発明の実施の形態1
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に実施の形態にかかる信号処理装置100の構成を示す。信号処理装置100は、検波部101と、計時部102と、判定回路150とを有する。検波部101は、検波回路110と、弁別回路120を有する。計時部102は、計時回路130と、計時回路140とを有する。
検波回路110は、高周波の入力信号を検波し、検波信号を弁別回路120へ出力する。検波回路110の構成としては、例えば、図2(a)〜(e)に示すようなダイオード検波回路などがある。なお、図2(a)〜(e)の検波回路は、一般的に知られている構成であり、動作等の詳細な説明は省略する。また、バイポーラトランジスタやMOSトランジスタをダイオード接続し、これを用いた検波回路等であってもよい。もしくはB級、あるいはC級にバイアスしたバイポーラトランジスタやMOSトランジスタによる増幅回路等でもかまわない。
弁別回路120は、コンパレータ等で構成され、検波回路110の検波信号と、基準電圧Vref1とを比較して、比較結果を2値化して判定回路150に出力する。検波回路110からの検波信号が基準電圧Vref1以上の電位となる場合、信号を検出したとしてハイレベルの信号を出力する。検波信号が基準電圧Vref1以下の電位となる場合、ロウレベルの信号を出力する。よって、基準電圧Vref1を調整することで、検波信号とノイズを弁別可能となる。
以後、特に断らない限り、「検波回路110が信号を検出する」とは、弁別回路120からハイレベルの信号が出力されることを意味するものとする。また、「検波回路110の信号非検出から信号検出へ遷移する」とは、弁別回路120から信号の立ち上がりエッジが出力されることを意味する。逆に「検波回路110の信号検出から信号非検出へ遷移する」とは、弁別回路120から信号の立ち下がりエッジが出力されることを意味する。
計時回路130は、時定数回路131と、コンパレータ132を有する。時定数回路131は、例えば図3(a)〜(c)に示すような構成の回路がある。図3(a)〜(c)の計時回路のいずれにおいても、容量素子C1の充放電を利用し、その充放電による時定数に応じた時間計測を行っている。例えば、図3(a)では、判定回路150からトリガ信号がスイッチSW1に入力されると抵抗素子R1と容量素子C1が接続され、容量素子C1を所定の時定数ΔT1を持って放電させる。
コンパレータ132は、時定数回路131からの出力電圧と、基準電圧Vref2とを比較して、比較結果を2値化し、ロウレベルもしくはハイレベルの出力信号として判定回路150へ出力する。この基準電圧Vref2を調整することで、時定数回路131からの出力電圧が所定の閾値電圧(例えば、GNDレベル+0.1V)に達したことを、つまり時定数ΔT1の期間の終了を知らせる信号を得ることが出来る。また、時定数回路131は、コンパレータ132の出力の立ち上がりを受けて、再び電源VDDと容量素子C1が接続され、容量素子C1が充電される。なお、図3(b)では、抵抗素子R1の変わりに、電流源CS1が接続されているだけであり、基本的な動作は図3(a)と同様である。また、図3(c)のように、容量素子C1の充電に電流源CS1を利用し、容量素子C1を所定の時定数ΔT1を持って充電させてもよい。
以上から、計時回路130は、トリガ信号が入力されてから、抵抗素子R1の抵抗値等で決定される時定数ΔT1の期間(以下、期間ΔT1と称す)だけ経過した後に、ハイレベルの出力信号を判定回路150へ出力する。すなわち、計時回路130は、上記トリガ信号入力からの期間ΔT1を計時する計時動作を行っている。
以後、特に断らない限り、「時定数回路131の放電を開始」とは、トリガ信号が入力されて時定数回路131の放電が開始されることを意味する。また、「期間ΔT1」、「計時回路130(時定数回路131)の計時動作期間」、「時定数回路131の放電電圧が閾値電圧より高い」とはコンパレータ132からハイレベルの信号が出力されるまでの期間、もしくは状態を意味する。
計時回路140は、時定数回路141とコンパレータ142からなる。時定数回路141は、時定数回路131とほぼ同様の構成となる。但し、充放電期間は、時定数ΔT2となるように、抵抗素子R1の抵抗値等が設定されるものとする。また、コンパレータ142もコンパレータ132と実質的に同様の動作を行う。
以上から、計時回路140は、トリガ信号が入力されてから、抵抗素子R1の抵抗値等で決定される時定数ΔT2の期間(以下、期間ΔT2と称す)だけ経過した後に、ハイレベルの出力信号を判定回路150へ出力する。すなわち、計時回路140は、上記トリガ信号入力からの期間ΔT2を計時する計時動作を行っている。
以後、特に断らない限り、「時定数回路141の放電を開始」とは、トリガ信号が入力されて時定数回路141の放電が開始されることを意味する。また、「期間ΔT2」、「計時回路140(時定数回路141)の計時動作期間」、「時定数回路141の放電電圧が閾値電圧より高い」とはコンパレータ142からハイレベルの信号が出力されるまでの期間、もしくは状態を意味する。
判定回路150は、カウンタ151とカウンタ152を有する。カウンタ151、カウンタ152は判定回路150に制御され、所定のカウント値になるまでカウントアップ動作を行う。また、カウンタ151、カウンタ152は所定のカウント値になると自信のカウント動作を停止し、ゼロリセットする。
判定回路150は、弁別回路120からの出力信号の立ち上がりを検知、つまり検波回路110が検波信号を検出すると、カウンタ151のカウント動作を開始し、カウントアップさせる。それと同時に、計時回路130の時定数回路131にトリガ信号を出力し計時動作を開始させる。そして、計時回路130の計時動作期間、つまり期間ΔT1の間、弁別回路120の出力信号の立ち上がりもしくは立ち下がりのエッジを検知して、その数をカウントする。
判定回路150は、カウンタ151のカウント値が所定の値、例えば「2」となった場合、カウンタ152をカウントアップさせ、更に計時回路140にトリガ信号を出力し計時動作を開始させる。なお、これと同時にカウンタ151は、カウント値が所定の値、例えば「2」になったとして自信のカウント動作を停止し、ゼロリセットする。
そして、計時回路140の計時動作が終了すると、トリガ信号を計時回路130に出力し計時動作を開始させる。ここで、判定回路150は、計時回路140が計時動作を行っている期間ΔT2の間では、検波回路110が検波信号を検出しても計時回路130にトリガ信号を出力しない。
そして、判定回路150は、カウンタ152のカウント値が所定の値になるまでこの動作を繰り返す。そして、例えばカウンタ152のカウント値がこの所定の値、例えば「4」になるとハイレベルの判定信号を出力する。なお、これと同時にカウンタ152は、カウント値が所定の値、例えば「4」になったとして自身のカウント動作を停止し、ゼロリセットする。
以上、判定回路150は、弁別回路120、計時回路130、計時回路140からの出力信号をトリガとして動作するロジック回路である。判定回路150は、カウンタ151とカウンタ152により計時回路130、計時回路140による計時動作期間の検波信号の立ち上がりや立ち下がり回数をカウントする機能を有する。このため、弁別回路120、計時回路130、140からの出力信号のみに同期してロジック動作を行う。よって、判定回路150は、別段ノイズ源となるクロック発生回路等からのクロックを入力する必要としない。以下に、上記判定回路150の動作を含めた信号処理装置100の動作フローチャートを示す。
図4に信号処理装置100の動作のフローチャートの一例を示す。但し、時定数回路131及び時定数回路141の容量素子の充電動作については、図4のフローチャートには記載しない。この充電動作については各々の放電動作の前には必ず充電されているものとする。充電動作をどのタイミングで行うかについては、比較的自由に決められるものであり、また装置の動作上本質的な要因でもないと考えられるためである。
なお、時定数回路131、141が放電動作を開始する場合、判定回路150から各時定数回路にトリガ信号が送信されているものとする。また、時定数回路131、141の放電電圧が閾値電圧より低いか否かの検出は、それぞれのトリガ信号が送信された後、コンパレータ132、142からの出力がハイレベルになったか否かを判定回路150が検知することで実現される。また、検波回路110が信号を検出するとは、弁別回路120からハイレベルの信号が判定回路150に入力される場合である。反対に、検波回路110が信号を非検出である場合、弁別回路120からロウレベルの信号が判定回路150に入力される。以上のことは他の実施の形態でも同様とする。
まずカウンタ151、152のカウント値をゼロにリセットする(S101)。次に、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への切り替わり(以後、遷移と称す)の回数、つまり検波信号の立ち上がりエッジの回数を、カウンタ151によりカウントする(S102)。
そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S103)。検波回路110が信号を検出すると(S103Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S104)。検波回路110が信号を検出しない場合(S103No)、S103の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
カウンタ151のカウント値が「1」以下で(S105No)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S114No)、S105の動作に戻る。つまり、計時回路130の計時動作(時定数回路131の放電動作)が期間ΔT1継続される。時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以下であれば(S114Yes)、所望信号は検出されなかったものとして、初期状態(S101)に戻る。
カウンタ151のカウント値が「2」になると(S105Yes)、カウンタ152のカウント値を「1」増やし(S106)、カウンタ151によるカウント動作を停止し(S107)、カウンタ151をゼロにリセットする(S108)。
