JP4893629B2 - 歪曲補正方法、歪曲補正プログラム、画像処理装置、交換レンズ、カメラ、及びカメラシステム - Google Patents
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Description
撮影用のレンズが画像に与える歪曲量Dは、理想像点の像高をY、実際の像点の像高をY0とすると、以下の式で表される。
この歪曲量Dの画像上の分布は、以下のとおり像高比r(=像高/最高像高)の関数で以下のとおり近似することができる。
D(r)≡a1r+a2r2+a3r3+a4r4+a5r5+a6r6+…
多くの場合、以下のとおり次数を3に抑えたとしても十分に良い近似ができる。
歪曲量分布を表すこの関数の係数(以下、「歪曲係数」という。)a1,a2,a3は、レンズの種類(仕様)によって異なるだけでなく、撮影時のレンズポジション(焦点距離fと焦点位置dとの組み合わせ)によっても変化する。
このため、特許文献1に記載のカメラには、歪曲補正情報として、歪曲係数a1,a2,a3をレンズポジション毎に格納したテーブルが予め用意されている。画像の撮影時、レンズポジションに応じてカメラがこのテーブルを参照すれば、画像上の歪曲量分布を簡単に推測することができる。
そこで本発明は、予め用意すべき情報量を抑えながら画像の歪曲の推測精度を高めることのできる歪曲補正方法、歪曲補正プログラム、画像処理装置を提供することを目的とする。また、本発明は、その歪曲補正方法を実現するのに好適な交換レンズ、カメラ、及びカメラシステムを提供することを目的とする。
(4)前記冪関数には、前記焦点位置の逆冪乗の項が含まれることが望ましい。
(5)前記冪関数には、前記焦点距離の逆冪乗の項が含まれることが望ましい。
(6)前記冪関数には、前記焦点距離の重根の項が含まれてもよい。
(7)本発明の歪曲補正プログラムは、本発明の何れかの歪曲補正方法をコンピュータに実行させる。
(9)本発明の交換レンズは、光学系の歪曲収差を、その光学系に設定される焦点位置及び/又は焦点距離の関数で近似したときの近似情報を予め記憶した交換レンズであって、前記近似情報は、前記歪曲収差を前記光学系の像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の関数で近似したときの近似情報である。
(11)前記近似情報は、前記冪関数を構成する各項の係数からなることが望ましい。
(12)前記冪関数には、前記焦点位置の逆冪乗の項が含まれることが望ましい。
(14)前記冪関数には、前記焦点距離の重根の項が含まれてもよい。
(15)本発明のカメラシステムは、本発明の何れかの交換レンズと、前記交換レンズが予め記憶した前記近似情報を読み取ることの可能なカメラとを備える。
(16)前記カメラには、前記交換レンズの前記光学系で撮影した画像の歪曲を、その画像の撮影時に設定された前記光学系の焦点位置及び/又は焦点距離と前記読み取った前記近似情報とに基づき推測する手段が備えられることが望ましい。
(18)前記カメラには、前記推測した前記歪曲を示す情報を前記画像に対し付加する手段が備えられることが望ましい。
(19)前記カメラには、前記交換レンズの光学系で撮影した画像に対し、前記読み取った前記近似情報を付加する手段が備えられることが望ましい。
(21)前記近似情報は、前記歪曲収差を前記像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の冪関数で近似したときの近似情報であることが望ましい。
(23)前記冪関数には、前記焦点位置の逆冪乗の項が含まれることが望ましい。
(24)前記冪関数には、前記焦点距離の逆冪乗の項が含まれることが望ましい。
(25)前記冪関数には、前記焦点距離の重根の項が含まれてもよい。
(26)本発明の歪曲補正方法においては、前記像面上位置の関数の項数及び各項の次数の組み合わせは、前記歪曲補正の要求精度及び/又は前記近似情報の許容情報量に応じて決定されてもよい。
(28)前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、rの2以上の次数の項のみで歪曲量Dを表す関数D(r)であることが望ましい。
(30)前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)≡Ar4+Br3+Cr2(但し、A,B,Cは係数)であることが望ましい。
(31)前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)であることが望ましい。
