JPH10290030A - 半導体素子の製造方法、製造装置および熱電変換モジュールの製造方法 - Google Patents
半導体素子の製造方法、製造装置および熱電変換モジュールの製造方法Info
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- JPH10290030A JPH10290030A JP9095545A JP9554597A JPH10290030A JP H10290030 A JPH10290030 A JP H10290030A JP 9095545 A JP9095545 A JP 9095545A JP 9554597 A JP9554597 A JP 9554597A JP H10290030 A JPH10290030 A JP H10290030A
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Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ビスマル・テルル系の熱電変換素子におい
て、棒状の素子の長手方向に結晶のa軸が揃った単結晶
状態の熱電変換素子を容易に製造できる製造方法および
製造装置を提供する。 【解決手段】 棒状の熱電変換素子を製造する充填部1
1を備えた製造型12を容器13に入れ、その周囲に複
数の分割されたヒータ18および19を設置し、製造さ
れる熱電変換素子の長手方向と直交する方向に温度勾配
を設けた状態で熱電変換素子を固化する。これにより、
熱電変換素子の長手方向に結晶のa軸が揃った単結晶の
棒状の熱電変換素子を簡単に製造することが可能であ
り、この熱電変換素子をモジュール化することにより熱
電変換特性の優れた熱電変換モジュールを提供すること
ができる。
て、棒状の素子の長手方向に結晶のa軸が揃った単結晶
状態の熱電変換素子を容易に製造できる製造方法および
製造装置を提供する。 【解決手段】 棒状の熱電変換素子を製造する充填部1
1を備えた製造型12を容器13に入れ、その周囲に複
数の分割されたヒータ18および19を設置し、製造さ
れる熱電変換素子の長手方向と直交する方向に温度勾配
を設けた状態で熱電変換素子を固化する。これにより、
熱電変換素子の長手方向に結晶のa軸が揃った単結晶の
棒状の熱電変換素子を簡単に製造することが可能であ
り、この熱電変換素子をモジュール化することにより熱
電変換特性の優れた熱電変換モジュールを提供すること
ができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子の製造
方法および製造装置に関し、特に熱電変換に適した半導
体素子の製造方法および製造装置に関するものであり、
さらに、その半導体素子を用いた熱電変換モジュールの
製造方法に関するものである。
方法および製造装置に関し、特に熱電変換に適した半導
体素子の製造方法および製造装置に関するものであり、
さらに、その半導体素子を用いた熱電変換モジュールの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電変換素子としてビスマス・テルル
系、鉄・シリコン系、コバルト・アンチモン系などの半
導体素子が用いられている。これらの半導体素子のp型
およびn型の複数の熱電変換素子がΠ状に組み合わされ
るように導電材で接続することによって、熱電変換モジ
ュールを形成することが可能であり、接続された熱電変
換素子に直流電力を供給することによって熱電変換素子
の一方の端を吸熱側として、また、他方の側を放熱側と
して作用させることができる。
系、鉄・シリコン系、コバルト・アンチモン系などの半
導体素子が用いられている。これらの半導体素子のp型
およびn型の複数の熱電変換素子がΠ状に組み合わされ
るように導電材で接続することによって、熱電変換モジ
ュールを形成することが可能であり、接続された熱電変
換素子に直流電力を供給することによって熱電変換素子
の一方の端を吸熱側として、また、他方の側を放熱側と
して作用させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような熱電変換
素子の中でビスマス・テルル系の半導体素子が最も優れ
た熱電特性を示すものの1つであり、特に、単結晶のc
面内の方向、すなわち、a軸方向の熱電特性が非常に優
れている。さらに、この半導体化合物は融点がそれほど
高くないので母材料の製造が容易であり、熱電変換モジ
ュール用の素子として有望である。しかしながら、ビス
マス・テルル系の単結晶は結晶構造上、C面が剥離し易
いために母材料から小片に加工することが難しく加工上
の歩留りが悪い。一方、多結晶化すると歩留りは高くな
るが、母材(インゴット)から素子を成形する加工費用
は低下せず、性能的には単結晶に劣るものとなる。
素子の中でビスマス・テルル系の半導体素子が最も優れ
た熱電特性を示すものの1つであり、特に、単結晶のc
面内の方向、すなわち、a軸方向の熱電特性が非常に優
れている。さらに、この半導体化合物は融点がそれほど
高くないので母材料の製造が容易であり、熱電変換モジ
ュール用の素子として有望である。しかしながら、ビス
マス・テルル系の単結晶は結晶構造上、C面が剥離し易
いために母材料から小片に加工することが難しく加工上
の歩留りが悪い。一方、多結晶化すると歩留りは高くな
るが、母材(インゴット)から素子を成形する加工費用
は低下せず、性能的には単結晶に劣るものとなる。
【0004】そこで、a軸方向に延びた棒状(柱状ある
いは針状)で単結晶を熱電変換素子を製造し、これを長
手方向と直交する方向にスライスして使用する技術が特
開平2−30190号あるいは特開平8−228027
号に開示されている。さらに、特開平8−228027
号には、凝固するときに素子の長手方向に沿った温度勾
配を設けて結晶が1方向に揃った単結晶のビスマス・テ
ルル系の半導体素子を形成する技術が記載されており、
同様の技術が特開平5−152616号にも記載されて
いる。このような棒状の単結晶の半導体素子を採用する
ことにより、スライスするだけで熱電変換モジュールに
適したサイズの半導体素子を得ることが可能であり、低
価格で高性能の熱電変換モジュールを提供することがで
きる。
いは針状)で単結晶を熱電変換素子を製造し、これを長
手方向と直交する方向にスライスして使用する技術が特
開平2−30190号あるいは特開平8−228027
号に開示されている。さらに、特開平8−228027
号には、凝固するときに素子の長手方向に沿った温度勾
配を設けて結晶が1方向に揃った単結晶のビスマス・テ
ルル系の半導体素子を形成する技術が記載されており、
同様の技術が特開平5−152616号にも記載されて
いる。このような棒状の単結晶の半導体素子を採用する
ことにより、スライスするだけで熱電変換モジュールに
適したサイズの半導体素子を得ることが可能であり、低
価格で高性能の熱電変換モジュールを提供することがで
きる。
【0005】しかしながら、棒状の半導体素子を製造す
る際にその長手方向に沿って適当な温度勾配を設けるた
めには、距離の大きな素子の長手方向の両端で非常に大
きな温度差を設けるか、あるいは、半導体素子の長手方
向に部分的な温度差を発生させて、その温度差を長手方
向に移動しつつ凝固あるいは固化する必要がある。この
ためには、原料が溶融している段階で製造用の型を炉に
出入りさせながら部分的に結晶化するような製造方法や
製造装置が必要となり、あるいは、半導体素子の部分部
分で長手方向に沿って所定の温度差発生させ、それを適
切に温度制御して半導体素子全体としては適当な冷却速
度が得られるようにする必要がある。従って、原料が溶
融した状態で製造型を可動できるような構造の大型で複
雑な製造装置が必要となり、あるいは、製造用の型の長
手方向に極めて精度良く温度制御できる製造装置や制御
装置が必要となる。このため、設備費が非常に高価にな
り、さらに、一様の品質を備えた単結晶の半導体素子を
製造するには熟練した作業員や高度な制御プログラムを
用いる必要がある。
る際にその長手方向に沿って適当な温度勾配を設けるた
めには、距離の大きな素子の長手方向の両端で非常に大
きな温度差を設けるか、あるいは、半導体素子の長手方
向に部分的な温度差を発生させて、その温度差を長手方
