、キャビティ108も、キャリア50を収容したトレイ10に対してリッド30をセットすることで包装用空間4の上方に形成されるようになっている。
これらのキャビティ106、108は、おおよそトレイ10の側壁高さにまで到達され、いずれも包装用空間4よりも高い位置まで到達する空間として形成されている。このため、このキャビティ106、108は、包装体120のセット時に、リッド30の凹状部32の下面32bが液面下に位置するようにセットすることで、包装体120内に噛みこんだ空気などのガスを貯留するガス貯留部として機能することができる。包装用空間4からガスを排除してキャビティ106、108に貯留させることで、ガスとキャリア50との接触を回避して、培養細胞シート100へのダメージなどを回避することができる。特に、包装体120においては、キャビティ106,108はトレイ10へのリッド30へのセットと同時に形成されるため、キャリア50の包装体120へ包装時に噛み込むガスをキャビティ106、108に効果的に逃がすことができる。また、既に説明したように、キャリア50の上下や周囲にこれらのキャビティ106、108と連通する空間を備えるときには、こうした空間が、液体によって包装用空間4に封入されてしまったガス泡をキャビティ106、108に移動させる通路として機能して、こうしたガス泡を効果的に包装用空間4から除去することができる。
包装体120においては、キャリア50の周縁領域が部分的にのみ挟持固定されているので、キャリア50の上下面からガスが抜けやすくなっており、キャリア50の上下面から逃げてきたガスは、これらのキャビティに直ちに捕集され貯留される。また、ガス泡が包装用空間4に存在することにより、包装体120への振動や衝撃発生時にガス泡が動いて培養細胞シート100へ接触することによるダメージを回避することができる。なお、このような空気によるダメージを回避するために、包装体120内に残留する空気はできるかぎり少なくすることが好ましい。
また、キャビティ108は、包装用空間4の上方に大きく突出して設けられているので、特に、キャリア50の上面のガス泡を速やかに捕集できる。さらに、キャビティ108は、手で把持可能となっているため、リッド30をトレイ10へのセット時及び取り外し時の把持部としても有効に機能することができる。
また、このようなトレイ10とリッド30とによれば、トレイ10にリッド30をセットすることで、キャリア50の固定操作も同時に達成されるため、キャリア50を取り扱う操作を容易にし、また、操作回数を減らすことができるため、培養細胞シート100への負荷の発生を抑制し、また、汚染可能性も低減することができる。
なお、以上説明した本実施形態において、底面凸状部24、26と凸部43b、44b、47b、48bとが本発明の固定手段に相当し、底面凸状部24、26は、トレイ側凸状部に相当し、凸部43b、44b、47b、48bは、リッド側凸状部に相当し、キャビティ106,108がガス貯留部に相当し、側壁凸状部18、19、20が揺動抑制手段に相当している。
以上説明した本実施形態においては、包装体2の包装用空間4を構成する要素としてトレイ10とリッド30とを用いることとしたが、これに限定するものではない。トレイ10とリッド30は、本発明の包装体を構成する典型的な形態の一つではあるが、他の容器の形態を採ることができる。例えば、トレイの一部に回動等により開閉可能にリッドが連結された形態とすることができるし、側方を開閉部とする箱状体とすることもできる。また、包装体は、必ずしも剛性体である必要はなく、可撓性を有していてもよく、例えば可撓性を有する袋状体とすることもできる。なお、袋状体を用いる場合には、液体を充填して使用するか、あるいは内部にフレームを挿入して袋状体に安定な形状を付与することが好ましい。
また、本実施形態においては、トレイ10及びリッド30並びにキャリア50はいずれも方形状の外形形態を有するものとしたが、用いる培養組織の形態等に応じて適宜選択することができる。
さらに、本実施形態においては、折り畳んだキャリア50の短辺側の両端部分を培養細胞シート100を内包しないマージン領域56としたが、これに限定するものではない。マージン領域56は、培養細胞シート100の全周にわたって設けることもできるし、部分的に任意の場所に設けることができる。キャリア50におけるマージン領域56は、内包する培養組織の大きさと形状、キャリア50の大きさや形状によって設定することができる他、本実施形態のように折り畳みによって最終形態を得る場合には、キャリア50の折り畳み方等によって設定することもできる。
さらにまた、本実施形態においては、キャリア50の固定手段を、キャリア50のマージン領域56を上下に挟持する手段としたが、これに限定するものではない。例えば、図9に示すようにキャリア50のマージン領域56を含む周縁領域をトレイ10やリッド30に係止する係止部材124や、図10に示すように、周縁領域をトレイ10やリッド30に設けたクランプ状に挟持する挟持部材126としてもよいし、キャリア50の周縁領域をトレイ10の底面に対して上方から押圧する手段としてもよい。
