JP6210823B2 - 斜面安定計算装置、計算方法、及びプログラム - Google Patents

斜面安定計算装置、計算方法、及びプログラム Download PDF

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本発明は、斜面安定計算装置、計算方法、及びプログラムに関する。
従来、斜面安定計算において円弧すべり面を計算する方法として、格子点を中心とした円弧を用いた計算方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、円弧すべり面を計算する方法では、円弧で示せる単純な形状の面しか計算することができなく、複雑な形状の面を計算することができなかった。
そのため、斜面安定計算において複合すべり面を計算する方法として、複数の直線、または円弧を複合して計算する方法が知られている。
特許3143696号公報
しかしながら、従来の複合すべり面を計算する方法では、各区分面を計算するために座標値をすべて入力する必要があり、人手によって煩雑な作業を行っていた。そのため、設計者は、まず経験則などから最も危険であると予測されるすべり面を数十個程度特定する。設計者は、特定したすべり面の座標値を人手によって入力して計算を繰り返して斜面安定計算を行っていたが、計算精度が十分ではない場合があった。
本発明の1つの側面は、斜面安定計算において複雑な形状の面を容易に計算することができる斜面安定計算装置を提供することを目的とする。
一態様における、斜面に係る計算を行う斜面安定計算装置であって、前記計算を行うための入力値を入力するための入力手段と、前記入力値に基づいて前記斜面を所定の間隔で区分し、前記区分ごとに区分面を計算する区分面計算手段と、前記区分面をつなぎ合わせて複合面を計算する複合面計算手段と、を有し、前記入力値は、少なくとも前記区分面計算手段が計算を開始する座標値と、前記所定の間隔を示す間隔値と、前記区分面を計算するための所定の角度である計算角度と、であり、前記区分面計算手段は、前記座標値、前記計算角度、及び前記間隔値に基づいて計算された点を基点とし、前記計算角度に基づいて前記区分面を計算することを特徴とする。
斜面安定計算において複雑な形状の面を容易に計算することができる。
本発明の一実施形態に係る斜面安定計算装置の一例を説明する機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る全体処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る全体処理の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る計算を開始する点の左側の区分面を計算する処理の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る計算を開始する点の右側の区分面を計算する処理の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る地中に埋められている物体に基づいた区分面を計算する処理の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る計算を開始する点を2入力した場合の全体処理の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る計算結果の表示の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態における斜面安定計算装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
低い地盤、または斜面に土砂を盛り上げて平坦、または周囲より高くする、いわゆる盛土、及び高い地盤、または斜面を切り取り平坦、または周囲より低くする、いわゆる切土などの工事に係る斜面には、その設計基準が監督官庁などによって定められている。設計基準では、面の探索、及び規定の斜面安定計算に基づいて斜面の安定について計算するように定められている。本発明の一実施形態に係る斜面安定計算装置は、斜面の安定に係る計算を行うものである。
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る斜面安定計算装置の一例を説明する機能ブロック図である。
斜面安定計算装置100は、入力部10551と、制御部10552と、区分面計算部10553と、複合面計算部10554と、出力部10555と、を有する。
