JP4892849B2 - 1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法 - Google Patents

1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法 Download PDF

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本発明は、新規な1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法に関し、より詳しくは、簡便な工程で高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを高収率で製造し得る工業的に優れた製造方法に関する。また、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの精製方法に関する。
本発明に係る一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドは、ポリエステル樹脂の結晶核剤として有用な化合物である(特許文献1,2参照)。
一般的に、カルボン酸アミドの製造方法として、
(1)カルボン酸とアミン類とを直接加熱脱水してカルボン酸アミドを製造する方法、
(2)エステル交換触媒の存在下、カルボン酸アルキルエステルとアミン類とをエステル−アミド交換反応してカルボン酸アミドを製造する方法、
(3)カルボン酸ハロゲン化物とアミン類とを反応してカルボン酸アミドを製造する方法、
(4)脱水剤等の試薬の存在下、カルボン酸とアミン類とを加熱脱水してカルボン酸アミドを製造する方法が挙げられる(特許文献3〜7参照)。
例えば、上記の(1)方法は、簡単な反応経路であり、経済的にも有利であることから工業的に有用な製造方法である。しかしながら、出発原料の種類や反応条件等によって、イミド化合物、イソイミド化合物、アミン塩等が副生して純度を低下させたり、目的物を着色させたり問題点があり、製造条件を設定することは必ずしも容易とは言えなかった。
上記の(2)方法は、高純度のカルボン酸アミドが得られやすいことから工業的にも有用な製造方法である。しかしながら、原料のカルボン酸をエステル化する工程が必要なので、工程数が増えるなど必ずしも経済的に有利であるとは言えなかった。
上記の(3)方法は、高純度のカルボン酸アミドが得られやすい点で有用な合成方法である。しかしながら、アミド化反応に伴い塩化水素ガスが発生することから、反応缶の材質に制約が生じ、製造設備に耐蝕材料を採用しなければならないこと、作業環境・周辺環境の面からも対策が必要なことから、生産コストが上昇する傾向にもあり、必ずしも工業的に有利な方法とは言えなかった。
上記の(4)方法は、高純度のカルボン酸アミドが得られやすい点で有用な合成方法である。しかしながら、商業的な多量生産には不向きであり、製造後に試薬等が産業廃棄物として残るなど周辺環境の面からも対策が必要なことから、必ずしも工業的に有利な方法とは言えなかった。
即ち、上記の何れの製造方法も一長一短があるので、目的のカルボン酸アミドの種類や純度、生産性・経済性、プロセルの簡便性、作業環境・周辺環境など種々の観点を総合的に判断して、最も有利な方法が選択されて用いられる。
特開平6−263969号公報 特開平10−87975号公報 特開平6−279375号公報 特表2001−520664号公報 特開平6−279378号公報 特開平7−309821号公報 特開平4−308558号公報
本発明は、簡便な方法で高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを高収率で製造し得る、工業的に優れた新規有用な製造方法を提供すること、さらに1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの精製方法の提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため、カルボン酸とアミン類とを直接加熱脱水してカルボン酸アミドを製造する方法が商業的・工業的に有利と考えて、鋭意検討した。
従来の直接加熱脱水法に従って、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸と所定のアミン類とを直接加熱脱水したところ、次のことが分かった。
(i)無溶媒で直接加熱脱水したところ、反応途中で反応系が固化して目的のアミド化合物が得られなかった(比較例4)。本発明に係る1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドが非常に高い融点を有していることが判り、それが固化の一因であることが判った。
(ii)反応溶媒の存在下で直接加熱脱水したところ、冷却過程で反応系が固化やゲル化した。その為に、反応溶媒と分離することができず目的物を得ることができなかった(比較例3)。目的のアミド化合物が有機溶媒をゲル化させる性質を有していることが初めて判った。
上記問題点を解決する為にさらに検討を続けた結果、本発明の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法において、下記のことが重要な技術的要件であることが判った。
(i)反応溶媒の種類及びその使用量の選択が、本製造方法において最も重要であること。
(ii)前記反応溶媒は、晶析溶媒としての役割も同時に担っており、目的のアミド化合物の純度や収率に大きく影響していること。
(iii)反応系のゲル化の防止には、前記の反応溶媒の種類及びその使用量に加えて、アミド化反応後の反応溶液を冷却する時に、その冷却速度の制御が必要であること(比較例2)。
(iv)さらに、目的のアミド化合物を直接加熱脱水法で得るためには、少なくとも反応温度235℃以上が必要であること(比較例1)。
本発明者らは、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の項目の発明を提供する。
(項1) 下記一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法であって、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸と下記一般式(2)で表されるアミン類とを、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸1モルに対して前記アミン類3〜20モルの比率で、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸に対して極性溶媒1〜10倍重量存在下、反応温度235〜285℃でアミド化反応する工程(アミド化反応工程)と、
