JP4891159B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、より詳しくは、ロードノイズや操縦安定性、転がり抵抗など他のタイヤ特性を損なうことなく、乗り心地性を改善することができる空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤに対しては、快適な乗り心地性とロードノイズの低減、安全走行に不可欠な操縦安定性との両立が求められている。空気入りタイヤの乗り心地は、路面からタイヤを介して車内に伝達される振動の衝撃値や騒音の大きさによって代表されるが、その振動はタイヤのトレッド部、左右のサイドウォール部、左右のビード部、ホイールのリムとディスク部を経て車軸から車体に伝達される。
乗り心地性を向上させる従来の一般的な方法としては、トレッドゴムにゴム硬度が低い軟質のゴムを用いること、サイド部の横剛性を小さくし、路面から受ける外力の復元力を小さくすることなどがあった。
しかし、トレッドゴムにゴム硬度が低い軟質ゴムを用いると、トレッド剛性が減少するため操縦安定性の低下を招くという問題がある。そこで、乗り心地性と操縦安定性とを両立して向上させるために、トレッド中央ゴム部に硬質かつ高弾性のゴムを使用して操縦安定性の向上を図るとともに、外側ゴム部に軟質かつ低弾性のゴムを使用して乗り心地性の向上を図っている(特許文献1)。
また、サイド部の横剛性を小さくすると、それに伴って操縦安定性等の走行性能が低下するという問題を回避できなかった。そこで、低剛性を有する有機繊維コードからなるカーカスを2枚以上とすることで、サイド部の横剛性を確保し、乗り心地性及び操縦安定性を両立させる空気入りタイヤが提案されている(特許文献2)が、乗り心地と操縦安定性とは背反事象にありその両立は困難であった。
従来、空気入りタイヤのインナーライナーは、カレンダーなどの圧延加工により得られたゴムライナーを、タイヤ成型作業性の観点からその圧延方向(ロール列理方向)をタイヤ周方向に配して用いられ、タイヤの空気保持性を確保するのみで、乗り心地、ロードノイズや操縦安定性などのタイヤ性能には寄与していなかった。
例えば、タイヤ内面側から作用しタイヤ性能を改善する従来例としては、インナーライナーの内腔面に発泡率が比較的低い発泡ゴム層を配することで、260Hz近傍に発生するロードノイズのピーク音を低減させて、騒音を各周波数で均一化させ、ロードノイズを低減することが記載されている(特許文献3)。
また、ショルダー、サイドウォール領域のカーカスとインナーライナー間にタイヤ周方向に配向した短繊維補強層を配し、転がり抵抗を減じること(特許文献4)や、タイヤ内腔面にタイヤ周方向の引張剛性が11〜220N/10mmでタイヤ軸方向の引張剛性が11〜130N/10mmの補強シートを配して、操縦安定性を向上することが記載されている(特許文献5)。
特開平10−297214号公報 特開平8−11234号公報 特開平6−40206号公報 特開平9−150610号公報 特開2006−151328号公報
上記特許文献3に記載の技術は、インナーライナーに付加した発泡ゴム層によりロードノイズを改善するもので、インナーライナーは直接ロードノイズに寄与するものではなかった。また、特許文献4、5の技術は配向性やモジュラスに異方性を持たせた補強層をタイヤ内面のインナーライナー隣接層に配して転がり抵抗や操縦安定性を向上するものであるが、インナーライナー自体が乗り心地、ロードノイズや操縦安定性などのタイヤ特性に関係し、それらを改善することについて直接言及された技術例は今までに見られていない。
本発明は、以上のような実情に鑑みなされたもので、空気入りタイヤのインナーライナーを改良することで、空気保持性を維持しつつ、ロードノイズや操縦安定性、転がり抵抗など他のタイヤ特性を損なうことなく乗り心地性を向上し得る空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべくタイヤ内面のインナーライナーについて鋭意検討した結果、インナーライナーのタイヤ軸方向とタイヤ周方向とのモジュラスに異方性を持たせ、かつタイヤ周上でタイヤ軸方向の左右側で特定の異方性を持つインナーライナーを配置することでタイヤ内面からサイド部剛性を高レベルに維持し、他のタイヤ特性を損なわずに乗り心地性を改善し得ることを見出し本発明に到った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、タイヤの軸方向左右で異なるインナーライナーを配置した空気入りタイヤを車両に装着する際に、当該タイヤの右側を前記車両の両外側に位置して装着する空気入りタイヤにおいて、前記右側のインナーライナーはタイヤ軸方向の引張モジュラスがタイヤ周方向の引張モジュラスよりも大きく、前記左側インナーライナーはタイヤ周方向の引張モジュラスがタイヤ軸方向の引張モジュラスよりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤである。
