JP4891191B2 - 死化粧用義歯とその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には前歯のみの上顎義歯と下顎義歯とを接合した死化粧用義歯が開示されている。しかし、上顎義歯と下顎義歯との接合面が固定されているため、遺体の口腔内に容易に挿入することができないという問題があった。また、上顎または下顎のいずれか一方のみの前歯が欠損している場合に装着が困難になるという問題もある。
本発明の別の目的は、装着後に上顎義歯と下顎義歯の位置がずれることを防止し、遺体が生前の面影を保つことができる死化粧用義歯を提供することにある。
本発明の別の目的は、製造過程において上顎義歯と下顎義歯との位置がずれることを防止することができ、加工が容易な死化粧用義歯の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、様々な状態の遺体に装着可能な死化粧用義歯およびその製造方法を提供することにある。
請求項3に記載の発明によると、接続部は、樹脂から形成される。そのため加工が容易であるとともに、火葬の際に燃焼可能である。
請求項9に記載の発明によると、上顎人工歯および下顎人工歯は、コンポジットレジンから形成されている。これにより、人体と同様の色彩をもつ上顎人工歯および下顎人工歯となり、遺体が生前の面影を保つことができる。
上顎義歯および下顎義歯を死化粧用義歯の完成した形状をしたコアーにはめ込んで接続部を上顎義歯および下顎義歯に結合することで、上顎義歯と下顎義歯との位置がずれることを防止することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による死化粧用義歯を図1から図3に示す。
図1は、第1実施形態の死化粧用義歯を舌側から見た図である。死化粧用義歯17の上顎義歯は、上顎人工歯として右上1番1、右上2番2、右上3番3、左上1番4、左上2番5、左上3番6の合計6本の人工歯と、上顎人工歯肉13を備える。上顎人工歯肉13は接続部20を固定するための上顎固定部15を有し、右上1番1及び左上1番4の人工歯が半分隠れるように接続部20が設置されている。同様に、下顎義歯は、下顎人工歯として右下1番7、右下2番8、右下3番9、左下1番10、左下2番11、左下3番12の合計6本の人工歯と下顎人工歯肉14を備える。下顎人工歯肉14には接続部20を固定するための下顎固定部16を有し、右下1番7及び左下1番10が隠れるように接続部20が設置されている。
まず最初に、型枠となる図示しない蓋付きのフラスコを使用して、上顎義歯および下顎義歯を作製する。フラスコは、内面シリコンによって形成されることが望ましい。フラスコの中に上顎人工歯および下顎人工歯を別々に入れる。上顎人工歯および下顎人工歯は、燃焼温度が420度のコンポジットレジンから形成されていることが望ましい。尚、上顎人工歯および下顎人工歯は取り付ける歯肉部分を薄く成形してある。薄くすることで、残存歯の上からも使用可能となる。このため、様々な状態の遺体に装着可能である。
図6はコアー30のB−B線による断面図である。上顎固定台31および下顎固定台32は凹部を形成し、この凹部に上顎義歯および下顎義歯を載せることができる。
本発明の第2実施形態の死化粧用義歯を図7に基づいて説明する。第1実施形態と実質的に同じ部位は同一符合とし、説明を省略する。
第2実施形態では死化粧用義歯18は接続部としてスプリング40を有する。スプリング40は右上2番および右下3番の上に設置されている。また、左上2番の上部には上フック41が、左下3番の上には下フック42がそれぞれ設置されている。また、フックの代わりにスプリングを用いてもよい。死化粧用義歯18をくの字型にして遺体の口腔内に挿入した後、スプリングの復元力によって、元に戻る。このため、遺体の口元を大きく開けることなく死化粧用義歯18を装着可能である。口腔内へ装着する際には、スプリング面に両面テープを貼り、口腔内綿花をもちいて最適位置に設置する。
本発明の参考例の死化粧用義歯を図8に基づいて説明する。第1実施形態と実質的に同じ部位は同一符合とし、説明を省略する。
参考例では、死化粧用義歯19は接続部として上蝶番50と下蝶番51と回転軸52とを有する。死化粧用義歯19は回転軸52を中心として、くの字型に折れ曲がる。このため、遺体の口元を大きく開けることなく死化粧用義歯19を装着可能である。
本発明の第4実施形態の死化粧用義歯は基本的に第1実施形態の死化粧用義歯と同じ構成を有する。接続部20は第1固定部21と第2固定部23とを有し、切欠部22を有さない。切欠部22を設ける代わりに、折れ曲がり部の表面部分を削って厚さを薄くする。厚さを薄くすることによって、切欠部22を有する場合と同様に、確実に折れ曲がり部で折れ曲がるようにすることができる。
第1実施形態から第4実施形態において、死化粧用義歯はS、M,Lサイズに分かれている。Sサイズは身長160cm以下あるいは顔の大きさが小さい人を対象とし、Mサイズは身長160ないし170cmあるいは顔の大きさが中くらいの人を対象とし、Lサイズは身長170cm以上あるいは顔の大きさが大きい人を対象としている。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (10)
- 遺体の口腔内に装着し、死化粧に用いる死化粧用義歯であって、
上顎人工歯および上顎人工歯肉からなる上顎義歯と、
下顎人工歯および下顎人工歯肉からなる下顎義歯と、
前記上顎義歯および前記下顎義歯を折り曲げ可能に接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、
前記上顎義歯に結合する第1固定部と、
前記下顎義歯に結合する第2固定部と、
前記第1固定部および前記第2固定部との間の両端を切削した間に形成され、前記第1固定部および前記第2固定部より体積の小さい折れ曲がり部と、
を有することを特徴とする死化粧用義歯。 - 前記接続部は、前記上顎義歯および前記下顎義歯の前歯の中央部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の死化粧用義歯。
- 前記接続部は、樹脂から形成されることを特徴とする請求項2に記載の死化粧用義歯。
- 前記接続部は切断して前記上顎義歯単体もしくは前記下顎義歯単体として使用可能なことを特徴とする請求項3記載の死化粧用義歯。
- 遺体の口腔内に装着し、死化粧に用いる死化粧用義歯であって、
上顎人工歯および上顎人工歯肉からなる上顎義歯と、
下顎人工歯および下顎人工歯肉からなる下顎義歯と、
前記上顎義歯および前記下顎義歯を折り曲げ可能に接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、一端が前記上顎義歯に接続され、他端が前記下顎義歯に接続されるスプリングを有することを特徴とする死化粧用義歯。 - 前記接続部は、スプリングとフックとを有することを特徴とする請求項5に記載の死化粧用義歯。
- 前記上顎義歯および前記下顎義歯の少なくともいずれか一方は、前記遺体の歯肉と唇との間に入る程度に薄く形成されていることを特徴とする請求項1または5に記載の死化粧用義歯。
- 前記上顎人工歯肉および前記下顎人工歯肉は、アクリックレジンから形成されていることを特徴とする請求項1または5に記載の死化粧用義歯。
- 前記上顎人工歯および前記下顎人工歯は、コンポジットレジンから形成されていることを特徴とする請求項1または5に記載の死化粧用義歯。
- 請求項1または5に記載の死化粧用義歯の製造方法であって、
上顎人工歯および上顎人工歯肉からなる上顎義歯を形成する工程と、
下顎人工歯および下顎人工歯肉からなる下顎義歯を形成する工程と、
前記上顎義歯および前記下顎義歯をコアーにはめ込み、前記上顎義歯および前記下顎義歯を折り曲げ可能に接続する接続部を前記上顎義歯および前記下顎義歯に結合する工程と、
を含むことを特徴とする死化粧用義歯の製造方法。
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