JP4892400B2 - 保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法 - Google Patents

保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4892400B2
JP4892400B2 JP2007114104A JP2007114104A JP4892400B2 JP 4892400 B2 JP4892400 B2 JP 4892400B2 JP 2007114104 A JP2007114104 A JP 2007114104A JP 2007114104 A JP2007114104 A JP 2007114104A JP 4892400 B2 JP4892400 B2 JP 4892400B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
moisturizing
composition
mass
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007114104A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008266254A (ja
Inventor
育子 土岐
義文 山縣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lion Corp filed Critical Lion Corp
Priority to JP2007114104A priority Critical patent/JP4892400B2/ja
Publication of JP2008266254A publication Critical patent/JP2008266254A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4892400B2 publication Critical patent/JP4892400B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Description

本発明は、保湿剤組成物、および当該保湿剤組成物を用いる軟質固体表面の保湿性改質方法に関する。
不織布、木綿布、毛髪などの軟質固体物に「保湿性」を付与する方法としては、多価アルコールや親水性ポリマーを含有する保湿剤組成物を、当該軟質固体物の表面に塗布する方法等が挙げられる。
前記保湿剤組成物としては、従来、たとえば、以下に示す(1)〜(3)が開示されている。
(1)ラノリンのアルキレンオキシド付加物、およびひまし油のアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる1種以上の化合物と、多価アルコールと、界面活性剤を含有する薄葉紙処理剤(特許文献1参照)。
(2)アミドエーテルカルボン酸界面活性剤又はその塩類と、架橋していないアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとの少なくとも一の組合せを含有するケラチン物質の処理を意図した化粧品用又は皮膚用組成物(特許文献2参照)。
(3)特定のアルキレンオキシド誘導体および水溶性高分子化合物が、それぞれ特定の割合で含有された皮膚化粧料(特許文献3参照)。
特開2006−118089号公報 特表2000−510491号公報 特開2006−199665号公報
しかしながら、従来の保湿剤組成物においては、乾燥後に塗布対象物表面が硬く感じる等、その表面の感触としてのしっとり感が充分ではなく、保湿性付与効果が未だ満足できるものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保湿性付与効果に優れた保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の保湿剤組成物は、アニオン性ポリマー(A)と、カチオン性ポリマー(B)と、多価アルコール(C)と、水性液体(D)とを含有することを特徴とする。
本発明の保湿剤組成物においては、前記多価アルコール(C)が、グリセリンおよびグリセリン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
また、本発明の保湿剤組成物においては、前記多価アルコール(C)がグリセリンおよびグリセリン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を含み、かつ、前記カチオン性ポリマー(B)がカチオン化セルロースを含むことが好ましい。
また、本発明の軟質固体表面の保湿性改質方法は、前記本発明の保湿剤組成物を用いて処理することを特徴とする。
本発明において、「保湿性」とは、保湿剤組成物が塗布された塗布対象物表面の感触としてのしっとり感、または、温度25℃/相対湿度50%の条件下で当該塗布対象物を一晩乾燥させた際に、当該塗布対象物が含有する水分量を指標とする特性を意味する。
「しっとり感」とは、塗布対象物をつかむようにして触れたときの感触が柔らかく、塗布した保湿剤組成物の残存感があり、かつ、塗布対象物の表面をなでるように触れたときの感触がなめらかであることを示す。
本発明により、保湿性付与効果に優れた保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法を提供することができる。
≪保湿剤組成物≫
本発明の保湿剤組成物は、アニオン性ポリマー(A)と、カチオン性ポリマー(B)と、多価アルコール(C)と、水性液体(D)とを含有する。
以下、前記の各成分をそれぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分という。
<(A)成分>
(A)成分の重量平均分子量は、特に限定されるものではなく、疎水性物質(たとえば、シリコーンオイル、高級アルコール等の潤滑剤;タルク、スメクタイト等の無機物質等)の担持性、(A)成分単独又は疎水性有機物質を担持した状態での付着性の点から、1000〜1000万であることが好ましく、5000〜500万であることがより好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン標準にて換算される値を示す。
(A)成分としては、たとえば、ポリ(メタ)アクリル酸、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、カルボキシビニルポリマー等のカルボン酸含有共重合体;アクリル樹脂、硫酸含有共重合ポリマー、スルホン酸含有共重合ポリマー、リン酸含有共重合ポリマー、またはその塩などが挙げられる。
