JP4886150B2 - 多孔質粒子の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質架橋ポリエステル含有粒子の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビーズとも称される多孔質ポリエステル系粒子は、吸着剤、イオン交換樹脂、塗膜用不透明添加剤、艶消し剤および肌理出し剤ならびにフィラーとしての用途を提案している。そのような粒子すなわちビーズの製造に関していくつかの方法が開示されてきた。しかし、そのような方法には全て、製造可能なビーズの形態、失敗なく使用できるポリエステルの組成および大規模製造用のプロセスの実現可能性に関して特定の制限がある。
【0003】
おそらく最も広く報告されている方法は、油相が不飽和ポリエステルおよび該ポリエステルの骨格鎖の二重結合と共重合する一種または複数種のモノマーを含む水中油中水型エマルジョンを急速架橋させ粒子を架橋するものである。有機相内に存在する個々の水滴が、合成されるポリエステル粒子内に空隙を作るように働くので多孔性が生じる。この方法は米国特許第3,979,342号、第4,089,819号、第4,363,888号、第3,822,224号、第3,923,704号、第4,137,380号、第3,933,579号および英国特許第1,395,065号に開示されている。このプロセスにはいくつかの制限がある。第一に、このプロセスが有用であるポリエステルの種類が少ない。このプロセスは、水溶性の高いポリマーには利用できない。したがって、スルホネート、PEOセグメントまたは四級アンモニウム単位などの水溶性官能基を高密度に有するポリマーには使用できない。この方法は本質的に、特定範囲の酸価および特定の試薬を用いて中和されるカルボン酸末端基を有する低分子量ポリエステルに有用である。第二に、粒子の大きさがpHおよび撹拌の度合に非常に大きく依存するのでプロセス制御が困難である。第三に、このプロセスにより調製されるビーズのコロイド安定性は多くの場合低いので、製品分散液の沈澱が問題になることがある。最も重大であるが、このプロセスにより調製されるビーズの細孔形態は、「不連続」または「小胞性」と前記特許中に記載されている。言い換えると、ビーズ内の穴は互いに連絡しておらず、個別の空隙として存在している。これは、クロマトグラフィー担体、イオン交換樹脂および吸着剤などの用途においてビーズの有用性を大きく制限する。また、この方法を利用して平均径1μm未満の粒子などの非常に小さい粒子を製造するのは困難である。
【0004】
「緩凝集」と呼ばれる第二の方法は、多孔質ポリエステルビーズの調製に関して特開平7−179533号、特開平7−137432号、特開平7−137433号および特開平7−070331号に開示されている。この方法では、荷電基、すなわち懸垂荷電単位または中和されたカルボン酸末端基のいずれかを含むポリエステルを水混和性有機溶剤に溶解させ、水を加え、蒸発により前記有機溶剤を除去することにより、非常に小さいポリエステル前駆体粒子の分散液を形成する。慎重に制御された濃度での電解質の添加または生成により、この前駆体粒子は合体し、より大きな「密集」粒子となる。このような大きな粒子は、ガラス転移温度より上の温度で密集粒子を加熱することにより融合する。次いで、前記粒子は架橋モノマーおよび開始剤により膨潤し、加熱されて最終的な架橋ビーズが生成する。水中油中水型エマルジョン法のように、この方法の有用性は特殊な種類のポリエステルに限定される。水溶性の高いポリマーにこのプロセスが適用されると、前駆体粒子を形成できない。第二に、この方法は、ガラス転移温度が室温より低いか、この場合水などの溶剤の沸点より高いポリマーにはうまくいかない。この方法はプロセス変量が多いため大規模に実施するのは困難であり、この方法を利用して平均径が1μm未満の粒子を製造するのは困難である。結局この方法からはただ1種類のビーズ形態しか生じない。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第3,822,224号
【特許文献2】
米国特許第3,923,704号
【特許文献3】
米国特許第3,933,579号
【特許文献4】
米国特許第3,979,342号
【特許文献5】
米国特許第4,089,819号
【特許文献6】
米国特許第4,137,380号
【特許文献7】
米国特許第4,363,888号
【特許文献8】
英国特許第1,395,065号
【特許文献9】
特開平7−070331号
【特許文献10】
特開平7−137432号
【特許文献11】
特開平7−137433号
【特許文献12】
特開平7−179533号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、制御が容易なプロセスで広範囲のポリエステルを用いて、優れた安定性を示す小さな多孔質ポリエステル粒子を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、不飽和ポリエステル、水不混和性有機溶剤、少なくとも1種の有機可溶性エチレン系不飽和モノマーおよび開始剤を含む混合物であって有機相と水相とからなるものを調製し、該混合物に高エネルギー乳化工程を施し、乳化後の該ポリエステルの架橋を開始し、該水不混和性有機溶剤を除去することにより多孔質ポリエステル粒子を回収することを特徴とする、多孔質粒子の形成方法に関する。