(34)少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、rの2以上の次数の項のみで歪曲量Dを表す関数D(r)であることが望ましい。
(36)少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)≡Ar4+Br3+Cr2(但し、A,B,Cは係数)であることが望ましい。
(37)少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)であることが望ましい。
(39)前記像面上位置の関数D(r)に含まれるrの項数は、4以下であることが望ましい。
)であることが望ましい。
(41)前記像面上位置の関数は、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)であることが望ましい。
(43)前記関数D(r)に含まれるrの項数は、4以下であることが望ましい。
(45)前記像面上位置の関数は、前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)であることが望ましい。
また、本発明によれば、良好な歪曲補正を確実に行うことのできる歪曲補正方法、歪曲補正プログラム、カメラ、交換レンズ、及びカメラシステムが実現する。
本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、カメラシステムの実施形態である。
先ず、本カメラシステムの構成を説明する。
図1は、本カメラシステムの構成図である。図1に示すとおり、本カメラシステムは、交換レンズ11とカメラ本体10とからなる。
撮影時、交換レンズ11内のズームレンズ11Lは、カメラ本体10内の撮像素子12上に被写体の像を形成する。撮像素子12は、その被写体の像を撮像して画像を取得する。その画像は、信号処理回路13において処理された後、メモリ14へ一時的に格納される。画像処理回路17は、その画像に対し画像処理を施し、補正後の画像が、圧縮・伸張回路15において圧縮処理された後、記録部16において記録される。
図2は、ズームレンズ11Lが或るレンズポジションにあるときの歪曲収差データ(画像に与えられる歪曲量分布)の一例を示す図である。図2の横軸は、像高比rであり、縦軸は、歪曲量Dである。この歪曲量Dを像高比rの関数で表すと、以下のとおりである。
D≡Ar4+Br3+Cr2 …(1)
そして、このズームレンズ11Lのレンズポジション(焦点位置d,焦点距離fの組み合わせ)が変化すると、歪曲量分布は、例えば、図2中に点線で示すように変化し、関数(1)における歪曲係数A,B,Cの組み合わせも変化する。
図4において、例えば、焦点距離f=f1における歪曲係数AのデータA11,A21,A31を参照すると、焦点距離f=f1における焦点位置dによる歪曲係数Aの変化がわかる。これらのデータA11,A21,A31を用いれば、焦点距離f=f1における歪曲係数Aのd方向の分布を曲線で近似することができる。その近似曲線LAは、例えば、焦点位置dの冪関数(1Ad)で表される。
すなわち、図4に示した歪曲係数Aの9つのデータA11,A12,…,A33を用いれば、図7に示すとおり、歪曲係数Aのd,f方向の分布を曲面で近似することができる(なお、図7ではd軸の代わりに1/d軸を、f軸の代わりに1/f軸を示した。)。その近似曲面SAは、例えば、以下のようなd,fの冪関数(1A)で表される。
同様に、図5に示した歪曲係数Bの9つのデータB11,B12,…,B33を用いれば、図8に示すとおり、歪曲係数Bのd,f方向の分布を曲面で近似することができる(なお、図8ではd軸の代わりに1/d軸を、f軸の代わりに1/f軸を示した。)。その近似曲面SBは、例えば、以下のようなd,fの冪関数(1B)で表される。
同様に、図6に示した歪曲係数Cの9つのデータC11,C12,…,C33を用いれば、図9に示すとおり、歪曲係数Cのd,f方向の分布を曲面で近似することができる(なお、図9ではd軸の代わりに1/d軸を、f軸の代わりに1/f軸を示した。)。その近似曲面SCは、例えば、以下のようなd,fの冪関数(1C)で表される。
そこで、製造者は、歪曲係数Aの9つのデータA11,A12,…,A33(図4)に基づき、歪曲係数Aの近似曲面SA(図7)を算出する。すなわち、製造者は、歪曲係数Aの9つのデータA11,A12,…,A33に対し、近似曲面SAを表す冪関数(1A)をフィッティングし、冪関数(1A)中の9つの係数(以下、「近似係数」という。)Γ00,Γ01,Γ02,Γ10,Γ11,Γ12,Γ20,Γ21,Γ22の値を選定する。
