JP4894416B2 - 熱電材料の製造方法、熱電素子の製造方法及び熱電モジュールの製造方法 - Google Patents

熱電材料の製造方法、熱電素子の製造方法及び熱電モジュールの製造方法 Download PDF

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本発明は、ペルチェモジュール等の熱電素子を構成する熱電材料の製造方法、この方法で作製された熱電材料を使用した熱電素子の製造方法及び熱電モジュールの製造方法に関し、特に、溶解凝固法を使用した熱電材料の製造方法、熱電素子の製造方法及び熱電モジュールの製造方法に関する。
従来、ペルチェモジュール等の熱電素子に使用される熱電材料は、一方向凝固法、ホットプレス法及び塑性加工法等により製造されている。例えば、一方向凝固法により熱電材料を製造する場合は、原料を所定量秤量した後溶解し、その融液を、温度勾配を与えつつ徐冷して凝固させる。一方向凝固法は、結晶を一方向に配向をさせることができるため、この方法で製造された熱電材料は、パワーファクター(以下、P.F.ともいう)が優れ、製造コストが安いという長所がある。なお、P.F.は、ゼーベック係数及び比抵抗により表される出力因子であり、ゼーベック係数をα(V/K)、比抵抗をρ(Ω・m)としたとき、下記数式1により表される。
Figure 0004894416
また、ホットプレス法により熱電材料を製造する場合は、原料を所定量秤量した後溶解し凝固させたインゴットを粉砕したもの、又は、原料融液を液体急冷して薄片状若しくは粉体状にしたものを、金型に充填して加圧しながら焼結する。これにより、強度が高く、熱電素子への加工が容易な熱電材料が得られる。更に、塑性加工法により熱電材料を製造する場合は、前述のホットプレス法と同様の方法で作製したインゴット粉砕粉、液体急冷薄片又は液体急冷粉末を、熱間で押出し、鍛造法又はECAP(Equal-Channel Angular Pressing)法等の方法により塑性加工する。この方法では、強度が高く、素子加工が容易で、且つ熱電性能が優れた熱電材料を製造することができる。
上述の方法で製造された従来の熱電材料は、熱電素子に加工されて、熱電モジュールとなる。図10(a)乃至(e)は従来の熱電モジュール製造方法をその工程順に示す図である。先ず、上述の方法によりp型熱電材料及びn型熱電材料を作製し、図10(a)に示すように、これらの熱電材料101を、夫々、ワイヤソー又は内周刃切断機によりスライシングして複数の熱電材料ウエハ102とする。次に、図10(b)に示すように、得られた熱電材料ウエハ102の両面にバリア層としてNi等の金属からなるめっき層103を形成する。その後、図10(c)に示すように、めっき層103が形成された熱電材料ウエハ102をダイシングして、図10(d)に示す立方体状又は直方体状の熱電素子104とする。次に、図10(e)に示すように、熱電素子104を電極が形成された下基板105上にp型熱電素子とn型熱電素子とが直列に接続されるように実装し、更に、リフロー装置及びホットプレート等により上基板106をはんだ付けして熱電モジュールとする。
また、従来、複数の孔が形成された型枠を熱電材料の融液に浸漬し、その複数の孔に融液を充填した後、型枠を一方の端部から冷却して孔に充填された融液を、例えば20乃至40℃/cm程度の温度勾配をつけながら一方向凝固させることにより棒状の熱電材料単結晶を作製し、この棒状の熱電材料単結晶を所定の長さに切断して熱電素子とする方法が提案されている。(特許文献1参照。)。
更に、型の内部に設けられ、断面積が10mm以下で長さが10mm以上の空間に、カーボンを主成分とする離型剤を塗布した後熱電材料の融液を流し込み、2mm/時以下の速度で結晶化させ、更に80乃至400℃の温度で熱処理することにより、歩留りを向上させると共に低コスト化を図った熱電素子用結晶体の製造方法もある(特許文献2参照)。更にまた、ブリッジマン法、チョクラルスキー法及びゾーンメルト法等により、熱電材料の融液を結晶化させ、その後、真空中又は不活性ガス中で熱処理することにより、結晶粒界に偏析・析出した添加元素を結晶粒内に拡散させる熱電材料の製造方法も提案されている(特許文献3参照)。
特開平8−228027号公報 特開2003−347608号公報 特開2004−63768号公報
しかしながら、前述の従来の技術には以下に示す問題点がある。一方向凝固法は、安価に特性が優れた熱電材料を製造することができるが、製造された熱電材料に劈開性があるため、熱電素子への加工が困難であるという問題点がある。この問題点は、特許文献1及び2に記載の熱電素子の製造方法のように、型を使用して熱電素子の融液を固化させることにより改善することができるが、これらの方法では、棒状の熱電材料単結晶を切断してチップ状にした後、この切り出された熱電素子にめっき層を形成しなければならず、チップ状の熱電素子の対向する2面にのみめっきを施すことは困難であるという問題点がある。更に、これらの一方向凝固法は、冷却速度が遅いため、結晶粒が粗大化し、脆い素子となるという問題点がある。なお、特許文献1には、融液を急冷してもよいと記載されているが、型枠が冷却方向に長い形状であるため、一方向に急冷することは実質的に困難である。
更に、特許文献3に記載の熱電材料の製造方法では、ブリッジマン法、チョクラルスキー法及びゾーンメルト法等により作製した熱電材料のインゴットを、真空中又は不活性ガス中で熱処理して、性能向上を図っているが、この方法には、偏析が生じるため、物性分布が十分に改善されないという問題点がある。
