JP2004235368A - 熱電結晶体及び熱電モジュールの製造方法 - Google Patents

熱電結晶体及び熱電モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】断面積の小さく、長い棒状の熱電結晶体を用いた場合でも剥離やクラック発生が少なく、加工歩留まりの高い熱電結晶体および熱電モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む熱電半導体からなり、該熱電半導体が1軸配向性を有する棒状の熱電結晶体であって、該熱電結晶体の断面積が10mm以下、全長が50mm以上、最大変形量が全長の2%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の発熱体の冷却等に使用する熱電モジュール用の熱電結晶体として好適に用いることのできる熱電結晶体及び熱電モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、ペルチェ効果を利用した熱電モジュールは、電流を流すことにより一端が発熱するとともに他端が吸熱するため、冷却用として用いられている。特に、レーザーダイオードの温度制御、フロンレスの冷却装置、冷蔵庫、恒温槽、光検出素子、半導体製造装置等への幅広い利用が期待されている。
【0003】
この室温付近で使用される冷却用熱電モジュールは、P型及びN型の熱電素子を対にしたものを複数直列に電気的接続が行なわれた構成を有し、そこで使用される熱電素子としては、冷却特性が優れるという観点からA型結晶(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)が一般的に用いられている。
【0004】
P型の熱電素子としてはBiTeとSbTe(テルル化アンチモン)との固溶体が、N型の熱電素子としてはBiTeとBiSe(セレン化ビスマス)との固溶体が特に優れた性能を示すことから、これらのA型結晶(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)を熱電素子として広く用いられている。
【0005】
このA型結晶からなる熱電素子は古くよりブリッジマン法、引き上げ(CZ)法、ゾーンメルト法など公知の単結晶製造技術によって結晶粒子径の大きいインゴットあるいは単結晶に近い結晶体からなる溶製材料として作製され、これをスライスし、電極に接合するためのメッキを施した後、0.5〜3mmのチップ形状にダイシングしたものが用いられてきた。
【0006】
これら溶製材料は主に比抵抗の小さいC面が一方向にそろった1軸配向性結晶体であり、この溶製材料を用いることで熱電特性に優れる熱電素子が得られる。しかしながら、この結晶は、C面と平行な面で劈開性を有するために、スライス時及びダイシング時に劈開面が剥離し、加工歩留まりが極めて低いためにコストが高いという問題があった。
【0007】
そこで、原料を加熱して融液にし、該融液を形枠に設けられた複数の空隙内に導入し、一端から該融液を固化して棒状の熱電結晶体を得て、ダイシング工程を省略できる方法が知られている。
【0008】
例えば、棒状の熱電結晶体を用いて低コストに熱電素子を作製する方法として、スペーサーを利用してP型とN型を交互に配列させ、耐熱性樹脂を充填し、硬化させたのち、切断する方法(配列法)と、穴の有する複数の硬質性絶縁板にP型とN型同数の結晶体を挿入し、接着させた後に絶縁板の間で切断する方法(挿入法)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
さらには、このような熱電結晶体を用いて表面にメッキが施された熱電素子に加工する方法として溝を有する保持部に熱電半導体からなる単結晶を挿入し、モールド材で固定した後、切断し、メッキ処理を施してからモールド材を除去する熱電素子の加工方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
〔特許文献1〕
特開平8−228027号公報
〔特許文献2〕
特開2002−190624号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、棒状の熱電結晶体は、断面積が小さくなるに従って、欠けやクラック等の欠陥が多発し、加工歩留まりが非常に低くなるという問題があった。
【0012】