カウンタ152のカウント値が「4」であれば(S109Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S110)。
カウンタ152のカウント値が「4」でなければ(S109No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S111)。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以下であれば(S112Yes)、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への遷移回数の、カウンタ151によるカウントを開始し(S113)、S104の動作へ戻る。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S112No)、S112の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作(時定数回路141の放電動作)が期間ΔT2継続される。
図5に信号処理装置100の動作のタイミングチャートの一例を示す。なお、この例では検波回路110に所望の信号のみが入力される場合を想定する。この所望の信号は、検波回路110の出力信号上に現れる時間軸上で長い信号Aと短い信号Bであり、この信号A、Bが対になって存在している。これは信号Aが基地局からの送信信号であり、信号Bが信号処理装置100を含む端末(携帯電話等)からのアック信号である。また、これらの信号A、Bのペアが一定の間隔で繰り返されている。
まず、時刻t1に検波回路110に基地局からの送信信号が入力され、検波信号として信号Aが出力される。よって、弁別回路120から信号Aに対応し、ハイレベルに出力信号が立ち上がる。更に、この信号の立ち上がりエッジに応じたトリガ信号が判定回路150から計時回路130へ出力される。そして、時定数回路131の放電が開始され、時定数回路131の出力電圧が低下を始める。また、カウンタ151が「0」から「1」にカウントアップする。時定数回路131の出力電圧がある定められた電圧まで下がると、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がる。この「ある定められた電圧」は、時定数回路131が放電を開始してから、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまでの時間がΔT1となるように、予め選ばれている。判定回路150は、計時回路130へのトリガ信号が発せられてから、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまでの間、即ち期間ΔT1において、判定回路150のカウンタ151は弁別回路120のハイレベルの信号の立ち上がりエッジの数をカウントする。
次に、時刻t2に検波回路110に端末が送信したアック信号が入力され信号Bが検波出力として出力される。よって、弁別回路120から信号Bに対応し、ハイレベルに出力信号が立ち上がる。時刻t2は、時刻t1から上記期間ΔT1以内なので、信号Bに応じた弁別回路120からの信号の立ち上がりエッジに同期してカウンタ151がカウントアップし、カウント値を「2」とする。なお、カウント値が「2」となるため、その後カウンタ151は、ゼロにリセットされる。
カウンタ151のカウント値が「2」となるのに同期して、判定回路150から計時回路140の時定数回路141にトリガ信号が出力される。このトリガ信号により、時定数回路141の放電が開始され、出力電圧が低下を始める。時定数回路141の出力電圧がある定められた電圧まで下がると、コンパレータ142の出力電圧がハイレベルに立ち上がる。この「ある定められた電圧」は、時定数回路141が放電を開始してから、コンパレータ142の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまでの時間がΔT2となるように、予め選ばれている。判定回路150は、計時回路140へのトリガ信号が発せられてから、コンパレータ142の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまでの間、即ち期間ΔT2において、判定回路150は、時定数回路131にトリガ信号を送信しないため、時定数回路131は放電動作を行わない。よって、期間ΔT2の間、カウンタ151はカウントアップ動作を停止する。更に、カウンタ151のカウント値が「2」となるのに同期して、カウンタ152がカウントアップして、カウント値を「0」から「1」とする。
次に、時刻t3に期間ΔT2が終了、つまり時定数回路141の放電電圧が所定の閾位置電圧以下となる。するとコンパレータ142の出力電圧がハイレベルに立ち上がり、これに同期して判定回路150は、トリガ信号を計時回路130に出力する。このトリガ信号により再び時定数回路131の放電が開始され、期間ΔT1の計時動作が開始されるそして、期間ΔT1の間、判定回路150のカウンタ151は弁別回路120のハイレベルの信号の立ち上がりエッジの数をカウントする。つまり、時刻t4に弁別回路120から信号Aに対応した出力信号が立ち上がり、時刻t1と同様の動作が行われ、時刻t5において、時刻t2と同様の動作が行われる。以後、時刻t6〜t11において、時刻t3、t4、t5と同様の動作を繰り返す。最終的に、時刻t11にカウンタ152のカウント値が「4」となり、ハイレベルの判定信号が判定回路150から出力される。なお、カウント値が「4」となるため、その後カウンタ152は、ゼロにリセットされる。
ここで、図6に信号処理装置100の動作のタイミングチャートの別の一例を示す。なお、この例では図5とは異なり、検波回路110に所望の信号A、B以外の信号(以下、非所望信号と称す)も入力される場合を想定する。この非所望信号は、検波回路110の出力信号上に信号Cとして現れる。なお、本例では所望信号A、Bと非所望信号Cが時間的にずれて検波回路110に入力されているものとする。更に、本例における信号処理装置100の動作を理解しやすくするため、図6に検波回路110の出力から所望の信号A、Bと、非所望信号Cを抜き出した信号波形を示す。また、図中の時刻t1〜t8における信号処理装置100の動作は、既に図5での説明で記載済みのため省略する。
図6の時刻t12〜t17に検波回路110に非所望信号Cが入力される。まず、時刻t12に弁別回路120から信号Cに対応するハイレベルの信号が立ち上がる。これに応じて時定数回路131の放電が開始され、時定数回路131の出力電圧が低下を始める。同時に判定回路150のカウンタ151は弁別回路120のハイレベルの信号の立ち上がりエッジの数をカウントする。このカウントは、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまで継続される。
ここまでの動作は、図5の時刻t1で説明したものと同様である。しかし、時刻t12に入力された信号Cには、信号B(アック信号)に該等する信号がないため、期間ΔT1内でカウンタ151がカウント値を「2」にカウントアップしない。よって、カウンタ152がカウント動作を行わず、更に計時回路140の時定数回路141も放電動作を開始しない。このため、期間ΔT1が終了した時点で初期状態に戻る。なお、この時刻t12の一連の動作は、図4に示すフローチャートのS105No以降の動作に該当する。
また、時刻t13〜t17に入力される非所望信号Cは、時刻t2以降に動作する時定数回路141の放電期間ΔT2内に検波回路110に入力されるため、判定回路150は、時定数回路131にトリガ信号を送信しない。よって、期間ΔT2において、時定数回路131は放電動作を行わず、カウンタ151はカウントアップ動作を停止している。以上のような説明から、信号処理装置100は非所望信号Cが入力された場合においても、正確に所望信号A、Bの検出と、判定信号の出力動作を行うことができる。
以上、本実施の形態1にかかる信号処理装置100は、弁別回路120の出力信号の立ち上がり、もしくは立下りをトリガに、計時回路130による計時動作を開始する。そして、判定回路150は、その計時動作中の弁別回路120の出力信号の立ち上がり、もしくは立ち下がりの回数のカウントを行い、所定のカウント値になった場合、計時回路140による計時動作を開始する。更に計時回路140が計時動作を行っている間、計時回路130による計時動作を停止させる。上記動作を繰り返すことにより、入力信号の特徴を判定し、非所望信号を分別し、所望信号のみを精度よく抽出することが可能となる。
更に、本実施の形態1にかかる信号処理装置100における重要なポイントとして、時間を計測するのに、時定数回路131及び時定数回路141の容量素子の充放電の時定数を利用していることが上げられる。これは、図35の従来技術のように、ロジック回路である判定回路150が、時間計測にノイズ源となるクロック発生回路等からのクロックを入力する必要としない。このため、検波器110の出力の立ち上がりや立下りを検出する際の、ロジッククロックの検波回路110への回り込みを皆無に出来る。このため、検波回路110から判定回路150までをワンチップ化しても性能劣化の心配がない。また検波回路110と判定回路150を別チップとした場合には、より小型のモジュールにしても上記と同様の問題が発生しない。更には信号処理装置100の信号系のシールドを簡素化できる、などの利点が得られる。この効果は他の実施の形態においても共通である。
また、特許文献1の技術と比較して、本実施の形態1の信号処理装置100は、弁別回路120の出力信号の立ち上がり、もしくは立下りのカウントをカウンタ151、152によって行っているため、想定よりも高頻度にオンまたはオフする信号を誤検出する、あるいは想定よりも低頻度にオンまたはオフする状態が長時間継続する信号を誤検出する、という問題が発生しない。
なお、このような効果を有効に活用するため本発明の活用例として、待ち受け状態にある無線装置を起動するための起動信号を生成する信号処理装置や、無線通信の種別などを調査する通信状態監視用の信号処理装置等が考えられる。
また、上記のような利点は、図1に示す構成要素の組み合わせにより実現される動作を、どのように組み合わせても得ることが出来る。即ち図4に示す動作のフローチャート以外にも、様々な実施の形態を取ることが可能である。例えば、図4のS105の動作において、カウンタ151のカウント値を「2」から「3」に変更した場合が考えられる。
