JP4887581B2 - 電池の検査方法および検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池やリチウムイオン二次電池のような正極と負極とをセパレータにより隔離した構造を有する二次電池における電極間の短絡の有無を検出する検査方法およびその検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池やリチウムイオン二次電池に代表される密閉型電池は、通信機器やOA機器といったポータブル機器用電源等に幅広く用いられている。
【0003】
また、ニッケル−水素蓄電池やリチウムイオン二次電池については、環境問題、エネルギー問題等の観点から電気自動車用、ハイブリッド電気自動車用あるいは夜間電力貯蔵用の大型電池の開発が盛んに行われ、より高容量、高エネルギー密度、高出力密度で、しかも経済性に優れ、長期間の放置でも容量低下や内部抵抗の上昇が少ない二次電池の実現への要望が強まっている。
【0004】
これらの密閉型電池は、例えば図1に示すように正極1と負極3をセパレータ5により隔離し、これらを渦巻き状に捲回して電極群を構成し、この電極群を金属製のケース8に挿入後、ケース8内に電解液を注入し、封口板10でケース8の上部を密閉することによって構成される。
【0005】
もしくは、正極と負極を隔離するようにセパレータを配して積層した電極群をケースに挿入後、ケース内に電解液を注入し、封口板でケースの上部を密閉することによって構成される。
【0006】
なお、セパレータは大きさの限られた電池ケース内部に正極や負極の活物質をできるだけ多く詰め込んだ方が電池の高容量化、高エネルギー密度化の観点から好ましいため、薄いセパレータが望ましく、通常数十μm〜数百μm程度の厚みであるナイロン、ポリプロピレン製の不織布やポリエチレン、ポリプロピレン製の多孔膜が用いられている。
【0007】
このように正極、負極の電極間は非常に薄いセパレータによって隔離されているため、電極群を作成する際に、電極の切断面のバリや活物質の脱落物などがセパレータを突き破って電極間を微小短絡させることがある。また、活物質材料の製造工程中に金属不純物や電池製造設備の金属摩耗クズなどが正極に混入した場合には、充電時に正極の電位によってそれらが電気化学的に溶解され、電解液中を拡散して負極に到達し、負極の電位でデンドライド析出して、電極間を微小短絡させることがある。
【0008】
正極、負極が微小短絡した電池は、充電後しばらく放置すると放電容量が大きく低下してしまい、実使用に耐えられなくなるため、検査によってこのような電池を選別して排出する必要がある。また、ニッケル−水素蓄電池やリチウムイオン二次電池は、通常、数セル〜数十セル、多い場合には数百セルを直列に接続した組電池で使用されることが多く、その組電池中に1セルでも微小短絡した電池が含まれていた場合には、放置によって1セルだけ放電容量が下がったり、電圧が下がったりするため、使用中に1セルだけ過放電や逆充電の状態になることがあり、電池の安全性という点からも好ましくない。
【0009】
従来、このような微小短絡電池の排出方法としては、正極、負極、セパレータで構成した電極群を電池ケース内部に挿入後、電解液を注入する前に、正極、負極間に数十〜数百V程度の直流電圧を印加し、この際のリーク電流(絶縁抵抗)を読みとることにより検査を行っている。すなわち、電極間に微小短絡を生じていない電池では、正極、負極間は、セパレータにより絶縁性が保たれているため、リーク電流は流れず大きな抵抗値を示すが、何らかの異常により電極間に導通が生じた電極群はリーク電流が流れ、小さな抵抗値を示すため、微小短絡していない電池と微小短絡した電池の判別ができ、その結果微小短絡した電池のみを排出することができる。
【0010】
しかしながら、上記の検出方法においては、直流電圧を印加した際の電極間のリーク電流値が、セパレータや電極の使用時の状態(製造ロット単位などによって吸水量や乾燥状態等が変動する)による影響を受けて変化するため一定ではなく、また電極間の微小短絡も様々な状態のものが存在するため、正確に微小短絡した電池だけを補促することが難しく、誤排出(微小短絡していない電池を微小短絡しているとして排出する、あるいは微小短絡している電池を微小短絡していないと判断する)することがあり、検査精度が低下する問題を抱えていた。
【0011】
そこで、特開平11−297367号公報には、電池構成時の電解液注入より前の段階で、正極と負極とこの両者を隔離するように配したセパレータからなる電極群の短絡状態の検査方法であって、電極群の正負両電極間に交流信号を印可して両電極間の交流インピーダンスまたはアドミタンスと、位相角との値を測定し、これらの測定値を用いて電極群の短絡状態を判定する検査方法が記載されている。