具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、カルボキシビニルポリマー;エチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、エチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、n−ブチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、イソプロピル無水マレイン酸共重合体、またはそれらの開環体;ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリビニル硫酸、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ホスマーPP)共重合体、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(ホスマーPE)共重合体、アシッドホスホオキシエチルモノメタクリレート(ホスマーM)共重合体、グリオキシル酸による部分アセタール化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸、キサンタンガム、ジェランガム、シェラック、カラギーナン、ペクチン等、またはそれらの塩、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記の中でも、(A)成分としては、ポリアクリル酸、リン酸含有共重合ポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、またはそれらの塩が好ましく、ポリアクリル酸、リン酸含有共重合ポリマー、またはそれらの塩がより好ましい。
ポリアクリル酸としては、重量平均分子量1000〜1000万であることが好ましく、5000〜500万であることが特に好ましい。
当該ポリアクリル酸は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。塗布対象物に塗布するのに支障がない範囲で、架橋型、ハイパーブランチ型であってもよい。
また、中和塩であってもよく、溶媒に容易に溶解させる目的から部分中和塩であってもよい。かかる中和塩としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられ、ナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が好ましい。
リン酸含有共重合ポリマーとしては、重量平均分子量1000〜100万であることが好ましく、5000〜100万であることが特に好ましい。
当該リン酸含有共重合ポリマーを構成するモノマー単位を提供するリン酸含有モノマーとしては、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ホスマーPP)、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(ホスマーPE)、アシッドホスホオキシエチルモノメタクリレート(ホスマーM)が挙げられる。
前記リン酸含有モノマーと共重合させるモノマーとしては、共重合可能なモノマーであれば限定されるものではなく、溶媒への溶解性の点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アルキルビニルエーテル、ポリアルキレンオキシド基含有モノマー等が挙げられる。
具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(重合度4)メタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM40G)、メトキシポリエチレングリコール(重合度9)メタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM90G)、ポリエチレングリコールアクリレート(アルドリッチ社製、重量平均分子量375)等が特に好ましい。
このとき、リン酸含有モノマーと、前記共重合可能なモノマーとの共重合比は、特に限定されるものではない。
(A)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
<(B)成分>
(B)成分の重量平均分子量は、特に限定されるものではなく、疎水性物質の担持性、(B)成分単独又は疎水性有機物質を担持した状態での付着性の点から、1000〜1000万であることが好ましく、5000〜500万であることがより好ましい。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、カチオン化前の前駆体を測定した値、または、GPC溶媒であるTHF中に0.42質量%トリエチルアミンを混合して測定した値を示す。
(B)成分としては、カチオン化セルロース、後述のカチオン共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとエチレン性不飽和炭化水素基を有する重合可能な単量体とのコポリマー、カチオン化ポリビニルピロリドン、カチオン化ポリアミド、カチオン化ポリメタクリレート、カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化メタクリレートとアクリルアミドとのコポリマー、カチオン化メタクリレートとメタクリレートとのコポリマー、ポリエチレンイミド、カチオン化デンプン、カチオン化アミロース、カチオン化グァーガム、カチオン化ローストビーンガム、カチオン化寒天、キチン、キトサン、またはそれらの変性物等が挙げられる。
上記の中でも、カチオン化セルロース、後述のカチオン共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとエチレン性不飽和炭化水素基を有する重合可能な単量体(好ましくはアクリルアミド)とのコポリマーが好ましく、カチオン化セルロース、後述のカチオン共重合体がより好ましい。
カチオン化セルロースとしては、カチオン化度が0.01〜1で、粘度が100〜3000mPa・s(カチオン化セルロース1質量%水溶液;B型粘度計、25℃、No.3ローターで30rpm・1分後の値)のものが好ましい。
具体的には、ヒドロキシエチルセルロースにジメチルジアリルアンモニウム塩をグラフト重合したヒドロキシエチルセルロース・ジメチルジアリルアンモニウム塩(日本エヌエスシー(株)製のセルコートL−200、セルコートH−100(以上、商品名)等);ヒドロキシエチルセルロースに2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを結合した塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース[ライオン(株)製のレオガードMGP、レオガードHLP、レオガードGPS、レオガードKGP、レオガードG、レオガードGP、レオガードMLP(以上、商品名)]等が挙げられる。
この中でも、レオガードGP(カチオン化度0.4、重量平均分子量 約500000)、レオガードMGP(カチオン化度0.4、重量平均分子量 約150万)が好ましい。
ここで、「カチオン化度」とは、セルロース骨格一単位に対するカチオン基の導入率を示し、ケルダール法(JIS K 8001)で得られた窒素分N(質量%)を用いて、次式により定義づけられる値を示す。
カチオン化度=N(質量%)×2×0.1
カチオン共重合体としては、重量平均分子量が1000〜100万であることが好ましく、1万〜50万であることがより好ましい。
当該カチオン共重合体を構成するモノマー単位を提供するカチオン性モノマーとしては、3級アミンまたは4級アミンのモノマーが挙げられる。
(3級アミン)
3級アミンの好適なものとしては、下記一般式(2)で表される、少なくとも1種のカチオン性又はカチオン化可能な官能基を有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