図7にカウンタ151のカウント値を「2」から「3」に変更した場合の信号処理装置100の動作を説明するための模式図を示す。図7は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、期間ΔT1及び期間ΔT2の関係を示している。この場合、判定回路150が、検波信号の立ち上がりエッジを3回計測し、計時回路140へのトリガ信号の出力及びカウンタ151のカウントアップを行う。なお、判定回路150は、弁別回路120からの信号の立ち下がりエッジをカウントしてもかまわないが、本例では立ち上がりエッジをカウントするものとする。また、この場合、信号処理装置100が検出対象とする所望信号A、B、Cは上述したような基地局からの送信信号と端末からのアック信号とは異なる信号であることに注意する。
図7に示すように、時刻t1に検波回路110からの所望信号Aの立ち上がりが入力されると、トリガ信号が判定回路150から計時回路130に出力され、期間ΔT1が開始される。この期間ΔT1に所望信号A、B、Cの立ち上がりエッジが3回カウントされる。時刻t2に所望信号Cの立ち上がりエッジが検出されると、カウンタ151のカウント値が「3」となる。よって、時刻t2にカウンタ152がカウントアップし、更にトリガ信号が判定回路150から計時回路140に出力され、期間ΔT2が開始される。この期間ΔT2の間、計時回路130は、計時動作を行わない。このため、時刻t3に、検波回路110が検波信号として非所望信号Dを出力しても、カウンタ151はカウントアップを行わない。
そして、時刻t4に期間ΔT2が終了し、同時にトリガ信号が判定回路150から計時回路130に出力され、期間ΔT1が開始される。この期間ΔT1に所望信号A、B、Cの立ち上がりエッジのカウントを行い、時刻t5にカウンタ151のカウント値が「3」となる。以後は、同様の動作を繰り返す。
以上から、本実施の形態1にかかる信号処理装置100は、カウンタ151のカウント値の設定を変更することで、様々な受信信号の特徴を判定し、非所望信号を分別し、所望信号のみを精度よく抽出することが可能となる。なお、カウンタ151のカウント値の設定は任意の数に設定することが可能である。
発明の実施の形態2
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。図8に本実施の形態2にかかる信号処理装置200の動作のフローチャートを示す。実施の形態1とは判定回路150の動作が異なり、図8のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置200の動作の説明をする。なお、信号処理装置200の構成は、図1と同様なため説明は省略する。
まずカウンタ151、152のカウント値をゼロにリセットする(S201)。次に検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への遷移回数(立ち上がりエッジの回数)の、カウンタ151によるカウントを開始する(S202)。
そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S203)。検波回路110が信号を検出すると(S203Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S204)。検波回路110が信号を検出しない場合(S203No)、S203の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S203No)、S203の動作に戻る。つまり、計時回路130の計時動作(時定数回路131の放電動作)が期間ΔT1継続される。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上の場合(S203Yes)、判定回路150は、カウンタ151のカウント値が1より大きく5以下であるか否か判断する(S206)。カウンタ151のカウント値が1より大きく5以下でない場合(S206No)、所望信号は検出されなかったものとして、初期状態(S201)に戻る。カウンタ151のカウント値が1より大きく5以下である場合(S206Yes)、カウンタ152のカウント値を1増やし(S207)、カウンタ151によるカウント動作を停止し(S208)、カウンタ151をゼロにリセットする(S209)。
カウンタ152のカウント値が4であれば(S210Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S211)。カウンタ152のカウント値が4でなければ(S210No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S212)。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以下であれば(S213Yes)、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への遷移回数の、カウンタ151によるカウントを開始し(S214)、S204の動作へ戻る。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S213No)、S213の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作(時定数回路141の放電動作)が期間ΔT2継続される。
以上が本実施の形態2にかかる信号処理装置200の動作のフローチャートである。図4に示した実施の形態1の動作のフローチャートとの違いは、判定回路150が、時定数回路の放電動作(期間ΔT1)が完了してからカウンタ151のカウント値を確認するという点、及び、カウンタ151のカウント値が1より大きく5より小さいという、所定範囲に収まっていることを判定する点にある。このような信号処理装置200の動作を説明するため、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1及び計時回路140の計時動作期間ΔT2の関係を図9に示す。
図9に示すように、時刻t1に検波回路110からの所望信号Aの立ち上がりが入力されると、トリガ信号が判定回路150から計時回路130に出力され、期間ΔT1が開始される。この期間ΔT1に所望信号A、B、Cの立ち上がりエッジが3回カウントされる。
時刻t2に、計時回路130による計時動作期間ΔT1が終了すると、カウンタ151のカウント値が「3」の値のためカウンタ152がカウントアップし、更にこの期間ΔT2の間、計時回路130は、計時動作を行わない。このため、時刻t3に、検波回路110が検波信号として非所望信号Dを出力しても、カウンタ151はカウントアップを行わない。
そして、時刻t4に期間ΔT2が終了し、同時にトリガ信号が判定回路150から計時回路130に出力され、期間ΔT1が開始される。この期間ΔT1に所望信号A、B、Cの立ち上がりエッジのカウントを行い、時刻t5にカウンタ151のカウント値が「3」となる。以後は、同様の動作を繰り返す。
なお、期間ΔT1内に計測される所望信号が「1」以下もしくは「5」以上なら非所望信号と判定する。
以上のように、本実施の形態2にかかる信号処理装置200により、入力される所望信号の平均的なバースト頻度が高すぎても、低すぎても非所望信号と判定する動作が実現される。
発明の実施の形態3
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。図10に本実施の形態3にかかる信号処理装置300の構成を示す。本実施の形態3と、実施の形態1及び2の違いは計時回路が2つではなく1つで構成される点である。
図10に示すように、信号処理装置300は、判定回路150以外は、実施の形態1と実質的に同様の構成ため、判定回路150以外の説明は省略する。
判定回路150は、カウンタ151を有する。カウンタ151は判定回路150に制御され、所定のカウント値になるまでカウントアップ動作を行う。また、カウンタ151は所定のカウント値になると自身のカウント動作を停止し、ゼロリセットする。
判定回路150は、弁別回路120からの出力信号の立ち上がりを検知すると、計時回路130にトリガ信号を出力し、計時動作を開始させる。そして、計時回路130の信号がハイレベルに遷移するまでの間、つまり期間ΔT1の間、弁別回路120の出力信号の立ち上がりもしくは立ち下がりのエッジ数をカウントする。また、期間ΔT1の終了時にカウンタ151のカウント値が所定の範囲内、例えば「3以上6以内」となった場合、ハイレベルの判定信号を出力する。なお、カウント値が所定の範囲内、例えば「3以上6以内」と判定すると自信のカウント動作を停止し、ゼロリセットする。
本実施の形態3は、計時回路が1つであるため、判定回路150の動作も実施の形態1と異なる。よって、図11の動作のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置300の動作を説明する。
図11に信号処理装置300の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ151のカウント値をゼロにリセットする(S301)。次に検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への遷移回数の、カウンタ151によるカウントを開始する(S302)。
そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S303)。検波回路110が信号を検出すると(S303Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S304)。検波回路110が信号を検出しない場合(S303No)、S303の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S305No)、S303の動作に戻る。つまり、計時回路130の計時動作(時定数回路131の放電動作)が期間ΔT1継続される。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上の場合(S305Yes)、カウンタ151のカウント動作を停止する(S306)。判定回路150は、カウンタ151のカウント値が所定の範囲内か否か判断する(S307)。カウント値が所定の範囲内である場合(S307Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S308)。カウント値が所定の範囲内でない場合(S307No)、所望信号は検出されなかったものとして、初期状態(S301)に戻る。
