JP4887121B2 - 安全率計算装置および安全率計算方法 - Google Patents

安全率計算装置および安全率計算方法 Download PDF

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Description

本発明は、安全率計算装置および安全率計算方法に関するものである。
日本国内は急峻な地形が多いため、降雨時には斜面の表層崩壊による土砂災害が数多く発生している。
このような災害に対しては、災害による人的、物的損害を最小限に抑えるため、事前に崩壊を予測することにより、崩壊の恐れのある斜面の周辺に居住する住民に避難勧告を出したり、斜面の周辺を通過する鉄道の運転規制を行なったりすることが望ましい。
そのため、地形の表層の座標や土質のデータおよび降雨量のデータをもとにして、斜面の崩壊の安全率を計算し、安全率をもとにして崩壊の危険度を予測する方法が提案されており、以下のようなものが知られている(非特許文献1)。
沖村、市川「数値地形モデルを用いた表層崩壊危険度の予測法」、土木学会論文集、土木学会、1985年6月、358/III−3号、p69−75
このような方法では、表層内部の水(地下水)の流れから地下水位を求め、地下水位から安全率を求めるため、水の流れと地下水位を正確に計算できるかによって、安全率の精度が大きく左右される。
しかしながら、従来は表層への降雨は、直ちに表層内に流入して地下水位を形成するものと仮定していたため、計算で求めた地下水位の値と、実測により求めた値とのずれが大きく、安全率の精度が十分なものではなかった。
また、降雨時には、雨は表層内に流入するだけではなく、沢となって表層の表面上を流れる場合があるが、従来はこのような水の流れを考慮していなかったので、地下水位を正確に求めることができず、安全率の精度が十分ではなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は表層の地下水位を正確に求めることができ、安全率の精度が高い斜面の表層崩壊の安全率計算装置および計算方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、第1の発明は、地形の表層の形状や物性を示すデータであり、複数の領域データに分割された表層データと、前記表層への降雨量を示すデータである降雨量データをもとにして、前記表層の崩壊の安全率を計算する安全率計算装置であって、複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の平均飽和度を算出する平均飽和度算出手段と、複数の前記領域データごとに、前記平均飽和度が一定値より大きい場合は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から、前記領域データ内の地下水位を求め、一定値以下の場合は前記領域データ内の地下水位が消失したものとみなす地下水位算出手段と、複数の前記領域データごとに、前記地下水位から前記領域データ内の安全率を求める安全率算出手段と、を有することを特徴とする斜面の表層の崩壊の安全率計算装置である。
前記平均飽和度算出手段は、複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の動水勾配を求める動水勾配算出手段と、複数の前記領域データごとに、前記動水勾配をもとにして、前記領域データ内から前記領域データ外へと流出する水の流出方向を求める流出方向算出手段と、複数の前記領域データごとに、前記動水勾配、水の前記流出方向および前記降雨量データをもとにして、前記領域データ外から前記領域データ内への水の流入量および前記領域データ内から前記領域データ外への水の流出量を求める流入量流出量算出手段と、複数の前記領域データごとに、前記流入量および前記流出量をもとにして、前記領域データ内の平均飽和度を求める手段と、を有する。
前記流出方向算出手段は、隣接する前記領域データ間で水の前記流出方向が交差する場合は、隣接する前記領域データの境界に、前記領域データから流出した水が流れる沢を設定する設定手段を有しており、また、前記流入量流出量算出手段は、前記流入量を求める際に、前記沢を流れる水は、前記沢の前記領域データとの交点のうち、最も標高の低い前記交点に向かって流れ、最も標高の低い前記交点に隣接する前記領域データのうち、前記沢の辺を含まない前記領域データ内に流入しているとみなして前記流入量を求める手段である。
前記地下水位算出手段において、前記近似式は下記の式で表される。

=h/D=a(S−Srh
ただし
a=1/(100−Srh

:地下水位比
:地下水位(m)
:表土層厚(m)
:平均飽和度(%)
rh:地下水位が0になるときの平均飽和度(%)
:表土の土質によって決まる係数
前記安全率算出手段において、前記安全率は下記の式で表される。