向に移動しつつ凝固あるいは固化する必要がある。この
ためには、原料が溶融している段階で製造用の型を炉に
出入りさせながら部分的に結晶化するような製造方法や
製造装置が必要となり、あるいは、半導体素子の部分部
分で長手方向に沿って所定の温度差発生させ、それを適
切に温度制御して半導体素子全体としては適当な冷却速
度が得られるようにする必要がある。従って、原料が溶
融した状態で製造型を可動できるような構造の大型で複
雑な製造装置が必要となり、あるいは、製造用の型の長
手方向に極めて精度良く温度制御できる製造装置や制御
装置が必要となる。このため、設備費が非常に高価にな
り、さらに、一様の品質を備えた単結晶の半導体素子を
製造するには熟練した作業員や高度な制御プログラムを
用いる必要がある。
【0006】そこで、本発明においては、長手方向に結
晶の揃った棒状の単結晶の半導体素子を簡単に製造する
ことができる製造方法および製造装置を提供することを
目的としている。そして、製造装置を簡易化すると共
に、一様で高品質の棒状の単結晶半導体素子を容易に製
造可能にすることによって熱電特性の優れた半導体素子
を低価格で提供可能とすることを目的としている。さら
に、その半導体素子を用いて高効率の熱電変換モジュー
ルを提供することも目的としている。
晶の揃った棒状の単結晶の半導体素子を簡単に製造する
ことができる製造方法および製造装置を提供することを
目的としている。そして、製造装置を簡易化すると共
に、一様で高品質の棒状の単結晶半導体素子を容易に製
造可能にすることによって熱電特性の優れた半導体素子
を低価格で提供可能とすることを目的としている。さら
に、その半導体素子を用いて高効率の熱電変換モジュー
ルを提供することも目的としている。
【0007】また、上記に示した従来の技術では、複数
の棒状(柱状あるいは針状)の半導体素子同士を絶縁部
材で固着したまま熱電変換モジュールとして使用してい
るのに対し、棒状の半導体素子を用いて、さらに熱電特
性の優れた熱電変換モジュールを供給できるモジュール
の製造方法を提供することも本発明の目的としている。
の棒状(柱状あるいは針状)の半導体素子同士を絶縁部
材で固着したまま熱電変換モジュールとして使用してい
るのに対し、棒状の半導体素子を用いて、さらに熱電特
性の優れた熱電変換モジュールを供給できるモジュール
の製造方法を提供することも本発明の目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の発明者らが、幾つ
かの条件で実験を繰り返したところ、単結晶のa軸と直
交する方向、すなわち、c軸方向に温度勾配を設けるこ
とによって長手方向にa軸が揃った棒状の単結晶の半導
体素子を製造できることを見いだした。すなわち、本発
明の半導体素子の製造方法は、少なくとも1つの棒状の
充填用の空間である充填部を備えた製造型に溶融した半
導体の原料を充填する充填工程と、充填部の長手方向と
直交する方向に温度勾配を設けた状態で固化する固化工
程とを有することを特徴としている。この製造方法にお
いては、充填工程でビスマス・テルル系の半導体の原料
を充填することによって長手方向にa軸の揃った単結晶
の棒状の半導体素子を製造することが可能である。従っ
て、本発明の製造方法によって製造された単結晶で棒状
の半導体素子を束ねてスライスすることにより、簡単に
熱電特性の優れた熱電変換モジュールを製造することが
できる。
かの条件で実験を繰り返したところ、単結晶のa軸と直
交する方向、すなわち、c軸方向に温度勾配を設けるこ
とによって長手方向にa軸が揃った棒状の単結晶の半導
体素子を製造できることを見いだした。すなわち、本発
明の半導体素子の製造方法は、少なくとも1つの棒状の
充填用の空間である充填部を備えた製造型に溶融した半
導体の原料を充填する充填工程と、充填部の長手方向と
直交する方向に温度勾配を設けた状態で固化する固化工
程とを有することを特徴としている。この製造方法にお
いては、充填工程でビスマス・テルル系の半導体の原料
を充填することによって長手方向にa軸の揃った単結晶
の棒状の半導体素子を製造することが可能である。従っ
て、本発明の製造方法によって製造された単結晶で棒状
の半導体素子を束ねてスライスすることにより、簡単に
熱電特性の優れた熱電変換モジュールを製造することが
できる。
【0009】本発明の製造方法においては、充填部の長
手方向に直交する方向に温度勾配を与えるようにしてい
るので、距離の長い長手方向に対し、直交する方向の短
い距離の間で温度勾配を設定すれば良く、製造型の周囲
に設定する温度差は小さくてすむ。従って、製造型の周
囲に一様の温度分布(直交する方向に温度差のある温度
分布)で半導体素子を一様に結晶化させることができ
る。このため、炉などの加熱装置の構造を簡易にでき、
その温度制御も簡単となると共に品質が一様の半導体素
子を簡単に製造することができる。また、原料が溶融し
ている状態で製造型を移動するような操作や装置も不要
となり、製造装置を簡易化でき、製造コストを大幅に低
減できる。従って、本発明の製造方法により、品質が高
く安定した単結晶の半導体素子を容易に製造することが
でき、低価格で提供することが可能となる。
手方向に直交する方向に温度勾配を与えるようにしてい
るので、距離の長い長手方向に対し、直交する方向の短
い距離の間で温度勾配を設定すれば良く、製造型の周囲
に設定する温度差は小さくてすむ。従って、製造型の周
囲に一様の温度分布(直交する方向に温度差のある温度
分布)で半導体素子を一様に結晶化させることができ
る。このため、炉などの加熱装置の構造を簡易にでき、
その温度制御も簡単となると共に品質が一様の半導体素
子を簡単に製造することができる。また、原料が溶融し
ている状態で製造型を移動するような操作や装置も不要
となり、製造装置を簡易化でき、製造コストを大幅に低
減できる。従って、本発明の製造方法により、品質が高
く安定した単結晶の半導体素子を容易に製造することが
でき、低価格で提供することが可能となる。
【0010】さらに、長手方向に温度勾配を設けなくて
良いので、長手方向の長い距離を温度制御したり、炉に
対し移動可能な製造用の型を使用するといった製造上の
制約がなくなる。このため、従来よりも長い半導体素子
を量産することが可能となり、この面でも熱電特性に優
れたビスマス・テルル系の半導体素子を低価格で製造
し、提供することができる。
良いので、長手方向の長い距離を温度制御したり、炉に
対し移動可能な製造用の型を使用するといった製造上の
制約がなくなる。このため、従来よりも長い半導体素子
を量産することが可能となり、この面でも熱電特性に優
れたビスマス・テルル系の半導体素子を低価格で製造
し、提供することができる。
【0011】このような半導体素子の製造方法は、少な
くとも1つの棒状の充填部を備えた製造型と、充填部の
長手方向と直交する方向に温度勾配を設定可能な加熱装
置とを有することを特徴とする製造装置を用いて実現す
ることが可能である。さらに、長手方向と直交する方向
の温度勾配を設定可能な加熱装置としては、充填部の長
手方向に沿って分割された個々に制御可能な複数のヒー
タを備え、これらのヒータが前記製造型の周囲に配置さ
れており、さらに、製造型の周囲の少なくとも1か所
に、充填部の長手方向に沿った冷却媒体の流路が設置さ
れているものを採用することができる。長手方向に沿っ
て分割された複数のヒータを設け、対向するヒータによ
る温度を制御することによって充填部の長手方向に直交
する温度差を設定でき、その状態で長手方向にほぼ一様
な温度分布となるように制御することができる。このた
め、品質の安定した半導体素子を製造することができ
る。さらに、冷却媒体の流路を設けておくことにより、
発熱手段と吸熱手段を用いた温度制御が可能となる。こ
のため、製造装置内の温度分布をいっそう高い精度で制
御することが可能となり、高品質の半導体素子を提供す
ることができる。
くとも1つの棒状の充填部を備えた製造型と、充填部の
長手方向と直交する方向に温度勾配を設定可能な加熱装
置とを有することを特徴とする製造装置を用いて実現す
ることが可能である。さらに、長手方向と直交する方向
の温度勾配を設定可能な加熱装置としては、充填部の長
手方向に沿って分割された個々に制御可能な複数のヒー
タを備え、これらのヒータが前記製造型の周囲に配置さ