【0012】
また、特開平11−345632号公報には、正極および負極の間にセパレータを配置した構造の電極群を備えた二次電池の検査方法において、電極群の静電容量を測定して良否の判定を行うことを特徴とする検査方法が記載されている。
【0013】
さらに、特開2000−30763号公報では、正極および負極とそれらをイオン的に結合する電解質とを備えた二次電池の電極間の短絡を検査する方法であって、初回充電前の二次電池の電極間に交流信号を印加してそのインピーダンスを測定することにより短絡の有無を検査することを特徴とする検査方法が記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の検査方法では電解液を注入する前であるために、極板に混入した異物が電解液に溶解、析出して微小短絡を引き起こしたり、注入後であっても充電をする前であるために、極板、特にニッケル−水素蓄電池やリチウムイオン二次電池の正極中に混入した金属が、充電後に正極電位で電気化学的に溶解され電解液中を拡散し、負極上で析出するような微小短絡の検査とはいえず、微小短絡した電池は、充電後の長期の放置によって放電容量が低下したり、電池の電圧が下がるという課題を有することとなる。
【0015】
また、電池の充放電を行った後に、長い放置期間を経て、電池の開回路電圧によって短絡の有無を判定する方法があるが、放置期間が長すぎるために、たくさんの在庫を抱えることになったり、短絡していない電池の電圧バラツキが大きくなることによって、検査精度が低下してしまうという問題を抱えている。
【0016】
本発明はこのような課題を解決するものであり、長期的に信頼性が高い電池を提供するために、電極間の微小短絡の有無を高い信頼性で、しかも短時間で検出できる検査方法および短絡検査装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、正極と負極とこの両者を隔離するように配したセパレータと電解液からなる電池の検査方法であって、前記電解液を凝固点以下の温度で冷却して固体状態とし、前記正極と前記負極の間で交流インピーダンスを測定し、その抵抗値によって短絡の有無を判定する電池の検査方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、正極と負極とこの両者を隔離するように配したセパレータと電解液からなる電池の検査方法であって、前記電解液を凝固点以下の温度で冷却して固体状態とし、前記正極と前記負極の間で交流インピーダンスを測定し、その抵抗値によって短絡の有無を判定する電池の検査方法である。
【0021】
ここで交流インピーダンスZとは、周波数fの交流信号を正極および負極の両電極間に印加した場合に測定される位相成分を含んだ抵抗値であって、複素数表示した測定電圧Vと測定電流Iから、Z=V/Iで求められる値を意味する。複素数Zは、その実部Z′と虚部Z″により、Z=Z′+iZ″と表される。iは−1の平方根である。複素数平面は、x−y平面上のx軸に複素数の実部Z′、y軸に複素数の虚部Z″をとって表され、測定されたインピーダンス値Z=Z′+iZ″は、座標(x,y)=(Z′,Z″)に表すことができる。Z′およびZ″は、電池の特性に関連した値であり、電池の状態の評価に利用することができる。また、複数の周波数に対して測定された(Z′,Z″)の点が描く軌跡は、適当な解析および近似計算により、静電容量や抵抗値を導出することができる。
【0022】
通常、電池の等価回路は、図2に示すような抵抗RとコンデンサーCの並列回路と抵抗Rとの直列回路によって示すことができる(Rtp,Rtnはそれぞれ正極、負極活物質と電解液との界面の電荷移動反応抵抗、Ctp,Ctnはそれぞれ正極、負極の静電容量、Rsolは溶液抵抗、Rb1,Rb2はそれぞれ正極、負極側での集電板、封口板、ケースなどの抵抗を表す)。
【0023】
この図2のような等価回路で示される電池を冷却して電解液を固体状態にさせた場合には、電解液中のイオンの移動、拡散が起こらず、正極、負極活物質と電解液との界面の電荷移動反応抵抗や電気二重層容量を無視でき、図3のように近似的に簡潔な回路として考えることができる(R21は主に正極と負極の間に介在するセパレータによる電気抵抗、C22は電池構造上のコンデンサー成分、R23は封口板、集電板、ケースおよびインピーダンスを測定する際の配線部の電気抵抗などをまとめた電気抵抗)。
【0024】