図10は、画像処理回路17による歪曲補正処理の手順を示すフローチャートである。図10に示すとおり、画像処理回路17は、画像、歪曲補正情報I、及びレンズポジション情報を入力する(ステップS1)。
このうち、歪曲補正情報Iに含まれる9つの近似係数Γ00,Γ01,Γ02,Γ10,Γ11,Γ12,Γ20,Γ21,Γ22の値と、上述した冪関数(1A)とにより、歪曲係数Aの近似曲面SA(図7)が既知となる。
また、歪曲補正情報Iに含まれる9つの近似係数Λ00,Λ01,Λ02,Λ10,Λ11,Λ12,Λ20,Λ21,Λ22の値と、上述した冪関数(1C)とにより、歪曲係数Cの近似曲面SC(図9)が既知となる。
そこで、画像処理回路17は、既知となった歪曲係数Aの近似曲面SAに対し、撮影時におけるレンズポジション(焦点位置d及び焦点距離fの値)を当てはめることにより、撮影時における歪曲係数Aの値を算出する。
同様に、画像処理回路17は、既知となった歪曲係数Cの近似曲面SCに対し、撮影時におけるレンズポジション(焦点位置d及び焦点距離fの値)を当てはめることにより、撮影時における歪曲係数Cの値を算出する。
続いて、画像処理回路17は、画像に生じている歪曲量分布が抑えられる方向に画像を座標変換し、必要に応じて画素補間処理を施す。これによって、画像の歪曲補正が完了する(ステップS3)。その後、画像処理回路17は、歪曲補正後の画像、又は、歪曲補正後の画像にレンズポジション情報を付加したものを出力する(ステップS4)。この画像が、記録部16において記録される。
しかし、本カメラシステムの歪曲補正情報Iは、特許文献1のような複数通りのレンズポジション下における歪曲係数A,B,Cの情報ではなく、歪曲係数Aの近似曲面SA(図7)、歪曲係数Bの近似曲面SB(図8)、歪曲係数Cの近似曲面SC(図9)を特定するための情報である。このような歪曲補正情報Iは、少ない情報量で全てのレンズポジション下における歪曲係数A,B,Cを表す。
なお、本カメラシステムでは、近似曲面SAを表現する冪関数(1A)に対し、焦点距離fの逆数の重根の項(f-1/2=1/√fなど)や、焦点距離fの冪乗の項(f,f2など)を含めてもよい。これらの項を利用した冪関数の例(2A),(3A)を以下に示す。
これらの冪乗の項、重根の項、逆冪乗の項などを適切に組み合わせることで、製造者は、なるべく少ない項数でなるべく高精度に近似曲面SA,SB,SCを得ることが望ましい。
本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、カメラシステムを含むコンピュータシステムの実施形態である。
先ず、本システムの構成を説明する。
図11は、本システムの構成図である。図11に示すとおり、本システムは、カメラシステム1、コンピュータ2、モニタ3からなる。カメラシステム1のカメラ本体10とコンピュータ2とは、ケーブル4で接続されている。カメラシステム1の交換レンズ11内のROM11Bには、第1実施形態と同様の歪曲補正情報Iが格納されている。コンピュータ2には、インターネットやCD−ROMなどの媒体を介して、歪曲補正プログラムが予めインストールされている。
図12は、歪曲補正の前処理の手順を示すフローチャートである。図12に示すとおり、画像処理回路17は、画像、歪曲補正情報I、レンズポジション情報を入力し(ステップS1)、第1実施形態におけるそれと同様に、歪曲係数A,B,Cの値を算出する(ステップS2)。その後、画像処理回路17は、歪曲補正処理を行う代わりに、歪曲係数A,B,Cの値を示す情報を画像に付加してから画像を出力する。その画像が、カメラ本体10内の記録部16により記録される。
歪曲補正処理では、コンピュータ2は、先ず、画像に付加された歪曲係数A,B,Cの値を認識する。これらの値を関数(1)へ当てはめると、画像の歪曲量分布が既知となる。コンピュータ2は、画像に生じている歪曲量分布が抑えられる方向に画像を座標変換し、必要に応じて画素補間処理を施す。これによって、画像の歪曲補正が完了する。その後、コンピュータ2は、歪曲補正後の画像をモニタ3へ表示し、必要に応じてそれを保存する。
[その他]
なお、上述した第1実施形態、第2実施形態では、交換レンズ11とカメラ本体10とからなるカメラシステム1を説明したが、レンズ一体型のカメラにも本発明は適用可能である。レンズ一体型の場合、歪曲補正情報Iの格納先は、カメラの何れの箇所であってもよい。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態は、ソフトウエアやディジタルカメラなどが歪曲補正を行う際に必要な歪曲補正情報Iを用意する実施形態である。歪曲補正情報Iは、撮影用のレンズの種類(仕様)に固有なので、レンズの製造者によって予め用意される。なお、本実施形態で用意した歪曲補正情報Iは、前述した実施形態で使用することも可能である。
