JP4890287B2 - 車両のシートベルト装置 - Google Patents
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Description
また、シートベルトの張力を検出する張力センサを別途設ける必要があり、装置構成が複雑化すると共に、シートベルトの張力が所定張力となるように制御を行う場合には、車両の走行状態が急激に変化する場合に対応した所定張力を確保する必要があり、相対的に低い張力で乗員を所望の状態に拘束することは困難であって、姿勢変化を抑制しつつ所望の快適性を確保することができないという問題が生じる。特に、乗員の姿勢変化等により突発的な張力変化が発生した場合には、シートベルトの張力が目標張力となるように制御することで乗員に不快な過剰な張力が発生したり、反対にシートベルトのゆるみを生じる可能性があった。
しかも、巻取位置保持制御の実行中には、過巻取状態に係る過巻取情報に基づき、例えば目標位置を、より巻き取り側にずれた更新位置によって更新することにより、シートベルトの巻き取りと引き出しとが繰り返される状態であっても、巻き取り量に相当する引き出し量が何等の規制なしに引き出されてしまうことを防止し、乗員の位置がシートベルトの引き出し方向に急激に変位してしまうことを防止することができる。
本実施の形態による車両のシートベルト装置(以下、シートベルト装置と呼ぶ)1は、例えば図1に示すように、いわゆる三点式のシートベルト装置であり、センターピラー3に内蔵されたリトラクタ4からシートベルト5が上方に引き出され、このシートベルト5がセンターピラー3の上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、シートベルト5の先端がシート2の車室外側寄りのアウターアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、シートベルト5のスルーアンカ6とアウターアンカ7との間にはタング8が挿通されていて、タング8はシート2の運転席側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対し着脱可能にされている。
なお、この図1に示すシートベルト装置1では、例えば助手席のシート2に着座した乗員Pを拘束している。
バックル9は、後述するバックルスイッチ17を備えており、バックルスイッチ17は、バックル9にタング8が係合しているとき(つまり、着用状態のとき)にオンとなり、タング8がバックル9から離脱しているとき(つまり、非着用状態のとき)にオフとなる。
なお、ベルトリール11を引き出し方向へ回転するときには、ベルトリール11とモータ14との間の動力伝達が遮断されるように構成されていて、シートベルト5を引き出すときにはモータ14が抵抗とならないようになっている。
なお、作動判定部18(作動制御手段)は、モータ制御部20および電流調整部21と共に制御手段を構成してもよく、例えばモータ制御部20が作動判定部18(作動制御手段)に相当する機能を備えて構成されてもよい。この場合、走行状態検出センサ19の検出信号は制御手段のモータ制御部20に入力され、モータ制御部20は、この検出信号に基づき、巻取位置保持制御の実行要否つまり回転角度センサ15により検出されるベルトリール11の回転位置(巻き取り位置)が所定の目標位置と同等となる状態が維持されるようにモータ14への通電量を制御するか否かを判定する。
なお、例えば図4に示す通電制御の処理は、モータ制御部20によって一定時間毎に繰り返し実行される。
そして、ステップS02においては、例えばシートベルト5の初期弛みを解消する処理等として、モータ14を駆動してシートベルト5の巻き取りを実行する。
そして、ステップS03においては、例えばシートベルト5の初期弛みが解消された状態等に係るシートベルト5のフィット状態であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS02に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
なお、この実施形態では、シートベルト5の巻き取り位置は、ベルトリール11によるシートベルト5の巻き取り量の増大に比例して増大する値とされている。
そして、ステップS05においては、例えば車体の加速度等の車両状態量の所定量以上の変化が検出されたか否か、あるいは、例えば車両の走行挙動や姿勢状態を所定の適正状態に制御する各種制御動作の作動が開始されたか否か等を判定することにより、所定の走行状態変化が発生したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進む。
そして、ステップS08においては、回転角度センサ15により検出されるシートベルト5の巻き取り位置の現在値と目標位置とが異なるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS14に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進む。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS14に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS10に進む。
そして、ステップS10においては、巻き取り位置の現在値が目標位置よりも小さいか否か、つまり、この時点での巻き取り量が目標位置に対応する巻き取り量よりも小さいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまりシートベルト5が目標位置よりも巻き取られている場合には、後述するステップS12に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまりシートベルト5が目標位置よりも引き出されている場合には、ステップS11に進む。