図12に信号処理装置300の動作のタイミングチャートの一例を示す。なお、この例では検波回路110に所望の信号のみが入力される場合を想定する。また、判定回路150は、弁別回路120を経た検波回路110の出力信号の立ち上がりエッジをカウントするものとする。また、判定回路150は、カウンタ151のカウント値が「3以上6以内」である場合、ハイレベルの判定信号を出力するものとする。
まず、時刻t1に検波回路110に基地局からの送信信号が入力され検波出力として信号Aが出力される。よって、弁別回路120から信号Aに対応するハイレベルの信号が立ち上がる。更に、計時回路130において、この信号の立ち上がりエッジに応じたトリガ信号が判定回路150から入力される。そして、時定数回路131の放電が開始され、時定数回路131の出力電圧が低下を始める。時定数回路131の出力電圧がある定められた電圧まで下がると、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がる。この「ある定められた電圧」は、時定数回路131が放電を開始してから、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまでの時間がΔT1となるように、予め選ばれている。判定回路150は、計時回路130へのトリガ信号が発せられてから、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がるまでの間、即ち期間ΔT1において、判定回路150のカウンタ151は弁別回路120のハイレベルの信号の立ち上がりエッジの数をカウントする。
時刻t2に期間ΔT1が終了、つまり時定数回路131の放電電圧が所定の閾位置電圧以下となる。すると、コンパレータ132の出力電圧がハイレベルに立ち上がり、これに同期して判定回路150は、カウンタ151のカウント値が所定の範囲内、本例では「6」となり、ハイレベルの判定信号が判定回路150から出力される。なお図12の動作例では、一連の判定条件が満たされ、所望信号検出の判定信号がハイレベルに立ち上がった後に、動作を終了するのではなく、再び初期状態からの動作を開始するようになっている。つまり時刻t3もしくはt4以降、改めて初期状態から同様の動作が行われる。
図13に信号処理装置300の動作を説明するための模式図を示す。図13は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)の関係を示している。図13に示すように、時刻t1に検波回路110からの所望信号Aの1番目立ち上がりが入力されると、トリガ信号が判定回路150から計時回路130に出力され、期間ΔT1が開始される。期間ΔT1において、判定回路150に検波回路110からの6回、所望信号Aの立ち上がりエッジが入力され、それをカウンタ151がカウントする。時刻t2に、計時回路130による計時動作期間ΔT1が終了すると、カウンタ151のカウント値が「6」となり「3以上6以内」の値のため、判定回路150からハイレベルの判定信号が出力される。なお、期間ΔT1内に計測される所望信号Aが「2以下、もしくは7以上」なら非所望信号と判定し、ハイレベルの判定信号は出力されない。
以上、本実施の形態3にかかる信号処理装置300は、検波回路110の出力の立ち上がりをトリガに計時回路130による計時動作を開始し、計時動作終了時の検波回路110の出力の立ち上がりもしくは立ち下がり回数を判定することで、所望信号であるかどうかを判定している。これにより、信号の平均的なバースト頻度がある範囲に収まっている信号を選択的に検出することが出来る。
なお、図10の構成図では、基準電圧Vref1、Vref2と比較するタイプのコンパレータを、弁別回路120と、コンパレータ132に用いている。しかし、これらは基準電圧と比較しないタイプのコンパレータで構成しても良い。この場合、信号処理装置300は、図14のような構成図となる。また、コンパレータの具体的な回路としては、図15(a)に示すようなCMOSインバータや、図15(b)に示すようなシュミットトリガ回路などが当てはまる。図15(a)(b)の回路は一般的に知られているものであり、構成や動作の説明は省略する。なお、上記コンパレータの構成は、図1に示した実施の形態1、2や、今後説明する実施の形態においても適用可能である。
発明の実施の形態4
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態4について、図面を参照しながら詳細に説明する。図16に本実施の形態4にかかる信号処理装置400の構成を示す。本実施の形態4は、実施の形態3とは判定回路150がカウンタ153を新たに有する点が異なる。よって、図17のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置400の動作の説明をする。
信号処理装置400は、カウンタ151と、カウンタ153とを有する。カウンタ153は、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)においてカウンタ151のカウントした値が所定の範囲、例えば「3以上6以内」の場合、カウントアップする。そして、カウンタ153は、カウント値が所定の値、例えば「4」となった場合、ハイレベルの判定信号を出力する。カウンタ151は、本実施の形態3と実質的に同様の動作となるため説明は省略する。
図17に信号処理装置400の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ153のカウント値をゼロにリセットする(S401)。カウンタ151のカウント値をゼロにリセットする(S402)。次に検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への遷移回数の、カウンタ151によるカウントを開始する(S403)。
そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S404)。検波回路110が信号を検出すると(S404Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S405)。検波回路110が信号を検出しない場合(S404No)、S404の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S406No)、S406の動作に戻る。つまり、計時回路130の計時動作(時定数回路131の放電動作)が期間ΔT1継続される。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上の場合(S406Yes)、カウンタ151のカウント動作を停止する(S407)。判定回路150は、カウンタ151のカウント値が所定の範囲内か否か判断する(S408)。カウント値が所定の範囲内である場合(S408Yes)、カウンタ153のカウント値を「1」増やす(S409)。カウント値が所定の範囲内でない場合(S408No)、S401の動作に戻る。
カウンタ153のカウント値が所定の値に達した場合(S410Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S411)。カウンタ153のカウント値が所定の値に達していない場合(S410No)、S402の動作に戻る。
以上のように、実施の形態4にかかる信号処理装置400は、実施の形態3の所望信号検出条件を連続で、且つカウンタ153のカウント値が所定値に達するまで繰り返されたときに、所望信号を検出したと判定するようになっている。
発明の実施の形態5
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態5について、図面を参照しながら詳細に説明する。図18に本実施の形態5にかかる信号処理装置500の動作のフローチャートを示す。本実施の形態5は、実施の形態1の動作フローチャートである図4において、「カウンタ151のカウント値が「2」である?」の条件判定の部分を、「カウンタ151のカウント値が「1」である?」に置き換えたものと同じ動作をする。この置き換えに伴い生じるフローチャートの冗長部を削除した結果、カウンタ151の動作が不要になる。
実質的には、図18のフローチャートにおける、「検波回路が信号を検出?」の条件判定部分が、「カウンタ151のカウント値を「0」から「1」に増加する」、「カウンタ151のカウント値が「1」であるという条件が満たされるので次の処理に進む」、という2つの動作を兼ねている。
よって、信号処理装置500の構成は、図19のようになる。上記のように判定回路150のカウンタ151は、弁別回路120からの出力信号の立ち上がりを検知した時点で、すでにカウント値が「1」となっている。このため、判定回路150は、直ちに計時回路140にトリガ信号を出力し、計時動作を開始させる。つまり、判定回路150は、弁別回路120からの出力信号の立ち上がりを検知さえすれば、カウンタ151のカウント動作を行わずとも、トリガ信号の出力等の動作を開始できる。このため、実質的には図1の判定回路150からカウンタ151をなくしたものと同じであるといえる。ただし、判定回路150からカウンタ151を削除しなければならないわけではなく、判定回路150の動作上、無視してもかまわないだけである。
その他の構成は図1と同様なため説明は省略する。また、実施の形態1とは判定回路150の動作が異なるため、図18のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置500の動作の説明をする。
図18に信号処理装置500の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ152のカウント値をゼロにリセットする(S501)。そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S502)。検波回路110が信号を検出すると(S502Yes)、カウンタ152のカウント値を1増やす(S503)。検波回路110が信号を検出しない場合(S502No)、S502の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