CH=C(R)CO−Y−A−N(R)(R) ・・・(2)
前記式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり;Yは酸素原子又はNHを示し;Aは炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、水酸基を1つ以上含んでいてもよく;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示す。
前記式(2)で表されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
前記式(2)で表されるモノマーは、重合前あるいは重合後に他の化合物と反応させてもよい。この反応事例としては、臭化ブロム等のハロゲン化アルキルによるカチオン化、モノクロロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸によるカルボキシベタイン化、1,3−プロパンサルトン等のアルキルサルトンによるスルホベタイン化等が挙げられる。
(4級アミン)
4級アミンの好適なものとしては、下記一般式(3)で表される、少なくとも1種のカチオン性又はカチオン化可能な官能基を有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
CH=C(R)CO−Y−A−N(R)(R)(R)・X ・・・(3)
前記式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり;Yは酸素原子又はNHを示し;Aは炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、水酸基を1つ以上含んでいてもよく;R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示す。Xは、ハロゲン原子、OH、1/2HSO、1/3PO、HCO又はCHCOを表す。
前記式(3)で表されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチル硫酸、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルリン酸、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルリン酸、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチル硫酸、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルリン酸、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルリン酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルクロライド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルクロライド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチル硫酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルリン酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルリン酸等が挙げられる。
前記式(2)または前記式(3)で表されるモノマーと共重合させるモノマーとしては、共重合可能なモノマーであれば特に限定されるものではなく、溶媒への溶解性の点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アルキルビニルエーテル、ポリアルキレンオキシド基含有モノマー等が挙げられる。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、メトキシポリエチレングリコール(重合度4)メタクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルM40G)、メトキシポリエチレングリコール(重合度9)メタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM90G)、ポリエチレングリコールアクリレート(アルドリッチ社製、重量平均分子量375)等が特に好ましい。
このとき、前記式(2)または前記式(3)で表されるモノマーと、前記共重合可能なモノマーとの共重合比は、それぞれ特に限定されるものではない。
(B)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(A)成分および(B)成分の製造方法は、特に限定されるものではなく、(A)成分または(B)成分を構成するモノマー単位を提供するモノマーもしくはモノマー混合物を、溶液重合、乳化重合、沈殿重合等の各種の重合方法を用いて重合することにより製造できる。
溶液重合を行う場合は、性質の異なる複数のモノマーを溶解するための重合溶媒を用いることが好ましい。重合溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
また、重合の際には、通常のラジカル重合に用いられる重合開始剤を使用することが好ましい。当該重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、過硫酸カリウム等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物を用いることができる。
重合開始剤の使用量としては、特に限定されるものではなく、全モノマー量に対して0.1〜10モル%が好ましい。
重合温度は、重合方法や用いる重合開始剤の種類等により異なり、通常、50〜100℃である。重合時間は、2〜10時間が好ましい。
なお、(A)成分および(B)成分は、使用する重合開始剤の使用量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃度等の重合条件を調整することにより、重量平均分子量を制御することができる。
(A)成分と(B)成分との好適な組合せとしては、以下に示す組合せが挙げられる。
1)PHEMA[アシッドホスホオキシエチルモノメタクリレートと、ヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体]とカチオン化セルロース(好ましくは、カチオン化度0.4のもの)(たとえば、質量比4/1、電荷比6/4)。
2)PHEMAと塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体(たとえば、質量比5/1、電荷比4/6)。
3)PHEMAとAP310[N−ビニル−2−ピロリドンと、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドと、メチルメタクリレートと、メトキシポリエチレングリコール(重合度9)モノメタクリレートとの共重合体](たとえば、質量比2/1、電荷比4/6)。
4)ポリアクリル酸と塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体(たとえば、質量比1/10、電荷比3/7)
5)ポリアクリル酸とAP310(たとえば、質量比1/7、電荷比6/4)。