本発明の方法は、ガラス転移温度による制限なしに非常に広い組成範囲のポリエステルを使用できる能力に関して利点がある。さらに、本方法にはプロセス制御が比較的容易であるという利点もあり、大量製造に理想的に好適である。本方法により製造された粒子のコロイド安定性は優れており、多様な細孔形態を得ることができる。本方法により作られる多孔質ポリエステル系粒子すなわちビーズは、吸着剤、塗膜用不透明添加剤、艶消し剤および肌理出し剤ならびにフィラーとして有用である。
【0008】
【発明の実施の形態】
架橋多孔質ポリエステルビーズの調製に関して本明細書に記載されている方法は、水不混和性有機溶剤の存在下で水中油滴型エマルジョン中で不飽和ポリエステルを架橋する工程を含んでなる。架橋反応は、ポリエステル中の不飽和単位と容易に共重合するエチレン系不飽和モノマーのラジカル開始型重合でよい。前記ポリエステルは有機可溶性でよく、その場合乳化剤の添加が必要なことがある。本方法の他の実施様態において、前記ポリエステルはその性質として水溶性でも、水分散性でも、または両親媒性でもよく、その場合前記ポリエステルが乳化種として働くので添加する乳化剤は任意に過ぎない。前記水不混和性有機溶剤は、沸騰、蒸発、溶剤抽出、真空乾燥または透析などのいかなる手段によって除去してもよく、それにより多孔質架橋ポリエステル含有粒子の分散液が得られる。
【0009】
本発明の方法は容易に量産化が可能で、水溶性でも、水分散性でも、または油溶性でもよい非常に広い範囲の不飽和ポリエステルに適用可能である。使用可能なポリエステルはそのガラス転移温度によって制限されず、この技術によりさまざまな粒子形態を提供することができる。本方法は、不飽和ポリエステル、水不混和性有機溶剤、少なくとも1種の有機可溶性エチレン系不飽和モノマー、開始剤および任意に追加の界面活性剤、乳化剤、補助界面活性剤または安定剤化合物を含む混合物であって有機相と水相とからなるものを調製する工程を含んでなる。前記ポリエステルおよび開始剤が混合物中に存在するのは、水相と有機相のいずれでもよい。前記混合物には、高剪断混合、超音波処理、均質化およびミクロ流動化などがあるがこれらに限定されないさまざまな方法のいずれかにより高エネルギー乳化工程を施し、加熱または多成分レドックス開始系の1成分の添加のいずれかにより架橋を開始することができる。好ましい実施様態において、加熱は30〜100℃の間の温度範囲で、0.5〜16時間の間行うべきである。次いで、前記水不混和性有機溶剤を除去して多孔質ポリエステルビーズの水性分散液を得るが、所望の場合固体として単離できる。
【0010】
本発明に有用なポリエステルは、分岐型でも非分岐型でもよく、化学的不飽和を含み、水不混和性有機溶剤または水のどちらに可溶性でもよい。任意に、前記ポリエステルは、その性質として水に対して自己乳化性でも、両親媒性でも、界面活性剤様でもよい。前記ポリエステルは、溶解性の要件を満たすならば、そのガラス転移温度が何度でもよい。好ましくは、数平均分子量(Mn)が1,000〜30,000グラム/モルの間である。
【0011】
当業界に公知であるとおり、ポリエステルは、多塩基酸あるいはエステル、無水物または酸塩化物などの対応する酸等価誘導体と多価アルコールとの縮合体である。本文書中で「二酸」または「多酸」が言及される場合、エステル、無水物または酸塩化物などの対応する酸等価誘導体も参照により含まれる。重合性不飽和は、α,β−エチレン系不飽和を含む多塩基酸または多価アルコールの選択により分子内に導入することができる。ほとんどの場合、不飽和は多塩基酸単位中に含まれるであろう。不飽和ポリエステルは、全二酸単位に対して少なくとも20モルパーセントの不飽和二酸単位を含むことが好ましい。任意に、前記不飽和多酸のほかに、重縮合の分野で一般的な追加の多酸を1種または複数種使用してもよい。例えば、エチレン系不飽和多酸には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸などがあるが、必ずしもこれらに限定されない。化学不飽和を含まないがポリエステル中に使用できる追加的な他の多酸はWO 01/00703に記載されている。このような二酸には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体、クロレンド酸、トリメリト酸、トリメシン酸およびピロメリト酸があるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0012】
エチレン系不飽和基は、前駆体ポリエステルの合成修飾によりポリエステル中に導入することができる。例えば、エチレン系不飽和単位を導入するために、アルコール数の高いポリエステルをアクリル酸またはメタクリル酸の無水物または酸塩化物と反応させることができる。
【0013】
本発明に好適なポリエステルは、さらに、重縮合の分野で公知であり、脂肪族でも、脂環式でも、アラルキルでもよい広範囲の多価アルコールから構成されている。好適な多価アルコールの記載が、WO 01/00703に与えられている。これらのアルコールには、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAなどのビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパンおよびε−カプロラクタムの開環重合により得られるものなどのポリエステルポリオールなどがあるが、必ずしもこれらに限定されない。その上、ヒドロキシルおよび酸誘導体官能基を含むA−Bタイプ重縮合モノマーも、一酸および一価アルコールと同様に使用できる。