ここで、電気抵抗R21は微小短絡の影響を大きく受ける成分であり、C22は両電極間のコンデンサー成分により発生する静電容量であるため、両極板の対向面積や極板間距離といった電極群の構成状態による影響を大きく受ける成分である。微小短絡した電池が、充電後の長期の放置によって放電容量が低下したり、電池の電圧が下がるときには、セパレータ自体の電気抵抗よりも、正極と負極を短絡させている析出金属などの異物の抵抗が、例えば2桁以上低くなっているため、セパレータによる電気抵抗は無視でき、R21の抵抗値は概ね異物の抵抗であるといえる。そのため、R21の抵抗値によって短絡の有無を判定することができる。
【0025】
電池の種類、両極板の対向面積あるいは極板間距離といった電極群の構成状態によって、このR21の判定基準は変化するが、1MΩ以下では長期の放置によって放電容量が低下したり、電池の電圧が下がる度合いが大きすぎて、実使用に耐えられなくなるため、1MΩ以上であることが好ましく、さらには100MΩ以上であることが好ましい。
【0026】
また、位相角は印加した交流信号の交流電圧と交流電流との位相の差を表し、図3のような回路において、交流インピーダンスZの値に対し、電気抵抗R21とコンデンサー成分C22がどれだけ影響しているかを示す指標であり、0°から−90°の値を示す。測定対象が純粋なコンデンサーと見なせる場合には、位相角は−90°を示し、抵抗成分の影響が大きくなるにつれて(電気抵抗R21が小さくなるにつれて)、位相角の値は0°側に近づき、低周波数領域では円弧を描く傾向にある。
【0027】
したがって、この位相角はセパレータの絶縁性の指標となり、複素数平面上の実数軸に対する位相角が−80°から−90°の範囲内に位置すれば、長期の放置による放電容量や電池の電圧の低下が起こりにくいため好ましく、さらには−89°から−90°の範囲内に位置することが好ましい。
【0028】
請求項2に記載の発明は、交流インピーダンスの測定周波数領域を0.1Hzから10kHzの範囲内としたものであり、10kHzよりも高い周波数を用いた場合は、配線部や電池の構造上から生じるインダクタンス成分の影響が大きくなり、0.1Hz以下ではコンデンサー成分に起因するリアクタンス成分の影響が大きくなったり、測定時間が長くなるため、この周波数領域範囲内で測定されることが好ましい。
【0029】
通常、交流インピーダンスの測定は、周波数が大きい側から徐々に低い周波数へと下げながら測定するが、検査時間を短縮させるために、1Hzの1点だけを測定した位相角を用いて検査を行っても特に検査精度が低下するものではない。
【0030】
請求項3に記載の発明は、電解液を固体状態とする前に少なくとも1回は充電を行った二次電池の短絡の有無の検査方法である。極板、特にニッケル−水素蓄電池やリチウムイオン二次電池の正極中に混入した金属異物がセパレータを突き破らずに構成されたときに、充電後に正極電位で電気化学的に溶解され、電解液中を拡散し、負極上で析出するような微小短絡は従来の検査方法では排出することができないために、電解液を固体状態とする前に少なくとも1回は充電を行い、正極電位を高くした後であることが好ましい。
【0033】
請求項4に記載の発明は、電池に電解液を注入した後、あるいは電池を充放電した後の段階で、正極と負極とこの両者を隔離するように配したセパレータと電解液からなる電池の短絡の有無を判定する電池の検査装置であって、前記装置が、電池を電解液の凝固点以下の温度まで冷却するための冷却装置と、正極と負極のそれぞれと電気的に接続する接触端子と、前記接触端子を介して両電極間に交流信号を印加した際の交流インピーダンスを測定する測定装置とを備えていることを特徴とし、前記測定装置による抵抗値によって短絡の有無を判定するものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の詳細な説明を行う。
【0035】
図4は、被測定電池31と、その短絡状態を検査する本発明の実施例における電池の短絡検査装置50を示す模式図である。図4中の32aと32bは被測定電池の正極と電気的に接続する一対の接続端子、33aと33bは被測定電池の負極と電気的に接続する一対の接続端子であり、それぞれリード線34、35、36、37を介して交流インピーダンス、位相角の測定装置38(以下測定装置と称す)に接続されている。39は、交流インピーダンスのデータを抵抗とコンデンサーを組み合わせた回路で複素数平面上で近似計算する計算装置である。
【0036】
