しかしながら、特許文献1の郵便はがき仕分棚にもいくつかの欠点がある。例えば、未使用時には背板及び左右の側板を底板の各辺の外側に倒して展開する構造であるため、保管時の平面サイズが大きくなり、倉庫内での占有面積が大きいという欠点がある。
また、左右の各側板の側板部材は、底板の端部に固着される側板の末端部材に対し薄肉状の連結部を介して脆弱に連結されているだけであり、しかも使用時には、当該側板部材の後端部が背板の端部と結合することで起立状態を保つに過ぎない。このため、側板部材(特にその前端部)に外力が加わると、側板部材の前端部が左右にぐらついたり、側板部材が意に反して倒れたりするという欠点がある。
更には、底板の端部に固着される各側板の末端部材(12)と当該側板の側板部材(11)とは薄肉状の連結部(13)を介して連結されているに過ぎないので、特許文献1の図4(b)に示されるように、起立状態の側板部材の直下には、その側板部材の下端の水平端面と、末端部材の左右端の垂直端面とにより正面L字形に区画される段差状の空間が存在する。つまり、側板部材にかかる垂直荷重は、その側板部材の下縁に沿って延びる薄肉状の連結部を介して末端部材により支えられるに過ぎない。それ故、かかる構造の郵便はがき仕分棚が複数個上下に積み重ねられて最下段の仕分棚の側板部材に全ての垂直荷重が集中したならば、最下段の仕分棚の側板の薄肉状連結部に亀裂が生じ、当該側板における末端部材と側板部材との連結が破壊されかねない。つまり、最下段の仕分棚の側板が上からの荷重を十分に支えられないという欠点がある。
本発明の目的は、従来例が有する様々な欠点を解消して、保管時の平面サイズを小さくすることができる等の様々な利点を有する折り畳み整理棚を提供することにある。
請求項1の発明は、底壁と、背壁と、左右一対の側壁とを備え、前記底壁は、平面矩形状の底壁本体、その底壁本体の後側縁部に沿って設けられた後縁側土手部、並びに、前記底壁本体の左右の側縁部に沿ってそれぞれ設けられた左側土手部及び右側土手部を有しており、前記背壁は、前記底壁の後縁側土手部に対しヒンジ機構を介して、底壁に対し起立する起立位置と、底壁の上に略平行に倒れる内倒れ位置との間を切り替え配置可能に連結されており、前記左右の側壁は、それぞれ前記底壁の左側及び右側土手部に対しヒンジ機構を介して、底壁に対し起立する起立位置と、底壁の上に略平行に倒れる内倒れ位置との間を切り替え配置可能に連結されている折り畳み整理棚において、前記左右の側壁の各々は、起立時に前記背壁の端部に係合させるべく各側壁の後端部近傍に設けられた背壁係合部と、各側壁の前端部近傍に垂直スライド可能に装着された起立ロック部材とを備え、前記底壁の左側及び右側土手部の前端部近傍には、起立位置に配置された側壁の前記起立ロック部材と対向するように起立ロック用係合凹部がそれぞれ設けられており、前記起立ロック部材は、その一部が前記起立ロック用係合凹部に係入することで側壁を起立位置にロックするロック位置と、前記起立ロック用係合凹部から離脱することで側壁の起立位置ロックを解除するアンロック位置との間を切り替え配置可能となっていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の折り畳み整理棚において、前記底壁本体の上面からの前記後縁側土手部の突出高は、前記背壁の厚さと同等又はそれ以下に設定されると共に、前記底壁本体の上面からの前記左側及び右側土手部の突出高は、前記後縁側土手部の突出高よりも高く設定されており、前記背壁を前記底壁の後縁側土手部に連結する前記ヒンジ機構よりも、前記左右の側壁を前記底壁の左側及び右側土手部にそれぞれ連結する前記ヒンジ機構の方が高い位置にあることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の折り畳み整理棚において、前記底壁本体と前記左側又は右側土手部とが結合する部位の外角部であって左側及び右側土手部の各々の直下には、段差(S)が設けられ、前記左側及び右側土手部の各々の直下には、段積みに際して整理棚の水平方向位置決めに関与すると共に、段積み時に最下段に位置する整理棚の底壁の左側又は右側土手部が負担する荷重を下支えするための土手下凸部が、前記段差(S)の一部を埋めるように設けられており、前記底壁の左側及び右側土手部の各々には、対応する側壁を前記内倒れ位置に配置したときに各土手部の上部に露出すると共に、背壁及び左右側壁が折り畳まれた整理棚の段積み時に当該整理棚の上段に位置する他の整理棚の前記土手下凸部と係合して当該他の整理棚の水平方向位置決めを行うための折り畳み時位置決め用凹部が設けられていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の折り畳み整理棚において、前記左右の側壁の各々の上端部には、背壁及び左右側壁が起立した整理棚の段積み時に当該整理棚の上段に位置する他の整理棚の前記土手下凸部と係合して当該他の整理棚の水平方向位置決めを行うための起立時位置決め用凹部が設けられていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の折り畳み整理棚において、前記底壁、背壁及び左右の側壁は合成樹脂成形品であり、前記底壁本体の前縁部近傍には、前記底壁の左右方向長にほぼ匹敵する長さの金属棒材が装着されており、前記金属棒材の左端部及び右端部が前記底壁の左側及び右