JP4884577B2 - 繊維積層体の製造方法及びそれにより得られる合成皮革 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ポリウレタン樹脂系接着剤を用いた表面状態、剥離強度、風合に優れた繊維積層体の製造方法及びそれにより得られる合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の繊維積層体、例えば合成皮革の製造方法は、ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を離型紙上に塗布して乾燥させて表皮層を形成した後、その表皮層上にポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液に架橋剤を配合した接着剤を塗布して接着剤層を形成させ、直ちに繊維基材と貼り合わせるウェットラミネート法、あるいは該接着剤層を一旦乾燥させた後に繊維基材と貼り合わせるドライラミネート法のいずれかの方法により製造されている。
【0003】
この製造方法で使用されるポリウレタン樹脂の有機溶媒は、通常数種類混合して用いられるため、乾燥工程で揮散した有機溶媒の回収は極めて困難であり、ほとんど大気中に放出されてきたのが現状である。また、有機溶媒が揮発するため作業環境も良好でなく、作業者の健康が懸念される。加工装置も防爆仕様が要求されるため、装置の価格が高くなるという問題がある。さらに沸点の高い有機溶媒、例えばDMF(N,N−ジメチルフォルムアミド)が用いられることもあるが、この場合は沸点の高い有機溶媒が乾燥後も一部合成皮革の中に残留し、その毒性が問題となっている。
【0004】
これらの問題を解決すべく、使用するポリウレタン樹脂を有機溶媒溶液のタイプから水性タイプに移行すべく種々の研究がなされているが、いまだ満足すべき外観と物性を有した合成皮革は得られていない。この理由として、通常行われている水性ポリウレタン樹脂に架橋剤を配合して増粘させた後に塗布しラミネートさせるウェットラミネート法では、▲1▼一定の圧力でラミネートした場合、溶剤系と比較して、繊維基材に接着剤が浸透し易いあるいは基材の横にはみ出し易い。▲2▼乾燥性が遅く、また蒸発させた水蒸気が表皮層と離型紙の間に移行し、一部表皮層の浮きが生じる等の問題があり、最終的に得られる合成皮革の表面外観(表皮層の外観)、風合、接着強度等の品質が不良となる問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水性ポリウレタン樹脂系接着剤を用いる表面外観(表皮層の外観)、風合、接着強度に優れた有機溶媒を全く含まない、あるいはほとんど含まない繊維積層体の製造方法及びそれにより得られる合成皮革を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決する為、繊維積層体の製造方法について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、ポリウレタン樹脂フィルムと繊維基材とを水性ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネート法により接着加工する製造方法であり、前記接着剤が軟化温度50℃以下で、かつ、50℃での溶融粘度60000Pa・s以下である水性ポリウレタン樹脂と、ポリイソシアネート化合物とを含むものであり、ポリウレタン樹脂フィルム、または繊維基材に水性ポリウレタン樹脂系接着剤を塗布した後、乾燥処理を行い、水性ポリウレタン樹脂系接着剤から水分を蒸発させた後、直ちにポリウレタン樹脂フィルムと繊維基材を貼り合わせることを特徴とする繊維積層体の製造方法及びそれによって得られる合成皮革を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる合成樹脂フィルムとは、一般の合成樹脂より形成されるフィルムで特に限定されるものではないが、例えばポリウレタン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、エチレン酢ビ樹脂フィルム、オレフィン樹脂フィルム等が挙げられる。合成皮革を作成する場合には、ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液あるいは水分散液にて形成されたフィルムであり、ポリウレタン樹脂の組成は特に限定されない。好ましくは水系ポリウレタン樹脂で得られる合成樹脂フィルムである。かかる合成樹脂フィルムの厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。