さらに、特許文献1に記載の配列法では、スペーサーで一定間隔に並べたまま切断できるものの、反りやうねりを強制的に矯正して配列させるため、さらに劈開面から剥離やクラック発生が助長されるという問題があった。また、挿入法では、穴への挿入時に欠けが多数発生するという問題があった。
【0013】
また、特許文献2に記載の製法においては、反りやうねりを有する結晶体を用いてモールド材に固定し、切断を行うと熱電素子の形状が不均一になり形状歩留まりを低下させると同時に、素子間の抵抗ばらつきが大きく、熱電モジュールの性能ばらつきを生じやすいという問題があった。
【0014】
従って、本発明は、断面積の小さく、長い棒状の熱電結晶体を用いた場合でも剥離やクラック発生が少なく、加工歩留まりの高い熱電結晶体および熱電モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、断面積が小さく、1軸配向した棒状の熱電結晶体において、剥離やクラック発生が、熱電結晶体の変形量と相関があり、変形量を制御することによって、加工時のクラック発生を抑え、加工歩留まりを向上させることが可能であるとの知見に基づくものであり、また断面が四角形で縦横比の精度が高い結晶体を用いることでより低コストな熱電モジュールを組立て可能とするものである。
【0016】
即ち、本発明の熱電結晶体は、Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む熱電半導体からなり、該熱電半導体が1軸配向性を有する棒状の熱電結晶体であって、該熱電結晶体の断面積が10mm以下、全長が50mm以上、最大変形量が全長の2%以下であることを特徴とするものである。このような反り量の範囲に抑えることによって、熱電素子を作製する際の切断時の固定が容易になると同時に、50mm以上の実用的な長い範囲で加工歩留まりを高くすることが可能となる。
【0017】
特に、断面形状が四角形であることが好ましい。これは熱電モジュール用に単位面積あたりに複数の素子を並べた熱電素子として用いる場合、四角形は円形よりも断面積を増やすのが容易であり、単位面積あたりの熱電モジュールの性能を高めることができる。
【0018】
また、前記四角形における縦と横の長さの比が、少なくとも50mmの長さ領域において、0.818〜1.222であることが好ましい。このように断面が四角形の場合、寸法精度の高い結晶体から作製された熱電素子は、形状ばらつきに依存する性能及び電気的特性のばらつきを低減でき、さらに後述するセパレーター等への挿入やスペーサーを用いることなく、素子を分離し、再度組み立てる工程がない低コストな熱電モジュールの製造が容易となる。
【0019】
本発明の熱電モジュールの製造方法は、熱電結晶体の側面にメッキレジストを被覆後に、該熱電結晶体を所定の長さに切断してチップを作製後、該チップの各々にメッキ処理を施し、しかる後にメッキレジストを、該メッキレジスト上に形成されたメッキ層とともに除去し、得られた前記熱電素子を支持基板の主面に設けられた配線導体上に接合することを特徴とするものである。このような方法により加工時に欠陥の発生しやすい1軸配向結晶体であっても加工時の欠陥がほとんどない熱電素子を得ることが可能となり、信頼性の高い熱電モジュールが得られる。
【0020】
また、本発明の熱電モジュールの他の製造方法は、上記の熱電結晶体の側面にメッキレジストを被覆後に、N型及びP型が互いに隣接するように並べ、前記メッキレジストまたは接着剤で固定して前記熱電結晶体の連接体を作製し、該連接体を所定の長さに切断し、切断された前記連接体の各熱電結晶体の切断面にメッキ層を形成し、しかる後に連接体を支持基板の主面に設けられた配線導体上に接合し、さらに前記メッキレジストおよび接着剤を除去することを特徴とするものである。この方法では、スペーサーや穴の開いたセパレーター等を用いることなく、N型とP型素子が規則的に配列された熱電素子対を作製できるため、素子の取扱いが容易になるためにクラック等の生成を防止でき、さらに低コストで熱電モジュールの組立が可能になる。
【0021】
特に、前記連接体が、2次元に配列した熱電結晶体で構成されることが好ましい。この方法によって、素子を分離し、再度組み立てる工程が不要になるために組立時の欠陥の生成がほとんど無く、信頼性の高い熱電モジュールが得られ、さらに極めて低コストで製造が可能になる。
【0022】