入力部10551は、斜面安定計算装置100にデータを入力する処理を行う。例えば入力部10551は、斜面安定計算装置100に接続された入力装置などから入力されたデータを取得する。なお、入力部10551は、入力されたデータを斜面安定計算装置100が読み込み可能な形式にデータを変換する処理を行ってもよい。また、入力部10551は、入力されたデータからヘッダデータなど不要な情報を削除する処理を行ってもよい。
制御部10552は、斜面安定計算装置100の有する各装置、または斜面安定計算装置100に接続された外部装置(図示せず)の制御を行う。
区分面計算部10553は、CPU1003(Central Processing Unit)によって、プログラムを実行し、区分面に係る計算を行う。
複合面計算部10554は、CPU1003によって、プログラムを実行し、複合面に係る計算を行う。
出力部10555は、斜面安定計算装置100からデータを出力する処理を行う。例えば出力部10555は、斜面安定計算装置100に接続されたディスプレイ10061、メディア10071、またはプリンタ(図示せず)などへデータを出力する。なお、出力部10555は、出力先が読み取り可能な形式にデータを変換してから出力してもよい。
なお、斜面安定計算装置100は、安全率を計算する安全率計算部(図示せず)を有してもよい。安全率の計算については、詳細は後述する。
<全体処理>
図2は、本発明の一実施形態に係る全体処理の一例を示すフローチャートである。
図3は、本発明の一実施形態に係る全体処理の一例を説明する図である。
以下、図3に示す斜面1において複合面A0を計算する場合を例に説明する。
図3において斜面1に対して垂直方向をY軸、断面方向をX軸とする。
ステップS0201では、斜面安定計算装置100は、入力値の入力処理を行う。
1つ目の入力値は、例えば、図3に示す計算を開始する点S0の座標値、斜面1の地表面Gに係る座標値である。斜面安定計算装置100は、計算を開始する点S0の座標値を計算の起点にする。計算を開始する点S0の座標値は、設計者によって入力される値である。斜面安定計算装置100は、各区分で区分面を計算するための座標値をS0の座標値から計算するため、区分面を計算するための座標値を設計者が区分ごとに入力していた作業を省略することができる。各座標値を計算する処理は、詳細は後述する。
2つ目の入力値は、斜面1の区分において計算される区分面を計算するために用いる計算角度α、区分の間隔を示す間隔値ΔLなどである。
計算角度αは、区分ごとに計算される点を基点として区分面を計算する角度の間隔を示す。計算角度αの値を大きくすると、計算される区分面は少なくなり、斜面安定計算装置100は、計算する区分面のデータ量を少なくすることができる。計算角度αの値を小さくすると、計算される区分面は多くなり、斜面安定計算装置100は、区分面を細かく計算することができる。計算角度αを用いた計算は、詳細は後述する。計算角度αは、設計者によって入力される値であるため、データ量と、区分面を計算する精度と、を調整して計算角度αを入力する。
間隔値ΔLは、区分ごとに計算される点を基点として区分面を計算する距離の間隔を示す。間隔値ΔLの値を大きくすると、区分が少なくなるため計算される区分面は少なくなり、斜面安定計算装置100は、計算する区分面のデータ量を少なくすることができる。間隔値ΔLの値を小さくすると、区分が多くなるため計算される区分面は多くなり、斜面安定計算装置100は、区分面を細かく計算することができる。間隔値ΔLを用いた計算は、詳細は後述する。間隔値ΔLは、設計者によって入力される設定値であるため、設計者がデータ量と、区分面を計算する精度と、を調整して間隔値ΔLを入力する。
3つ目の入力値は、S0からS1を計算するために用いるY軸方向の間隔であるΔYである。ΔYは、設計者によって入力される設定値である。S1は、S0とΔYに基づいて計算される。S1の計算方法は、詳細は後述する。
4つ目の入力値は、Y軸方向の計算範囲の下限値である。下限値は、図3で示すいわゆるネバーカットライン(以下、ネバーカットラインという。)YLを示す値である。ネバーカットラインYLは、例えば斜面1をボーリング(Boring)などで調査して求める。ネバーカットラインYLは、例えばコンクリート面など十分な硬さがあり、せん断破壊がおこらない層、いわゆる基盤層と、基盤層の上に土などが積層された層、いわゆる軟弱層と、の境界などである。下限面は、例えばネバーカットラインなどで設定される。