D(r)≡Ar4+Br3+Cr2 …(13)
D(r)≡Ar3+Br2 …(14)
D(r)≡Ar4+Br3 …(15)
D(r)≡Ar5+Br3 …(16)
また、これらの関数の歪曲係数A,B,Cは、レンズのレンズポジション(焦点位置d,焦点距離fの組み合わせ)に応じて変化する。歪曲係数Aのd,f方向の分布、歪曲係数Bのd,f方向の分布、歪曲係数Cのd,f方向の分布は、それぞれ、図14(A),(B),(C)に点線で示すとおり、滑らかな曲面SA,SB,SCで近似することができる。但し、図14に示した曲線の形状は、一例であって、実際の形状はこれと同じになるとは限らない。
係数用関数(17A)は、d,fの次数の組み合わせの異なる9組の項からなり、9組の近似係数Γ00,Γ01,Γ02,Γ10,Γ11,Γ12,Γ20,Γ21,Γ22を含む。
係数用関数(17C)は、d,fの次数の組み合わせの異なる9組の項からなり、9組の近似係数Λ00,Λ01,Λ02,Λ10,Λ11,Λ12,Λ20,Λ21,Λ22を含む。
このとき、上述した歪曲量関数(12)〜(16)は、以下の式(12’)〜(16’)で表されることになる。
したがって、製造者は、歪曲収差データの近似に歪曲量関数(12),(13)の何れかを用いる場合は、27組の近似係数の値を歪曲補正情報Iとすればよく、歪曲収差データの近似に歪曲量関数(14),(15),(16)の何れかを用いる場合は、18組の近似係数の値を歪曲補正情報Iとすればよい。歪曲補正に当たっては、歪曲補正情報Iに含まれる近似係数の値を歪曲量関数(12’)〜(16’)の何れかに当てはめ、レンズポジションd,fから画像上の歪曲量分布を一義的に求める推測式を得ればよい。
歪曲量関数(14)の評価では、先ず、製造者は、各レンズポジションにおける歪曲収差データを、歪曲量関数(14)に対し個別にフィッティングし、さらに、各レンズポジションにおける近似誤差をそれぞれ見積もる。そして、各レンズポジションにおける近似誤差の大きさや分布により、歪曲量関数(14)の良否を評価する。
歪曲量関数(16)の評価では、先ず、製造者は、各レンズポジションにおける歪曲収差データを、歪曲量関数(16)に対し個別にフィッティングし、さらに、各レンズポジションにおける近似誤差をそれぞれ見積もる。そして、各レンズポジションにおける近似誤差の大きさや分布により、歪曲量関数(16)の良否を評価する。
因みに、図15,図16は、レンズ1に関するデータであるが、本発明者が他の複数種類のレンズについて調べたところ、それらのレンズに関しても、歪曲量関数(12)よりも歪曲量関数(13)の方が近似誤差を小さくできるという結果が得られた。したがって、この歪曲量関数(13)は、歪曲量関数(12)と同じ項数でありながら、歪曲量関数(12)よりも近似誤差を小さくする有効な関数である。つまり、この歪曲量関数(13)によると、歪曲補正情報Iの情報量の増大を抑えながら近似誤差の低減を図ることができる。
以上、本実施形態によると、個々のレンズに最適な歪曲補正情報Iが用意されるので、実際の歪曲補正を、確実に良好な歪曲補正とすることができる。
その際、項数の多い歪曲量関数を含めてもよいが、歪曲補正の補正精度と情報量との双方を考慮すると、現時点で現実的なのは、項数が4以下の歪曲量関数である。また、歪曲量関数の項数が3項以上であっても構わない場合、少なくとも、rの2次の項,rの3次の項,rの4次の項を含んだ歪曲量関数を検討対象に含めるとよい。
D(r)≡Ar5+Br4+Cr3+Dr2 …(17)
このうち、歪曲係数A,B,Cは、係数用関数(17A),(17B),(17C)で近似することができ、歪曲係数Dについても、同様の係数用関数(d,fの逆冪関数等)で近似することができる。
但し、本発明者が複数種類のレンズで検討したところ、少なくとも上述した歪曲量関数(13),(14)については有効となることが多かった。このため、他に理由の無い限り、これらの歪曲量関数(13),(14)については検討対象に含めることが望ましい。
また、本実施形態では、レンズの焦点距離fと焦点位置dとの双方が可変であることを前提としたが、レンズが単焦点レンズである場合はfが不変なので、上述した歪曲係数A,B,C,Dがdのみの関数で近似される。このとき、係数用関数(17A),(17B),(17C)の項数はそれぞれ3となる。
以下、本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態は、歪曲補正機能を有した画像編集ソフトウエア(歪曲補正プログラム)の実施形態である。このソフトウエアは、インターネットやCD−ROMなどを介してディジタルカメラのユーザのコンピュータへインストールされる。ここでは、このコンピュータの動作を説明することにより、このソフトウエアの内容を説明する。