6)メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体とAP310(たとえば、質量比1/4、電荷比7/3)。
7)ポリアクリル酸とカチオン化セルロース(たとえば、質量比1/9、電荷比5/5)。
上記の中でも、1)または2)の組合せが好ましく、1)の組合せが特に好ましい。
なお、上記の質量比および電荷比は、いずれも(A)成分と(B)成分との混合割合「(A)/(B)」を示す。
保湿剤組成物中の(A)成分および(B)成分の合計の配合量は、保湿剤組成物を軟質固体物等の塗布対象物表面に塗布する際の塗布性や使用性の向上の観点から、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましく、0.05〜5質量%であることが特に好ましい。当該配合量の上限値以下であれば、保湿剤組成物を塗布して乾燥後、塗布対象物表面が硬い感触になりにくく、しっとり感が向上する。当該配合量の下限値以上であれば、保湿性付与効果がより向上する。
保湿剤組成物中の(A)成分および(B)成分の合計の配合量は、保湿剤組成物の物性(粘度など)、使用感の向上(ベタつきの低減、液剤のしみだしなど)等の観点から、塗布対象物あるいは塗布方法によって調整することが好ましい。
たとえば、不織布等の紙・布類への浸漬処理であれば、保湿剤組成物中の(A)成分および(B)成分の合計の配合量は0.01〜5質量%であることが好ましく、0.5〜1質量%であることがより好ましい。
木綿や衣類、布製品などの繊維にスプレーあるいはトリガーで噴霧塗工する場合であれば、保湿剤組成物中の(A)成分および(B)成分の合計の配合量は0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
毛髪・皮膚・口腔などの人体や基板などにブラシや手指、刷毛などで塗工する場合であれば、保湿剤組成物中の(A)成分および(B)成分の合計の配合量は1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
保湿剤組成物中の(A)成分と(B)成分との配合比は、特に限定されるものではなく、(A)成分と(B)成分との質量比で、(A)/(B)=1/99〜99/1であることが好ましく、10/90〜90/10であることがより好ましい。さらに、当該配合比は、下記電荷量の比率となるように、(A)成分と(B)成分との配合量を調整することが特に好ましい。
(A)成分中の電荷量と(B)成分中の電荷量との比率(電荷比)は、3/7〜7/3であることが好ましく、4/6〜6/4であることがさらに好ましく、5/5であることが最も好ましい。当該電荷比が前記範囲であるほど、保湿性付与効果が特に向上する。
また、当該電荷比の制御においては、各ポリマー中の電荷量が多い方のポリマーの配合量を、電荷量が少ない方のポリマーの配合量より少なく調整することが好ましい。
なお、本明細書において、「電荷量」とは、ポリマー質量100g当たりのアニオン基またはカチオン基モル数であり、単位はモル/ポリマー100gで表記する。
<(C)成分>
(C)成分としては、保湿成分として化粧品組成物等のパーソナルユースの製品に通常使用されるグリセリン、グリセリン誘導体、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール誘導体等が好適なものとして挙げられる。
具体的には、たとえば、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、アミレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、グリセリン誘導体等のグリセリン類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等のジアルキレングリコール類;ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール類、硬化ヒマシ油類、ソルビトール等の糖アルコール類等が挙げられる。
上記のなかでも、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、重合度が2〜15のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体、グリセリン、グリセリン誘導体等が好ましい。なかでも、保湿力の観点から、グリセリンおよびグリセリン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種がより好ましく、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、およびポリグリセリンからなる群から選択される少なくとも一種が特に好ましく、グリセリンが最も好ましい。
(C)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
保湿剤組成物中の(C)成分の割合は、特に限定されるものではなく、0.1〜99質量%であることが好ましく、0.5〜95質量%であることがより好ましく、1〜90質量%であることが特に好ましい。当該割合が前記範囲であれば、保湿性付与効果がより向上する。また、保湿剤組成物を塗布して乾燥後、硬い感触となることが抑制され、しっとり感が向上する。
保湿剤組成物中の(C)成分の割合は、(C)成分自身の物性(粘度など)等の観点から、塗布対象物あるいは塗布方法によって調整することが好ましい。
たとえば、不織布等の紙・布類への浸漬処理であれば、保湿剤組成物中の(C)成分の割合は0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、(A)成分および(B)成分を除く残量を水性液体(D)でバランスした組成物が好適である。
木綿や衣類、布製品などの繊維にスプレーあるいはトリガーで噴霧塗工する場合であれば、保湿剤組成物中の(C)成分の割合は1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、(A)成分および(B)成分を除く残量を水性液体(D)でバランスした組成物が好適である。
毛髪・皮膚・口腔などの人体や基板などにブラシや手指、刷毛などで塗工する場合であれば、保湿剤組成物中の(C)成分の割合は50〜99質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、(A)成分および(B)成分を除く残量を水性液体(D)でバランスした組成物が好適である。
(C)成分として、たとえばグリセリンを用いる際、塗布対象物が毛髪または皮膚である場合、保湿剤組成物中のグリセリンの割合は、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
塗布対象物が木綿等の繊維からなる布製品である場合、保湿剤組成物中のグリセリンの割合は、5〜80質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
塗布対象物が不織布等の厚さが薄いもので、かつ、特にスプレーで塗布する場合、保湿剤組成物中のグリセリンの割合は、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の保湿剤組成物においては、(C)成分としてグリセリンおよびグリセリン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を用いる際、(B)成分としてカチオン化セルロースを用いることが特に好ましい。これらを組み合わせて用いることにより、保湿性付与効果がより向上する。