次いで、アミド化反応後、その反応溶液を0.3〜3℃/分の冷却速度で冷却し、反応溶液から析出する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドと反応溶液とを分離する工程と(固液分離工程)、
を具備する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法。

[式中、3個のRは、互いに同一又は異なって、炭素数3〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(a)で表されるシクロアルキル基、下記一般式(b)で表されるアルキル置換シクロアルキル基、又は下記一般式(c)で表されるアルキル若しくはハロゲン置換アリール基を表す。]

[式中、xは、1〜8の整数を表す。]
[式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。mは1又は2の整数を表す。mが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するシクロアルカン環と共にビシクロ環を形成していてもよい。yは、1〜8の整数を表す。]

[式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はハロゲン原子を表す。nは、1又は2の整数を表す。nが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
[式中、Rは、一般式(1)におけるRと同義である。]
(項2) アミド化反応の反応温度が240〜260℃である上記項1に記載の製造方法。
(項3) 極性溶媒が、40℃における極性溶媒に対する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの溶解度が1〜20g/100gの範囲のものである上記項又は項2に記載の精製方法。
(項4) 極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である上記項1又は項2に記載の製造方法。
(項5) Rが、炭素数4〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、一般式(a)におけるxが1〜4であるシクロアルキル基、一般式(b)におけるyが1〜4、Rが炭素数1〜4の直鎖状アルキル基かつmが1若しくは2であるアルキル置換シクロアルキル基、又は一般式(c)におけるRが炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基かつnが1若しくは2であるアリール基、
である上記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
(項6)Rが、t−ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基又は2−メチルシクロヘキシル基である上記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
(項7) アミド化反応を無触媒で行う上記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
(項8) 下記一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドと極性溶媒との重量比が該カルボン酸アミド:極性溶媒=1:1〜10の範囲の、該カルボン酸アミドが溶解している極性溶媒溶液から、0.3〜3℃/分の冷却速度で冷却して晶析することを特徴とする1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの精製方法。

[式中、3個のRは、互いに同一又は異なって、炭素数3〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(a)で表されるシクロアルキル基、下記一般式(b)で表されるアルキル置換シクロアルキル基、又は下記一般式(c)で表されるアルキル若しくはハロゲン置換アリール基を表す。]

[式中、xは、1〜8の整数を表す。]
[式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。mは1又は2の整数を表す。mが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するシクロアルカン環と共にビシクロ環を形成していてもよい。yは、1〜8の整数を表す。]

[式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はハロゲン原子を表す。nは、1又は2の整数を表す。nが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
(項9) 極性溶媒が、40℃における極性溶媒に対する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの溶解度が1〜20g/100gの範囲のものである上記項8に記載の精製方法。
(項10) 極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である上記項8に記載の精製方法。
(項11) Rが、炭素数4〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、一般式(a)におけるxが1〜4であるシクロアルキル基、一般式(b)におけるyが1〜4、Rが炭素数1〜4の直鎖状アルキル基かつmが1若しくは2であるアルキル置換シクロアルキル基、又は一般式(c)におけるRが炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基かつnが1若しくは2であるアリール基、
である上記項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
(項12) Rが、t−ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基又は2−メチルシクロヘキシル基である上記項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、簡便な方法で高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを高収率で工業的に製造することができる。また、本発明の精製方法によれば、簡便な方法で1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドが溶解している溶液から高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを得ることができる。