特に、前記メッキレジストが耐酸性を有することが好ましい。メッキレジストに耐酸性があることによって、熱電結晶体におけるメッキ液を汚染することなく、メッキの成膜性を高めることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、断面積が小さく、長さが長く、1軸に配向し、劈開面を有する棒状の熱電結晶体であり、この熱電結晶体を加工して熱電素子を作製し、熱電モジュールに組み立てる熱電モジュールの製造方法に関するものである。
【0024】
本発明の熱電素子の製造に用いる熱電結晶体は、Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む1軸配向性の熱電半導体からなり、断面積が10mm以下、全長が50mm以上の棒状の熱電結晶体である。
【0025】
具体的には、熱電結晶体が、例えば図1に示したように、横a、縦b、全長Lとした時、断面積a×bが10mm以下、全長Lが50mm以上の長尺状の熱電結晶体であって、1軸に配向し、劈開面Cが側面1と略平行に形成されている。
【0026】
熱電結晶体の断面積が10mmよりも大きい場合には、熱電結晶体の変形が小さくなり、加工歩留まりの低下もさほど大きくないため、本発明の効果が発揮できない。また、全長が50mm未満でも変形量、特に反りが小さくなるとともに、1本の結晶体から得られる素子数が少なくなって低コスト化のメリットが小さい。また、ロット数が多くなり、性能のバラツキが大きくなる。
【0027】
本発明において、変形とは、棒状の熱電結晶体の両端を結んだ直線からのずれを意味するものであり、反りやうねりなどによる変形である。また、最大変形量は、上記の直線に対して平行な直線を引いて、熱電結晶体に引いた左右の直線の幅から熱電結晶体の幅を差し引いた長さの最大値を示すものである。
【0028】
そして、熱電結晶体の断面積が小さく全長が長い場合、熱電結晶体に反りやうねりが含まれ易く、加工時の欠損を減少させるために、最大変形量を全長の2%以下に制御することが重要である。
【0029】
即ち、熱電結晶体を特定の側面で投影した時、図3に示したように、最大変形量(D−x)が全長の2%以下であり、関係式(D−x)≦0.02Lが成立することが重要である。ここで、xは、横a又は縦bの長さである。
【0030】
熱電結晶体は、1軸配向性を有し、劈開性が高いため、長さ方向と平行に劈開面Cが多層に結晶配向していることから、長さ方向(図1に図示)と略垂直な方向に切断する際に、欠損やクラックが発生しやすい。
【0031】
特に、最大変形量が2%よりも大きい結晶体では、劈開面と切断方向が実質的に斜めになるため、せん断応力が大きくなって欠けやクラックの発生頻度が増加する。しかし、変形量を小さくした熱電結晶体を切断すると、切断方向が劈開面に対して垂直に近づくため、せん断応力を最小にすることが可能となり、欠けやクラックの発生を抑制し、加工歩留まりを高めることができる。
【0032】
熱電結晶体の最大変形量は、特に1.5%以下、更には1%以下が上記の効果を高める点で好ましい。
【0033】
熱電結晶体は、図1のように完全に1軸に配向したものが最適であるが、図2に示したように、劈開面C1、C2の方向が異なる複数の部位に分かれていても使用することは可能である。
【0034】
熱電結晶体の断面形状は、多角形であることが好ましい。これは単位面積あたりの熱電モジュールの性能を高める効果があり、特に四角形の場合に最も充填密度を高めることができ、同じ大きさで高い性能を引き出すことが可能となる。
【0035】
なお、図4に示したように、クラック発生を抑制するためにコーナー部を研磨して断面形状が八角形であるものや、コーナーを丸めてR形状としたもの(図示せず)も実質的に四角形に含まれる。
【0036】
熱電素子の断面形状が四角形の場合、縦と横の長さの比が、熱電結晶体の少なくとも50mmの長さ領域において、0.818〜1.222(9/11〜11/9)、特に0.864〜1.158(19/22〜22/19)、更には0.909〜1.100(10/11〜11/10)の正方形であることが好ましい。この範囲において、モジュール抵抗のばらつきを効果的に抑制するのが容易で、セパレーター等の組立ジグを用いた自動組立で使用しても不良の発生率を低減できる。
【0037】
次に、本発明の棒状熱電素子用結晶体の製造方法について、N型半導体結晶を作製する場合を例として説明する。
【0038】