一方、ホットプレス法により製造された熱電材料は、強度が高く、熱電素子への加工が容易であるが、熱電性能が低く、製造コストがかかるという問題点がある。更に、塑性加工法により製造された熱電材料は、強度が高く、素子加工が容易であり、また、熱電性能が優れているが、製造コストが極めて高いという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、高性能の熱電材料を容易に製造することができる熱電材料の製造方法、熱電素子の製造方法及び熱電モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本願第1発明に係る熱電材料の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む熱電材料の製造方法において、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された金型の前記凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように原料の融液を充填する工程と、前記金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に600℃/分以上の冷却速度で急冷することにより前記融液を凝固させる工程と、を有し、前記金型をその下面又は上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを10mm以下とし、前記金型をその下面及び上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを20mm以下とすることを特徴とする。
本発明においては、原料の融液を金型の凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように充填し、従来の一方向凝固法よりも速い600℃/分以上の冷却速度で金型の厚さ方向に冷却しているため、従来の方法で一方向凝固させた熱電材料よりも結晶粒径が小さくなり、機械的強度を向上させることができる。また、融液を一方向凝固させているため、熱電材料に配向性を付与することができる。これにより、熱電性能が高く、加工性が優れた熱電材料が得られる。
本願第2発明に係る熱電素子の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む熱電材料の製造方法において、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された金型の前記凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように原料の融液を充填する工程と、前記金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に600℃/分以上の冷却速度で急冷することにより前記融液を凝固させて板状の熱電材料を得る工程と、前記熱電材料をウエハ状に切り出す工程と、切り出された熱電材料ウエハの両面にめっき層を形成する工程と、前記めっき層が形成された熱電材料ウエハをチップ状に切断する工程と、を有し、前記金型をその下面又は上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを10mm以下とし、前記金型をその下面及び上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを20mm以下とすることを特徴とする。
本発明においては、原料の融液を金型の凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように充填し、従来の一方向凝固法よりも速い速度で熱電材料の融液を急冷しているため、従来の一方向凝固材から作製した熱電素子よりも結晶粒径が小さくなり、機械的強度を向上させることができる。また、金型をその下面及び/又は上面から金型の厚さ方向に冷却することにより、原料の融液を一方向凝固させているため、結晶配向を付与することができる。これにより、熱電性能が高い熱電素子を歩留りよく製造することができる。
本願第3発明に係る熱電素子の製造方法は、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された第1の金型の前記凹部に、熱電素子の形状に整合する形状の複数の孔が形成された第2の金型を嵌合させ、前記複数の孔内に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるようにBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む熱電材料の融液を充填する工程と、前記金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に600℃/分以上の冷却速度で急冷して前記融液を凝固させる工程と、少なくとも前記熱電材料の端面にめっき層を形成する工程と、を有し、前記金型をその下面又は上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを10mm以下とし、前記金型をその下面及び上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを20mm以下とすることを特徴とする。
本発明においては、第1の金型の凹部に嵌合された第2の金型の孔内に、原料の融液を直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように充填し、従来の一方向凝固法よりも速い速度で熱電材料の融液を冷却しているため、従来の一方向凝固材から作製した熱電素子よりも結晶粒径が小さくなり、機械的強度を向上させることができる。また、金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に冷却することにより熱電材料の融液を一方向凝固させているため、結晶配向を付与することができる。更に、熱電材料の融液を素子形状に凝固させるため、スライシング及びダイシング等の素子形状にするための機械加工が不要になり、製造コストを低減することができると共に、歩留りを向上させることができる。その結果、熱電性能が高く、加工性が優れた熱電素子を歩留りよく製造することができる。
この熱電素子の製造方法では、前記融液を凝固させた後、前記熱電材料の前記第2の金型の表面から突出した部分を研磨により除去してもよい。これにより、熱電素子の高さを容易に調節することができる。