次に、判定回路リオ150は、カウンタ152のカウント値が所定の値に達したか判定する(S504)。カウント値が所定の値に達した場合(S504Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S505)。カウント値が所定の値に達していない場合(S504No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S506)。
時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S507No)、S507の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作(時定数回路141の放電動作)が期間ΔT2継続される。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S507Yes)、時定数回路131の放電を開始する(S508)。
次に、判定回路150が、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出した場合(S509Yes)、S503の動作に戻る。
検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S509No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S510No)、S509の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間(計時回路130の計時動作期間)に、判定回路150が、検波回路110が信号を検出するか否かを判定する。
検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S509No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S510Yes)、初期状態(S501)へ戻る。つまり、期間ΔT1の間(計時回路130の計時動作期間)に、判定回路150が、検波回路110が信号を検出できなかったと判定し、初期状態に戻る。
本実施の形態5にかかる信号処理装置500では、検波信号の立ち上がりがほぼ一定の時間間隔で繰り返され、且つ、その間隔が時定数回路141の時定数ΔT2(計時回路140の計時動作期間)よりも長く、時定数ΔT1+時定数ΔT2よりも短い場合に、入力信号を所望信号として検出される。
発明の実施の形態6
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態6について、図面を参照しながら詳細に説明する。図20に本実施の形態6にかかる信号処理装置600の動作のフローチャートを示す。信号処理装置600の構成は、実施の形態5と同様、カウンタ151の動作を無視できるため、図19と同様になる。実施の形態5とは判定回路150の動作が異なる。よって、図20の動作のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置600の動作を説明する。
まずカウンタ152のカウント値をゼロにリセットする(S601)。そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S602)。検波回路110が信号を検出し、検波信号が立ち上がると(S602Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S603)。検波回路110が信号を検出せず、検波信号が立ち上がらない場合(S602No)、S602の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
次に、検波回路110が信号を検出し続け、検波信号が立ち下がらない場合(S604Yes)、且つ、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S605No)、S604の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間(計時回路130の計時動作期間)に、判定回路150が、検波信号の立ち下がりを検出するか否かを判定する。検波回路110が信号を検出し続け、検波信号が立ち下がらない場合(S604Yes)、且つ、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S605Yes)、初期状態(S601)に戻る。つまり、期間ΔT1の間(計時回路130の計時動作期間)に、判定回路150が、検波信号の立ち下がりを検出できなかった判定する。
逆に検波信号の立ち下がりを検出した場合(S604No)、カウンタ152のカウント値を1増やす(S606)。次に、カウンタ152のカウント値が所定の値に達した場合(S607Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S608)。カウンタ152のカウント値が所定の値に達していない場合(S607No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S609)。
時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S610No)、S610の動作に戻り時定数回路141の放電動作が時定数の期間ΔT2継続する。つまり、計時回路140の計時動作が期間ΔT2継続される。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S610Yes)、時定数回路131の放電を開始する(S611)。
次に、判定回路150が、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出した場合(S612Yes)、S604の動作に戻る。つまり、時定数回路131の放電動作期間ΔT1(計時回路130の計時動作期間)に、検波信号の立ち上がりを検出した場合、検波信号の立ち下がりの検出を待つ動作に移行する。
検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S612No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S613No)、S612の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出するか否かを判定する。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S612No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S613Yes)、初期動作(S601)に戻る。つまり、期間ΔT1の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出しなかったと判定し、初期状態に戻る。
ここで、図21に信号処理装置600の動作のタイミングチャートの一例を示す。本例では検波回路110に所望の信号Aと、非所望信号Bが入力される場合を想定する。なお、本例における信号処理装置600の動作を理解しやすくするため、図21に弁別回路120の出力信号から所望の信号Aと、非所望信号Bを抜き出した信号波形を示す。
図21の時刻t1に検波回路110に非所望信号Bが入力され、弁別回路120から非所望信号Bに対応するハイレベルの信号が立ち上がる。これに応じて時定数回路131の放電が開始され、時定数回路131の出力電圧が低下を始める。そして期間ΔT1の後、コンパレータ132の出力電圧が立ち上がり、ハイレベルとなる。
時刻t2に時定数回路131の放電(期間ΔT1)が終了するが、非所望信号Bはハイレベルのままである。判定回路150は、非所望信号Bから立ち下がりを検出できず、カウンタ141のカウント値は「0」のままとなる。
時刻t3に検波回路110に所望信号Aが入力され、弁別回路120から所望信号Aに対応するハイレベルの信号が立ち上がる。これに応じて時定数回路131の放電が開始され、時定数回路131の出力電圧が低下を始め、再び期間ΔT1の計時が開始される。所望信号Aは期間ΔT1以内の時刻t4に、ロウレベルに立ち下がるため、この立ち下がりに同期してカウンタ152のカウント値が「1」増加する。更に、判定回路150からトリガ信号が時定数回路141に送信され、これに応じて時定数回路141の放電が開始される。そして期間ΔT2の後、コンパレータ142の出力電圧が立ち上がる。この期間ΔT2が終了するまで、時定数回路131の放電が開始されない。このため、例え時刻t5に検波回路110に非所望信号Bが入力されても、判定回路150は、非所望信号Bを検出せず、結果カウンタ152もカウントアップされない。以後、同様の動作を繰り返し、時刻t6に所望信号Aの立ち下がりが検出されると、判定回路150は、カウンタ152のカウント値が所定の値、例えば「4」に達したとして、ハイレベルの判定信号を出力する。
図22に信号処理装置600の動作を説明するための模式図を示す。図22は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)及び、計時回路140の計時動作期間ΔT2(時定数回路141の放電期間)の関係を示している。図22に示すように、時刻t1に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT1が始まる。期間ΔT1において、時刻t2に所望信号Aの立ち下がりを検出すると、期間ΔT2が始まる。この期間ΔT2の間、判定回路150は、検波回路110の出力信号の立ち上がり、立ち下がりを検出できない。よって、時刻t3に非所望信号Bが入力されても、判定回路150は、時刻t3、t4の非所望信号Bの立ち上がり、立ち下がりを検出できず、カウンタ152のカウント値は変わらない。
時刻t5に、期間ΔT2が終了し、同時に期間ΔT1が始まる。時刻t6に所望信号Aの立ち上がりを検出する。その後、時刻t7に立ち下がりを検出し期間ΔT2が始まり、同様の動作が繰り返される。
本実施の形態6にかかる信号処理装置600では、期間ΔT1よりも短いバースト信号が、ほぼ期間ΔT2の間隔で発信されている場合に、そのバースト信号を所望信号として判定することができる。
発明の実施の形態7