まず、熱電半導体金属を用意する。この金属の例としては、Bi、Sb、Te、Se金属と、SbI、HgBr等のハロゲン化合物からなるドーパントとを特定の組成比に混合した粉末を用いることができるが、あらかじめ石英管に秤量した上記の金属を不活性ガスあるいは真空封入したのち、加熱、溶融し、冷却し、粉砕した合金粉末を使用するのが熱電特性を安定させる上で好ましい。
【0039】
次に、結晶の融液を保持し、結晶成長を行うための結晶鋳型を用意する。本発明によれば、この結晶鋳型の材質は、合金と高温で反応せずに安定な材料であればどのような材質でも良いが、コスト、耐久性、加工性が良いことからカーボン製の結晶鋳型が好ましく、特にこの結晶鋳型の寸法精度をできるだけ高くすることで反りをより小さくできる。
【0040】
さらに、結晶鋳型には熱電結晶体を作製するための内部空間が必要であるが、内部空間は、四角柱の結晶を得る場合は、例えば図5に示すように、結晶鋳型21が4個の割型22からなるカーボン板を用意し、割型22を組み合わせて断面形状が四角形の空間23を形成しても良いし、また、例えば図6に示す割型32のように、2個の割型33からなるカーボン板を用意し、割型32を組み合わせて断面形状が四角形の空間33を形成しても良く、このように割型22、32をもちいることが結晶の取り出しやすさ、カーボン型の加工性の上で好ましい。
【0041】
次に、結晶鋳型が充分入る大きさで、純度99.9%以上のカーボンルツボの中に結晶鋳型を入れ、結晶が成長する方の内部空間に融液が含浸されるように合金粉末を配置したのちに、高周波加熱炉等の単結晶合成に適した炉を用いて加熱し溶融させる。
【0042】
例えば、試験管形状のカーボンルツボの中に内部空間が貫通した結晶鋳型を入れてその上部に合金粉末を入れることで、加熱溶融すれば融液が自然に内部空間に含浸する。このとき炉内の雰囲気はArなど不活性雰囲気中が好ましく、より好ましくはルツボの形状の入り口を小さくして、合金中の蒸気圧が高い成分(例えばTe、Seなど)の蒸発を抑える手法が望ましい。
【0043】
含浸後、結晶鋳型をブリッジマン法と同様に移動させる方法、あるいは結晶鋳型から結晶を引き上げる、引き上げ法によって融液の一部が冷却固化され、一方向凝固された結晶が得られる。融液を得る温度は組成によって異なるが、融点よりも100〜200℃高い温度で溶融することで融液が得られる。本発明によれば冷却固化するときの速度が劈開面の方向の数を制御し良質な結晶を成長させる上で重要である。
【0044】
本発明によれば、変形量を小さくするため、冷却速度を2mm/h以下、特に1.5mm/h以下、更には1mm/h以下で成長させるのが良い。さらにこのようにして得られた熱電結晶体を、融点以下の温度で熱処理することによってさらに変形量を小さくすることが可能となる。熱処理温度は100〜300℃で1〜数時間あれば充分であるが、酸化を防ぐ目的で真空中又は不活性ガス中で熱処理するのが良い。
【0045】
このようにして、本発明の熱電結晶体を作製することができる。なお、上述した冷却速度とは前述したブリッジマン法の場合ルツボまたは融液が入っている結晶鋳型の移動速度で、引き上げ法の場合は引き上げ速度に対応する。
【0046】
次に、本発明の熱電モジュールの製造方法について、二つの方法を取り上げて詳述する。まず、第一の方法について説明する。
【0047】
上述した本発明の熱電結晶体を準備する。この熱電結晶体は上述した製造方法等を用いて作製する。準備した熱電結晶体の断面積は10mm以下、全長は50mm以上、最大反り量が全長の2%以下の熱電結晶体である。以下では、熱電結晶体の断面形状が四角形の場合を例として説明する。
【0048】
準備した熱電結晶体の側面にメッキレジストを被覆する。メッキレジストの厚みとしては数μmあれば効果を発揮できるが、切断加工時における剥離防止効果を高め、レジストとしての付着信頼性を向上する点で、特に20μm以上、更には50μm以上であることが望ましい。
【0049】
メッキレジストとしては熱電素子に一般的に施される無電解ニッケル及び金メッキ(又は金は蒸着)処理に耐性のある材質であれば使用することができる。しかし、後工程においてメッキ工程を用いる場合、前処理として酸処理を行うため、耐酸性のある有機物であることが望ましい。
【0050】
特に、メッキレジストとしては、耐メッキ性があり、且つメッキ後にアルカリ溶液によって容易に除去できる点で、アクリル系の樹脂を用いることが好ましい。
【0051】
メッキレジストの被覆方法としては、印刷や真空中での蒸着で行う方法も採用できるが、有機溶剤で希釈した溶液に漬けた後乾燥させる工程を数回行う塗布方法が厚みを確保し、量産性を高め、コストを抑制するので好ましい。