SF=(c+c+Acosβ・tanφ)/(Bsinβ・cosβ)
ただし、
=(γsat−γ)h+γ(D−h
=γsat+γ(D−h

SF:安全率
:土の粘着力(tf/m
:根系による粘着力(tf/m
φ :土の内部摩擦角(°)
γsat:土の飽和単位体積重量(tf/m
γ :土の湿潤単位体積重量(tf/m
γ :水の単位体積重量(tf/m
:地下水位(m)
:表層土厚(m)
β :斜面(地盤)勾配(°)
前記動水勾配算出手段は、複数の前記領域データのうち、標高の最も高い前記領域データから順番に、動水勾配を求める手段である。
前記安全率計算装置は、算出した前記安全率をもとに、安全率の低下率を算出する低下率算出手段を有する。
第2の発明は、地形の表層の形状や物性を示すデータであり、複数の領域データに分割された表層データと、前記表層への降雨量を示すデータである降雨量データをもとにして、前記表層の崩壊の安全率を計算する安全率計算方法であって、複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の平均飽和度を求める工程(a)と、複数の前記領域データごとに、前記平均飽和度が一定値より大きい場合は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から前記領域データ内の地下水位を求め、一定値以下の場合は前記領域データ内の地下水位が消失したものとみなす工程(b)と、複数の前記領域データごとに、前記地下水位から前記領域データ内の安全率を求める工程(c)と、を有することを特徴とする斜面の表層の崩壊の安全率計算方法である。
前記工程(a)は、複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の動水勾配を求める工程(d)と、複数の前記領域データごとに、前記動水勾配をもとにして、前記領域データ内から前記領域データ外へと流出する水の流出方向を求める工程(e)と、複数の前記領域データごとに、前記動水勾配、前記流出方向および前記降雨量データをもとにして、前記領域データ外から前記領域データ内への水の流入量および前記領域データ内から前記領域データ外への水の流出量を求める工程(f)と、複数の前記領域データごとに、前記流入量および前記流出量をもとにして、前記領域データ内の平均飽和度を求める工程(g)と、を有する。
前記工程(e)は、隣接する前記領域データ間で前記流出方向が交差する場合は、隣接する前記領域データの境界に、前記領域データから流出した水が流れる沢を設定する工程(h)をさらに有しており、また、前記工程(f)は、前記流入量を求める際に、前記沢を流れる水は、前記沢の前記領域データとの交点のうち、最も標高の低い前記交点に向かって流れ、最も標高の低い前記交点に隣接する前記領域データのうち、前記沢の辺を含まない前記領域データ内に流入しているとみなして前記流入量を求める工程である。
前記工程(b)において、前記近似式は下記の式で表される。

=h/D=a(S−Srh
ただし、
a=1/(100−Srh

:地下水位比
:地下水位(m)
:表層土厚(m)
:平均飽和度(%)
rh:地下水位が0になるときの平均飽和度(%)
:表層の土質によって決まる係数
前記工程(c)において、前記安全率は下記の式で表される。

SF=(c+c+Acosβ・tanφ)/(Bsinβ・cosβ)
ただし、
=(γsat−γ)h+γ(D−h
=γsat+γ(D−h

SF:安全率
:土の粘着力(tf/m
:根系による粘着力(tf/m
φ :土の内部摩擦角(°)
γsat:土の飽和単位体積重量(tf/m
γ :土の湿潤単位体積重量(tf/m
γ :水の単位体積重量(tf/m
:地下水位(m)
:表層土厚(m)
β :斜面(地盤)勾配(°)
前記工程(d)は、複数の前記領域データのうち、標高の最も高い前記領域データから順番に、動水勾配を求める工程である。
前記工程(c)の後には、算出した安全率をもとに、安全率の低下率を算出する工程(i)を有してもよい。
第3の発明は、コンピュータを第1の発明記載の安全率計算装置として機能させるためのプログラムである。
本発明では、安全率計算装置が地下水位を計算する地下水位算出手段を有しているが、この手段では、領域データ内の平均飽和度が一定値より大きい場合は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から領域データ内の地下水位を求め、一定値以下の場合は領域データ内の地下水位が消失したものとみなしている。
また、本発明では、安全率計算装置が、領域データ内から領域データ外へと流出する水の流出方向を求める流出方向算出手段を有しているが、この手段では、隣接する領域データ間で流出方向が交差する場合は、隣接する領域データの境界に、領域データから流出した水が流れる沢を設定する。
本発明によれば、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から領域データ内の地下水位を求めているため、表層の地下水位を正確に求めることができ、安全率の精度をより高くすることができる。
また、本発明によれば、隣接する領域データ間で流出方向が交差する場合は、隣接する領域データの境界に、領域データから流出した水が流れる沢を設定しており、降雨時の表層上の水の流れを、より正確に計算することができるため、表層の地下水位を、より正確に求めることができ、安全率の精度をさらに高くすることができる。
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る安全率計算装置(安全率計算システム1)としてのコンピュータ2を示すブロック図であって、図2は図1の記憶部10を示す図である。
また、図3は図2の地形データ105を示す模式図であって、図4は図3の領域データ5の拡大図、図5は図4の平面図である。
図1に示すように、コンピュータ2は安全率を計算する装置であり、制御部8、記憶部10、通信部12、表示部16、インタフェース部18等がバス20を介して互いに接続されている。
制御部8は、CPU(Central
Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access
Memory)等で構成され、記憶部10に格納されたプログラムに従って、バス20を介して接続された各装置を駆動制御する。
記憶部10には、図2に示すように、コンピュータ2の各構成部分を駆動制御するための制御プログラム101、本発明を実施するための安全率計算プログラム103、地形の物性や座標を示すデータである地形データ105、地形への降雨量を示すデータである降雨量データ107が格納されている。
なお、地形データ105、地形への降雨量を示すデータである降雨量データ107の詳細は後述する。
これらの各プログラムコードは、制御部10により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
入力部14(キーボード、マウス等)および表示部16は、制御部8のROMや記憶部10に記憶されているプログラムや情報をバージョンアップする際などに用いられる
通信部12は、通信ケーブル22を介して図示しないネットワーク等に接続されており、ネットワークを介して他のコンピュータと通信を行う際に用いられる。
ここで、地形データ105および降雨量データ107について詳細に説明する。
まず、地形データ105について説明する。
図3に示すように、地形データ105は地形の表層の形状(座標)や物性を示すデータである表層データ3および地盤の形状や物性を示すデータである地盤データ7を有している。
図3に示すように、表層データ3は複数の領域データ5を有している。
領域データ5は、表層の一定領域内の形状や物性を示すデータであり、図4および図5に示すように、領域の形状は、領域長さ9a(X方向長さ)、領域長さ9b(Y方向長さ)および表層土厚11からなる仮想的な直方体形状を有している。
従って、領域データ5はX方向長さL(m)、Y方向長さL(m)、表層土厚D(m)、表面積A(=L・L)(m)、体積V(=L・L・D)(m)を形状に関するパラメータとして有している。
また、個々の領域データ5の位置は、交点20a、20b、20c、20dの3次元座標によって規定される。
なお、X方向長さL(m)、Y方向長さL(m)は例えば10mであり、表層土厚D(m)は例えば1mである。
領域データ5の領域内の物性としては、領域の土の間隙比e、土粒子の密度G、透水係数k(cm/s)、初期飽和度Sr0(%)等が挙げられる。
また、間隙比e、土粒子の密度Gおよび初期飽和度Sr0から下記の式によって求められた初期湿潤密度γ(ton/m)および飽和密度γsat(ton/m)も挙げられる。