また、前記第2の金型として導電性の金型を使用し、この第2金型の孔内に凝固している状態で前記熱電材料の露出面としての端面にめっき層を形成してもよい。これにより、熱電素子の側面にはめっき層が形成されず、熱電素子の端面のみに容易にめっき層を形成することができるため、作業性及び歩留りが向上する。
更に、前記第2の金型は、前記熱電材料よりも熱伝導率が高い材料により形成することができる。これにより、外周部の結晶粒径を微細化することができるため、外周部の強度が向上する。
本願第4発明に係る熱電モジュールの製造方法は、下基板上の各下部電極上に夫々1対のp型熱電素子及びn型熱電素子が配置され、隣接する1対の下部電極に配置されたp型熱電素子及びn型熱電素子のうち隣接するp型熱電素子及びn型熱電素子が上基板上の1個の上部電極に接合されている熱電モジュールの製造方法において、前述の本願第3発明に係る熱電素子の製造方法により製造されたp型熱電素子を前記下部電極及び前記上部電極のうちの一方の電極上に押し出し、前記p型熱電材料と前記一方の電極とを接合する工程と、前述の本願第3発明に係る熱電素子の製造方法により製造されたn型熱電素子を前記下部電極及び前記上部電極のうちの他方の電極上に押し出し、前記n型熱電材料と前記他方の電極とを接合する工程と、前記下基板と前記上基板とを対向させて前記p型熱電材料と前記他方の電極とを接合すると共に前記n型熱電材料と前記一方の電極とを接合する工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、前述の本願第3発明に係る熱電素子の製造方法により製造されたp型熱電素子及びn型熱電素子を、第2の金型から直接基板上に押し出しているため、チップ状のp型及びn型熱電素子を基板上に交互に配置する必要がない。これにより、製造工程が簡素化され、製造時間を短縮できると共に歩留りを向上させることができる。
前記p型熱電素子を、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された第1の金型の前記凹部に嵌合される第2の金型として、熱電素子の形状に整合する形状の複数の孔がモジュールにおけるp型熱電素子の配列と同じ配列になるように形成された金型を使用して製造してもよく、また、前記n型熱電素子を、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された第1の金型の前記凹部に嵌合される第2の金型として、熱電素子の形状に整合する形状の複数の孔がモジュールにおけるn型熱電素子の配列と同じ配列になるように形成された金型を使用して製造してもよい。これにより、p型及びn型熱電素子を容易に基板上の所定の位置に配置することができる。
本願第5発明に係る熱電モジュールの製造方法は、下基板上の各下部電極上に夫々1対のp型熱電素子及びn型熱電素子が配置され、隣接する1対の下部電極に配置されたp型熱電素子及びn型熱電素子のうち隣接するp型熱電素子及びn型熱電素子が1個の上部電極に接合されている熱電モジュールの製造方法において、前述の本願第2又は第3発明に係る熱電素子の製造方法により製造された熱電素子を使用して製造されたことを特徴とする。
本発明においては、前述の本願第2又は第3発明に係る熱電素子の製造方法により製造された熱電素子を使用しているため、熱電性能が優れた熱電モジュールを、歩留りよく製造することができる。
本発明によれば、直径Dと充填深さHとの比(D/H)を1以上とし、従来の一方向凝固法よりも速い冷却速度で原料の融液を一方向凝固させているため、従来の一方向凝固材よりも加工性が向上し、高性能の熱電材料を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態に係る熱電材料の製造方法について説明する。図1(a)及び(b)は本実施形態の熱電材料の製造方法をその工程順に示す模式図である。本実施形態の熱電材料は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の熱電材料である。そして、この熱電材料を製造する際は、先ず、所定の組成になるように秤量した原料8を、平面視での形状が直径がDである円形状の凹部が形成された金型1の凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H))が1以上となるように充填する。その際、秤量した原料を、予め、溶解して凝固させた原料インゴットを使用することもできる。
次に、図1(a)に示すように、真空チャンバー2内に、原料8が充填された金型1を配置する。この真空チャンバー2は、上部にヒータ5が配置されると共に下部に水冷ブロック6が配置されており、これにより、上部が加熱部となり、下部が冷却部となっている。また、真空チャンバー2には、ガス導入口3、ガス排出口4及び金型引き下げロッド7が設けられている。そして、金型1は、先ず加熱部に配置される。その後、真空チャンバー2の内部を例えば0.133Pa(1×10−3Torr)以下に真空引きした後、ガス導入口3から真空チャンバー2の内にAr及びN等の不活性ガスを導入する。更に、その状態でヒータ5により金型1を700℃以上に加熱し、原料8を溶解させる。その際、原料8を高周波加熱したり、超音波を印加したり又は物理的に撹拌したりすることにより、溶湯を均質化することができる。
次に、図1(b)に示すように、金型1を加熱部から冷却部に移動させて、金型1の下面を水冷ブロック6に接触させることにより、金型1の凹部に充填されている溶湯8aを下方から上方に向かって急冷し、一方向凝固させる。このとき、溶湯8aの任意の位置における冷却速度は、600℃/分以上とする。これにより、結晶粒径が小さくなり、機械的強度を向上させることができる。また、水冷ブロック6を2枚用意し、金型1の上面及び下面の両方に接触させ、溶湯8aを上下方向から急冷してもよい。この場合も、溶湯8aを一方向凝固させることができる。次に、真空チャンバー2から金型1を取り出し、板状の熱電材料を得る。