【0009】
本発明で用いられる繊維基材とは、一般に用いられる繊維基材であれば全て特に制限なく使用することができる。その材質は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリルなどの合成繊維およびこれらの改良繊維;羊毛、絹、木綿、麻などの天然繊維;アセテート、レーヨンなどの半合成繊維など、あるいはこれらの混用繊維からなる織編布、不織布等の繊維シート状物が挙げられる。更に、これら繊維シート状物に有機溶媒系あるいは水性ポリウレタン樹脂がコーティング加工(発泡コーティングも含む)あるいは含浸加工されてマイクロポーラスを形成したものも挙げられ、本発明においては特に好ましくはマイクロポーラスを有する繊維シート状物である。本発明におけるマイクロポーラスとは、付着した樹脂中に均一な多数の孔が分散している状態を示す。尚、繊維の太さおよび形状は特に限定されず、極細繊維を用いることも可能である。例えば、極細繊維化に際して海島型、分割または剥離型、直紡型いずれの繊維を用いても良く、海島繊維を使用する場合、極細化方法としては海成分又は島成分をトルエン等の溶剤処理による溶解溶出法、アルカリ等による分解溶出法などが挙げられるが、極細化方法について特に限定されるものではない。更に、床革等の天然皮革素材を繊維基材に使用することもできる。
【0010】
本発明における水性ポリウレタン樹脂系接着剤は、本発明の目的である、乾燥後に比較的低温の雰囲気下においても十分な初期接着性を有し、かつラミネート後は溶剤系接着剤と同等の接着性能を発現させるために、好ましくは水性ポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物とからなる。特に水性ポリウレタン樹脂としては、好ましくはポリウレタン樹脂の軟化温度が80℃以下のものであり、かつ80℃におけるその溶融粘度が105Pa・s以下のものであり、かつ該ポリウレタン樹脂がポリイソシアネート化合物と反応して硬化した後の軟化温度が好ましくは120℃以上となるものである。
【0011】
かかるポリウレタン樹脂の軟化温度が80℃を越えた場合、あるいは80℃におけるその溶融粘度が105Pa・sを越えた場合は、合成樹脂フィルムと繊維基材とをラミネートして繊維積層体、特に合成皮革を製造する際に、接着剤層の粘着性が不足し、被着体である合成樹脂フィルムあるいは繊維基材に対する濡れ性が不足し、十分な初期接着性が得られない。更に、ポリウレタン樹脂の軟化温度は50℃以下であり、かつ50℃でのその溶融粘度が105Pa・s以下である。
【0012】
本発明でいうところの軟化温度及び溶融粘度は、高化式フローテスターを使用して、荷重10kgf、内径1mmかつ長さ1mmのオリフィスを使用し、昇温速度3℃/分で測定した時の流動開始温度及び溶融粘度を指すものである。
【0013】
また本発明の水性ポリウレタン樹脂は、好ましくはポリウレタン樹脂の軟化温度が80℃以下で、かつ80℃における溶融粘度が105Pa・s以下のものであり、更にポリイソシアネート化合物と反応して硬化した後の軟化温度を好ましくは120℃以上とするために、ポリウレタン樹脂の分子中にイソシアネート基と反応し得る活性水素基を少なくとも2個以上含有するのが好ましく、かかる活性水素基1当量当たりの固形分重量としては、1,000〜20,000である事が好ましい。活性水素基1当量当たりの固形分重量が1,000未満の場合は、合成樹脂フィルムや繊維基材に対する濡れ性は良くなるものの、繊維基材への浸透が起こり、また凝集力が低すぎて初期接着力、接着耐久性ともに不十分である。特に好ましくは、1,500〜15,000である。
【0014】