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態7について、図面を参照しながら詳細に説明する。図23に本実施の形態7にかかる信号処理装置700の動作のフローチャートを示す。信号処理装置700の構成は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。実施の形態1とは判定回路150の動作が異なり、図23のフローチャートを用いて、その部分を説明する。
図23に信号処理装置700の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ152のカウント値をゼロにリセットする(S701)。そして検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S702)。検波回路110が信号を検出すると(S702Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S703)。検波回路110が信号を検出しない場合(S702No)、S702の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
次に、カウンタ151のカウント値をゼロにリセットし(S704)、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への遷移回数の、カウンタ151によるカウント動作を開始する(S705)。
時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S706No)、S706の動作に戻る。つまり、計時回路130の計時動作(時定数回路131の放電動作)が期間ΔT1継続される。時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S706Yes)、カウンタ151のカウント動作を停止する(S707)。
カウンタ151のカウント値が「1」であり、且つ検波回路110が信号非検出の状態である場合(S708Yes)、カウンタ152のカウント値を1増やす(S5709)。そうでない場合は(S708No)、初期状態(S701)へ戻る。
次に、カウンタ152のカウント値が所定の値に達した場合(S710YES)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S711)。カウント値が所定の値に達していない場合(S710No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S712)。
時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S713No)、S713の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作(時定数回路141の放電動作)が期間ΔT2継続される。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S713Yes)、S703の動作に戻り、時定数回路131の放電を開始する。
図24に信号処理装置700の動作を説明するための模式図を示す。図24は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)及び、計時回路140の計時動作期間ΔT2(時定数回路141の放電期間)の関係を示している。図24に示すように、時刻t1に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT1が始まる。期間ΔT1以内で時刻t2に所望信号Aの立ち下がりを検出していると、カウンタ151がカウントアップする。時刻t3に期間ΔT1が終了し、信号が立ち下がったままであるためカウンタ152がカウントアップし、同時に期間ΔT2が始まる。この期間ΔT2の間、判定回路150は、検波回路の出力信号の立ち上がり、立ち下がりを検出できない。よって、時刻t4に非所望信号Bが入力されても、判定回路150は、時刻t4、t5の非所望信号Bの立ち上がり、立ち下がりを検出できず、カウンタ151及び152のカウント値は変わらない。
時刻t6に、期間ΔT2が終了し、同時に期間ΔT1が始まる。その後、時刻t7、t8に所望信号Aの立ち上がり、立ち下がりを検出し、カウンタ151がカウントアップする。時刻t9に期間ΔT1が終了し、カウンタ152がカウントアップし、同時に期間ΔT2が始まる。以後、同様な動作が繰り返される。
ここで、図23の本実施の形態7の動作フローチャートにおいて特徴的な点は2つある。一つは、計時回路130による計時動作(時定数回路131の放電期間)つまり期間ΔT1中に、検波回路110の出力が立ち下がる回数をカウントしている点である。もう一つは、計時回路130による計時動作が完了した時点で、カウンタ151の計数値が「1」、即ち検波信号の立ち下がり回数が「1」で、且つ検波回路110の信号が立ち下がった状態、即ち次のバースト信号が入ってきていない、という条件判定を行っている点である。これらの処理により、計時回路130による計時動作中に、一組の立ち上がり・立下りを検出する、という動作を実現している。
以上、本実施の形態7にかかる信号処理装置700では、所望信号よりもバーストの短い信号、即ち期間ΔT1以内に2個以上の立ち上がりが観測される信号を、所望信号として検出してしまうことを防ぐことが出来る。ただし、本検出動作の周期は期間ΔT1とΔT2の和となるため、時定数回路131、141が有するそれぞれの時定数ΔT1、ΔT2の製造起因や温度起因のバラツキを小さく抑えることが求められる。
発明の実施の形態8
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態8について、図面を参照しながら詳細に説明する。図25に本実施の形態8にかかる信号処理装置800の構成を示す。本実施の形態8と、実施の形態1との違いは計時回路が2つではなく3つで構成される点である。
図25に示すように、信号処理装置800は、判定回路150と計時回路160以外は、実施の形態1と実質的に同様の構成ため、判定回路150と計時回路160以外の説明は省略する。
計時回路160は、時定数回路161と、コンパレータ161とを有している。時定数回路161は、時定数回路131、141と同様の構成となっており、詳細な説明は省略する。但し、時定数回路161が有する時定数はΔT3(以下、期間ΔT3と称す)である。また、コンパレータ162も、コンパレータ132、142と同様の構成となっており、詳細な説明は省略する。よって、計時回路160は、期間ΔT3を計時する機能を有する。
また、計時回路160が加わるため、判定回路150の動作も実施の形態1と異なる。よって、図26の動作のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置800の動作を説明する。なお、本実施の形態8では、カウンタ151は特に利用しなくてもよい。
図26に信号処理装置800の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ152のカウント値をゼロにリセットする(S801)。次に検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S802)。検波回路110が信号を検出すると(S802Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S803)。検波回路110が信号を検出しない場合(S802No)、S802の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
次に、時定数回路161の放電動作を開始する(S804)。次に検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S805)。検波回路110が信号を検出しない場合(S805No)、初期状態(S801)に戻る。
検波回路110が信号を検出し(S805Yes)、時定数回路161の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S806No)、S805の動作に戻る。つまり、期間ΔT3の間、検波回路110が信号を検出しているか否かを判定回路150が判定している。
検波回路110が信号を検出し(S805Yes)、時定数回路161の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S806Yes)、検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S807)。
次に、検波回路110が信号を検出しない場合(S807No)、カウンタ152のカウント値を「1」増やす(S809)。検波回路110が信号を検出し(S807Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S808Yes)、初期状態(S801)に戻る。検波回路110が信号を検出し(S807Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上の場合(S808No)、S807の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間、判定回路150が、検波信号の立ち下がりを検出するか否かを判定する。
次に、カウンタ152のカウント値が所定の値に達した場合(S810Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S811)。カウンタ152のカウント値が所定の値に達していない場合(S810No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S812)。
時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S813No)、S813の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作が期間ΔT2継続される。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S813Yes)、時定数回路131の放電を開始する(S814)。