この方法で作製した熱電材料は、図10(a)乃至(e)に示す従来と同様の方法でモジュール化することができる。具体的には、熱電材料を、必要に応じてワイヤソー又は内周刃切断機によりスライシングして複数の熱電材料ウエハとする。次に、得られた熱電材料ウエハの両面に、はんだ付け性を良好にするためのバリア層としてNi等の金属からなるめっき層を形成する。その後、めっき層が形成された熱電材料ウエハをダイシングして、立方体状の熱電素子とする。なお、この熱電素子は、原料の組成を調整することにより、n型熱電素子及びp型熱電素子とすることができる。
そして、めっき層が形成されている面が基板側になるようにして、熱電素子を下部電極が形成された下基板上に実装する。その後、リフロー及びホットプレート等により、熱電素子に上部電極が形成された上基板をはんだ付けすることにより、下部電極及び上部電極を介してp型熱電素子とn型熱電素子とを交互に直列に接続して熱電モジュールとする。
本実施形態の熱電材料の製造方法においては、従来の一方向凝固法よりも速い600℃/分以上の冷却速度で溶湯を急冷しているため、従来の方法で一方向凝固させた熱電材料よりも結晶粒径が小さく、機械的強度が優れている。このため、公知の方法で機械加工することができ、従来の一方向凝固材に比べて、熱電素子への加工が容易になると共に、加工中の不良を低減することができるため、歩留りが向上する。
また、本実施形態の熱電材料の製造方法においては、金型の下面及び/又は上面に水冷ブロックを接触させて、溶湯を一方向凝固させているため、熱電材料に配向性を付与することができる。これにより、P.F.が高い熱電材料が得られる。但し、金型1の凹部の直径Dと、この凹部に充填されている溶湯の充填深さHとの比であるアスペクト比(D/H)が1よりも小さいと、熱電材料に結晶配向を付与することはできない。図2(a)はアスペクト比(D/H)が1以上である場合の冷却状態を示す図であり、図2(b)はアスペクト比(D/H)が1よりも小さい場合の冷却状態を示す図である。図2(a)に示すように、金型の凹部に、アスペクト比(D/H)が1以上になるように溶湯を充填し、金型をその下面側から急冷した場合、外周から中心に向かう冷却よりも、下方から上方に向かう冷却が支配的になり、熱電材料10には結晶配向性が付与される。これに対して、図2(b)に示すように、金型の凹部に、アスペクト比(D/H)が1よりも小さくなるように溶湯を充填し、金型をその下面側から急冷した場合、下方から上方に向かう冷却よりも、外周から中心に向かう方向の冷却が支配的になるため、熱電材料11には結晶配向性は付与されない。
なお、図2(a)に示すように、金型を下面又は上面の一方からのみ冷却する場合は、熱電材料の高さ、即ち、溶湯の充填深さHが10mmを超えると、材料自体の熱容量により結晶配向を与えうる冷却速度が得られないことがある。よって、溶湯の充填深さHは10mm以下とする。図3は金型を両面から急冷した場合の冷却状態を示す図である。但し、図3に示すように、金型をその上面及び下面の両方から冷却する場合は、製造される熱電材料12の高さ、即ち、溶湯の充填深さHは20mm以下であればよい。
また、本実施形態の熱電材料の製造方法においては、平面視での形状が円形状の凹部が形成されている金型1を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹部の形状は平面視で多角形状でもよい。但し、その場合は、凹部の内接円の最大直径をDとし、この内接円の最大直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように、凹部に溶湯を充填する。このような金型1としては、例えば、側面と底面とにより構成され上面が開放されているるつぼ等を使用することができる。更に、本実施形態の熱電材料の製造方法においては、金型1内で原料を溶解しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金型1の凹部に原料の融液を充填してもよい。その場合も、直径Dと融液の充填深さHとの比(D/H)は1以上にする。
図4(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態の第1変形例の熱電材料の製造方法をその工程順に示す模式図であり、図5(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態の第2変形例の熱電材料の製造方法をその工程順に示す模式図である。前述の第1の実施形態の熱電材料の製造方法においては、金型1を加熱部から冷却部に移動させることにより、金型1の下面を水冷ブロック6に接触させて冷却しているが、本発明はこれに限定させるものではなく、図4(a)及び(b)に示す第1変形例の熱電材料の製造方法のように、水冷ブロック6を上方に移動させて、金型1の下面に接触させてもよい。また、図5(a)及び(b)に示す第2変形例の熱電材料の製造方法のように金型1の下面及び上面の両方から冷却する場合も、水冷ブロック6aを下方に移動させて金型1の上面に接触させると共に、水冷ブロック6bを上方に移動させて金型1の下面に接触させてもよい。
このように、水冷ブロック6を移動させて金型1を冷却することにより、冷却速度をより速くすることができる。図6は横軸に冷却時間をとり、縦軸に金型の温度をとって、金型の冷却状態を示すグラフ図である。図6に示すように、図1に示す第1の実施形態の熱電材料の製造方法のように冷却時に金型1を移動させる場合、水冷ブロック6と接触する前に炉内の温度低下があるため、冷却開始直後の金型1が冷却される速度が遅くなる。一方、図4に示す第1の変形例の熱電材料の製造方法のように冷却ブロック6を移動させると、金型1は常に加熱状態にあり、水冷ブロック6と接触する前に温度が低下しないため、金型1を移動させる場合に比べて、その冷却速度を速くすることができる。また、金型1を移動させる場合は、水冷ブロック6と金型1とが接触する前に溶湯の温度が凝固点まで低下してしまい、急冷することができないこともある。
