JP4882159B2 - 閃光制御装置及びカメラシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、閃光発光量を最適に制御する閃光制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の閃光制御装置は、一眼レフカメラに主に採用されている閃光発光器(以下SBと呼ぶ)の自動調光を行う、いわゆるTTL調光方式と呼ばれる方式により制御を行うものがある。この方式は、SBから発光し、被写体から反射してきた光束を撮影レンズを通してリアルタイムで測光し、発光量が適量に達したときに、SB発光をストップさせる方式である。この方式は、撮影レンズを通った光を測光するので、撮影される領域と測光する領域のずれ(パララックス)が無いことや、撮影者が絞り値を自由に設定可能である点が特に優れている。
【0003】
また、主にコンパクトカメラ等に採用されている閃光制御装置には、フラッシュマチック方式によって制御を行うものがある。この方式は、被写体距離X、絞り値F、及び、SB光のガイドナンバーGNとが、以下の数式1の関係が成り立つことを利用して、撮影時の被写体距離Xとカメラに備わったSBのガイドナンバーGNとから撮影時の絞り値Fを算出するものである。
【0004】
GN=X・F …(1)
【0005】
ところが、前者のTTL調光方式では、被写体からの反射SB光を適量に制御するため、被写体の反射率にかかわらず一定濃度に撮影されてしまうという問題点があった。
しかし、後者のフラッシュマチック方式では、撮影者は、絞り値を自由に選択することができないために、一眼レフカメラ等の高機能カメラには採用することができなかった。
【0006】
そこで、特開平4−182631号公報の装置では、以下のようなTTL調光の技術を開示している(図22参照)。
(1)撮影の本発光に先立って閃光手段1001によって予備発光を行い、シャッター面からの反射光を分割調光センサを備えた調光手段1005で受光する。
(2)予備発光時の測光結果から本発光時の調光領域と調光補正量を領域設定手段1003及び判別手段1004によって算出する。
(3)算出された調光領域と調光補正量に応じて調光手段1005によって本発光の調光を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の予備発光を行う閃光制御装置では、特に予備発光と本発光とを同一のSBで行う場合や、予備発光と本発光の時間間隔が短い場合には、予備発光によって本発光に使うエネルギーを消費してしまい、本発光時の最大発光量が小さくなってしまうという問題がある。この問題に対し、上記公報の装置では、あらかじめ予備発光での最大発光量を定め、それを越える発光を行わないことによって本発光時のエネルギーを確保している。具体的には、装着SBに応じた所定光量の小発光(プレ発光)によって行う予備発光に対し、あらかじめ最大のプレ発光回数を定めている。ところが、交換可能な装着され得る全てのSBについて最大発光回数を同一に定めているため、最大本発光量の小さいSB(以下、単に小さいSBと呼ぶ)が装着された場合には、予備発光時の負担が大きすぎ、本発光時に発光不可能になったり、光量不足となるという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、最大本発光量の小さい閃光発光器であっても、予備発光を行いつつ本発光時に必要な発光量を確保することができる閃光制御装置を提供することである。
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、本発光の前に予備発光を行う閃光発光部を制御する閃光制御装置であって、前記閃光発光部が発光可能な最大値に対応する最大発光量情報と、予備発光の1回当たりの発光量に対応する予備発光情報とに基づいて、前記最大発光量より発光量が少ない予備発光時の最大予備発光量を設定する最大予備発光量設定部と、前記最大予備発光量を上限として前記閃光発光部予備発光を行わせる制御部とを含むこと、を特徴とする閃光制御装置である。
【0010】