5つ目の入力値は、X軸方向における計算の上限の座標値RE、およびX軸方向における計算の下限の座標値RSである。
なお、入力値は、他に別のパラメータを含んでもよい。
ステップS0202では、斜面安定計算装置100は、ステップS0201で入力された入力値に基づいて区分面を計算する処理を行う。区分面の計算する処理は、詳細は後述する。
ステップS0203では、斜面安定計算装置100は、ステップS0202で計算した区分面A1乃至A5について安全率を計算する。安全率を計算する処理は、詳細は後述する。
ステップS0204では、斜面安定計算装置100は、複合面に係る計算の処理を行う。
複合面に係る計算の処理は、ステップS0202で計算した区分面A1乃至A5をつなぎ合わせて面A0を計算する。例えば、斜面安定計算装置100は、計算した区分面A1の左端であるS2に計算した区分面A2をつなげる。同様に、斜面安定計算装置100は、計算した区分面A2左端であるS3に計算した区分面A3をつなげる。さらに、斜面安定計算装置100は、計算した区分面A1の右端であるS1に区分面A4をつなげる。同様に、斜面安定計算装置100は、計算した区分面A4右端であるS5に計算した区分面A5をつなげる。したがって、斜面安定計算装置100は、区分面A1乃至A5をつなげて図3に示すように複合面A0を計算する。
複合面に係る計算の処理は、ステップS0203で計算した区分面A1乃至A5の連続した面A0の”抵抗力”と”滑動力”の総和に基づいて最も安全率の低い複合面を計算する。抵抗力と滑動力について詳細は後述する。
ステップS0205では、斜面安定計算装置100は、ステップS0204で計算した面A0の計算結果を出力する出力処理を行う。
<区分面を計算する処理>
図4は、本発明の一実施形態に係る計算を開始する点の左側の区分面を計算する処理の一例を説明する図である。
図4で説明する処理は、図2のステップS0202の一部に相当する。図4で説明する処理は、計算を開始する点S0の左側にある図3の区分面A1、A2、およびA3を計算する処理である。
図3の区分面A1、A2、およびA3は、点S1、S2、S3、およびS4を計算し、各点を結ぶことで計算されるため、まず斜面安定計算装置100は、点S1、S2、S3、およびS4の座標値を計算する。
図4(a)は、S1の計算方法を説明する図である。
S1は、図4(a)に示すようにS0の座標値から入力値のΔYをY軸方向に移動させた点である。S0の座標値は、ステップS0201の処理において入力値として入力されている。
図4(b)は、S2の計算方法を説明する図である。
S2は、図4(a)で説明した計算方法によって計算されたS1を基点として計算される。S2は、計算の条件によって複数の点が算出される。S2は、S1の座標値と、計算角度αと、間隔値ΔLと、によって計算される。例えばS2は、図4(b)に示すようにS2A、S2B、S2C、およびS2Dが計算される。
具体的には、S2Aは、直線LS2Aと、直線VS2と、の交点である。したがって、S2Aは、直線LS2Aと、直線VS2と、から計算される。直線LS2Aは、図4(b)に示すように直線VS1に対して左回りの計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。直線VS1は、S1を通る垂線である。直線VS2は、直線VS1を間隔値ΔL並行移動させた垂線である。
同様に、S2Bは、直線LS2Bと、直線VS2と、の交点である。直線LS2Bは、図4(b)に示すように直線LS2Aに対して計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。
同様に、S2Cは、直線LS2Cと、直線VS2と、の交点である。直線LS2Cは、図4(b)に示すように直線LS2Bに対して計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。
同様に、S2Dは、直線LS2Dと、直線VS2と、の交点である。直線LS2Dは、図4(b)に示すように直線LS2Cに対して計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。
図3の区分面A1は、S2A、S2B、S2C、およびS2Dのうちいずれかと、S1と、を結んだ線によって計算される。
なお、図4(b)で示すように、S2Dは、ネバーカットラインYLを超過する点である。S2DのようにネバーカットラインYLを超過する点が計算された場合、以後の計算において、S2は、S2D以外となるS2A、S2B、およびS2Cのうちいずれかの点を選択して計算する。斜面安定計算装置100は、ネバーカットラインYLを超過する点を含む面を計算から除外することで、計算量を少なくすることができる。