例えば、レンズの種類が「3」であったとすると、歪曲量関数の種類「14」と、18組の近似係数の値とが読み出される。コンピュータは、読み出した18組の近似係数の値を予め記憶した歪曲量関数(14’)へ当てはめることにより、推測式を取得する。また、コンピュータは、その推測式へ認識したレンズポジションd,fの値を当てはめることにより、画像上の歪曲量分布を既知とする。コンピュータは、この歪曲量分布に応じて画像データの歪曲補正を行う。
なお、本実施形態のテーブルの内容は、新しい種類のレンズが発売される毎に更新される(つまり新しい種類のレンズの歪曲補正情報Iが追加される)ことが望ましい。更新情報は、各種のソフトウエアと同様、インターネット上で公開され、それをユーザがコンピュータへダウンロードすればよい。
また、本実施形態では、コンピュータを利用したが、コンピュータの代わりに、画像処理機能を搭載したストレージャやプリンタなどを利用し、ストレージャやプリンタなどに対し同様の処理を行わせてもよい。
以下、本発明の第5実施形態を説明する。本実施形態は、歪曲補正機能を搭載したレンズ一体型ディジタルカメラの実施形態である。
図21は、本カメラの構成図である。図21に示すとおり、本カメラ10には、レンズポジション(焦点位置d及び焦点距離f)が可変のレンズ10L,カメラCPU10A,撮像素子12,信号処理回路13,メモリ14,圧縮・伸張回路15,記録部16,画像処理回路17などが備えられる。このうち、カメラCPU10Aの内部には、ROMやRAMが備えられる。
なお、本実施形態のカメラ10は、歪曲量関数(14)を利用したが、歪曲補正情報Iの情報量を増やすことが可能な場合は、歪曲量関数(14)の代わりに歪曲量関数(13)を利用してもよい。また、さらに情報量を増やすことが可能な場合は、歪曲量関数(17)を利用してもよい。さらには、rの2以上の次数の項のみからなる他の歪曲量関数を利用してもよい。但し、現実的には、歪曲量関数のrの項の総数は、4以下であることが望ましい。
また、本実施形態のカメラ10は、画像データに対し歪曲補正を施したが、歪曲補正を施す代わりに、歪曲補正に必要な情報(前述した歪曲量分布の情報など)を画像データに付加してもよい。その場合、画像データの歪曲補正は、コンピュータなどで行われることになる。
以下、本発明の第6実施形態を説明する。本実施形態は、歪曲補正機能を持つディジタルカメラシステムの実施形態である。
図22は、本カメラシステムの構成図である。図22に示すとおり、本カメラシステムは、交換レンズ11とカメラ10とからなる。
撮影時、レンズ11Lが撮像素子12上に被写体の像を形成すると、撮像素子12は、その被写体の像を撮像して画像データを取得する。その画像データは、信号処理回路13において処理された後、メモリ14へ一時的に格納される。この撮影時のレンズ11Lのレンズポジションf,dの値は、不図示のエンコーダを介してレンズCPU11Aによって読み取られ、カメラ10内のカメラCPU10Aへと送信される。
なお、本実施形態では、或る1つの交換レンズ11の説明しかしなかったが、カメラ10に装着可能な他の種類の交換レンズ(不図示)にも、同様の歪曲補正情報I(27組の近似係数の値)が予め格納されているものとする。これら27組の近似係数の値は、その交換レンズの製造者によって予め取得される。その取得方法は、第3実施形態で説明したとおりである。
また、本実施形態のカメラ10は、画像データに対し歪曲補正を施したが、歪曲補正を施す代わりに、歪曲補正に必要な情報(前述した歪曲量分布の情報など)を画像データに付加してもよい。その場合、画像データの歪曲補正は、コンピュータなどで行われることになる。
以下、本発明の第7実施形態を説明する。本実施形態は、歪曲補正機能を持つディジタルカメラシステムの実施形態である。ここでは、第6実施形態との相違点のみ説明する。
図23は、本カメラシステムの構成図である。相違点は、交換レンズ11が予め記憶する情報と、カメラ10が予め記憶する情報とにある。
交換レンズ11内のROM11Bには、レンズ11Lに関する歪曲補正情報Iとして、レンズ11Lに最適な歪曲量関数の種類(図23では「13」)と、その歪曲量関数の近似係数の値(27組の近似係数の値)とが格納される。レンズ11Lに最適な歪曲量関数の種類は、なるべく近似誤差の小さいもの(仮に同程度の近似誤差ならばなるべく項数の少ないもの)に予め選定されている。その歪曲量関数の種類の選定方法と、近似係数の値の取得方法とは、第3実施形態において説明したとおりである。これは、交換レンズ11の製造者によって予め行われる。