本実施形態においては、キャリア50の固定手段は、トレイ10とリッド30とにそれぞれ設けて、トレイ10に対してリッド30をセットすることで、キャリア50を固定するように構成したが、これに限定するものではない。トレイ10側に設けられてトレイ10に固定できるものであってもよし、リッド30側に設けられてリッド30にキャリア50を固定した後、トレイ10に対してセットするものであってもよい。
また、本実施形態では、キャリア50の固定手段は、トレイ10やリッド30にそれぞれ一体となっているものとしたが分離可能に設けることもできる。例えば、トレイ10内に収容可能であって、培養細胞シートなどの培養組織の周縁領域を支持できるインナートレイを固定手段とすることもできる。例えば、インナートレイ130とリッド30側に設けた凸部とによって培養組織の周縁領域を挟持固定するものとしてもよいし、図11(a)に示すように、インナートレイ130上にさらにインナートレイ132を重ねて培養組織の周縁領域やマージン領域の少なくとも一部を挟持固定するものとしてもよい。なお、本実施形態と同様に、図11(b)に示すような揺動抑止部材142を設けることもできるし、キャリア50の外周にキャビティ144を設けてもよい。また、インナートレイ130は、その上端縁にリムやフランジなどの係止部位を形成して、この係止部位をトレイ10のリム14などに係止固定して包装体2に固定することができる。また、インナートレイ130をトレイ10の底面12aに載置しあるいはリッド30により押圧等して適宜固定するようにしてもよい。これらの場合、インナートレイ130、132の培養細胞シート100の上下部分に相当する領域は、空隙となっていることが好ましい。
さらに、本実施形態では、通常の状態において、キャリア50の内包領域52が、トレイ10及びリッド30に接触されないように構成したが、必ずしもこれに限定するものではない。トレイ10の底面12a及び/又はリッド30の下面32bに接触する構成を排除するものではなく、いずれか一方あるいは両方に接触する構成であってもよい。特に、キャリア50が、可撓性を有し、また、液体内において湿潤するなどして柔軟性やクッション性を発揮できるものである場合には、トレイ10の底面12aやリッド30の下面32bに接触させても培養組織への負荷を低減することができる。
さらにまた、本実施形態では、リッド30の下面32bに、トレイ10の底面12a側に突出する凸面42b、46bを設けてキャリア50の浮上を抑制してリッド30の下面32bに接触するのを抑制するようにし、また、液体に常時浸漬した状態を維持するようにしたが、こうした浮上抑制手段は、これに限定するものではない。リッド30側に設けるほか、例えば、図9に示すように、キャリア50を係止固定する固定手段に、キャリア50の上面の近傍、すなわち、上面に当接又は所定距離隔離した位置に適宜浮上抑制手段を備えることもできる。浮上抑制手段としては、キャリア50の上面に面接触、点接触又は線接触等の形態で当接可能な形態を有していればよい。また、こうした浮上抑制手段は、培養組織への負荷を抑制する観点からは、キャリア50のマージン領域56を含む周縁領域あるいは周縁領域近傍に設けられていることが好ましい。
本実施形態では、キャリア50の周縁領域の対称箇所を固定するものとしたが、必ずしも対称箇所を支持するものでなくてもよく、非対称的にキャリア50を支持するものであってもよい。キャリア50の形態が三角形状など非対称形である場合にこの3つのコーナー部を保持することもできるし、キャリア50が方形状であっても、3点で固定してもよい。こうした固定形態も、キャリア50の材質(剛性や弾性などの物理特性)や形態と培養組織の種類や形態、包装体2の構成によって適宜設定することができる。
また、本実施形態では、キャリア50及び培養細胞シート100は、液体に浸漬した状態で包装用空間に保持されるものとしたが、これに限定するものではなく、培養組織は、培養組織の要求性に応じた浸漬状態であればよい。包装用空間に充填する液体としては、輸送や保存に際して、細胞の性質や形態を保持したり、急激な劣化を生じたりしない液体が選択される。こうした液体としては、細胞を維持するために必要な栄養成分を含む液体培地、生理食塩液、リンゲル液等のほか、これらの液に適宜添加剤を含んだものが挙げられる。また、本実施形態では、培養組織を液体に浸漬した状態で包装したが、これに限定するものではなく、乾燥状態で包装してもよく、また、包装用空間4に液体を充填しないがキャリア50に液体を含侵させた状態で培養組織を内包させて包装することもできる。
以上説明した本実施形態の包装体2は、培養組織を収容する状態を形成する用途であればいかなる形態でも用いられ、運搬、保存等に用いられるが、好ましくは、培養組織の運搬用に使用される。また、以上説明した本発明の培養組織包装体120は、搬送中の振動や衝撃を包装用空間内のキャリア及び培養組織に伝達しにくくし、同時にこうした衝撃等を緩衝するようになっているため、デリケートな培養組織であってもその活性や形態を維持して良好な状態で保存しながら搬送することができる。