以下、S2をS2Cとした場合の例で、S3の計算方法を説明する。
図4(c)は、S2をS2Cとした場合のS2、および区分面A1を説明する図である。
S3は、S2の座標値と、計算角度αと、間隔値ΔLと、によって計算される。
図4(d)は、S3の計算方法を説明する図である。
S3は、S2を基点として図4(b)で説明したS2の計算方法と同様の計算方法で計算できる。したがって、S3は、図4(d)に示すようにS3A、S3B、およびS3Cが計算される。
なお、図4(d)で示すように、S3Aは、地表面Gを超過する点である。S3Aのように地表面Gを超過する点が計算された場合、斜面安定計算装置100は、S3Aの座標値を補正する処理を行う。
図4(e)は、地表面Gを超過する点を補正するための処理を説明する図である。
図4(e)の補正前のS3Aは、直線LS3Aと、直線VS3と、の交点である。直線LS3Aは、図4(b)の直線LS2Aと同様に、直線VS2に対して計算角度αの角度があり、かつ、S2を通る直線として計算される。直線VS3は、図4(b)の直線VS2と同様に、直線VS2を間隔値ΔL並行移動させた垂線として計算される。
補正前のS3Aが地表面Gを超過している点と判断された場合、S3Aは、図4(e)に示すように地表面Gを示す直線と、直線LS3Aと、の交点である補正後のS3Aに補正される。
斜面1の地表面Gに基づいてS3Aを補正する処理を行うことによって、斜面安定計算装置100は、不要なデータとなる地表面Gを超過した区分面をなくすことができる。
図4(f)は、区分面を計算する処理の終了を説明する図である。
区分面を計算する処理は、例えば図4(f)に示すS3Aのように、地表面Gに達する点が計算されるまで繰り返される。S3の計算において地表面Gに達したS3Aとなった場合、S3Aを基点とした区分面を計算する処理は行われない。S3の計算において地表面Gに達していないS3B、およびS3Cの場合、S2およびS3の計算と同様にS3を基点とした区分面を計算する処理を行う。図4(f)に示すS4のように、地表面Gに達した点が計算された場合、斜面安定計算装置100は、区分面を計算する処理を終了する。
また、区分面を計算する処理は、計算角度に基づく計算の範囲が設定されていてもよい。例えば、図3の区分面A1の計算においてS2にS2Bを選択した場合を例に説明する。
図4(g)は、計算角度に基づく計算の範囲の一例を説明する図である。
S3は、図4(g)で示すように、図4(d)で説明した計算角度αに基づく計算方法によって、S3GA、S3GB、S3GC、およびS3GDが計算される。
計算角度に基づく計算の範囲を設定することによって、S3GA、S3GB、S3GC、およびS3GDのうち、S3GA、S3GB、およびS3GCを選択し、S3GDを削除する処理を行う。計算角度に基づく計算の範囲は、例えば、計算角度範囲を示す直線RALによって示される。直線RALは、区分面A1を0°として反時計回りに90°回転させた直線である。よって角度βは90°となる。角度βを90°とした場合である図4(g)を例に説明する。
図4(g)において、直線RALを超過し、直線RALの右側に示されるS3GDは、削除の対象となる。
なお、角度βは、90°に限られない。角度βは、ユーザが任意に設定可能であり、例えば実験などによって計算が不要と判断できる角度が設定されてもよい。
計算角度範囲を設定することによって、斜面安定計算装置100は、計算角度範囲を超過する点を含む面を計算から除外することで、計算量を少なくすることができる。
図4(h)は、本発明の一実施形態に係る計算を開始する点の左側の区分面を計算する処理の計算結果の一例を説明する図である。
S2を図4(b)のS2C、S3を図4(f)のS3B、およびS4を図4(f)のS4とした場合、斜面安定計算装置100は、図4(h)に示すように区分面A1、A2、およびA3を計算することができる。
図5は、本発明の一実施形態に係る計算を開始する点の右側の区分面を計算する処理の一例を説明する図である。
図5で説明する処理は、図2のステップS0202の一部に相当する。図5で説明する処理は、計算を開始する点S0の右側にある図3の区分面A4、およびA5を計算する処理である。
図3の区分面A4、およびA5は、点S1、S5、およびS6を計算し、各点を結ぶことで計算される。
図5(a)は、S5の計算方法を説明する図である。
S1は、図4(a)で説明した計算方法によって計算される。