次に、判定回路150が、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出した場合(S815Yes)、S804の動作に戻る。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S815No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S816No)、S815の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出するか否かを判定する。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S815No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S816Yes)、初期動作(S801)に戻る。つまり、期間ΔT1の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出しなかったと判定し、初期状態に戻る。
図27に信号処理装置800の動作を説明するための模式図を示す。図27は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)と、計時回路140の計時動作期間ΔT2(時定数回路141の放電期間)と、計時回路160の計時動作期間ΔT3(時定数回路161の放電期間)との関係を示している。図27に示すように、時刻t1に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT1と期間ΔT3が始まる。期間ΔT3終了以降で期間ΔT1以内の時刻t2に、所望信号Aの立ち下がりを検出すると、カウンタ152がカウントアップする。更に、期間ΔT2が始まる。この期間ΔT2の間、判定回路150は、検波信号の立ち上がり、立ち下がりを検出できない。よって、時刻t3に非所望信号Bが入力されても、判定回路150は、時刻t3、t4の非所望信号Bの立ち上がり、立ち下がりを検出できず、カウンタ152のカウント値は変わらない。
時刻t5に、期間ΔT2が終了し、同時に期間ΔT1が始まる。その後、期間ΔT1内の時刻t6に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT3が始まる。期間ΔT3終了以降で期間ΔT1以内の時刻t7に、所望信号Aの立ち下がりを検出すると、カウンタ152がカウントアップし、期間ΔT2が始まる。以後、同様な動作が繰り返される。
以上、本実施の形態8にかかる信号処理装置800は、時定数回路161の放電時間(期間ΔT3)よりも持続時間が長く、且つ期間ΔT1よりも持続時間の短いバースト信号が、期間ΔT2とそのバースト信号のバースト時間長よりも長く、且つ期間ΔT2とΔT1の和よりも短いインターバルで並んでいる信号(図27の信号A)を所望信号として判定できる。
発明の実施の形態9
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態9について、図面を参照しながら詳細に説明する。図28に本実施の形態9にかかる信号処理装置900の動作のフローチャートを示す。信号処理装置900の構成は、実施の形態8と同様なため、説明は省略する。実施の形態8とは判定回路150の動作が異なり、図28のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置900の動作を説明する。
図28に信号処理装置900の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ152のカウント値をゼロにリセットする(S901)。次に検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S902)。検波回路110が信号を検出すると(S902Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S903)。検波回路110が信号を検出しない場合(S902No)、S902の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
次に、時定数回路161の放電動作を開始する(S904)。次に、検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S905)。検波回路110が信号を検出しない場合(S905No)、初期状態(S901)に戻る。つまり、検波信号が期間ΔT1及びΔT3以内に立ち下がった場合、初期状態に戻る。
検波回路110が信号を検出し(S905Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S906No)、S905の動作に戻る。つまり、期間ΔT1以内に検波信号を検出しているか否かを判定回路150が判定している。
検波回路110が信号を検出し(S905Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S906Yes)、検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S907)。検波回路110が信号を検出しない場合(S907No)、カウンタ152のカウント値を「1」増やす(S909)。
検波回路110が信号を検出し(S907Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S908Yes)、初期状態(S901)に戻る。検波回路110が信号を検出し(S907Yes)、時定数回路161の放電電圧が所定の閾値電圧以上の場合(S908No)、S907の動作に戻る。つまり、期間ΔT3の間、判定回路150が、検波信号の立ち下がりを検出するか否かを判定する。
次に、カウンタ152のカウント値が所定の値に達した場合(S910Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S911)。カウンタ152のカウント値が所定の値に達していない場合(S910No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S912)。
時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S913No)、S913の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作が期間ΔT2継続される。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S913Yes)、時定数回路131の放電を開始する(S914)。
次に、判定回路150が、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出した場合(S915Yes)、S904の動作に戻る。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S915No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S916No)、S915の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出するか否かを判定する。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S915No)、且つ時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S916Yes)、初期動作(S901)に戻る。つまり、期間ΔT1の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出しなかったと判定し、初期状態に戻る。
図29に信号処理装置900の動作を説明するための模式図を示す。図29は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)と、計時回路140の計時動作期間ΔT2(時定数回路141の放電期間)と、計時回路160の計時動作期間ΔT3(時定数回路161の放電期間)との関係を示している。図29に示すように、時刻t1に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT1と期間ΔT3が始まる。期間ΔT1終了以降で期間ΔT3以内の時刻t2に、所望信号Aの立ち下がりを検出すると、カウンタ152がカウントアップする。更に、期間ΔT2が始まる。この期間ΔT2の間、判定回路150は、検波信号の立ち上がり、立ち下がりを検出できない。よって、時刻t3に非所望信号Bが入力されても、判定回路150は、時刻t3、t4の非所望信号Bの立ち上がり、立ち下がりを検出できず、カウンタ152のカウント値は変わらない。
時刻t5に、期間ΔT2が終了し、同時に期間ΔT1が始まる。その後、期間ΔT1内の時刻t6に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT3が始まる。期間ΔT1終了以降で期間ΔT3以内の時刻t7に、所望信号Aの立ち下がりを検出すると、カウンタ152がカウントアップし、期間ΔT2が始まる。以後、同様な動作が繰り返される。
以上、本実施の形態9にかかる信号処理装置900は、期間ΔT1とΔT3のオーバラップ時間よりも持続時間が長く、且つ期間ΔT1が開始されてから期間ΔT3が終了するまでの時間よりも持続時間の短いバースト信号が、期間ΔT2とそのバースト時間長の和よりも長いインターバルで並んでいて、且つ期間ΔT2とΔT1とそのバースト信号のバースト時間長の和よりも短いインターバルで並んでいる信号(図29の信号A)を所望信号として判定できる。
発明の実施の形態10
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態10について、図面を参照しながら詳細に説明する。図30に本実施の形態10にかかる信号処理装置1000の構成を示す。本実施の形態10と、実施の形態8との違いは計時回路が3つではなく4つで構成される点である。
図30に示すように、信号処理装置1000は、判定回路150と計時回路160、170以外は、実施の形態8と実質的に同様の構成ため、判定回路150と計時回路160以外の説明は省略する。