側土手部の直下にそれぞれ位置することで、背壁及び左右側壁が起立した整理棚の段積み時、前記金属棒材の左端部及び右端部が、当該整理棚の下段に位置する他の整理棚の左右の側壁の上端部にそれぞれ支持されることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載の折り畳み整理棚において、前記底壁本体の下面側には、前記金属棒材を収容するための収容溝が前記底壁本体の前縁部と平行に設けられると共に、前記金属棒材を前記収容溝内に保持するためのトンネル状保持部が設けられていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載の折り畳み整理棚において、前記底壁には、前記金属棒材の左右方向移動を規制して前記金属棒材が前記収容溝又は前記トンネル状保持部から抜け出るのを防止するための抜け止め防止具が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の折り畳み整理棚において、前記底壁本体と前記後縁側土手部とが結合する部位の内角部には、載置物品との干渉回避用の溝が底壁本体と後縁側土手部との境界に沿って延設され、その溝は、前記底壁本体の上面と起立位置にある前記背壁の正面とを分断してこれら二つの面を不連続な直交関係におくことを特徴とする。
請求項1の折り畳み整理棚によれば、背壁及び左右側壁を底壁に対し起立させることで整理棚として使用でき、未使用時には背壁及び左右側壁を折り畳むことで倉庫等での保管性をよくすることができる。整理棚の折り畳みに際しては、背壁及び左右側壁を底壁上に内倒れさせるため、折り畳み時の平面サイズを底壁の平面サイズ相当にとどめることができ、倉庫等に保管するときの占有面積を従来例よりも小さくすることができる。また、請求項1の折り畳み整理棚によれば、各側壁の起立時に、各側壁の後端部近傍に設けられた背壁係合部を起立した背壁の端部に係合させると共に、各側壁の前端部近傍に設けられた起立ロック部材をロック位置に配置し、その側壁に対応する左側又は右側土手部の前端部近傍に設けられた起立ロック用係合凹部にロック部材の一部を係入させることで、各側壁の後端部が背壁に支えられると共に、各側壁の前端部が起立ロック部材を介して底壁の左側又は右側土手部に対し内倒れ不能に係合する。その結果、各側壁が起立位置にロックされ、側壁に外力が加わった場合でも側壁がぐらついたり意に反して内倒れしたりするのを防止できる。他方、各側壁の起立ロック部材をロック位置からアンロック位置に切り替えることで、起立位置ロックを解除して側壁を内倒れさせることが可能になる。
請求項2の折り畳み整理棚によれば、背壁を底壁の後縁側土手部に連結するヒンジ機構よりも、左右の側壁を底壁の左側及び右側土手部にそれぞれ連結するヒンジ機構の方が高い位置にあるため、背壁を底壁上に内倒れさせた後、左右の側壁を起立位置から内倒れ位置に切り替え配置することで、折り畳み済みの背壁の上に左右の側壁を重ねるようにして折り畳むことができる。従って、折り畳み時の平面サイズを底壁の平面サイズ相当にとどめることができ、倉庫等に保管するときの占有面積を従来例よりも小さくすることができる。
請求項3の折り畳み整理棚によれば、複数個の折り畳み整理棚の段積み時に最下段に位置する整理棚の底壁の左側又は右側土手部が負担する荷重を下支えするための土手下凸部が、底壁の左側土手部及び右側土手部の各々の直下において段差(S)の一部を埋めるように設けられている。従って、整理棚が最下段に位置する場合でも、その最下段の整理棚の垂直荷重に対する圧縮強度が向上し、底壁の左側及び右側土手部(側壁が起立位置にある場合には、左側及び右側土手部並びに左右の側壁)の変形や破損を防止することができる。更に請求項5によれば、背壁及び左右側壁が折り畳まれた整理棚の複数個を段積みする際に、下段の整理棚の底壁の左側及び右側土手部の各々の上部に露出している折り畳み時位置決め用凹部に対し、その下段整理棚の上段に位置する他の整理棚の底壁の左側及び右側土手部の各々の直下に設けられた土手下凸部をそれぞれ係合させることにより、下段整理棚に対する上段整理棚の水平方向位置決めを正確に行うことができる。従って、背壁及び左右側壁が折り畳まれた整理棚を段積みする際の作業効率を高め、且つ段積み完了時の安定性を確保することができる。
請求項4の折り畳み整理棚によれば、背壁及び左右側壁が起立した整理棚の複数個を段積みする際に、下段の整理棚の左右側壁の各々の上端部に設けられた起立時位置決め用凹部に対し、その下段整理棚の上段に位置する他の整理棚の底壁の左側及び右側土手部の各々の直下に設けられた土手下凸部をそれぞれ係合させることにより、下段整理棚に対する上段整理棚の水平方向位置決めを正確に行うことができる。従って、背壁及び左右側壁が起立した整理棚を段積みする際の作業効率を高め、且つ段積み完了時の安定性を確保することができる。
請求項5の折り畳み整理棚によれば、合成樹脂製の底壁本体の前縁部近傍に、底壁の左右方向長にほぼ匹敵する長さの金属棒材が装着されていることで、底壁本体の前縁部近傍が金属棒材によって強度的に補強される。また、背壁及び左右側壁が起立した整理棚の複数個を段積みした際、上段に位置する整理棚の底壁本体の前縁部近傍に装着された金属棒材の左右両端部が、その下段に位置する他の整理棚の左右側壁の上端部によってそれぞれ支持される。即ち、上段整理棚の底壁本体上に物を載せたときの荷重が、下段整理棚の起立した背壁及び/又は左右側壁によって支えられるのみならず、下段整理棚の左右側壁によって両端支持された上段整理棚の金属棒材によっても支えられるため、物を載せている底壁本体の撓みや変形を防止することができる。