本発明の水性ポリウレタン樹脂系接着剤を構成するポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物単独、あるいはこれらのイソシアヌレート型あるいはビューレット型の少なくとも3官能以上のポリイソシアネート化合物、あるいは2官能以上のポリオール等の活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソアネート基含有ウレタンプレポリマー等の実質的に疎水性のポリイソシアネート類;これらポリイソシアネート類に乳化剤を配合して水に分散できるようにしたもの;カルボキシル基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、あるいはノニオン性基含有化合物をポリイソシアネート類に共重合して得られる自己乳化性の親水性ポリイソシアネート類;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
かかるポリイソシアネート化合物は、最終的に得られる繊維積層体、特に合成皮革の耐湿熱性等の接着耐久性を発現するために、前記水性ポリウレタン樹脂との硬化により硬化後の軟化温度が120℃以上になるように配合する事が望ましい。更に好ましくは140℃以上である事が望ましい。
【0016】
かかる軟化温度にするための前記水性ポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物との配合比は、100/1〜100/30(固形分重量比)が好ましく、更には100/2〜100/20(固形分重量比)が特に好ましい。
【0017】
本発明の水性ポリウレタン樹脂系接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、水に加えてその他の水性分散体や水分散液、例えば酢ビ系、エチレン酢ビ系、アクリル系、アクリルスチレン系等のエマルジョン;スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、アクリル・ブタジエン系等のラテックス;ポリエチレン系、ポリオレフィン系等のアイオノマー;ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、エポキシ樹脂等の各種水性分散体、水分散液を併用してもよい。
【0018】
また、各種添加剤を添加することもでき、例えば、ジブチル錫ラウレート等のウレタン化触媒;酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤;フッ素系、アセチレングリコール系、あるいはシリコーン系の各種レベリング剤;鉱物油系、シリコーン系等の消泡剤、可塑剤、粘着付与性樹脂、顔料等の着色剤、可使時間延長剤等を配合して使用することもできる。
【0019】
更に、本発明の水性ポリウレタン樹脂系接着剤は、必要に応じてアルカリ増粘型あるいはウレタン系、ポリエーテル系等の会合型等の各種増粘剤を配合して、各種塗工方法に応じた粘度に調整して使用される。
【0020】
本発明におけるドライラミネート法とは、合成樹脂フィルムまたは繊維基材に水性ポリウレタン樹脂系接着剤を塗布した後、乾燥処理を行い、水性ポリウレタン樹脂系接着剤から水分を蒸発させた後、直ちに合成樹脂フィルムと繊維基材を貼り合わせて接着することをいう。
【0021】
本発明における繊維積層体とは、上記の合成樹脂フィルムと繊維基材を前記接着剤により貼り合わせたもので、例えば合成皮革、透湿防水素材、クロス壁紙、カーテン、車輌内装材、パラグライダー・ヨット等のセール、テント、床材等が挙げられ、好ましくは合成皮革である。
【0022】
本発明における合成皮革とは、繊維積層体のうち、合成樹脂フィルムがポリウレタン樹脂フィルムで、接着剤がポリウレタン樹脂系接着剤からなるもので、繊維基材は上記の繊維基材であればいずれでも構わない。
【0023】
本発明の接着加工とは、ドライラミネート法である。即ち、該接着剤を該フィルム又は該基材に塗布し、乾燥し、貼り合わせ接着することである。
【0024】
水性ポリウレタン樹脂系接着剤の塗布方法は、従来公知のいずれの方法でもよく、例えば、グラビアロール、リバースロール、ロッド、ナイフオーバーロールなどによる塗布方法が挙げられるが、ナイフオーバーロールによる塗布が好ましく、塗布厚みは、乾燥後で5〜100μmとなればよく、好ましくは5〜50μmである。また、該接着剤の塗布面は、合成樹脂フィルムあるいは繊維基材のいずれでも構わないが、通常好ましくは、合成樹脂フィルム上に塗布される。
【0025】