測定装置38と計算装置39は、インピーダンスアナライザーと称される既知の測定装置を使用することができ、例えば、ソーラトロン製のモデル「SI1260/SI1286」が挙げられる。測定装置38は、電流検出端子LCUR、電圧検出端子LPOT、HPOT、駆動信号出力端子HCURを有し、それぞれリード線34、35、36、37に接続されている。この測定装置により、接触端子間に0.1Hzから10kHzの範囲内の周波数の交流信号を印加して4端子測定法によって、電池のRとCを検出し、交流インピーダンスや位相角、回路の近似計算値を求める。
【0037】
また40は、電池を冷却するための冷却装置であり、本実施例においては冷却装置40は電池と液体窒素を入れるための容器である。
【0038】
なお電池の電解液を固体状態にする際には、電解液が固体状態になるための充分な冷却時間を経るか、充放電後で数Vの開回路電圧を維持している電池の開回路電圧がほぼ0Vであることを確認してから、測定を開始する。
【0039】
上記の検査装置で測定を行う電池として、電池容量2500mAh、高さ61mm、径32mmの円筒型リチウムイオン二次電池を用いた。その構成は、正極活物質としてLiNi0.72Co0.20Al0.08O2粉末、導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに分散、混練したペーストをアルミニウム箔芯材に塗工し、乾燥・圧延を行ったものを正極とし、負極活物質として呉羽化学社製カーボトロンP、結着剤としてポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに分散、混練したペーストを銅箔芯材に塗工し、乾燥・圧延を行ったものを負極とした。
【0040】
また正極と負極とを隔離するためのセパレータとしては、三井化学社製多孔膜セパレータのハイレット3251を用い、正極1と負極3とをセパレータ5を介して捲回し、電極群を作製した。この電極群の上下それぞれポリエチレン製の絶縁板6、7を配してステンレス製ケース8に挿入し、正極リード2を封口板10に、負極リード4をケース8の底部にそれぞれ溶接した後、電解液を注入し、ガスケット9を介して電池を封口した。11は電池の正極端子であり、負極端子はケース8が兼ねている。
【0041】
電解液は、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で4:2:2:2に混合した溶媒に、溶質として6フッ化燐酸リチウムを1.2mol/dm3の濃度に溶解したものを用いた。
【0042】
この電池を25℃における充放電電流を500mA(0.2CmA相当)、充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.0Vとし、充放電を10回繰り返した後、11回目の充電を行い、5時間静置した。この電池を電池Aとした。
【0043】
次に、厚さ14μmで0.1mm角に切断した銅箔片を1個正極表面に入れ、その他は電池Aの電池と同じ作り方で内部短絡模擬電池を電池B、さらに厚さ14μmで0.2mm角に切断した銅箔片を1個正極表面に入れた内部短絡模擬電池を電池Cとした。これら電池A、電池B、電池Cは極板とセパレータを構成した後、電解液を注入する前に250Vの直流印加電圧でリークチェックを行い、セパレータの絶縁性が保たれていることを確認した。
【0044】
これら電池A、電池B、電池Cを測定治具にセットし、接触端子32a、32bを被測定電池の正極端子11に、接触端子33a、33bを被測定電池の負極端子を兼ねたケース8にそれぞれ接触させて測定回路を形成する。そして、容器40に液体窒素を注入し、被測定電池の開回路電圧を測定し、0Vになるまで数分間放置した。0Vになった後、測定装置のHCURとLCUR間に交流信号を印加した際の電極間の交流インピーダンスと位相角の値を測定装置38によって測定する。この測定に使用した周波数領域は5kHzから開始し、1Hzまで周波数を下げて、20点の測定を行った。また、測定に使用される交流信号の振幅電圧としては数mV〜数Vの範囲内で測定できるが、3Vで測定した。さらに図3で示される回路で複素数平面上で近似計算を行い、R21の値を求めた。
【0045】
図5に電池A、電池B、電池Cの交流インピーダンスの複素数平面プロットを示し、図6に周波数と位相角の関係を示す。電池A、電池B、電池CのR21の値は、それぞれ200MΩ、200kΩ、7kΩであった。
【0046】
また、25℃での充電状態の放置における開回路電圧の推移を図7に示す。
【0047】
図5および図6から、電池B、電池Cは電池Aと比較して交流インピーダンスの抵抗成分である実部Z′が大きく、低周波数領域では位相角が徐々に小さくなっていることが分かる。電池Aの位相角は、5kHzから1Hzの測定中、−89.3°から−89.7°の範囲内であった。また、図7から分かるように、25℃での充電状態の放置については、電池Aと電池Bを10mV程度の開回路電圧の差によって、良品と不良品の判定を行うとすると、約600時間(約25日)の期間が必要になる。