請求項2に記載の発明は、前記右側インナーライナーは、タイヤ軸方向に沿った動的弾性率E’rとタイヤ周方向に沿った動的弾性率E’pとの比(E’r/E’p)が1.1以上であり、前記左側のインナーライナーは、タイヤ周方向に沿った動的弾性率E’pとタイヤ軸方向に沿った動的弾性率E’rとの比(E’p/E’r)が1.1以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤである。
請求項3に記載の発明は、前記右側のインナーライナーはタイヤ軸方向に配向性を有すインナーライナーゴムからなり、前記左側インナーライナーはタイヤ周方向に配向性を有すインナーライナーゴムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
請求項4に記載の発明は、前記左右のインナーライナーは、該タイヤのトレッド領域を境界として、タイヤ周上で左右に分割されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ軸方向左右のインナーライナーに特定の異方性を持つインナーライナーを配置したタイヤを、その装着位置を指定することで空気保持性を維持しつつ、ロードノイズや操縦安定性、転がり抵抗など他のタイヤ特性を損なわずに、またタイヤ重量増や製造工数増を伴わずに乗り心地性を向上することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明にかかる空気入りタイヤ1の半断面図であり、図2はタイヤ1のインナーライナー側内腔部を示す説明図である。
図3は、本発明の空気入りタイヤ1を車両に装着する際の装着位置を示すもので、当該タイヤ1の右側を車両の両外側に位置して装着し、当該タイヤ1の左側を車両の両内側に位置して装着する。
空気入りタイヤ1は、一対のビード部4に夫々埋設されたビードコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返して係止されたポリエステル、レーヨンなどの有機繊維コードを用いた1枚のカーカスプライからなるカーカス6と、該カーカス6のクラウン部外周に位置するトレッド部2と、該カーカス6のサイド部に位置するサイドウォール部3と、前記トレッド部2のトレッドゴム内側でカーカス6との間に配されたスチールコードやアラミド繊維などの剛直なコードを用いた2枚のベルトプライからなるベルト7と、該ベルト7の外周にタイヤ周方向にらせん状に巻回されたナイロンコードなどからなるキャッププライ8を備え、タイヤ内面側にインナーライナー10が設けられている。図示する例は、カスが1プライ、ベルトが2プライ、1層のキャッププライを備えた乗用車用ラジアルタイヤの例を示すが、本発明のタイヤは上記構造に限定されるものではない。
インナーライナー10は、タイヤ内周面のトレッド部2とサイドウォール部3及びビード部4を覆って配置され、タイヤ1がリムに組み込まれ内圧が充填された際、タイヤ1の空気圧を保持するものである。
前記インナーライナー10は、通常、ゴム圧延用の2〜4本のロールを備えたカレンダー装置により、インナーライナー用ゴム組成物が所定厚みと幅のシート状に圧延加工され、タイヤ成型機上においてその圧延方向をタイヤ周方向に沿ってタイヤ内周面に配されグリーンタイヤが成型されるのが一般的である。
インナーライナーは上記圧延加工により、そのゴム組成物に配合されるゴム成分を始め、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウムなどの補強剤、亜鉛華、ステアリン酸、石油樹脂類などの配合剤が結晶状態(固体状態)、非結晶状態に関わらずにロール列理方向に配向する。その結果、インナーライナーの列理方向とその直角方向では、その諸特性に異方性を示すようになる。
すなわち、インナーライナーの列理方向とその直角方向とでは、引張強度、伸び、モジュラスなどの特性が異なるものとなり、特にインナーライナーの剛性に関わる引張モジュラス、強度などの特性が列理方向で高い値を示すものとなる。
本発明は、このインナーライナーの持つの異方性に着目し、インナーライナーの圧延(配向)方向をタイヤ軸方向あるいは周方向に沿って配することにより、タイヤ内面に配されたインナーライナーがタイヤ軸方向と周方向とで特性に異方性を持つこと、すなわちインナーライナーの配向性により引張モジュラスなどの剛性がタイヤ軸方向>タイヤ周方向となることを利用したことにある。