水性ポリウレタン樹脂系接着剤の乾燥方法は、従来公知の乾燥方法であれば広く使用することができる。例えば、熱風乾燥機、赤外線照射式乾燥機、マイクロ波照射式乾燥機、あるいは、これらのうち少なくとも2種類以上を併用した乾燥装置等を挙げることができる。乾燥条件は、該水性ポリウレタン樹脂系接着剤中の水分が蒸発するのに必要な条件であれば特に限定はなく、一般に60〜150℃で10秒〜2分間程度乾燥される。ただし過乾燥は、合成樹脂フィルム、繊維基材、接着剤層の熱劣化、変質を起こすだけでなく、水性ポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物の硬化反応を促進し接着不良を起こすため好ましくなく、また乾燥不足の場合には水分が十分に蒸発せず、表皮層の浮き、繊維基材への樹脂の浸透が大きく十分な接着力が得られない等の問題を引き起こす。乾燥条件は70〜130℃で20秒〜1分間程度の乾燥が好ましい。
【0026】
かくして形成された接着剤層は、引き続き合成樹脂フィルムあるいは繊維基材と重ね合わせ、圧着ロールにより好ましくは0.1〜30kgf/cm2の圧力でドライラミネートされ、十分な初期接着性を有する繊維積層体、特に合成皮革が得られる。その後、引き続き、必要に応じて好ましくは20〜60℃の雰囲気下でエージングさせる事により、水性ポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物との硬化反応を完結させ、更に、強固な接着性、すなわち耐湿熱性、耐寒性、耐熱性、耐水接着性が得られる。
【0027】
また本発明により得られた繊維積層体、特に合成皮革は、更に、表面処理、揉み加工等の後加工をしても構わない。
【0028】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例中の「部」は、「重量部」を示す。
【0029】
繊維基材(以下基材という)の作成例
(基材1)市販のナイロントリコット起毛布
(基材2)市販のテトロン/レーヨン起毛布を10%DMF水溶液に浸漬し、ウエットピックアップが80%となるように絞り前処理を行った。その起毛布上にクリスボン 8006HV(溶剤系ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製)/クリスボン MP-870(溶剤系ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製)/クリスボンアシスター SD-7(湿式加工用成膜助剤 大日本インキ化学工業(株)製)/クリスボンアシスターSD−11(湿式加工用成膜助剤大日本インキ化学工業(株)製)/ダイラック L-5442(黒顔料 大日本インキ化学工業(株)製)/DMF=70/30/1/1/1/100(部)で配合した配合液を1,000g/m2塗布した。塗布後、直ちに30℃に調整した10%DMF水溶液中に5分間浸漬し、ポリウレタン樹脂を成膜させた。次いで60℃の温水中で、DMFが完全に抽出されるまで20分間洗浄した。その後マングルロールで絞り、120℃の乾燥機で20分間乾燥した。
【0030】
(基材3)目付100g/m2のポリエステル不織布にクリスボン MP−105(溶剤系ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製)/ダイラック L−6001(黒顔料 大日本インキ化学工業(株)製)/DMF=100/5/100(部)で配合した配合液を含浸し、不織布厚の90%の厚みで絞った。絞り後直ちに30℃に調整した10%DMF水溶液中に5分間浸漬しポリウレタン樹脂を成膜させた。次いで60℃の温水中でDMFが完全に抽出されるまで20分間洗浄した。その後マングルロールで絞り、120℃の乾燥機で20分間乾燥した。
【0031】
(基材4)基材3にクリスボン MP-105(溶剤系ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製)/クリスボン MP-285(溶剤系ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製)/クリスボンアシスター SD-7(湿式加工用成膜助剤 大日本インキ化学工業(株)製)/クリスボンアシスターSD−17(湿式加工用成膜助剤 大日本インキ化学工業(株)製)/ダイラック L-6001(黒顔料 大日本インキ化学工業(株)製)/DMF=60/40/2/3/20/60(部)で配合した配合液を1,000g/m2塗布した。塗布後直ちに30℃に調整した10%DMF水溶液中に5分間浸漬しポリウレタン樹脂を成膜させた。次いで60℃の温水中でDMFが完全に抽出されるまで20分間洗浄した。その後マングルロールで絞り、120℃の乾燥機で20分間乾燥した。