γ=(G+eSr0/100)/(1+e) ……式1−1
γsat=(G+e)/(1+e) ……式1−2
さらに、体積Vと初期湿潤密度γから求めた領域の初期重量W(ton)も挙げられる。
=V・γ ………式1−3
ここで、初期飽和度Sr0、初期湿潤密度γ、初期重量Wは、初期状態の物性値であり、初期状態は、例えば土の間隙比e=0.9、土粒子の密度G=2.65、初期飽和度Sr0=70%であれば、初期湿潤密度γ=1.73となり、体積V=100mであればW=173となる。
地盤データ7は、地盤の形状や物性を現すデータであり、物性としては例えば地盤の透水係数kが挙げられる。
次に、降雨量データ107について説明する。
降雨量データ107は、地形データ105への降雨量を示すデータである。
降雨量は経時的に変化してもよい。
また、降雨量データ107は、記憶部10に記憶されているデータだが、例えば、図1において、インタフェース部18や通信部12を介して、コンピュータ2と降雨量を測定する測定装置とを接続し、現実の地形で測定中の降雨量を、測定装置から受信するようにしてもよい。
次に、コンピュータ2を用いた安全率の計算の手順について説明する。
図6は、コンピュータ2を用いた安全率の計算の手順を示すフローチャートであって、図7〜図11は図6における各ステップの計算手順を示す模式図である。
また、図12は平均飽和度と地下水位比の関係を示す図であり、図13は計算した安全率の表示方法の1例である。
また、図14は図6のステップ208を示すフローチャートである。
まず、コンピュータ2の制御部8は、安全率計算プログラム103を起動し、記憶部10に保存された地形データ105のうち、表層データ3を複数の領域データ5に分割する(ステップ201)。
領域データ5の領域サイズは、前述したように、X方向長さL(m)、Y方向長さLと表層土厚Dで決まるが、これらの値は予め任意に設定可能である。
次に、制御部8は、分割した領域データごとに、領域データ内の動水勾配を求める(ステップ202)。
動水勾配はX方向の動水勾配IとY方向の動水勾配Iからなり、図5に示すように、交点20a、20b、20c、20dの座標をそれぞれ(X,Y,Z)、(X,Y,Z)、(X,Y,Z)、(X,Y,Z)とすると、以下の式で求められる。
Figure 0004887121
ここで、動水勾配は、標高の最も高い領域データから順番に求める。
これは、水は標高の高い領域から低い領域に流れるため、計算の順番を標高に合わせる必要があるからである。
なお、標高とは、領域データの表面上の中心座標を示す。
次に、制御部8は、分割した領域データごとに、領域データ内から領域データ外へと流出する水の流出方向を求める(ステップ203)。
ここで、水の流出方向は動水勾配の正負により求める。
例えば、図7に示すように、表層データ3が4つの領域データ5a、5b、5c、5dに分割されている場合、領域データ5aの動水勾配I(X方向の動水勾配)が正の場合は、X方向の水の流出方向は、X方向の正方向であるA1方向になる。
なお、Iが負の場合は、X方向の水の流出方向は、X方向の負の方向であるA2方向になる。
同様に、領域データ5aの動水勾配I(Y方向の動水勾配)が負の場合は、Y方向の水の流出方向はA3方向になる。
領域データ5bからのY方向の水の流出方向A4、領域データ5cからの水の流出方向A5も同様にして求める。
次に制御部8は、隣接する領域データ5の間で水の流出方向が交差する場合があるか否かを判断し(ステップ204)、交差する場合がある時はステップ205に進み、ない時はステップ206に進む。
ここで、流出方向が交差する場合とは、図8に示すような場合である。
即ち、図8では、領域データ5eのX方向の動水勾配が正で、領域データ5fのX方向の動水勾配が負だったため、領域データ5eのX方向の流出方向B1と、領域データ5fのX方向の流出方向B2が交差している。
この場合、制御部8は流出方向が交差している領域の境界に、領域データ5e、5fから流出した水が流れる沢13aを設定する(ステップ205)。
即ち、領域データ5eからB1方向に流出した水は、領域5fではなく、沢13aに流れ込むものとみなす。
同様に、領域データ5fからB2方向に流出した水は、領域5eではなく、沢13aに流れ込むものとみなす。
また、図9に示すように、沢が複数あり、沢の端部が繋がっている場合は、複数の沢が一体となっているものとして扱う。
例えば、図9の場合、沢13a、13b、13cの端部は繋がっているため、これらの沢は一体となっているものとして扱う。
また、沢を流れる水は、沢と領域データとの交点のうち、最も標高の低い交点に向かって流れているとみなす。
そして、最も標高の低い交点に流れた水は、交点に隣接する領域データのうち、沢の辺を含まない領域データ内に流入しているとみなす。
例えば、図9で沢と領域データの交点である交点15a、15b、15c、15dの内、交点15dが最も標高が低い交点である場合は、沢13a、13b、13cに流れ込んだ水は、交点15dに向かって流れているものとみなす。
そして、交点15dに向かって流れた水は、交点15dに隣接する領域データのうち、沢の辺を含まない領域データである、領域データ5l、5mに半分ずつ流れ込むものとみなす。
一方、交点15cが最も標高が低い交点である場合は、沢13a、13b、13cに流れ込んだ水は、交点15cに向かって流れているとみなす。
そして、交点15cに向かって流れた水は、交点15cに隣接する領域データのうち、沢の辺を含まない領域データである領域データ5gに流れ込むものとみなす。
このように、流出方向が交差する場合に、交差している領域の境界に沢を設定することにより、水の流れをより正確に計算することができる。
次に、制御部8は、分割した領域データごとに、動水勾配、水の流出方向および降雨量データ107をもとにして、領域データ外から領域データ内への水の流入量および領域データ内から領域データ外への水の流出量を求める(ステップ206)。
まず、領域データ外から領域データ内への水の流入量の計算方法について説明する。
領域データ外から領域データ内への水の流入は(1)隣接する領域データからの(地下水の)流入(2)降雨と表層流による流入(3)沢からの流入、の3つの経路からの流入があり、流入量qiniは、以下の式で表される。