本発明に係る一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸と上記一般式(2)で表されるアミン類と特定の比率で、特定量の極性溶媒の存在下、特定の反応温度でアミド化反応(加熱脱水反応)し、次いで、特定の冷却速度で冷却して、該反応溶液から析出する析出物を分離して得られる。
本発明に係る1,3,5−ベンゼントリカルボン酸
本発明に係る1,3,5−ベンゼントリカルボン酸は、本発明の効果を妨げない限り特に制限はなく、公知の製造方法で得られるものが使用できる。また、一般に市販されているものを使用しても良い。
上記1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の純度は、若干の不純物が含まれても良いが、好ましくは97重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。原料中の不純物の種類によっては、後述の固液分離工程で除去することが困難である場合があるので、高純度であることが好ましい。
本発明に係るアミン類
本発明に係るアミン類は、上記一般式(2)で表される。
一般式(2)におけるRは、一般式(1)におけるRと同義であり、具体的には炭素数3〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、上記一般式(a)で表されるシクロアルキル基、上記一般式(b)で表されるアルキル置換シクロアルキル基、又は上記一般式(c)で表されるアルキル若しくはハロゲン置換アリール基である。
本発明に係るアミン類を大別すると、一般式(2)におけるRが直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基である脂肪族アミン類、一般式(2)におけるRが一般式(a)若しくは一般式(b)で表される基である脂環族アミン類、及び一般式(2)におけるRがフェニル基若しくは一般式(c)で表される基である芳香族アミン類に分類される。
具体例には、前記脂肪族アミン類として、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等の脂肪族アルキルアミン類、オクタデセニルアミン等の脂肪族アルケニルアミン類、
脂環族アミン類としては、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、シクロドデシルアミン等のシクロアルキルアミン類、2−メチルシクロペンチルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、4−エチルシクロヘキシルアミン、4−n−プロピルシクロヘキシルアミン、4−n−ブチルシクロヘキシルアミン、4−t−ブチルシクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,4−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,4−ジエチルシクロヘキシルアミン等のアルキル置換シクロアルキルアミン類、
芳香族アミン類としては、アニリン、2−メチルアニリン、4−メチルアニリン、2−エチルアニリン、4−エチルアニリン、4−n−プロピルアニリン、4−n−ブチルアニリン、4−t−ブチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、4−クロロアニリン、4−ブロモアニリン等のアルキル若しくはハロゲン置換アニリン類、
などが例示される。これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
上記アミン類は、本発明の効果を妨げない限り特に制限はなく、公知の製造方法で得られるものが使用できる。また、一般に市販されているものを使用しても良い。
アミン類の純度は、若干の不純物が含まれても良いが、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上が推奨される。原料中の不純物の種類によっては、後述の固液分離工程で除去することが困難である場合があるので、高純度であることが好ましい。
本発明に係る1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミド
本発明に係る1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドは、上記一般式(1)で表さ
れる。
一般式(1)におけるRは、具体的には、炭素数3〜20、好ましくは4〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、より好ましくは4〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、フェニル基、
一般式(a)で表されるシクロアルキル基(式中、xは1〜8であり、好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2、特に2である。)、
一般式(b)で表されるアルキル置換シクロアルキル基(式中、yは1〜8であり、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、より好ましくはメチル基である。mは1又は2であり、好ましくは1である。)、
又は、一般式(c)で表されるアルキル若しくはハロゲン置換アリール基(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又はハロゲン原子であり、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、より好ましくはメチル基である。nは1又は2であり、好ましくは1である。)である。
上記一般式(b)におけるアルキル置換基の置換位置は、特に制限はないが、mが1の時は、好ましくは2位又は4位、より好ましくは2位である。mが2の時は、2位と3位、又は2位と4位が好ましい。
上記一般式(c)におけるアルキル若しくはハロゲン置換基の置換位置は、特に制限はないが、nが1の時は、好ましくは2位又は4位、より好ましくは4位である。nが2の時は、2位と3位、2位と4位、又は2位と6位が好ましい。