れており、さらに、製造型の周囲の少なくとも1か所
に、充填部の長手方向に沿った冷却媒体の流路が設置さ
れているものを採用することができる。長手方向に沿っ
て分割された複数のヒータを設け、対向するヒータによ
る温度を制御することによって充填部の長手方向に直交
する温度差を設定でき、その状態で長手方向にほぼ一様
な温度分布となるように制御することができる。このた
め、品質の安定した半導体素子を製造することができ
る。さらに、冷却媒体の流路を設けておくことにより、
発熱手段と吸熱手段を用いた温度制御が可能となる。こ
のため、製造装置内の温度分布をいっそう高い精度で制
御することが可能となり、高品質の半導体素子を提供す
ることができる。
【0012】また、これらの棒状の半導体素子を用いて
熱電変換モジュールを製造する際は、並列に配置された
第1および第2の導電型の複数の棒状の半導体素子の隙
間に、これらの半導体素子が少なくとも分離しない程度
の充填剤を注入して母ユニットを形成する工程と、母ユ
ニットを半導体素子の長手方向と直交する方向にスライ
スして素子ユニットを形成する工程と、素子ユニットを
構成する半導体素子の端同士を所定の組合せとなるよう
に導電材で接続する工程と、充填剤を除去する工程とを
有することを特徴する製造方法を採用することが望まし
い。素子ユニットに導電材を接続する際は充填剤によっ
て束ねておくことによって工数を削減でき、製造工程の
自動化も行い易くなる。また、半導体素子同士に適当な
間隔が一様に確保できるので、安定した品質の熱電変換
モジュールを提供できる。一方、素子ユニットに導電材
が接続された後は、半導体素子同士の位置関係は導電材
によって確保でき、さらに、本願の発明者らの実験によ
って、半導体素子の周囲から充填剤を除いた方が優れた
熱電特性が得られることが見いだされた。従って、充填
剤を除去する工程を採用したモジュール化を採用するこ
とにより、安定した品質で、高い熱電特性を備えた熱電
変換モジュールを低価格で提供することができる。
熱電変換モジュールを製造する際は、並列に配置された
第1および第2の導電型の複数の棒状の半導体素子の隙
間に、これらの半導体素子が少なくとも分離しない程度
の充填剤を注入して母ユニットを形成する工程と、母ユ
ニットを半導体素子の長手方向と直交する方向にスライ
スして素子ユニットを形成する工程と、素子ユニットを
構成する半導体素子の端同士を所定の組合せとなるよう
に導電材で接続する工程と、充填剤を除去する工程とを
有することを特徴する製造方法を採用することが望まし
い。素子ユニットに導電材を接続する際は充填剤によっ
て束ねておくことによって工数を削減でき、製造工程の
自動化も行い易くなる。また、半導体素子同士に適当な
間隔が一様に確保できるので、安定した品質の熱電変換
モジュールを提供できる。一方、素子ユニットに導電材
が接続された後は、半導体素子同士の位置関係は導電材
によって確保でき、さらに、本願の発明者らの実験によ
って、半導体素子の周囲から充填剤を除いた方が優れた
熱電特性が得られることが見いだされた。従って、充填
剤を除去する工程を採用したモジュール化を採用するこ
とにより、安定した品質で、高い熱電特性を備えた熱電
変換モジュールを低価格で提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明する。
の実施の形態を説明する。
【0014】〔熱電変換素子の製造について〕図1に、
本例の半導体素子の製造装置の構成を断面を用いて示し
てある。本例の製造装置10は、図1の上下方向に複数
の棒状の充填空間(充填部)11が形成されたカーボン
あるいは石英ガラスまたはセラミック製の製造型12を
備えており、この製造型12が石英ガラス製の容器13
に上方から挿入されている。容器13は、その内径が製
造型12の外径と殆ど同じサイズになるように形成され
ており、半導体素子の製造を開始する時点では、容器1
3の下側にある程度のスペースが確保されるように製造
型12は容器13に挿入され、容器13の下部のスペー
スには半導体素子の原料14が予め収納される。また、
容器13の上部には伝達部材16と重り15が設置され
ている。従って、原料14が溶融した状態になると、製
造型12の上部に載せられた重り15の重量で製造型1
2が加圧され、溶融した原料14が製造型12に設けら
れた図面の上下方向に長い充填部11の各々に充填され
る。そして、充填部11の形状に合わせて固化(結晶
化)した半導体素子が製造できる。
本例の半導体素子の製造装置の構成を断面を用いて示し
てある。本例の製造装置10は、図1の上下方向に複数
の棒状の充填空間(充填部)11が形成されたカーボン
あるいは石英ガラスまたはセラミック製の製造型12を
備えており、この製造型12が石英ガラス製の容器13
に上方から挿入されている。容器13は、その内径が製
造型12の外径と殆ど同じサイズになるように形成され
ており、半導体素子の製造を開始する時点では、容器1
3の下側にある程度のスペースが確保されるように製造
型12は容器13に挿入され、容器13の下部のスペー
スには半導体素子の原料14が予め収納される。また、
容器13の上部には伝達部材16と重り15が設置され
ている。従って、原料14が溶融した状態になると、製
造型12の上部に載せられた重り15の重量で製造型1
2が加圧され、溶融した原料14が製造型12に設けら
れた図面の上下方向に長い充填部11の各々に充填され
る。そして、充填部11の形状に合わせて固化(結晶
化)した半導体素子が製造できる。
【0015】本例の製造装置10においては、製造型1
2が挿入された容器13が、さらにカーボン製のホルダ
ー17に収められ、このホルダー17の周囲に2つ、あ
るいはそれ以上に分割された第1および第2のヒータ1
8および19が設置されている。これら第1のヒータ1
8および第2のヒータ19は、棒状の半導体素子の長手
方向、すなわち、図面の上下方向に沿って2つに分割さ
れた形状となっており、ホルダー17を中心に対向する
ように配置されている。また、それぞれのヒータ18お
よび19は温度制御装置30によってオンオフ制御ある
いは出力制御できるようになっている。さらに、第2の
ヒータ19とホルダー17の間に半導体素子の長手方向
に沿って延びた石英ガラス製の管路20が用意されてお
り、この管路20の内部に空気を流して第2のヒータ1
9の側の温度をより詳細に制御できるようになってい
る。
2が挿入された容器13が、さらにカーボン製のホルダ
ー17に収められ、このホルダー17の周囲に2つ、あ
るいはそれ以上に分割された第1および第2のヒータ1
8および19が設置されている。これら第1のヒータ1
8および第2のヒータ19は、棒状の半導体素子の長手
方向、すなわち、図面の上下方向に沿って2つに分割さ
れた形状となっており、ホルダー17を中心に対向する
ように配置されている。また、それぞれのヒータ18お
よび19は温度制御装置30によってオンオフ制御ある
いは出力制御できるようになっている。さらに、第2の
ヒータ19とホルダー17の間に半導体素子の長手方向
に沿って延びた石英ガラス製の管路20が用意されてお
り、この管路20の内部に空気を流して第2のヒータ1
9の側の温度をより詳細に制御できるようになってい
る。
【0016】このような本例の製造装置10は、カーボ
ン製のホルダー17およびその周囲に配置された第1お
よび第2のヒータ18および19全体が真空容器21に
収められている。この真空容器21の1つのノズル22
は真空ポンプに接続され、また、他方のノズル23は、
アルゴンガスのような不活性気体の供給システムに接続
されている。従って、本例の真空容器21の内部の雰囲
気は、製造装置10を収納した後に不活性気体に置換す
ることが可能であり、以下に述べる半導体素子の製造プ
ロセスは不活性気体の雰囲気で行われるようになってい
る。
ン製のホルダー17およびその周囲に配置された第1お
よび第2のヒータ18および19全体が真空容器21に
収められている。この真空容器21の1つのノズル22
は真空ポンプに接続され、また、他方のノズル23は、
アルゴンガスのような不活性気体の供給システムに接続
されている。従って、本例の真空容器21の内部の雰囲
気は、製造装置10を収納した後に不活性気体に置換す
ることが可能であり、以下に述べる半導体素子の製造プ
ロセスは不活性気体の雰囲気で行われるようになってい
