JP4895155B2 - 電子機器用筐体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
軽合金としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金などがある。このうち、マグネシウム合金は、密度が1.8であり、軽量化材料として多用されているアルミニウムの密度2.7と比較しても、非常に小さいので、マグネシウム合金を用いて携帯型情報機器とすることで、さらに軽量化することできる。また、平面部は主要部肉厚を0.5〜0.8mmで、ボスは、先端部の外径が4〜10mm、高さが2〜10mmに形成されていれば、ボスにかかるねじりや曲げ応力に耐え、表示部開閉のためのヒンジ機能が損なわれ難くなる。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る筐体の製造方法を示し、(A)は、素材となるボス15と金属板材11A、(B)は、金属板材11Aの所定部位に、素材となるボス15を仮接合している状態、(C)は、仮接合したボス15を金属板材11Aと共に鍛造を施している状態の、左側は各工程の断面図、右側は成形体の断面図である。なお、各工程(A)〜(C)ごとに、別体から一体に、また要部肉厚は変化するのであるが、説明の簡略化のため、各工程(A)〜(C)を通じ、同符号で示している。
図1(A)で、ボスの素材15は、(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金からなり、外径dがφ5mm、高さhが、鍛造加工後のボス15の体積(V2)に対してその体積V1を1.1倍とした7.7mmとされ、その下端に微小突起のチップ15pが形成されている。金属板材11Aは、(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金展伸材からなり、平面部の厚さt12が0.7mm、鍛造後の筐体形状を見込んだ形状とされている。
図1(B)で、金属板材11Aが、X−Yステージ付き自動スタッド溶接装置(図示せず)の保持台23a上に配置された後、把持具23bで把持されたボスの素材15が、正確に位置決めされ、金属板材11Aに押圧(P1)しつつ、スタッド溶接されている。これにより、金属板材11Aとボス15とが仮接合され、ボス仮接合材11Bとされている。
図1(C)で、24aは下型、24bは上型、24cは金型キャビティである。下型24a、上型24bともに加熱保持され、鍛造前のボス仮接合材11Bも加熱保持されている。ボス仮接合材11Bは、下型24a上に載置された後、上型24bが下降され、適切な鍛造速度、荷重(P2)で鍛造されている。そして、鍛造加工が施された後、ボス15の体積がV2で、根元になだらかな半径Rが付与された鍛造材11Cとされている。鍛造材11Cには、周辺にバリが発生するので、このバリを除去するトリミング処理が行われ、次いで、ボス15へのネジ孔ほかの機械加工(図示せず)が施され、さらに表面処理が施され、筐体とされている。そして、実施の形態1に係る筐体の製造方法により得られた筐体は、ボス15にかかるねじりや曲げ応力に耐え得るようになる。
図2は、実施の形態2に係る筐体の製造方法を示し、(A)は、素材となるボス15と金属板材11A、(B)は、金属板材11Aの所定部位に素材となるボス15を仮接合している状態、(C)は、仮接合したボス15を金属板材11と共に鍛造を施している状態の、左側は各工程の断面図、右側は成形体の断面図である。なお、各工程(A)〜(C)ごとに、別体から一体に、また要部肉厚は変化するのであるが、説明の簡略化のため、各工程(A)〜(C)を通じ、同符号で示している。
図2(A)で、素材となるスタッド15は、アルミニウム合金からなり、外径dがφ6mm、高さhが、鍛造加工後のボス15の体積(V2)に対してその体積V1を1.2倍とした7.9mmとされ、その下端に微小突起のチップ15pが形成されている。金属板材11Aは、アルミニウム合金展伸材からなり、平面部の厚さt12が0.7mm、鍛造後の筐体形状を見込んだ形状とされている。