次に、本発明の第2の実施形態に係る熱電素子の製造方法について説明する。図7(a)乃至(e)は本実施形態の熱電素子の製造方法をその工程順に示す模式図である。本実施形態の熱電材料は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の熱電材料である。そして、この熱電材料を製造する際は、先ず、図7(a)に示すように、平面視での形状が直径がDである円形状の金型31の凹部に、熱電素子に整合する形状の複数の孔が形成された金型21を嵌合させる。そして、所定の組成になるように秤量した原料を、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように充填する。
次に、図1(a)に示す真空チャンバー2の加熱部に、金型21が嵌合された金型31を配置し、真空チャンバー2の内部を例えば0.133Pa(1×10−3Torr)以下に真空引きした後、ガス導入口3から真空チャンバー2の内にAr及びN等の不活性ガスを導入する。そして、その状態でヒータ5により金型21及び31を700℃以上に加熱し、原料を溶解させる。次に、図1(b)に示すように、金型21が嵌合された金型31を加熱部から冷却部に移動させて、金型31の下面を水冷ブロック6に接触させることにより、金型21の孔に充填されている熱電材料の溶湯を下方から上方に向かって急冷し、熱電材料の溶湯を一方向凝固させる。このとき、溶湯の任意の位置における冷却速度を、600℃/分以上とすることが望ましい。
次に、真空チャンバー2から金型21が嵌合された金型31を取り出し、更に、図7(b)に示すように、金型31の凹部から金型21を取り出す。その後、図7(c)に示すように、凝固した熱電材料20が金型21の孔から溢れている場合は、その部分を研磨により除去して熱電素子の高さを揃える。次に、図7(d)に示すように、孔内に凝固した熱電材料20が充填された状態で、金型21の両面及び孔内で凝固している熱電材料20の露出表面(端面)に、熱電素子のバリア層となるNi等からなるめっき層22を形成する。このとき、フォトリソグラフィにより金型21の表面をレジストで覆い、熱電材料20の露出表面(端面)にのみめっき層22を形成してもよい。なお、本実施形態の熱電素子の製造方法のように、金型21の孔内に凝固している状態で熱電材料20の露出表面(端面)にめっき層22を形成する場合は、金型21は導電性であることが望ましい。その後、図7(e)に示すように、打ち抜き治具28a及び28bを使用して、金型21の孔から対向する2面(端面)にめっき層22が形成された複数の熱電素子を押し出す。
この熱電素子は、従来の熱電素子と同様に、めっき層22が形成されている面が基板側になるようにして、下部電極が形成された下基板及び上部電極が形成された上基板に実装することにより、下部電極及び上部電極を介してp型熱電素子とn型熱電素子とが交互に直列に接続された熱電モジュールとすることができる。
本実施形態の熱電素子の製造方法においては、直径Dと充填深さHとの比(D/H)を1以上とし、従来の一方向凝固法よりも速い速度で熱電材料の溶湯を冷却しているため、従来の方法で一方向凝固させた熱電材料から製造された熱電素子よりも結晶粒径が小さく、機械的強度が優れた熱電素子が得られる。また、熱電材料の溶湯を素子形状に凝固させるため、スライシング及びダイシング等の素子形状にするための工程が不要になり、製造コストを低減することができると共に、歩留りを向上させることができる。更に、本実施形態の熱電素子の製造方法においては、導電性の金型21を使用し、この金型21の孔内に凝固している状態で熱電材料20の露出表面としての端面にめっき層を形成しているため、熱電素子の側面にはめっき層が形成されず、熱電素子の端面のみに容易にめっき層を形成することができる。その結果、作業性及び歩留りを向上させることができる。
更にまた、本実施形態の熱電素子の製造方法においては、金型の下面及び/又は上面に水冷ブロックを接触させて、熱電材料の溶湯を一方向凝固させているため、熱電材料に配向性を付与することができ、P.F.が高い熱電素子が得られる。
なお、本実施形態の熱電素子の製造方法においては、金型31及び金型21の熱伝導率を熱電材料の熱伝導率よりも高くすることにより、外周部に高強度層が形成された熱電素子を作製することができる。図8(a)及び(b)はTi製の金型を使用して作製した熱電素子の断面を示す金属顕微鏡写真(倍率50倍)であり、図8(a)は横断面を示す金属顕微鏡写真であり、図8(b)は縦断面を示す金属顕微鏡写真である。なお、図8(b)及び(b)に示す熱電素子には、その両端面にめっき層が形成されている。Ti等の熱電材料よりも熱伝導率が高い材料からなる金型を使用し、上述の方法により熱電素子を作製すると、図8(a)及び(b)に示すように、外周部の結晶粒が更に微細化され、素子の外周部に中央部よりも強度が高い高強度層が形成される。これにより、前述の特許文献1及び2に記載の熱電素子のように従来の一方向凝固法で製造した熱電素子よりも、強度が高い熱電素子が得られる。
また、本実施形態の熱電材料の製造方法においては、平面視での形状が円形状の金型31を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金型31の形状は平面視で多角形状でもよい。但し、その場合は、外縁の内接円の最大直径をDとし、この内接円の最大直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように、金型21の孔に原料を充填する。このような金型31としては、例えば、前述の第1の実施形態と同様に、側面と底面とにより構成され上面が開放されているるつぼ等を使用することができ、金型21としては、例えば、熱電素子に整合する形状の複数の孔が形成された鋳型等を使用することができる。更に、本実施形態の熱電材料の製造方法においては、金型内で原料を溶解しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金型21の孔に原料の融液を充填してもよい。その場合も、直径Dと融液の充填深さHとの比(D/H)は1以上にする。