そこで、タイヤ1の軸方向にインナーライナー10の高モジュラス方向を配することで、タイヤ内面からサイド部3のタイヤ軸方向の剛性を周方向よりも高く維持することができるようになり、これによりタイヤ1の縦剛性を高めることでトレッド部2から伝わる振動の収束性を向上し乗り心地を改善することができる。
しかしながら、インナーライナー10の全体に前述のタイヤ軸方向に高モジュラス化したインナーライナーを配してタイヤ軸方向と周方向とに異方性を持たせた場合、前記乗り心地性の改善効果は高く得られるものの、反面でサイド部3全体の軸方向の高剛性化により縦剛性が増加することでロードノイズや操縦安定性が悪化するという問題を生じることが分かった。
上記背反事象を解消する本発明は、タイヤ1の軸方向左右で異なるインナーライナー13、14を配置した空気入りタイヤである。前記右側のインナーライナー13はタイヤ軸方向Rの引張モジュラスがタイヤ周方向Pの引張モジュラスよりも大きく、前記左側インナーライナー14はタイヤ周方向Pの引張モジュラスがタイヤ軸方向Rの引張モジュラスよりも大きくされる。
すなわち、タイヤ1は、トレッド部2の任意の周方向位置を境界にし該タイヤ1の周方向に沿ってタイヤ軸方向で左右に分割されたインナーライナー13、14を有すものであり、タイヤ右側11に位置するインナーライナー13はタイヤ軸方向(R方向)に配向性を有し、タイヤ左側12のインナーライナー14はタイヤ周方向(P方向)に配向性を有すことで容易に得ることができる。
これにより、タイヤ軸方向の右側11においては、インナーライナー13がタイヤ軸方向に高モジュラス化されることで、そのサイド部31をタイヤ軸方向で高剛性化しタイヤ縦剛性を増加し振動の収束性を向上し乗り心地を改善する。
一方、タイヤ左側12のインナーライナー14は、タイヤ周方向に高モジュラス化されることで、そのサイド部31をタイヤ周方向で高剛性化することで、乗り心地の向上作用は得られないが、そのサイド部32は縦剛性を確保することでタイヤ1のロードノイズや操縦安定性を従来通りに維持するものとなる。
すなわち、タイヤ1はタイヤ右側11に配向性を付与したインナーライナーゴムをその配向方向をタイヤ軸方向に配し、タイヤ左側12には配向性を付与したインナーライナーゴムをその配向方向をタイヤ周方向に配すればよい。従って、タイヤ1は空気保持性を維持しつつ、ロードノイズ、操縦安定性、転がり抵抗や耐久性などの他のタイヤ特性を損なうことなく、またタイヤ重量増を伴わず、製造工数増も最小限に抑えて、本発明を達成することができる。
なお、本発明を実施するに当たり、タイヤ1を車両に装着する際に、図3に示すように、当該タイヤの右側を車両の両外側に位置して装着し、当該タイヤの左側を車両の両内側に位置して装着することが前提となる。
また、本発明においては、インナーライナー13、14のタイヤ軸方向と周方向とのモジュラスの差(異方性)の指標として、そのインナーライナーゴムを試料として、そのカレンダー圧延方向に沿って測定した動的弾性率E’rと、圧延方向の直角方向に沿って測定した動的弾性率E’pとの比E’r/E’pあるいはE’p/E’rによってモジュラスの差を定量化することができる。
タイヤ1の右側11に配されるインナーライナー13は、タイヤ軸方向に高モジュラス方向が配され、そのE’r/E’pが1.1以上であることが好ましく、タイヤ左側12に配されるインナーライナー14はタイヤ周方向に高モジュラス方向が配され、そのE’p/E’rが1.1以上であることが好ましい。この範囲において、本発明の効果をより向上することができる。
インナーライナー13、14のE’r/E’pあるいはE’p/E’rが1.1以上であることでタイヤ軸方向と周方向との引張モジュラスに有意差が得られ、サイド部31、32のタイヤ軸方向あるいは周方向を高モジュラス化し上記他のタイヤ特性を損なわず乗り心地を改善することができる。
インナーライナー13、14のE’r/E’pあるいはE’p/E’rが1.1未満であると、上記乗り心地の向上効果が充分得られなくなり、またタイヤ左右側の作用がそれぞれ打ち消し合い、ロードノイズ、操縦安定性などを維持するバランスのよい効果を消してしまう。
インナーライナー13、14のE’r/E’pあるいはE’p/E’rの上限は、特に限定されないが、好ましくは1.30以下、より好ましくは1.25以下である。この好ましい範囲を外れると、タイヤ左右での剛性差が大きくなり、タイヤ左右の特性がアンバランスとなって偏摩耗の発生や操縦安定性などのタイヤ特性を低下させるおそれがある。
本発明において、前記インナーライナー13、14に使用されるゴム組成物は、従来からの通常のインナーライナー用ゴム配合を用いることができる。