また、(A)成分としてリン酸含有共重合ポリマーを用いることが好ましく、グリセリンおよびグリセリン誘導体からなる群から選択される少なくとも一種と、カチオン化セルロースと、リン酸含有共重合ポリマーとを組み合わせて用いることにより、しっとりした感触がより得られやすくなって保湿性付与効果がさらに向上する。
<(D)成分>
本発明の保湿剤組成物においては、保湿剤組成物の溶媒として、もしくは(A)成分または(B)成分の溶解性助剤として、もしくは塗布する際の粘度調整成分として、または塗布対象部に均一に塗布して乾燥後に薄い皮膜を形成させるための成分等として(D)成分を用いる。
(D)成分としては、水;水および(C)成分と均一に混合可能で、かつ、乾燥によって揮発する成分が挙げられる。
具体的には、イオン交換水、蒸留水、精製水、水道水、またはそれらのいずれかと均一に混合可能な水溶性の低級一価アルコールが好ましい。低級一価アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
なかでも、精製水、イオン交換水が好ましい。
また、エタノールもしくはイソプロピルアルコールが適宜(好ましくは、(D)成分全体の1〜10質量%程度)添加された精製水もしくはイオン交換水も好ましく、安全性、臭い、コストの点から、エタノールが適宜添加された精製水もしくはイオン交換水がより好ましい。
<その他の成分>
本発明の保湿剤組成物には、当該保湿剤組成物の保湿性付与効果および感触付与性能を損なわない範囲内で、前記(A)〜(D)成分以外に、必要に応じて、その他の成分として種々の配合剤、たとえば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、油分、アルコール類、粘度調製剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、ビタミン類、アミノ酸類等を適宜、配合することができる。なお、その他の成分は、上記のものに限定されるものではない。
(防腐剤)
防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル;その他一般的な工業用防腐剤、たとえば、商品名「ジュンサイドR−10」(純正化学社製)、商品名「ケーソンCG」(ローム&ハース社製)等が挙げられる。
(色素)
色素としては、その種類は特に限定されるものではなく、水溶性であることが好ましく、具体的には、法定色素ハンドブックに記載の色素が挙げられる。
たとえば、青色1号、黄色4号、赤色102号等の水溶性色素;青色404号、黄色205号等の顔料等が挙げられる。
上記の色素は、1種単独で又は2種類以上適宜組み合わせて使用することができる。
保湿剤組成物中の色素の配合量は、適宜選定することができ、0.00005〜1質量%であることが好ましく、0.0001〜0.1質量%であることがより好ましい。
(香料)
香料としては、たとえば、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類;脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類;脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、脂肪族環状アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂肪族ケトン、テルペンケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類;アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類;脂肪酸、テルペン系カルボン酸、脂肪族環状カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類;酸アマイド類;脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、脂肪族環状ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類;脂肪族エステル、フラン系カルボン酸エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類;ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料、または動物もしくは植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合して使用することができる。
合成香料としては、1996年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.刊ステファン・アークタンダー(STEFFEN ARCTANDER)著「パヒューム アンド フレーバー ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)」等に記載の香料が挙げられる。天然香料としては、「香りの百科」日本香料協会編に記載の香料が挙げられる。
また、香料の溶剤又は保留剤としてジエチルフタレート、ジプロピレングリコール、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリステート、ハーコリン、イソペンタン、オレンジテルペン等を使用することができる。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等を適宜配合することができる。
本発明の保湿剤組成物は、通常の混合方法により調製することが可能である。また、溶解性を促進するために、加熱混合してもよい。
本発明の保湿剤組成物の調製方法としては、一例として、(A)成分および(B)成分をそれぞれ別に良溶媒である(D)成分の一部に予備溶解し、それぞれに(C)成分の一部を混合した1次溶液を加熱混合して得た後、各々得られた(A)成分溶液と(B)成分溶液とを混合し、各配合成分の濃度を調整するために、残りの(D)成分、(C)成分を加えて加熱混合することにより保湿剤組成物を得る方法が好適に挙げられる。
保湿剤組成物の粘度が高い場合には、剪断と全体混合できる複数の撹拌羽根、たとえば、プロペラ、タービン、ディスパー等を備えた撹拌装置を用いてもよい。
本発明の保湿剤組成物においては、25℃におけるpHが、pH4〜9であることが好ましく、pH6〜8であることがより好ましい。
また、本発明の保湿剤組成物の性状は、特に限定されるものではなく、たとえば、液体状であってもよく、ペースト状であってもよく、ジェル状であってもよい。
本発明の保湿剤組成物は、液体組成物を収容するために通常用いられる容器に収容することができる。当該容器としては、たとえば、トリガースプレー容器、エアゾール容器、ポンプ容器、チューブ等が挙げられる。
トリガースプレー容器に保湿剤組成物を収容してスプレー塗工処理を行う場合、当該保湿剤組成物においては、25℃で10〜10−1の剪断速度での粘度を10mPa.s以下に調整することが好ましく、5mPa.s以下に調整することがより好ましい(下記参考文献(1)参照)。スプレー塗工の場合は、保湿剤組成物の粘度が高すぎると、トリガースプレー容器から噴射できないため、10mPa.s以下程度の低粘度に調整することで容易にスプレー可能となる。