ini=qinXi+qinYi+qinri+qinssi …式3−1

ini :流入量(ton)
inXi :X方向に隣接する領域からの水の流入量(ton)
inYi :Y方向に隣接する領域からの水の流入量(ton)
inri :降雨と表層流による水の流入量(ton)
inssi:沢からの水の流入量(ton)
まず、(1)については、図10に示すように、隣接する領域データからの(地下水の)流入量は、X方向に隣接する領域からの流入量qinXiとY方向に隣接する領域からの流入量qinYiがあるが、これらは隣接するデータ領域からの流出量と等しいため、流出量の計算の際に説明する。
次に、(2)の降雨と表層流による流入量qinriの計算方法について詳細に説明する。
図11に示すように、降雨により、時間雨量r(mm/hour)の雨が表層データ全域に降った場合を考える。
この場合、領域データ5の表面上には、まず、領域データ5に直接降る雨が集まる。さらに、隣接する領域データに降った雨の一部は、領域データの表面から流出するため、隣接する領域データの表面から流入する水も集まる。
従って、領域データの表面に集まる水量qinSiと、領域データ内への水の流入量qinriの間の関係は以下の式で求められる。

inSi=qsri+qinsi=qinri+qoutsi …式3−2
ただし、
sri =(r/1000)・Δt・A …………式3−3
insi =qinsXi+qinsYi …………式3−4
outsi=qoutsXi+qoutsYi …………式3−5
outsXi=qoutsi・a・I/(a・I+b・I …………式3−6
outsYi=qoutsi・a・I/(a・I+b・I …………式3−7

sri :領域データ5に直接降る雨による領域データ5の表面への水の流入量
insi :領域データ5に隣接する領域の表面から領域データ5の表面への水の流入量(ton)
insXi :X方向に隣接する領域の表面から領域データ5の表面への水の流入量(ton)
insYi :Y方向に隣接する領域の表面から領域データ5の表面への水の流入量(ton)
outsi :領域データ5に隣接する領域データの表面への水の流出量
outsXi:X方向に隣接する領域データの表面への水の流出量
outsYi:Y方向に隣接する領域データの表面への水の流出量
また、領域データ5内に流入可能な最大水量qinrimaxは以下の式で表される。
inrimax=(k/100)・Δt・60・60・A …式3−8