請求項2の発明は、 請求項1に記載の閃光制御装置において、前記最大予備発光量設定部は、前記最大発光量情報と前記予備発光情報との比率にしたがって前記最大予備発光量を設定すること、を特徴とする閃光制御装置である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の閃光制御装置において、前記制御部は、予備発光時に前記閃光発光部に所定発光量の小発光を繰り返して行わせるように制御し、前記最大予備発光量設定部は、前記小発光を繰り返す回数の上限を設定することにより前記最大予備発光量を設定すること、を特徴とする閃光制御装置である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の閃光制御装置において、前記閃光発光部は、カメラ本体に着脱可能な閃光装置に備えられ、前記最大予備発光量設定部は、前記カメラ本体に備えられており、前記最大発光量情報及び前記予備発光情報は、前記閃光装置側から前記最大予備発光量設定部へ伝えられること、を特徴とする閃光制御装置である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の閃光制御装置において、前記閃光発光部及び前記最大予備発光量設定部は、カメラ本体に着脱可能な閃光装置に備えられていること、を特徴とする閃光制御装置である。
【0014】
請求項6の発明は、カメラ本体に着脱可能な閃光装置であって、前記カメラ本体からの指示を受信可能な受信部と、本発光の前に予備発光を行う閃光発光部と、前記閃光発光部が本発光可能な最大値に対応する最大本発光量情報と、予備発光の1回当たりの発光量に対応する予備発光情報とに基づいて、前記最大本発光量より発光量が少ない予備発光時の最大予備発光量を設定する最大予備発光量設定部と、前記最大予備発光量を上限として前記閃光発光部に予備発光を行わせる制御部とを含み、前記制御部は、前記受信部を介して前記カメラ本体から前記最大予備発光量を超える予備発光量の指示があったとき、前記最大予備発光量を超える予備発光を行わないように規制すること、を特徴とする閃光制御装置である。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の閃光制御装置において、前記最大予備発光量設定部は、前記最大発光量情報と前記予備発光情報との比率にしたがって前記最大予備発光量を設定すること、を特徴とする閃光制御装置である。
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載の閃光制御装置において、前記制御部は、予備発光時に前記閃光発光部に所定発光量の小発光を繰り返して行わせるように制御し、前記最大予備発光量設定部は、前記小発光を繰り返す回数の上限を設定することにより前記最大予備発光量を設定すること、を特徴とする閃光制御装置である。
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の閃光制御装置を含むことを特徴とするカメラシステムである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
図1は、本発明によるカメラの閃光制御装置の実施形態の光学系を示した図である。
撮影レンズ1を通過した光束は、メインミラー2によって折り曲げられ、拡散スクリーン3上にいったん結像する。その後に、コンデンサレンズ4、ペンタプリズム5、接眼レンズ6を通って撮影者の目に到達する。
一方、拡散スクリーン3によって拡散された光束の一部は、コンデンサレンズ4、ペンタプリズム5、測光用プリズム7、測光用レンズ8を通して定常光用の定常光測光部21上へ再結像される。
【0017】
定常光測光部21は、例えばCCD(チャージ・カップルド・デバイス)等の受光素子が用いられており、図3(a)に示すように、被写界を22×15の330領域に分割して測光し、それぞれの測光値を出力可能な構造になっている。
また、それぞれの領域は、図3(b)に示すように、R(赤)G(緑)B(青)の3色の測光セルを持ち、それぞれの色に分解して測光可能になっている。
【0018】
撮影時には、まず、絞り10が所定値まで絞られると同時に、メインミラー2が跳ね上げられる。その後に、予備発光時には、シャッター11上に略結像され反射された一部の光束を調光用レンズ14を通して閃光測光部22へ再結像させ、本発光時は、シャッター11を開き、例えばCCD等によって構成される撮像素子12の受光面上に光束を結像させる。
【0019】
閃光測光部22は、SPDとSPDからの光電流を蓄積するコンデンサ、増幅アンプ等によって構成され、図5に示すように、領域S1〜S5に5分割されており、それぞれ図3のB1〜B5に対応している。