具体的には、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−プロピルメチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−イソプロピルメチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−イソブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−t−ブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−sec−ブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ヘキシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−オクチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリデシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリドデシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリテトラデシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリヘキサデシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリオクタデシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリオクタデセニルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジ−n−ヘキシル−t−ブチルトリアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジ−t−ブチル−n−ヘキシルトリアミド等の脂肪族アミド化合物、
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロペンチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘプチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロペンチルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−エチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−t−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,3−ジメチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,4−ジメチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,4−ジエチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジ(2−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルトリアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジシクロヘキシル(2−メチルシクロヘキシル)トリアミド等の脂環族アミド化合物、
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアニリド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−メチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−エチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−エチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−n−プロピルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−n−ブチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−t−ブチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−sec−ブチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,3−ジメチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,4−ジメチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,6−ジメチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,6−ジエチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−クロロアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−ブロモアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジ(4−メチルフェニル)フェニルトリアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸ジフェニル(4−メチルフェニル)トリアミド等の芳香族アミド化合物などが挙げられる。これらは、単一組成若しくは2種以上の混合物として得ることができる。
中でも、上記一般式(1)におけるRが、炭素数4〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、一般式(a)におけるxが1〜4のシクロアルキル基である、一般式(b)におけるyが1〜4、Rが炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基かつmが1若しくは2のアルキル置換シクロアルキル基、又は、一般式(c)におけるRが炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基かつnが1若しくは2であるアリール基、である1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造に対してより有効である。