【0052】
メッキレジストの表面に、所望によりメッキ剥離性の高い材料を塗布することができる。これによってメッキレジスト材をさらに容易に除去することが可能となる。
【0053】
次いで、メッキレジストを被覆した熱電結晶体を複数並べ、刃の厚みの薄いワイヤーソーあるいはダイシングソーを高速で回転させて、図7に示したように、長手方向と略垂直な方向に切断する。これによって、欠損を防止して製品の不良率を低減することができる。切断によって形成された切断面に、後述するメッキ層を形成する。
【0054】
この時、熱電結晶体をガラス板などの支持板上に並べ、ワックスあるいは同一のメッキレジスト材で固定して切断すると欠損防止に効果的であるが、必ずしも支持板は必要がない。
【0055】
切断後、加工時にチッピング等の欠損が発生した素子を分離し、除去する。この分離方法は顕微鏡などを使用しても良いが、メッキレジスト材と金属光沢の反射あるいは赤外線吸収能の差を利用して光学的に自動で分離する方法が量産性の上で優れている。
【0056】
次いで、得られた素子に対してメッキ処理を行う。メッキは素子と熱電モジュールの電極材である銅との反応を防止し、同時にハンダ濡れ性を高め接合を容易にする観点から素子表面にニッケルメッキを施し、その上にさらに金メッキを施すのが望ましい。
【0057】
メッキを施した後に、アルカリ溶液などメッキレジスト除去材にてメッキレジストを、その上に形成されたメッキ層と共に除去することで、上記の切断面にのみメッキ層が形成された熱電素子を作製することができる。
【0058】
得られた熱電素子を、支持基板に配列し、N型熱電素子とP型熱電素子を交互に電気的に直列接続するように接合して組み立てる。
【0059】
このようにして、剥離やクラック発生が少なく、加工歩留まりの高い熱電結晶体を用いて、信頼性の高い熱電モジュールを安価に製造することができる。
【0060】
次に、本発明の熱電モジュールを製造するための第二の方法について説明する。
【0061】
第一の方法と同様にして、熱電結晶体を準備し、側面にメッキレジストを塗布する。
【0062】
次いで、メッキレジストを塗布したN型熱電結晶体とP型熱電結晶体を交互にガラス板などの支持板上に並べてメッキレジストを用いて固定し、第一の方法と同様にしてこれらの熱電結晶体を切断する。その結果、例えば図8(a)に示したように、N型熱電結晶体55とP型熱電結晶体56が交互に配列した連接体57を得る。
【0063】
切断された各連接体57を、支持板54に固定したままメッキ処理を行う。メッキ方法は第一の方法と同様である。その後、メッキレジストを付着したまま支持基板の主面に設けられた配線導体の上に、メッキ層が形成された上記切断面を接合する。
【0064】
接合の後に、メッキレジストを除去することで、熱電モジュールを作製することができる。この方法によれば、多数の熱電素子を個々に支持基板上に並べる必要が無く、連接体57として複数の熱電素子を配列し、しかも各熱電素子の側面がメッキレジストによって被覆されているため、劈開面からの剥離やクラックの発生を防止することが容易になり、製品の不良率を低減できる。
【0065】
N型とP型の熱電結晶体が交互に並んだ連接体57は、熱電素子の間隔を一定に保っておくことが好ましい。そのため、前記メッキレジスト塗布時の溶液の濃度、乾燥方法を工夫するなどでメッキレジストの厚みを一定にする方法や、メッキレジスト材は薄く塗ってN型とP型の間に一定の厚みのメッキレジスト材を硬化させた板をスペーサー58(図8(a)に図示)として挟む方法等の手法を採用できる。
【0066】
さらに、図8(b)に示したように、連接体67を、N型熱電結晶体55とP型熱電結晶体56を交互に、2次元的にマトリックス状に配列することも可能であり、製造にかかる時間をより短縮し、より低コストで、信頼性の高い熱電モジュールを得ることができる。
【0067】
以上のような製造方法を採用することによって、剥離やクラックの発生を抑制した熱電モジュールの製造工程を簡略化することによって量産性を高め、加工及び組立時の不良率を容易に低減でき、低コストが図れる。また、不良の熱電素子が発生しても除去が容易であり、熱電モジュールの信頼性を高めることも容易である。
【0068】
【実施例】