k :透水係数(cm/s)
Δt:任意に設定する時間(hour)
なお、Δtは任意に設定する時間であり、流入量、流出量を計算する基準となる単位時間である。
そして、qinrimaxとqinSiを比較することにより、qinriとqoutsiを求める。
例えば、qinSi>qinrimaxの場合は、領域データ5内に流入可能な最大水量より多量の水が領域データの表面に集まっていることになるため、領域データ内には流入可能な最大水量が流入し、残りが隣接する領域データの表面に流出する。
即ちqinriとqoutsiは以下の式で求められる。

inri =qinrimax …式3−9
outsi=qinSi−qinrimax …式3−10
一方、qinSi≦qinrimaxの場合は、領域データ5内に流入可能な最大水量以下の水が領域データの表面に集まっていることになるため、領域データ内には集まった水の全量が流入し、隣接する領域データの表面に流出する水量は0になる。
即ちqinriとqoutsiは以下の式で求められる。

inri =qinSi …式3−11
outsi=0 …式3−12

なお、qinsiは、隣接する領域データにおけるqoutsiと等しいので、説明を省略する。
次に、(3)の沢からの流入量qinssiの計算方法について説明する。
沢からの流入量qinssiを求める場合は、先に述べたように、沢に流れ込んだ水は、沢と領域データとの交点のうち、最も標高の低い交点に向かって流れているとみなす。
そして、最も標高の低い交点に流れた水は、交点に隣接する領域データのうち、沢の辺を含まない領域データ内に流入しているとみなす。
このようにして、流入量が求められる。
次に、流出量の計算方法について説明する。
領域データ内から領域データ外への水の流出は(1)隣接する領域データへの(地下水の)流出(2)地盤への流出、の2つの経路への流出があり、流出量qoutiは、以下の式で表される。なお、(1)については、地下水位が発生したときに水が流出し、流出速度はダルシー則によるものと仮定する。

outi=qoutXi+qoutYi+qoutui ………………………………式4−1
ただし、
outXi=(k/100)・I・Δt・60・60・hi−1・L …式4−2
outYi=(k/100)・I・Δt・60・60・hi−1・L …式4−3
outui=(k/100)・Δt・60・60・A
A=L・L ………………………………………………………………式4−4

outi :流出量(ton)
outXi:X方向に隣接する領域への水の流出量(ton)
outYi:Y方向に隣接する領域への水の流出量(ton)
outui:地盤への水の流出量(ton)
:領域データ内の透水係数(cm/s)
:X方向の動水勾配
:Y方向の動水勾配
i−1 :前回測定した水位
:領域データのX方向長さ
:領域データのY方向長さ
:地盤内の透水係数(cm/s)
Δt :任意に設定する時間(hour)
ここで、「hi−1:前回測定した水位」とは、後述するように、ステップ206〜ステップ212は繰り返し行われる工程である場合があるため、その場合は前回測定した水位を示す。
ステップ206〜ステップ212が繰り返し行われる工程でない場合や、繰り返し行われる工程の、最初の計算である場合は、hi−1は初期水位になる。
なお、地盤への水の流出量qoutuiは、地下水位が0の時は0とする。
以上より流入量と流出量が求められる。
流入量と流出量が求められると、制御部8は、流入量および流出量をもとにして、領域データ内の平均飽和度を求める(ステップ207)。
具体的には、以下の手順で平均飽和度を求める。
まず、以下の式により、今回の工程における、領域データ内の表層土の重量Wを求める。

=Wi−1+qini−qouti ………式5−1
i−1=V・γi−1 ………式5−2
ここで、γi−1は、ステップ206〜ステップ212が繰り返し行われる工程の場合は、前回の工程で計算した湿潤密度を示す。
ステップ206〜ステップ212が繰り返し行われる工程でない場合や、繰り返し行われる工程の、最初の計算である場合は、γi−1は初期湿潤密度γになる。
次に、以下の式により、今回の工程の湿潤密度γを求める。

γ=W/V ………式5−3
次に、湿潤密度γをもとにして、以下の式により、領域データ内の平均飽和度Sriを計算する。

ri=100・(γ・(1+e)−G)/e ………式5−4

:間隙比
:土粒子の密度
平均飽和度が求められると、制御部8は、平均飽和度が一定値より大きい値であるか否かを判断し、一定値より大きい場合はステップ209に進み、一定値以下の場合はステップ211に進む(ステップ208)。
ここで、一定値とは、後述する平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式において、地下水位が消失した(0になる)ときの平均飽和度Srhである。
なお、ステップ208の詳細は後述する。
平均飽和度が一定値より大きい値である場合は、制御部8は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式に計算した平均飽和度を代入して領域データ内の地下水位を求める(ステップ209)。
平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式とは、以下に示す式であり、図式化すると図12に示すグラフとなる。