【0014】
本発明のある実施様態において、水溶性、界面活性剤様または自己乳化性であり、さらに化学不飽和を含むポリエステルを使用できる。水溶性、界面活性剤様または自己乳化性のポリエステルは当業界に公知であり、カルボキシレート、四級アンモニウム、スルホネート、サルフェート、スルホニウム、ホスフォニウム、イミノスルホニルあるいはポリマー性またはオリゴマー性オキシエチレンセグメントなどの親水性化学基を1種または複数種含む。本発明に有用なポリエステルはさらに、上記で詳述したとおり、エチレン系不飽和を含む多酸または多価アルコールモノマーを1つまたは複数含む。本発明に有用な前記の水溶性、界面活性剤様および自己乳化性ポリエステルは、親水性または水溶性をもたらすことのできる二酸またはジオール成分を1種または複数種含んでもよい。この目的に使用される最も一般的な親水性ジオールはポリエチレングリコールである。さらに、2つまたは3つのヒドロキシアルキル基で置換されている三級アミン単位をポリエステルに取り入れて、アルキル化剤による四級化または酸による中和によりイオン化することもできる。ポリエステルに親水性を与えるために使用される一般的な種類の二酸成分には、スルホネートまたはスルホンイミド塩を含む化合物がある。好適なスルホン化二酸が、米国特許第4,973,656号および第5,218,042号に数例記載されている。そのような二酸の例には、5−ソジオスルホイソフタル酸、2−ソジオスルホ酪酸およびジメチルソジオイミノビス(スルホニル−m−ベンゾエート)がある。ポリエステルを親水性にする他の一般的な方法は、比較的高い酸価を有するポリエステルの酸末端基を中和するものである。酸価は少なくとも10であることが好ましい。25より大きい酸価が最も好ましい。中和剤は、通常アルカリ金属水酸化物またはアミンでよい。エチレン系不飽和および中和された酸末端基を含むポリエステルも本発明に使用できる。好ましい場合、不飽和ポリエステルは、イオン単位のモルあたり400から2000グラムポリマーのイオン性基換算分子量を含む。
【0015】
本発明におけるポリエステルの架橋に有用なエチレン系不飽和モノマーは、付加重合の分野で一般的に使用されるモノマーでよい。それらには、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびグリシジルアクリレートなどのアクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、3−および4−クロロメチルスチレン、ハロゲン置換スチレンおよびアルキル置換スチレンなどのスチレン類、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン、N−アルキル化アクリルアミドおよびメタクリルアミド、酢酸ビニルおよび安息香酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルエーテル、アリルアルコールおよびそのエーテルおよびエステル、アクロレインおよびメチルビニルケトンなどの不飽和ケトンおよびアルデヒド、イソプレン、ブタジエンならびにアクリロニトリルなどがあるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0016】
さらに、少量の、重合性固体の全量に対し通常40%未満の水溶性エチレン系不飽和モノマーを1種または複数種使用することもできる。そのようなモノマーには、極性の高い基で置換されたスチレン類、アクリレートおよびメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、ビニルリン酸およびこれらの塩など不飽和の炭素およびヘテロ原子酸、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドンならびにビニルピリジンがあるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0017】
少なくとも2つのエチレン系不飽和化学官能基を含むモノマーが本発明に特に有用である。これらの官能基はビニル基、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテルおよびビニルエステルである。モノマーには、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンの異性体およびエチレングリコールジビニルエーテルがあるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明に好ましいエチレン系不飽和モノマーは、スチレン類、ビニルエーテルおよびメタクリレートである。ジビニルベンゼン(mおよびp異性体)、スチレン、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルアジペートおよびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルは特に好ましい。