S5は、図4(a)で説明した計算方法によって計算されたS1を基点として計算される。S5は、計算の条件によって複数の点が算出される。S5は、S1の座標値と、計算角度αと、間隔値ΔLと、によって計算される。例えばS5は、図5(a)に示すようにS5A、S5B、S5C、およびS5Dが計算される。
具体的には、S5Aは、直線LS5Aと、直線VS5と、の交点である。したがって、S5Aは、直線LS5Aと、直線VS5と、から計算される。直線LS5Aは、図5(a)に示すように直線VS1に対して左回りの計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。直線VS1は、S2の計算のVS1と同様である。直線VS5は、直線VS1を間隔値ΔL並行移動させた垂線である。
同様に、S5Bは、直線LS5Bと、直線VS5と、の交点である。直線LS5Bは、図5(a)に示すように直線LS5Aに対して計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。
同様に、S5Cは、直線LS5Cと、直線VS5と、の交点である。直線LS5Cは、図5(a)に示すように直線LS5Bに対して計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。
同様に、S5Dは、直線LS5Dと、直線VS5と、の交点である。直線LS5Dは、図5(a)に示すように直線LS5Cに対して計算角度αの角度があり、かつ、S1を通る直線である。
区分面A4は、S5A、S5B、S5C、およびS5Dのうちいずれかと、S1と、を結んだ線によって計算される。
以下、S5をS5Dとした場合の例でS6の計算方法を説明する。
図5(b)は、S5をS5Dとした場合のS5、および区分面A4を説明する図である。
図5(c)は、S6の計算方法を説明する図である。
S6は、S5の座標値と、計算角度αと、間隔値ΔLと、によって計算される。例えばS6は、図5(c)に示すようにS6A、S6B、S6C、およびS6Dが計算される。
S6Aは、S5の計算と同様に、直線VS5に対して左回りの計算角度αの角度があり、かつ、S5を通る直線LS6Aと、直線VS6と、の交点である。
S6Bは、S5の計算と同様に、直線LS6Aに対して左回りの計算角度αの角度があり、かつ、S5を通る直線と、直線VS6と、の交点である。
S6Cは、S5の計算と同様に、直線LS6Bに対して左回りの計算角度αの角度があり、かつ、S5を通る直線と、直線VS6と、の交点である。
S6Dは、S5の計算と同様に、直線LS6Cに対して左回りの計算角度αの角度があり、かつ、S5を通る直線と、直線VS6と、の交点である。
区分面を計算する処理は、例えば図4で説明した計算を開始する点の左側の区分面を計算する処理と同様に、地表面Gに達する点が計算されるまで繰り返される。例えばS6がS6Dとなった場合、S6Dを基点とした区分面を計算する処理は行われない。S6の計算において地表面Gに達していないS6A、S6B、およびS6Cの場合、S6を基点とした区分面を計算する処理を行う。図4(f)に示すS4と同様に地表面Gに達した点が計算された場合、斜面安定計算装置100は、区分面を計算する処理を終了する。
なお、S5、またはS6を計算する処理は、図4で説明した計算を開始する点の左側の区分面を計算する処理と同様に、斜面安定計算装置100は、ネバーカットラインYLを超過する点を含む面を計算から除外することを行ってもよい。例えば、図4(b)のS2Dのように、S5AがネバーカットラインYLを超過する点である場合、以後の計算において、S5は、S5A以外となるS5B、S5C、およびS5Dのうちいずれかの点を選択して計算する。斜面安定計算装置100は、ネバーカットラインYLを超過する点を含む面を計算から除外することで、計算量を少なくすることができる。
また、S5、またはS6を計算する処理は、図4で説明した計算を開始する点の左側の区分面を計算する処理と同様に、地表面Gを超過する点が計算された場合、斜面安定計算装置100は、座標値を補正する処理を行ってもよい。例えば図5(c)で示すS6Dのように、S6Dが地表面Gを超過する点である場合、図4(d)のS3Aと同様に、図4(e)で説明した地表面Gを示す直線と、直線LS6Dと、の交点にS6Dを補正する処理を行ってもよい。
なお、S5、またはS6を計算する処理は、図4で説明した計算を開始する点の右側の区分面を計算する処理と同様に、図4(g)で説明した計算角度に基づく計算の範囲を設定してもよい。例えば、図5(c)のS6Eは、計算角度範囲RALを超過する点として計算から除外される。