請求項6の折り畳み整理棚によれば、金属棒材を底壁本体の収容溝及びトンネル状保持部に挿通することで、金属棒材を底壁本体に対し簡単に装着することができる。
請求項7の折り畳み整理棚によれば、底壁本体下面の収容溝に収容されトンネル状保持部に保持された金属棒材の左右方向移動が、底壁に取り付けた抜け止め防止具によって規制され、収容溝又はトンネル状保持部から抜け出ることが防止される。従って、金属棒材を底壁本体に対し比較的簡単に固定することができる。他方、廃棄時には、抜け止め防止具を底壁から取り外し、底壁本体から金属棒材を分離させることで、合成樹脂製の底壁と金属棒材とを容易に分別することができる。
請求項8の折り畳み整理棚によれば、底壁本体と後縁側土手部とが結合する部位の内角部には載置物品との干渉回避用の溝が設けられ、その溝は、底壁本体の上面と、起立位置にある背壁の正面とを分断してこれら二つの面を不連続な直交関係におくものである。このため例えば、角のある多数の書類物品(例えばハガキ)を、底壁本体の上面と起立した背壁の正面とによって形成される直角コーナーを利用して整理する場合でも、書類物品の角部は干渉回避用の溝に臨み、その角部が底壁本体の上面や背壁の正面に直接接触することがないので、整理作業時に書類物品の角部を傷めるおそれがない。
以下、本発明を郵便ハガキ整理用の折り畳み整理棚に具体化した一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の折り畳み整理棚は、平面矩形状の底壁1と、底壁1の一長辺に対応する底壁の後側縁部に沿って立設される背壁3と、底壁1の二つの短辺に対応する底壁の左右の側縁部に沿ってそれぞれ立設される左右一対の側壁5とを備えている。底壁1、背壁3及び左右の側壁5はいずれも合成樹脂の成形品である。
図3に示すように、底壁1は、平面形状が横長な矩形状の底壁本体10を母体とする。底壁本体10の上面11は、物品(郵便ハガキ)の載置面として概して平らに形成され、底壁本体10の下面(裏面)には、縦横に延びる複数の補強リブ12が形成されている。但し底壁本体の上面11の一部には、横断面が皿形状の浅い窪み13が形成されている。この窪み13は、郵便ハガキが倒れたときでもそのハガキの下に手指を差し入れ易くするためのものである。
図3(A)に示すように、底壁本体10の上面側には、底壁1の後側縁部に沿って後縁側土手部14が設けられると共に、底壁1の左右の側縁部に沿って左側及び右側土手部17がそれぞれ設けられている。底壁本体の上面11からの後縁側土手部14の突出高は、背壁3の厚さと同等であり、底壁本体の上面11からの左側及び右側土手部17の各突出高は、背壁3の厚さと側壁5の厚さとをあわせた高さよりも若干高くなっている。
後縁側土手部14には、複数のヒンジ用係合凹部15(本例では7つ)及び左右二つの干渉回避用凹部16が形成されている。各ヒンジ用係合凹部15は、後縁側土手部14の上方及び正面側に開口しており、背壁3のヒンジ用係合凸部33(図4参照)を係入させる部位である。干渉回避用凹部16は、後縁側土手部14の上方及び背面側に開口しており、折り畳み時に側壁5との機械的干渉を回避するためのものである。
左側及び右側土手部17の各々には、二つのヒンジ用係合凹部18並びに第1及び第2の折り畳み時位置決め用凹部19,20が形成されている。各ヒンジ用係合凹部18は、各土手部17の上方及び内面側に開口しており、側壁5のヒンジ用係合凸部53(図5参照)を係入させる部位である。第1の折り畳み時位置決め用凹部19は、左右の各土手部17の後端コーナー部(即ち後縁側土手部14の左又は右端部に連続する部分)に位置すると共に、少なくとも土手部17の上方に開口する凹部である。第2の折り畳み時位置決め用凹部20は、左右の各土手部17の前端部近傍に位置すると共に、土手部17の上方及び内面側に開口する凹部である。第1及び第2の折り畳み時位置決め用凹部19,20は、背壁3及び側壁5が折り畳まれた整理棚の段積み時に整理棚の水平方向位置決めに関与する。なお、第1及び第2の折り畳み時位置決め用凹部19,20の各底面は同じ高さに位置しており、その高さ(底壁本体上面11からの高さ)は、背壁3の厚さと側壁5の厚さとをあわせた高さにほぼ等しい(図2(A)参照)。
更に、左側及び右側土手部17の各々の前端部近傍には、起立ロック用係合凹部21が形成されている。各起立ロック用係合凹部21は、上記第2の折り畳み時位置決め用凹部20の内部にあってその凹部20の底面上に開口しており、その底面から垂直方向下向きに所定の深さを有している(図3(A)及び図7(B)参照)。
図2(B)及び図3(A)に示すように、底壁本体10と左右土手部17とが結合する部位の外角部であって各土手部17の直下には、段差Sがそれぞれ形成されている。この段差Sは、左右土手部17の水平な下面と底壁本体10の垂直な左又は右端面とにより区画されて正面L字形をなすと共に、各土手部17の直下に、当該土手部17の長手方向に延びる段差状の空間を提供するものである。段差Sが存在することで、左右土手部17の下面は底壁本体10の最下面よりも高い位置にある。なお、左右土手部17の直下の各段差Sは、整理棚の段積み時、上段の整理棚と下段の整理棚との相互係合に関与する(図10,11を参照して後述する)。そして左右の各土手部17の直下には、それぞれの段差Sの一部を埋めるように、第1及び第2の土手下凸部22,23が形成されている。