る。
【0017】図2に、本例の製造装置10を用いて半導
体素子を製造する過程をフローチャートを用いて示して
ある。まず、ステップ31で容器13の内部に原料14
と製造型12をセットする。この製造装置10は容器1
3の内部の温度を600℃あるいはそれ以上の温度まで
上昇させることが可能であり、ビスマル・テルル系の熱
電変換素子を製造するのに十分な能力を備えている。以
下においては、ビスマス・テルル系の半導体素子の代表
的な例として、ビスマスBi、テルルTe、アンチモン
SbおよびセレンSeの組成物を原料14として熱電変
換素子を製造するケースを例として説明しており、さら
に、p型のペルチェ素子として代表的なBi0.5 Sb
1.5 Te2.91Se0.09、また、n型のペルチェ素子とし
て代表的なBi1.8 Sb0.2 Te2.85Se0.15の単結晶
の棒状の熱電変換素子を製造するケースを例として説明
する。
体素子を製造する過程をフローチャートを用いて示して
ある。まず、ステップ31で容器13の内部に原料14
と製造型12をセットする。この製造装置10は容器1
3の内部の温度を600℃あるいはそれ以上の温度まで
上昇させることが可能であり、ビスマル・テルル系の熱
電変換素子を製造するのに十分な能力を備えている。以
下においては、ビスマス・テルル系の半導体素子の代表
的な例として、ビスマスBi、テルルTe、アンチモン
SbおよびセレンSeの組成物を原料14として熱電変
換素子を製造するケースを例として説明しており、さら
に、p型のペルチェ素子として代表的なBi0.5 Sb
1.5 Te2.91Se0.09、また、n型のペルチェ素子とし
て代表的なBi1.8 Sb0.2 Te2.85Se0.15の単結晶
の棒状の熱電変換素子を製造するケースを例として説明
する。
【0018】ステップ31で容器13に原料14および
製造型12をセットした製造装置10を真空容器21に
入れて内部を不活性ガスで置換した後に、ステップ32
で第1および第2のヒータ18および19に電力を供給
して容器13を加熱し、原料14を溶解する。原料14
が十分に溶解する温度まで容器13が加熱されると、ス
テップ33で重り15で加圧されている製造型12が原
料14のスペースに挿入され、これによって製造型12
の充填部11に原料14が溶解した溶液が充填される。
充填部11に原料14が充填されると、ステップ34で
第2のヒータ19の出力を制限し、第1のヒータ18か
ら第2のヒータ19の方向に温度勾配を設定する。これ
によって、充填部11の長手方向と直交する方向、すな
わち、棒状に成型される熱電変換素子の長手方向と直交
する方向に温度勾配が設定される。この状態で徐々に容
器13内の温度をさげることによって一定の方向に結晶
軸が向いた状態で結晶化が進み、原料が凝固(固化)
し、ステップ35で単結晶の棒状の熱電変換素子が製造
できる。
製造型12をセットした製造装置10を真空容器21に
入れて内部を不活性ガスで置換した後に、ステップ32
で第1および第2のヒータ18および19に電力を供給
して容器13を加熱し、原料14を溶解する。原料14
が十分に溶解する温度まで容器13が加熱されると、ス
テップ33で重り15で加圧されている製造型12が原
料14のスペースに挿入され、これによって製造型12
の充填部11に原料14が溶解した溶液が充填される。
充填部11に原料14が充填されると、ステップ34で
第2のヒータ19の出力を制限し、第1のヒータ18か
ら第2のヒータ19の方向に温度勾配を設定する。これ
によって、充填部11の長手方向と直交する方向、すな
わち、棒状に成型される熱電変換素子の長手方向と直交
する方向に温度勾配が設定される。この状態で徐々に容
器13内の温度をさげることによって一定の方向に結晶
軸が向いた状態で結晶化が進み、原料が凝固(固化)
し、ステップ35で単結晶の棒状の熱電変換素子が製造
できる。
【0019】図3に、上述したp型の熱電変換素子を製
造する際の製造装置10の温度変化の例を示してある。
図3に示した温度変化Aは、第1のヒータ18に面した
側のカーボンホルダー17の表面の温度変化を示してあ
り、温度変化Bは第2のヒータ19に面した側のカーボ
ンホルダー17の表面の温度変化を示してある。また、
横軸には1目盛りが約10分程度の間隔で加熱を開始し
てから冷却するまでの時間を示してある。図3に示した
例では、まず、第1および第2のヒータ18および19
を用いてホルダー17の両面の温度が約660℃程度に
なるまで加熱する。その状態を30分程度保持して原料
14が十分に溶解して充填部11に充填される時間を確
保した後、時刻t1に、第2のヒータ19の出力を低下
して充填部11の長手方向に直交する方向に温度差を設
定する。本例では、約10℃/cm程度の温度差を設定
するようにしており、このような温度差は、第2のヒー
タ19の出力を制御したり、あるいは第2のヒータ19
の側に用意された管路20に空気を流すことによって制
御することができる。また、時刻t1に垂直方向の温度
差を設定すると共に、熱電変換素子を結晶化するために
容器13の温度を徐々に下げる処理を開始する。本例で
は、単結晶を生成するために冷却スピードをほぼ2℃/
分程度に制御している。このような制御は、第2のヒー
タ19の出力を下げたり、あるいは管路20に空気を供
給することによって温度勾配を設定するのと同時に行う
ことが可能であり、必要であれば、さらに、第1のヒー
タ18の出力を制御することによって適当な冷却スピー
ドを実現することができる。温度差を設けた状態で冷却
を続け、時刻t2に第1のヒータ18の側のホルダー1
7の表面温度が熱電変換素子の凝固点(融点)以下にな
ると、容器13の内部の熱電変換素子は結晶化は終了し
ているので、第1および第2のヒータ18および19の
電源を遮断して製造装置10を冷却する。
造する際の製造装置10の温度変化の例を示してある。
図3に示した温度変化Aは、第1のヒータ18に面した
側のカーボンホルダー17の表面の温度変化を示してあ
り、温度変化Bは第2のヒータ19に面した側のカーボ
ンホルダー17の表面の温度変化を示してある。また、
横軸には1目盛りが約10分程度の間隔で加熱を開始し
てから冷却するまでの時間を示してある。図3に示した
例では、まず、第1および第2のヒータ18および19
を用いてホルダー17の両面の温度が約660℃程度に
なるまで加熱する。その状態を30分程度保持して原料
14が十分に溶解して充填部11に充填される時間を確
保した後、時刻t1に、第2のヒータ19の出力を低下
して充填部11の長手方向に直交する方向に温度差を設
定する。本例では、約10℃/cm程度の温度差を設定
するようにしており、このような温度差は、第2のヒー
タ19の出力を制御したり、あるいは第2のヒータ19
の側に用意された管路20に空気を流すことによって制
御することができる。また、時刻t1に垂直方向の温度
差を設定すると共に、熱電変換素子を結晶化するために
容器13の温度を徐々に下げる処理を開始する。本例で
は、単結晶を生成するために冷却スピードをほぼ2℃/
分程度に制御している。このような制御は、第2のヒー
タ19の出力を下げたり、あるいは管路20に空気を供
給することによって温度勾配を設定するのと同時に行う
ことが可能であり、必要であれば、さらに、第1のヒー
タ18の出力を制御することによって適当な冷却スピー
ドを実現することができる。温度差を設けた状態で冷却
を続け、時刻t2に第1のヒータ18の側のホルダー1
7の表面温度が熱電変換素子の凝固点(融点)以下にな
ると、容器13の内部の熱電変換素子は結晶化は終了し
ているので、第1および第2のヒータ18および19の
電源を遮断して製造装置10を冷却する。
【0020】本例のp型の熱電変換素子の熱的な性質は
予め示差熱量計(DTA)を用いて測定されており、そ
の測定結果を図5(a)に示してある。本図から判るよ
うに、本例の製造装置で製造されたp型の熱電変換素子
は、607℃位から相変化が始まり、テルル化ビスマス
(Bi2 Te3 )の単結晶より若干高い約611℃が融
点(凝固点)であることが判る。従って、上記のように
製造装置10の温度を制御することによって容器13の
内部で原料14をいったん溶融して充填部11に充填
し、その後、温度を下げることによって結晶化した熱電