図5(d)は、本発明の一実施形態に係る計算を開始する点の右側の区分面を計算する処理の計算結果の一例を説明する図である。
S5を図5(a)のS5D、およびS6を図5(c)のS6Dを地表面Gとの交点に補正した点とした場合、斜面安定計算装置100は、図5(d)に示すように区分面A4、およびA5を計算することができる。
なお、区分面を計算する処理は、計算する範囲を設定してもよい。例えば、X軸方向の計算する範囲を設定する場合、図3で示す範囲に設定する場合、X軸方向における計算の上限の座標値RE、およびX軸方向における計算の下限の座標値RSを超過した点は、削除する処理を行う。
<変形例>
なお、区分面を計算する処理は、地中に埋められている物体に基づいて計算してもよい。
地中に埋められている物体に基づいて計算を図4(b)で説明した区分面A1の計算の場合を例に説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る地中に埋められている物体に基づいた区分面を計算する処理の一例を説明する図である。
図6は、S2の計算において、S2Aの計算を行う場合である。
S2Aを計算するために、直線LS2Aを計算する過程において、斜面1の実地調査などで物体2が埋まっていることがわかっている場合、斜面安定計算装置100は、S2Aについて以後の計算を行わないようにする。図6に示すように直線LS2Aが物体2のモデルを横切る場合なので、斜面安定計算装置100は、S2Aを以後の計算から除外し、計算量を少なくすることができる。
物体2は、例えばコンクリートなど固さのある物体である。
また、図6の場合、斜面安定計算装置100は、直線LS2Aを物体2の形状に沿う直線に変更して計算してもよい。
<安全率を計算する処理>
図2のステップS0202における区分面を計算する処理によって、区分面A1、A2、A3、A4、およびA5が計算された場合、斜面安定計算装置100は、安全率を計算する処理を行う。安全率を計算する処理は、図2のステップS0203の処理に相当する。
安全率を計算する処理は、計算された各区分面について”抵抗力”と”滑動力”に基づいて安全率を計算する。
安全率Fsは、面の上にある土の塊などが面に沿って滑ろうとする力、いわゆる滑動力(以下、滑動力という。)と、滑動力に対する抵抗力(以下、抵抗力という。)と、を対比した下記(式1)を用いて計算される。
滑動力は、例えば面の上にある土の塊などにかかる重力から計算される。
抵抗力は、例えば粘着力、および摩擦力などから計算される。
具体的には、安全率Fsは、例えば下記(式2)で示されるいわゆるフェレニウス法、または下記(式3)で示されるいわゆる修正フェレニウス法などによって計算される。
本実施形態では、(式2)および(式3)の傾斜角は計算角度αから求めることも可能である。本実施形態では、(式2)および(式3)の区分の間隔は間隔値ΔLである。
斜面安定計算装置100は、安全率Fsを複合面A0ごとに計算する。
<複合面に係る計算の処理>
斜面安定計算装置100は、点S1を基点とした図4(h)で計算した左側の区分面と、同じく点S1を基点として左側の区分面と連続した図5(d)で計算した右側の区分面からなる図3の複合面A0を計算することができる。
複合面に係る計算の処理は、例えば計算された複合面のうち、安全率を計算する処理によって最も安全率の値が低い複合面を特定する処理を行う。
なお、最も安全率の値が低い複合面を特定するは、安全率の値が低い複数の複合面を特定する処理でもよい。例えば、安全率の値が低い複数の複合面を特定する処理は、計算された複合面のうち、最も安全率の値が低い10つの複合面を特定するでもよい。
また、複合面に係る計算の処理は、所定の安全率以下の複合面を特定する処理でもよい。例えば、斜面安定計算装置100は、(式1)において分母の抵抗力の値が分子の抵抗力の値以下の値である複合面、すなわち安全率Fsが1以下の値となる複合面を特定するでもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態で説明した斜面安定計算装置100を用いるため、斜面安定計算装置100の説明を省略する。
第2実施形態では、斜面安定計算装置100は、第1実施形態と同様に図2の全体処理を行う。第2実施形態は、第1実施形態とステップS204の処理が異なる。
第2実施形態では、入力値は、計算を開始する点を複数入力する。