具体的には、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−t−ブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ヘキシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロペンチヘキシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−エチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアニリド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−メチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−エチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,3−ジメチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,4−ジメチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,6−ジメチルアニリド)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2,6−ジエチルアニリド)などが例示される。
中でも、上記一般式(1)におけるRが、炭素数4〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、フェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基又はメチルフェニル基、である1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造に対して特に有効である。
具体的には、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−t−ブチルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアニリド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)などが例示される。
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法
<アミド化反応工程>
本発明に係るアミド化反応工程は、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸と上記アミン類とを特定の比率で、特定量の極性溶媒の存在下、特定の反応温度でアミド化反応(加熱脱水反応)する工程である。
前記反応条件は、高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを高収率で得る上で重要な条件である。特に極性溶媒に関する要件は重要で、この選択を誤ると反応缶内で閉塞を起こしたり、反応装置から抜き出すことができなくなったり、本製造が極めて困難となる。
上記アミン類の使用は、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸1モルに対して一般式(2)で表されるアミン類3〜20モルであり、好ましくは3.5〜15モルの比率である。この範囲で、アミド化反応の反応率や目的物の収率に有意に貢献する。このアミン類は反応溶媒としての効果もある。
上記極性溶媒は、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを溶解させることができる有機溶媒である。例えば、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの溶解度が好ましくは1〜20g/100g、より好ましくは5〜20g/100gの範囲にあるものが推奨される。尚、この溶解度とは、40℃において極性溶媒100gに溶解する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの重量(g)である。
具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が用いられる。これらは、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
特に、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの溶解度が高く、反応系のゲル化(又は固化)の抑制・防止能に優れていることから、N−メチル−2−ピロリドンが推奨される。
極性溶媒の使用量は、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸に対して極性溶媒1〜10倍重量であり、好ましくは3〜8倍重量である。この範囲で、アミド化反応の反応率や目的物の収率に有意に貢献するばかりでなく、後述の固液分離工程の作業性や目的物の高純度化に対する貢献も大きい。
本発明に係る反応温度は、235℃〜285℃であり、好ましく240〜260℃である。反応温度が235℃未満では、アミド化反応(加熱脱水反応)が遅く、相当するアミン塩、モノアミド、ジアミド等の不純物が残存するために純度や収率の低下を招く。
又、反応温度が285℃を越えるとアミド化反応は速くなるが、加熱のための熱エネルギーを多く必要とするため生産コストの上昇を招くばかりでなく、条件によっては目的物の着色の原因となる虞がある。
前記1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、アミン類及び極性溶媒の仕込み方法は、本発明の効果が得られる限り特に制限はなく、前記比率で反応装置に一括で仕込む方法やアミン類若しくは極性溶媒を分割或いは連続的に反応系へ供する方法などが例示される。作業性や簡便性の観点から一括で仕込む方法が推奨される。
本発明に係るアミド化反応は、通常、加圧系で行われる。この反応圧力は、原料アミン類や極性溶媒の種類、反応温度などの製造条件にもよるが、通常0.2〜3MPa、好ましくは0.3〜2MPaである。
本発明に係るアミド化反応の反応時間は、通常2〜15時間程度である。
本発明に係るアミド化反応には、必要に応じて、酸化スズ、テトラ−n−ブトキシチタネ−ト、テトイソプロポキシチタネート等の触媒を用いても良い。
しかしながら、触媒の除去に伴う後処理工程の煩雑な処理作業や周辺環境(産業廃棄物処理など)への影響等の観点から、無触媒で行うことが推奨される。
前記触媒を使用する場合、その触媒量は、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%程度である。
本製造方法に使用される反応缶は耐圧性のものが好ましい。撹拌翼の形状は、十分に撹拌できるものであれば特に制限はなく、公知のものが使用できる。
撹拌速度は、反応缶や撹拌翼の形状・大きさなどにもよるが、通常1〜2000rpm程度、好ましくは10〜1000rpm程度が推奨される。
