JP2009242133A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コージェライト化原料を含有し、更に、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下のアルミナ粒子と、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計が0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下のシリカ粒子とを成形助剤として含有する坏土を、ハニカム形状に成形してハニカム成形体を作製し、ハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態は、まず、コージェライト化原料及び成形助剤を混合、混練して坏土を形成する。成形助剤としては、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下のアルミナ粒子と、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下のシリカ粒子とを用いる。コージェライト化原料とは、焼成によりコージェライトとなる原料を意味し、シリカ(SiO2)が42〜56質量%、アルミナ(Al2O3)が30〜45質量%、マグネシア(MgO)が12〜16質量%の範囲に入る化学組成(以降、「コージェライト組成範囲」と表記)となるように所定の原料が混合されたセラミックス原料である。コージェライトの好適な組成としては、例えば、2MgO・2Al2O3・5SiO2を挙げることができる。本実施形態において、コージェライト化原料を形成するために混合すべき「所定の原料」としては、タルク、カオリン、アルミナ源原料(アルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト等)、シリカ等を挙げることができる。コージェライト化原料のアルミナ・シリカが、「アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下」の条件を満たす様にして、成形助剤効果を併せ持たせることも可能ではあるが、この場合、成形助剤としては、その含有量が後述する好適範囲を超えることとなる場合が多い。従って、コージェライト化原料としてのアルミナ・シリカと、成形助剤としてのアルミナ・シリカとは、別個に設定することが好ましい。コージェライト化原料の平均粒子径は、タルクが2μm以上40μm以下、カオリンが0.1μm以上20μm以下、アルミナが0.1μm以上30μm以下、シリカが2μm以上150μm以下であることが好ましい。本願におけるアルミナとは、コージェライト化原料の場合であっても、成形助剤の場合であっても、焼成後にコージェライトの一部として酸化物の形態で存在することとなるものを総称しており、酸化物アルミニウムの他、水酸化アルミニウム等も含む概念である。尚、成形助剤であるアルミナとシリカとは、コージェライト化原料等を混合する際に、予め混合した状態で添加してもよいし、アルミナ及びシリカをそれぞれ別個に添加してもよい。後者の方が、工程を簡略化できる点では、好適である。
本実施の形態のハニカム構造体の製造方法において、コージェライト化原料、成形助剤等を混合する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、プレミキシング等の方法を挙げることができる。そして、上記混合を行ったものを混練して坏土を形成する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ニーダー、真空土練機等を用いて混練することができる。
次に、得られた坏土を、ハニカム形状に成形してハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体は、得られた坏土を、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いて、押出成形することにより作製することが好ましい。ハニカム成形体は、焼成してハニカム構造体を形成したときに後述する条件のハニカム構造体が得られるように、作製することが好ましい。
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の方法は特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥法を用いることができる。中でも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
次に、ハニカム成形体を焼成する前に仮焼することが好ましい。「仮焼」とは、ハニカム成形体中の有機物(バインダ、造孔材等)を燃焼させて除去する操作を意味する。一般に、バインダ(有機バインダ)の燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間としては特に制限はないが、通常は、10〜100時間程度である。
次に、ハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を作製する。焼成により、ハニカム成形体のセラミック原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保することができる。コージェライト化原料の焼成条件(温度、時間)としては、1350〜1440℃で、3〜10時間程度焼成することが好ましい。仮焼と焼成は、別途実施してもよいが、連続して実施することもできる。後者は、工程削減、エネルギー効率の観点から、好適である。
コージェライト化原料として、タルク38質量%、カオリン37質量%、アルミニウム酸化物20質量%、及びシリカ1質量%を混合したものを使用した。成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.03質量%、平均粒子径0.01μmのアルミナ粒子と、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.03質量%、平均粒子径0.01μmの非晶質シリカ粒子とを用いた。成形助剤全体の平均粒子径は0.01μmであり、成形助剤全体におけるナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)は0.03質量%であった。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定した値である。透過型電子顕微鏡の測定条件は、倍率:20000倍、測定粒子数:10粒子とした。また、1つの粒子についての「短径と長径との平均値」を、その粒子の「粒子径」とした。そして、各粒子の「粒子径」を、測定した全粒子について平均した値を「平均粒子径」とした。コージェライト化原料100質量部に、成形助剤4.0質量部、バインダとしてメチルセルロースを5.0質量部、及び界面活性剤であるラウリン酸カリ石鹸を0.5質量部、それぞれ添加し、分散媒として水を、坏土全体に対して37質量%となるように添加し、混合、混練して坏土を調製した。混合及び混練装置は、シグマニーダー使用した。
成形性は、坏土の押出し荷重(流動性)及び圧縮応力(保形性)のバランスにより評価し、同一圧縮応力における押出し荷重値により確認する。当該押出し荷重値が、成形助剤未添加時より50%以上低下する場合を「◎」、成形助剤未添加時より「0%以上、50%未満」低下する場合を「○」、成形助剤未添加時より増大する場合を「△」とし、「◎」を合格とする。
収縮率(%)は、乾燥前のハニカム成形体の大きさに対する、乾燥及び焼成によりハニカム構造体を形成したときの収縮した大きさ((乾燥前ハニカム成形体)−(焼成後ハニカム構造体))の比率(%)とする。ハニカム成形体及びハニカム構造体のそれぞれの大きさは、直径及び中心軸方向長さを測定する。収縮率8.0%以下を合格とする。
素地強度(MPa)は、ハニカム構造体についてオートグラフにより測定する。素地強度0.45MPa以上を合格とする。素地強度は、作製したハニカム構造体から20mm×70mm×10mmに切り出した試料の4点曲げ強度測定を実施した。ロードセルは500N、加重速度:0.5mm/分、スパン:20−60mmとした。
熱膨張係数(/℃)は、ハニカム構造体について示差熱膨張計により測定する。熱膨張係数0.30×10−6/℃以下を合格とする。熱膨張係数は、熱機械分析装置(リガク社製、THRMO PLUS2/TMA)を用い、40〜800℃の範囲で昇温速度10℃/分で測定した。