まず、熱電結晶体を作製した。原料粉末として、N型熱電材料としてBiTe2.85Se0.15に0.06質量%SbIを加えた組成、P型熱電材料としてBi0.5Sb1.5Te組成となるように、純度99.99%以上のBi、Te、Sb、Se金属粉末及びSbI粉末を準備した。
【0069】
これらの原料粉末を秤量し、カーボン製のルツボに蓋を付けて密閉し、石英管に入れ真空置換を行いアルゴン雰囲気中で800℃、5時間で溶融合金を作製した。
【0070】
溶融合金をグローブボックス中、スタンプミルで粉砕し、2mmの目開きのふるいを通して粉砕原料を得た。
【0071】
粉砕原料をカーボン型に配置し、縦型の石英管を炉芯管とする単結晶(ブリッジマン法)育成装置にて800℃で溶融させ、隙間の中に融液を挿入させた後、ブリッジマン法の原理で型を移動させながら冷却し、凝固点(約600℃)付近で表1に示す条件(SPは冷却速度)で結晶成長させ、表1に示した横a、縦b及び長さのN型及びP型の棒状の熱電結晶体を作製した。
【0072】
得られた熱電結晶体を平坦なガラス台盤上に載置し、レーザーを用いた3次元形状測定器にて100mmの長さについて最大変形量を求めた。
【0073】
次に、上述した第一及び第二の方法を用いて熱電モジュールを作製した。
【0074】
まず、第一の方法では、熱電結晶体の側面を市販のメッキレジスト(アクリル系樹脂)でコーティングした後、ダイシングソーで0.8mm間隔で切断して熱電素子を作製した。
【0075】
得られた熱電素子に無電解メッキを施し、厚みが10〜30μmとなるようにNiメッキ層を形成した後、厚さ5μmのAuメッキを施し、その後アルカリ溶液中に入れ、超音波洗浄によって。熱電素子の側面のメッキレジスト上に付着したメッキ層を除去し、切断面のみにメッキ層を形成した。
【0076】
得られた熱電素子のうち、熱電結晶体の約10mm間隔の部位から切り出した熱電素子を各10個ずつ選び、断面を光学顕微鏡で観察し、縦と横の長さを求め、縦/横の比の最大値と最小値を求めた。
【0077】
また、100個の熱電素子を検査し、欠け、クラックが素子断面の幅の10%以上の大きさであるものを不良として、熱電素子の不良率を求めた。
【0078】
次いで、表1に示した数(対数)の熱電素子を、格子状の組立ジグを用いて配線導体が形成された支持基板上に並べて半田を用いて接合し、電極の端部にリード線を取り付け熱電モジュールを作製した。
【0079】
また、第二の方法(1列)では、N型、P型各3本の棒状熱電結晶体を市販のメッキレジスト材(アクリル系樹脂)でコーティングした後、ガラス板上にN型とP型を交互に1列に並べて固定し、ダイシングソーで0.8mm間隔で切断し、連接体を作製した。
【0080】
さらに、第二の方法(2次元)では、N型、P型各18本の熱電結晶体を市販のメッキレジスト材(アクリル系樹脂)でコーティングした後、ガラス板上にN型およびP型が2次元に交互になるように縦横6本のマトリックス状に配列して固定し、ダイシングソーで0.8mm間隔で切断し、連接体を作製した。
【0081】
切断された各連接体を、支持板に固定したままメッキ処理を行った。メッキ方法は第一の方法と同様である。得られた連接体のうち、一部を熱電素子単品の不良率測定用試料とした。即ち、メッキレジストを除去し、100個の熱電素子を検査し、欠け、クラックが素子断面の幅の10%以上の大きさであるものを不良として、熱電素子の不良率を求めた。
【0082】
また、得られた連接体の残りを、メッキレジストを付着したまま支持基板の主面に設けられた配線導体の上に、メッキ層が形成された上記切断面を半田を用いて接合し、接合した後、第1の方法と同じ手法でアルカリ溶液中でメッキレジスト及びメッキレジスト上のメッキを除去し、反対面の支持基板にもはんだ接合し、配線基板の電極端部にリード線を取り付け熱電モジュールを作製した。尚、全ての熱電モジュールの接合半田は錫アンチモン半田(Sn:Sb=95:5)を使用した。
【0083】
得られた熱電モジュールは、不良率を測定した。それぞれ100個の熱電モジュールの交流4端子法による電気抵抗の初期値を測定した後、−65℃/120℃の温度サイクル試験(2000回)を行ってから、再度電気抵抗を測定し、初期値に対する変化率を算出した。なお、不良は製造時において熱電素子に発生したクラックが熱サイクルで成長し、特性が変化したものと判断した。
【0084】
また、熱電モジュールの性能評価として、放熱面温度を27℃で通電し、最大温度差の測定を行い、各ロット100個測定した中で最大と最小の差を性能バラツキとして算出した。結果を表1に示した。
【0085】