この通常配合のゴム組成物としては、例えば、ゴム成分としてガス透過係数の小さいブチルゴム(IIR)及び/又はハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)40重量部以上とジエン系ゴムとが用いられる。X−IIRとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムが挙げられる。IIR単独では、ビード部やカーカスなどの隣接ゴムとインナーライナーとの接着性が劣ったり、加硫速度が遅れるなどの欠点があるので、これらを改善する観点から、X−IIRの使用が好ましく、IIRとX−IIRとを任意の比率でブレンド使用することもできる。
前記IIR及び/又はX−IIRは、ゴム成分100重量部中に少なくとも40重量部以上含まれることが空気保持性の点から必要であり、好ましくは50重量部以上である。なお、IIR及び/又はX−IIRの含有量がゴム成分の90重量部を超えると、隣接するゴムとの接着性及びゴム組成物の加工性が低下する傾向にある。
また、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)およびスチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)等が挙げられ、これらの群から選ばれた少なくとも1種類が使用できる。特に、NR、IR、BRが、IIRやX−IIRの接着性や加硫速度の改善に効果があり好ましい。
本発明にかかるインナーライナー用ゴム組成物には、前記ゴム成分と通常インナーライナー用ゴム組成物に用いられる配合剤、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク、酸化マグネシウムなどの補強剤、オイルなどの可塑剤、ステアリン酸、石油樹脂類、硫黄、亜鉛華などの架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はなく、例えば、HAF、ISAF、SAF、GPF、FEFなどが挙げられる。中でも、窒素吸着比表面積(NSA)が20〜80m/g、好ましくは25〜50m/gを有するものが望ましい。カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、20〜80重量部であることが好ましい。カーボンブラックの配合量が20重量部未満では、補強効果が小さくなる傾向があり、80重量部を超えると、ゴム粘度が上昇し、混練時や圧延時の加工性が低下する傾向がある。
上記ゴム組成物は、通常のゴム用混練装置、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りすることにより得られる。
また、上記ゴム組成物の圧延加工によりインナーライナー13、14に付与される配向性(動的弾性率比E’r/E’p)の調整は、インナーライナー圧延時のロール配列(例えば、3本ロールでは直列とL型等)、ロール回転速度比、ロール温度、圧延回数などにより行うことができる。
インナーライナー13、14の配向性調整が上記圧延加工の条件調整によっても、圧延方向とその直角方向とに所望のモジュラス比(E’r/E’p=1.1以上)が得られない場合は、上記ゴム配合に配向性配合剤を適宜配合し、上記圧延条件と併用してモジュラス比を調整することができる。
前記配向性配合剤としては、特に限定されず、例えば、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(syn−1,2−PB)などの結晶性の熱可塑性エラストマー、ナイロン、セルロースなどの短繊維、カオリン質クレイ又はセリサイト質クレイなどの層状又は板状鉱物、結晶性の有機樹脂類などが挙げられ、また、上記カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機充填剤を本発明の目的を逸脱しない範囲で増量してもよい。
例えば、syn−1,2−PBは、ゴム組成物中に分散し、ゴム組成物の剛性を高める効果も併せ持ち好ましい。配合量としては、ゴム成分100重量部に対してsyn−1,2−PB分として0.3〜5.0重量部程度である。市販品として、syn−1,2−PBで変性されたシス−1,4−ポリブタジエンゴムであり、宇部興産(株)の商品名UBEPOL「VCR」が利用できる。
本発明のタイヤ1は、上記により得られた圧延方向とその直角方向とのモジュラス比が調整されたインナーライナーを、その配向方向をタイヤ1の右側11と左側12とでタイヤ軸方向又は周方向に配して常法によりグリーンタイヤを成型し、加硫することで容易に製造することができる。これにより、タイヤ1のトレッド2領域を境界としてタイヤ左右でタイヤ軸方向と周方向に引張モジュラスの異なるインナーライナー13、14を有し、このインナーライナーのモジュラス差によりタイヤ内面から剛性が維持されたタイヤ左右でサイド剛性の異なる空気入りタイヤとすることができる。