【0048】
このように、交流インピーダンス、位相角もしくはR21の値が、あらかじめ規定した範囲外である電池は不良品であると見なし、工程から排出する。一方、交流インピーダンス、位相角もしくはR21の値が、共に規定した範囲内にある電池は、良品と見なし、次工程に送る。交流インピーダンス、位相角もしくはR21の値は電池の種類やサイズなどによって異なるため、検査の基準としての設定値は、測定を行う電池の測定値から求めた統計的計算値3σ(σは標準偏差を示す)値等を利用したり、パックなどでの実使用上、不具合が出ない値を利用する。
【0049】
以上のように、本発明による測定方法並びに検査装置は、電池の交流インピーダンス、位相角、R21の値から微小短絡に関わる電池の異常を詳細に検出することができるため、検査精度が大幅に向上し、かつ短時間で検査することができる。
【0050】
上記実施例では検査を行う電池として、極板とセパレータを捲回した円筒型リチウムイオン二次電池を用いたが、円筒型に限定されるものではなく、角型についても、積層型についても同様に測定可能であり、さらにニッケル−カドミウム蓄電池やニッケル−水素蓄電池などの同様の構造を持つ電池についても適用が可能である。
【0051】
また電解液を固体状態とするには、凝固点以下の温度で固体状態とすることが好ましい。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明による検査方法および検査装置によれば、正極と負極とをセパレータにより隔離した構造を有する電池の電極間の短絡検査において、電極間に交流信号を印加した際の両電極間の交流インピーダンスと、位相角と、R21との値を求め、これらの値を用いて電極間の短絡を判定することにより、微小短絡に起因した電池の異常を詳細に検出することができるため、短絡不良の検査精度が大きく向上し、かつ短時間で検査することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒型電池の断面図
【図2】通常の電池の等価回路図
【図3】電解液を固体状態にさせたときの電池の等価回路図
【図4】被測定電池および短絡検査装置を示す模式図
【図5】電池A、電池B、電池Cの交流インピーダンスの複素数平面プロットを示す図
【図6】電池A、電池B、電池Cの測定周波数と位相角の関係を示す図
【図7】電池A、電池B、電池Cの25℃での充電状態の放置による開回路電圧の推移を示す図
【符号の説明】
1 正極
2 正極リード板
3 負極
4 負極リード板
5 セパレータ
6 上部絶縁板
7 下部絶縁板
8 ケース
9 ガスケット
10 封口板
11 正極端子
31 被測定電池
32 接触端子
33 接触端子
34 リード線
35 リード線
36 リード線
37 リード線
38 測定装置
39 計算装置
40 冷却装置
50 短絡検査装置
Claims (5)
- 正極と負極とこの両者を隔離するように配したセパレータと電解液からなる電池の検査方法であって、前記電解液を凝固点以下の温度で冷却して固体状態とし、前記正極と前記負極の間で交流インピーダンスを測定し、その抵抗値によって短絡の有無を判定することを特徴とする電池の検査方法。
- 交流インピーダンスの測定周波数領域が0.1Hz〜10kHzの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電池の検査方法。
- 二次電池の検査方法であって、前記電解液を固体状態とする前に少なくとも1回は充電を行っていることを特徴とする請求項1または2に記載の電池の検査方法。
- 電池に電解液を注入した後、あるいは電池を充放電した後の段階で、正極と負極とこの両者を隔離するように配したセパレータと電解液からなる電池の短絡の有無を判定する検査装置であって、前記検査装置が、電池を電解液の凝固点以下の温度まで冷却するための冷却装置と、正極と負極のそれぞれと電気的に接続する接触端子と、前記接触端子を介して両電極間に交流信号を印加した際の交流インピーダンスを測定する測定装置とを備えていることを特徴とする電池の短絡検査装置。
- 前記交流インピーダンスの測定周波数領域が0.1Hz〜10kHzの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の電池の短絡検査装置。
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