成形助剤であるアルミナ及びシリカのそれぞれの平均粒子径、不純物量、配合量及び配合比を表1に示す値とし、添加水(水)の配合量及びセル構造を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。尚、実施例12については、シリカとして微粒結晶質シリカを用いた。表1において、「不純物量(質量%)」の欄は、カリウム、カルシウム及びナトリウムを不純物とし、アルミナ等に含まれるこれら不純物の合計量を表している。また、表1において、「水(質量%)」は、坏土に添加した分散媒としての水の、坏土全体に対する比率を示す。また、表1の「セル構造」の欄において、8(mil)/300(cpsi)は、200(μm)/46.5(セル/cm2)であり、2(mil)/900(cpsi)は、50(μm)/139.5(セル/cm2)である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤であるアルミナ及びシリカのそれぞれの平均粒子径と、添加水とを、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤であるアルミナ及びシリカのそれぞれの不純物量を、表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にしてハニカム構造体を製造した。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が4.23質量%、平均粒子径1.6μmのモンモリロナイト粒子を用い、添加水を43質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。モンモリロナイト粒子は層状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
セル構造を、2(mil)/900(cpsi)とした以外は、比較例4の場合と同様にして、ハニカム構造体を製造した。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
セル構造を、8(mil)/300(cpsi)とした以外は、比較例4の場合と同様にして、ハニカム構造体を製造した。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が4.68質量%、平均粒子径3.3μmのベントナイト粒子を用い、添加水を43質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。ベントナイト粒子は層状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が3.20質量%、平均粒子径0.1μmのサポナイト粒子を用い、添加水を43質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。サポナイト粒子は層状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が3.28質量%、平均粒子径0.1μmのヘクトライト粒子を用い、添加水を45質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。ヘクトライト粒子は層状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が5.34質量%、平均粒子径3.3μmのマイカ粒子を用い、添加水を43質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。マイカ粒子は層状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が3.06質量%、平均粒子径2.4μmのパリゴルスカイト粒子を用いた以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。パリゴルスカイト粒子は針状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.07質量%、平均粒子径0.5μmのハイドロタルサイト粒子を用い、添加水を35質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。ハイドロタルサイト粒子は、長軸の長さが短軸の長さの2倍以上の板状の粒子であり、ブロック状の粒子ではない。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.05質量%、平均粒子径0.05μmのベーマイト粒子を用いた以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。ベーマイト粒子はブロック状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.05質量%、平均粒子径0.05μmのベーマイト粒子と、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.03質量%、平均粒子径5.0μmの粗粒結晶性シリカ粒子とを用い、添加水を37質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。ベーマイト粒子及び粗粒結晶性シリカ粒子はブロック状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤として、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.05質量%、平均粒子径0.05μmのベーマイト粒子と、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計(アルカリ金属・アルカリ土類金属含有率)が0.03質量%、平均粒子径5.0μmの粗粒結晶性シリカ粒子とを用い、添加水を37質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。ベーマイト粒子及び粗粒結晶性シリカ粒子はブロック状の粒子である。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
成形助剤を配合せず、添加水を35質量%とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。実施例1の場合と同様にして、上記各特性を測定した。結果を表2に示す。
Claims (7)
- コージェライト化原料を含有し、更に、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計が0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下のアルミナ粒子と、ナトリウム、カルシウム及びカリウムの含有率の合計が0.05質量%以下、平均粒子径1.0μm以下のシリカ粒子とを成形助剤として含有する坏土を、ハニカム形状に成形してハニカム成形体を作製し、前記ハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
- アルミナ粒子とシリカ粒子の少なくとも一方が平均粒子径0.10μm以下である請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
- アルミナ粒子とシリカ粒子の両方が平均粒子径0.10μm以下である請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記成形助剤の坏土中の含有量が、前記コージェライト化原料と前記成形助剤との合計量に対して2〜10質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記アルミナ粒子と前記シリカ粒子との坏土中の配合比が、アルミナ粒子:シリカ粒子=10:1〜1:30である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記シリカ粒子が、非晶質シリカである請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記坏土中に、前記坏土全体に対して30〜50質量%の水を含有させる請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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