以下、計算を開始する点を2点入力する場合を例に説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る計算を開始する点を2入力した場合の全体処理の一例を説明する図である。
第2実施形態の区分面を計算する処理では、斜面安定計算装置100は、第1実施形態で説明したS0を計算を開始する点とした計算と同様の処理で、図7に示すようにS10を計算を開始する点として区分面を計算する。
S1乃至S6、および区分面A1乃至A5の計算は、第1実施形態で示した計算であるため説明を省略する。
第1実施形態で説明した区分面を計算する処理と同様の計算で、S10を計算を開始する点として例えばS11乃至S14が計算された場合、斜面安定計算装置100は、区分面B1、B2、およびB4を計算できる。
斜面安定計算装置100は、複合面を区分面A1乃至A5と、区分面B1、B2、およびB4と、をつなぎ合わせて複合面を計算する。
計算を開始する点を複数入力して計算することによって、斜面安定計算装置100は、斜面1の凹凸などを反映した複雑な形状の複合面を計算することができる。
なお、斜面安定計算装置100は、複合面、または安全率の計算結果を図で表示してもよい。
図8は、本発明の一実施形態に係る計算結果の表示の一例を説明する図である。
図8(a)は、計算した複合面の表示の一例である。
複合面は、計算された区分面を例えば図8(a)に示すように斜面1に線分を記載して表示する。
図8(b)は、計算した安全率の表示の一例である。
安全率は、図8(b)に示すように例えば計算された安全率のうち安全率が低いいくつかの複合面を斜面1に線分を記載して表示する。
図8(c)は、計算した安全率の表示の別の一例である。
安全率は、図8(c)に示すように例えば計算された安全率を斜面1に色付けして表示する。
図2のステップS0205の出力処理は、図8で示した図を表示するための処理を行う。
なお、実施形態は、計算を開始する点を2点入力する場合に限られない。実施形態は、計算を開始する点を3点以上入力してもよい。
<ハードウェア構成>
図9は、本発明の一実施形態における斜面安定計算装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
斜面安定計算装置100は、コンピュータである。斜面安定計算装置100は、例えばPC(Personal Computer)、サーバ、またはメインフレームなどである。
斜面安定計算装置100は、補助記憶装置1001と、記憶装置1002と、CPU1003と、を有する。また、斜面安定計算装置100は、コネクタ1004と、入力I/F1005と、出力I/F1006と、メディアドライブ1007と、を有する。
斜面安定計算装置100の各構成要素は、バス(Bus)1008により接続されている。
補助記憶装置1001は、CPU1003、および制御装置(図示せず)などの制御によって、CPU1003が行う処理の中間結果を含む各種データ、パラメータ、またはプログラムなどの情報を記憶する。補助記憶装置1001は、例えば、ハードディスク、フラッシュSSD(Solid State Drive)などである。
記憶装置1002は、CPU1003が実行するプログラムが使用する記憶領域、いわゆるメモリ(Memory)などの主記憶装置である。記憶装置1002は、データ、プログラム、またはパラメータなどの情報を記憶する。
CPU1003は、斜面安定計算装置100が行う各処理のための演算、または制御を行う。例えばCPU1003は、バス1008を介して補助記憶装置1001と、記憶装置1002と、入力I/F1005と、出力I/F1006と、の間で情報の入出力を行う。また、CPU1003は、各種のプログラムを実行する。
コネクタ1004は、外部装置(図示せず)と接続し、外部装置(図示せず)と入出力を行うためのバス、いわゆる外部バスである。コネクタ1004は、例えばUSBなどである。
入力I/F1005は、斜面安定計算装置100に入力装置を接続するためのインタフェース(Interface)である。入力装置は、例えば、処理に必要な値、またはコマンドなどを入力するキーボード10051などである。入力装置は、二次元の移動距離を斜面安定計算装置100に入力するマウス10052などである。入力装置は、ペンタブレットなどポインティングデバイスなどでもよい。なお、入力装置は、コネクタ1004に接続される構成でもよい。
出力I/F1006は、処理結果などを表示する出力装置であるディスプレイ10061、ディスプレイ10061に出力する画像信号を制御する処理回路(図示せず)、ドライバ(図示せず)、およびケーブル(図示せず)などである。