トリガースプレー容器以外のその他の容器に保湿剤組成物を収容してコーター塗工またはローラー塗工処理を行う場合、当該保湿剤組成物においては、25℃で10〜10−1の剪断速度での粘度を、使用性の点から、1〜1000mPa・sに調整することが好ましく、10〜500mPa・sに調整することがより好ましい(下記参考文献(2)参照)。コーター塗工またはローラー塗工の場合は、保湿剤組成物の粘度が高すぎると、塗工しにくく、ムラになりやすくなり不都合が生じる。また、保湿剤組成物の粘度が低すぎると、液ダレが生じるため好ましくない。そのため、1〜1000mPa・s程度に調整することが好ましい。
浸漬処理を行う場合、保湿剤組成物においては、たとえば25℃で10〜10−1の剪断速度での粘度を1000mPa・s以下に調整することが好ましい(下記参考文献(3)参照)。
上記のように、塗工方法によって保湿剤組成物の最適な粘度になるように、各成分の濃度を調整すればよい。
参考文献:
(1)An Introduction To Rheology,H.A.Barnes,et.al.,p.13.1989,Elsevier
(2)Approcimate Rates of Shear Encountered in Some Pharamaceutical Processes,.Norman L. Henderson.Et.al.,Journal of Pharmaceutical Scieneces.,Vol.50,No.9,September 1961
(3)PROBLEMS ASSOCIATED WITH THE ASSESSMENT OF THE CONSISTENCY OF COSMETIC AND TOILET PREPARATIONS,PHILIP SHERMAN,Soap Perfum.Cosmet.45,54(1972)
以上説明した本発明の保湿剤組成物は、保湿性付与効果に優れたものである。この理由としては、以下のように推測される。
従来の保湿剤組成物においては、保湿成分として(C)成分だけを配合したものでは保湿性付与効果が不足であり、親水性ポリマーだけを配合したものでは、乾燥して形成される皮膜が硬い感触に感じられてしっとり感に劣り、保湿性付与効果が不充分である。
これに対し、本発明の保湿剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を含有する。かかる保湿剤組成物を塗布対象物に塗布すると、乾燥に伴って(D)成分が揮発し、(A)成分の一部と(B)成分の一部とがアニオン−カチオンコンプレックスを生成して(C)成分を含有した多価アルコールゲル層を形成するため、本発明の保湿剤組成物は保湿性付与効果に優れると推測される。
≪軟質固体表面の保湿性改質方法≫
本発明の軟質固体表面の保湿性改質方法は、前記本発明の保湿剤組成物を用いて処理する方法である。
本発明において、「軟質固体表面の保湿性改質」とは、前記本発明の保湿剤組成物を用いて軟質固体物を塗布等により処理することにより、たとえば当該処理後の軟質固体表面の感触としてのしっとり感が当該処理前に比べて良好となる等、当該処理後の軟質固体表面の保湿性が当該処理前に比べて向上することを意味する。
前記本発明の保湿剤組成物により処理される軟質固体物としては、たとえば、毛髪、皮膚、爪、口腔粘膜、歯面などの人体;木綿、アクリル、ナイロン等の繊維、またはそれらの繊維からなる衣料などの布製品全般;工業用繊維、紙、ダンボール、印刷用紙、不織布等が挙げられる。
前記本発明の保湿剤組成物を用いて上記軟質固体物を処理する方法としては、通常の環境下の軟質固体物または乾燥させた軟質固体物に、刷毛塗り、スプレー塗布、ロール塗布、手のひらや櫛・ブラシによって塗布してもよく、当該保湿剤組成物を含む水溶液中に軟質固体物を浸漬処理してもよい。
また、紙または不織布の場合、抄紙工程中に当該保湿剤組成物を添加して処理してもよい。
具体的には、毛髪、皮膚、つめ、口腔粘膜、歯面などの人体に、手あるいはブラシなどによって当該保湿剤組成物を塗布してもよい。
また、木綿、アクリル、ナイロン等の繊維、またはそれらの繊維からなる衣料などの布製品全般に対しては、当該保湿剤組成物をスプレー処理あるいは当該保湿剤組成物を含む水溶液中に浸漬処理してもよい。
また、工業用繊維に対しては、織機プロセスの途中でロール塗布、スプレー処理、コーター処理を施してもよい。
そのほか、紙、ダンボール、印刷用紙、不織布などに対しては、製紙工程の中間でロール塗布、スプレー処理、コーター処理などの湿式処理を施してもよいし、製紙終了後にスプレー塗布、コーター塗工などの乾式処理を施してもよい。
本発明の軟質固体表面の保湿性改質方法によれば、軟質固体物への保湿性付与効果に優れる。そのため、当該軟質固体物の表面の感触として良好なしっとり感が得られ、乾燥後の感触(風合い)も良好となる。
本発明の軟質固体表面の保湿性改質方法は、毛髪や皮膚などの人体に用いる化粧品等のパーソナルユース;繊維、布製品全般などの工業用の用途に好適に利用できる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。但し、実施例3、4、7、8、11、12はいずれも参考例である。
(実施例1〜12、比較例1〜12)
表1〜3に示す各例の保湿剤組成物を、通常の混合方法により各成分を混合することにより調製した。具体的な調製方法を以下に例示する。
100mLのガラスビーカー中で(A)成分をイオン交換水(D)の一部と混合し、当該ガラスビーカーを70℃の温浴に浸け撹拌して予備溶解させ、さらに(C)成分を添加して(A)成分溶液を調製した。同様にして、(B)成分を用いて(B)成分溶液を調製した。(A)成分溶液と(B)成分溶液とを所定のポリマー配合比に合わせて混合し、40℃の温浴に浸けながら撹拌して均一に混合した。その後、以下に示す各評価に応じて、残りのイオン交換水(D)を添加しバランスして各例の保湿剤組成物を得た。
なお、表中の配合量の単位は、保湿剤組成物の全質量を基準とする質量%を示す。
また、表中の配合量は、各成分の純分換算としての配合量を示す。
イオン交換水の配合量の「バランス」は、総量が100質量%となるように調整したことを意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
<表中に示した成分>。
・(A)成分
PHEMA:リン酸共重合体下記合成例1により合成した。
[合成例1]
冷却還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管、及び撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、エタノール100gを撹拌しながら窒素ガスを導入して、78℃に加熱した。
その後、アシッドホスホオキシエチルモノメタクリレート(以下、ホスマーMと略す)2g、ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成(株)製;以下、HEMAと略す)18g及びエタノール48gの混合溶液と、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.25g及びエタノール32gの混合溶液とを、連続的に3時間かけて加え、さらに5時間かけて加熱し続けて、重合体のエタノール溶液を得た。