第1の土手下凸部22は、左右の各土手部17の後端コーナー部の直下(より具体的には第1の折り畳み時位置決め用凹部19のほぼ真下)に位置すると共に、第1の折り畳み時位置決め用凹部19に対し垂直方向に嵌合可能な略直方体形状をなしている。第2の土手下凸部23は、左右の各土手部17の前端部近傍の直下(より具体的には第2の折り畳み時位置決め用凹部20のほぼ真下)に位置すると共に、第2の折り畳み時位置決め用凹部20の内壁面に当接可能な略直方体形状をなしている。また、第2の土手下凸部23は、左右方向に貫通するトンネル形状をなしている。第1及び第2の土手下凸部22,23は、段積みに際して整理棚の水平方向位置決めに関与すると共に、段積み時に最下段に位置する整理棚の底壁1の左右土手部17が負担する荷重を下支えするための部位である。なお、第1及び第2の土手下凸部22,23が段差Sの一部を埋めるように設けられた結果、これら土手下凸部22,23の下面と底壁本体10の下面とは面一となっている。
図3(A)に示すように、底壁本体10と後縁側土手部14とが結合する部位の内角部には、載置物品との干渉回避用の溝24が、底壁本体10と後縁側土手部14との境界に沿って延びるように形成されている。特に図8に示すように、この溝24の後縁側を区画する後縁側土手部14の正面14aは、起立した背壁3の正面31よりも若干後退した位置にある。つまり、この溝14は、底壁本体の上面11に対して窪んでいるのみならず、起立した背壁の正面31に対しても窪んだ横断面形状を有している。その結果、この溝14は、底壁本体の上面11と、起立した背壁の正面31とを分断してこれら二つの面11,31を不連続な直交関係においている。
図3(B)に示すように、底壁本体10の下面側であって、底壁1の一長辺に相当する底壁本体10の前縁部の近傍には、強度補強用の金属棒材としての金属パイプ25が装着されている。この金属パイプ25は、底壁1の左右方向長にほぼ匹敵する長さを有している。底壁本体10の下面側には、左右方向に延びる二つの平行な補強リブ12の間において、金属パイプ25を収容するための収容溝26が確保されている。そして、その収容溝26の中程、左端付近及び右端付近の3箇所にそれぞれ、金属パイプ25を当該収容溝26内に保持するためのトンネル状保持部27が設けられている。各トンネル状保持部27は、その内部に金属パイプ25を挿通し得るようなトンネル形状をなしている。従って、底壁本体内に設けられた収容溝26に対し、その一方の端から他方の端に向けて金属パイプ25を挿通することで、3つのトンネル状保持部27により金属パイプ25は底壁本体10から脱落しないように保持される。
なお、図2(B)に示すように、収容溝26の左端付近及び右端付近に設けられた2つのトンネル状保持部27はそれぞれ、左及び右の第2土手下凸部23とつながっている。前述したように、第2土手下凸部23は左右方向に貫通するトンネル形状をなしているため、各第2土手下凸部23は、左又は右のトンネル状保持部27を外方向に延長したトンネル状保持部27の延長部とみなすこともできる。あるいは、第2土手下凸部23は、収容溝26の端部付近に位置するトンネル状保持部27を兼ねているとも言える。本実施形態では、収容溝26への金属パイプ25の装着時には、金属パイプ25の左右端部が左右の第2土手下凸部23のトンネル内に収容されるため、金属パイプ25の左端部及び右端部は、底壁の左側及び右側土手部17の直下にそれぞれ位置することになる。
図3(A)に示すように、底壁本体の上面11の中央付近であって前記中央のトンネル状保持部27の直上には、小窓状の開口部28が形成されている。この開口部28は、中央のトンネル状保持部27を底壁本体10と樹脂一体成形する際に成形型の型抜きのために必要となる開口である。本実施形態では、この小窓状の開口部28を塞ぐために、合成樹脂製の蓋29が底壁本体10に装着されている。
図4に示すように、背壁3は、ある程度厚みのある平盤状の部材であり、その正面31は平らな面として形成され、その背面(裏面)には、縦横に延びる複数の補強リブ32が形成されている。背壁3の下端部には、複数のヒンジ用係合凸部33(本例では7つ)が形成されている。これらのヒンジ用係合凸部33を底壁の後縁側土手部14に設けられたヒンジ用係合凹部15に係入させることで、背壁3が底壁上に内倒れ可能に連結される。即ち本実施形態では、底壁の後縁側土手部14のヒンジ用係合凹部15と背壁3のヒンジ用係合凸部33とにより、背壁3を底壁1上に内倒れ可能に連結するためのヒンジ機構H1が構成される。このヒンジ機構H1の働きにより、背壁3は、底壁1に対し垂直に起立する起立位置(図1(A))と、底壁1上に重なるように平行に倒れる内倒れ位置(図1(B))との間の約90度の回動範囲を切り替え配置可能となっている。
背壁3の左右端部には、側壁5との係合及び連結に関与する側壁係合部34がそれぞれ設けられている。各端部の側壁係合部34は、正面側及び端面側に開口した係合凹部35と、その係合凹部35の上下に位置すると共に後方に向けて突出する上下一対の係合突起36とを有している。また、背壁3の左右各端部の上端部には、上方、正面側及び外端面側の3方向に開口した凹部37が切り欠き形成されている。この背壁端部上端凹部37は、背壁3及び側壁5の起立時に、側壁5の後記第1の起立時位置決め用凹部61と合体して背壁3における補助的な起立時位置決め用凹部として機能する。