【0019】
付加重合の分野で公知である一般的な水溶性または有機可溶性フリーラジカル重合開始剤はいかなるものでも本発明に使用できる。それらには、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンジカルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドなどのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、過酸化カプリル、過酸化アセチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルヒドロペルオキシド、過酢酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)およびp−クロロベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物、有機ヒドロペルオキシド、過エステルおよび過酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジスルフィド、テトラゼンならびにH22/Fe2+、過硫酸塩/重亜硫酸塩、シュウ酸/Mn3+、チオ尿素/Fe3+および過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリンなどのレドックス開始剤系があるがこれらに限定されない。
【0020】
本発明に有用な有機溶剤には、室温以下で液体である水不混和性炭素含有化合物があり、あるいはそのように定義される。水不混和性有機溶剤は、本発明の有機相に含まれ得る。この溶剤を選択するための唯一の基準は、水不混和性であり、本プロセスを妨げるほどの相当な程度には架橋反応を抑えず、または他の副反応を起こさず、意図されない副生成物または汚染物質を生じさせないことである。前記有機可溶性モノマーおよび前記有機可溶性ポリエステルが本溶剤に可溶であることが望ましい。しかし、生成物のポリエステルビーズが前記溶剤との高い相溶性を有するか、前記溶剤により容易に膨潤することは必ずしも要求されない。さらに、前記溶剤が、大気圧または減圧下で容易に蒸発により除去されるほどの十分低い沸点を持つことが望ましいが、これが要求されるわけではない。本発明の有用な水不混和性有機溶剤には、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、四塩化炭素、クロロホルム、イソプロピルエーテル、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサノール、ブタノール、1−ドデカノール、シクロヘキサノン、クロロホルム、メチレンクロライドおよび1,2−ジクロロエタンがあるが、必ずしもこれらに限定されない。トルエン、酢酸エチルおよび酢酸プロピルが好ましい。
【0021】
任意に、通常有機相の1〜10重量%を構成する少量の補助界面活性剤安定剤を本発明の有機相に加えてもよい。これらの疎水性化合物は、ある種類の乳化重合および懸濁重合におけるオストワルド熟成を防ぐことが知られている。補助界面活性剤に関する優れた議論が、Peter A LovellおよびMohammed S. El−Aaserによる「Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers」(John Wiley and Sons:Chichester,1997,700〜721ページ)および米国特許第5,858,634号に与えられている。最も一般的な補助界面活性剤はヘキサデカンおよびヘキサデカノールである。他の有用な補助界面活性剤は、モノマーまたは開始剤として働くなど他の役割も果たす。前者の例はラウリルメタクリレートである。後者の例はラウロイルペルオキシドである。
【0022】
水に可溶性または分散可能でないポリエステルが本発明に使用される場合、追加的に乳化剤を使用するのが好ましいが、乳化剤は水溶性または水に分散可能なポリエステルと同時に使用することもできる。乳化剤は水相に存在することが好ましい。当業界には非常に多種多様な乳化剤が知られているが、それらのほとんどは、界面活性剤、コロイド無機物および保護コロイドという3つの基本的な種類に該当する。膨大な数の公知の界面活性剤が存在する。界面活性剤に関する良い参照情報源には、「Surfactant Handbook」(GPO:Washington,D.C.,1971)および「McCutcheon’sEmulsifiers and Detergents」(Manufacturing Confectioner Publishing Company:Glen Rock,1992)がある。本発明に有用な界面活性剤に一般的な制限はない。有用な界面活性剤は、アニオン系でも、カチオン系でも、両性イオン系でも、中性でも、低分子量でも、高分子でも、合成物でも天然源から抽出または誘導されたものでもよい。