次に、本発明の第3の実施形態に係る熱電モジュールの製造方法について説明する。前述の第2の実施形態の熱電素子の製造方法においては、金型21から熱電素子を取り出した後、めっき層22が基板側になるようにして下基板上にp型及びn型熱電素子を交互に配置しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金型21の下方にはんだを塗布した基板を配置し、基板上に直接熱電素子を配置することもできる。図9(a)及び(b)は本実施形態の熱電モジュールの製造方法をその工程順に示す斜視図である。なお、図9(a)は図7(d)の次の工程を示す。本実施形態の熱電モジュールの製造方法においては、先ず、図7(a)乃至(d)に示す第2の実施形態の熱電素子の製造方法と同様の方法で、熱電素子の形状に整合する複数の孔が形成された金型を使用し、熱電材料の溶湯を金型の孔内で従来の一方向凝固法よりも速い冷却速度で一方向凝固させて、熱電材料の溶湯から直接熱電素子を作製する。その際、複数の孔がモジュールにおけるp型熱電素子の配列と同じ配列になるように形成された金型及び複数の孔がn型熱電素子の配列と同じ配列になるように形成された金型を使用する。
次に、上部電極が形成された上基板及び下部電極が形成された下基板の2枚の基板を用意し、夫々の電極上にはんだを塗布する。その後、図9(a)に示すように、孔内にp型熱電素子23pが充填され、両面にめっき層22pが形成されている金型21pの下方に上基板25を配置し、p型熱電素子23pと上部電極24とを位置合わせした後、打ち抜き治具28aを使用して上部電極24上にp型熱電素子23pを押し出し、リフロー装置又はホットプレートにより上基板25にp型熱電素子23pを実装する。同様に、孔内にn型熱電素子23nが充填され、両面にめっき層22nが形成されている金型21nの下方に下基板27を配置し、n型熱電素子23nと下部電極26とを位置合わせした後、打ち抜き治具28を使用して下部電極26上にn型熱電素子23nを打ち抜き、リフローすることにより下基板27にp型熱電素子23nを実装する。
次に、図9(b)に示すように、p型熱電素子23pが実装された上基板25と、n型熱電素子23nが実装された下基板27とを、熱電素子が実装されている面同士を対向させ、リフロー装置又はホットプレートにより、p型熱電素子23pを下基板の27の下部電極26に、n型熱電素子23nを上基板25の上部電極24に夫々接合することにより、下部電極26及び上部電極24を介してp型熱電素子23pとn型熱電素子23nとが交互に直列に接続された熱電モジュールとする。なお、本実施形態の熱電モジュールの製造方法においては、上基板25にp型熱電素子23pを搭載し、下基板27にn型熱電素子23nを搭載しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上基板25にn型熱電素子23nを搭載し、下基板27にp型熱電素子23pを搭載することもできる。
本実施形態の熱電モジュールの製造方法においては、金型の下方にはんだを塗布した基板を配置し、打ち抜き加工により金型から熱電素子を押し出し、基板上に直接熱電素子を配置しているため、p型熱電素子23pとn型熱電素子23nとを基板上に交互に配置する必要がない。これにより、製造工程が簡素化され、製造時間を短縮できると共に歩留りを向上させることができる。なお、本実施形態の熱電モジュールの製造方法における上記以外の効果は、前述の第2の実施形態の熱電素子の製造方法と同様である。
以下、本発明の実施例の効果について本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、本発明の第1実施例として、前述の第1の実施形態の熱電材料の製造方法により熱電材料を作製した後、図10に示す従来の方法でモジュール化して、実施例1の熱電モジュールを作製した。また、前述の第2の実施形態の熱電素子の製造方法により作製した熱電素子を基板上に実装して、実施例2の熱電モジュールを作製した。更に、前述の第3の実施形態の熱電モジュールの製造方法により、実施例3の熱電モジュールを作製した。更にまた、本発明の比較例として、ホットプレス法及び一方向凝固法により作製した熱電材料を、夫々図10に示す従来の方法でモジュール化して、比較例1及び2の熱電モジュールを作製した。そして、これらの実施例及び比較例の熱電モジュールの製造に要する時間及び歩留りについて評価した。その結果を下記表1に示す。なお、下記表1に示すダイシング工程の歩留りには、切断代に起因する物理的歩留りと、加工時に発生した欠け及び割れ等に起因する不良歩留りとがある。
Figure 0004894416
上記表1に示すように、熱電材料作製においては、比較例1及び2の熱電モジュールは、石英管を使用して原料を溶解しているため、真空封止に時間を要し、実施例1乃至3の熱電モジュールに比べて、作業時間が増加した。また、石英管は一度しか使用できないため、製造コストも増加した。更に、比較例1の熱電モジュールは、バルク状の熱電材料をボールミルで粉砕する工程、及び粉砕した熱電材料をホットプレスにより成形工程で夫々180分間を要し、製造時間が大幅に増加した。なお、ボールミルによる粉砕工程における歩留りは80%であった。更にまた、比較例2の熱電モジュールは、熱電材料の溶湯を徐冷して一方向凝固させるため、偏析が多くなって、チップ間の部製のばらつきが大きくなり、歩留りが低下した。また、溶解及び凝固に他の熱電モジュールに比べて、3倍の時間を要した。一方、実施例1乃至3の熱電モジュールは、いずれも熱電材料製造工程に要する時間は90分であり、比較例1及び2の熱電モジュールに比べて作業時間を短縮することができた。
素子加工においては、実施例1、比較例1及び比較例2の熱電モジュールでは作業時間が360分であったのに対し、熱電材料の溶湯を素子形状に凝固させた実施例2及び実施例3の熱電モジュールでは、ダイシング工程が不要であるため、作業時間を120分に短縮することができると共に、歩留りを向上させることができた。また、実施例1の熱電モジュールにおいては、急冷することにより熱電材料の強度を向上させているため、比較例2の熱電モジュールに比べて、ダイシング工程における歩留りを向上させることができた。なお、スライス工程における歩留り(87%)、研磨工程(実施例2及び3)における歩留り(87%)は研磨代に由来するものであり、ダイシング工程における物理的歩留り(81%)は切断代に由来するものである。