=h/D=a(S−Srh ………式5−5
ただし、
a=1/(100−Srh ………式5−6

:地下水位比
:地下水位(m)
:表層土厚(m)
(Sri):平均飽和度(%)
rh :地下水位が0になるときの平均飽和度(%)
:表層の土質によって決まる係数
なお、Srhとnは表層の土質によって異なるが、例えばマサ土(花崗岩の風化残積土)の場合は以下の式で表される。

rh=0.1193・θ+62.132 ………式5−7
n=0.0043・θ+1.212 ………式5−8

θ:表層の勾配(°)
このように、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から領域データ内の地下水位を求めることにより、従来と比べて表層の地下水位を正確に求めることができるため、安全率の精度をより高くすることができる。
一方、平均飽和度が一定値以下の場合は、式5−5に示すように、地下水位は発生しないので、制御部8は地下水位を0とみなす(ステップ211)。
次に制御部8は、計算した地下水位から、領域データ内の安全率を求める(ステップ212)。
安全率は、無限延長斜面の安定解析から求める。
すべりは地盤に沿って発生し、植生による上載過重は0と仮定し、地盤からの地下水位を時間の関数としている。以上の条件下での安全率の式を以下に示す。

SF=(c+c+Acosβ・tanφ)/(Bsinβ・cosβ) ………式6−1
ただし、
=(γsat−γ)h+γ(D−h) ………式6−2
=γsat+γ(D−h ………式6−3

SF:安全率
:土の粘着力(tf/m
:根系による粘着力(tf/m
φ :土の内部摩擦角(°)
γsat:土の飽和単位体積重量(tf/m
γ :土の湿潤単位体積重量(tf/m
γ :水の単位体積重量(tf/m
:地下水位(m)
:表層土厚(m)
β :斜面(地盤)勾配(°)
ここで、求めた安全率が、斜面が崩壊する危険性がある水準を越えている場合は、制御部8は、表示部16にその旨表示するよう指示してもよい。
表示としては、例えば図13に示すように、地形データ105の模式図を表示し、安全率が、斜面が崩壊する危険性がある水準を越えた領域データ5nを色を変えて表示する等が考えられる。
なお、安全率を求めた後で、下記の式より、安全率の低下率を求めてもよい。

SFi=(SF−SF)/SF0 ………式6−4

SFi :安全率の低下率
SF:初期安全率(式6−1〜式6−3に初期値を代入して求めた値)
次に、制御部8は、計算開始から一定時間経過したかを判断し、経過した場合は計算を終了して安全率計算プログラム103を終了し、経過していない場合にはステップ206に戻る(ステップ213)。
一定時間とは、計算を行う時間であり、任意に設定可能である。
例えば、Δtが1時間で、計算時間(一定時間)が4時間の場合は、ステップ206からステップ212は4回繰り返されることになる。
ここで、ステップ208について、図14を用いて詳細に説明する。
まず、制御部8は、測定した平均飽和度が以下の式を満たすか否かを判断し、満たす場合はステップ302に進み、満たさない場合はステップ303に進む(ステップ301)。

ri−Sri−1>10−2 ………式7−1

ri:今回計算した平均飽和度
ri−1:前回計算した平均飽和度(前回計算した平均飽和度がない場合は初期飽和度)
ステップ301では今回測定した地下水位が、前回測定した地下水位、もしくは初期の地下水位と比べて上昇したのか(上昇過程)、下降したのか(下降過程)を判断している。
即ち、式7−1の条件を満たす場合は上昇過程と判断し、満たさない場合は下降過程と判断する。
なお、式7−1の右辺は理論上は0だが、本実施形態では、平均飽和度を求めるための水の流出量を求める過程でダルシー則を用いているため、流出量が微小になると、平均飽和度の変化も微小になり、理論上は0であるはずの地下水位が計算上は0にならない場合がある。
そのため、右辺を10−2にして、平均飽和度の変化が微小になった場合は0とみなすことにしている。
平均飽和度が式7−1の条件を満たす場合は、制御部8は、測定した平均飽和度が以下の式を満たすか否かを判断し、満たす場合はステップ209に進み、満たさない場合はステップ211に進む(ステップ302)。

ri>Srh ………式7−2
即ち、ステップ302では平均飽和度が一定値(Srh)より大きいか否かを判断している。
ステップ301で、測定した平均飽和度が式7−1を満たさない場合は、制御部8は、前回測定した地下水位hi−1が0か否かを判断し、0である場合はステップ304に進み、0でない場合はステップ305に進む(ステップ303)。
なお、hi−1を求めていない場合は、初期の地下水位が0か否かを判断する。
i−1が0の場合は、地下水位が下降過程で、かつ前回測定した地下水位hi−1が0であるため、地下水位は当然0であり、平均飽和度が一定値(Srh)以下と判断する。
この場合、制御部8は、平均飽和度は以下の式により減衰すると仮定して平均飽和度を補正し、ステップ211に進む(ステップ304)。これは地下水位がない場合でも、実際の現象において平均飽和度が減衰するためである。
ただし、地下水位がある場合と、ない場合とでは減衰の割合が異なるので、別式でモデル化している。