例をいくつか挙げると、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、AEROSOL(登録商標)という商標で販売されているものなどのスルホスクシネートエステル、ZONYL(登録商標)およびFLUORAD(登録商標)という商標で販売されているものなどフッ素系界面活性剤、TRITON(登録商標)X−100およびTRITON(登録商標)X−705などのエトキシ化アルキルフェノール類、RHODAPEX(登録商標)CO−436などのエトキシ化アルキルフェノールサルフェート類、GAFAC(登録商標)RE−90などのリン酸エステル界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ポリオキシエチレン化長鎖アミンおよびそれらの四級化誘導体、エトキシ化シリコーン、アルカノールアミン縮合物、PLURONIC(登録商標)およびTECTRONIC(登録商標)という商標で販売されているものなどのポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー、N−アルキルベタイン類、N−アルキルアミンオキシドおよびFLUORAD(登録商標)FC−430などのフルオロカーボン−ポリ(エチレンオキシド)ブロック界面活性剤などがあるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0023】
本発明に有用な保護コロイドには、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、スルホン化ポリスチレン、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、エチレンオキシドの水溶性複合樹脂アミン縮合物、尿素およびホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、グルテンおよびキサンタンガムがあるが、必ずしもこれらに限定されない。保護コロイドは、界面活性剤の代替としてまたは界面活性剤に加えて使用される種類の乳化剤である。それらは、乳化工程に先立ち水相に溶解または分散され得るのが典型的である。
【0024】
同様に、コロイド無機粒子を、限定合体プロセスの一部として乳化剤として使用できる。コロイド無機粒子は、界面活性剤または保護コロイドなど列記された他の乳化剤の代替としてまたはそれと同時に使用することができる。それらも水相に分散され得る。限定合体技術は、米国特許第4,833,060号および第4,965,131号などの多くの特許に記載されている。本発明に特に有用なコロイド無機物はDu Pontにより販売されているLUDOX TM である。
【0025】
調合物に混合できる本発明に有用な追加的添加物には、顔料、染料、殺生物剤、殺真菌剤、電解質、緩衝剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤および連鎖移動剤がある。
【0026】
本発明の方法により調製されるポリエステルビーズの基本的処方は以下のとおりである。
【0027】
ポリエステルとエチレン系不飽和モノマーのそれぞれの量は、質量比が19:1から1:19の間になるように選択する。好ましくは、前記比は1:7から7:1の間であり、最も好ましくはこの比が4:1から1:4の間である。
【0028】
水不混和性有機溶剤の量は、有機相の5〜95質量%を構成するように選択する。好ましくは、前記水不混和性有機溶剤は有機相の20〜80%を構成する。最も好ましくは、前記水不混和性有機溶剤は有機相の30〜60%を構成する。
補助界面活性剤安定剤の量は、有機相の0〜10質量%を構成するように選択する。好ましくは、前記補助界面活性剤安定剤は有機相の0.5〜5%を構成する。最も好ましくは、前記補助界面活性剤安定剤は有機相の1〜4%を構成する。
【0029】
乳化剤は、ポリエステルとエチレン系不飽和モノマーとの質量の合計に対する乳化剤の質量の比が、0.20から0.0025となる量で選択する。好ましくは、前記比は0.1から0.01である。最も好ましくは、前記比は0.02から0.07である。水溶性、水分散性または界面活性剤様ポリエステルが使用される場合、これらの比の下限は零となり、すなわち乳化剤は不要である。
【0030】
水は、水相全体が調合物の全質量の20〜95%を構成する量で加える。好ましくは、前記水相は40〜80%を構成する。最も好ましくは、前記水相は60〜80%を構成する。
【0031】
適切な量の追加の物質を加えてもよい。追加物質の種類の要件によって、反応の全質量に対して好ましくは5%未満が追加物質である。
【0032】
本発明の実施において、調合物の成分をすべて、それらが可溶または分散可能な水相または有機相に溶解または分散させる。前記2層を合わせて、超音波処理または高剪断混合法のいずれかあるいは方法を組合せて連続して利用することにより乳化する。高剪断混合とは、およそ毎分105以上、より好ましくは毎分106以上の剪断速度または速度勾配により十分な剪断エネルギーが提供されることを意味する。剪断速度とは、2面の速度の差の絶対値を前記2面の距離で割って得られる値を意味する。1400psiで運転される高圧ホモジナイザーは、ほぼ毎分6×106の剪断速度を与える。高圧ホモジナイザーが好ましい。高速ブレードミキサー、ケミカルブレンダー、Silversonミキサーなどのローターステーター装置またはManton−Gaulinホモジナイザーなどの高圧ホモジナイザー、Sonolator、プローブソニケーターまたはMicrofluidizer など、これらには限定されないが当業界で広く利用されている方法および装置を用いて乳化を実施できる。好ましい乳化装置は、Microfluidics Manufacturing社製造の110T型Microfluidizer である。
