JP4890815B2 - 電気二重層キャパシタ用電極の製造方法及び電気二重層キャパシタ用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
図1に、電気二重層キャパシタの基本構造を模式的に説明する断面図を示した。図1に示した電気二重層キャパシタは、両端を集電体4で塞がれガスケット5中に、セパレータ3を介して2つの電極2、2’が対向した構造を有する。
電極2、2’には電解液が充填されており、電荷を蓄積する充電時には、正極側の電極に電解液の陰イオンが引き寄せられるとともに、陰極側の電極に電解液の陽イオンが引き寄せられる。蓄積した電荷を放出する放電時には正極側の電極から陰イオンが脱離するとともに、陰極側の電極から陽イオンが脱離する。
実際に実用化された電気二重層キャパシタでは、図1に示した基本構造を単独で、又は、複数個を上下に積層した状態で、上下から加圧する構造とされていることが多い。
また、電気二重層キャパシタ用セパレータについては、特許文献1等に、バインダを含まないシリカ繊維を主体としたセラミック製セパレータが開示されている。
しかしながら、これらの文献に記載された電気二重層キャパシタ用電極や電気二重層キャパシタ用セパレータを用いても、期待された程には大容量の電気二重層キャパシタを得ることはできなかった。
以下に本発明を詳述する。
これは、樹脂微粒子からなるバインダを介して上記活物質同士を結合した場合には、焼成時にバインダ成分が脱脂したときに、バインダ成分が存在した部分に空隙が生じてその分だけ得られる電極中に電解質液を保液できる空間が生じるためと考えられる。また、樹脂微粒子からなるバインダは、上記活物質の細孔内に侵入しにくいことから、活物質の細孔を塞いでしまわないためとも考えられる。
上記活物質としては特に限定されないが、例えば、活性炭が好適である。上記活性炭としては特に限定されず、例えば、ヤシガラ活性炭、木質系活性炭、石炭系活性炭、樹脂を原料とする活性炭等の公知の活性炭を用いることができる。
上記活物質は、BET法(Brunauer−Emmett−Teller)により測定した比表面積が1500〜3000m2/gであることが好ましい。
また、上記樹脂微粒子を構成する樹脂成分には、樹脂微粒子の収縮を抑制し耐圧縮強度を改善する目的で、多官能性モノマーが添加されていてもよい。このような多官能性モノマーとしては特に種類は限定されず、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、ジアリル化合物、トリアリル化合物、ビニル化合物等が挙げられる。これらの多官能性モノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記多官能モノマーの配合割合の好ましい下限は5重量%である。
このような加熱消滅性樹脂微粒子は、加熱により消滅することから、消失した分確実に空隙が生じて得られる電極中に電解質液を保液できる空間が生じる。また、上記活物質の細孔内に侵入したとしても、活物質の細孔を塞いでしまわない。更に、その容積に比して燃焼発熱が小さいことから、焼成時のバインダの燃焼発熱に起因して電極に歪みやクラックが発生するのを防止することができる。
10重量%以上の消滅に要する時間が1時間を超えると、製造効率が低下する。また、1時間以内に消滅する部分が10重量%未満であると、発熱量を減少し、歪みを抑制する効果が不充分となる。好ましくは、100〜300℃の所定の温度に加熱することにより、1時間以内に40重量%以上が消滅するものである
上記架橋成分としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性モノマーや、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
なお、本明細書において、分解開始温度とは、加熱により重量減少率が5%以上となる温度のことをいい、例えば、DSC−6200(セイコーインスツルメンツ社製)等を用いて、熱重量分析(TGA)を行うことにより求めることができる。
中空率が5%未満であると、燃焼発熱の低減効果が充分でなく、得られる電極に歪みやクラックが発生することがあり、95%を超えると、中空樹脂微粒子の強度が低下して、混合したり成型したりする際に粒子形状を保持することができないことがある。より好ましい下限は30%、より好ましい上限は80%であり、更に好ましい下限は50%である。
なお、本明細書において、中空率とは、中空樹脂微粒子全体の体積に対する中空部分の体積の比率のことをいい、例えば、ポロシメーター2000(アムコ社製)等を用いることにより測定することができる。
上記加熱消滅性中空樹脂微粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレン樹脂の存在下で、ビニルモノマー及び中空化剤を用い、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、ミニエマルジョン重合法等の従来公知の重合方法により樹脂微粒子を製造する方法等が挙げられる。
上記ポリオキシアルキレンマクロモノマーに含まれる官能基の数は特に限定されないが、官能基を2個以上もつマクロモノマーは、架橋成分として粒子強度を向上させる働きを持つため、好適に使用される。
上記活物質組成物における上記活物質の粉末と上記樹脂微粒子からなるバインダとの配合比率については特に限定されないが、上記活物質の粉末100重量部に対する上記樹脂微粒子からなるバインダの配合量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は70重量部である。5重量部未満であると、充分な保液性を有する電極を得ることができないことがあり、70重量部を超えると、得られる電極の強度が劣ることがある。より好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は50重量部である。
