JP4445495B2 - 多孔質中空ポリマー粒子、多孔質中空ポリマー粒子の製造方法、多孔質セラミックフィルタおよび多孔質セラミックフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、特許文献1には骨材粒子の種類に影響されずに、細孔径の制御する方法としてはセラミック組成物に有機高分子を添加する方法などが提案されている。
しかしながら、気孔率をさらに向上させようとして、造孔剤を多量に使用すると、焼成時間が延長して工数増となると共に、造孔剤の燃焼熱の増加によりフィルタに歪みがかかり、フィルタにクラックが生じるという問題を生ずる。
そこで、燃焼熱を押さえるために、発明者らは造孔剤として中空のポリマー粒子を使用することに着想したが、既存の中空ポリマー粒子では造孔剤としては小さすぎる、また発泡による中空ポリマー粒子では粒子強度が不足してセラミック組成物を混合するとき、あるいは成形するときに、機械的剪断力により粒子が破壊されるという問題を生じ、造孔剤として機能するために適切な粒径および強度を有する中空ポリマー粒子は存在しなかった。
しかし、この方法においては、重合分散剤の量を調節し、造孔剤として適当な平均粒径が15μm以上の中空ポリマー粒子を得ようとしても、粒子の凝集を招き、所望する粒子を得ることは困難であった。
従って、上記セラミック組成物に造孔剤として高充填使用可能な、中空率が高くて燃焼発熱が低く、より高い強度および適度な粒径を有する中空ポリマー粒子が要望されていた。
本発明における請求項9に記載の発明にかかる多孔質セラミックフィルタ(以下、「請求項9のフィルタ」と記す)は、セラミック組成物として炭化ケイ素組成物を用いるようにした。
本発明の中空ポリマー粒子は、平均粒径が15以上500μm以下、10%圧縮強度が5.0MPa以上に限定される。平均粒径が15μmより小さいと、造孔剤として用いた場合得られる多孔質セラミック成形体は、その細孔径が小さくなり、フィルタとして用いたとき、圧力損失が増大して捕集時間が短くなる。一方、平均粒径が500μmより大きいと、造孔剤として用いた場合、得られる多孔質セラミック成形体は、細孔径が大きくなり過ぎて、フィルタとして用いたとき圧力損失は減少するが捕集効率は低下する。
また、上記のとおり燃焼熱量を抑えるために、本発明の中空ポリマー粒子は、中空部の割合が50体積%以上であることが好ましい。
本発明の中空ポリマー粒子は中空部の割合が高くとも高強度で粒子が破壊しにくい。
この中で焼成時にすすや灰分を生じにくい性質からアクリル系モノマーの使用が好ましく、より好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ブタジエンが挙げられる。
非重合性有機溶剤の添加量は、少なすぎると粒子の空隙率が低くなり、多すぎると空隙率が大きくなりすぎて粒子の強度が低下するため、重合用モノマー成分100重量部に対して1重量部以上400重量部以下の割合で添加されることが好ましく、さらに好ましくは10重量部以上200重量部以下である。
上記水溶性高分子系分散安定剤を使用することにより、粒子のセラミックに対する混和性が改良され、セラミック組成物の混合・成形時において粒子が破壊されにくくなる。
重合の結果得られる中空ポリマー粒子の粒子径は分散媒中に微分散された重合用モノマー溶液の油滴径に依存するため、分散安定剤の種類や量、あるいは機械的分散機の撹拌力により容易にコントロールできる。
重合を実施する際あるいは実施した後に各種の添加剤を用いることはなんら差し支えない。このような添加剤としては、pH調整剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤などが挙げられる。
この内包された溶剤は必要に応じて、得られたポリマー粒子の分散液にスチームあるいは窒素や空気などの気体を吹き込むという方法、系を減圧条件下におく方法などにより除去することができる。さらに本発明の製造方法により得られた中空ポリマー粒子は乾燥させ、粉体として用途に供することもできる。
なお、セラミック組成物には、従来と同様に可塑剤や粘結剤等が加えられて可塑化される。
表1に示した配合組成に基づいて、下記の手順で中空ポリマー粒子を得た。
重合用モノマー成分(単官能モノマー、多官能性モノマー)、有機溶剤、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(表1では「AIBN」と記す)を混合・撹拌し、重合用モノマー溶液を調製した。ついで極性溶媒としてのイオン交換水(全使用量の50重量%)および水溶性高分子水溶液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。一方、撹拌機、ジャケット、還流冷却器、および温度計を備えた20リットルの重合器に、残りのイオン交換水、水溶性重合禁止剤としての亜硫酸ナトリウムを入れて、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とした後、上記懸濁液を重合槽に一括投入したのち、重合槽を60℃まで昇温し重合を開始した。4時間で重合を終了し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により有機増剤を除去し中空ポリマー粒子を得た。