図1及び図5〜図7に示すように、左右の側壁5は、ある程度厚みのある平盤状の部材であり、その内面51(相手側側壁と対向する面)は平らな面として形成され、側壁の外面側には、縦横に延びる複数の補強リブ(52,63〜66)が形成されている。なお、左の側壁5と右の側壁5とは、互いに鏡像の関係にある対称な部材である点を除き等価な存在なので、以下では右の側壁5に着目して説明する。
図5(A)及び(B)に示すように、側壁5の下端部には、複数のヒンジ用係合凸部53(本例では2つ)が形成されている。これらのヒンジ用係合凸部53を底壁1の左側又は右側土手部17に設けられたヒンジ用係合凹部18に係入させることで、側壁5が底壁1上に内倒れ可能に連結される。即ち本実施形態では、底壁の左右土手部17のヒンジ用係合凹部18と側壁5のヒンジ用係合凸部53とにより、側壁5を底壁1上に内倒れ可能に連結するためのヒンジ機構H2が構成されている。このヒンジ機構H2の働きにより、各側壁5は、底壁1に対し垂直に起立する起立位置(図1(A))と、底壁1上に略平行に倒れる内倒れ位置(図2(A)及び(B))との間の約90度の回動範囲を切り替え配置可能となっている。なお、本実施形態では、底壁の後縁側土手部14よりも底壁の左右土手部17の方が高い結果、背壁用のヒンジ機構H1よりも側壁用のヒンジ機構H2の方が高い位置にある。それ故、整理棚の完全折り畳み時には、底壁1上に予め倒された背壁3の上に、左右の側壁5が重なるように倒されることになる。
図5(A)に示すように、側壁5の後端部には、背壁3との係合及び連結に関与する背壁係合部54が設けられている。この背壁係合部54は、側壁5の内側に突設された突出部55と、その突出部55よりも若干前側に位置する弾性係合片57とを有している。背壁係合部の突出部55の上端部及び下端部には、少なくとも前方に開口した上下一対の係合孔56が形成されている。これら一対の係合孔56は、背壁3の側壁係合部34における上下一対の係合突起36に対応する。背壁係合部の弾性係合片57は、前記上下一対の係合孔56の中間の高さに位置し、自由端(先端)を突出部55に向け固定端(基端)を側壁前端側に向けた弾性片であり、その自由端は側壁5の内外方向(即ち左右方向)に弾性変形可能となっている。弾性係合片57の自由端には、三角柱状の係合凸部58が形成されている。この三角柱状の係合凸部58は、背壁3の側壁係合部34における係合凹部35に係入可能となっている。三角柱状の係合凸部58の正面に位置する傾斜面は、弾性係合片57の弾性変形を誘導又は誘発する変形ガイド面として機能する。なお、側壁5の上端寄り位置には、側壁5に穴を貫通形成してできた持ち手部59が設けられている。
図5(A)及び(B)に示すように、側壁5の上端部には、第1及び第2の起立時位置決め用凹部61,62が形成されている。第1の起立時位置決め用凹部61は、側壁上端の後端部に位置すると共に、側壁5の上方及び内面側に開口している。背壁3及び側壁5の起立時、第1の起立時位置決め用凹部61は、上記背壁端部上端凹部37と合体して、その整理棚の上に段積みされる他の整理棚の第1の土手下凸部22を垂直方向に嵌合可能な凹部を構成する。第2の起立時位置決め用凹部62は、側壁上端の前端部近傍に位置すると共に、側壁5の上方及び内面側に開口している。背壁3及び側壁5の起立時、第2の起立時位置決め用凹部62は、それ単独で、その整理棚の上に段積みされる他の整理棚の第2の土手下凸部23を垂直方向に嵌合可能な凹部を構成する。第1の起立時位置決め用凹部61及び背壁端部上端凹部37、並びに、第2の起立時位置決め用凹部62は、背壁3及び側壁5が起立した整理棚の段積みの際に整理棚の水平方向位置決めに関与する。
図6(A)及び(B)に示すように、側壁5の前端部近傍には、起立ロック部材70が垂直スライド可能に装着されている。具体的には図5(B)及び図6に示すように、側壁5の前から第1及び第2番目の垂直リブ63,64並びに下から第1及び第2番目の水平リブ65,66に囲まれて区画された保持可動領域Rが側壁5の前端部近傍に確保され、その保持可動領域Rに起立ロック部材70が装着されている。
保持可動領域Rを区画している第1水平リブ65の直下には、略直方体状の保持ブロック67が形成されている。この保持ブロック67の内部には、起立ロック部材70を挿通するための貫通孔68が垂直に貫通形成されている。なお、保持ブロック67は、側壁5の起立時には左右土手部17の第2折り畳み時位置決め用凹部20に受容されて当該凹部20を完全に閉塞する一方、側壁5の内倒れ時には左右土手部17の第2折り畳み時位置決め用凹部20から離脱する。そして側壁5の起立時には、第2折り畳み時位置決め用凹部20の底面に着座した保持ブロック67の貫通孔68が、第2折り畳み時位置決め用凹部20の底面上に開口した起立ロック用係合凹部21に連結され、保持可動領域Rと起立ロック用係合凹部21とが貫通孔68を介して垂直連通する(図7(B)参照)。