また、本実施形態のカメラ10は、画像データに対し歪曲補正を施したが、歪曲補正を施す代わりに、歪曲補正に必要な情報(前述した歪曲量分布の情報など)を画像データに付加してもよい。その場合、画像データの歪曲補正は、コンピュータなどで行われることになる。
Claims (46)
- 光学系で撮影した画像の歪曲補正方法であって、
前記光学系の歪曲収差を、その光学系に設定される焦点位置及び/又は焦点距離の関数で近似したときの近似情報を予め用意する手順と、
前記光学系で撮影した画像の歪曲を、その画像の撮影時に設定された前記光学系の前記焦点位置及び/又は焦点距離と予め用意された前記近似情報とに基づき推測する手順とを含み、
前記近似情報は、
前記歪曲収差を前記光学系の像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の関数で近似したときの近似情報である
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項1に記載の歪曲補正方法において、
前記近似情報は、
前記歪曲収差を前記像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の冪関数で近似したときの近似情報である
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項2に記載の歪曲補正方法において、
前記近似情報は、
前記冪関数を構成する各項の係数からなる
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項2又は請求項3に記載の歪曲補正方法において、
前記冪関数には、
前記焦点位置の逆冪乗の項が含まれる
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の歪曲補正方法において、
前記冪関数には、
前記焦点距離の逆冪乗の項が含まれる
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の歪曲補正方法において、
前記冪関数には、
前記焦点距離の重根の項が含まれる
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の歪曲補正方法をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の歪曲補正方法を実行する手段を備えた
ことを特徴とする画像処理装置。 - 光学系の歪曲収差を、その光学系に設定される焦点位置及び/又は焦点距離の関数で近似したときの近似情報を予め記憶した交換レンズであって、
前記近似情報は、
前記歪曲収差を前記光学系の像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の関数で近似したときの近似情報である
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項9に記載の交換レンズにおいて、
前記近似情報は、
前記歪曲収差を前記像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の冪関数で近似したときの近似情報である
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項10に記載の交換レンズにおいて、
前記近似情報は、
前記冪関数を構成する各項の係数からなる
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項10又は請求項11に記載の交換レンズにおいて、
前記冪関数には、
前記焦点位置の逆冪乗の項が含まれる
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項10〜請求項12の何れか一項に記載の交換レンズにおいて、
前記冪関数には、
前記焦点距離の逆冪乗の項が含まれる
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項10〜請求項13の何れか一項に記載の交換レンズにおいて、
前記冪関数には、
前記焦点距離の重根の項が含まれる
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項9〜請求項14の何れか一項に記載の交換レンズと、
前記交換レンズが予め記憶した前記近似情報を読み取ることの可能なカメラと
を備えたことを特徴とするカメラシステム。 - 請求項15に記載のカメラシステムにおいて、
前記カメラには、