【0020】
また、メインミラー2は、一部の光を透過するハーフミラーになっており、透過した光束の一部はサブミラー13によって下へ折り曲げられ、例えばCCD等によって構成される焦点検出部23へ導かれる。
【0021】
焦点検出部23は、図4に示す被写界の焦点検出領域F1〜F5についての焦点状態を検出し、その何れかの領域の焦点が合焦状態になるまで撮影レンズ1を駆動する。どの焦点検出領域を合焦させるかは、撮影者による手動選択、至近選択等がある。
【0022】
図2は、本発明による閃光制御装置の実施形態の概略の構成を示すブロック図である。カメラ本体51内の制御は、全てマイクロプロセッサであるカメラマイコン30によって制御されている。
【0023】
(測光・露出関連)
定常光測光部21は、図3に示したように、被写界を22×15の330分割して測光する回路であり、その測光出力は、カメラマイコン30へ出力されている。
カメラマイコン30は、定常光測光部21からの出力と、撮影レンズ52に設けられたレンズマイコン33内に格納された撮影レンズの開放F値、焦点距離、射出瞳位置などのレンズ情報、感度設定部25からの撮像素子12の感度情報等に基づいて、定常光露出に関する適正露出値を算出し、それを絞り値とシャッター値とに分解して、絞り制御部27やシャッター11へ出力する。
絞り制御部27は、レリーズスイッチ26からのレリーズ信号に応じて、絞り10の絞り込み/復帰の制御を行う。
【0024】
(オートフォーカス関連)
焦点検出部23は、図4に示したように、被写界の5領域についての焦点状態を検出する。その情報は、カメラマイコン30で処理され、レンズ駆動量となってレンズ駆動部24へ出力され、更に、レンズ本体52内のレンズ光学系31を合焦状態まで駆動する。このとき、レンズ光学系31の移動量は、距離エンコーダ32によって検出され、レンズマイコン31を介して、カメラマイコン30に伝達される。
【0025】
(SB関連)
カメラマイコン30は、測光値、絞り値、感度値、距離値、閃光発光部36のバウンス状態などに基づいて、閃光測光部22の設定ゲインを算出し、閃光測光部22のゲイン設定を行う。その後に、カメラマイコン30は、SB本体53内のSBマイコン35を通じて、閃光発光部36を予備発光させ(カメラマイコン30及びSBマイコン35が予備発光実行部として動作)、閃光測光部22は、被写体反射光量に応じた光電流を積分する。そして、カメラマイコン30は、その積分値に基づいて、本発光量指示値を算出し、再び、SBマイコン35へ本発光量指示値を出力する。
【0026】
SBマイコン35は、その本発光量指示値と、発光モニター部37によって自ら測光した予備発光値とから本発光量を算出し、撮影時の発光トリガ信号(X信号)によって発光し、発光量を制御する。
【0027】
図3(a)は、定常光測光部21の分割状態を被写界に照らし合わせて示した図である。定常光測光部21は、被写界のほぼ全面を330分割して測光し、それぞれの測光値を出力できるようになっている。また、測光領域を閃光測光部22の分割形状に合わせて平均化した領域B1〜B5の測光値を出力可能になっている。
図3(b)は、それぞれの測光領域がRGBの3色の測光領域に分割されている所を示した図である。
【0028】
図4(a)は、焦点検出部23の検出領域を被写界に照らし合わせて示した図である。F1〜F5の5領域についての焦点状態をそれぞれ検出可能になっている。
図4(b)は、焦点検出部23の光学系を詳しく示した図である。焦点検出部23の光学系は、撮影レンズ1、視野マスク16、フィールドレンズ19、セパレータレンズ20、AF用センサ34から構成されている。
【0029】
図5は、閃光測光部22の光学系と測光領域の分割形状を示した図である。シャッター面に入射し結像した被写体像を、3連の調光用レンズ14により閃光測光部22上に再結像させ、S1〜S5の5領域に分割してそれぞれ光電変換された電荷を蓄積する構成になっている。ここで、S1〜S5の各領域と番号の関係は、図3(a)における測光領域B1〜B5の各領域の番号と対応している。
【0030】
図6は、閃光測光部22の端子とその役割をわかりやすく説明した図である。C1〜C5は、それぞれ領域S1〜S5の光電流を蓄積する外付けコンデンサ、SCは、ストップ信号を出すためにS1〜S5の光電流を加算して蓄積する外付けコンデンサ、Vrefは、温度比例電圧出力端子、stopは、ストップ信号出力端子、CSR,CSG,CLKは、アンプ・ゲインと読み出しチャンネルの設定を切り替えるための端子である。設定方法は、それぞれ図7及び図8のところで説明する。ISは、蓄積開始/終了を行う端子、DAは、各領域のアンプ・ゲインを入力する端子、ADは、各領域の測光積分値の出力端子である。