分散剤として無機系分散安定剤を表1に示す配合組成で用いた以外は実施例1と同様に中空ポリマー粒子を製造した。
表1に示すように松本油脂製薬社製熱膨張性マイクロカプセルF−85Dを170℃で1分間加熱して中空ポリマー粒子を製造した。
なお、平均粒径、内部モルホロジー、空隙率、10%圧縮強度は、以下のようにして評価した。
堀場製作所社製レーザー回折粒度分布計LA−910にて体積平均粒径を測定した。粉末の任意の場所から3カ所サンプリングし、その平均値を用いた。
粒子の赤道断面を薄膜にカットし、透過型電子顕微鏡にて内部モルホロジーを観察した。
アムコ社性ポロシメーター2000にて測定した。封入水銀圧力は2000kg/cm2であった。任意の場所から0.5gサンプリングしたサンプルを評価に用いた。
島津製作所社製微小圧縮試験機MCTM−500にて、粒子の10%圧縮強度を測定した。
吉田製作所製熱量測定装置にて、単位重量あたりの燃焼熱量を測定し、粒子の真比重で除した値を用いた。粒子の真比重はミラージュ社製比重計MD−200Sで計測した。
下記および表2の組成に基づいて、多孔質セラミックフィルタを作成した。
タルク40重量%、カオリン20重量%、アルミナ18重量%、水酸化アルミニウム12重量%、シリカ10重量%からなるセラミック組成物と実施例1〜4、比較例3〜4で得られた粒子を表2の組成割合で混合した混合物100重量部に対し、メチルセルロース4.0重量部及び添加水を加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。次いで、それぞれのバッチの坏土を、公知の押出成形法により、リブ厚:430μm、セル数:16個/cm2を有する直径:118mm、高さ:152mmの円筒形ハニカム構造体を成形した。そして、それぞれのバッチによるハニカム構造体を乾燥した後、昇温速度40℃/h、最高温度1410℃、保持時間6時間にて焼成して多孔質セラミックフィルタを得た。
下記および表3の組成に基づいて、多孔質セラミックフィルタを作成した。
SiC90重量%、酸化硼素5重量%、カオリン2重量%、アルミナ3重量%からなるセラミック組成物と実施例1〜4、比較例3〜4で得られた粒子を表2の組成割合で混合した混合物100重量部に対し、メチルセルロース15重量部及び添加水を加え、混練し、押出成形可能な坏土とした。次いで、それぞれのバッチの坏土を、公知の押出成形法により、リブ厚:430μm、セル数:16個/cm2を有する直径:118mm、高さ:152mmの円筒形ハニカム構造体を成形した。そして、それぞれのバッチによるハニカム構造体を乾燥した後、昇温速度40℃/h、500℃にて1時間脱脂工程を行い、さらに不活性ガス雰囲気下2100℃、保持時間2時間にて焼成した。
アムコ社製ポロシメーター2000にて測定した。封入水銀圧力は2000kg/cm2であった。サンプルはフィルタをそのまま使用した。
Claims (2)
- 多官能モノマーを含む重合用モノマー成分100重量部を重合用モノマーとは反応しない有機溶剤1〜400重量部と混合した重合用モノマー溶液を、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁せしめた後、重合用モノマー成分を重合させて、有機溶剤を内包するポリマー粒子を得て、得られたポリマー粒子中の有機溶剤を除去する多孔質中空ポリマー粒子の製造方法であって、
混合される重合用モノマー成分と有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)の差は1.5MPa 0.5 未満であり、
混合される重合用モノマー成分とSP値の差が1.0MPa0.5未満の時は、重合用モノマー成分に占める多官能モノマーの割合が5重量%以上、50重量%以下であり、1.0MPa 0.5 以上1.5MPa0.5未満の時は、重合用モノマー成分に占める多官能モノマーの割合が20重量%以上、40重量%以下であることを特徴とする多孔質中空ポリマー粒子の製造方法。 - 分散安定剤が部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドンの少なくとも一つである請求項1に記載の多孔質中空ポリマー粒子の製造方法。
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