前記交換レンズの前記光学系で撮影した画像の歪曲を、その画像の撮影時に設定された前記光学系の焦点位置及び/又は焦点距離と前記読み取った前記近似情報とに基づき推測する手段が備えられる
ことを特徴とするカメラシステム。 - 請求項16に記載のカメラシステムにおいて、
前記カメラには、
前記推測した前記歪曲に応じて前記画像を歪曲補正する手段が備えられる
ことを特徴とするカメラシステム。 - 請求項16又は請求項17に記載のカメラシステムにおいて、
前記カメラには、
前記推測した前記歪曲を示す情報を前記画像に対し付加する手段が備えられる
ことを特徴とするカメラシステム。 - 請求項15〜請求項18の何れか一項に記載のカメラシステムにおいて、
前記カメラには、
前記交換レンズの光学系で撮影した画像に対し、前記読み取った前記近似情報を付加する手段が備えられる
ことを特徴とするカメラシステム。 - 光学系の歪曲収差を、その光学系に設定される焦点位置及び/又は焦点距離の関数で近似したときの近似情報を予め記憶したカメラであって、
前記近似情報は、
前記歪曲収差を前記光学系の像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の関数で近似したときの近似情報である
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項20に記載のカメラにおいて、
前記近似情報は、
前記歪曲収差を前記像面上位置の関数で表したときの1つ以上の係数の各々を、前記焦点位置及び/又は前記焦点距離の冪関数で近似したときの近似情報である
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項21に記載のカメラにおいて、
前記近似情報は、
前記冪関数を構成する各項の係数からなる
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項21又は請求項22に記載のカメラにおいて、
前記冪関数には、
前記焦点位置の逆冪乗の項が含まれる
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項21〜請求項23の何れか一項に記載のカメラにおいて、
前記冪関数には、
前記焦点距離の逆冪乗の項が含まれる
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項21〜請求項24の何れか一項に記載のカメラにおいて、
前記冪関数には、
前記焦点距離の重根の項が含まれる
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の歪曲補正方法において、
前記像面上位置の関数の項数及び各項の次数の組み合わせは、
前記歪曲補正の要求精度及び/又は前記近似情報の許容情報量に応じて決定される
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項26に記載の歪曲補正方法において、
前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、少なくともrの4次の項と、rの3次の項と、rの2次の項とで歪曲量Dを表す関数D(r)である
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項26又は請求項27に記載の歪曲補正方法において、
前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、rの2以上の次数の項のみで歪曲量Dを表す関数D(r)である
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項28に記載の歪曲補正方法において、
前記関数D(r)に含まれるrの項数は、4以下である
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項26〜請求項29の何れか一項に記載の歪曲補正方法において、
前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar4+Br3+Cr2(但し、A,B,Cは係数)
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項26〜請求項30の何れか一項に記載の歪曲補正方法において、
前記像面上位置の関数の選択肢の1つは、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)
ことを特徴とする歪曲補正方法。 - 請求項7に記載の歪曲補正プログラムにおいて、