【表1】
Figure 2004235368
【0086】
本発明の試料No.1〜10、13、14、16〜18及び20〜23は、熱電素子単品の不良率が10%以下、熱電モジュールの不良率が5%以下であった。また、性能バラツキも0.8℃以下であった。
【0087】
一方、最大変形量が2%を越える本発明の範囲外の試料No.15及び19は、熱電モジュールの不良率が5%を越えた。
【0088】
また、断面積が10mmを越える本発明の範囲外の試料No.11は、熱電素子単品の不良率が25%を非常に大きかった。
【0089】
さらに、全長Lが30mmと短い本発明の範囲外の試料No.12は、熱電結晶体のロット数が多く、各特性がばらつくため、性能バラツキが3.2%と大きかった。
【0090】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電結晶体を示す斜視図である。
【図2】本発明の他の熱電結晶体を示す斜視図である。
【図3】本発明の熱電結晶体の変形状態を示す側面図である。
【図4】本発明の熱電結晶体の断面形状を示す側面図である。
【図5】本発明の熱電結晶体の製造に用いた割型を示す斜視図である。
【図6】本発明の熱電結晶体の製造に用いた他の割型を示す斜視図である。
【図7】本発明の熱電素モジュールの製造方法において熱電結晶体の切断方法を示す概略図である。
【図8】本発明の熱電素モジュールの製造方法において熱電結晶体の切断後の状態を示すもので、(a)は熱電素子を1列に並べた場合の斜視図、(b)は熱電素子を2次元的に配列した場合の斜視図である。
【符号の説明】
1・・・熱電素子用結晶体
54・・・支持基板
55、65・・・N型熱電素子
56、66・・・P型熱電素子
57、67・・・連接体
58、68・・・スペーサー
59、69・・・メッキレジスト
C1、C2・・・劈開面

Claims (7)

  1. Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む熱電半導体からなり、該熱電半導体が1軸配向性を有する棒状の熱電結晶体であって、該熱電結晶体の断面積が10mm以下、全長が50mm以上、最大変形量が全長の2%以下であることを特徴とする熱電結晶体。
  2. 断面形状が四角形であることを特徴とする請求項1記載の熱電結晶体。
  3. 前記四角形における縦と横の長さの比が、少なくとも50mmの長さ領域において、0.818〜1.222であることを特徴と請求項2記載の熱電結晶体。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電結晶体の側面にメッキレジストを被覆後に、該熱電結晶体を所定の長さに切断してチップを作製後、該チップの各々にメッキ処理を施し、しかる後にメッキレジストを、該メッキレジスト上に形成されたメッキ層とともに除去し、得られた前記熱電素子を支持基板の主面に設けられた配線導体上に接合することを特徴とする熱電モジュールの製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電結晶体の側面にメッキレジストを被覆後に、N型及びP型が互いに隣接するように並べ、前記メッキレジストまたは接着剤で固定して前記熱電結晶体の連接体を作製し、該連接体を所定の長さに切断し、切断された前記連接体の各熱電結晶体の切断面にメッキ層を形成し、しかる後に連接体を支持基板の主面に設けられた配線導体上に接合し、さらに前記メッキレジストおよび接着剤を除去することを特徴とする熱電モジュールの製造方法。
  6. 前記連接体が、2次元に配列した熱電結晶体で構成されることを特徴とする請求項5記載の熱電モジュールの製造方法。
  7. 前記メッキレジストが耐酸性を有することを特徴とする前記請求項4乃至6のいずれかに記載の熱電モジュールの製造方法。
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WO2008111219A1 (ja) * 2007-03-15 2008-09-18 Ibiden Co., Ltd. 熱電変換装置
WO2020203611A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 リンテック株式会社 熱電変換材料のチップへのハンダ受理層形成方法

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