【0032】
(基材5)目付100g/m2のナイロン不織布にインプラニール DLV(水性ポリウレタン樹脂 バイエル社製)/MT−30(感熱凝固剤 大日本インキ化学工業(株)製)/水=50/4/46(部)となるように配合した配合液を含浸し、不織布厚の90%の厚みで絞った。絞り後、直ちに90℃の飽和蒸気中に1分間静置し、ポリウレタン樹脂を凝固させた。次いで120℃の乾燥機で20分間乾燥した。
【0033】
(基材6)市販のテトロン/レーヨン起毛布に、インプラニール DLV(水性ポリウレタン樹脂 バイエル社製)/F−1(整泡剤 大日本インキ化学工業(株)製)/4%カルボキシメチルセルロース水溶液=100/5/1(部)となるように配合した配合液を機械発泡(発泡倍率2倍)させたものを1000g/m2塗布した。塗布後直ちに100℃の乾燥機で弱風下4分間、150℃の乾燥機で強風下3分間乾燥を行った。得られた基材を温度130℃で熱カレンダー処理した。
【0034】
(基材7)基材5を用いた他は基材6と同様に加工を行った。
【0035】
(実施例1)
インプラニール DLV(水性ポリウレタン樹脂 バイエル社製)/インプラニール DLF(水性ポリウレタン樹脂 バイエル社製)/DEXCEL HR(水分散性黒顔料 大日本インキ化学工業(株)製)/ハイドラン WL アシスターW1(レベリング剤 大日本インキ化学工業(株)製)/ハイドラン WL アシスターD1(消泡剤 大日本インキ化学工業(株)製)/ハイドラン WL アシスターT1(ウレタン系増粘剤 大日本インキ化学工業(株)製)=70/30/15/0.2/0.3/2(部)で配合した表皮層(合成樹脂フィルム)用配合液を離型紙(DN-TP-APW DE-7 大日本印刷・味の素製)上に塗布厚100μm(wet)で塗布した。直ちにワーナーマチスで70℃で1分間予備乾燥し、その後120℃で2分間乾燥を行いポリウレタン樹脂フィルム(以下表皮層という)を得た。その上にハイドラン WLA 301(水性ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製 軟化温度40℃以下、50℃での溶融粘度60,000Pa・s)/ハイドラン WL アシスターC1(水分散性ポリイソシアネート固形分100wt%,NCO含量16〜18wt% 大日本インキ化学工業(株)製)/ハイドラン WL アシスターT1(ウレタン系増粘剤 大日本インキ化学工業(株)製)=100/10/2(部)で配合した接着剤配合液を塗布厚120μm(wet)で塗布した。塗布後ワーナーマチスで70℃で1分間乾燥を行い、乾燥直後に基材1の貼り合わせ(ドライラミネート)を行った。その後、120℃で2分間キュアリングを行い、さらに40℃で2日間エージングを行い、離型紙から剥離し、繊維積層体(以下加工布という)を得た。尚、本接着剤の硬化皮膜の軟化温度を測定したところ170℃であった。
【0036】
(実施例2)
貼り合わせに基材2を使用した以外は、実施例1と同様に加工を行った。
【0037】
(実施例3)
貼り合わせに基材3を使用した以外は、実施例1と同様に加工を行った。
【0038】
(実施例4)
貼り合わせに基材4を使用した以外は、実施例1と同様に加工を行った。
【0039】
(実施例5)
貼り合わせに基材5を使用した以外は、実施例1と同様に加工を行った。
【0040】
(実施例6)
貼り合わせに基材6を使用した以外は、実施例1と同様に加工を行った。
【0041】
(実施例7)
貼り合わせに基材7を使用した以外は、実施例1と同様に加工を行った。
【0042】
(実施例8)
接着剤配合液をハイドラン WLA 302(水性ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製 軟化温度40℃以下、50℃での溶融粘度50,000Pa・s)/ハイドラン WL アシスターC1(水分散性ポリイソシアネート 固形分100wt%,NCO含量16〜18wt% 大日本インキ化学工業(株)製)/ハイドラン WL アシスターT1(ウレタン系増粘剤 大日本インキ化学工業(株)製)=100/10/2(部)で配合した以外は実施例1と同様に加工を行った。
尚、本接着剤の硬化皮膜の軟化温度を測定したところ180℃であった。
【0043】
(実施例9)