前記近似情報は、前記光学系の種類毎に用意され、
前記像面上位置の関数の項数及び各項の次数の組み合わせは、前記光学系の種類毎に予め決められている
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項32に記載の歪曲補正プログラムにおいて、
少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、少なくともrの4次の項と、rの3次の項と、rの2次の項とで歪曲量Dを表す関数D(r)である
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項32又は請求項33に記載の歪曲補正プログラムにおいて、
少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、rの2以上の次数の項のみで歪曲量Dを表す関数D(r)である
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項34に記載の歪曲補正プログラムにおいて、
前記関数D(r)に含まれるrの項数は、4以下である
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項32〜請求項35の何れか一項に記載の歪曲補正プログラムにおいて、
少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar4+Br3+Cr2(但し、A,B,Cは係数)
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項32〜請求項36の何れか一項に記載の歪曲補正プログラムにおいて、
少なくとも1種類の前記光学系の前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)
ことを特徴とする歪曲補正プログラム。 - 請求項20〜請求項25の何れか一項に記載のカメラにおいて、
前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、rの2以上の次数の項のみで歪曲量Dを表す関数D(r)である
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項38に記載のカメラにおいて、
前記関数D(r)に含まれるrの項数は、4以下である
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項38又は請求項39に記載のカメラにおいて、
前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar4+Br3+Cr2(但し、A,B,Cは係数)
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項38又は請求項39に記載のカメラにおいて、
前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)
ことを特徴とするカメラ。 - 請求項9〜請求項14の何れか一項に記載の交換レンズにおいて、
前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、rの2以上の次数の項のみで歪曲量Dを表す関数D(r)である
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項42に記載の交換レンズにおいて、
前記関数D(r)に含まれるrの項数は、4以下である
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項42又は請求項43に記載の交換レンズにおいて、
前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar4+Br3+Cr2(但し、A,B,Cは係数)
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項42又は請求項43に記載の交換レンズにおいて、
前記像面上位置の関数は、
前記光学系の最大像高に対する各像高の比をrとおいたときに、以下の式で歪曲量Dを表す関数D(r)である
D(r)≡Ar3+Br2(但し、A,Bは係数)
ことを特徴とする交換レンズ。 - 請求項42〜請求項45の何れか一項に記載の交換レンズと、
前記交換レンズが予め記憶した前記近似情報を読み取ることの可能なカメラと
を備えたことを特徴とするカメラシステム。
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