【0031】
図7は、閃光測光部22の各領域のアンプ・ゲインの設定方法を示した図である。CSG端子をHレベルにしたまま、CSR端子をLレベルに下げ、その後に、CLK端子にクロック信号を入力すると、Lレベルへの立ち下がりに同期してチャンネルが切り替わる。
CLK端子がLレベルの間にDA端子を設定ゲインに応じた電圧レベルにすることによって、そのチャンネルのゲインが設定される。Ch1〜Ch5は、それぞれS1〜S5に対応している。
【0032】
図8は、閃光測光部22の各領域の測光積分値の読み出し方法を示した図である。CSR及びCSG端子をLレベルに下げた後に、CLK端子にクロック信号を入力すると、Lレベルへの立ち下がりに同期してチャンネルが切り替わり、各領域の測光積分値が測光値に応じた電圧レベルとなってAD端子に出力される。
【0033】
図9は、レリーズ時の動作をわかりやすく説明した図である。レリーズ信号が入力されて絞り込みが完了すると、閃光測光部22のゲイン設定(ゲイン設定1)が行われる。ゲインの算出方法は、後で詳しく説明する。その後に、閃光発光部36及び閃光測光部22のウォーム・アップのために、プレ発光のカラ打ちが2発行われた後に、IS端子が立ち下げられて、積分(予備発光積分)が開始されると同時に、予備発光が行われる。
【0034】
測光積分値が適当なレベルに達したか、プレ発光の回数が最大数(算出方法は、後述)になったところで予備発光が終了し、積分値の読み出し(読み出し1)が行なわれた後に、IS端子を立ち上げ積分値のリセットを行う。予備発光時の積分値には、SB光の反射光の他に、定常光成分も含まれているために、予備発光終了後に定常光のみの積分を行い、後の演算処理において、定常光成分を予備発光積分値から差し引く演算を行う。
【0035】
ゲイン設定2において、定常光積分のためのゲイン設定を行い、その後に、予備発光のときと同様に、IS端子を立ち下げ、積分(定常光積分)を行う。定常光積分のゲイン設定と積分時間については後述する。定常光積分が終了したら積分値を読み出し(読み出し2)た後に、IS端子を立ち上げて積分値をリセットする。その後、後述するアルゴリズムによって、本発光量を算出して、その値をSBマイコン35を通じて、閃光発光部36へ通信し、撮影と同時に本発光制御を行い撮影が終了する。
【0036】
図10は、予備発光のやり直しがおこなれた場合の図である。図9に比べて、第1の予備発行後に、ゲイン設定を変えて行う第2の予備発光が行われる部分が異なっている。予備発光のやり直し及び第2の予備発光時のゲイン設定方法についても後述する。
【0037】
図11〜15は、閃光測光部22のゲイン設定パラメータとゲインについてわかりやすく示した図である。ゲインは、図5の領域S1〜S5について、それぞれ、以下の数式2に基づいて、別々に設定される。
【0038】
GaV[i]=SvV+GnV+XmV+AvV+BvV[i]+BoV+ReV-Sa[i], i=1〜5 …(2)
【0039】
ここで、GaV[i]の単位は、EVであり、iの数値は、それぞれ領域Sの番号に対応している。また、GaV[i]の値が大きくなるほど、高いゲインが設定される。数式2の右辺のそれぞれの項について、以下に説明する。
【0040】
SvV は、撮像素子12の設定感度による変化量である。図11に示すように、感度(SV)が上がるに連れてSvV も大きくなり、ゲインが上がる。これは、感度が高くなると、適正露光を与え得る距離が遠方側に伸びるため、予備発光測光も遠方まで対応させるためである。しかし、感度が高くても近距離での撮影が行われる場合もあるので、あまり感度を上げすぎないように、感度1EVの変化に対して、SvV の値は、1以下になるよう調整されている。
【0041】
GnV は、プレ発光1回当たりの発光量(GNp1)による変化量である。装着されるSBやSB配光角によって、GNp1は、変化するので、その変化分を吸収させ、SBがどの状態にあっても、一定した測光値が得られるようにするためである。そのため、図12に示すように、GNp1が1EV大きくなると、GnV は、1EV小さくなるようになっている。
【0042】