なお、以上の実施形態では、本発明の一実施形態である包装体及び培養組織包装体について説明したが、こうした包装体の製造及び包装体を用いた培養組織の包装方法などの使用並びに培養組織包装体の製造及び培養組織包装体を用いた培養組織の搬送方法、保存方法などの使用も、本発明の一実施形態として実施することができ、本発明の範囲に包含される。
本発明の包装体の使用例を例示する図であり、図1(a)は、培養細胞シートを包装する例であり、図1(b)は、三次元培養組織を包装する例である。 本発明の実施形態の包装体の分解斜視図である。 本発明の実施形態の包装体のトレイの平面図(a)と断面図(b)〜(e)とを示す図である。 本発明の実施形態の包装体のリッドの平面図(a)と断面図(b)〜(e)とを示す図である。 本発明の実施形態の包装体をトレイとリッドとから構成した平面図(a)と断面図(b)〜(d)とを示す図である。 本発明の実施形態の包装体に収容する培養細胞シートをキャリアで被包する操作を説明する図であり、図6(a)は、キャリア上に培養細胞シートを載置した状態を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)の側面図であり、図6(c)は、キャリアを折りたたんで培養細胞シートを被包した状態を示す図であり、図6(d)は、図6(c)の平面図である。 本発明の包装体でキャリアを包装する操作を示す図(a)及び(b)である。 本発明の実施形態の培養組織包装体の平面図(a)と断面図(b)〜(d)とを示す図である。 本発明の包装体の固定手段の他の一例を示す図である。 本発明の包装体の固定手段の他の一例を示す図である。 本発明の包装体の固定手段の他の一例を示す図である。
符号の説明
2包装体、4 包装用空間、10 トレイ、12 凹状部、12a 底面、13a、13b、13c 側壁、14 リム、16 収容領域、18,19,20 側壁凸状部、18a,19a,20a 先端部、24、26 底面凸状部、30 リッド、凹状部32、32a 底面、32b 下面、33a、33b、33c 側壁、34 リム、40 凸状部、42、46凹状部、43a、44a、47a、48a 凹部、43b、44b、47b、48b 凸部、50 キャリア、52 内包領域、56 マージン領域、100 培養細胞シート、106、108 キャビティ、120 包装体、124 係止部材、126 挟持部材、130、132 インナートレイ、142 揺動抑制部材、144 キャビティ。

Claims (10)

  1. 培養組織を包装するための包装体であって、
    可撓性を有し、前記培養組織を内包していないマージン領域を周縁領域に有するように該培養組織を内包するキャリアと、
    前記培養組織を内包したキャリアの前記マージン領域の少なくとも一部を前記包装体内に固定して前記キャリアを前記包装体内の所定領域に保持可能とする固定手段と、
    を備える、包装体。
  2. 前記固定手段は、前記キャリアの前記培養組織を内包する領域が前記包装体の底面及び/又は前記包装体の天井面から離間された状態で前記キャリアを固定する手段である、請求項に記載の包装体。
  3. 前記固定手段は、前記キャリアの周縁領域の対向する部位を固定する手段である、請求項1又は2に記載の包装体。
  4. 前記固定手段は、前記キャリアの周縁領域の少なくとも一部を係止する手段である、請求項1〜のいずれかに記載の包装体。
  5. 前記固定手段は、前記キャリアの周縁領域の少なくとも一部を挟持又は押圧する手段である、請求項1〜のいずれかに記載の包装体。
  6. 前記キャリアを収容する包装用空間を形成するトレイとリッドとを備えている、請求項1〜のいずれかに記載の包装体。
  7. 前記固定手段は、前記トレイに前記リッドをセットしたとき、前記キャリアの周縁領域の少なくとも一部を前記包装体内に固定する手段である、請求項記載の包装体。
  8. 前記固定手段は、前記トレイ又は前記リッドから分離可能に備えられる、請求項又はに記載の包装体。
  9. 前記トレイ及び前記リッドにおいて、
    前記固定手段は、
    前記トレイ底面からリッド側を指向して設けられたトレイ側凸状部と、
    前記リッド下面から前記トレイ側を指向して設けられたリッド側凸状部と、
    を有し、
    前記トレイ側凸状部と前記リッド側凸状部とが対向して前記キャリアを挟持して固定する、請求項のいずれかに記載の包装体。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の包装体と、
    当該包装体に収容された培養組織と、
    を備える、培養組織が包装された培養組織包装体。
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