JP5959873B2 - 部分義歯の装着構造、および部分義歯 - Google Patents

部分義歯の装着構造、および部分義歯 Download PDF

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本発明は、装着感に優れ、脱着が容易で、安定した維持作用を保つことができる、耐久性の高い、部分義歯の装着構造、および部分義歯に関するものである。
従来の部分義歯は、レストやクラスプが残存歯である鉤歯に嵌め合わされて部分義歯の位置および姿勢を安定に保つ作用を発揮する。しかし、このクラスプとレストは、鉤歯を強く拘束し、かつ横向きの力がかかったときテコの原理で鉤歯の歯根部へ大きなモーメントが働く。このため、使用者の不快感を増幅し、また鉤歯の健康性を損なうことがあった。さらに、大きな応力がかかるため破損しやすく耐久性に欠ける面もあった。
このような難点を除くために、レストを使用しないで凹状もしくはC字状のクラスプを鉤歯の豊隆部の下部(根元側)、すなわち歯肉上縁部にほぼ接する歯牙根元にのみ、宛がうように嵌め合わせる部分義歯の提案がなされた(特許文献1,2)。この部分義歯によれば、鉤歯の歯牙根元部にのみ嵌合力を及ぼすことによって、鉤歯への負担は大きく軽減される。歯牙根元にかかる応力は、歯牙頂部にかかる応力に比べて、テコの原理に従って歯根部の周りに生じるモーメントの大きさを大きく軽減するからである。この結果、鉤歯への拘束感は解消し、かつ歯根部の周りに大きなモーメントが生じないため鉤歯の耐久性を高めることができる。
上記のような鉤歯の歯牙根元部にのみ嵌合力を及ぼす構成は、金属製のクラスプを用いないいわゆるノンメタルデンチャーにも適用されて、樹脂の嵌合部で鉤歯の根元部に嵌合する構造が提案されている(特許文献3,4)。
上記の形態の部分義歯(鉤歯への拘束力を軽減し、かつ鉤歯に対してなるべく手を加えない技術潮流のもの)とは別の流れとして、鉤歯の固定機能を最大限発揮させるために、いわゆるコーヌス・テレスコープ部分義歯の技術潮流もある(非特許文献1)。このコーヌス・テレスコープ部分義歯では、大抵の場合、鉤歯の神経を除いた上でその鉤歯に内冠という金属の被せを固定する。この内冠は、帽子のように鉤歯を歯冠部からすっぽり覆うものである。その上で、部分義歯には、従来はクラスプがあった位置に、内冠をすっぽり覆う金属製の被せ(外冠)を設ける。この外冠を内冠に被せることで、すなわち、鉤歯を内冠と外冠とで二重に被覆することで、部分義歯は、口腔内にしっかりと固定される。このコーヌス・テレスコープ部分義歯によれば、部分義歯の固定という点に限れば、確かに安定して固定される。
特許第4270578号 特許第4686541号 特許第4309938号 特開2010−201092号公報
黒田正彦「コーヌスクローネ」医歯薬出版株式会社、2007年4月15日第1版第14刷
鉤歯の負担を軽減する部分義歯については、部分義歯の固定を、通常2つの、凹状の嵌合部またはC字状の嵌合部(宛がい部)だけで実現する。しかし、拘束感を生じない凹状の嵌合部だけで部分義歯を固定しようとする場合、その歯科医は、多様な患者の口腔態様について熟達した経験、見立て等を有していなければならない。すなわち歯科医として熟達した技能を有した上で、C字状嵌合部のみで維持等を安定化する部分義歯について多くの経験を持っていなければならない。このような多様な経験と、これに裏打ちされた感覚を持たなければ、毎日、通院してくる多様な病態の患者を相手に、満足される部分義歯を、即断即決で作製してゆくことは難しい。さらに、高い精度の義歯製作技術を有する歯科技工所(以下、技工所)で多くの手直しを繰り返すので、技工所の歯科技工士に対しても周到な技術指導が必要である。このため、C字状嵌合部のみによる優れた部分義歯というものがあっても、ごく少数の歯科医にしか作製できない問題がある。
上記の状況を打開するため、多くの経験を積まなくても、数回の研修を経ただけで、通常の歯科医にも、患者の歯牙に応じてその構成が理解でき、かつ作製できる部分義歯が要望されている。その部分義歯は、当然、装着感に優れ、耐久性に富むものでなければならない。
コーヌス・テレスコープ部分義歯については、固定が強固である反面、脱着が難しい問題がある。さらに、鉤歯に設けた内冠の上から外冠を被せて固定力を高めるため、テコの原理により鉤歯の歯根部には大きな荷重(モーメント)がかかり、その歯根部などに歯根破折などの損傷が生じる事例も挙げられている。
その上、鉤歯に二重の被せを被せるため、内冠の被せの段階からある程度の噛み合わせを考慮しながら調整し、外冠の段階で最終の噛み合わせの調整を行う必要がある。このため、噛み合わせの調整、気配りが煩雑となり、これについても多くの経験と熟達した技術が必要であった。
本発明は、装着感に優れ、脱着が容易で、安定した維持作用を保つことができる、耐久性が高い、部分義歯の装着構造、および部分義歯を提供することを主目的とする。さらに、特別卓越した技術を持たなくても、数回の研修を受ければ、大多数の歯科医が、多くの患者に対して即断で、上記のような優れた性能の部分義歯の装着構造等を提供できるようにすることを副次的な目的とする。
本発明の部分義歯の装着構造は、人工歯と、義歯床と、金属製の大連結子と、鉤歯に嵌合する第1および第2の嵌合体と、を備える部分義歯、の装着構造であって、前記第1の嵌合体は金属製の凹状部を有し、該凹状部を鉤歯の根元部に宛がうよう嵌め合わされ、前記第2の嵌合体は金属製の指輪体または金属製の開口指輪体であり、該第2の嵌合体は鉤歯に貫通され、該鉤歯に指輪のように嵌合し、前記第2の嵌合体が嵌合する鉤歯は、残存歯またはインプラント(人工歯根)上の人工歯牙に形成されており、該残存歯またはインプラント上の人工歯牙において、頂部を除いた側面全周または周の一部のみ、または、頂部および側面全周を含む全面、を覆う金属製の鉤歯被覆体、が設けられており、前記鉤歯被覆体は、その外面の少なくとも上部から中部にわたって、下広がりの0°以上6°以下の範囲内のテーパー角が付されていて、前記鉤歯被覆体の前記テーパー角は、前記鉤歯の根元部において、((1)上部のテーパー角のまま、(2)前記テーパー角が小さくなる、および(3)ストレート(テーパー角ゼロ)になる)のうちのいずれかであることを特徴とする。
ここで、開口指輪体とは、一部が欠落して開口がある指輪体をさす。そして、指輪体または開口指輪体が鉤歯に「指輪のように嵌合する」とは、指輪体も開口指輪体も鉤歯の歯軸にそって縦方向に移動させて(このあと説明するように少しだけ回転が加味された移動である)、鉤歯に嵌め合わせることをいう。第1の嵌合体の場合は、横方向(水平方向)に宛がうように移動させて鉤歯に嵌め合わせるのと、対照的な、異なる移動形態をとる。
上記の構成によれば、嵌合体は、鉤歯根元部に宛がわれる凹状部(第1の嵌合体:C字状部なども含む)と、指輪体または開口指輪鯛(「指輪体または開口指輪体」を、指輪状の(第2の)嵌合体と記すことがある。)とで構成される。言うまでもなく、第1の嵌合体となる凹状部は鉤歯に向かって開放されており、部分義歯の脱着のとき融通性に富む動きを許容する。また、第2の嵌合部は、鉤歯の根元部を指輪状に取り囲んで緩みを許容しない配置をとる。
宛がい部だけで部分義歯を口腔内に固定する場合、凹状部は歯軸に交差するように水平に宛がって嵌合する。しかし、上記のように、指輪体または開口指輪体の第2嵌合体と組み合わせる場合、凹状の嵌合体も水平方向だけでなく、歯軸に沿う縦方向の動きも加えないと、凹状嵌合体および指輪状嵌合体の両方を円滑に鉤歯に嵌合することが難しくなる。
装着のときは、まず、凹状の第1の嵌合体を鉤歯の根元部に宛がうように位置決めをして、水平方向の動きに、頂部から根元へと歯軸に沿う縦方向の動きも交えて押し当てて嵌め合わせる。これを便宜上、第1固定または第1支点と呼ぶ。第1固定は未完成であり、このあとも多くの調整的な動きをする。第1支点を定めたあと、次いで、指輪状の第2の嵌合体を鉤歯に、その頂部から根元部へと歯軸に沿うように縦方向に嵌合して最終位置まで押し込むことで第2固定を完成する。この状態になってはじめて第1支点も一定位置に固定状態となる。なお、第1固定、第2固定といっても、接着剤などで固定された動きがない固定ではない。多少の動きは離脱しない範囲内で許容されている。詳細については実施の形態で説明する。
外すときは、装着のときとは逆に、まず第2固定における指輪状の嵌合体を鉤歯の頂部の上へと引き上げて第2固定を解除する。そのあと、第1固定の凹状の嵌合体を、やはり少し持ち上げつつ水平方向の動きも交えて鉤歯から後退させる。
上記の装着および脱着における部分義歯の嵌合体の動きは紛れが無く、ほとんどの症例の場合に当てはまるパターンである。このため部分義歯の装着および脱着を容易に、かつ確実に行うことができる。
凹状の嵌合体は、とくに鉤歯の根元部に嵌合する。指輪状の嵌合体は、患者の歯牙の状態が許せば鉤歯の根元部にまで落として嵌合するようにしたほうが良いが、歯牙の状態によっては、根元部に嵌合しなくてもよい。
緩みを許容しない指輪状の嵌合体と、融通性に富む凹状の嵌合体との協働によって、次の作用を、向上させることができる。
(A1)咬合圧に抵抗する支持作用
(A2)離脱力に抵抗する維持作用
(A3)水平的な力に抵抗する把持作用
まず、(A1)咬合圧に抵抗する支持作用について説明する。咬合のとき、本発明の部分義歯では、指輪状の嵌合体が鉤歯に嵌合しているので、水平方向の移動は確実に防止される。凹状の嵌合体も所定方向には、部分義歯の移動はまったく許さない。このため、顎堤粘膜と義歯床裏面との密着状態は健全に保たれ、咬合圧を確実に負担することができる。
次に、(A2)維持作用について説明する。指輪状の嵌合体は、鉤歯の頂部から歯軸に沿って縦方向に根元部に嵌合するので、豊隆部があったのでは、筒状の嵌合体を通すことはできず、このあと説明するように鉤歯は加工して下広テーパーが付いたものとする。下広とは、歯牙の根元側に向けて広いという意味である。下広テーパーのため、指輪状の嵌合体には大きな維持力は生じない。しかし、指輪状の嵌合体は、鉤歯に嵌合され、その鉤歯のテーパー角は根元部で小さくされ、2段のテーパーなどとすることなどで、鉤歯の外表面と指輪状の嵌合体との間に無視できない摩擦が生じる。さらに指輪状の嵌合体の上側および/または下側に、義歯床も指輪状の嵌合体と共に嵌合部を形成して、この部分も摩擦を生じる。これらの、摩擦力は、離脱を抑制する維持作用に貢献する。
なお、このあと説明するように、維持力を高めるのに、鉤歯の外面のテーパーの取り方は重要である。過度に大きなテーパー角は維持力を低下させる。このような、テーパー角が大きい場合に維持力が低下することからも、義歯床を含む第2の嵌合体と、鉤歯との間で摩擦力が働いていることが理解される。
維持作用に対して、第1の嵌合体である凹状の嵌合体は、決定的に重要な貢献をする。凹状の嵌合体は、鉤歯の根元部に宛がわれて嵌合する。凹状の嵌合体なので水平方向の動きで鉤歯に装着でき、このため豊隆部をそのまま残して、その豊隆部の根元側に凹状の嵌合体を嵌合させることができる。このため、部分義歯が離脱する方向(浮く方向)の力を受けても、凹状の嵌合体は豊隆部で動きを止められ、離脱は確実に阻止される。
(A3)把持作用については、指輪状の嵌合体は、全方向に移動を確実に阻止することができる。さらに、特定の水平方向の移動に対して、凹状の嵌合体は非常に大きな阻止力を発揮する。
また、筒状の嵌合体が嵌合する鉤歯の頂部は、筒から突き出して露出状態となる。このため、応力は、筒から鉤歯の頂部や頂部コーナー部には、全くかからず側周面下部にのみかかる。このため、鉤歯の歯根の周りのモーメントは、鉤歯の頂部に応力がかかる従来のコーヌス・テレスコープに比べて、大きく低減される。この結果、鉤歯にかかる負担は小さく、高い耐久性を保つことができる。
また、鉤歯が完全に被せ物(外冠)で覆われる構造に比べて、モーメントが低減されるため、口腔内における違和感は非常に小さくなり、装着感も向上する。しかも他方の嵌合体は拘束が非常に緩い、凹状の嵌合体であるので、装着感については非常に優れたものとなる。
上記より、緩みを許容しない指輪状の嵌合体と、融通性に富む凹状の嵌合体とを組み合わせることで、装着感に優れ、脱着が容易で、安定した維持力、把持力及び支持力を発揮できる、耐久性が高い部分義歯の装着構造を得ることができる。
また、指輪から突き出ている鉤歯の頂部に対して、嵌合体と関係なく、たとえば製作の早期の段階で、咬合調整を行うことができる。このため、咬合調整を簡単に行うことができ、従来のコーヌス・テレスコープ部分義歯のように技工所(ラボ)段階で外冠に咬合調整を施す必要がない。このため、咬合面を形成するための工程をとる機会が増え、かつ簡単化され、従来の場合のように内冠の頂部の厚みまで考慮する必要はなくなる。その微妙な調整という点においても、本発明の場合、鉤歯のみの咬合調整という限られた調整であり、あとは技工所サイドでの工程なので、歯科医院での咬合調整が容易であるという利点は確実に得られる。
さらに特筆すべきこととして、指輪状の嵌合体の場合、義歯床に埋め込み固定しやすい点をあげることができる。たとえば患者の口腔から印象採得に基づき、部分義歯中間体等を形成し、かつ、鉤歯の加工および筒状の嵌合体を製造したあと、次回の診療において直ちに部分義歯の装着構造を仕上げることができる。詳細は製造方法の説明で行う。
第1の嵌合体は、凹状の嵌合体であり、マニュアル等に従って機械的に製造することはできない。しかし、部分義歯の口腔内の固定を、両方とも凹状の嵌合体(第1の嵌合体)で行う場合に比べて、難しさは大幅に軽減される。また、第2の嵌合体である指輪状の嵌合体にしても、従来のコーヌス・テレスコープ部分義歯よりも簡単な構造である。何よりも、上記のように、部分義歯の装着および脱着のパターンがほとんど1つなので、部分義歯の装着および離脱における軌道などの設計が分かりやすい。多くの歯科医を悩ます、部分義歯が外れないなどの問題はなくなる。これらより、大抵の歯科医は、数回の研修などによって、患者の歯牙に応じて、この部分義歯の装着構造を作製可能となる。
そして、第1および第2の嵌合体とも、嵌合体と関係なく、たとえば製作の早期の段階で、咬合調整を行うことができる。
また、第2の嵌合体は筒状なので、嵌め合わせのとき、鉤歯と嵌合体の間の空気が抜けやすく装着が容易になる。従来のコーヌス・テレスコープ部分義歯では、寸法が密に仕上がった場合、外冠(完全かぶせ物)と鉤歯との間の空気が抜けにくい場合(とくに内冠のテーパー角が小さい場合)もあった。しかし、上記指輪では頂部が開放されているのでそうしたことは一切考えられない。
部分義歯の義歯床は、指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体の外面側を覆いながら、該第2の嵌合体とともに、鉤歯に嵌合する筒状部を形成している構造をとることができる。
これによって、指輪状の嵌合体とともに義歯床にもその嵌合の補助的機能を分担させることができる。すなわち義歯床が指輪体の軸線方向の長さ(筒長さ)を拡大して、当該義歯床が拡大された長さ(幅、または高さ)の指輪体の一部を構成する。また、その義歯床を含む筒状部は、鉤歯と接触することで維持作用を向上させる。
指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯は、残存歯またはインプラント(人工歯根)上の人工歯牙に形成されており、該残存歯またはインプラント上の人工歯牙において、頂部を除いた側面全周または周の一部のみ、または、頂部および側面全周を含む全面、を覆う鉤歯被覆体、を設けることができる。
この場合、鉤歯は、残存歯または人工歯根(インプラント)上の人工歯牙に、大別して上記2種類の鉤歯被覆体を施す。このような鉤歯における鉤歯被覆体は、形状が比較的簡単であり、通常レベルのものはそれほど困難を伴わずに製造することができる。
当然ながら、咬合面は、残存歯またはインプラント上の人工歯牙の頂面に形成される。とくに、インプラント上の人工歯牙を鉤歯とする場合、人工歯根を植え込む上顎または下顎の適切な箇所を選んでインプラントを埋入することができる。残存歯だけでは満足できる部分義歯を製作できない場合、インプラントにより適切な位置に鉤歯を設け、主要の鉤歯とすることができる。インプラントを用いることで、部分義歯を製造する場合の鉤歯の選択肢が大きく拡大する。
指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯が形成される残存歯は神経がない失活歯のとき、該失活歯の頂部および側面全周を含む全面を覆う鉤歯被覆体が設けられているか、または、該失活歯の頂部を除いた側面全周または周の一部のみを覆う鉤歯被覆体を設けることができる。
これによって、失活歯の場合は、頂部を含んで鉤歯被覆体、または側面全周または周の一部分のみを覆う鉤歯被覆体で覆われるので、強い補強を得て、筒状の嵌合体は頂部に応力を及ぼさないので、鉤歯としての機能を十分長く保つことができる。
指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯が形成される残存歯が、神経がある生活歯のとき、該生活歯の頂部を除いた側面全周または周の一部のみを覆う鉤歯被覆体を設けるのがよい。
鉤歯被覆体と指輪状の嵌合体とは、技工所で同じ機会に、直接、相互の形状を決め合いながら作製することができる。印象採得などの工程を必要とすることなくしかも高精度を保つことができる。
上記によれば、生活歯の場合は、神経を残したまま鉤歯被覆体で側面全周または周の一部分のみを覆われた状態で、筒体または指輪体を貫通しながら頂部を露出させる。鉤歯被覆体は、側面全周または周の部分を被覆することで補強物として作用する。この結果、神経を生かしたまま鉤歯の機能を十分に発揮できるので、より長く健全性を保ちやすい。また、その生活歯における違和感も小さくすることができる。
指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯はインプラント(人工歯根)上の人工歯牙が加工されたものの場合、鉤歯被覆体を有さず、第2の嵌合体は該インプラントの人工歯牙に嵌合させるのがよい。
これによって、金属による鉤歯被覆体を用いることなく、鉤歯を製作することができる。
指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯における鉤歯被覆体またはインプラントの人工歯牙は、その外面の少なくとも上部から中部にわたって、下方ほど広がるように0°以上6°以下の範囲内のテーパー角が付されているのがよい。0°の場合は、テーパーなしのストレートである。一般に、テーパー角が小さい場合、装着状態の部分義歯を外すことが難しくなる場合が多く、また、6°を超えると維持力が低下して抜けやすくなる。また、このような大きなテーパー角に対応した歯科用ミリングマシンがない。とくに1°以上3°以下とすることで程よい外しやすさと維持力のバランスを得ることができる。これによって、より確実に、鉤歯の根元部に嵌合力がかかるようにできる。なお、指輪体または開口指輪体は、当然ながら鉤歯被覆体のテーパーに適合するように、その内面にテーパーが付される。
上記の鉤歯における鉤歯被覆体のテーパーは、残存歯または人工歯牙の豊隆部等を少し削合しておくと、技工所におけるテーパー等の作製が容易になる。コーヌス・テレスコープ部分義歯においては、内冠のテーパー製作用のミリングマシンがあり、技工所において、そのテーパー製作用のミリングマシンを用いて非常な高精度で簡単にテーパーを形成することができる。
鉤歯被覆体のテーパー角は、鉤歯の根元部において、((1)上部のテーパー角のまま、(2)テーパー角が小さくなる、および(3)ストレート(テーパー角ゼロ)になる)のうちのいずれかとするのがよい。ここで、上記(2)および(3)の場合、鉤歯の根元部においてテーパー角が小さくなるかまたはストレートになる高さ(幅)は、歯頸部下端から1.5mm〜3mm程度の範囲とするのがよい。
上記のいずれの場合も、筒体または指輪体から鉤歯の頂部に応力はかからないので、鉤歯の負担は大きく軽減される。上記(2)〜(3)の場合は、さらに、鉤歯の根元部で鉤歯被覆体はその下広テーパー角は、そのまま延びないで、立ってくる傾斜をとる。すなわち下広テーパーの傾向が小さくなり、立ち姿勢(鉛直姿勢)の傾向が強くなる。この根元部におけるテーパーの鉛直姿勢への変化により、指輪体からの力は、鉤歯の根元に、より一層確実にかかるようになる。この結果、より一層、鉤歯の負担は軽減されて耐久性を保つことが可能になる。と同時に動揺歯の動揺は部分義歯の装着(嵌合体の嵌合)によってなくなり、その動揺歯は固定される。
鉤歯の鉤歯被覆体および/または第2の嵌合体において、少なくとも露出する部分にセラミックスまたは樹脂が配設されているようにできる。
上記のセラミックスまたは樹脂は、歯牙と同じ白色系とするのがよい。通常、前装と呼ばれるものである。これによって、人目に付く部分に金属光沢を露出せずに、審美性を高めることができる。
第1の嵌合体における凹状部を、鉤歯に面する帯状面を持つ弧状の金属体とするのがよい。
弧状の金属体が凹状である場合、C字状であり、嵩張らずに小さい容積で、鉤歯の根元部に大きな拘束力なく、容易かつしっかりと嵌め合わせることができる。
本発明の部分義歯は、人工歯と、義歯床と、金属製の大連結子と、第1および第2の嵌合体と、を備える部分義歯であって、前記第1の嵌合体は金属製の凹状部を有し、また前記第2の嵌合体は金属製の指輪体または金属製の開口指輪体であり、該第2の嵌合体は嵌合する鉤歯に指輪のように嵌合するものであり、前記第2の嵌合体の内周面は、前記鉤歯の外面に形成された下広がりのテーパー角0°以上6°以下に対応するようにテーパーが付されており、かつ、一段の下広のテーパー面、または、下段のテーパー面が上段よりも立っている二段の下広のテーパー面、からなることを特徴とする。
これによって、凹状部(第1の嵌合体)による嵌合、および指輪体による嵌合による、両方の作用を兼備することができる。その結果、上述した装着構造における利点を得ることができる。「指輪のように嵌合する」とは、上記のとおり、指輪体も開口指輪体も鉤歯の歯軸にそって縦方向に移動させて、鉤歯に嵌め合わせることをいう。第1の嵌合体の場合は、横方向(水平方向)に宛がうように移動させて鉤歯に嵌め合わせるのと、対照的な、異なる移動形態をとる。
部分義歯の義歯床は、指輪体または開口指輪体の第2の嵌合体の外面側を覆いながら、該第2の嵌合体とともに、筒状部を形成することができる。
これによって、患者の歯牙に応じて、より適切な第2の嵌合構造を形成することができる。
前記第2の嵌合体の内周面は、一段の下広のテーパー面、または、下段のテーパー面が上段よりも立っている二段の下広のテーパー面、からなるようにできる。
これによって、鉤歯の根元部への応力を高めて、頂部への負荷を減らすことができる。さらに維持力を高めながら、装着および脱着が容易な部分義歯を得ることができる。
第1の嵌合体における凹状部を、鉤歯に面する帯状面を持つ弧状の金属体とすることができる。
弧状の金属体が凹状である場合、C字状であり、嵩張らずに小さい容積で、鉤歯の根元部に大きな拘束力なく、容易かつしっかりと嵌め合わせることができる。
本発明によれば、装着感に優れ、脱着が容易で、安定した維持を保つことができる、耐久性が高い、部分義歯の装着構造、および部分義歯を得ることができる。さらに、数回の研修により、大多数の歯科医が、多くの患者に対して、上記のような優れた性能の部分義歯の装着構造等を提供できるようになる。
本発明の実施の形態1における部分義歯の装着構造を石膏模型において示す斜視図である。 図1の装着構造における患者の口腔状態を示す図である。 図1の装着構造における部分義歯を示す平面図(おもて側)である。 図3の部分義歯の凹状部の部分拡大図である(第1の嵌合体)。 図3の部分義歯の指輪体の部分拡大図である(第2の嵌合体)。 第1の実施の形態における、(a)は第1の嵌合構造、(b)は第2の嵌合構造、を示す断面図である。 実施の形態1の部分義歯の装着構造の製作工程を示すフローチャートである。 実施の形態1の部分義歯の装着構造の、別の製作工程を示すフローチャートである。 図7および図8の部分義歯の製作工程を補足するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態2における部分義歯の装着構造を示す斜視図である。 図10の装着構造における患者の口腔状態を示す図である。 図10の装着構造における部分義歯を示す斜視図である。 第2の実施の形態における、(a)は第1の嵌合構造、(b)は第2の嵌合構造、を示す断面図である。 本発明の実施の形態3における部分義歯の装着構造を示す斜視図である。 図14の装着構造における患者の口腔状態を示す図である。 図14の部分義歯の複合凹状部の部分拡大図である(2つ連続した第1の嵌合体)。 図14の部分義歯の指輪体の部分拡大図である(2つの第2の嵌合体)。 本発明の実施の形態4における部分義歯の装着構造を示す斜視図である。 図18の装着構造における患者の口腔状態を示す図である。 図18の装着構造における部分義歯を示す、裏面側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態5における部分義歯の装着構造を示す斜視図である。 (a)は図21の装着構造における患者の口腔状態、(b)は、第2の嵌合構造の鉤歯、を示す図である。 図21に示した装着構造の部分義歯を、顎堤粘膜側(裏側)から見た図である。 (a)は、第2の嵌合体である開口指輪体を、天地逆にして頬側から見た図、(b)は第1の嵌合体の凹状部2つを、天地逆にして頬側から見た図、である。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における部分義歯の装着構造50を示す斜視図である。図1において、部分義歯Dを装着した患者の上顎は石膏模型M上に示されている。石膏模型Mの口腔(歯牙)に部分義歯Dが装着されて、装着構造50が形成されている。患者には、2本の鉤歯K,Kがある。歯牙Rを囲む符合Sの凹部は、義歯床5が舌側から取り囲んで凹部Sができているに過ぎない。嵌合体は、鉤歯K,Kに嵌合され、それぞれ嵌合構造10,20を形成している。患者の鉤歯Kは左3番(L)であり、鉤歯Kは右5番(R)である。鉤歯Kには、金属製の凹状部11が舌側からその根元部に嵌合して第1の嵌合構造10を形成している。金属製の凹状部11は、金属製の大連結子7から分岐して分岐部の先に形成されている。なお、大連結子7は、上顎ではパラタルバー、パラタルプレートなどと、また下顎ではリンガルバー、リンガルプレートなどと呼ばれるが、本説明では、区別せず、すべて大連結子と呼ぶこととする。
また、鉤歯Kは鉤歯被覆体31によって被覆されており、その鉤歯Kに、図1では義歯床5によって見えない第2の嵌合体である筒体または指輪体が嵌合し、第2の嵌合構造20を形成している。第2の嵌合構造20においては、指輪体等は鉤歯被覆体31を含む鉤歯Kによって貫通されている。このため、鉤歯被覆体31によって側周面を被覆された患者自身の歯牙の頂部2tには噛み合わせの凹凸が形成されている。鉤歯被覆体31の材料は何でもよいが、金属は製造が容易であり耐久性も高いので、金属製の被覆物31がよく用いられる。本実施の形態において、鉤歯被覆体31は歯牙の側周面のみを被覆するが、歯牙頂部も含めて全て被覆する場合もある。両者とも、共通に鉤歯K(31)などと表示する。また、「鉤歯被覆体」と、「金属製被覆物」または「被覆物」とを同じ意味に用いる。
図2は、図1の部分義歯Dを脱着したあとの患者の口腔状態を示す石膏模型Mである。患者の上顎には、3本の歯牙が残っていて、そのうち、左3番(L)が鉤歯K、また右5番(R)が鉤歯Kを構成する。鉤歯Kにおいて、患者の歯牙は生活歯であり、神経が生きている。歯牙は神経が生きていると長年月、健全な状態を保持しやすい。歯牙全体を金属製被覆物31で被覆すると、神経がもたないため、図2に示すように、頂部は生活歯の頂部2tを露出させて、側面と頂部の縁のみを金属製被覆物31で被覆する。金属製被覆物31の側面には、根元部ほど広くなる勾配の付いたテーパーを設けることが望ましい。テーパーは、脱着のし易さと維持作用の大きさとのバランスをとる重要な要因となる。
図2に示す鉤歯被覆体31は、歯牙の側周面の全周を被覆しているが、側周面の一部のみを被覆するものであってもよい。とくに鉤歯が前歯の場合、鉤歯の舌側の部分のみ金属で被覆し、頬側は歯牙を露出させるのがよい。これによって、審美性を向上させることができる。
図3は、図1に示す装着構造50における部分義歯Dを示す図である。図3において、第2の嵌合体である指輪体21が、孔の内壁に配置されている。指輪体21は、義歯床5の壁面(曲面)と面が揃うように配置されているが、固定は義歯床に埋設されている大連結子7の分岐部(義歯床5に埋設している)に取り付けることで強固になされている。指輪体21の鉤歯K2に対面して接する面は、ほぼ一定の幅をもった帯状の面である。また、金属製の凹状部11も、同じ大連結子7からの分岐部の先に固定されている。義歯床5の凹部Sは、歯牙R2への嵌合体を設けることもできたが、歯牙Rの状態を考慮して、歯牙Rを鉤歯とはしない。部分義歯Dを装着するには、1つの第1の嵌合構造10、および1つの第2の嵌合構造20があればよく、それ以上の嵌合構造は、歯科医の判断で適宜、追加することもできる。
図4は、図3の部分義歯Dの第1の嵌合体である凹状部11付近を上顎の顎堤粘膜側または義歯床裏面5b側から見た図である。大連結子7の分岐部の先に凹状部11が形成されていることが明瞭に分かる。この凹状部11は、鉤歯Kの根元部に宛がうように嵌め合わされる。このため、鉤歯Kに面する面11fは歯牙に適合するような面となっていて、嵌合によって十分大きい鉤歯Kとの面接触を確保できるようにしてある。大連結子7は、露出して見えている部分に連続してメッシュ状の金属が義歯床5に埋設されて、義歯床5の補強もしている。
図5は、図3の部分義歯Dの第2の嵌合体である指輪体21の付近を舌側から見た図である。鉤歯Kに嵌合する金属製の指輪体21とともに、義歯床5も内壁面5fを形成して、鉤歯Kに嵌合することが分かる。嵌合における、各種作用における強度面は主に、金属製の指輪体21が負担する。しかし、維持作用等の安定性を確保する上で、義歯床5の樹脂もこの内壁面5fによる鉤歯Kとの接触を通じて貢献していることが考えられる。すなわち、部分義歯Dの脱着では、第1の嵌合構造10における凹状部11を第1の支点として、歯軸に沿うような回転軌道をとって指輪体21は鉤歯Kに嵌合する。この回転軌道に一致しない離脱の動きに対しては、義歯床の内壁面5fや指輪体21は、鉤歯Kといずれかの箇所で接触して摩擦力または抗力などを発生して、離脱を防止することができる。もちろん、離脱を防止する維持作用については、このあと説明するように、第1の嵌合構造10における凹状部11が、鉤歯Kの豊隆部より根元側に嵌合することが決定的に効いているが、第2の嵌合構造20においても、上記のように、所定の維持作用は得ることができる。
図6は、図1に示す部分義歯の装着構造の断面図であり、(a)は第1の嵌合構造10、(b)は第2の嵌合構造、である。図6(a)において、第1の嵌合構造10においては、金属製の凹状部11の2つの弧状部(左右のアーム)が、鉤歯Kの豊隆部Gよりも根元側に嵌合することが重要である。これによって、離脱に対する大きな維持力を確保することができる。
また、第2の嵌合構造20では、生活歯2は、金属製被覆体31はその生活歯2の側周面および頂面の縁を被覆して、頂部2tは被覆していない。また、生活歯2の頂部2tには噛み合わせが形成されている。金属製被覆体31を取り囲むように指輪体21が嵌合している。さらにこの指輪体21とともに、義歯床5を形成する加熱重合レジンが孔の内壁面5fを構成して、金属製被覆体31に嵌合している。これらの内壁面21,5fは、テーパーの付いた金属製被覆体31に嵌合している。金属製被覆体31は、その側面31sの少なくとも上部から中部にわたって、下方ほど広がるように0°以上6°以下、とくに1°以上5°以下の範囲内のテーパー角が付されているのがよい。テーパー角が1°未満の場合、装着状態の部分義歯を外すことが難しくなる場合が多く、また、5°を超えると維持力が低下して抜けやすくなる。とくに1°以上3°以下とすることで程よい外しやすさと維持力のバランスを得ることができる。本実施の形態の場合、金属製被覆体31の側面31sに2°のテーパーが付されている。これによって、より確実に、鉤歯の根元部に嵌合力がかかるようにできる。指輪体21についても、当然ながら鉤歯被覆体31のテーパーに適合するように、その内面にテーパーが付される。鉤歯Kにおける鉤歯被覆体31のテーパーは、残存歯または人工歯牙の豊隆部等を少し削合しておくと、歯科技工所におけるテーパー等の作製が容易になる。一般にコーヌス・テレスコープ部分義歯の内冠のテーパー製作用のミリングマシンがあるので、それを利用することができる。歯科技工所において、そのテーパー製作用のミリングマシンを用いて非常な高精度で簡単に金属製被覆体31のテーパーを形成することができる。
<本実施の形態における部分義歯の装着構造のポイント>
本実施の形態における上記の構造を参照しながら、本実施の形態における部分義歯の装着構造のポイントを説明する。
1.部分義歯の脱着の容易性、および設計製作の容易性
従来のコーヌス・テレスコープでは、2つの鉤歯により歯牙への部分義歯の固定を確保しようとすると、脱着が非常に難しくなる場合があり、大きな泣き所であった。また、脱着を容易にしようとして鉤歯における内冠のテーパーの角度を大きくすると、抜けやすくなり、食物の咬合の際に離脱しやすい。要は、維持力が小さくなる。このように、脱着と維持力との均衡をとることが難しいという問題があった。
一方、2つの凹状部11で部分義歯を装着する場合、原則的に、両方の凹状部とも、主に水平方向の動きによって嵌合を完成させる。このような、2つの凹状部の水平方向の動きによって嵌合を実現しようとすると、その時の部分義歯の軌道に多くのバリエーションがあり、習熟度が十分でない歯科医では簡単に、脱着の軌道を想定できないという問題があった。また、コーヌス・テレスコープと同様に、脱着を容易にすると、維持力が低下し、一方、維持力を上げると歯牙に相当の負担をかけるという問題もあった。
本実施の形態の装着構造では、装着のときは、まず、凹状部(第1の嵌合体)11を鉤歯Kの根元部に宛がうように位置決めをする。鉤歯Kへの嵌合の際は、水平方向の動きに歯軸に沿う動きも加えて嵌め合わせる。本実施の形態の場合、第2の嵌合体が指輪体21なので、この指輪体21の部分は鉤歯Kの頂部付近に位置させておく。このため、凹状部11の鉤歯Kへの嵌め合わせにおいても、部分義歯Dの軌道としては水平方向を主体にしながら頂部から根元へと歯軸に沿う動きも交えることになる。これにより第1固定(第1支点)の位置が定まる(第1固定が完成したわけではない)。この間、指輪体21は、鉤歯Kの頂部の上に位置させておく。第1固定の位置を定めたあと、第1固定の位置を支点として、指輪体(第2の嵌合体)21を鉤歯K2に、その頂部から根元部へと歯軸に沿うように嵌合してカチという音がする位置まで押し込む。この指輪体21の軌跡は、第1固定の位置を支点とする、基本的に鉤歯K2の歯軸に沿う回転軌道である。しかし、第1固定は完全固定ではなく、少しの融通性があり、凹状部11は、鉤歯Kにエッジで接して傾き、また歯軸に沿って許容範囲内で少し動く際に、第2の嵌合体21の嵌合を進める。これを調整された回転軌道、または調整された回転運動と呼ぶ。第2の嵌合体21の嵌合には、鉤歯Kに貫通される孔の内壁面が指輪体21だけでなく義歯床5の面5fも含むことも、義歯床5の樹脂が弾性を示すので、融通性を高める点で重要である。
鉤歯Kは、外側面31sに根元側ほど広くなるテーパーが付いた金属製被覆体31によって被覆されている。このため第2の嵌合体21の、頂部から根元部への調整された回転軌道により、容易に第2固定または第2の嵌合構造20が完成する。この第2の固定とともに第1の固定または第1の嵌合構造10も完成する。指輪体21の、第1の固定位置を支点とする調整された回転軌道は、このあと説明する維持作用の確保という点で重要なポイントとなる。
脱着(外す)時は、装着のときとは逆に、まず第2嵌合体である指輪体21を鉤歯Kの頂部の上へと引き上げるように、調整された回転運動を行って第2固定を解除する。そのあと、第1固定における凹状部11を、水平方向の動きを主にして鉤歯Kから後退させながら、少し持ち上げつつ部分義歯Dを歯牙から離脱させる。
上記の装着および脱着における部分義歯の嵌合体11,21の動きは紛れが無く、理にかなっている。そして、ほぼ一つのパターンといってよい。このため、患者は、歯科医に教えられたとおり、部分義歯の装着および脱着を容易に、かつ確実に行うことができる。歯科医にとっては、上記の装着および離脱の動きのパターンは一つであり、部分義歯の設計は非常に簡単明瞭となる。その結果、上記したように数回の研修を受けるだけで、本実施の形態における部分義歯の概要を理解し、実行に移すことができる。
2.口腔内での性能
第1の嵌合構造10および第2の嵌合構造20の組み合わせによって次の作用を、共に向上させることができる。
(A1)咬合圧に抵抗する支持作用
(A2)離脱力に抵抗する維持作用
(A3)水平的な力に抵抗する把持作用
まず、(A1)咬合圧に抵抗する支持作用については、咬合のとき、本発明の部分義歯は、第2の嵌合体である指輪体21が鉤歯Kに嵌合しているので、水平方向の移動は確実に防止される。第1の嵌合体である凹状部11も所定方向には、部分義歯の移動はまったく許さない。このため、顎堤粘膜と義歯床裏面5bとの密着状態はずれなく正常に保たれ、咬合圧を確実に負担することができる。
つぎに(A2)維持作用について説明する。指輪体21は、鉤歯Kの頂部から歯軸に沿って根元部に嵌合するので、豊隆部があったのでは、筒状の嵌合体を通すことはできない。鉤歯Kはテーパーが付いた金属製被覆体31で被覆される。このため、指輪体には大きな決定的な維持力を発揮することはできない。しかし、指輪体21および義歯床と同じ樹脂で形成される内壁面5fは、鉤歯Kに嵌合し、その鉤歯Kのテーパー角はストレートに近いため、上述の調整された回転軌道以外の離脱の動きに対して、鉤歯Kの外周面と指輪体21および内壁面5fとの間に無視できない摩擦が生じる。すなわち上記したように、第2の嵌合構造20の完成のとき、指輪体21は第1の固定位置を支点とした調整された回転軌道をとる。このため、部分義歯Dの離脱が問題となるような歯軸に平行な方向の力に対しては、上記の内壁面5fおよび指輪体21は、所定レベルの摩擦力を発揮して維持力に貢献する。
上記説明からも分かるように、維持力を高めるのに、鉤歯の外面のテーパーの取り方は重要であり、1°〜5°の範囲内のテーパー角とすべきである。なお、テーパー角を大きくすると維持作用が小さくなり離脱しやすくなるのは、第2の嵌合構造20において、離脱の動きに抗して、指輪体21および義歯床の内壁面5fが鉤歯K2に接触して摩擦力もしくは抗力を発生することを示す証拠であるといってよい。
維持作用に対して、第1の嵌合体である凹状部11は、決定的に重要な貢献をする。凹状部11は、図6(a)に示すように、鉤歯Kの根元部に宛がわれて嵌合する。凹状体であるため、鉤歯Kには、豊隆部Gをそのまま残して、その豊隆部Gの根元側に凹状体11を嵌合させることができる。このため、部分義歯Dが離脱する浮く方向の力を受けても、凹状体11は豊隆部Gで動きを止められ、離脱は確実に阻止される。
(A3)把持作用については、指輪体21は、全方向に水平方向の移動を阻止することができる。ある特定の水平方向の移動に対して、凹状体11も非常に大きな阻止力を発揮する。
3.装着感、耐久性、噛み合わせの形成など
凹状部11による鉤歯Kへの嵌合は、拘束が強くなく、締め付けなどはまったく無い。指輪体21についても、図6(b)に示すように、テーパーに沿うように頂部から嵌合する。咬合圧は義歯床裏面5bを経由して顎堤粘膜で負担される。装着後は、咬合圧のほかは、指輪体21と鉤歯K2との摩擦があるにすぎない。このため、装着感は軽やかで非常に良好である。
また、指輪体21が嵌合する鉤歯Kの頂部は、指輪体21から突き出して露出状態となる。このため、応力は、指輪体21からは、鉤歯Kの頂部および頂部コーナー部に、全くかからず側周面下部にのみかかるので、鉤歯Kの歯根の周りのモーメントは、従来よりも格段に小さくなる。鉤歯の頂部に応力がかかる従来のコーヌス・テレスコープに比べて、歯根まわりのモーメントは低減される。鉤歯Kにかかる負担は小さく、高い耐久性を保つことができる。また、本実施の形態においては、鉤歯が完全に被せ物(外冠)で覆われる構造に比べて、口腔内における違和感は非常に小さくなり、装着感も向上する。しかも他方の第1の嵌合体は拘束が非常に緩い、凹状部11なので、装着感については非常に優れたものとなる。
上記より、緩みを許容しない筒状の嵌合体21と、融通性に富む凹状の嵌合体11とを組み合わせることで、装着感に優れ、脱着が容易で、安定した維持力及び把持力を発揮できる、耐久性が高い部分義歯を得ることができる。
また、指輪体21から突き出ている鉤歯Kの頂部に対して、指輪体21と関係なく、たとえば製作の早期の段階で、咬合調整を行うことができる。第1の嵌合構造10における鉤歯Kについては、当然、いつでも噛み合わせを形成することができる。このため、従来のコーヌス・テレスコープ部分義歯のように技工所(ラボ)段階で外冠に咬合調整を施す必要がない。このため、咬合面を形成するための工程をとる機会が増え、かつ簡単化され、従来のコーヌス・テレスコープのように内冠の頂部の厚みまで考慮する必要はなくなる。ただし、歯科医院での咬合調整において、微妙な調整が必要であることは従来と同様である。その微妙な調整という点においても、本発明の場合、鉤歯のみの咬合調整という限られた調整であり、あとは技工所サイドでの工程なので、歯科医院での咬合調整が容易であるという利点は確実に得られる。
4.製造方法
(1)製造方法A1
図7は、本実施の形態における部分義歯Dおよびその装着構造50を作製する方法を説明するためのフローチャートである。まず、患者の口腔において鉤歯Kを形成するために歯牙2を加工する。加工は、歯科の切削機械などを用いて鉤歯被覆体31を歯牙2にかぶせて健康者の対応する歯牙と同等の高さになるように成形加工する。このあと印象採得を行って、歯牙2の型をとり、鋳型を作製する。このとき咬合採得も行っておく。鉤歯被覆体31の鋳型には、外面に高精度のテーパー面が形成されるように、従来のコーヌス・テレスコープの内冠のテーパー製作用のミリングマシンを用いて形成するのがよい。出来た鋳型を用いて鉤歯被覆体31を作製する。金属にはたとえば白金加金を用い、側面や頂部の厚みは、従来のクラウン等の場合と同等にするのがよい。また、上記したように外面には、たとえばテーパー角1°以上5°以下のテーパーを付ける。
鋳造して作製した鉤歯被覆体31を、歯科用切削機械等で成形加工して歯牙2を被覆する形態にしたあと、セメントなどの接着剤を用いて歯牙2に固定する。そして鉤歯被覆体31を固定したあと、歯牙2の頂部2tに対して噛み合わせをさせて咬合面を形成する。咬合面については、鉤歯の頂部に対して、このあと好都合な時点(機会)で形成できるので、この段階では咬合高さ径を決めるための調整を行うだけでよい。その場で一気呵成に部分義歯を製造できれば、この段階で咬合面を形成するのが好ましい。
このあと2回目の印象採得を行う。この印象採得によって、第1の嵌合体である凹状部11および第2の嵌合体である指輪体21を製作する。また、凹状部11および指輪体21、人工歯3の配置を調整するための中間段階の部分義歯を作製することができる。さらに部分義歯D全体の型を作製することが可能になる。
指輪体21の側面の厚みについても、従来のクラウン等の厚みの範囲にするのがよい。当然ながら、鉤歯Kにおける鉤歯被覆体31は外面のテーパーに適合するように内面にテーパーを付ける。そして高さは、隣接する人工歯または残存歯の頂部と同等か、それより少し低めにするのがよい。鉤歯Kの頂部における咬合を確保するためである。
このあと、凹状部11、指輪体21、人工歯3などを型内に配置した上で、義歯床となる樹脂に置き換えて部分義歯Dを製作する。図7に示す部分義歯の装着構造の製造方法は、鉤歯が奥歯である場合でも前歯である場合でも、用いることができる。
(2)製造方法A2
次に、画期的に製造方法が短縮化、かつ簡単化される製造方法について説明する。この製造方法は、前歯の場合は、義歯床35によって筒体11の頬側および舌側を両方とも覆うわけにはゆかないので、舌側に凸部などを設けることで舌側での義歯床35への固定をより強固にするのがよい。奥歯に対しては問題なく好都合に適用することができる。
図8は、本実施の形態における部分義歯Dの装着構造50の別の製造方法を説明するためのフローチャートである。まず、患者の口腔において鉤歯Kを形成するために歯牙2を加工する。このあと印象採得を行って、歯牙2の型をとり、鋳型を作製する。鉤歯被覆体31の鋳型には、外面に高精度のテーパー面が形成されるように、内冠のテーパー製作用のミリングマシンなどの製造装置を用いて形成するのがよい。このとき、出来た鋳型を用いて鉤歯被覆体31および指輪体21の両方を作製する。鉤歯被覆体31および指輪体21はともに、たとえば白金加金を用い、側面や頂部の厚みは、従来のクラウン等の場合と同等にするのがよい。また、上記したように鉤歯被覆体31の外面にはテーパー角1°以上5°以下のテーパーを付ける。指輪体21の内面にはそれに対応したテーパーを付ける。
鋳造して作製した鉤歯被覆体31を、歯科用切削機械等で成形加工して歯牙2を被覆する形態にしたあと、セメントなどの接着剤を用いて歯牙2に固定する。そして鉤歯被覆体31に指輪体21を嵌合する。この時点で、鉤歯被覆体31は鉤歯Kを構成するように歯牙に固定され、指輪体21は、その鉤歯Kに嵌合されている。
一方、採得した印象に基づき、金属製の凹状部11と、義歯床5とその義歯床5に固定された人工歯3と、を備えた凹状部付き中間デンチャーを製作しておく。この凹状部付き中間デンチャーの製造方法については、このあと図9を用いて説明する。凹状部11は設けられているが、指輪体21はまだ取り付けていない。指輪体21は、患者の口腔内で鉤歯K2に嵌合している。義歯床5では、その指輪体21が取り付けられる予定の箇所は、義歯床5が延在している。
ここで、義歯床5において、指輪体21が取り付けられる予定の箇所には、技工所で孔を設けておく。この孔はワックスパターン(蝋義歯)作製のときに自ずと設けられる。歯科医院では、このような孔が設けられたデンチャー部を用いて患者の口腔状態に合わせながら、部分義歯を製作する。
すなわち歯科医院において、この孔箇所に即時重合レジンなどのリベース材を塗布し、次いでそのリベース材塗布箇所を含む義歯床の部分を、高温度の湯に湯通しする。義歯床5は加熱重合レジンで形成されていることを前提とする。高温度の湯に湯通しされることで、程よい粘度をもって軟化して、しかも表面に操作性に好都合な皮膜を有するので、歯科医院における実務において、リベース処理により増肉し易く、また肉厚調整も容易となる。これに加えて、湯通しすることで軟化された粘度を得ることができるため、たとえば指輪体21を、リベース材を介在させて孔の周囲の義歯床内に入り込ませ易い。かつ不要な余剰部分またははみ出した部分は、完全に固化する前に簡単に除去できる状態となる。別の見方をすれば、湯通し後に適度な軟化、および適度な粘性を得るため、かつ表面に皮膜をはるので、液体のように流れることはなく、ひとまとまりの物体として扱うことができる。そして即時重合レジンまたは常温重合レジンは、時間の経過とともに、固化が生じて強度を急激に増すようになる。この急激な強度上昇によって、たとえば上記の指輪体21を義歯床5に埋め込んだ状態で強固に固定することができる。この指輪体21に、凸部などが設けられていれば、凸部は義歯床5の中でアンカーとして機能して強固な埋め込み固定に寄与する。
リベース材が固化した後、義歯床5を鉤歯Kから離脱させると、指輪体21は義歯床5に埋め込み固定されているので、鉤歯Kへの嵌合から引き抜かれて義歯床5に付いてゆく。このあと鉤歯Kの鉤歯被覆体31に対して、指輪体21に関係なく咬合調整を行うことができる。これによって、部分義歯Dおよび部分義歯の装着構造50は完成する。
上記の製造方法は、製造方法の中の特別の一つを例示したものである。本発明の部分義歯およびその装着構造は、必ずしも上記の特別の一つの製造方法で製造したものでなくてもよい。上記の特別の一つの製造方法は、工程の短縮化、簡単化が非常に大きく得られる製造方法の一つを例示したものである。
(3)製造方法の補足
図7に示す製造方法A1においては、印象採得その2のつぎの段階(嵌合体(凹状部、指輪体)の製作、および部分義歯(中間)の作製)、については概略のみで、詳細は省略した。また、図8に示す製造方法A2において、凹状部付き中間デンチャーの製作についても省略した。ここで、両方の製造方法A1,A2について省略した部分について補足を加える。ただし、以後の説明は製造方法A2について説明しているので、金属部分については凹状部11のみを挙げている。製造方法A1の上記部分に対応するには、金属部分に、凹状部11に加えて指輪体21を加える必要がある。
図9は、上記の凹状部付き中間デンチャーの製造方法を説明するフローチャートである。まず患者から、残存歯の状態を写しとる印象採得(製造方法A1におけるその2に対応)を行う。次いで患者の残存歯状態を表す石膏模型を作り、その石膏模型を基にしてろう義歯を製作する。メッシュ部を含む大連結子7、凹状部11などの金属部分については、上記の石膏模型を基にして耐火模型を作り、その耐火模型上にワックスで大連結子などの金属部分を作製する。ワックスの金属部分を配置したまま耐火模型を埋没剤に埋め、次いでそのワックスを溶かし出して金属部分の鋳型を製作する。その鋳型に溶解した金属を鋳込んで金属部分を製作しておく。金属部分7,11および人工歯3を、上記のろう義歯に配置する。樹脂部に埋め込まれる金属メッシュ部、部分的に樹脂部に埋め込まれる凹状部11および人工歯3は、樹脂部をろう材とみて、ろう材の中に、対応するようにそれぞれ埋め込む。
加熱重合レジンの注入の際に、下型となる下フラスコに石膏を入れ、上記のろう義歯を部分的に埋没する(一次埋没)。次いで、上型となる上フラスコ内に石膏を入れ、ろう義歯を包むように埋没する(二次埋没)。この埋没工程の際に、上記ろう義歯のろう材が加熱され解けて流れ出る湯道を設けておく。湯道は、加熱重合レジンの注入経路ともなる。次いで、全体を加熱して、流ろう工程を行う。ろう材が流れ出たあとは、加熱重合レジンを注入するための樹脂部や義歯床5の型の空間となっている。大連結子7に連続する金属メッシュ部などは、この空間内に露出している。上下フラスコを分離して、すなわち上下型を分離して、それぞれの金型の表面を整える。
加熱重合レジンを鋳型内に充填して、上下フラスコ間に挟み加圧して鋳型内に充填する。そのときバリなどの余剰分が多く出るので、それらを除去する。その後、上下フラスコごと高温に保持して、レジンを硬化させる。所定温度に所定時間保持した後、一日程度の時間をかけて冷却し、部分義歯を型から取り出し、仕上げ成形をする。
以上により、凹状部11を有する部分義歯の中間体を得ることができる。
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2における部分義歯の装着構造50を示す斜視図である。図10において、部分義歯Dを装着した患者の下顎が石膏模型M上に示されている。この患者の欠損歯は、右5番(R)と右6番(R)の2歯であり、部分義歯Dにおいて人工歯3が代替している。隣接した2歯欠損の部分義歯であるため、部分義歯Dは、小さい構成となっている。
患者には、2本の鉤歯K1(R),K2(R)がある。嵌合体は、鉤歯K,Kに嵌合され、それぞれ嵌合構造10,20を形成している。鉤歯K(R)には、金属製の凹状部11が側部やや舌側からその根元部に嵌合して第1の嵌合構造10を形成している。また、鉤歯K(R)は鉤歯被覆体31によって頂部も含めて全体被覆され、図10では義歯床5によって見えない指輪体によって嵌合され、第2の嵌合構造20を形成している。第2の嵌合構造20においては、指輪体は鉤歯被覆体31に覆われた鉤歯Kによって貫通されている。鉤歯Kを構成する鉤歯被覆体31の頂部31tには噛み合わせの凹凸が形成されている。
金属製の凹状部11および義歯床5に隠された指輪体は、金属製の大連結子7によって連結されている。
図11は、部分義歯Dを除いたあとの患者の歯牙の石膏模型Mを示す図である。鉤歯K(R)は、完全に金属製被覆体31によって覆われており、頂部31tに噛み合わせ面が形成されていることが分かる。鉤歯Kは生活歯であり、右4番(R)であるため、豊隆部が大きい点が特徴である(図13参照)。
図12は、図10に示す装着構造50における部分義歯Dを示す図である。第1の嵌合体である金属の凹状部11と、第2の嵌合体である指輪体21とが配置されている。凹状部11は、弧状の金属体であり、図11に示す鉤歯K(R)の根元部に宛がうように嵌め合わされる。一方、指輪体21は、義歯床5の孔の内壁面5fと同じ面を形成している。指輪体21は、鉤歯Kに対して必ずしも根元部に位置するわけではなく、部分義歯Dの全体的なバランス、脱着の軌道などを考慮して、義歯床5の内壁面5fに対して、上中下の位置を設定することができる。
図13は、図10における嵌合構造10,20の断面図であり、(a)は第1の嵌合構造、(b)は第2の嵌合構造、を示す。図13(a)に示すように、凹状部11は、鉤歯K(R)の大きな豊隆部Gの下(根元部)に嵌め合わされている。豊隆部Gの下に位置しているため、上記のように、部分義歯Dの離脱力に対抗する維持作用を高めることができる。
これに対して、第2の嵌合構造20では、(b)に示すように、表面に下広テーパーが形成された金属製被覆体31に、指輪体21および義歯床5の孔が嵌合している。孔の内壁は、指輪体21の内側面と、義歯床5の内壁面5fとで構成される。第2の嵌合構造20は、水平的な力に抵抗する把持力が高い。
部分義歯Dの脱着の操作は、実施の形態1と同様である。まず、第1の嵌合体である凹状部11を鉤歯K(R)の豊隆部Gの根元側に嵌め合わせて第1支点(第1固定の位置決め)をしたあと、指輪体21を鉤歯Kの頂部から歯軸に沿うように嵌合して、第1固定および第2固定を完成させる。脱着のときは、逆の手順で行う。実施の形態1で説明した軌道パターンと同じである。
上記のように、第1および第2の嵌合構造10,20を組み合わせることで、上述の優れた性能を得ることができる。これらの性能の具体的な項目については、実施の形態1に示した例が適用される。また製造方法についても、実施の形態1の例示を適用することができる。
(実施の形態3)
図14は本発明の実施の形態3における部分義歯の装着構造50を示す斜視図である。図14において、部分義歯Dを装着した患者の上顎が石膏模型M上に示されている。この患者は、鉤歯Kの2歯、鉤歯Kの2歯、を残して、他の歯が欠損している。
第1の嵌合構造10における鉤歯Kは連続する右5番(R)と右6番(R)であり、両方に嵌め合わされる凹状部11は、2つの凹状部が合体した複合の形態で配置されている。この複合凹状部11は、連続する2つの鉤歯K,Kに嵌め合わされている。この場合、第1の嵌合構造10は、2つ形成されている。
また、第2の嵌合構造20も2つ形成されている。第2の嵌合構造20における鉤歯Kは、左5番(L)と左7番(L)である。すなわち、本実施の形態では、2つの第1の嵌合構造10と、2つの第2の嵌合構造20とを備える。
図15は、図14に示す装着構造50の部分義歯Dを除いたあとの口腔状態を示す図である。上記のように、第2の嵌合構造の鉤歯Kは、左5番(L)と左7番(L)に形成されている。鉤歯Kは、両方とも、神経が残っている生活歯の側面および頂部の縁まで鉤歯被覆体31が覆っている。鉤歯Kは両方とも生活歯なので、患者自身の歯牙の頂部2tの大部分は金属で被覆しないで、露出させている。鉤歯Kの鉤歯被覆体31の側面におけるテーパー角は2°としている。
図16は、上記の複合凹状部11を、鉤歯Kの側から、かつ義歯床裏面5bの側から見た斜視図である。複合凹状部11の境目に尖った部分ができている。この尖った先が、2つの鉤歯K(R),K(R)間の凹部または間隙に入り込む形で、複合嵌合部11は嵌め合わされる。この場合も複合凹状部11は、2つの鉤歯K(R),K(R)の豊隆部の根元側に嵌め合わされるので、上記したように、安定して高い維持作用を得ることができる。
図17は、第2の嵌合体である指輪体21の周辺を、頬側から、かつ義歯床裏面5bの側から見た斜視図である。指輪体21は、両方とも頬側の金属表面が露出している。金属光沢の材料が口腔内に見えることは、審美性の点から好ましくないので、指輪体21の露出する頬側に、たとえば白色セラミックス処理または白色セラミックス被覆を施すのがよい。
本実施の形態では、第1の嵌合構造10を2箇所形成し、かつ第2の嵌合構造20も2箇所形成した点に特徴を有する。患者の残った歯牙4歯がすべて鉤歯となり、上記の嵌合構造を形成することとなった。
第1の嵌合構造10と、第2の嵌合構造20とを共に用いることで、実施の形態1で述べて性能を得ることができる。すなわち第1の嵌合構造10と、第2の嵌合構造20とを組み合わせた部分義歯の装着構造の性能の具体的な項目については、実施の形態1に示した事項が適用される。また製造方法についても、実施の形態1の例示を適用することができる。
脱着は、第1および第2の嵌合構造が、2つずつになっただけで、実施の形態1と同じ操作で行うことができる。まず、複合凹状部11を鉤歯K(R),K(R)の根元側に、位置決めして第1支点を形成する。このとき、2つの指輪体21,21は鉤歯K(L,L)の頂部付近に位置させる。次いで、歯軸に沿うような縦方向の動きを主体とする調整された回転軌道をとって、2つの指輪体21を、それぞれの鉤歯K(L,L)に嵌め合わせる。外すときは、逆の手順で行う。この脱着、装着における部分義歯Dの軌道は、これまで説明した軌道パターンと同じである。このため、第1および第2の嵌合構造が複数になったからといって、部分義歯Dの脱装着の設計は同じであり、比較的容易に理解し作製することができる。
(実施の形態4)
図18は本発明の実施の形態4における部分義歯の装着構造50を示す斜視図である。本実施の形態では、上顎の装着構造であり、第1の嵌合構造10が3箇所、第2の嵌合構造20が1箇所で、形成されている点に特徴を有する。また、もう一つの特徴は、大連結子7が、義歯床5から大きく露出して湾曲している点もあげることができる。
図19は、図18の装着構造における部分義歯Dを除いた後の歯牙を示す図である。第1の嵌合体である凹状部11が嵌め合わされる鉤歯K(L),K(R)、K(L)は、3つ共に、生活歯である。これらの生活歯の豊隆部の根元側に凹状部11は嵌め合わされる。
また第2の嵌合構造20を形成する鉤歯K(R)は鉤歯被覆体31に頂部も含めて完全に被覆されている。鉤歯被覆体31の側部のテーパー角は2°である。金属の頂部31tにおいて咬合面が形成されている。
図20は、図18に示す装着構造の部分義歯Dを、頬側から、かつ義歯床裏面5bから見た斜視図である。指輪体21の下端は、義歯床裏面5bに揃っており、指輪体21は、本実施の形態では、鉤歯K2の根元部に嵌合していることが分かる。
本実施の形態では、第1の嵌合構造は3箇所を形成し、かつ第2の嵌合構造は1箇所で形成した点に特徴を有する。患者の残った歯牙の状態に応じて、上記の嵌合構造を形成することとする。いずれにしても、第1の嵌合構造10と、第2の嵌合構造20とを組み合わせた部分義歯の装着構造の性能が優れていることは上記したとおりである。製造方法についても、実施の形態1の例示を適用することができる。
脱着は、第1の嵌合構造が3つになっただけで、実施の形態1または3と同じ操作で行うことができる。まず、3箇所の凹状部11を、鉤歯K(R),K(L),K(L)、の根元側に、位置決めして、3つの第1支点を形成する。第1支点を3箇所で同時に形成することができるように、3つの凹状部11と、対応する3つの鉤歯Kとを、精度良く形成しなければならない。第1の嵌合構造において、3つの凹状部11が3箇所の鉤歯K1で位置決めした時点で、指輪体21は、鉤歯K2の頂部31t付近に位置させる。次いで、その指輪体21を歯軸方向に沿って移動させて鉤歯K2に指輪体21を嵌合させながら、3箇所の第1の嵌合構造10および第2の嵌合構造20を完成させる。外すときは、逆の手順で行う。この脱着、装着における部分義歯Dの軌道は、第1支点が3つになっただけで、これまで説明した軌道パターンと同じである。3つの第1支点が、同時に同じように作動するには、高精度が必要である。この高精度さえ確保されれば、部分義歯Dの脱装着の設計は同じであり、比較的容易に理解し作製することができる。
(実施の形態5)
図21は本発明の実施の形態5における部分義歯の装着構造50を示す斜視図である。この装着構造50は、上顎に対するものである。図21では、2つの第1の嵌合構造10と、1つの第2の嵌合構造20とを有する。これに応じて、2本の鉤歯K(L),K(L)と、1本の鉤歯K(R)とがある。2本の鉤歯K(L),K(L)には、金属製の凹状部11が舌側からその根元部に嵌合して、それぞれ第1の嵌合構造10を形成している。金属製の凹状部11は、図21では義歯床5に隠れて見えない。第2の嵌合構造20を形成する鉤歯K(R)は、残存歯2に対して舌側に金属被覆体31が被覆されているが、頬側は、残存歯が露出している。鉤歯K(R)の相手となる第2の嵌合体は、義歯床に隠れて見ることはできない。
図22(a)は、図21に示した装着構造50から部分義歯10を脱着した、患者の口腔(上顎)を示す図である。2本の鉤歯K(L),K(L)は残存歯2であり、そのまま加工されずに露出している。しかし、第2の嵌合構造を形成する鉤歯K(R)は、上記のように舌側は金属被覆体31で被覆されている。図22(b)は、その鉤歯K(R)を頬側から見た図である。頬側は、金属被覆体31がなく、加工された白い残存歯2が露出していて、審美性を確保している。金属被覆体31は、歯茎に近い根元部にのみ残存歯2を舌側から抱えるように、少しだけ見える。これによって、ヒトと対面したとき、金属光沢のある金属被覆体を目にされることがなく、鉤歯Kに関して好印象を与えることができる。この鉤歯Kにおけるテーパー角は2°程度であり、上記のようにミリングマシンで加工する。