図2(B)で、X−Yステージ付き自動スタッド溶接装置(図示せず)の保持台23aには、後述の仮接合する部位に窪み23pを設けている。そして、金属板材11Aが、この保持台23a上に配置された後、把持具23bで把持されたボスの素材15が、正確に位置決めされ、金属板材11Aに押圧(P1)しつつ、スタッド溶接されている。これにより、金属板材11Aとボス15とが仮接合され、突起部11pが僅かに形成されたボス仮接合材11Bとされている。
図2(C)で、24aは下型、24bは上型、24cは金型キャビティである。下型24a、上型24bともに加熱保持され、突起部11pが僅かに形成されたボス仮接合材11Bも加熱保持されている。突起部11pが僅かに形成されたボス仮接合材11Bは、下型24a上に載置された後、上型24bが下降され、適切な鍛造速度、荷重(P2)で鍛造されている。そして、鍛造加工が施された後、ボス15の体積がV2で、根元になだらかな半径Rが付与され、しかも、突起部(11p)が無くなり平坦となった鍛造材11Cとされている。鍛造材11Cには、前述した実施の形態1と同様に、トリミング処理、機械加工、表面処理などが施され、筐体とされている。そして、実施の形態2に係る筐体の製造方法により得られた筐体は、ボス15にかかるねじりや曲げ応力に耐え得るようになる。
図3は、実施の形態3に係る筐体の製造方法を示し、(A)は、素材となるボス15と金属板材11A、(B)は、金属板材11Aの所定部位に素材となるボス15を仮接合している状態、(C)は、仮接合したボス15を金属板材11と共に鍛造を施している状態の、左側は各工程の断面図、右側は成形体の断面図である。
図3(A)で、素材となるスタッド15は、(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金からなり、外径dは先端φ6mmで根元φ7mmと勾配(テーパ)15tを形成し、高さhが、鍛造加工後のボス15の体積(V2)に対してその体積V1を1.2倍とした8.0mmとされ、その下端に微小突起のチップ15pが形成されている。金属板材11Aは、(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金展伸材からなり、平面部の厚さt12が0.8mm、鍛造後の筐体形状を見込んだ形状とされている。
図3(B)で、金属板材11Aが、X−Yステージ付き自動スタッド溶接装置(図示せず)の保持台23a上に配置された後、把持具23bで把持されたボスの素材15が、正確に位置決めされ、金属板材11Aに押圧(P1)しつつ、スタッド溶接されている。スタッド溶接のとき、把持具23bは、吸引装置によりボスの素材15を吸引しつつ勾配(テーパ)15tを把持している。
図3(C)で、24aは下型、24bは上型、24cは金型キャビティである。下型24a、上型24bともに加熱保持され、勾配(テーパ)15tが形成されたボス仮接合材11Bも加熱保持されている。勾配(テーパ)15tが形成されたボス仮接合材11Bは、下型24a上に載置された後、上型24bが下降され、適切な鍛造速度、荷重(P2)で鍛造されている。そして、鍛造加工が施された後、ボス15の体積がV2で、根元になだらかな半径Rが付与され、テーパ15tが形成された鍛造材11Cとされている。鍛造材11Cには、前述した実施の形態1と同様に、トリミング処理、機械加工、表面処理などが施され、筐体とされている。実施の形態3に係る筐体の製造方法は、勾配(テーパ)15tが形成されたボス仮接合材11Bに、鍛造加工を施すので、鍛造荷重を少なくして鍛造設備を小型化、また省エネを図ることができる。そして、実施の形態3に係る筐体の製造方法により得られた筐体は、ボス15にかかるねじりや曲げ応力に耐え得るようになる。
図4は、実施の形態4に係るノートパソコン用の筐体11を示し、(a)はヒンジの取付面13側から見た平面図、(b)は(a)でのX−X断面図、(c)は(a)でのY−Y断面図、(d)は(c)でのZ部拡大図である。図4で、筐体11は、マグネシウム合金からなり、略矩形状の平面部12と、この平面部12の一部の角隅に補強面13と、平面部12の両側に立設する側壁14とを備えている。補強面13には、ヒンジ(図示せず)が取り付られるボス15a〜15dが、スタッド溶接により接合されている。そして、補強面13の主要部肉厚t13が、平面部12の主要部肉厚t12より厚肉に形成され、かつ、側壁14の主要部肉厚t14が、補強面13の主要部肉厚t13と同じかまたは厚肉に形成されている。