得られたポリマーのエタノール溶液30gにイオン交換水30gを加え、さらに、水酸化ナトリウム水溶液によってpH7.0になるまでpH調整を行い、中和塩とした。
この中和ポリマーのエタノール/水混合溶液をセルロース透析チューブに入れ、イオン交換水の流水透析を3日間行い、溶媒および残存モノマーを除去した。
得られた精製高分子溶液を濃縮後、凍結乾燥にて、乾燥ポリマー(リン酸共重合体のPHEMA;重量平均分子量8万、電荷量0.048モル/ポリマー100gを得た。
ポリアクリル酸:日本純薬(株)製、商品名「ジュリマー AC−10SHP」;重量平均分子量100万、電荷量1.38モル/ポリマー100g。
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体:ISPジャパン(株)製、商品名「ガントレッツ AN149」;重量平均分子量125万、電荷量1.28モル/ポリマー100g。
・(B)成分
カチオン化セルロース:ライオン(株)製、商品名「レオガードMGP」;重量平均分子量150万、電荷量0.14モル/ポリマー100g。
塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体:ナルコジャパン(株)製、商品名「マーコート550」;重量平均分子量160万、電荷量0.332モル/ポリマー100g。
AP310:下記合成例2により合成した。
[合成例2]
冷却還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管、及び撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、エタノール140gとN−ビニル−2−ピロリドン(以下、VPと略す)45gとを仕込み、撹拌しながら窒素ガスを導入して、78℃に加熱した。
その後、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下、DMAPAAと略す)14g、メチルメタクリレート(以下、MMAと略す)4g、メトキシポリエチレングリコール(重合度9)モノメタクリレート(以下、M−90Gと略す)4g及びエタノール70gの混合溶液と、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.52g及びエタノール30gの混合溶液とを、連続的に3時間かけて加え、さらに5時間かけて加熱し続けて、重合体のエタノール溶液を得た。
得られたポリマーのエタノール溶液30gにイオン交換水30gを加え、さらに、塩酸水溶液によってpH7.0になるまでpH調整を行い、中和塩とした。
この中和ポリマーのエタノール/水混合溶液をセルロース透析チューブに入れ、イオン交換水の流水透析を3日間行い、溶媒および残存モノマーを除去した。
得られた精製高分子溶液を濃縮後、凍結乾燥にて、乾燥ポリマー(カチオン共重合体のAP310;重量平均分子量14万、電荷量0.134モル/ポリマー100g)を得た。
・(C)成分
グリセリン:阪本薬品工業(株)製、商品名:精製グリセリン。
ポリエチレングリコール♯400:ライオン(株)製、商品名「PEG♯400」、重量平均分子量400(重合度9)。
・(D)成分
イオン交換水
<評価>
以下に示す評価方法に従って、各例の保湿剤組成物を用いて処理することにより、不織布表面のしっとり感と水分量、木綿布表面のしっとり感、毛髪表面のしっとり感をそれぞれ評価した。
[不織布表面のしっとり感と水分量の評価]
(しっとり感)
表1に示す各例の保湿剤組成物3.75gを、縦27.5cm×横24cmの下記不織布2.5gに、下記トリガースプレー容器を用いて均一に塗布した後、温度25℃/相対湿度50%の条件下にて一晩乾燥させた。
乾燥後の不織布表面と、保湿剤組成物未処理の不織布表面とを触って、その感触を比較して、以下の判定基準に基づく官能評価によって「しっとり感」を比較評価した。
「しっとり感」は、10人のパネラーにより、5段階評価(未処理の不織布表面の感触を1点、最もしっとりする感触を有するものを5点)を実施し、その平均点を算出して評価した。その結果を表1に示す。
(判定基準)
◎:4点以上。
○ :3点以上4点未満。
△:2点以上3点未満。
×:1点以上2点未満。
不織布:パルプ 約80質量%、バインダー他 約20質量%;坪量 約40g/m(商品名「リードクッキングペーパー」、王子製紙(株)製、ライオン(株)販売)。
トリガースプレー容器:商品名「花粉ガード」、ライオン(株)製。
(水分量)
前記「しっとり感」の評価と同様にして乾燥させた不織布の質量を測定し、これをW1とした。また、105℃で恒量になるまで乾燥させた不織布の質量を測定し、これをW2とした。そして、下記式から水分量(質量%)を算出した。
水分量(質量%)=(W1−W2)/W2×100
10回の測定の平均値を求め、水分量を以下の判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
◎:水分量が5質量%以上。
○ :水分量が3質量%以上5質量%未満。
△:水分量が1質量%以上3質量%未満。
×:水分量が1質量%未満。
Figure 0004892400
[木綿布表面のしっとり感の評価]
表2に示す各例の保湿剤組成物300gに、木綿布(綿ブロード#100、5cm×5cm)10gを浸漬し、5分間回転処理した。その後、遠心脱水機(商品名:ミニ遠心脱水機YS−7型、岩槻機械製作所製)にて3分間脱水処理し、温度25℃/相対湿度50%の条件下にて一晩乾燥させた。
乾燥後の木綿布表面と、保湿剤組成物未処理の木綿布表面とを触って、その感触を比較して、上記不織布表面の「しっとり感」の判定基準と同様の判定基準に基づく官能評価によって「しっとり感」を比較評価した。
なお、評価に供する木綿布は、二槽式洗濯機を用いて、洗剤(商品名:トップ、ライオン(株)製)20gを30L(40℃)の水道水に溶解して15分洗浄した後、30L(25℃)の水道水を用いて、バッチすすぎ3分を2回、脱水5分の工程により前処理したものを用いた。
Figure 0004892400
[毛髪表面のしっとり感の評価]
表3に示す各例の保湿剤組成物0.2gを、毛髪(30cm、5gの毛束)にくしで塗布し、温度25℃/相対湿度50%の条件下にて一晩乾燥させた。
乾燥後の毛髪表面と、保湿剤組成物未処理の毛髪表面とを触って、その感触を比較して、上記不織布表面の「しっとり感」の判定基準と同様の判定基準に基づく官能評価によって「しっとり感」を比較評価した。
Figure 0004892400
表1〜3の結果より明らかなように、本発明にかかる実施例1〜12の保湿剤組成物は、比較例1〜12の保湿剤組成物に比べて、「しっとり感」が良好であることから、保湿性付与効果に優れていることが確認できた。
また、表1の結果より、本発明にかかる実施例1〜4の保湿剤組成物は、比較例1〜4の保湿剤組成物に比べて、不織布に「水分量」を多く含有させることができることから、保湿性付与効果に優れていることが確認できた。

Claims (4)

  1. アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレートおよびアシッドホスホオキシエチルモノメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種のリン酸含有モノマーに由来するモノマー単位を有するリン酸含有共重合ポリマー(A)と、