【0033】
乳化されたポリエステルビーズ調合物は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスのバブリングにより脱気することが好ましい。次いで、前記調合物を重合開始剤が十分に活性を持つと知られている温度にして、架橋反応が完了するに十分な期間保っておく。例えば、AIBNまたは過硫酸カリウムを用いると、60〜80℃において2〜24時間で通常十分である。過硫酸塩/重亜硫酸塩レドックス系では、25〜40℃において2〜24時間で通常十分である。任意に、室温開始剤系または2成分レドックス開始剤系の1成分を乳化の後に加えて、架橋を開始することもできる。
【0034】
架橋反応が終了すると、前記水不混和性有機溶剤を除去する。これは、ロータリーエバポレーション、共沸蒸発、低圧蒸留(LPD)または任意に窒素などの不活性ガスの気流下での沸騰により実施することができる。トルエンなど水と共沸混合物を形成する特定の溶剤は単純な蒸留により容易に除去できる。溶剤除去の他の有用な方法は、透析、透析濾過または水と前記有機溶剤の両方が溶解性を有する中間極性の溶剤を用いる限外濾過である。メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールはこの方法に都合がよい。別法としては、前記粒子分散液を水混和性有機溶剤に注ぐことにより前記水不混和性有機溶剤を除去でき、前記粒子は濾過または沈降により回収することができる。
【0035】
コロイド安定性の優れた生成物ビーズは、水性分散液として保存するか、凍結乾燥して水に容易に再分散可能な固体粉末を得ることができる。
【0036】
【実施例】
以下の実施例は、本発明を限定するものでなくさらに説明するものである。
実施例1
【0037】
【表1】
Figure 0004886150
【0038】
試薬1〜4を、ステンレススチールの攪拌棒、窒素の入口および制御付き真空システムに接続されたドライアイス/アセトンコンデンサにつながるアームを備えた500ml三つ口フラスコ中で混ぜ合わせた。金属加熱合金を有する浴中で反応系を加熱した。反応混合物上に一定流量の窒素気流を10分間流し、次いでわずかに陽圧となるような流量まで低下させた。温度を200℃に50分間保ち、25分間で260℃まで徐々に上げ、次いで260℃でさらに25分間保つと、透明でわずかにオレンジ色のプレポリマーが生じ、計算された量のメタノール留出液をメスシリンダーに集めた。反応系を浴から出し、冷まして、試薬5を加えた。220℃で反応を再び始めると、15分以内にエタノール凝縮液が集まり始めた。反応系を220℃で250分間保つと、ポリマーメルトが著しく粘性になり、沸騰が観測されなくなった。真空を200トルから始め、20分間かけて0.5トルにした。0.5トルで10分後、粘度が上昇してポリエステルをそれ以上攪拌できなくなり、反応を停止した。ポリマーを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(20%ジクロロ酢酸/CH2Cl2)で分析すると、Mnが6790、Mwが10,400であると分かった。
実施例2
【0039】
【表2】
Figure 0004886150
【0040】
このポリエステルは、全て常圧で実施する以外同じ装置を用いて、予備実施例1と類似の2段階重縮合反応で調製した。試薬1〜5を220℃で120分間加熱すると、透明なプレポリマーが生じ、予想される量のメタノールを集めた。反応系を加熱浴から1時間外し、試薬6および7を加えた。次いで、反応を220℃で継続すると、10〜15分以内に水凝縮物がトラップに集まり始めた。220℃でさらに180分間反応を続けると、ポリエステルの粘度が高まり攪拌できなくなった。前記ポリエステルは、ジメチルホルムアミド溶離剤のサイズ排除クロマトグラフィーによりMnが3130、Mwが7340であると分かった。
実施例3
【0041】
【表3】
Figure 0004886150
【0042】
1 80%(w/w)で残部はエチルスチレン。3異性体と4異性体の混合物。
2 Silverson L4Rミキサーを用いて最高速度設定で10分間反応混合物を均質化した。
3 反応混合物を上述のとおり10分間均質化し、Vibra Cell プローブソニケーター(Sonics & Materials Inc.)を用いて超音波処理した。
4 反応混合物を上述のとおり均質化し、Microfluidics社が販売するM−110T Microfluidizerに通してミクロ流動化した。
【0043】
図1〜4に示すビーズ1〜4の調製に類似の手順を用いた。ポリエステルを水中で約60℃に加熱すると濁った分散液が生じ、室温まで冷やした。トルエン、AIBN、ジビニルベンゼンおよびヘキサデカンを合わせて有機相を調製した。水相および有機相を合わせ、均質化、超音波処理またはミクロ流動化のいずれかにより乳化すると、不透明な白色反応混合物が生じた。乳化方法として超音波処理を選択した場合は、超音波処理の間反応混合物を氷浴中におき温度上昇を防いだ。反応混合物を1Lの三つ口丸底フラスコに注ぎ、メカニカルスターラー、窒素の入口および還流冷却器をつけ、窒素で10分間バブリングして脱気し、60〜70℃で終夜(約16時間)加熱した。次いで、ロータリーエバポレーションでトルエンを水の共沸混合物として除去し、得られた多孔質ビーズの分散液を、3〜6体積の水を用い100Kカットオフのメンブランを通す透析濾過または50Kカットオフの透析チューブを用いた透析により精製した。