モジュール化においては、実施例1、比較例1及び比較例2の熱電モジュールでは熱電素子の実装に、モジュール1個あたり2分間かかったが、実施例2及び3の熱電モジュールでは、8個のモジュールに1分間で搭載することができ、作業時間を大幅に短縮することができた。その結果、実施例1乃至3の熱電モジュールは、比較例1及び2の熱電モジュールに比べて、製造時の総作業時間を大幅に短縮することができた。また、実施例2及び3の熱電モジュールは、全行程における歩留りを87%にまで向上させることができた。
次に、前述の実施例及び比較例の熱電モジュールと同様の方法で、組成がBi0.4Sb1.6Teである熱電材料からなる熱電素子を作製し、そのゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導率、パワーファクター(P.F.)、性能指数及び圧縮強度を求めた。その結果を下記表2に示す。
Figure 0004894416
上記表2に示すように、実施例1乃至3の熱電素子は、比較例1の熱電素子よりもP.F.が高く、また、従来の方法で熱電材料を一方向凝固させた比較例2の熱電素子よりも圧縮強度が高かった。更に、実施例1乃至3の熱電素子は、比較例2の熱電素子と同等の性能指数が得られた。このように、実施例1乃至3の熱電素子は、熱電特性及び機械的強度の両方とも優れていた。
次に、本発明の第2実施例として、前述の第1の実施形態の熱電材料の製造方法(No.1)により、下記表3に示す条件で、実施例11乃至14及び比較例11乃至13の熱電材料を作製した。
Figure 0004894416
そして、これらの熱電材料のパワーファクター(P.F.)を求め、P.F.が4.0×10−3W/mKよりも大きかったものを○、4.0×10−3W/mK以下だったものを×として評価した。その結果を下記表4に示す。
Figure 0004894416
上記表4に示すように、第1の実施形態の熱電材料の製造方法に関しては、アスペクト比(D/H)が1未満である比較例11の熱電材料は上部及び中央部のP.F.が低かった。また、下面からのみの冷却であるにもかからわらず充填深さHが10mmを超えていた比較例12の熱電材料は、上部のP.F.が低かった。更に、充填深さHが20mmを超えていた比較例13の熱電材料は、中央部のP.F.が低かった。これに対して、本発明の範囲内の条件で作製した実施例11乃至14の熱電材料は、P.F.が高く、優れた特性が得られた。
次に、本発明の第3実施例として、前述の第2の実施形態の熱電材料の製造方法(No.2)により、下記表5に示す条件で、実施例15乃至17及び比較例14の熱電材料を作製した。
Figure 0004894416
そして、前述の第2実施例と同様に、これらの熱電材料のパワーファクター(P.F.)を求め、P.F.が4.0×10−3W/mKよりも大きかったものを○、4.0×10−3W/mK以下だったものを×として評価した。その結果を下記表6に示す。
Figure 0004894416
上記表6に示すように、前述の第2の実施形態の熱電材料の製造方法のように、熱電材料を直接チップ形状にした場合は、アスペクト比(D/H)が1未満である比較例14の熱電材料は、P.F.が低かったが、本発明の範囲内の条件で作製した実施例15乃至17の熱電材料は、P.F.が高く、優れた特性が得られた。
本発明は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)クーラー及び加工用レーザの冷却装置等のように、大きな吸熱量を必要とする熱電モジュール用として好適である。
(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態の熱電材料の製造方法をその工程順に示す模式図である。 (a)は熱電材料のアスペクト比が2よりも大きい場合の冷却状態を示す図であり、(b)は熱電材料のアスペクト比が2以下の場合の冷却状態を示す図である。 熱電材料を両面から急冷した場合の冷却状態を示す図である。 (a)及び(b)は本発明の第1の実施形態の第1変形例の熱電材料の製造方法をその工程順に示す模式図である。 (a)及び(b)は本発明の第1の実施形態の第2変形例の熱電材料の製造方法をその工程順に示す模式図である。 横軸に冷却時間をとり、縦軸に金型の温度をとって、金型の冷却状態を示すグラフ図である。 (a)乃至(e)は本発明の第2の実施形態の熱電素子の製造方法をその工程順に示す模式図である。 (a)及び(b)はTi製の金型を使用して作製した熱電素子の断面を示す図面代用写真(金属顕微鏡写真:倍率50倍)であり、(a)は横断面を示す金属顕微鏡写真であり、(b)は縦断面を示す金属顕微鏡写真である。 (a)及び(b)は本発明の第3の実施形態の熱電モジュールの製造方法をその工程順に示す斜視図である。 (a)乃至(e)は従来の熱電モジュール製造方法をその工程順に示す図である。
符号の説明
1、21、31;金型 2;真空チャンバー 3;ガス導入口 4;ガス排出口 5;ヒータ 6、6a、6b;水冷ブロック 7;金型引き下げロッド 8;原料 8a;溶湯 10、11、12、20;熱電材料 22、22n、22p;めっき層 23n;n型熱電素子 23p;p型熱電素子 24;上部電極 25;上基板 26;下部電極 27;下基板 28a、28b;打ち抜き治具

Claims (10)