また、ステップS12においては、巻き取り位置の現在値から目標位置を減算して得た値(現在値−目標位置)に所定係数Kを乗算して得た値を、さらに目標位置に加算して得た値を、新たに目標位置として設定する。
なお、所定係数Kは、例えばゼロよりも大きく、かつ、1以下である。
そして、ステップS13においては、モータ14に対する通電量を減少させ、ベルトリール11によるシートベルト5の巻き取り動作の実行を抑制する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS08に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS15に進む。
そして、ステップS16においては、シートベルト5の変位が規制されるロック動作の作動が許可されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進む。
そして、ステップS17においては、ロック動作の作動許可を解除、つまりロック動作の作動を禁止し、一連の処理を終了する。
これにより、例えば乗員の位置がシートベルト5の巻き取り方向に変位した後に、さらにシートベルト5の引き出し方向に変位するような場合において、例えば目標位置が更新されない場合には、乗員の位置がシートベルト5の巻き取り方向に変位した際の巻き取り量に相当する引き出し量が何等の規制なしに引き出し可能となり、乗員の位置がシートベルト5の引き出し方向に急激に変位してしまう虞があることに対して、乗員の位置がシートベルト5の巻き取り方向に変位する毎に目標位置が更新されることで、乗員の位置がシートベルト5の引き出し方向に急激に変位してしまうことを防止することができる。
しかも、巻き取り位置の現在値が目標位置以上である過巻取状態に係る過巻取情報に基づき、目標位置を増大させるようにして、つまり目標位置を巻き取り方向に変更するようにして目標位置を更新することにより、例えばシートベルト5の巻き取りと引き出しとが繰り返される状態であっても、巻き取り量に相当する引き出し量が何等の規制なしに引き出されてしまうことを防止し、乗員を適切に拘束することができる。
この変形例では、例えば図4に示す上述した実施の形態でのステップS06の代わりに、ステップS21およびステップS22の処理を実行すると共に、上述した実施の形態でのステップS15の代わりに、ステップS23の処理を実行する
すなわち、ステップS21においては、例えば横加速度センサや舵角センサ等からなる走行状態検出センサ19により検出される車両の旋回方向状態量に基づき、車両の旋回方向を取得する。
そして、ステップS22においては、取得した旋回方向毎に目標位置を設定する。なお、この時点で予め所定の記憶部20aに位置の情報が旋回方向毎に記憶されている場合には、記憶されている位置の情報を目標位置として設定し、所定の記憶部20aに位置の情報が記憶されていない場合には、基準位置を目標位置として設定する。
また、ステップS23においては、この時点での旋回方向毎の目標位置を所定の記憶部20aに位置の情報として記憶する。
5 シートベルト
11 ベルトリール
14 モータ
15 回転角度センサ(巻取位置検出手段)
18 作動判定部(作動制御手段)
19 走行状態センサ(走行状態検出手段)
20 モータ制御部(制御手段)
20a 記憶部(記憶手段)
21 電流調整部(制御手段)
ステップS03、ステップS04 たるみ判定手段
ステップS08、ステップS11 警報手段
Claims (3)
- シートベルトが巻回されて回動可能なベルトリールと、
前記ベルトリールに駆動力を伝達して前記ベルトリールを回転駆動し、前記ベルトリールにより前記シートベルトを巻き取らせるモータと、
前記モータへの通電状態を制御する制御手段と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段により検出された前記走行状態が所定状態へと変化した場合に前記制御手段に所定の作動信号を入力する作動制御手段とを備える車両のシートベルト装置であって、
前記ベルトリールによる前記シートベルトの巻取位置を検出する巻取位置検出手段を備え、
前記制御手段は、前記作動信号を受け前記巻取位置検出手段により検出される前記巻取位置が所定の目標位置と同等となる状態が維持されるように前記モータへの通電量を制御する巻取位置保持制御を実行すると共に、前記巻取位置保持制御の実行中に前記巻取位置が前記目標位置を超える過巻取状態の発生時において、前記シートベルトが前記目標位置よりも所定値よりも大きく巻き取られているか否かの過巻取情報に基づき、前記シートベルトが前記目標位置よりも所定値よりも大きく巻き取られている場合に、前記目標位置を、前記巻取位置と前記目標位置との差に応じた巻き取り方向の更新位置に更新することを特徴とする車両のシートベルト装置。 - 前記制御手段は、前記更新位置を記憶する記憶手段を備え、
前記巻取位置保持制御の実行時に、前記記憶手段に記憶された前記更新位置を前記目標位置として設定することを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルト装置。 - 前記走行状態検出手段は、前記車両の旋回方向に係る旋回方向状態量を検出し、
前記制御手段は、前記走行状態検出手段により検出された前記旋回方向状態量に基づく前記旋回方向毎に前記目標位置を設定すると共に、前記過巻取状態の発生時における前記旋回方向に基づき前記更新位置を前記目標位置として設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両のシートベルト装置。
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