【0044】
Horiba LA−920 粒径分析器を用いて平均粒径を測定すると、ビーズ1,2,3および4でそれぞれ2.64、0.50、2.93および3.01μmであった。ビーズの多孔質形態を示す走査型電子顕微鏡写真を図1〜4に示す。
実施例4
ミクロ流動化を利用して不飽和ポリエステル2およびジビニルベンゼンから調製された多孔質ビーズ
実施例3に記載した手順と類似の手順を利用した。20.00gのポリエステル2を240mlの脱イオン水に入れて激しく攪拌しながら70℃で4時間加熱し、次いで室温に冷やすことにより、前記ポリエステルを分散させた。20.00gのジビニルベンゼン、46mlのトルエン、4.1mlのヘキサデカンおよび0.40gのAIBNからなる有機相を調製し、分散させたポリエステルに加えた。前記混合物を、Microfluidics社製No.110T型ミクロフルイダイザーに2回通し、窒素で10分間バブリングして脱気し、70℃で16時間加熱した。ロータリーエバポレーションでトルエンを水の共沸混合物として除去し、得られた粒子の分散液を、6体積の水を用い100Kカットオフのメンブランを通す透析濾過により精製した。Horiba LA−920 粒径分析器を用いて平均粒径を測定すると、0.280μmであった。分散液の乾燥分を、Quantachrome Corp. NOVA 1000 分析器を用いて多点B.E.T.法により分析すると、比表面積が92.11m2/gであると分かった。
実施例5
油溶性不飽和ポリエステルから調製された界面活性剤安定化多孔質ビーズ
ビーカーに以下の成分、104gのジビニルベンゼン(DVB−HP 、Dow Chemical Corp.)、26gの有機可溶性フマレート系ポリエステル樹脂(Reichhold Inc.から入手したAtlac 382E)、66gのトルエン、4gのヘキサデカンおよび1.9gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(DuPont Corp.のVazo 52 )を加えた。前記成分を固形分が全て溶解するまで攪拌した。
【0045】
この溶液に、12gのN−アルキル(C12〜C16)−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロライド(Lonza Inc.のBarquatMB−50 )を600gの水に溶かした混合物を加えた。次いで、前記混合物を船用プロペラタイプの攪拌機で5分間攪拌すると、粗エマルジョンが形成した。前記粗エマルジョンを4000psiでGaulin ホモジナイザーに2回通した。得られたモノマー液滴分散液を、窒素の入口およびメカニカルスターラー付きの1リットル三つ口丸底フラスコに注ぎ、恒温浴中陽圧の窒素下で16時間50℃に加熱した。生成物を粗いフィルターに通して塊を除いた。次に、0.3gのMAZU 消泡剤(BASF Corp.)を加え、トルエンを水の共沸混合物として50℃において真空下で蒸留により除くと、固形分21.0%の白色分散液が得られた。粒径分析器Horiba LA−920 で平均粒径を測定すると、0.15μmであると分かった。分散液の乾燥分を、Quantachrome Corp. NOVA 1000 分析器を用いて多点B.E.T.法により分析すると、比表面積が125m2/gであると分かった。
実施例6
油溶性不飽和ポリエステルから調製されたシリカ安定化多孔質ビーズ
ビーカーに以下の成分、45.5gのジビニルベンゼン(DVB−HP 、Dow Chemical Corp.)、26gの有機可溶性フマレート系ポリエステル樹脂(Reichhold Inc.から入手したAtlac 382E )、151.5gのトルエンおよび1.0gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(DuPont Corp.のVazo 52 )を加えた。前記成分を固形分が全て溶解するまで攪拌した。
【0046】
この溶液に、2.5gの酢酸ナトリウム三水和物、5.0gの酢酸、メチルアミノエタノールとアジピン酸の低分子量コポリマー1.8gおよび21.7gの50%シリカ(Ludox TM 、DuPont Corp.)を402gの水に溶かした混合物を加えた。次いで、前記混合物を船用プロペラタイプの攪拌機で5分間攪拌すると、粗エマルジョンが形成した。前記粗エマルジョンを4000psiに設定されたGaulin ホモジナイザーに2回通した。得られたモノマー液滴分散液を、窒素の入口およびメカニカルスターラー付きの1リットル三つ口丸底フラスコに注ぎ、恒温浴中陽圧の窒素下で16時間50℃に加熱した。生成物を粗いフィルターに通して塊を除いた。次に、0.3gのMAZU 消泡剤(BASF Corp.)を加え、トルエンを水の共沸混合物として50℃において真空下で蒸留により除くと、固形分20.7%の白色分散液が得られた。次いで、この分散液を粗いフィルターに通して塊を除いた。粒径分析器Horiba LA−920 で平均粒径を測定すると、2.9μmであると分かった。分散液の乾燥分を、Quantachrome Corp. NOVA 1000 分析器を用いて多点B.E.T.法により分析すると、比表面積が309m2/gであると分かった。