原料及び目的物の酸化劣化や加熱劣化の抑制や安全性の観点から、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)でアミド化反応前に反応系を置換しておくことが好ましい。
上記極性溶媒は、アミド化反応の場及び反応系のゲル化(又は固化)防止に加えて、晶析溶媒の役割も有している。即ち、本アミド化反応後に冷却して反応溶液から析出させる過程で晶析溶媒としての役目を果たしている。
従って、本発明は、上記の項8〜12に記載のように、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの精製方法(晶析方法)を提供するものでもある。
前記精製方法は、上記一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドと極性溶媒との重量比が、該カルボン酸アミド:極性溶媒=1:1〜10(好ましくは1:3〜8)の範囲の、該カルボン酸アミドが溶解している極性溶媒溶液から、0.3〜3℃/分(好ましくは0.5〜1.5℃/分)の冷却速度で冷却して晶析する方法である。精製方法は、後述の固液分離工程における操作と同様に行うことができる。
<固液分離工程>
本発明に係る固液分離工程とは、アミド化反応後、特定の冷却速度で冷却して、当該反応溶液から析出する析出物と反応溶液とを分離する工程である。この工程は、上述した通り、晶析操作を包含した工程でもある。
この固液分離工程では、反応温度と冷却温度における当該1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの溶解度の差を利用して晶析して精製される。
前記冷却温度は、通常40℃以下、より好ましくは室温以下である。冷却方法は、冷却温度及び冷却速度が制御できれば特に限定はなく、反応缶の外壁から間接的に水冷若しくは空冷する方法などが例示される。
本発明に係る冷却速度は、0.3〜3℃/分、好ましくは0.5〜1.5℃/分が推奨される。
冷却速度が0.3℃/分未満では固液分離工程に時間を要し、生産性が低下する虞がある。また、冷却速度が3℃/分を越える場合には系の増粘や擬似的なゲル化を起こす虞がある。
本発明に係る冷却方法は、当該1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドが反応溶液又は極性溶媒溶液から析出する温度(飽和溶解度の温度)付近から70℃までの温度範囲における冷却速度の制御が肝要である。
当該反応溶液から析出する析出物は、極性溶媒の種類や精製操作などの条件によって、その結晶形態(針状、板状、柱状など)や大きさ(粒子径)が変わる。換言すると、極性溶媒の種類や晶析操作などの条件によって、その結晶形態や大きさを制御することが可能である。それら条件を最適化すると、析出物と極性溶媒との分離性が顕著に向上する。
本発明に係る分離方法は、特に制限はなく、公知の固液分離方法を用いることができる。具体的には、遠心分離、圧搾分離、吸引ろ過・加圧ろ過、沈降分離などが例示される。
分離された析出物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、アセトンなど低沸点の有機溶剤、又は少量の当該極性溶媒でリンスすることが好ましい。収量の観点から、リンスに用いる溶媒は室温以下であることが好ましい。
この操作は、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの純度の向上や乾燥時間の短縮に貢献する。リンスに使用された有機溶剤は、減圧又は常圧蒸留などの方法により回収して再使用することができる。
冷却時の撹拌速度は、反応缶や撹拌翼の形状・大きさなどにもよるが、通常0.1〜1000rpm程度、好ましくは0.5〜500rpm程度、より好ましくは0.5〜100rpmが推奨される。製造装置の大型化に従って撹拌速度は遅くなる傾向である。
分離された析出物(湿結状態)の乾燥方法は、乾燥できれば特に制限はなく、公知の乾燥方法・乾燥装置を用いて乾燥することができる。具体的には、減圧乾燥、流動層乾燥、熱風乾燥などが挙げられ、コストや条件設定の煩雑さの観点から減圧乾燥が推奨される。
乾燥温度は、通常80〜180℃程度、好ましくは100〜150℃程度が推奨される。乾燥時間は、通常1〜24時間程度、好ましくは3〜12時間程度である。
減圧乾燥の場合、その減圧度は、通常0.013〜13kPa程度、好ましくは0.13〜4kPa程度が推奨される。
乾燥して得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドは、必要であれば、公知の粉砕方法や分級方法などで、所望の粒子径又は粒度分布に調整することができる。
かくして上述の簡便な工程を経て、高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミド高収率で得られる。
<分離された反応溶液の処理>
固液分離工程で分離された反応溶液は、そのままの状態で若しくは減圧トッピング等により含有する生成水を除去処理した状態で、次製造時の極性溶媒として再使用することができる。この場合、再使用の回数は通常1〜10回、好ましくは1〜5回が推奨される。
再使用の終了後、減圧又は常圧蒸留などの方法により極性溶媒を回収し、新たな極性溶媒として次製造時に使用することができる。
この方法は、連続的な製造方法(連続生産)において、特に有効である。
また、1回の生産あたりの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの収量を増大させたい場合、固液分離工程で分離された反応溶液から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを回収しても良い。
回収方法は、特に限定はないが、公知の方法が使用できる。例えば、固液分離工程で分離された反応溶液に貧溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類)を加えて再沈殿させる方法、極性溶媒をトッピングして系を濃縮して固体を析出させる方法などが例示されるが、純度の観点から前者の再沈殿法が推奨される。
この方法は、バッチ的な製造方法(例えば、少量多品種の生産など)において、特に有効である。
前記再沈殿物を上述と同様に固液分離することにより、高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを得ることができる。
その分離された極性溶媒は、減圧トッピング等により含有する生成水及び/又は貧溶媒を除去処理して、次製造時の極性溶媒として再使用することができる。この場合、再使用の回数は通常1〜10回、好ましくは1〜5回が推奨される。