変換素子が製造できることが判る。
予め示差熱量計(DTA)を用いて測定されており、そ
の測定結果を図5(a)に示してある。本図から判るよ
うに、本例の製造装置で製造されたp型の熱電変換素子
は、607℃位から相変化が始まり、テルル化ビスマス
(Bi2 Te3 )の単結晶より若干高い約611℃が融
点(凝固点)であることが判る。従って、上記のように
製造装置10の温度を制御することによって容器13の
内部で原料14をいったん溶融して充填部11に充填
し、その後、温度を下げることによって結晶化した熱電
変換素子が製造できることが判る。
【0021】図4に、上述したn型の熱電変換素子を製
造する際の温度変化を示してある。本図も、図3と同様
に、カーボンホルダー17の第1のヒータ18の側の表
面温度(A)と、第2のヒータ19の側の表面温度
(B)を示してあり、また、横軸の時間も約10分を1
目盛りとして示してある。図5(b)にDTAの測定結
果を示してあるように、本例のn型の熱電変換素子の融
点は約596℃とp型の熱電変換素子よりも若干低い温
度である。このため、原料が溶融して充填部11に充填
するために630℃程度に保持しており、上記と同様に
30分程度保持した後の時刻t3に第2のヒータ19の
出力を下げて、あるいは管路20に冷却用の空気を供給
することによって第1のヒータ18から第2のヒータ1
9に向かって10℃/cm程度の温度差ができるように
温度制御を開始し、同時に徐々に容器13を冷却する。
本例のn型の熱電変換素子においては、p型よりも若干
冷却スピードを下げた方が単結晶の成長に適しているこ
とが本願の発明者らによって確認されており、このた
め、本例においては、時刻t3より約1℃/分程度の冷
却スピードで固化(結晶化)のプロセスを行っている。
そして、ホルダー17の第1のヒータ18の側の表面温
度(A)が融点以下になった時刻t4には容器13の内
部では結晶化のプロセスが終了しているので、第1およ
び第2のヒータ18および19をオフして製造装置10
を冷却する。なお、上記の温度勾配や冷却スピードなど
の条件は例示に過ぎず、組成や製造上の環境などに合わ
せて適当な値を設定できることはもちろんである。
造する際の温度変化を示してある。本図も、図3と同様
に、カーボンホルダー17の第1のヒータ18の側の表
面温度(A)と、第2のヒータ19の側の表面温度
(B)を示してあり、また、横軸の時間も約10分を1
目盛りとして示してある。図5(b)にDTAの測定結
果を示してあるように、本例のn型の熱電変換素子の融
点は約596℃とp型の熱電変換素子よりも若干低い温
度である。このため、原料が溶融して充填部11に充填
するために630℃程度に保持しており、上記と同様に
30分程度保持した後の時刻t3に第2のヒータ19の
出力を下げて、あるいは管路20に冷却用の空気を供給
することによって第1のヒータ18から第2のヒータ1
9に向かって10℃/cm程度の温度差ができるように
温度制御を開始し、同時に徐々に容器13を冷却する。
本例のn型の熱電変換素子においては、p型よりも若干
冷却スピードを下げた方が単結晶の成長に適しているこ
とが本願の発明者らによって確認されており、このた
め、本例においては、時刻t3より約1℃/分程度の冷
却スピードで固化(結晶化)のプロセスを行っている。
そして、ホルダー17の第1のヒータ18の側の表面温
度(A)が融点以下になった時刻t4には容器13の内
部では結晶化のプロセスが終了しているので、第1およ
び第2のヒータ18および19をオフして製造装置10
を冷却する。なお、上記の温度勾配や冷却スピードなど
の条件は例示に過ぎず、組成や製造上の環境などに合わ
せて適当な値を設定できることはもちろんである。
【0022】このような製造方法によって図6に示すよ
うな棒状で単結晶のビスマス・テルル系の熱電変換素子
1を製造することができる。本例の製造装置10は、溶
融した原料14に対し製造型12を加圧して充填部11
に原料を充填するようにしているので、非常に細長い熱
電変換素子1を製造することが可能であり、例えば、直
径2mm程度、長さ80〜100mm程度の熱電変換素
子1を製造することができる。また、この熱電変換素子
1の長手方向と直交する方向に温度勾配を設定しながら
結晶化(固化)することによって結晶軸のc軸が温度勾
配の方向、すなわち長手方向と直交する方向を向き、a
軸が長手方向を向いた熱電変換素子1が製造される。こ
の棒状の熱電半導体素子1は、後述するように、長手方
向と垂直にスライスしてモジュール化され、結晶のa軸
が揃った長手方向に沿って電流が流れるように使用され
る。このため、a軸に沿った非常に優れた熱電特性をモ
ジュール化して活用することができる。
うな棒状で単結晶のビスマス・テルル系の熱電変換素子
1を製造することができる。本例の製造装置10は、溶
融した原料14に対し製造型12を加圧して充填部11
に原料を充填するようにしているので、非常に細長い熱
電変換素子1を製造することが可能であり、例えば、直
径2mm程度、長さ80〜100mm程度の熱電変換素
子1を製造することができる。また、この熱電変換素子
1の長手方向と直交する方向に温度勾配を設定しながら
結晶化(固化)することによって結晶軸のc軸が温度勾
配の方向、すなわち長手方向と直交する方向を向き、a
軸が長手方向を向いた熱電変換素子1が製造される。こ
の棒状の熱電半導体素子1は、後述するように、長手方
向と垂直にスライスしてモジュール化され、結晶のa軸
が揃った長手方向に沿って電流が流れるように使用され
る。このため、a軸に沿った非常に優れた熱電特性をモ
ジュール化して活用することができる。
【0023】本願の発明者らは、上記の製造方法によっ
て製造された熱電変換素子の結晶を確認するために、熱
電変換素子1の長手方向に沿った面が現れたサンプルを
成形し、その面に対しX線回折を行って結晶状態を測定
している。その測定結果を図7に示してある。図7
(a)は、p型の熱電変換素子の原料パウダーのX線回
折パターンを示してあり、図7(b)は、本例の製造方
法で製造されたp型の熱電変換素子1の長手方向に沿っ
てヘキ開した面のX線回折パターンを示してある。本図
から判るように図7(b)には、ビスマス・テルル系の
単結晶のc軸に垂直なヘキ開面の回折パターンが顕著に
現れている。従って、上述したように棒状の熱電変換素
子1の長手方向に直交する方向に温度勾配を設定して結
晶化することにより、棒状の長手方向にa軸の揃った単
結晶が得られたことが判る。
て製造された熱電変換素子の結晶を確認するために、熱
電変換素子1の長手方向に沿った面が現れたサンプルを
成形し、その面に対しX線回折を行って結晶状態を測定
している。その測定結果を図7に示してある。図7
(a)は、p型の熱電変換素子の原料パウダーのX線回
折パターンを示してあり、図7(b)は、本例の製造方
法で製造されたp型の熱電変換素子1の長手方向に沿っ
てヘキ開した面のX線回折パターンを示してある。本図
から判るように図7(b)には、ビスマス・テルル系の
単結晶のc軸に垂直なヘキ開面の回折パターンが顕著に
現れている。従って、上述したように棒状の熱電変換素
子1の長手方向に直交する方向に温度勾配を設定して結
晶化することにより、棒状の長手方向にa軸の揃った単
結晶が得られたことが判る。
【0024】先に示した従来のビスマス・テルル系の熱
電変換素子の製造技術では、棒状の半導体素子の長手方
向に沿った温度勾配を与えて結晶が一定の方向に配向し
た半導体素子が得られることが開示されている。これに
対し、本願においては、棒状の熱電変換素子の長手方向
と直交する方向(垂直な方向)に温度勾配を設定して固
化することによってa軸が長手方向を向いた単結晶の棒
状の熱電変換素子が得られることが見いだされた。本発
明の製造方法においては、棒状の半導体素子の長手方向
より数段短い距離となる長手方向と垂直な方向に温度差
を設定すれば良い。従って、熱電変換素子の製造中に設
定する温度差は、長手方向に温度差を設ける場合と比較
して非常に小さくて良いので、棒状の熱電変換素子の長
手方向の全体にわたり一様の温度分布(直交する方向に
温度勾配のある分布)を設定して熱電変換素子を製造す
ることが可能となる。従来の製造方法では、長手方向の
全端にわたって温度勾配を設定するのは融点を大幅に越
えた温度まで原料を加熱する必要があることから現実的