計時回路170は、時定数回路171と、コンパレータ172とを有している。時定数回路171は、時定数回路131、141、161と同様の構成となっており、詳細な説明は省略する。但し、時定数回路171が有する時定数はΔT4(以下、期間ΔT4と称す)である。また、コンパレータ172も、コンパレータ132、142、162と同様の構成となっており、詳細な説明は省略する。よって、計時回路170は、期間ΔT4を計時する機能を有する。
また、計時回路170が加わるため、判定回路150の動作も実施の形態8と異なる。よって、図31の動作のフローチャートを用いて、その部分を含めた信号処理装置1000の動作を説明する。なお、本実施の形態10でも、カウンタ151は特に利用しなくてもよい。
図31に信号処理装置1000の動作のフローチャートを示す。まずカウンタ152のカウント値をゼロにリセットする(S1001)。次に検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S1002)。検波回路110が信号を検出すると(S1002Yes)、時定数回路131の放電動作を開始する(S1003)。検波回路110が信号を検出しない場合(S1002No)、S1002の動作に戻り、モニタ動作を継続する。
次に、時定数回路161の放電動作を開始する(S1004)。次に検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S1005)。検波回路110が信号を検出しない場合(S1005No)、初期状態(S1001)に戻る。
検波回路110が信号を検出し(S1005Yes)、時定数回路161の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S1006No)、S1005の動作に戻る。つまり、期間ΔT3の間、検波回路110が信号を検出しているか否かを判定回路150が判定している。
検波回路110が信号を検出し(S1005Yes)、時定数回路161の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S1006Yes)、検波回路110が信号を検出しているかどうかをモニタする(S1007)。
次に、検波回路110が信号を検出しない場合(S1007No)、カウンタ152のカウント値を「1」増やす(S1009)。検波回路110が信号を検出し(S1007Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S1008Yes)、初期状態(S1001)に戻る。検波回路110が信号を検出し(S1007Yes)、時定数回路131の放電電圧が所定の閾値電圧以上の場合(S1008No)、S1007の動作に戻る。つまり、期間ΔT1の間、判定回路150が、検波信号の立ち下がりを検出するか否かを判定する。
次に、カウンタ152のカウント値が所定の値に達した場合(S1010Yes)、所望信号を検出したと判定し、ハイレベルの判定信号を出力する(S1011)。カウンタ152のカウント値が所定の値に達していない場合(S1010No)、時定数回路141の放電動作を開始する(S1012)。
時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S1013No)、S1013の動作に戻る。つまり、計時回路140の計時動作が期間ΔT2継続される。時定数回路141の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S1013Yes)、時定数回路171の放電を開始する(S1014)。つまり、期間ΔT2が終了し、期間ΔT4が開始される。
次に、判定回路150が、検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出した場合(S1015Yes)、時定数回路171を充電状態セットする(S1016)。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S1015No)、且つ時定数回路171の放電電圧が所定の閾値電圧以上である場合(S1017No)、S1015の動作に戻る。つまり、期間ΔT4の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出するか否かを判定する。検波回路110の「信号非検出」から「信号検出」への状態遷移を検出しなかった場合(S1015No)、且つ時定数回路171の放電電圧が所定の閾値電圧より低い場合(S1017Yes)、初期動作(S1001)に戻る。つまり、期間ΔT4の間に、判定回路150が、検波信号の立ち上がりを検出しなかったと判定し、初期状態に戻る。
図32に信号処理装置1000の動作を説明するための模式図を示す。図32は、検波回路110の検波信号に対応する弁別回路120からの信号と、計時回路130の計時動作期間ΔT1(時定数回路131の放電期間)と、計時回路140の計時動作期間ΔT2(時定数回路141の放電期間)と、計時回路160の計時動作期間ΔT3(時定数回路161の放電期間)、計時回路170の計時動作期間ΔT4(時定数回路171の放電期間)との関係を示している。
図32に示すように、時刻t1に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT1と期間ΔT3が始まる。期間ΔT3終了以降で期間ΔT1以内の時刻t2に、所望信号Aの立ち下がりを検出すると、カウンタ152がカウントアップし、期間ΔT2が始まる。この期間ΔT2の間、判定回路150は、検波信号の立ち上がり、立ち下がりを検出できない。よって、時刻t3に非所望信号Bが入力されても、判定回路150は、時刻t3、t4の非所望信号Bの立ち上がり、立ち下がりを検出できず、カウンタ152のカウント値は変わらない。
時刻t5に、期間ΔT2が終了し、同時に期間ΔT4が始まる。その後、期間ΔT4内の時刻t6に所望信号Aの立ち上がりを検出し、期間ΔT1と期間ΔT3が始まる。期間ΔT3終了以降で期間ΔT1以内の時刻t7に、所望信号Aの立ち下がりを検出すると、カウンタ152がカウントアップし、期間ΔT2が始まる。以後、同様な動作が繰り返される。
以上、本実施の形態10にかかる信号処理装置1000は、期間ΔT3よりも持続時間が長く、且つ期間ΔT1よりも持続時間の短いバースト信号が、期間ΔT2とそのバースト信号のバースト時間長よりも長く、且つ期間ΔT2と時定数回路171の放電時間(期間ΔT4)の和よりも短いインターバルで並んでいる信号(図32の信号A)を所望信号として判定できる。
このため、信号処理装置1000は、期間ΔT4の長さを時定数回路171の構成により自由に設定できる。このため、所望信号であるバースト信号のインターバル期間を弁別するためのパラメタである期間ΔT2のバラツキを吸収することができる。
実施の形態8または9では、期間ΔT1もしくは期間ΔT3がこの期間ΔT4の役割を担っている。しかしその場合、バースト信号のバースト継続時間の弁別と、上記役割とを同時に満たすことが求められる分、設計ウィンドウが狭くなる問題がある。本実施の形態10にかかる信号処理装置1000は、その問題に対して計時回路170を用いることで解決している。
発明の実施の形態11
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態11について、図面を参照しながら詳細に説明する。図33に本実施の形態11にかかる信号処理装置1100の動作のフローチャートを示す。まず、第1の所望信号に適した検出シーケンスを実行する(S1101)。これを所定の回数繰り返す(S1102No)。
次に所定の回数繰り返した場合(S1102Yes)、第2の所望信号に適した検出シーケンスを実行する(S1103)。S1103の動作を所定の回数繰り返す(S1104No)。
次に所定の回数繰り返した場合(S1104Yes)、第3の所望信号に適した検出シーケンスを実行する(S1105)。S1105の動作を所定の回数繰り返す(S1106No)。以後、同様に第4、第5、・・・・、の所望信号に適した検出シーケンスを所定の回数繰り返し行う。
ここで、第1、第2、第3、・・・・、の所望信号に適した検出シーケンスとは、これまでに述べた実施の形態の中で説明してきた個々の動作フローチャート、あるいはそれ以外の本発明に基づく動作フローチャートを指す。よって、本実施の形態11では、様々な通信方式に適した検出フローチャート(検出シーケンス)を順番に試行することにより、現在行われている通信の種類についての情報を得ることが出来る。これは例えば、複数方式に対応した無線装置を起動する際に、どの方式に対応する状態で起動するかを決定するなどの用途に用いることが出来る。
発明の実施の形態12
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態12について、図面を参照しながら詳細に説明する。図34に本実施の形態12にかかる信号処理装置1200の動作のフローチャートを示す。まず、第1の検出シーケンスを実行する(S1201)。これを所定の回数繰り返す(S1202No)。
次に所定の回数繰り返した場合(S1202Yes)、第2の検出シーケンスを実行する(S1203)。S1203の動作を所定の回数繰り返す(S1204No)。
次に所定の回数繰り返した場合(S1204Yes)、第3の検出シーケンスを実行する(S1205)。S1205の動作を所定の回数繰り返す(S1206No)。以後、同様に第4、第5、・・・・、の検出シーケンスを所定の回数繰り返し行う。
ここで、第1、第2、第3、・・・・、の検出シーケンスとは、これまで述べてきた実施の形態で説明してきた個々の動作フローチャート、あるいはそれ以外の本発明に基づく動作フローチャートを指す。本実施の形態12では、一つの通信方式に対して様々な動作フローチャートに基づいて検出を試みる。なお最終的な検出判定は、任意の一つの方法で検出されたものを検出と見なす方法や、ある決まった数の種類の方法で検出されたものを検出と見なす方法などが考えられる。以上により、誤検出の可能性を低減したり、検出見逃しの可能性を低減したりすることが可能である。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものでなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。