再使用の終了後、(減圧)蒸留などの方法により極性溶媒を回収し、新たな極性溶媒として次製造時に供することができる。
かくして得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドは、ポリエステル樹脂の結晶核剤として有用な化合物であり、それを含有したポリエステル樹脂は、射出成形、中空成形、押出成形等の公知の成形法により、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、繊維、ブローボトル、発泡体等の様々な分野に利用される。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、各実施例で得られた固体が、目的の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドであることを、DI−MS(直接質量分析装置)及びFT−IR(フーリエ変換赤外分光分析計)によって確認した。
純 度
純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。検出器にUV検出器を用いた。
融 点
融点は、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて測定した。サンプル量は5mg、昇温速度10℃/分で測定した。尚、融点は、吸熱ピークのピークトップとした。
実施例1
温度センサー、攪拌装置、導管を具備した500mlオートクレーブに、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸15g(0.071モル)、シクロヘキシルアミン75g(0.76モル)及び極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン75gを入れ、窒素置換後、反応温度250℃、反応時間6時間、撹拌速度900rpmで攪拌しながら、アミド化反応を行った。この時の反応圧力は1.2MPa(ゲージ圧)であった。
反応終了後、撹拌速度500rpmで撹拌しながら、1.5℃/分の冷却速度で冷却し、最終的に室温まで冷却した。反応溶液はゲル化せずに、スラリー状であった。
次に、このスラリーを吸引濾過し、冷N−メチル−2−ピロリドン5g/回で濾過物を3回リンスした。
得られた白色固体(湿結物)を120℃、0.4kPaで10時間減圧乾燥し、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド16.0g(白色固体、純度;99.4重量%、収率;49.4%、融点;389℃)を得た。
さらに、この濾過液に、撹拌速度500rpmで撹拌しながら、メタノール200gを徐々に加えて再沈殿を行った。その再沈殿物を濾別して、前記同様にリンスして白色固体(湿結物)を得た。得られた湿結物を前記と同様に減圧乾燥して、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド11.2g(白色固体、純度;99.2重量%、収率;34.6%、融点;387℃)を得た。
合計して、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド27.2g(収率84.0%)を得た。
実施例2
冷却速度を2.5℃/分に変えた他は、実施例1と同様に行った。
その結果、アミド化反応後に濾別する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミドは、16.0g(白色固体、純度;99.3重量%、収率49.4%、融点;389℃)であった。
又、再沈殿する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミドは、11.2g(白色固体、純度;99.2重量%、収率;34.6%、融点;387℃)であった。
合計して、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミドアミド27.2g(収率84.0%)を得た。
実施例3
シクロヘキシルアミンに代えて、2−メチルシクロヘキシルアミン75g(0.66モル)及びN−メチル−2−ピロリドン100gを用いた他は実施例1と同様に行った。
その結果、アミド化反応後に濾別する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)は、21.8g(白色固体、純度;99.2重量%、収率;62.0%、融点;427℃)であった。
又、再沈殿する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)は、10.5g(白色固体、純度;99.0重量%、収率;29.9%、融点;425℃)であった。
合計して、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)32.3g(収率91.9%)を得た。
実施例4
シクロヘキシルアミンに代えて、t−ブチルアミン50g(0.68モル)とした他は実施例1と同様に行った。
その結果、アミド化反応後に濾別する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−t−ブチルアミドは、13.1g(白色固体、純度;99.3重量%、収率;49.1%、融点;369℃)であった。
又、再沈殿する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−tブチルアミドは、10.2g(白色固体、純度;99.1重量%、収率;38.3%、融点;368℃)であった。
合計して、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−t−ブチルアミド23.3g(収率87.4%)を得た。
実施例5
シクロヘキシルアミンに代えて、アニリン70g(0.75モル)とした他は実施例1と同様に行った。
その結果、アミド化反応後に濾別する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアニリドは、14.9g(白色固体、純度;99.2重量%、収率;48.2%、融点;320℃)であった。
又、再沈殿する経路で得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアニリド13.4g(白色固体、純度;99.0重量%、収率;43.3%、融点;318℃)であった。
合計して、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアニリド28.3g(収率91.5%)を得た。
比較例1
反応温度を230℃に変えた他は実施例1と同様にアミド化反応を行った。