    カチオン性ポリマー(B)と、
    多価アルコール(C)と、
    水性液体(D)と
    を含有することを特徴とする保湿剤組成物。
  2. 前記多価アルコール(C)が、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびポリグリセリンからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1記載の保湿剤組成物。
  3. 前記カチオン性ポリマー(B)がカチオン化セルロースを含む請求項2記載の保湿剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の保湿剤組成物を用いて処理することを特徴とする軟質固体表面の保湿性改質方法。
JP2007114104A 2007-04-24 2007-04-24 保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法 Expired - Fee Related JP4892400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007114104A JP4892400B2 (ja) 2007-04-24 2007-04-24 保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007114104A JP4892400B2 (ja) 2007-04-24 2007-04-24 保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008266254A JP2008266254A (ja) 2008-11-06
JP4892400B2 true JP4892400B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=40046257

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007114104A Expired - Fee Related JP4892400B2 (ja) 2007-04-24 2007-04-24 保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4892400B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5955279B2 (ja) * 2013-07-04 2016-07-20 アース製薬株式会社 保湿成分付着量の増加方法
WO2015122029A1 (ja) * 2014-02-17 2015-08-20 花王株式会社 毛髪化粧料
JP6738680B2 (ja) * 2016-07-28 2020-08-12 ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社 薄葉紙用薬剤、及び薄葉紙
JP7349796B2 (ja) 2019-02-27 2023-09-25 株式会社日本触媒 保湿剤用ポリマー
JP2022156544A (ja) 2021-03-31 2022-10-14 ライオン株式会社 スプレー型の繊維処理剤組成物

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6045511A (ja) * 1983-08-23 1985-03-12 Kobayashi Kooc:Kk ゼリ−状パック化粧料
JPH1112126A (ja) * 1997-06-25 1999-01-19 Nof Corp ゲル状温熱マッサージ料
JP2002037711A (ja) * 2000-07-25 2002-02-06 Kose Corp 乳化化粧料
JP3791683B2 (ja) * 2001-05-18 2006-06-28 株式会社資生堂 ジェル状組成物
JP2003342118A (ja) * 2002-05-27 2003-12-03 Noevir Co Ltd 皮膚外用剤
JP3766070B2 (ja) * 2003-04-10 2006-04-12 ピアス株式会社 紫外線防御効果を有する耐水性o/w型化粧料
JP2005154360A (ja) * 2003-11-27 2005-06-16 Lion Corp 皮膚洗浄剤組成物
JP2005220117A (ja) * 2004-02-09 2005-08-18 Kao Corp 水中油型乳化組成物
JP2006248932A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Kanebo Ltd 保湿剤及びそれを含有する化粧料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008266254A (ja) 2008-11-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6800295B2 (en) Water soluble sheet composition
KR101685230B1 (ko) 계면활성제-기반 시스템에서 개선된 용해성 및 성능을 갖는 양이온성 합성 중합체, 및 개인 관리 및 가정 적용에서의 용도
JP7286322B2 (ja) 毛髪化粧料
JP5245397B2 (ja) ブロックポリマー及びその製造方法と、このブロックポリマーを含有した化粧料組成物
KR101284386B1 (ko) 공중합체 및 이것을 이용한 세정제 조성물
JP4892400B2 (ja) 保湿剤組成物、および軟質固体表面の保湿性改質方法
JPH08198732A (ja) 毛髪処理剤組成物
KR20190097180A (ko) 세정 조성물
JP3711165B2 (ja) 化粧品の活性成分として適当な四級化コポリマー、該ポリマーを含有するヘア化粧品およびスキン化粧品
JP2002114650A (ja) アルキルアミドエーテルスルフェート、アニオン性界面活性剤及びカチオン性ポリマーを含む洗浄組成物
JPH08217643A (ja) シャンプー組成物
JP5168841B2 (ja) 毛髪洗浄剤組成物
JP4515960B2 (ja) 整髪料洗浄剤及びその使用方法
JP2001508456A (ja) 水性組成物およびその使用
JP2015526550A (ja) 疎水性修飾カチオン性ポリマー
JP2003171244A (ja) 整髪剤組成物
JP3849120B2 (ja) 頭髪用化粧料
WO2021006143A1 (ja) 毛髪化粧料
JP5509533B2 (ja) 毛髪洗浄剤及び洗浄剤製品
WO2007102616A1 (ja) しわ除去剤組成物
KR102314140B1 (ko) 누적 흡착 방지 컨디셔닝 폴리머 및 이를 포함하는 조성물
TWI837112B (zh) 毛髮化粧料
JP3883944B2 (ja) 衣料用易洗防汚処理剤
JP2022175998A (ja) 温感皮膚洗浄料
JP5168842B2 (ja) 毛髪洗浄剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110906

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees