JP4888530B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、コイル部品などの電子部品に係り、さらに詳しくは、部品同士のくっつきや焼成炉への付着を有効に防止しながら形成された被覆膜を有する電子部品に関する。
電子部品の一例としてのコイル部品の小型化に伴い、必要な特性を得るために、従来のNi−ZnコアからMn−Znコアの使用が検討されている。ところが、Mn−Znコアは、絶縁性が低いために、コアの表面に直接に電極を設けることができないため、コアの表面に絶縁膜を設ける必要がある。絶縁膜としては、ガラスや樹脂が挙げられる。
このような絶縁膜は、たとえば、バレルコーティング法を用いてコア表面にガラス塗膜を形成し(特許文献1参照)、形成されたガラス塗膜を焼成することで得られる。このとき、ガラス塗膜は、その軟化点以上の温度で焼成されることが一般的である。そのため、焼成の過程でガラス塗膜が軟化し、部品同士のくっつきや焼成炉への付着によるガラス塗膜の欠けや膜厚バラツキが発生するおそれがある。さらに、軟化したガラス塗膜への異物の付着が課題になっている。
また、導電性ではないフェライトコア、バリスタ等の電子部品であっても、その耐環境性や絶縁性を高めるため、その表面に保護膜として被覆膜を形成することがある。そのため、欠けなどを生じることなく、しかも膜厚のバラツキや異物の付着を生じることなく、部品の表面全体に形成された被覆膜を有する電子部品が求められている。
特開2001−237135号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、被覆膜の欠けや膜厚バラツキを有効に防止すると共に、被覆膜への異物の付着などを有効に防止することができる電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る電子部品は、
部品本体と、前記部品本体の表面全体に形成された被覆膜と、を有する電子部品であって、
前記被覆膜は、少なくとも、前記被覆膜の表面側に存在する表層と、当該表層よりも内側に存在する内側層と、を有しており、
前記被覆膜は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも高い温度で、かつ前記表層ガラス成分の軟化点よりも低い温度で形成されており、
前記表層に含まれる表層ガラス成分の軟化点は、前記内側層に含まれる内側層ガラス成分の軟化点よりも高いことを特徴とする。
本発明の第1の観点によれば、被覆膜が形成される段階では、表層ガラス成分全体または少なくとも表層ガラス成分の最表面付近は軟化しないか、もしくは軟化の初期段階(最表面付近の粘度が低い状態)にしか至らないと考えられる。そのため、部品同士のくっつきや焼成炉への付着に起因する被覆膜の欠けや膜厚バラツキを有効に防止することができる。また、被覆膜への異物の付着をも有効に防止することができる。
また、被覆膜形成時に、内側層ガラス成分は、ガラス化して部品本体の表面全体を覆いつつ、部品本体との密着性を確保することができる。
しかも、表層の表層ガラス成分も、それよりも内側に位置する内側層ガラス成分と同様にガラス化されて硬化する。すなわち、表層は保護膜としての機能も有する。
したがって、上記のようにすることで、被覆膜形成時の課題を解決しつつ、所望の特性に応じて、内側層と表層とに対して異なる特性を付与することができる。
第1の観点において、好ましくは、前記表層ガラス成分における修飾成分の含有量は、前記内側層ガラス成分における修飾成分の含有量よりも少ない。ガラス成分中の修飾成分、たとえば、アルカリ金属酸化物等は、ガラス成分の軟化点を低下させる傾向にある。したがって、上記のようにすることで、表層ガラス成分の軟化点を高く保つことができる。その結果、表層はめっき液に侵されがたくなる(耐めっき性)。そうすると、内側ガラス成分として、めっき液に侵されやすい組成のものも選択できるため、内側ガラス成分の組成は限定されない。
第1の観点において、好ましくは、前記表層ガラス成分の軟化点は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも30〜100℃高い。このような温度差を設けることで、本発明の効果が増進される。
第1の観点において、好ましくは、前記表層の厚みは、前記被覆膜の全厚みに対して、1/8〜1/2の範囲にある。このような表層の厚みに設定することで、本発明の効果が増進される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る電子部品は、
部品本体と、前記部品本体の表面全体に形成された被覆膜と、を有する電子部品であって、
前記被覆膜は、少なくとも、前記被覆膜の表面側に存在する表層と、当該表層よりも内側に存在する内側層と、を有しており、
前記表層は、セラミックの粒子が点在して形成され、前記セラミックの粒子の一部は前記内側層から突出して存在おり、
前記被覆膜は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも高い温度で、かつ前記セラミックの融点よりも低い温度で形成されており、
前記セラミックの融点は、前記内側層に含まれる内側層ガラス成分の軟化点よりも高いことを特徴とする。
本発明の第2の観点によれば、被覆膜が形成される段階では、表層に含まれるセラミックの全体または少なくともセラミックの最表面付近は溶融しない(最表面の硬度が変化しない)状態か、もしくは溶融の初期段階(最表面の硬度が若干低くなる)状態にしか至らないと考えられる。そのため、部品同士のくっつきや焼成炉への付着に起因する被覆膜の欠けや膜厚バラツキを有効に防止することができる。また、被覆膜への異物の付着をも有効に防止することができる。
したがって、上記のようにすることで、被覆膜形成時の課題を解決しつつ、所望の特性に応じて、内側層と表層とに対して異なる特性を付与することができる。
セラミックを選択することで、上記の効果に加え、所望の特性を得ることができる。
第2の観点において、好ましくは、前記セラミックの融点は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも30℃以上高い。このような温度差を設けることで、本発明の効果が増進される。
第2の観点において、前記セラミックの粒子径は、前記被覆膜の全厚みに対して、1/8〜1/2の範囲にある。粒子径を上記の範囲に設定することで、本発明の効果が増進される。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル部品の断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るコイル部品を製造するために用いるバレル装置の概略断面図である。 図3は、コイルを巻回した後のコイル部品の断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るコイル部品の被覆膜近傍を示す概略断面図である。 図5は、本発明の他の実施形態に係るコイル部品の断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
コイル部品
本発明の一実施形態に係るコイル部品の形状は、特に制限されず、たとえば、板状、棒状、筒状などが例示される。本実施形態では、コイル部品1は、図1に示すように、ドラムコア形状であり、部品本体2の表面全体に被覆膜が形成された構成を有している。
部品本体
この部品本体2は、円柱または角柱状の巻芯部4と、その巻芯部4の軸方向に沿って両側に一体的に形成してある一対の鍔部5とを有する。鍔部5の外径は、巻芯部4の外径よりも大きく、巻芯部4の外周には、鍔部5にて囲まれた凹部6が形成してあり、その凹部6に、後で、図3に示すように、ワイヤ30が巻回される。
部品本体2の寸法は特に制限されないが、本実施形態では、巻芯部4の外径は0.6〜1.2mm、巻芯部4の軸方向幅は0.3〜1.0mm、鍔部5の外径は2.0〜3.0mmであり、鍔部5の厚みは0.2〜0.3mm、鍔部5の外周表面から巻芯部4の外周表面までの深さは、0.5〜1.0mmである。なお、鍔部5の形状は、円形の他、四角形、八角形などでもよい。
部品本体2の材質としては特に制限されないが、本実施形態では、Mn−Znフェライト、パーマロイなどの軟磁性金属、金属圧粉などの導電性磁性材で構成してある。
被覆膜
被覆膜3は、本実施形態では、図1に示すように、被覆膜の表面側に位置する表層3bと、当該表層よりも内側に存在する内側層3aと、が膜厚方向に積層された構成を有している。図1では、被覆膜は、2層で構成されているが、3層以上で構成されていてもよく、たとえば、内側層3aと表層3bとの間に異なる層が形成されていてもよい。
内側層3aおよび表層3bはガラス成分を含んでおり、後述するように、内側塗膜および表面側塗膜が熱処理されて形成される。ガラス成分としては、非晶質の状態で形成されるもの、あるいは結晶化ガラスとして形成されるものであれば、特に制限されず、たとえばシリカ−ボロン系ガラスが挙げられる。具体的には、ホウケイ酸鉛系ガラス、ホウケイ酸ビスマス系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス等が例示される。
また、本実施形態では、表層3bに含まれるガラス成分(表層ガラス成分)の軟化点は、内側層3aに含まれるガラス成分(内側層ガラス成分)の軟化点よりも高くしてある。このようにすることで、内側塗膜および表面側塗膜を熱処理する工程において、部品同士のくっつきや焼成炉への付着による塗膜の欠けや膜厚バラツキが有効に防止される。また、塗膜への異物の付着も有効に防止される。なお、ガラス成分の軟化点は、たとえば示差熱分析により測定される。
さらに、被覆膜(内側層3aおよび表層3b)は、熱処理後にはガラス化されているため、部品本体の保護膜として機能する。なお、本実施形態では、ガラス化とは、連続された非晶質な個体膜で、結晶と同程度の剛性を持つ状態になることと定義される。
また、被覆膜に含まれるガラス成分が絶縁性を有している場合には、絶縁膜としても機能し、部品本体と、巻回されるワイヤとの短絡を防止することができる。
内側層ガラス成分の軟化点は、300℃以上800℃以下であることが好ましい。また、表層ガラス成分の軟化点は300℃以上920℃以下であることが好ましい。また、300℃以上と規定したのは、多くのガラス成分の軟化点が300℃以上であることによる。
また、表層ガラス成分の軟化点は、内側層ガラス成分の軟化点よりも30〜100℃高いことが好ましく、50〜80℃高いことがより好ましい。軟化点の差が小さすぎると、熱処理時において、表面側塗膜に含まれるガラス粉末(ガラス成分)の軟化が進みすぎてしまい、本発明の効果が得られにくい傾向にある。逆に、差が大きすぎると、表面側塗膜をガラス化するために、内側塗膜に対して、必要以上の熱を加えなくてはならないからである。
また、表層ガラス成分における修飾成分の含有量を、内側層ガラス成分における修飾成分の含有量よりも少なくすることが好ましい。このようにすることで、表層ガラス成分の軟化点を高く保ち、表層に耐めっき性を付与することができる。内側層ガラス成分としては、めっき液に浸食されやすいものも選択することができるため、内側層のガラス成分の組成は制限されず、部品本体に応じて最適なガラス成分を選択することができる。
ここで、修飾成分とは、ガラス構造に存在する網目構造の結合を弱める成分であり、この成分の含有量が多くなると、ガラス組成物の軟化点が低下する傾向にある。修飾成分としては、本実施形態では、アルカリ金属酸化物(NaO、KO)、アルカリ土類金属酸化物(CaO、MgO)などが挙げられる。
被覆膜3の厚みt3は、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜20μmである。また、表層3bの厚みt2は、好ましくは、被覆膜の全厚み(内側層の厚みt1+表層の厚みt2)の1/8〜1/2、より好ましくは1/5〜1/3である。被覆膜や、被覆膜を構成する表層の厚みを上記の範囲とすることで、上述した効果を高めることができる。
次に、本実施形態に係るコイル部品の製造方法の一例を説明する。
まず、部品本体2を構成する材料の原料を準備する。原料としては、部品本体を構成する材料がフェライトである場合には、酸化鉄、酸化亜鉛等の酸化物を用いればよい。あるいは焼成後に酸化物となるような各種化合物を用いてもよい。
次に、準備した原料およびバインダ樹脂等を混合し、その混合物を公知の成形方法により所定の形状に成形する。本実施形態ではドラムコア形状に成形し、コア部2の成形体を得る。なお、必要に応じて、原料を仮焼してもよいし、成形に適した形態とするために粉砕、造粒等を行ってもよい。また、この成形体に対し、必要に応じて脱バインダ処理等を行ってもよい。そして、得られた成形体を焼成し、焼結体(部品本体2)を得る。
上記では、部品本体がフェライトである場合における部品本体を得る方法について述べたが、部品本体がたとえばパーマロイ等である場合についても、公知の原料を用いて、公知の方法により部品本体を得ればよい。
次に、図2に示すバレル装置100を用いて、得られた部品本体2の表面に、ガラス成分、バインダ樹脂等から構成される内側塗膜および表面側塗膜を形成する。
図2に示すバレル装置100は、円柱状または角柱状のシリンダケーシング100aを有し、その中空の内部に、バレル容器102が、その軸芯回りに矢印A方向(またはその逆方向)に回転自在に収容してある。
ケーシング100aには、入口管103と出口管104とがそれぞれ形成してある。入口管103からは乾燥用気体がケーシング100aの内部に入り込み、出口管104からケーシング内部の空気を排出可能になっている。
バレル容器102の内部における軸芯位置には、スプレーノズル105が軸方向に沿って配置してあり、ノズル105から、バレル容器102の内部に貯留してある多数の部品本体2に向けてスラリー106を吹き付け可能になっている。バレル容器102は、矢印A方向に回転するために、部品本体2は、図2に示すような状態で存在し、バレル容器102の回転により撹拌される。
ノズル105は、部品本体2の集合に向けてスラリー106を噴霧することができるようになっている。なお、ノズル105からのスラリーの噴霧方向を自由に変えられるようにしても良い。また、ケーシング100aには、図示省略してある排出パイプが接続してあり、余分なスラリー106を排出可能になっている。
バレル容器102の壁には、外部と内部とを連通する多数の孔が形成してあり、ケーシング100aの下方に貯留してあるスラリー106は、バレル容器102の内部にも侵入し、そのスラリー106に部品本体2を浸漬することができる。また、乾燥用気体が入口管103からケーシング100aを通り出口管104へと流通する際には、バレル容器102の内部にも流通するようになっている。
まず、部品本体2を、図2に示すバレル容器102の内部に多数収容する。そして、バレル容器102を回転させ、部品本体2の集合を撹拌しながら、ノズル25からスラリー106を吹き付けて(塗布して)、内側塗膜および表面側塗膜を形成する。なお、余分なスラリー106は、図示省略してある排出パイプを通して排出される。
スラリー106は、上述したガラス成分の原料であるガラス粉末と、バインダ樹脂と、溶剤とを含む。さらにその他の添加物を含んでいてもよい。ガラス粉末は、ガラス成分を構成する酸化物、あるいはハロゲン化物等の非酸化物等の原料を混合、溶融し、急冷して非晶質の粉末とすればよい。また、ガラス粉末として、結晶化ガラスを用いてもよい。本実施形態では、ガラス粉末としてホウケイ酸系ガラスを用いる。ガラス粉末の平均粒径(メジアン径)は、特に限定されないが、好ましくは、0.1μm以上10μm以下の範囲である。
スラリー106に含まれるバインダ樹脂はポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール樹脂変性体、またはこれらの混合物であることが好ましい。このようにすることで、特に、内側塗膜は、部品本体2との密着性に優れる。
また、このスラリー106中におけるガラス粉末に対するバインダ樹脂の含有量は、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。
溶剤は、水を含むことが好ましい。溶剤は水のみでもよいが、ガラス粉末の表面と水との接触角が大きいときは、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール(IBA)等の水溶性のアルコールを一定の割合で混ぜることにより、ガラス粉末の凝集や沈降を抑制することが好ましい。
本実施形態では、部品本体2にスラリー106を吹き付ける際に、初期と終期とで、スラリー106に含まれるガラス粉末を変更する。具体的には、内側塗膜に含まれるべきガラス粉末を初期のスラリーに添加し、終期には、表面側塗膜に含まれるべきガラス粉末をスラリー106に添加する。すなわち、表面側塗膜に含まれるガラス粉末の軟化点が、内側塗膜に含まれるガラス粉末の軟化点よりも高くなるようにガラス粉末を変更する。
このようにすることで、部品本体2の表面に、軟化点の異なるガラス粉末を含む内側塗膜および表面側塗膜を形成することができる。
なお、軟化点が異なるガラス粉末は、ガラス粉末の種類を変化させて作製しても良い。ガラス粉末の種類が異なる場合というのは、鉛系やビスマス系のように、ガラス自体が異なる場合もあれば、添加物(たとえば、修飾成分)の量や種類が異なる場合もある。
ノズル105からスラリー106を吹き付ける処理時間は、特に限定されないが、たとえば30〜180分程度である。なお、スラリー中のガラス粉末を切り替えるタイミングは、形成する内側層3aや表層3bの厚みに応じて決定すればよい。
また、スプレー時のスラリー106の温度は、溶剤の組成にもよるが40℃以上100℃以下が好ましい。沸点の低い溶剤を使用する場合は、上記温度範囲内で温度を下げることが好ましい。
次に、スラリー106をスプレーしながら同時に塗膜(内側塗膜および表面側塗膜)の乾燥処理を行う。乾燥処理では、入口管103から乾燥用気体をケーシング100aの内部に流し込み、出口管104から排出させる。この乾燥処理に用いる乾燥用気体は、たとえば温度50〜100℃の空気である。スプレー処理後、さらに乾燥処理を、たとえば5〜30分行ってもよい。
上記の方法を採用することで、一度に多量の部品本体2の表面に対して、ほぼ均一に被覆膜を形成することができる。
乾燥処理後、塗膜が形成された部品本体2は、バレル容器102から取り出され、熱処理される。熱処理条件は、内側塗膜および表面側塗膜に含まれるガラス粉末の軟化点などに応じて決定される。本実施形態では、内側塗膜に含まれるガラス粉末(内側層ガラス成分)の軟化点よりも高い温度で、かつ表面側塗膜に含まれるガラス粉末(表層ガラス成分)の軟化点よりも低い温度で、熱処理を行う。具体的には、熱処理温度は好ましくは600〜800℃であり、熱処理時間は5〜30分である。
このようにすることで、表面側塗膜の全体または少なくとも表面側塗膜の表面は軟化しないか、もしくは軟化の初期段階の粘度が低い状態にしか至らないと考えられる。その結果、部品同士のくっつきや焼成炉への付着による塗膜の欠けや膜厚バラツキを有効に防止することができる。また、塗膜への異物の付着をも有効に防止することができる。
しかも、必ずしも理由は明らかではないが、表層ガラス成分も、熱処理後には、内側ガラス成分と同様にガラス化されて硬化することが確認されている。これは、内側層のガラス化に影響を受けるためと考えられる。
熱処理は、酸素分圧0.1%以下での窒素ガス雰囲気下で焼成を行うことが好ましい。酸素分圧を低くすることで、たとえば、部品本体がMn−Zn系フェライトから構成される場合には、部品本体の酸化を防止することができる。Mn−Zn系フェライトは、酸化されるとヘマタイトが形成され、特性劣化の原因となる。また、Ni−Zn系フェライトにおいても、組成によっては酸化の課題を有する。
熱処理後、部品本体2の表面には、ガラス化した被覆膜(内側層3aおよび表層3b)が形成され、ドラムコアが得られる。