発明の他の特徴
多孔質粒子を形成する本方法にはその他の特徴がある。その他の特徴の1つにおいて、前記混合物は、水相に存在してもよい乳化剤、補助界面活性剤安定剤およびコロイド無機粒子をさらに含んでなる。前記乳化剤は、ある特徴において、スルホスクシネートエステルおよびそれらの塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルフェノールエトキシレート、PEO−PPOブロックコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、長鎖アルキルスルホネートの塩、スルホン化アルキル化ジフェニルエーテル、ナフタレンスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびコロイド状シリカからなる群から選択される。架橋は、加熱、レドックス開始により開始できる。他の特徴において、高エネルギー乳化工程は、高剪断混合、超音波処理、均質化またはミクロ流動化からなる。他の特徴には、30〜100℃の温度での加熱または0.5〜16時間の期間の加熱がある。他の特徴には、蒸発、共沸蒸留、低圧蒸留、透析濾過、透析または架橋後に混合物を水混和性有機溶剤に注ぎ濾過または沈降により粒子を回収する操作により、有機溶剤を除去することがある。他の特徴として水不混和性有機溶剤の除去後前記粒子は凍結乾燥される。他の特徴として、前記ポリエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸等価要素を含んでなり、さらにスルホン化二酸を含んでいてもよく、少なくとも10の酸価および1,000から30,000グラム/モルの平均分子量(Mn)を有する。他の特徴において、前記不飽和ポリエステルは、全二酸単位に対して少なくとも20モルパーセントの不飽和二酸単位を含んでなるか、またはイオン単位のモルあたり400から2000グラムポリマーのイオン性基換算分子量を有する。他の特徴において、前記方法は、スチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルおよびメタクリレートエステルからなる群から選択される少なくとも1種の要素を含んでなる少なくとも1種の有機可溶性エチレン系不飽和モノマーを含み、前記不飽和モノマーは少なくとも2つのエチレン系不飽和化学官能基を含んでなるが、前記化学官能基は、ビニル基、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテルおよびビニルエステルからなる群の少なくとも1つの要素から選択される。他の特徴において、開始剤は、アゾ化合物、有機過酸化物、有機ハイドロペルオキシド、過硫酸塩およびレドックス開始剤からなる群から選択される。さらに他の特徴において、前記水不混和性有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン異性体、酢酸エステル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、クロロホルム、四塩化炭素および1,2−ジクロロエタンからなる群から選択される少なくとも1つの要素である。本方法は、他の特徴において、7:1から1:7の質量比で存在する不飽和ポリエステルおよび少なくとも1種の有機可溶性エチレン系不飽和モノマーを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3におけるビーズ1(粒子構造)の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例3におけるビーズ2(粒子構造)の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3におけるビーズ3(粒子構造)の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例3におけるビーズ4(粒子構造)の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

  1. 不飽和ポリエステル、水不混和性有機溶剤、少なくとも1種の有機可溶性エチレン系不飽和モノマー、及び開始剤を含む混合物であって有機相と水相とからなるものを調製し、該混合物に高エネルギー乳化工程を施し、乳化後の該ポリエステルの架橋を開始し、そして該水不混和性有機溶剤を除去することにより多孔質ポリエステル粒子を回収することを特徴とする、多孔質粒子の形成方法。
  2. 前記混合物を調製する前に、前記ポリエステルを前記水相に含めておく、請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合物を調製する前に、前記ポリエステルを前記有機相に含めておく、請求項1に記載の方法。
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