図23は、図21に示した装着構造50の部分義歯10を、顎堤粘膜側(裏側)から見た図である。第2の嵌合体は、開口指輪体21であり、完全な環状から一部欠落した部分を開口部としている。図23では、開口指輪体21の開口に続く先端部が少しだけ義歯床5から出ている。一方。第1の嵌合体である凹状部11は、義歯床5に隠れてほとんど見えない。
指輪体ではなく開口指輪体21を用いる理由は、鉤歯が頬側から見える前歯である場合、その前歯の全周を取り囲む指輪体を用いると、金属光沢が対面する相手に見える。このため金属光沢による違和感を与えないために、開口指輪体21を用いて舌側を主体に鉤歯Kを囲むようにする。また、前歯が鉤歯の場合、第2の嵌合体を、完全な指輪体よりも、開口指輪体で構成したほうが、実際に形成しやすいことが多い。
図24(a)は、第2の嵌合体である開口指輪体21を、天地逆にして頬側から見た図である。鉤歯K(R)に筒(指輪)のように嵌め込まれて、その鉤歯K(R)に接する内面は、開口指輪体21の帯状面と、義歯床5の壁面5fとで構成されている。これによって、義歯床5を形成する加熱重合レジンの弾性を得て、脱着の際に弾性的な触感を加えることができる。たとえば、装着の際、最終位置にまで押し込んだとき、カチンという音が発せられ、弾性的な変形を経て一種の許容範囲(最終位置の許容範囲)に到達した感触を得ることができる。このような微妙な感覚を発するために、第2の嵌合体の中に、開口指輪体21だけでなく、義歯床5も内壁面5fという形態で参加させることが重要である。これは、本実施の形態における開口指輪体だけでなく、開口がない指輪体の場合でも同じである。
なお、装着および脱着の開口指輪体21の軌道は、開口がない指輪体21と同じである。すなわち、開口指輪体21も、装着および脱着の際、鉤歯Kの歯軸に沿うように縦方向に移動する。この点で、開口の有無に拘わらず、第2の嵌合体は、装着および脱着において同じ軌道をとる。
図24(b)は、第1の嵌合体である凹状部11を2つ、天地逆にして頬側から見た図である。2つの凹状部11は、それぞれ、鉤歯K(L)、鉤歯K(L)に凹部を宛がうように横方向(水平方向)の動きを主体に、縦方向の動きを加えて、第1支点を形成する。
本実施の形態では、つぎの点に特徴がある。
(1)第2の嵌合体が、開口指輪体21である。開口指輪体21を用いる理由は、上記のように、鉤歯が前歯の場合、審美性を良くすることと、第2の嵌合構造を実際に形成しやすい場合が多いことによる。
(2)第2の嵌合体が嵌合する相手の鉤歯K(R)は、金属被覆体31は舌側を主体に覆って、頬側は残存歯を白く露出させている。鉤歯の頂部も舌側を主体に覆って、頬側から見える部分は白く露出させている。これも審美性を確保するためである。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、装着感に優れ、脱着が容易で、安定した維持を保つことができ、耐久性が高い、部分義歯等を得ることができる。さらに、特別卓越した技術を持たなくても、数回の研修を受ければ、経験の浅い歯科医でも、多くの患者に対して即断で、上記のような優れた性能の部分義歯の装着構造等を提供できるようになる。優れた部分義歯を普通の歯科医が提供可能になる。これらより、部分義歯の分野に大きな貢献をすることが期待される。
2 歯牙、2t 歯牙頂部、3 人工歯、5 義歯床、5b 義歯床裏面、5f 鉤歯が抜ける義歯床の孔の内壁面、7 大連結子、10 第1の嵌合構造、11 凹状部(第1の嵌合体)、11f 凹状体の鉤歯対向面、20 第2の嵌合構造、21 指輪体(第2の嵌合体、筒体)、31 鉤歯被覆体、31t 鉤歯被覆体の頂部、D 部分義歯、G 豊隆部、M 石膏模型、K 第1の嵌合構造の鉤歯、K 第2の嵌合構造の鉤歯。

Claims (11)

  1. 人工歯と、義歯床と、金属製の大連結子と、鉤歯に嵌合する第1および第2の嵌合体と、を備える部分義歯、の装着構造であって、
    前記第1の嵌合体は金属製の凹状部を有し、該凹状部を鉤歯の根元部に宛がうよう嵌め合わされ、
    前記第2の嵌合体は金属製の指輪体または金属製の開口指輪体であり、該第2の嵌合体は鉤歯に貫通され、該鉤歯に指輪のように嵌合し、
    前記第2の嵌合体が嵌合する鉤歯は、残存歯またはインプラント(人工歯根)上の人工歯牙に形成されており、該残存歯またはインプラント上の人工歯牙において、頂部を除いた側面全周または周の一部のみ、または、頂部および側面全周を含む全面、を覆う金属製の鉤歯被覆体、が設けられており、
    前記鉤歯被覆体は、その外面の少なくとも上部から中部にわたって、下広がりの0°以上6°以下の範囲内のテーパー角が付されていて、
    前記鉤歯被覆体の前記テーパー角は、前記鉤歯の根元部において、((1)上部のテーパー角のまま、(2)前記テーパー角が小さくなる、および(3)ストレート(テーパー角ゼロ)になる)のうちのいずれかであることを特徴とする、部分義歯の装着構造。
  2. 前記部分義歯の義歯床は、前記金属製の指輪体または金属製の開口指輪体の第2の嵌合体の外面側を覆いながら、該第2の嵌合体とともに、前記鉤歯に嵌合する筒状部を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の部分義歯の装着構造。
  3. 前記金属製の指輪体または金属製の開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯が形成される残存歯は神経がない失活歯であり、該失活歯の頂部および側面全周を含む全面を覆う鉤歯被覆体が設けられているか、または、該失活歯の頂部を除いた側面全周または周の一部のみを覆う鉤歯被覆体が設けられている、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の部分義歯の装着構造。
  4. 前記金属製の指輪体または金属製の開口指輪体の第2の嵌合体が嵌合する鉤歯が形成される残存歯は神経がある生活歯であり、該生活歯の頂部を除いた側面全周または周の一部のみを覆う鉤歯被覆体が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の部分義歯の装着構造。
  5. 前記第1の嵌合体および第2の嵌合体の両方が前記大連結子に固定されている、かまたは、前記第1の嵌合体が前記大連結子に固定され前記第2の嵌合体が前記大連結子に固定されていないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の部分義歯の装着構造。
  6. 前記鉤歯の鉤歯被覆体および/または第2の嵌合体において、少なくとも露出する部分にセラミックスまたは樹脂が配設されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の部分義歯の装着構造。
  7. 前記第1の嵌合体における凹状部が、前記鉤歯に面する帯状面を持つ弧状の金属体であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の部分義歯の装着構造。
  8. 人工歯と、義歯床と、金属製の大連結子と、第1および第2の嵌合体と、を備える部分義歯であって、
    前記第1の嵌合体は金属製の凹状部を有し、また前記第2の嵌合体は金属製の指輪体または金属製の開口指輪体であり、該第2の嵌合体は嵌合する鉤歯に指輪のように嵌合するものであり、
    前記第2の嵌合体の内周面は、前記鉤歯の外面に形成された下広がりのテーパー角0°以上6°以下に対応するようにテーパーが付されており、かつ、一段の下広のテーパー面、または、下段のテーパー面が上段よりも立っている二段の下広のテーパー面、からなることを特徴とする、部分義歯。
  9. 前記部分義歯の義歯床は、前記金属製の指輪体または金属製の開口指輪体の第2の嵌合体の外面側を覆いながら、該第2の嵌合体とともに、筒状部を形成していることを特徴とする、請求項に記載の部分義歯。
  10. 前記第1の嵌合体および第2の嵌合体の両方が前記大連結子に固定されている、かまたは、前記第1の嵌合体が前記大連結子に固定され前記第2の嵌合体が前記大連結子に固定されていないことを特徴とする、請求項8または9に記載の部分義歯
  11. 前記第1の嵌合体における凹状部が、前記鉤歯に面する帯状面を持つ弧状の金属体であることを特徴とする、請求項10のいずれか1項に記載の部分義歯。
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