上記焼成の方法としては特に限定されず、例えば、活物質が活性炭である場合には、減圧下で600〜2000℃に加熱する方法等が挙げられる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、このようにして得られたセパレータは、極めて高いイオン透過性を有することを見出し、本発明2を完成するに至った。
上記樹脂微粒子としては、本発明1に用いたものと同様に、100〜300℃の所定の温度に加熱することにより1時間以内に10重量%以上が消滅する加熱消滅性樹脂微粒子であることが好ましく、23℃における中空度5〜95%の中空樹脂微粒子であることが好ましい。このような樹脂微粒子を用いることにより、歪みやクラックのない電気二重層キャパシタ用セパレータを得ることができる。
上記焼結の方法としては特に限定されず、例えば、減圧下で1400〜2200℃に加熱する方法等が挙げられる。
セラミック粉末と粒子径0.01〜50μmの樹脂微粒子からなるバインダとを混合してセラミック組成物を調製し、前記セラミックス組成物を平板状に成型する工程と、得られたセラミックス組成物からなる平板状体上に、多数の細孔を有する比表面積が大きな活物質の粉末と、粒子径0.01〜50μmの樹脂微粒子からなるバインダとを混合してなる活物質組成物を塗工して積層体を形成する工程と、前記積層体を焼成又は焼結する構成を有する電気二重層キャパシタの製造方法もまた、本発明の1つである。
(1)加熱消滅性樹脂微粒子の作製
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンジメタクリレート50重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約9;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)、メタクリル酸メチル50重量部、ヘキサデカン5重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)0.5重量%と重合開始剤として過硫酸カリウム(KPS)0.5重量%との水溶液450重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
比表面積1800m2/g、平均粒径12μmの高純度活性炭粉末100重量部に対して、加熱消滅性中空樹脂微粒子が35重量部になるようにスラリーを加え、カーボンブラック10重量部、及び、水を混合して活性炭組成物を調製した。
得られた活性炭組成物を、角形にプレス圧縮成型した後、真空中で900℃程度の温度で焼成して、活性炭からなる電極を得た。得られた焼結体を目視にて観察したところ、歪みやクラックは認められなかった。
(1)加熱消滅性中空樹脂微粒子の作製
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンジメタクリレート50重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約9;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)、メタクリル酸メチル30重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、中空化剤としてヘプタン50重量部、及び、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、ポリビニルアルコール(PVA)1重量%と亜硝酸ナトリウム0.02重量%との水溶液450重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
得られた加熱消滅性中空樹脂微粒子13重量部に対して、窒化ケイ素98.5重量%及び窒化鉄1.5重量%からなるセラミック粉末100重量部を混合してセラミック組成物を得た。
得られたセラミック組成物の全量にメチルセルロース10重量部、グリセリン5重量部及び水を加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。次いで、得られた坏土を用いて押出成形法により、板状体を成形した。
得られた板状体を乾燥した後、400℃まで10℃/分にて昇温し1時間保持して脱脂を行った。その後、不活性ガス雰囲気下で、昇温速度40℃/h、最高温度1700℃、保持時間6時間にて焼成して電気二重層キャパシタ用セパレータを得た。
2、2’ 電極
3 セパレータ
4 集電体
5 ガスケット
Claims (2)
- 多数の細孔を有する比表面積が大きな活物質からなる電気二重層キャパシタ用電極を製造する方法であって、
多数の細孔を有する比表面積が大きな活物質の粉末と、粒子径0.01〜50μmの樹脂微粒子からなるバインダとを混合して活物質組成物を調製し、前記活物質組成物を成型した後、焼成し、樹脂微粒子は、ポリオキシアルキレン樹脂を含有し、かつ、官能基を有するポリオキシアルキレンマクロモノマーを用いて得られる加熱消滅性樹脂微粒子である
ことを特徴とする電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。 - 樹脂微粒子は、中空樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
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