’=Sri・R ………式7−3
=exp(α・Δt・j) ………式7−4
α=−(101.2304・Log10(k)−0.1858) ………式7−5

’:補正により求めた平均飽和度
:飽和度減衰比
:透水係数
:ステップ304に入った回数
ステップ303で地下水位hi−1が0でない場合は、制御部8は、測定した平均飽和度が以下の式を満たすか否かを判断し、満たす場合はステップ209に進み、満たさない場合はステップ304に進む(ステップ305)。

ri−Srh>10−2 ………式7−6
即ち、ステップ305では平均飽和度が一定値(Srh)より大きいか否かを判断している。
なお、式7−6で、右辺が10−2である理由は、式7−1と同様である。
以上が、ステップ208で行われる判断の詳細である。
このように、本実施の形態によれば、安全率計算装置が地下水位を計算する手段を有しており、領域データ内の平均飽和度が一定値より大きい場合は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から領域データ内の地下水位を求め、一定値以下の場合は領域データ内の地下水位を0とみなしている。
従って、表層の地下水位を正確に求めることができ、安全率の精度をより高くすることができる。
また、本実施の形態によれば、安全率計算装置が、領域データ内から領域データ外へと流出する水の流出方向を求める手段を有しており、隣接する領域データ間で流出方向が交差する場合は、隣接する領域データの境界に、領域データから流出した水が流れる沢を設定する。
従って降雨時の表層上の水の流れを正確に計算することができるため、表層の地下水位を正確に求めることができ、安全率の精度をさらに高くすることができる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
コンピュータ2を示すブロック図 図1の記憶部10を示す図 図2の地形データ105を示す模式図 図3の領域データ5の拡大図 図4の平面図 安全率の計算の手順を示すフローチャート 図6における各ステップの計算手順を示す模式図 図6における各ステップの計算手順を示す模式図 図6における各ステップの計算手順を示す模式図 図6における各ステップの計算手順を示す模式図 図6における各ステップの計算手順を示す模式図 平均飽和度と地下水位比の関係を示す図 計算した安全率の表示方法の1例 図6のステップ208を示すフローチャート
符号の説明
2…………コンピュータ
3…………表層データ
5…………領域データ
7…………地盤データ
11………表層土厚
13a……沢
105………地形データ
107………降雨量データ

Claims (15)

  1. 地形の表層の形状や物性を示すデータであり、複数の領域データに分割された表層データと、前記表層への降雨量を示すデータである降雨量データをもとにして、前記表層の崩壊の安全率を計算する安全率計算装置であって、
    複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の平均飽和度を算出する平均飽和度算出手段と、
    複数の前記領域データごとに、前記平均飽和度が一定値より大きい場合は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から、前記領域データ内の地下水位を求め、一定値以下の場合は前記領域データ内の地下水位が消失したものとみなす地下水位算出手段と、
    複数の前記領域データごとに、前記地下水位から前記領域データ内の安全率を求める安全率算出手段と、
    を有することを特徴とする斜面の表層の崩壊の安全率計算装置。
  2. 前記平均飽和度算出手段は、
    複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の動水勾配を求める動水勾配算出手段と、
    複数の前記領域データごとに、前記動水勾配をもとにして、前記領域データ内から前記領域データ外へと流出する水の流出方向を求める流出方向算出手段と、
    複数の前記領域データごとに、前記動水勾配、水の前記流出方向および前記降雨量データをもとにして、前記領域データ外から前記領域データ内への水の流入量および前記領域データ内から前記領域データ外への水の流出量を求める流入量流出量算出手段と、
    複数の前記領域データごとに、前記流入量および前記流出量をもとにして、前記領域データ内の平均飽和度を求める手段と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の斜面の表層の崩壊の安全率計算装置。
  3. 前記流出方向算出手段は、隣接する前記領域データ間で水の前記流出方向が交差する場合は、隣接する前記領域データの境界に、前記領域データから流出した水が流れる沢を設定する設定手段を有し、
    前記流入量流出量算出手段は、前記流入量を求める際に、前記沢を流れる水は、前記沢の前記領域データとの交点のうち、最も標高の低い前記交点に向かって流れ、最も標高の低い前記交点に隣接する前記領域データのうち、前記沢の辺を含まない前記領域データ内に流入しているとみなして前記流入量を求める手段であることを特徴とする請求項2記載の斜面の表層崩壊の安全率計算装置。
  4. 前記地下水位算出手段において、前記近似式は下記の式で表されることを特徴とする請求項1記載の斜面の表層崩壊の安全率計算装置。

    =h/D=a(S−Srh
    ただし
    a=1/(100−Srh

    :地下水位比
    :地下水位(m)
    :表土層厚(m)
    :平均飽和度(%)
    rh:地下水位が0になるときの平均飽和度(%)
    :表土の土質によって決まる係数
  5. 前記安全率算出手段において、前記安全率は下記の式で表されることを特徴とする請求項1記載の斜面の表層崩壊の安全率計算装置。