具体的には、筐体11は、(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金からなり、平面視で、幅Wが260mm、奥行きDが210mm、平面部12の主要部肉厚t12が0.7mm、補強面13の主要部肉厚t13が0.9mm、補強面13の寸法が(E)40mm×(F)25mm、側壁14の主要部肉厚t14が1.2mmで、側壁の高さHが10mmとされている。前後壁16の中央部の主要部肉厚t12は、平面部12の肉厚t12と同じにされている。また、補強面13に接合されるボス15a〜15dは、外径が6mmとしてスタッド溶接後、鍛造加工が施され、ヒンジ(図示せず)を固定するための雌ねじ15sが形成されている。このように、補強面13の主要部肉厚t13が0.9mmと、平面部12の主要部肉厚t12の0.7mmより厚肉に形成されているので、補強面13の強度と曲げ剛性が向上されている。さらに、側壁14の主要部肉厚t14が1.2mmと、補強面13の主要部肉厚t13の0.9mmより厚肉に形成されているので、筐体11全体の強度と曲げ剛性が向上されている。したがって、筐体11が、ヒンジ(図示せず)を介して開閉され、ボス15にねじりや曲げ応力が集中し、しかも繰り返しかかっても、疲労によってボス15が変形したり、変形が進んでボス15の根元などへの亀裂の発生が防止されている。これにより、ノートパソコンの筐体として意匠性が確保され、また表示部開閉のためのヒンジ機能が損なわれなくなっている。
図5(A)で、スタッド15a〜15dは、(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金からなり、外径dがφ5mm、高さhが、鍛造加工後のボス15a〜15dに対して各々その体積を1.1倍とした7.7mmとされ、その先端に微小突起のチップ15pが形成されている。展伸材11Aは、押出加工後、切断された(ASTM規格)AZ31マグネシウム合金からなり、中央部の厚さt12が0.7mm、中間部の厚さt13が0.9mm、外側の厚さt14が1.1mmで、3段に肉厚が増された不等肉厚材となっている。マグネシウム合金板11Aは、鍛造後の筐体形状を見込んだ形状とされ、幅Wbが300mm、奥行きDbが25Omm、隅角にRa加工が施されている。
図5(B)で、X−Yステージ付きの自動スタッド溶接装置(図示せず)の保持台22a上に載置された展伸材11Aに、把持具で把持されたスタッド15a〜15dが、各々、正確に位置決めされた後、スタッド溶接されている。これにより、展伸材11Aと4個のスタッド15a〜15dが仮接合されている。
図5(C)で、24aは下型、24bは上型である。下型24a、上型24bともに380℃に加熱保持され、鍛造前の展伸材11Aとスタッド15a〜15は、430℃に加熱されている。ボス仮接合材11Bは、下型24a上に載置された後、上型24bが下降され、鍛造速度30spm、荷重9000kNで鍛造加工が施されている。鍛造加工後、鍛造材11Cは、側壁14が立ち上げられ、平面部12の主要部肉厚t12が0.7mm、ボス15が形成される面13の主要部肉厚t13が0.9mm、側壁14の主要部肉厚t14が1.1mm、図示しないが、ボス15a〜15dの根元にはなだらかなRが付与されている。鍛造材11Cには、周辺にバリが発生するので、このバリを除去するトリミング処理が行われ、次いで、ボス15への雌ねじ(15s)ほかの機械加工(図示せず)が施され、さらに、仮防食の後、塗装や陽極酸化皮膜処理などの表面処理が施され、図4に示す筐体11とされている。
図6は、実施の形態6に係る筐体を示し、(a)は平面部12を平坦とした筐体11、また(b)は平面部12を突出させた筐体11の一部断面図である。図6(a)(b)で、各筐体11は、平面部12から側壁14側に傾斜する接続面12bを有し、この接続面12bの一部にボス15が形成されている。実施の形態5に係る筐体11によれば、ボス15が側壁14側に近接しているので、曲げ剛性が向上され、ボス15にねじりや曲げ応力が集中して繰り返しかかっても、疲労によってボス15が変形したりせず、また亀裂の発生が防止されるので、ノートパソコンなどの筐体での意匠性が確保され、また表示部開閉のためのヒンジ機能が損なわれなくなる。なお、実施の形態5の筐体11は、前述した実施の形態1〜4の鍛造における、下型24a、上型24bのキャビティ24cの形状を変えることで容易に得ることができる。