インナーライナー13、14の境界は、トレッド2領域の任意の位置とすることができるが、タイヤセンターラインCL近傍、例えばセンターラインCLを中央とするトレッド幅の50%内で左右に分割されることが好ましい。
また、前記タイヤ1は、図3に示すように、タイヤ軸方向に高剛性化されたサイド部31を有するタイヤ右側11を、車両の両外側に向けて位置し装着される。
この場合の乗り心地向上の効果は、車両前輪のタイヤは一般的にトーインに設定されるため、路面からの振動は車両外側のタイヤサイド部を振動伝達経路としやすく車両外側に対策することが効果的であり、またコーナリング時には車両外側のタイヤサイド部に荷重がかかりショルダー〜バットレス部に変形を受けやすいことから、この外側のサイド剛性を高めることで変形を抑え乗り心地を向上させるものと考えられる。
さらに、タイヤ1ではショルダー領域における剛性が左右非対称となり接地圧分布も非対称となって、直進時に高剛性を有する側から低剛性を有する側へ向かう横力が生じることから、高剛性なサイド部31を有する側を車両外側とすることで直進時の操縦安定性が維持しやすくなる。従って、図4に示すように、高剛性化されたサイド部31を車両の両内側方向に向けて配し装着する、または4本のタイヤの左右側をランダムに装着すると、本発明の乗り心地向上効果が得られないことが実験結果より得られている。
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
下記のゴム成分、配合剤を用いて表1に示す2種類のインナーライナー用ゴム配合A,Bを常法によりバンバリーミキサーを用いて調製した。
[ゴム成分、配合剤]
・ブロモブチルゴム:バイエル社製、ブロモブチル2030
・天然ゴム:タイ製、RSS#3
・VCR:宇部興産(株)製、VCR617(cis−1,4−ポリブタジエン成分:83%、syn−1,2−PB成分:17%)
・カーボンブラックGPF:東海カーボン(株)製、シーストV
・アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製、JOMOプロセスX−140
・石油樹脂:冨士興産(株)製、フッコールレジン120
・ステアリン酸:花王(株)製、ルナックS−20
・加硫促進剤NS:三新化学工業(株)製、サンセラーNS−G
・加硫促進剤DM:三新化学工業(株)製、サンセラーDM−G
・硫黄:鶴見化学(株)製、粉末硫黄
・亜鉛華:堺化学工業(株)製、酸化亜鉛2種
Figure 0004891159
得られたゴム組成物の空気透過性を下記の方法に従い評価した。結果を表1に示す。次に、これらのゴム組成物を逆L型カレンダーにより圧延し、厚み0.5mmのインナーライナーを作製した。なお、各インナーライナーは、逆L型カレンダーのロール回転速度比を変更して配向性を調整し、インナーライナーのロール列理(配向)方向とその直角方向とに異方性を持たせた。異方性の定量化は、列理方向とその直角方向との動的弾性率E’の比E’r/E’pあるいはE’p/E’rにより行った。E’の測定方法は下記の通りである。
次に、このインナーライナーを、タイヤセンターラインCLを境界とするタイヤ右側と左側のそれぞれに、インナーライナーの配向方向(E’r/E’pあるいはE’p/E’r)をタイヤ軸方向または周方向に沿って配してグリーンタイヤを成型し、常法に従い加硫成形し試験タイヤを製造した。
試験タイヤは、サイズが205/60R15である。なお、カーカスはポリエステルコード1100dtex/2(打ち込み密度23本/25mm)の2プライ、ベルトはスチールコード2+2×0.25mm(打ち込み密度25本/25mm)の2プライ、キャッププライはナイロン66コード940dtex/2(打ち込み密度21本/25mm)の1プライとした。
次に、同一試験タイヤ4本を、図3または図4に示すようにタイヤ右側と左側をそのインナーライナーの配向方向を車両の外側または内側に位置するように乗用車に装着し、乗り心地、ロードノイズ、操縦安定性を下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
[空気透過性]
上記のゴム組成物を用いて、50kgf/cmの圧力下で160℃、20分間のプレス加硫により厚さ1mmのゴムシートを作成し、JIS K7126に記載の差圧法(A法)に準拠し空気透過性比を測定した。配合Aを100とする指数表示で示し、値が小さいほど空気透過率が低く良好である。
[動的弾性率E’]