    SF=(c+c+Acosβ・tanφ)/(Bsinβ・cosβ)
    ただし、
    =(γsat−γ)h+γ(D−h
    =γsat+γ(D−h

    SF:安全率
    :土の粘着力(tf/m
    :根系による粘着力(tf/m
    φ :土の内部摩擦角(°)
    γsat:土の飽和単位体積重量(tf/m
    γ :土の湿潤単位体積重量(tf/m
    γ :水の単位体積重量(tf/m
    :地下水位(m)
    :表層土厚(m)
    β :斜面(地盤)勾配(°)
  6. 前記動水勾配算出手段は、複数の前記領域データのうち、標高の最も高い前記領域データから順番に、動水勾配を求める手段であることを特徴とする請求項2記載の斜面の表層崩壊の安全率計算装置。
  7. 算出した前記安全率をもとに、安全率の低下率を算出する低下率算出手段を有することを特徴とする請求項1記載の斜面の表層崩壊の安全率計算装置。
  8. 地形の表層の形状や物性を示すデータであり、複数の領域データに分割された表層データと、前記表層への降雨量を示すデータである降雨量データをもとにして、前記表層の崩壊の安全率を計算する安全率計算方法であって、
    複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の平均飽和度を求める工程(a)と、
    複数の前記領域データごとに、前記平均飽和度が一定値より大きい場合は、平均飽和度と地下水位比の関係を示す近似式から前記領域データ内の地下水位を求め、一定値以下の場合は前記領域データ内の地下水位が消失したものとみなす工程(b)と、
    複数の前記領域データごとに、前記地下水位から前記領域データ内の安全率を求める工程(c)と、
    を有することを特徴とする斜面の表層の崩壊の安全率計算方法。
  9. 前記工程(a)は、
    複数の前記領域データごとに、前記領域データ内の動水勾配を求める工程(d)と、
    複数の前記領域データごとに、前記動水勾配をもとにして、前記領域データ内から前記領域データ外へと流出する水の流出方向を求める工程(e)と、
    複数の前記領域データごとに、前記動水勾配、前記流出方向および前記降雨量データをもとにして、前記領域データ外から前記領域データ内への水の流入量および前記領域データ内から前記領域データ外への水の流出量を求める工程(f)と、
    複数の前記領域データごとに、前記流入量および前記流出量をもとにして、前記領域データ内の平均飽和度を求める工程(g)と、
    を有することを特徴とする請求項8記載の斜面の表層の崩壊の安全率計算方法。
  10. 前記工程(e)は、隣接する前記領域データ間で前記流出方向が交差する場合は、隣接する前記領域データの境界に、前記領域データから流出した水が流れる沢を設定する工程(h)をさらに有し、
    前記工程(f)は、前記流入量を求める際に、前記沢を流れる水は、前記沢の前記領域データとの交点のうち、最も標高の低い前記交点に向かって流れ、最も標高の低い前記交点に隣接する前記領域データのうち、前記沢の辺を含まない前記領域データ内に流入しているとみなして前記流入量を求める工程であることを特徴とする請求項9記載の斜面の表層崩壊の安全率計算方法。
  11. 前記工程(b)において、前記近似式は下記の式で表されることを特徴とする請求項8記載の斜面の表層崩壊の安全率計算方法。

    =h/D=a(S−Srh
    ただし、
    a=1/(100−Srh

    :地下水位比
    :地下水位(m)
    :表層土厚(m)
    :平均飽和度(%)
    rh:地下水位が0になるときの平均飽和度(%)
    :表層の土質によって決まる係数
  12. 前記工程(c)において、前記安全率は下記の式で表されることを特徴とする請求項8記載の斜面の表層崩壊の安全率計算方法。

    SF=(c+c+Acosβ・tanφ)/(Bsinβ・cosβ)
    ただし、
    =(γsat−γ)h+γ(D−h
    =γsat+γ(D−h

    SF:安全率
    :土の粘着力(tf/m
    :根系による粘着力(tf/m
    φ :土の内部摩擦角(°)
    γsat:土の飽和単位体積重量(tf/m
    γ :土の湿潤単位体積重量(tf/m
    γ :水の単位体積重量(tf/m
    :地下水位(m)
    :表層土厚(m)
    β :斜面(地盤)勾配(°)
  13. 前記工程(d)は、複数の前記領域データのうち、標高の最も高い前記領域データから順番に、動水勾配を求める工程であることを特徴とする請求項記載の斜面の表層崩壊の安全率計算方法。
  14. 前記工程(c)の後には、算出した安全率をもとに、安全率の低下率を算出する工程(i)を有することを特徴とする請求項記載の斜面の表層崩壊の安全率計算方法。
  15. コンピュータを請求項1〜7のいずれかに記載の安全率計算装置として機能させるためのプログラム。
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