クリスボン 7367SL(溶剤系ポリウレタン樹脂 大日本インキ化学工業(株)製)/ダイラック L−5442(黒顔料 大日本インキ化学工業(株)製)/MEK/DMF=100/15/30/10(部)で配合した表皮層用配合液を離型紙(DN-TP-APT フラット 大日本印刷(株)・味の素(株)製)上に塗布厚80μm(wet)で塗布した。直ちにワーナーマチスで70℃で1分間予備乾燥し、その後120℃で2分間乾燥を行い表皮層を得た。その後の接着層の配合、加工は実施例1と同様に行った。
【0044】
(比較例1)
表皮層は実施例1と同様に加工を行った。また接着剤配合液も実施例1と同様に配合した。この接着剤配合液を表皮層上に塗布厚120μm(wet)で塗布した。塗布後直ちに基材1の貼り合わせ(ウェットラミネート)を行った。貼り合わせ後、ワーナーマチスで120℃で2分間乾燥を行い、さらに40℃で2日エージングを行い、離型紙から剥離し加工布を得た。
【0045】
(比較例2)
接着剤配合液を実施例8と同様とした以外は比較例1と同様に加工を行った。
【0046】
(比較例3)
実施例1において接着剤配合液よりハイドラン WL アシスターC1(水分散性ポリイソシアネート 固形分100wt%,NCO含量16〜18wt% 大日本インキ化学工業(株)製)を除いた以外は実施例1と同様に加工を行った。
【0047】
【表1】
Figure 0004884577
【0048】
【表2】
Figure 0004884577
【0049】
【表3】
Figure 0004884577
【0050】
[評価基準]
表皮の状態:加工布の表皮表面の状態(凹凸)を観察した。
<判定>○:凹凸なし ×:凹凸あり
【0051】
剥離強度 :2.5cm幅のホットメルトテープ(BW−2 サン化成製)を試料表面(合成樹脂フィルム面)に置いて150℃で加熱し、ホットメルトテープを接着した。ホットメルトテープの幅に沿って試料を切断した。この試料の一部を剥離し、基材とホットメルトテープをチャックで挟み、オートグラフ(島津製作所製)で剥離強度を測定した。得られたデータの平均値を求め、1cm幅に換算した。
【0052】
剥離部分 :上記剥離強度試験の試験後の試料を観察し、剥離部分を確認した。
【0053】
加工布風合:加工布を触感により評価した。
<判定>○:ソフト ×:ハード
【0054】
【発明の効果】
かくして本発明により得られる水性ポリウレタン樹脂系接着剤を用いた繊維積層体の製造方法は、有機溶媒を全く含まないあるいはほとんど含まない繊維積層体、特に合成皮革の製造が可能となり、表面状態、剥離強度、風合に優れた繊維積層体、特に合成皮革を提供できる。

Claims (4)

  1. ポリウレタン樹脂フィルムと繊維基材とを水性ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネート法により接着加工する製造方法であり、前記接着剤が軟化温度50℃以下で、かつ、50℃での溶融粘度60000Pa・s以下である水性ポリウレタン樹脂と、ポリイソシアネート化合物とを含むものであり、ポリウレタン樹脂フィルム、または繊維基材に水性ポリウレタン樹脂系接着剤を塗布した後、乾燥処理を行い、水性ポリウレタン樹脂系接着剤から水分を蒸発させた後、直ちにポリウレタン樹脂フィルムと繊維基材を貼り合わせることを特徴とする繊維積層体の製造方法。
  2. 乾燥処理が、雰囲気温度60〜150℃であることを特徴とする請求項1記載の繊維積層体の製造方法。
  3. ポリウレタン樹脂フィルムと繊維基材とを水性ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネート法により接着加工する製造方法であり、前記接着剤が軟化温度50℃以下で、かつ、50℃での溶融粘度60000Pa・s以下である水性ポリウレタン樹脂と、ポリイソシアネート化合物とを含むものであり、ポリウレタン樹脂フィルム、または繊維基材に水性ポリウレタン樹脂系接着剤をグラビアロール、リバースロール、ロッド、ナイフオーバーロールのいずれかの塗布方法により塗布した後、乾燥処理を行い、水性ポリウレタン樹脂系接着剤から水分を蒸発させた後、直ちにポリウレタン樹脂フィルムと繊維基材を貼り合わせることを特徴とする繊維積層体の製造方法。
  4. 請求項1記載の繊維積層体の製造方法により得られることを特徴とする合成皮革。
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