  1. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む熱電材料の製造方法において、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された金型の前記凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように原料の融液を充填する工程と、前記金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に600℃/分以上の冷却速度で急冷することにより前記融液を凝固させる工程と、を有し、前記金型をその下面又は上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを10mm以下とし、前記金型をその下面及び上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを20mm以下とすることを特徴とする熱電材料の製造方法。
  2. Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む熱電材料の製造方法において、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された金型の前記凹部に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるように原料の融液を充填する工程と、前記金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に600℃/分以上の冷却速度で急冷することにより前記融液を凝固させて板状の熱電材料を得る工程と、前記熱電材料をウエハ状に切り出す工程と、切り出された熱電材料ウエハの両面にめっき層を形成する工程と、前記めっき層が形成された熱電材料ウエハをチップ状に切断する工程と、を有し、前記金型をその下面又は上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを10mm以下とし、前記金型をその下面及び上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを20mm以下とすることを特徴とする熱電素子の製造方法。
  3. 平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された第1の金型の前記凹部に、熱電素子の形状に整合する形状の複数の孔が形成された第2の金型を嵌合させ、前記複数の孔内に、直径Dと充填深さHとの比(D/H)が1以上になるようにBi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含む熱電材料の融液を充填する工程と、前記金型をその下面及び/又は上面から厚さ方向に600℃/分以上の冷却速度で急冷して前記融液を凝固させる工程と、少なくとも前記熱電材料の端面にめっき層を形成する工程と、を有し、前記金型をその下面又は上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを10mm以下とし、前記金型をその下面及び上面から冷却する場合は前記融液の充填深さHを20mm以下とすることを特徴とする熱電素子の製造方法。
  4. 前記融液を凝固させた後、前記熱電材料の前記第2の金型の表面から突出した部分を研磨により除去することを特徴とする請求項3に記載の熱電素子の製造方法。
  5. 前記第2の金型として導電性の金型を使用し、この第2の金型の孔内に凝固している状態で前記熱電材料の露出面としての端面にめっき層を形成することを特徴とする請求項3又は4に記載の熱電素子の製造方法。
  6. 前記第2の金型は、前記熱電材料よりも熱伝導率が高い材料により形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法。
  7. 下基板上の各下部電極上に夫々1対のp型熱電素子及びn型熱電素子が配置され、隣接する1対の下部電極に配置されたp型熱電素子及びn型熱電素子のうち隣接するp型熱電素子及びn型熱電素子が上基板上の1個の上部電極に接合されている熱電モジュールの製造方法において、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法により製造されたp型熱電素子を前記下部電極及び前記上部電極のうちの一方の電極上に押し出し、前記p型熱電材料と前記一方の電極とを接合する工程と、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法により製造されたn型熱電素子を前記下部電極及び前記上部電極のうちの他方の電極上に押し出し、前記n型熱電材料と前記他方の電極とを接合する工程と、前記下基板と前記上基板とを対向させて前記p型熱電材料と前記他方の電極とを接合すると共に前記n型熱電材料と前記一方の電極とを接合する工程と、を有することを特徴とする熱電モジュールの製造方法。
  8. 前記p型熱電素子を、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された第1の金型の前記凹部に嵌合される第2の金型として、熱電素子の形状に整合する形状の複数の孔がモジュールにおけるp型熱電素子の配列と同じ配列になるように形成された金型を使用して製造することを特徴とする請求項7に記載の熱電モジュールの製造方法。
  9. 前記n型熱電素子を、平面視での形状が直径がDである円形状又は内接円の最大直径がDである多角形状の凹部が形成された第1の金型の前記凹部に嵌合される第2の金型として、熱電素子の形状に整合する形状の複数の孔がモジュールにおけるn型熱電素子の配列と同じ配列になるように形成された金型を使用して製造することを特徴とする請求項7又は8に記載の熱電モジュールの製造方法。
  10. 下基板上の各下部電極上に夫々1対のp型熱電素子及びn型熱電素子が配置され、隣接する1対の下部電極に配置されたp型熱電素子及びn型熱電素子のうち隣接するp型熱電素子及びn型熱電素子が1個の上部電極に接合されている熱電モジュールの製造方法において、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法により製造された熱電素子を使用して製造されたことを特徴とする熱電モジュールの製造方法。

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