メディアドライブ1007は、記録媒体であるメディア10071と接続し、情報の入出力を行うための処理を行う。メディア10071は、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイなど光ディスクである。メディア10071は、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、またはSD(登録商標)カード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などのフラッシュメモリでもよい。
バス1008は、斜面安定計算装置100の各構成要素間の通信に用いられる。バス1008は、いわゆる内部バスである。バス1008は、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)である。
<まとめ>
以上、本実施形態で示した通り、斜面安定計算装置100は、少なくとも入力値である計算を開始する点S0の座標値、計算角度α、及び間隔値ΔLを取得さえすれば、点S0の座標値、計算角度α、及び間隔値ΔLから区分面を計算し、計算された区分面をつなぎ合わせて、複合面を計算することができる。このため、斜面安定計算装置100は、斜面安定計算において複雑な形状の面を容易に計算することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
S0 計算を開始する点
A0 複合面
A1〜A5 区分面
ΔL 区分の間隔
ΔY Y軸方向の間隔
α 計算角度
G 地表面
RE X軸の上限値
RS X軸の下限値
YL ネバーカットライン
1 斜面
100 斜面安定計算装置
1001 補助記憶装置
1002 記憶装置
1003 CPU
1004 コネクタ
1005 入力I/F
10051 キーボード
10052 マウス
1006 出力I/F
10061 ディスプレイ
1007 メディアドライブ
10071 メディア
1008 バス
10551 入力部
10552 区分面計算部
10553 複合面計算部
10554 制御部
10555 出力部

Claims (6)

  1. 斜面に係る計算を行う斜面安定計算装置であって、
    前記計算を行うための入力値を入力するための入力手段と、
    前記入力値に基づいて前記斜面を所定の間隔で区分し、前記区分ごとに区分面を計算する区分面計算手段と、
    前記区分面をつなぎ合わせて複合面を計算する複合面計算手段と、を有し、
    前記入力値は、
    少なくとも前記区分面計算手段が計算を開始する1の座標値と、前記所定の間隔を示す間隔値と、前記区分面を計算するための所定の角度である計算角度と、であり、
    前記区分面計算手段は、
    前記座標値、前記計算角度、及び前記間隔値に基づいて計算された点を基点とし、前記計算角度に基づいて前記区分面を計算する斜面安定計算装置。
  2. 前記区分面計算手段は、
    前記斜面の地表面、前記斜面の下限面、または計算する角度の範囲に基づいて区分面の計算する範囲を限定する請求項1に記載の斜面安定計算装置。
  3. 少なくとも前記斜面に対する滑動力と、前記滑動力に対する抵抗力と、に基づいて安全率を計算する安全率計算手段を有し、
    前記複合面計算手段は、
    複合面のうち前記安全率が最も低い複合面を計算する請求項1または2に記載の斜面安定計算装置。
  4. 前記入力手段は、
    前記座標値を2以上入力する請求項1乃至3に記載のいずれかの斜面安定計算装置。
  5. 斜面に係る計算を行う斜面安定計算方法であって、
    前記計算を行うための入力値を入力するための入力手順と、
    前記入力値に基づいて前記斜面を所定の間隔で区分し、前記区分ごとに区分面を計算する区分面計算手順と、
    前記区分面をつなぎ合わせて複合面を計算する複合面計算手順と、を有し、
    前記入力値は、
    少なくとも前記区分面計算手順が計算を開始する座標値と、前記所定の間隔を示す間隔値と、前記区分面を計算するための所定の角度である計算角度と、であり、
    前記区分面計算手順は、
    前記座標値、前記計算角度、及び前記間隔値に基づいて計算された点を基点とし、前記計算角度に基づいて前記区分面を計算する斜面安定計算方法。
  6. コンピュータに請求項5に記載の斜面安定計算方法を実行させるためのプログラム。
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