ではなく、長手方向に部分的な温度勾配を設定してお
り、そのために、加熱領域から製造型を抜き差しするよ
うな複雑な製造装置が必要である。これに対し、本例に
おいては、上述したように、左右のヒータで温度勾配を
設定することができ、製造装置を簡易化できると共に、
簡単な温度制御で、品質が一様に高く安定した熱電変換
特性の優れた熱電変換素子を低価格で製造し提供するこ
とができる。
電変換素子の製造技術では、棒状の半導体素子の長手方
向に沿った温度勾配を与えて結晶が一定の方向に配向し
た半導体素子が得られることが開示されている。これに
対し、本願においては、棒状の熱電変換素子の長手方向
と直交する方向(垂直な方向)に温度勾配を設定して固
化することによってa軸が長手方向を向いた単結晶の棒
状の熱電変換素子が得られることが見いだされた。本発
明の製造方法においては、棒状の半導体素子の長手方向
より数段短い距離となる長手方向と垂直な方向に温度差
を設定すれば良い。従って、熱電変換素子の製造中に設
定する温度差は、長手方向に温度差を設ける場合と比較
して非常に小さくて良いので、棒状の熱電変換素子の長
手方向の全体にわたり一様の温度分布(直交する方向に
温度勾配のある分布)を設定して熱電変換素子を製造す
ることが可能となる。従来の製造方法では、長手方向の
全端にわたって温度勾配を設定するのは融点を大幅に越
えた温度まで原料を加熱する必要があることから現実的
ではなく、長手方向に部分的な温度勾配を設定してお
り、そのために、加熱領域から製造型を抜き差しするよ
うな複雑な製造装置が必要である。これに対し、本例に
おいては、上述したように、左右のヒータで温度勾配を
設定することができ、製造装置を簡易化できると共に、
簡単な温度制御で、品質が一様に高く安定した熱電変換
特性の優れた熱電変換素子を低価格で製造し提供するこ
とができる。
【0025】〔熱電変換モジュールの製造について〕以
下では、棒状に成形された熱電変換素子を用いて熱電変
換モジュールを製造する方法について説明する。図6
に、棒状の熱電変換素子をモジュール化する概略を示し
てあり、図8にモジュール化する工程をフローチャート
を用いて示してある。まず、ステップ41において、上
記の方法で製造された棒状の熱電変換素子1を適当な間
隔を開けて並列に配列する。モジュール化する際に電気
的に接続することを考慮すると、p型およびn型の複数
の棒状の熱電変換素子1を交互に一定の隙間を開けて配
置することが望ましく、このためには、棒状の素子の両
端を保持できるように複数の穴の形成された適当な治具
を用いることが有効である。熱電変換素子1は、上記の
製造方法で製造されたものに限られないが、結晶軸のa
軸が棒状の長手方向に揃った単結晶の熱電変換素子を用
いることによって優れた熱電変換特性を備えたモジュー
ルを製造することができる。
下では、棒状に成形された熱電変換素子を用いて熱電変
換モジュールを製造する方法について説明する。図6
に、棒状の熱電変換素子をモジュール化する概略を示し
てあり、図8にモジュール化する工程をフローチャート
を用いて示してある。まず、ステップ41において、上
記の方法で製造された棒状の熱電変換素子1を適当な間
隔を開けて並列に配列する。モジュール化する際に電気
的に接続することを考慮すると、p型およびn型の複数
の棒状の熱電変換素子1を交互に一定の隙間を開けて配
置することが望ましく、このためには、棒状の素子の両
端を保持できるように複数の穴の形成された適当な治具
を用いることが有効である。熱電変換素子1は、上記の
製造方法で製造されたものに限られないが、結晶軸のa
軸が棒状の長手方向に揃った単結晶の熱電変換素子を用
いることによって優れた熱電変換特性を備えたモジュー
ルを製造することができる。
【0026】次に、図6(b)に示すように、ステップ
42で並列に配列された熱電変換素子同士の隙間2に仮
止め用の接着剤3を充填し、並列に配列した状態で個々
の熱電変換素子が分離しないようにする。本例のモジュ
ール化方法では、仮止め用に充填した接着剤(充填剤)
は、モジュールとして完成する前に除去するので、接着
剤としては加熱溶解可能なタイプ、あるいは溶剤などに
よって除去できるものを使用することが望ましい。ま
た、接着剤は、個々の熱電変換素子1が少なくとも分離
しない程度であれば良く、素子同士の隙間2を接着剤で
完全に埋める必要はない。
42で並列に配列された熱電変換素子同士の隙間2に仮
止め用の接着剤3を充填し、並列に配列した状態で個々
の熱電変換素子が分離しないようにする。本例のモジュ
ール化方法では、仮止め用に充填した接着剤(充填剤)
は、モジュールとして完成する前に除去するので、接着
剤としては加熱溶解可能なタイプ、あるいは溶剤などに
よって除去できるものを使用することが望ましい。ま
た、接着剤は、個々の熱電変換素子1が少なくとも分離
しない程度であれば良く、素子同士の隙間2を接着剤で
完全に埋める必要はない。
【0027】このようにして複数の熱電変換素子が分離
しないように接着された母ユニット5を、ステップ43
で棒状の熱電変換素子の長手方向と直交する方向に所定
の厚さの素子ユニット6が得られるようにスライスす
る。そして、ステップ44で、スライスされた素子ユニ
ット6の断面にニッケルメッキを施すなどの表面処理を
行い、ステップ45で素子ユニット6の両断面7aおよ
び7bに導電材、例えば、セラミック、アルミニウム金
属あるいはカーボン製のプリント基板8などをそれぞれ
接合する。基板8には、スライスされたそれぞれのp型
およびn型のそれぞれの素子が所定の組合せとなるよう
に電極がプリントされており、両端に基板8を接続する
ことにより、図6(c)に示すように、ペルチェ効果を
利用した熱電冷却素子としての機能や、ゼーベック効果
を利用した熱電発電素子としての機能を果たす熱電変換
モジュールが一応形成される。本例のモジュール化にお
いては、さらに、ステップ46において、仮止めに使用
した接着剤を除去し、ステップ47で、それぞれの熱電
変換素子1の周囲に樹脂などの絶縁部材が配置されてい
ない熱電変換モジュール9が製造される。
しないように接着された母ユニット5を、ステップ43
で棒状の熱電変換素子の長手方向と直交する方向に所定
の厚さの素子ユニット6が得られるようにスライスす
る。そして、ステップ44で、スライスされた素子ユニ
ット6の断面にニッケルメッキを施すなどの表面処理を
行い、ステップ45で素子ユニット6の両断面7aおよ
び7bに導電材、例えば、セラミック、アルミニウム金
属あるいはカーボン製のプリント基板8などをそれぞれ
接合する。基板8には、スライスされたそれぞれのp型
およびn型のそれぞれの素子が所定の組合せとなるよう
に電極がプリントされており、両端に基板8を接続する
ことにより、図6(c)に示すように、ペルチェ効果を
利用した熱電冷却素子としての機能や、ゼーベック効果
を利用した熱電発電素子としての機能を果たす熱電変換
モジュールが一応形成される。本例のモジュール化にお
いては、さらに、ステップ46において、仮止めに使用
した接着剤を除去し、ステップ47で、それぞれの熱電
変換素子1の周囲に樹脂などの絶縁部材が配置されてい
ない熱電変換モジュール9が製造される。
【0028】図9に、本例の製造方法によってモジュー
ル化された熱電変換モジュールの例を示してある。本例
のモジュール9は、断面がほぼ正方形の熱電変換素子1
が基板8aおよび8bに挟まれて熱電変換モジュール9
を構成しており、それぞれの基板8aおよび8bには、
p型およびn型の熱電変換素子1を電気的に接続して電
流が流せるように電極8cが設けられている。従って、
モジュール9から外側に出たリード9aおよび9bから
電力を供給することによって基板8aおよび8bの一方
を吸熱側として、その熱を他方の基板から放熱すること
が可能であり、基板8aおよび8bの間に温度差を発生
することができる。このように、本例の熱電変換モジュ
ール9は、棒状に形成された熱電変換素子1を長手方向
と垂直にスライスしたユニット6を基板8aおよび8b
で挟み込んでモジュール化しており、熱電変換素子1の
長手方向に電流が流れる。従って、熱電変換素子1の長
手方向に結晶のa軸が揃った単結晶の熱電変換素子1を
用いることにより、高い熱電変換特性を得ることができ
る。
ル化された熱電変換モジュールの例を示してある。本例