図7(A)に示すように、起立ロック部材70は、縦長な薄板状の本体71及びその本体71の上端に設けられたヘッド部72を備えた合成樹脂の一体成形品である。起立ロック部材の本体71の前後長は、保持ブロック67の貫通孔68の前後長にほぼ対応する。起立ロック部材の本体71にはその後縁側の高さ方向中程において、弾性係合片73が設けられている。弾性係合片73は、自由端(先端)を上に向け固定端(基端)を下に向けた弾性片であり、その自由端は側壁5の前後方向(図7では左右方向)に弾性変形可能となっている。弾性係合片73の自由端には係合突起74が設けられている。起立ロック部材のヘッド部72は、上記本体71よりも厚みのある直方体形状に形成されており、本体71から手前側(側壁5の外面側)に向けて若干突出している(図6参照)。ヘッド部72には、手指を掛けるための指掛け部75が凹設されている。
図5〜図7に示すように、起立ロック部材用の保持可動領域Rを区画している第2垂直リブ64の前面側には、上側係合凸部77及び下側係合凸部78が設けられている。下側係合凸部78は第1水平リブ65とほぼ同じ高さにあり、下側係合凸部78の下半部は保持ブロックの貫通孔68内に存在する。
保持可動領域Rに起立ロック部材70を装着したとき、その本体71の下端部が保持ブロックの貫通孔68内に進入すると共に、ヘッド部72の前端が第1垂直リブ63に当接し且つ弾性係合片73の係合突起74が第2垂直リブ64に当接することで、起立ロック部材70の前後方向への姿勢の安定が図られる。そして、図6(A)及び図7(B)に示すように、起立ロック部材の弾性係合片73の係合突起74が第2垂直リブ64の上側係合凸部77の上に乗り上げることで、起立ロック部材70は、そのヘッド部72が第2水平リブ66にほぼ当接すると共に本体71の下端部が保持ブロックの貫通孔68内に収まった上限位置に配置される。この上限位置では、起立ロック部材70の下端部が起立ロック用係合凹部21の外(上)にあり同凹部21に係入していないので、側壁5の前端部は底壁1の左右土手部17に対しロックされない。この意味で、図6(A)及び図7(B)に示す起立ロック部材70の上限位置を「アンロック位置」と呼ぶ。
アンロック位置にある起立ロック部材70のヘッド部指掛け部75に手指を掛け、これを強く押し下げると、弾性係合片73の係合突起74が上側及び下側係合凸部77,78を乗り越え、起立ロック部材70が図6(B)及び図7(C)に示す下限位置に切り替わる。この下限位置では、弾性係合片の係合突起74が下側係合凸部78の下に位置すると共に、起立ロック部材70のヘッド部72が第1水平リブ65(又は保持ブロック67の上面)に当接して起立ロック部材70の更なる下動を規制する。また、起立ロック部材70の下端部が起立ロック用係合凹部21内に深く進入して同凹部21との間に係合関係を構築する。その結果、側壁5の前端部は底壁1の左右土手部17に対して内倒れ不能にロックされ、側壁5は起立位置にロックされる。この意味で、図6(B)及び図7(C)に示す起立ロック部材70の下限位置を「ロック位置」と呼ぶ。
なお、ロック位置にある起立ロック部材70のヘッド部指掛け部75に手指を掛け、弾性係合片73の弾性に抗してその係合突起74が上側及び下側係合凸部77,78を乗り越えられるほど強く引き上げることで、起立ロック部材70の下端部が起立ロック用係合凹部21から離脱し、起立ロック部材70はアンロック位置に戻される。
[実施形態の作用及び効果]
次に、本実施形態の折り畳み整理棚の使用方法や利点等について説明する。
この折り畳み整理棚は、図1(A)のように背壁3及び左右側壁5を起立させた状態で使用される。これを折り畳むには先ず、背壁左右端の側壁係合部34と各側壁5の背壁係合部54との係合を解除し、図1(B)のように背壁3を底壁1上に内倒れさせる。続いて、起立ロック部材70がアンロック位置に配置された各側壁5を内倒れさせ、図2(A)及び(B)のように内倒れ位置に切り替えることで、予め内倒れさせた背壁3の上に左右の側壁5を重ねる。このとき、各側壁5の背壁係合部54が底壁1の後縁側土手部14の左右の干渉回避用凹部16に受容されるため(図2(B)参照)、各側壁5を底壁1及び背壁3に対し平行に配置することができる。図2の折り畳み完了時には、整理棚の平面サイズを底壁1の平面サイズ相当にとどめることができるため、倉庫等に保管するときの占有面積を従来例よりも小さくすることができる。
図2のように折り畳まれた整理棚を使用可能な状態に立体化するには先ず、左右の側壁5を内倒れ位置から起立位置に切り替える。この切り替えによって、図1(B)のように左右の各側壁5が底壁の左右土手部17の上に直立すると共に、左右土手部17の第2折り畳み時位置決め用凹部20に対し各側壁5の保持ブロック67が嵌入する(図7(B)参照)。続いて、各側壁5の起立ロック部材70をアンロック位置からロック位置(図6(B)及び図7(C)参照)に垂直スライドさせ、起立ロック部材70の下端部を左右土手部17の起立ロック用係合凹部21に係入させる。この係入により、各側壁5の前端部が起立ロック部材70を介して底壁の左右土手部17に対し内倒れ不能となる。
更に、背壁3を内倒れ位置から起立位置に切り替える。背壁3を立ち上げる過程で、背壁の側壁係合部34の一部が各側壁5の弾性係合片57の係合凸部58を押圧し、弾性係合片57を外方向に弾性変形させる。そして、背壁の側壁係合部34が上記係合凸部58を乗り越え、背壁3が起立位置に達すると、背壁の側壁係合部34における一対の係合突起36が側壁の背壁係合部54における一対の係合孔56に係入すると共に、背壁の側壁係合部34の係合凹部35に対して弾性復帰した弾性係合片57の係合凸部58が係合し、当該係合凸部58と突出部55との間に背壁の側壁係合部34の一部が配置される。こうして、背壁3の左右の側壁係合部34と、左右各側壁5の背壁係合部54との相互係合が完了する。
本実施形態によれば、起立した背壁3及び左右側壁5は、上記側壁係合部34と背壁係合部54との相互係合に基づいて互いに起立位置で支えあう。特に各側壁5にあっては、その後端部近傍に設けられた背壁係合部54を起立した背壁3の側壁係合部34に係合させることで各側壁5の後端部が背壁3に支えられることに加えて、各側壁5の前端部が、起立ロック部材70を介して底壁の左右土手部17に対し内倒れ不能に支えられる。つまり、各側壁5はその前後両端部で二点支持される。このため、側壁5に外力が作用しても側壁5は倒れない。少なくとも起立ロック部材70によって各側壁5が起立位置にロックされるため、外力によって側壁5がぐらついたり、意に反して内倒れしたりすることはない。なお、上記の説明では、背壁3の起立操作に先立ち起立ロック部材70をロック位置に切り替える旨述べたが、起立ロック部材70の切り替え操作と背壁3の起立操作との間の手順を前後させても何ら変わらないことは、言うまでもない。
なお、手指等で各弾性係合片57を外方向に変形させ、弾性係合片57の係合凸部58を側壁係合部34の係合凹部35から離脱させることで、背壁3と側壁5との係合が解除され、背壁3を内倒れさせることが可能になる。また、各側壁5の起立ロック部材70をロック位置からアンロック位置(図6(A)及び図7(B)参照)に切り替えることで起立ロックが解除され、側壁5を内倒れさせることが可能になる。
本実施形態の整理棚によれば、図10(A)に示すように、背壁3及び左右側壁5が起立した整理棚を複数個上下に段積みして使用することができる。段積みに際しては図10(B)に示すように、下段整理棚の各側壁5の上部後端部付近において第1起立時位置決め用凹部61と背壁端部上端凹部37とが合体してできた起立時位置決め用凹部(61,37)に対し、上段整理棚の第1土手下凸部22を嵌合させると共に、下段整理棚の各側壁5の上部前端部付近に位置する第2起立時位置決め用凹部62に対し、上段整理棚の第2土手下凸部23を嵌合させる。これらの凹凸嵌合によって、下段整理棚に対して上段整理棚が水平方向(即ち前後方向及び左右方向)に正確に位置決めされる。
図10(A)の段積み時には、下段整理棚の左右側壁5の上に上段整理棚の底壁1の左右の段差Sがそれぞれ腰掛けるように段積みされ、下段整理棚の左右側壁5の上端面に上段整理棚の左右土手部17の下面が当接する。その結果、上段整理棚の荷重が下段整理棚の左右側壁5に伝達され、下から2段目以上にある整理棚の左右側壁5が支える垂直荷重の全てが最下段の整理棚の左右側壁5に波及する。但し本実施形態では、最下段の整理棚の各側壁5及びそれぞれに対応する左右土手部17が負担する荷重を、底壁1の左右土手部17直下の第1及び第2土手下凸部22,23が下支えする。それ故、垂直荷重の集中によって最下段整理棚の左右土手部17やその直上の側壁5が変形したり破損したりするのを極力防止することができる。
また図10(A)の段積み時には、図9に示すように、下段整理棚の各側壁5の第2起立時位置決め用凹部62に対し上段整理棚の第2土手下凸部23が嵌合する結果、上段整理棚の金属パイプ25の左右両端部が、下段整理棚の左右側壁5の各上端部に位置する第2起立時位置決め用凹部62によって間接的に支持される。つまり、上段整理棚の底壁本体10上に物を載せたときの荷重が、下段整理棚の起立した背壁3及び左右側壁5によって支えられるのみならず、下段整理棚の左右側壁5により両端支持された上段整理棚の金属パイプ25によっても支えられる。このように金属パイプ25が存在することにより、物を載せたときの上段整理棚の底壁本体10の撓みや変形を防止することができる。
本実施形態の整理棚によれば、図11(A)に示すように、背壁3及び左右側壁5が折り畳まれた整理棚を複数個上下に段積みして保管することができる。各整理棚の底壁1の左右土手部17に設けられた第1及び第2の折り畳み時位置決め用凹部19,20は、側壁5が起立位置にあるときには当該側壁5の下に隠されているが、側壁5が内倒れ位置にあるときには左右土手部17の上部に露出する。それ故、段積みに際しては図11(B)に示すように、下段整理棚の底壁1の左右土手部17の各後端コーナー部に露出している第1折り畳み時位置決め用凹部19に対し、上段整理棚の第1土手下凸部22を嵌合させると共に、下段整理棚の底壁1の左右土手部17の各前端部近傍に露出している第2折り畳み時位置決め用凹部20に対し、上段整理棚の第2土手下凸部23を係合させ、凹部20の直立内壁面に対し凸部23の直立外壁面を当接させる。これらの凹凸嵌合及び凹凸係合(直立内外壁面間の相互当接)によって、下段整理棚に対して上段整理棚が水平方向(即ち前後方向及び左右方向)に正確に位置決めされる。
図11(A)の段積み時には、下段整理棚の左右土手部17の上に上段整理棚の底壁1の左右の段差Sがそれぞれ腰掛けるように段積みされ、下段整理棚の左右土手部17の上面に上段整理棚の左右土手部17の下面が当接する。その結果、上段整理棚の荷重が下段整理棚の左右土手部17に伝達され、下から2段目以上にある整理棚の左右土手部17が支える垂直荷重の全てが最下段の整理棚の左右土手部17に波及する。但し本実施形態では、最下段の整理棚の左右土手部17が負担する荷重を、底壁1の左右土手部17直下の第1及び第2土手下凸部22,23が下支えする。それ故、垂直荷重の集中によって最下段整理棚の左右土手部17が変形したり破損したりするのを極力防止できる。
なお、各整理棚の側壁5における起立ロック部材70のヘッド部72は常に保持可動領域R内に収まっており、ヘッド部72の外端面は保持可動領域Rを囲んでいる3つのリブ3,64及び65の外端面から外にはみ出していない。それ故、図11(A)のように段積みした場合でも、下段整理棚の起立ロック部材70が上段整理棚の底壁本体10の下面に干渉することはない。
更に本実施形態によれば、底壁本体10と後縁側土手部14とが結合する部位の内角部には載置物品との干渉回避用の溝24が設けられ、その溝24は、底壁本体の上面11と、起立した背壁の正面31とを分断してこれら二つの面11,31を不連続な直交関係におくものである(図8参照)。それ故、角のある多数の書類物品(例えばハガキ)を立てて、底壁本体上面11と背壁正面31とによって形成される直角コーナーを利用して整理する場合でも、各書類物品の角部は干渉回避用の溝24に臨み、その角部が底壁本体上面11や背壁正面31に直接接触することがないので、整理作業時に書類物品の角部を傷めるおそれがない。
[その他の実施形態]
上記実施形態以外のその他の実施形態や別例について簡単に説明する。
底壁本体10の上面に郵便ハガキを立てた場合の滑り止め手段を設けてもよい。例えば図12(A)に示すように、底壁本体10の上面に、例えばゴム製の帯状の滑り止め部材81を装着してもよい。あるいは図12(B)に示すように、底壁本体10の上面の斜線を付した部分82にシボ加工を施し、シボを滑り止めとして機能させてもよい。
図1〜図11の折り畳み整理棚に対し、金属パイプ25の抜け止め防止構造を付加してもよい。図13はその第1案を示し、図14はその第2案を示す。
図13(A)及び(B)に示すように、底壁本体10の上面の開口部28を塞ぐための蓋29の下面側(即ち金属パイプ25と対面する側)に、蓋29の幅方向(即ち蓋の底壁本体への装着時に金属パイプ25と直交する方向)に延びる複数条の突条83,84(図では5条)を形成する。これら5つの突条のうち中心に位置する突条83を除く4つの突条84には、金属パイプ25の外周面形状に対応した湾局面を有する凹部85をそれぞれ形成する。その一方で、中心に位置する突条83には前記凹部85のようなものは一切形成せず、当該突条83の中央部が、他の4つの突条84の凹部85に対して相対的に突出した部位とする。また図13(C)に示すように、金属パイプ25の一部(同図の場合、金属パイプ25の長手方向中心部)にクビレを設けて環状凹部25aを付与する。そして金属パイプ25及び蓋29の底壁本体10への装着時に、前記4突条の凹部85を金属パイプ25の外周面に当接させると共に、前記中心に位置する突条83の中央部を金属パイプの環状凹部25aに係合させる。この係合により、金属パイプ25の左右方向移動を規制して、金属パイプ25が収容溝26及びトンネル状保持部27から抜け出るのを防止することができる。図13の例では、蓋29が抜け止め防止具として機能し、蓋29と金属パイプの環状凹部25aとによって抜け止め防止構造が構築される。
図14(A)〜(D)に示すように、底壁本体10の端に位置する第2土手下凸部23(トンネル状保持部27を兼ねる)に対し、固定キャップ90を装着してもよい。即ち、固定キャップ90は、その両側に一対のスライド嵌合凸部91と一対の係合突起92とを有する合成樹脂の成形品である。他方、底壁1の左右土手部17には、固定キャップの両スライド嵌合凸部91に対応する一対のスライド嵌合凹部93を形成すると共に、第2土手下凸部23には、固定キャップの両係合突起92に対応する一対の係合凹部94を切り欠き形成する。そして、底壁側の両スライド嵌合凹部93及び両係合凹部94に対して、固定キャップ90の両スライド嵌合凸部91及び両係合突起92をそれぞれにスライド嵌合及び係合させ、図14(D)に示すように、第2土手下凸部23のトンネル形状の開口端を固定キャップ90で塞ぐ。この固定キャップ90による閉塞により、金属パイプ25の左右方向移動を規制して、金属パイプ25が収容溝26及びトンネル状保持部27から抜け出るのを防止することができる。図14の例では、固定キャップ90が抜け止め防止具として機能し、固定キャップ90並びに底壁側のスライド嵌合凹部93及び係合凹部94によって抜け止め防止構造が構築される。
1…底壁、3…背壁、5…側壁、10…底壁本体、11…底壁本体の上面、14…後縁側土手部、17…左側及び右側土手部、19…第1の折り畳み時位置決め用凹部、20…第2の折り畳み時位置決め用凹部、21…起立ロック用係合凹部、22…第1の土手下凸部、23…第2の土手下凸部、24…干渉回避用の溝、25…金属パイプ25(金属棒材)、26…収容溝、27…トンネル状保持部、29…蓋(図13の抜け止め防止具)、31…背壁の正面、34…背壁の側壁係合部、54…側壁の背壁係合部、61…第1の起立時位置決め用凹部、62…第2の起立時位置決め用凹部、70…起立ロック部材、90…固定キャップ(図14の抜け止め防止具)、H1…背壁用のヒンジ機構、H2…側壁用のヒンジ機構、S…段差。