その後に、図3に示すように、各部品本体2における一方の鍔部5の端面に、銀、チタン、ニッケル、クロム、銅などで構成された一対の端子電極12を、印刷、転写、浸漬、スパッタ、めっき法などで形成する。端子電極12は、部品本体2が導電性であっても、被覆膜3が存在しているために絶縁されている。
その後に、巻芯部4の周囲にワイヤ30を巻回し、そのワイヤの両端を、それぞれ端子電極12に熱圧着、超音波やレーザなどによる溶接、はんだ法などで接続し、本発明の一実施形態に係るコイル部品が完成する。
第2実施形態
本実施形態では、表層ガラス成分の代わりに、内側ガラス成分の軟化点よりも高い融点を有する結晶質材料が表層に含まれる以外は、第1実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。
このようにすることで、熱処理工程において、表面側塗膜に含まれる結晶質材料の粒子全体または少なくとも結晶質材料の粒子の表面は溶融しないか、もしくは溶融の初期段階(硬度が若干低い)状態にしか至らないと考えられる。その結果、部品同士のくっつきや焼成炉への付着による塗膜の欠けや膜厚バラツキが有効に防止される。また、塗膜への異物の付着も有効に防止される。
また、結晶質材料の融点は、内側ガラス成分の軟化点よりも、好ましくは30℃以上高く設定される。軟化点の差が小さすぎると、結晶質材料の溶融が進みすぎてしまうからである。
このような結晶質材料としては、内側ガラス成分の軟化点よりも高い融点を有していれば特に制限されないが、好ましくはセラミック、金属および合金からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
セラミックとしては、たとえば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライトなどが挙げられる。結晶質材料としてセラミックが含まれる場合には、上記の効果に加え、絶縁性や耐摩耗性を向上させるとともに、イオンマイグレーションを起こりにくくすることができる。
また、金属としては、金、白金、銀、銅、ニッケルなどが挙げられる。合金としては、モリブデン合金、ニッケル合金、銅合金などが挙げられる。部品本体を絶縁性とし、結晶質材料として金属あるいは合金が含まれる場合には、上記の効果に加え、静電気を防止することができる。
表層に含まれる結晶質材料は、内側層3aの表面全体を覆う個体膜として形成されていてもよいが、本実施形態では、図4に示すように結晶質材料の粒子が内側層3aの表面に点在して表層3cを形成している。
すなわち、表層中に、結晶質材料の粒子が、必ずしも隙間無く存在している必要はなく、図4のように粒子が点在して表層を形成していれば、本発明の効果を得ることができる。また、図4のように結晶質材料の粒子が内側層3aから突出して存在していてもよい。
なお、図4では、結晶質材料の粒子と内側層とが明確に区別できるが、たとえば、粒子と内側層とがどちらも透明の状態で存在し、その境界が明確ではない場合がありうる。
被覆膜3の厚みは、第1実施形態と同様に、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜20μmである。また、表層に含まれる結晶質材料の粒子径は、好ましくは、被覆膜の全厚み(内側層の厚み+結晶質材料の粒子径)の1/8〜1/2、より好ましくは1/5〜1/3である。結晶質材料の粒子径を上記の範囲とすることで、上述した効果を高めることができる。
本実施形態では、第1実施形態と同様の方法で、部品本体の表面に被覆膜(内側層および表層)を形成することができる。
すなわち、第1実施形態における表層に含まれるガラス粉末の代わりに、上記の結晶質材料の粒子をスラリーに添加し、熱処理温度を、内側層に含まれるガラス組成物の軟化点よりも高くし、かつ結晶質材料の融点よりも低くすればよい。このようにすることで、熱処理工程において結晶質材料の粒子が溶融しないため、表層中には、結晶質材料が粒子の状態で存在することとなる。
具体的には、熱処理温度は好ましくは500〜850℃であり、熱処理時間は5〜30分である。
このようにすることで、結晶質材料の粒子全体または少なくとも結晶質材料の粒子の表面は溶融しないか、もしくは溶融の初期段階(硬度が若干低い)状態にしか至らないと考えられる。その結果、部品同士のくっつきや焼成炉への付着による塗膜の欠けや膜厚バラツキを有効に防止することができる。また、塗膜への異物の付着をも有効に防止することができる。
第3実施形態
上述した実施形態では、被覆膜を2層で構成したが、図5に示すように、3層以上で構成してもよい。本実施形態では、内側層を2層(第1内側層3aおよび第2内側層3b)で構成し、部品本体の表面に形成される第1内側塗膜の機械的強度よりも、第1内側塗膜の上に形成される第2内側塗膜の機械的強度が大きくなるように塗膜を形成した以外は、第1実施形態または第2実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。
このように、被覆膜の膜厚方向において、部品本体側の層よりも、表面側の層の強度を小さくなるように、強度差を設けることで、表面側の層(第2内側層3b)が犠牲膜として機能する。そうすると、部品同士が接触した場合であっても、第2内側層3b(および表層3c)が欠けても、強度の高い第1内側層3aは残ることとなり、本発明の効果を得ることができる。
しかも、第1内側層が残っていれば、熱処理工程において、欠けた部分の周囲の第2内側層あるいは表層が軟化し、被覆膜の薄い部分が補修されて硬化し、比較的に均一な被覆膜が得られる。
上記のような強度差を設ける手段としては、たとえば、第1内側層に含まれるガラス成分の軟化点よりも、第2内側層に含まれるガラス成分の軟化点を高くすることが挙げられる。すなわち、第1内側層と第2内側層との関係を、第1実施形態における内側層と表層との関係と同様にすればよい。
また、内側層を形成するためのスラリーの吹きつけの際に、バインダ樹脂の含有量を変化させてもよい。すなわち、第1内側塗膜の形成時にバインダ樹脂の含有量を多くし、第2内側塗膜の形成時にバインダ樹脂の含有量を少なくすればよい。
また、スラリーの吹きつけ途中において、バインダ樹脂の種類を変更してもよい。たとえば、第1内側層におけるバインダ樹脂の分子量を小さくし、第2内側層におけるバインダ樹脂の分子量を大きくすればよい。
また、スラリーの吹きつけ途中において、ガラス粉末の粒径を変化させてもよい。ガラス粉末として特定の粒径のものを用いることで、脱バインダ量を制御することができる。
上記のようにすることで、第1内側塗膜と第2内側塗膜とで、強度差が生じるため、熱処理工程において、第2内側塗膜が犠牲膜として機能する。
また、第1内側塗膜に対する第2内側塗膜の強度差の比は2倍以上とすることが好ましい。2倍以上に設定することで、第2内側塗膜の犠牲膜としての効果が向上する。なお、強度差は、たとえば下記の引っ掻き試験により測定することができる。
引っ掻き試験は、ロードセルに連結されたナイフエッジ(デザインナイフ/コクヨ製HA-F30用替刃)を、試験用部品本体の表面に形成された各内側塗膜およびまたは表面側塗膜に垂直に押し当てて、引っ掻き試験を行い、部品本体の表面が露出するまでの力をロードセルにより測定することで行う。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、内側層と表層との各境界が明確であるが、必ずしも明確でなくても良い。スラリーの成分を徐々に変化させて被覆膜を形成した場合などには、これらの境界は必ずしも明確ではない。したがって、部品本体側の被覆膜の軟化点よりも、被覆膜の表面側の軟化点あるいは融点が高くなっていればよい。
また、本発明の方法により処理される部品本体としては、コイル部品の部品本体2に限らず、トランス等のインダクティブデバイスのコアでもよい。また、コアの材質は、特に限定されず、例えばフェライト、アルミナ、鉄などからなるものであってもよい。さらに、本発明の方法で処理される部品としては、バリスタ、サーミスタ、コンデンサ、コイル等のセラミック積層チップ部品、Nd−Fe系金属磁石などでもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
部品本体を構成するフェライト組成物の原料として、Fe、ZnO、MnOを準備した。そして、準備した原料の粉末を秤量した後、ボールミルで湿式混合して原料の混合物を得た。得られた混合物を、仮焼した後、さらに湿式粉砕・乾燥して原料粉末を得た。
この原料粉末に、バインダ樹脂としてのPVAを添加して造粒して顆粒とした。この顆粒を加圧成形して、ドラムコア形状の成形体を得た。
次に、この成形体を、空気および窒素雰囲気中で焼成して、焼結体としての部品本体を得た。部品本体2は、鍔の直径が3mm、鍔の厚みが0.25mmであった。得られた部品本体2に対し、以下のようにして被覆膜を形成した。
まず、軟化点が740℃で平均粒径が1.5μmのシリカ系のガラス粉末を作製し、当該ガラス粉末とPVA樹脂とを所定の重量比で混合した。さらに、得られた固形成分(ガラス粉末及びPVAの混合物)と溶剤とを所定の重量比で混合し、16時間ボールミルでかき混ぜて第1スラリーを準備した。溶剤としては、水とエタノールを8:2で混合したものを用いた。第1スラリー中のガラス粉末に対するバインダ樹脂の含有量は17重量%であった。第1スラリーにより形成される塗膜の軟化点は、740℃であった。
また、ガラス粉末に対するバインダ樹脂の含有量を8重量%とした以外は、第1スラリーと同様にして、第2スラリーを作製した。第2スラリーにより形成される塗膜の軟化点は、740℃であった。
さらに、軟化点が780℃で平均粒径が1.0μmのシリカ系のガラス粉末を作製し、ガラス粉末に対するバインダ樹脂の含有量を10重量%とした以外は、第1スラリーと同様にして、表層用スラリーを作製した。表層用スラリーにより形成される塗膜の軟化点は780℃であり、第1スラリーおよび第2スラリーに比較して40℃高く、30〜100℃の範囲で高いことが確認された。
次に、バレル装置を用いて、部品本体2の表面に、上述した第1スラリーを用いたスプレー処理により、膜厚が10μmの第1内側塗膜を形成した。引き続き、第2スラリーを用いたスプレー処理により、膜厚が10μmの第2内側塗膜を形成した。さらに引き続き、表層用スラリーを用いたスプレー処理により、膜厚が5μmの表面側塗膜を形成した。すなわち、塗膜の合計膜厚は25μmであった。
1000個の部品2について、目視により、塗膜における部品本体2の表面が見える欠陥(素地見え欠陥)がある部品10の個数を調べた。素地見え欠陥がある部品本体2の発生率は0.0%であった。また、引っ掻き試験による第2内側塗膜に対する第1内側塗膜の膜強度(熱処理前)の比は、2.0倍であり2倍以上であった。
その後、塗膜を形成した部品本体2を760℃で1時間熱処理した。その熱処理温度は、内側塗膜の軟化点(740℃)よりも高く、表面側塗膜の軟化点の温度(780℃)よりも低い温度であった。
さらに、同じ個数の部品本体2について、熱処理後の被覆膜の膜厚バラツキを測定したところ、平均膜厚が10μmに対して、膜厚のバラツキを示す標準偏差σは0.90であり、膜厚のバラツキも少ないことが確認できた。
また、同じ個数の部品本体2について、熱処理後の被覆膜に対するゴミなどの異物の付着を測定したところ、異物の付着が観察された部品の割合は0.1%であり、異物の付着が少ないことが確認された。
実施例2
表層用スラリーにより形成される表面側塗膜の軟化点が850℃となるように、表層用スラリーを作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、複数の部品本体2に塗膜を形成し、素地見え欠陥の発生率を調べた。素地見え欠陥がある部品10の発生率は0.0%であった。その後、実施例1と同様にして、塗膜が形成された部品本体を熱処理した。
なお、実施例1と異なる軟化点を持たせるために、表層用スラリーは、以下のようにして作製した。すなわち、第2スラリーに対し、ガラス成分中の修飾成分(アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物)の添加量を減らしたスラリーを表層用スラリーとして用いた。
また、部品本体2について、熱処理後の被覆膜の膜厚バラツキを測定したところ、平均膜厚が10μmに対して、膜厚のバラツキを示す標準偏差σは0.93であり、膜厚のバラツキが少ないことが確認された。
また、部品本体2について、熱処理後の被覆膜に対するゴミなどの異物の付着を測定したところ、異物の付着が観察された部品の割合は0.1%であり、異物の付着が少ないことが確認された。
比較例1
表層用スラリーおよび第2スラリーを用いないで、第1スラリーのみを用いて、第1内側塗膜のみを部品本体2の表面に形成した以外は、実施例1と同様にして、素地見え欠陥の発生率を調べた後、実施例1と同様にして熱処理を行った。素地見え欠陥がある部品本体2の発生率は2.2%であった。
また、熱処理前の状態で、引っ掻き試験による第1内側塗膜の塗膜強度を調べたところ28Nであった。また、熱処理後には、引っ掻き試験による第1内側塗膜の膜強度を調べたところ32Nであった。
さらに、部品本体2について、熱処理後の被覆膜の膜厚バラツキを測定したところ、平均膜厚が10μmに対して、膜厚のバラツキを示す標準偏差σは2.8であり、膜厚のバラツキが大きいことが確認された。
また、部品本体2について、熱処理後の被覆膜に対するゴミなどの異物の付着を測定したところ、異物の付着が観察された部品の割合は70%であり、異物の付着が多いことが確認された。
比較例2
表層用スラリーおよび第1スラリーを用いないで、第2スラリーのみを用いて、第2内側塗膜を部品本体2の表面に形成した以外は、実施例1と同様にして、素地見え欠陥の発生率を調べた後、実施例1と同様にして熱処理を行った。素地見え欠陥がある部品本体2の発生率は、20.7%であった。
また、熱処理前の状態で、引っ掻き試験による第2内側塗膜の塗膜強度を調べたところ14Nであった。また、焼成後には、引っ掻き試験による第2内側塗膜の塗膜強度を調べたところ35Nであった。
さらに、部品本体2について、熱処理後の第2内側塗膜の膜厚バラツキを測定したところ、平均膜厚が10μmに対して、膜厚のバラツキを示す標準偏差σは、2.2であり、膜厚のバラツキが大きいことが確認された。
また、部品本体2について、熱処理後の第2内側塗膜に対するゴミなどの異物の付着を測定したところ、異物の付着が観察された部品の割合は70%であり、異物の付着が多いことが確認された。
比較例3
表層用スラリーにより形成される表面側塗膜の軟化点が680℃となるように、表層用スラリーを作製して用いた以外は、実施例1と同様にして、部品本体に塗膜を形成して、素地見え欠陥の発生率を調べた後、実施例1と同様にして、熱処理を行った。素地見え欠陥がある部品本体2の発生率は92%であった。
また、熱処理前の状態で、引っ掻き試験による被覆膜の塗膜強度を調べたところ28Nであった。また、焼成後には、引っ掻き試験による被覆膜の塗膜強度を調べたところ22Nであった。
さらに、部品本体2について、熱処理後の被覆膜の膜厚バラツキを測定したところ、平均膜厚が10μmに対して、膜厚のバラツキを示す標準偏差σは5.8であり、膜厚のバラツキが大きいことが確認された。
また、部品本体2について、熱処理後の被覆膜に対するゴミなどの異物の付着を測定したところ、異物の付着が観察された部品の割合は100%であり、異物の付着が多いことが確認された。
実施例3
表層用スラリーに含まれるシリカ系ガラス粉末の代わりに、結晶質材料としてのアルミナ粉末を用い、以下の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、複数の部品本体2に塗膜を形成し、素地見え欠陥の発生率を調べた。素地見え欠陥がある部品2の発生率は、0.0%であった。その後、実施例1と同様にして、塗膜が形成された部品本体を熱処理した。
なお、アルミナ粉末の粒径は0.4μmであり、融点は約2020℃であった。また、表層用スラリーにおいて、アルミナ粉末の割合は5重量%であり、アルミナ粉末に対するバインダ樹脂の含有量は5重量%とした。
部品本体2について、熱処理後の被覆膜の膜厚バラツキを測定したところ、平均膜厚が10μmに対して、膜厚のバラツキを示す標準偏差σは0.93であり、膜厚のバラツキが少ないことが確認された。
部品本体2について、熱処理後の被覆膜に対するゴミなどの異物の付着を測定したところ、異物の付着が観察された部品の割合は0.1%であり、異物の付着が少ないことが確認された。
さらに、被覆膜の表層近傍をSEM観察すると、図4に示すように、最表面側に、アルミナ粒子が点在して表層を構成していることが確認された。
1…コイル部品
2…部品本体
3…被覆膜
3a…内側層
3b、3c…表層
100…バレル装置

Claims (8)

  1. 部品本体と、前記部品本体の表面全体に形成された被覆膜と、を有する電子部品であって、
    前記被覆膜は、少なくとも、前記被覆膜の表面側に存在する表層と、当該表層よりも内側に存在する内側層と、を有しており、
    前記被覆膜は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも高い温度で、かつ前記表層ガラス成分の軟化点よりも低い温度で形成されており、
    前記表層に含まれる表層ガラス成分の軟化点は、前記内側層に含まれる内側層ガラス成分の軟化点よりも高いことを特徴とする電子部品。
  2. 前記表層ガラス成分における修飾成分の含有量は、前記内側層ガラス成分における修飾成分の含有量よりも少ない請求項に記載の電子部品。
  3. 前記表層ガラス成分の軟化点は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも50〜100℃高い請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記表層の厚みは、前記被覆膜の全厚みに対して、1/8〜1/2の範囲にある請求項1〜のいずれかに記載の電子部品。
  5. 部品本体と、前記部品本体の表面全体に形成された被覆膜と、を有する電子部品であって、
    前記被覆膜は、少なくとも、前記被覆膜の表面側に存在する表層と、当該表層よりも内側に存在する内側層と、を有しており、
    前記表層は、セラミックの粒子が点在して形成され、前記セラミックの粒子の一部は前記内側層から突出して存在しており、
    前記被覆膜は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも高い温度で、かつ前記セラミックの融点よりも低い温度で形成されており、
    前記セラミックの融点は、前記内側層に含まれる内側層ガラス成分の軟化点よりも高いことを特徴とする電子部品。
  6. 前記セラミックの融点は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも30℃以上高い請求項に記載の電子部品。
  7. 前記セラミックの粒子径は、前記被覆膜の全厚みに対して、1/8〜1/2の範囲にある請求項5または6に記載の電子部品。
  8. 部品本体と、前記部品本体の表面全体に形成された被覆膜と、を有する電子部品であって、
    前記被覆膜は、少なくとも、前記被覆膜の表面側に存在する表層と、当該表層よりも内側に存在する内側層と、を有しており、
    前記被覆膜は、前記内側層ガラス成分の軟化点よりも高い温度で、かつ前記表層ガラス成分の軟化点よりも低い温度で形成されており、
    前記表層に含まれる表層ガラス成分の軟化点は、前記内側層に含まれる内側層ガラス成分の軟化点よりも高く、
    前記内側層が複数の層で構成されており、
    前記被覆膜の膜厚方向において、表面側の内側層の機械的強度が、前記部品本体側の内側層よりも小さいことを特徴とする電子部品。
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