のモジュール9は、断面がほぼ正方形の熱電変換素子1
が基板8aおよび8bに挟まれて熱電変換モジュール9
を構成しており、それぞれの基板8aおよび8bには、
p型およびn型の熱電変換素子1を電気的に接続して電
流が流せるように電極8cが設けられている。従って、
モジュール9から外側に出たリード9aおよび9bから
電力を供給することによって基板8aおよび8bの一方
を吸熱側として、その熱を他方の基板から放熱すること
が可能であり、基板8aおよび8bの間に温度差を発生
することができる。このように、本例の熱電変換モジュ
ール9は、棒状に形成された熱電変換素子1を長手方向
と垂直にスライスしたユニット6を基板8aおよび8b
で挟み込んでモジュール化しており、熱電変換素子1の
長手方向に電流が流れる。従って、熱電変換素子1の長
手方向に結晶のa軸が揃った単結晶の熱電変換素子1を
用いることにより、高い熱電変換特性を得ることができ
る。
【0029】図10および図11に、本例の熱電変換モ
ジュール9と、接着剤を除去しない状態のモジュールの
ペルチェ効果の測定例を示してある。図10は、モジュ
ールに電流Iを供給したときに得られた基板8aおよび
8bの温度差ΔTを示してある。図中に実線で示した測
定値が本例の熱電変換モジュール9を用いた測定例であ
り、破線で示した測定値は接着剤3であるシリコン樹脂
が熱電変換素子の隙間2に充填された状態のモジュール
で測定された値である。シリコン樹脂の充填率は約98
%であり、熱電変換素子同士の隙間がほぼ埋められた状
態のモジュールの特性が測定されている。同様に、図1
1は、モジュールに電流Iを供給したときに基板8aお
よび8bの間で移動した熱量(吸熱量Q)を示してお
り、上記と同様に本例の熱電変換モジュール9の測定値
を実線で示し、シリコン樹脂を除去する前のモジュール
の測定値を破線で示してある。
ジュール9と、接着剤を除去しない状態のモジュールの
ペルチェ効果の測定例を示してある。図10は、モジュ
ールに電流Iを供給したときに得られた基板8aおよび
8bの温度差ΔTを示してある。図中に実線で示した測
定値が本例の熱電変換モジュール9を用いた測定例であ
り、破線で示した測定値は接着剤3であるシリコン樹脂
が熱電変換素子の隙間2に充填された状態のモジュール
で測定された値である。シリコン樹脂の充填率は約98
%であり、熱電変換素子同士の隙間がほぼ埋められた状
態のモジュールの特性が測定されている。同様に、図1
1は、モジュールに電流Iを供給したときに基板8aお
よび8bの間で移動した熱量(吸熱量Q)を示してお
り、上記と同様に本例の熱電変換モジュール9の測定値
を実線で示し、シリコン樹脂を除去する前のモジュール
の測定値を破線で示してある。
【0030】これらの図から判るように、熱電変換素子
1の周囲からシリコン樹脂を除去した本例のモジュール
9の方がシリコン樹脂を除去する前のモジュールよりも
優れた熱電変換特性を示している。特に、吸熱量Qで
は、シリコン樹脂を除去することにより、10%程度も
高い値が得られることが判る。このように、本例のモジ
ュール化においては、複数の棒状の熱電変換素子1を配
列して一時的に接着剤で固定して素子同士の位置精度を
確保すると共に加工性を向上できる。さらに、基板など
によって熱電変換素子同士が接続された後に接着剤を除
去することによって、いっそう優れた熱電変換特性を有
する熱電変換モジュールを提供することができる。従っ
て、本例の製造方法を採用することにより、低価格で熱
電変換効率の高い熱電変換モジュールを提供することが
可能となり、上述した熱電変換素子の製造方法と合わせ
て採用することにより、製造コストが安く、熱電変換特
性に優れ、品質の安定した熱電変換モジュールを提供す
ることができる。
1の周囲からシリコン樹脂を除去した本例のモジュール
9の方がシリコン樹脂を除去する前のモジュールよりも
優れた熱電変換特性を示している。特に、吸熱量Qで
は、シリコン樹脂を除去することにより、10%程度も
高い値が得られることが判る。このように、本例のモジ
ュール化においては、複数の棒状の熱電変換素子1を配
列して一時的に接着剤で固定して素子同士の位置精度を
確保すると共に加工性を向上できる。さらに、基板など
によって熱電変換素子同士が接続された後に接着剤を除
去することによって、いっそう優れた熱電変換特性を有
する熱電変換モジュールを提供することができる。従っ
て、本例の製造方法を採用することにより、低価格で熱
電変換効率の高い熱電変換モジュールを提供することが
可能となり、上述した熱電変換素子の製造方法と合わせ
て採用することにより、製造コストが安く、熱電変換特
性に優れ、品質の安定した熱電変換モジュールを提供す
ることができる。
【0031】なお、上記では、ビスマス・テルル系の熱
電変換素子として代表的な組成を例に説明しているが、
その他のビスマス・テルル系の半導体素子に対しても本
発明が適用できることはもちろんである。
電変換素子として代表的な組成を例に説明しているが、
その他のビスマス・テルル系の半導体素子に対しても本
発明が適用できることはもちろんである。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の半導体
素子の製造方法を採用することにより、熱電変換素子、
特にビスマス・テルル系の熱電変換素子をいっそう簡単
に製造することが可能となり、製造装置を簡易にできる
と共に、品質が高く安定した熱電変換素子を低価格で提
供することができる。また、本発明の熱電変換モジュー
ルの製造方法を用いることにより、棒状に製造された熱
電変換素子を加工性の良い形状にユニット化して熱電変
換モジュールの製造効率を向上し、熱電変換モジュール
の製造コストを低減できると共に、最終的にはユニット
化に用いた充填剤を除去することによって高い熱電変換
特性を備えた熱電変換モジュールを提供することが可能
となる。従って、本発明の半導体素子の製造方法および
熱電変換モジュールの製造方法を採用することによっ
て、電子冷凍ユニットや熱発電ユニットなどの多くの用
途に適した、小型で熱電変換効率が高く品質の安定した
熱電変換モジュールを低価格で提供することが可能にな
る。
素子の製造方法を採用することにより、熱電変換素子、
特にビスマス・テルル系の熱電変換素子をいっそう簡単
に製造することが可能となり、製造装置を簡易にできる
と共に、品質が高く安定した熱電変換素子を低価格で提
供することができる。また、本発明の熱電変換モジュー
ルの製造方法を用いることにより、棒状に製造された熱
電変換素子を加工性の良い形状にユニット化して熱電変
換モジュールの製造効率を向上し、熱電変換モジュール
の製造コストを低減できると共に、最終的にはユニット
化に用いた充填剤を除去することによって高い熱電変換
特性を備えた熱電変換モジュールを提供することが可能
となる。従って、本発明の半導体素子の製造方法および
熱電変換モジュールの製造方法を採用することによっ
て、電子冷凍ユニットや熱発電ユニットなどの多くの用
途に適した、小型で熱電変換効率が高く品質の安定した
熱電変換モジュールを低価格で提供することが可能にな
る。
【図1】本発明の実施の形態の製造装置を模式的に示す
図である。
図である。
【図2】図1に示す製造装置を用いて熱電変換素子を製
造する方法の一例を示すフローチャートである。
造する方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す製造装置でp型の熱電変換素子を製
造する際の温度変化の例を示す図である。
造する際の温度変化の例を示す図である。
【図4】図1に示す製造装置でn型の熱電変換素子を製
造する際の温度変化の例を示す図である。
造する際の温度変化の例を示す図である。
【図5】図1に示す製造装置で製造されたp型およびn
型の熱電変換素子の示差熱量計の測定例を示すグラフで
ある。
型の熱電変換素子の示差熱量計の測定例を示すグラフで
ある。
【図6】図1に示す製造装置で製造された棒状の熱電変
換素子をモジュール化する様子を模式的に示す図であ
る。
換素子をモジュール化する様子を模式的に示す図であ
る。
【図7】図1に示す製造装置で製造された棒状の熱電変
換素子の結晶構造を示すX線回折パターンである。
換素子の結晶構造を示すX線回折パターンである。
【図8】図6のモジュール化の工程を示すフローチャー