その結果、アミド化反応後に濾別して得られた白色固体を分析したところ、その白色固体が対応するアミン塩、モノアミド及びジアミドの混合物であることが判った。
又、同様に再沈殿を行ったが、固体は析出しなかった。
比較例2
冷却速度を3.5℃/分に変えた他は実施例1と同様にアミド化反応を行った。反応終了後に、冷却したところ、反応缶内で反応溶液がゲル化した。
比較例3
N−メチル−2−ピロリドン75gをキシレン100gに代えた他は実施例1と同様にアミド化反応を行った。反応終了後に、冷却したところ、反応缶内で反応溶液が固化した。
比較例4
極性溶媒を用いなかった以外は実施例1と同様にアミド化反応を行った。反応途中で攪拌が困難となった。冷却して反応系の状態を確認したところ、反応缶内で反応系が固化していた。
本発明により、簡便な方法で高純度の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドを、高収率で工業的に製造し得る。また、本発明により得られた1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドは、ポリエステル樹脂の結晶核剤として有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法であって、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸と下記一般式(2)で表されるアミン類とを、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸1モルに対して前記アミン類3〜20モルの比率で、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸に対して、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒1〜10倍重量存在下、反応温度235〜285℃でアミド化反応する工程と、
    次いで、アミド化反応後、その反応溶液を0.3〜3℃/分の冷却速度で冷却し、反応溶液から析出する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドと反応溶液とを分離する工程と、
    を具備する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの製造方法。
    [式中、3個のRは、互いに同一又は異なって、炭素数3〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(a)で表されるシクロアルキル基、下記一般式(b)で表されるアルキル置換シクロアルキル基、又は下記一般式(c)で表されるアルキル若しくはハロゲン置換アリール基を表す。]
    [式中、xは、1〜8の整数を表す。]
    [式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。mは1又は2の整数を表す。mが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するシクロアルカン環と共にビシクロ環を形成していてもよい。yは、1〜8の整数を表す。]
    [式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はハロゲン原子を表す。nは、1又は2の整数を表す。nが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
    [式中、Rは、一般式(1)におけるRと同義である。]
  2. アミド化反応の反応温度が240〜260℃である請求項1に記載の製造方法。
  3. が、炭素数4〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、一般式(a)におけるxが1〜4であるシクロアルキル基、一般式(b)におけるyが1〜4、Rが炭素数1〜4の直鎖状アルキル基かつmが1若しくは2であるアルキル置換シクロアルキル基、又は一般式(c)におけるRが炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基かつnが1若しくは2であるアリール基、である請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. アミド化反応を無触媒で行う請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. 下記一般式(1)で表される1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドと、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒との重量比が該カルボン酸アミド:極性溶媒=1:1〜10の範囲の、該カルボン酸アミドが溶解している極性溶媒溶液から、0.3〜3℃/分の冷却速度で冷却して晶析することを特徴とする1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの精製方法。
    [式中、3個のRは、互いに同一又は異なって、炭素数3〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基、フェニル基、下記一般式(a)で表されるシクロアルキル基、下記一般式(b)で表されるアルキル置換シクロアルキル基、又は下記一般式(c)で表されるアルキル若しくはハロゲン置換アリール基を表す。]
    [式中、xは、1〜8の整数を表す。]
    [式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表す。mは1又は2の整数を表す。mが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するシクロアルカン環と共にビシクロ環を形成していてもよい。yは、1〜8の整数を表す。]
    [式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はハロゲン原子を表す。nは、1又は2の整数を表す。nが2の場合、2個のRは互いに同一又は異なってもよく、また2個のRが互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
  6. 極性溶媒が、40℃における極性溶媒に対する1,3,5−ベンゼントリカルボン酸アミドの溶解度が1〜20g/100gの範囲のものである請求項に記載の精製方法。
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