各インナーライナーのロール列理方向とその直角方向とから採取したサンプルを0.3mm厚×5mm幅×10mm長の短冊状試料に160℃、20分間の条件で加硫調製し、動的粘弾性スペクトロメーター((株)上島製作所製)を用いて、初期歪10%、動歪5%、周波数10Hz、雰囲気温度23℃の条件で動的弾性率E’を測定した。
[乗り心地]
サイズ15×6.5JJのリムを用いて空気圧220/200kPa(前輪/後輪)に調整し、「トヨタ自動車(株)製、マークII」に装着して良路、不整路及び突起段差路の3種のテストコースを時速60km/hで走行し、それぞれの走行路について、ゴツゴツ感、ブルブル感、突起乗り越え時のショック吸収性及びダンピング等を総合して3名のテストドライバーのフィーリングで評価し、平均をとった。比較例1を基準「±0」として、「+1」をやや優れる、「+2」を優れる、「−1」をやや劣る、「−2」を劣る、とし示した。
[ロードノイズ]
乗り心地と同じ条件で、マイクを運転席の耳元に配して、2名乗車時にアスファルト乾燥路面を60km/hで定速走行し、250Hzのロードノイズレベルを測定した。測定値は、比較例1を基準「±0」として、+側を優れる、−側を劣る、とし示した。
[操縦安定性]
乗り心地と同じ条件で、操縦安定性評価用のテストコース(アスファルト乾燥路面)において、時速80km/hでの直進性、レーンチェンジ性、及びコーナリング時のハンドリング性を3名のテストドライバーのフィーリングで評価し、平均をとった。比較例1を基準「±0」として、「+1」をやや優れる、「+2」を優れる、「−1」をやや劣る、「−2」を劣る、とし示した。
Figure 0004891159
表2に示されるように、実施例1〜3では、ロードノイズ、操縦安定性を損なうことなく乗り心地を向上することが確認でき、インナーライナーのモジュラス比E’r/E’pが1.1以上であると乗り心地向上の効果が明確である。また、実施例2に対して装着方法を変更した比較例2では乗り心地の改善が見られず、タイヤ左側のインナーライナーのモジュラス比を1.0とした比較例3では操縦安定性が低下し、インナーライナー全体の軸方向モジュラス比を1.1以上とした比較例4は乗り心地の向上効果は得られるがロードノイズ、操縦安定性が悪化した。
本発明の空気入りタイヤは、各種サイズ、用途のタイヤに適用できるが、乗用車用、特に乗り心地、静粛性が重要視されるタイヤや高速走行に供される高性能タイヤに好適である。
実施形態の空気入りタイヤの半断面図である。 タイヤ内面部を示す説明図である。 実施形態のタイヤ装着方法の説明図である。 比較例のタイヤ装着方法の説明図である。
符号の説明
1……空気入りタイヤ
2……トレッド部
3……サイドウォール部
4……ビード部
5……ビードコア
6……カーカス
7……ベルト
8……キャッププライ
10……インナーライナー
13……右側インナーライナー
14……左側インナーライナー
CL……センターライン

Claims (4)

  1. タイヤの軸方向左右で異なるインナーライナーを配置した空気入りタイヤを車両に装着する際に、当該タイヤの右側を前記車両の両外側に位置して装着する空気入りタイヤにおいて、
    前記右側のインナーライナーはタイヤ軸方向の引張モジュラスがタイヤ周方向の引張モジュラスよりも大きく、前記左側インナーライナーはタイヤ周方向の引張モジュラスがタイヤ軸方向の引張モジュラスよりも大きい
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記右側インナーライナーは、タイヤ軸方向に沿った動的弾性率E’rとタイヤ周方向に沿った動的弾性率E’pとの比(E’r/E’p)が1.1以上であり、前記左側のインナーライナーは、タイヤ周方向に沿った動的弾性率E’pとタイヤ軸方向に沿った動的弾性率E’rとの比(E’p/E’r)が1.1以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記右側のインナーライナーはタイヤ軸方向に配向性を有すインナーライナーゴムからなり、前記左側インナーライナーはタイヤ周方向に配向性を有すインナーライナーゴムからなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記左右のインナーライナーは、該タイヤのトレッド領域を境界として、タイヤ周上で左右に分割されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
JP2007166082A 2007-06-25 2007-06-25 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP4891159B2 (ja)

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