トである。
トである。
【図9】本発明の実施の形態に係る熱電変換モジュール
の一例の概略構成を示す図であり、図9(a)はモジュ
ールの側面図であり、図9(b)はモジュールを基板に
並行な面で切った断面図である。
の一例の概略構成を示す図であり、図9(a)はモジュ
ールの側面図であり、図9(b)はモジュールを基板に
並行な面で切った断面図である。
【図10】図9に示す熱電変換モジュールと、シリコン
樹脂を除去していないモジュールの入力電流Iに対して
温度差ΔTが変化する様子を示すグラフである。
樹脂を除去していないモジュールの入力電流Iに対して
温度差ΔTが変化する様子を示すグラフである。
【図11】図9に示す熱電変換モジュールと、シリコン
樹脂を除去していないモジュールの入力電流Iに対して
吸熱量Qが変化する様子を示すグラフである。
樹脂を除去していないモジュールの入力電流Iに対して
吸熱量Qが変化する様子を示すグラフである。
1・・棒状の熱電変換素子 2・・並列に配置された熱電変換素子同士の隙間 3・・隙間を埋める充填剤(接着剤、シリコン樹脂) 5・・母ユニット 6・・素子ユニット 8・・基板 9・・熱電変換モジュール 10・・半導体素子の製造装置 11・・充填部 12・・製造型 13・・容器 14・・原料 15・・重り 17・・ホルダー 18、19・・ヒータ 20・・空気用の管路 21・・真空容器 30・・温度制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥富 衛 茨城県土浦市中高津1丁目11−19
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも1つの棒状の充填部を備えた
製造型に溶融した半導体の原料を充填する充填工程と、 前記充填部の長手方向と直交する方向に温度勾配を設け
た状態で固化する固化工程とを有することを特徴とする
半導体素子の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記充填工程では、
ビスマス・テルル系の半導体の原料を充填することを特
徴とする半導体素子の製造方法。 - 【請求項3】 少なくとも1つの棒状の充填部を備えた
製造型と、 前記充填部の長手方向と直交する方向に温度勾配を設定
可能な加熱装置とを有することを特徴とする半導体素子
の製造装置。 - 【請求項4】 請求項3において、前記加熱装置は、前
記充填部の長手方向に沿って分割された個々に制御可能
な複数のヒータを備え、これらの複数のヒータが前記製
造型の周囲に配置されており、さらに、 前記製造型の周囲の少なくとも1か所に、前記充填部の
長手方向に沿った冷却媒体の流路が設置されていること
を特徴とする半導体素子の製造装置。 - 【請求項5】 請求項1または2に記載の半導体素子の
製造方法によって製造された第1および第2の導電型の
複数の半導体素子を並列に配置して、それらの半導体素
子の隙間に、前記半導体素子が少なくとも分離しない程
度の充填剤を注入して母ユニットを形成する工程と、 前記母ユニットを前記半導体素子の長手方向と直交する
方向にスライスして素子ユニットを形成する工程と、 前記素子ユニットを構成する前記半導体素子の端同士を
所定の組合せとなるように導電材で接続する工程と、 前記充填剤を除去する工程とを有することを特徴する熱
電変換モジュールの製造方法。 - 【請求項6】 並列に配置された第1および第2の導電
型の複数の半導体素子の隙間に、これらの半導体素子が
少なくとも分離しない程度の充填剤を注入して母ユニッ
トを形成する工程と、 前記母ユニットを前記半導体素子の長手方向と直交する
方向にスライスして素子ユニットを形成する工程と、 前記素子ユニットを構成する前記半導体素子の端同士を
所定の組合せとなるように導電材で接続する工程と、 前記充填剤を除去する工程とを有することを特徴する熱
電変換モジュールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9095545A JPH10290030A (ja) | 1997-04-14 | 1997-04-14 | 半導体素子の製造方法、製造装置および熱電変換モジュールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9095545A JPH10290030A (ja) | 1997-04-14 | 1997-04-14 | 半導体素子の製造方法、製造装置および熱電変換モジュールの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10290030A true JPH10290030A (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=14140548
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9095545A Pending JPH10290030A (ja) | 1997-04-14 | 1997-04-14 | 半導体素子の製造方法、製造装置および熱電変換モジュールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10290030A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007305664A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Saitama Prefecture | 熱電素子およびその製造方法 |
WO2008020480A1 (fr) * | 2006-08-17 | 2008-02-21 | Materials Science Co., Ltd. | matériau de conversion thermoélectrique haute performance et module de conversion thermoélectrique pour production d'énergie |
JP2012235017A (ja) * | 2011-05-06 | 2012-11-29 | Shimane Univ | 熱電変換材料製造装置及び熱電変換材料製造方法 |
US9087963B2 (en) | 2011-04-12 | 2015-07-21 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Apparatus for manufacturing thermoelectric conversion element |
-
1997
- 1997-04-14 JP JP9095545A patent/JPH10290030A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007305664A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Saitama Prefecture | 熱電素子およびその製造方法 |
WO2008020480A1 (fr) * | 2006-08-17 | 2008-02-21 | Materials Science Co., Ltd. | matériau de conversion thermoélectrique haute performance et module de conversion thermoélectrique pour production d'énergie |
US9087963B2 (en) | 2011-04-12 | 2015-07-21 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Apparatus for manufacturing thermoelectric conversion element |
JP2012235017A (ja) * | 2011-05-06 | 2012-11-29 | Shimane Univ | 熱電変換材料製造装置及び熱電変換材料製造方法 |
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