11A:金属板材、または展伸材
11B:ボス仮接合材
11C:鍛造材
11p:突起部
12:平面部
12b:接続面
13:補強面
14:側壁
15(15a〜15d)、75、85、95:ボス、またはボスの素材
15p、85p:チップ
15s:雌ねじ
15t:勾配(テーパ)
23a、83:保持台
23b:把持具
23p、83p:窪み
24a:下型
24b:上型
24c:金型キャビティ
70:ノートパソコン
72:表示部
72a:上端
73:液晶表示装置
73a:表示面
76:枠筐体
77:本体
78:ヒンジ
78a:取付部
81、91:アルミニウム板
81f:表面
81p:溶接跡
84:飛散物(スパッタ)
86:ばね
87:コンデンサ
87a:結線
87b:スイッチ
91a、95a:低融点金属層
93:フィレット
D、Db:奥行き
d:ボスの外径
E×F:補強面の寸法
h:ボスの高さ
P1:押圧
P2:荷重
R:なだらかな半径
t12:平面部の主要部肉厚(中央部の厚さ)
t13:厚肉とした平面部の主要部肉厚(中間部の厚さ)
t14:側壁の主要部肉厚(外側の厚さ)
Θ1:開き角度
Θ2:全開き角度
V1:鍛造加工前のボス素材の体積
V2:鍛造加工後のボスの体積
W、Wb:幅
Claims (11)
- 金属板材の平面部にボスを備える電子機器用筐体であって、前記金属板材とボスの素材とがスタッド溶接により仮接合された後、この金属板材とボスの素材とを仮接合部を含めて金型を用いて鍛造加工が施されていることを特徴とする電子機器用筐体。
- 前記筐体は、略矩形状の前記平面部と該平面部の両側に立設する側壁とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用筐体。
- 前記平面部は、前記側壁側に傾斜する接続面を有し、該接続面の一部にボスが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器用筐体。
- 前記筐体は、その内面に液晶表示装置を収納する、ノートパソコン用の背面筐体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れかに記載の電子機器用筐体。
- 前記ボスが、ヒンジを取り付けるためのヒンジ取付ボスであることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れかに記載の電子機器用筐体。
- 前記筐体は、軽合金からなり、前記平面部の主要部肉厚が0.5〜0.8mm、前記ボスは、先端部の外径が4〜10mm、高さが2〜10mmに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れかに記載の電子機器用筐体。
- 金属板材の平面部にボスを備える電子機器用筐体の製造方法であって、前記金属板材とボスの素材とがスタッド溶接により仮接合された後、この金属板材とボスの素材とを仮接合部を含めて金型を用いて鍛造加工が施されていることを特徴とする電子機器用筐体の製造方法。
- 前記金属板材とボスの素材との仮接合は、前記金属板材が保持台上に配置され、該金属板材とボスの素材とがスタッド溶接して行われることを特徴とする請求項7に記載の電子機器用筐体の製造方法。
- 前記保持台上の前記仮接合する部位に、窪みを設けてスタッド溶接されることを特徴とする請求項8に記載の電子機器用筐体の製造方法。
- 前記鍛造加工の前、前記ボスの素材はその外周に勾配が形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電子機器用筐体の製造方法。
- 前記筐体は、軽合金からなり、前記ボスは、先端部の外径が4〜10mm、高さが2〜10mmで、前記ボスの素材の体積が、鍛造加工後のボスの体積に対して1.05〜1.5とされていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電子機器用筐体の製造方法。
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