XmV は、距離による変化量である。どの距離にあっても、一定した測光値が得られるようにするためである。そのため、図13に示すように、距離が1EV遠くなる(√2倍の距離)と、XmV も1EV大きくなるようになっている。
【0043】
AvV は、絞り値による変化量である。どの絞り値であっても、一定した測光値が得られるようにするためである。そのため、図14に示すように絞り値が1EV大きくなる(暗くなる)と、AvV も1EV大きくなるようになっている。
【0044】
BvV[i]は、輝度値による変化量である。周囲光の輝度が高くなると、予備発光中にも、閃光測光部22に周囲光が入ってしまい、SB反射光の積分値が十分蓄積される前に、ストップ信号が発生し、積分が終わってしまうことがある。そのため、周囲光の輝度が高い場合には、その輝度に応じて、その領域のゲインを下げておく。図15に示すように、輝度がBvofset を越えたら、その後に、輝度が1EV増す毎に、ゲインを1EV下げていき、下げ幅がBvVmaxに達したら、BvV をそこでクリップする。
【0045】
BoV は、SBがバウンス状態にあるかないかで変わる値である。バウンスでない状態(通常の状態)では0であり、バウンス時は+2EVとする。これは、バウンス時は、天井などを介して被写体が照明されるので、反射光量が少なくなるためである。
【0046】
ReV は、予備発光がやり直しされたか否かで変わる値である。1回目の予備発光では0であるが、1回目の予備発光で測光値が飽和してしまった場合には、この値を−3EVとして、ゲインを下げて、2回目の予備発光を行う。
【0047】
Sa[i] は、撮影レンズの種類と設定絞り値に応じて、算出される補正値である。この補正値は、各エリア毎に求める。実験などによって、あらかじめ算出式を定めておくようにすればよい。
【0048】
図16は、本実施形態による閃光制御装置のカメラマイコン30のプログラムを示したフローチャートである。カメラのレリーズスイッチ26が半押しされることによって、カメラの電源が入り、本プログラムが実行される。以下ステップ毎に説明する。
【0049】
S101では、カメラの諸設定(感度、測光モード、露出モードなど)を読み出す。
S102では、レンズ通信により、撮影レンズの焦点距離、開放F値、射出瞳距離、距離データなどを読み出す。
S103では、SB通信により、予備発光1発光当たりの発光量(GNp1)、最大本発光量(GNh ) 、SBの状態(バウンス状態か否か)等を読み出す。
S104では、定常光測光を行い、B1〜B5の測光値等を算出する。
S105では、測光値を基に公知の手法により適正露出値Bvans を算出し、露出モードに応じて絞り値、シャッター値を算出する。
【0050】
S106では、焦点検出を行う。
S107では、焦点検出の状態に応じてデフォーカス量が0になるまでレンズを駆動し、ピントを合わせる。
S108では、合焦位置での撮影レンズのピント距離を被写体距離とみなし、その値をレンズマイコン33から読み出す。
S109では、レリーズが全押しされたか否かを判定し、肯定の場合には、S110に進み、否定の場合には、S126へジャンプする。
S110では、ミラーアップ、絞り込みを行う。
【0051】
S111では、予備発光やり直しを示すFLG _PRE を0にセットする。
S112では、閃光測光部22のICゲインを数式2に基づいて算出する。
S113では、予備発光を行う。詳細は後述する。
S114では、閃光測光部22の測光値から予備発光やり直し判定のための演算を行う。やり直し判定は、予備発光のプレ発光数が1回(カラ打ち除く)でストップし、かつ、S1〜S5の各積分値IGpre[i]が一つでも、あらかじめ記憶された飽和レベルに達していたら、やり直しとする。
S115では、やり直しか否かの判定を行い、肯定の場合には、S116へ進み、否定の場合には、S118へ進む。
【0052】
S116では、予備発光やり直しを示すFLG _PRE を1にセットする。
S117では、やり直しゲイン値ReV を−3にセットする。
S118では、定常光積分を行い積分値IGtei[1]〜IGtei[5]を読み出す。定常光積分は、ゲイン設定及び積分時間を予備発光の場合と等しく設定する。つまり、図9において、tpre=tteiとする。
S119では、予備発光などで求められた積分値から、各調光領域S1〜S5におけるGV[1] 〜GV[5] を算出する。GV[i](i= 1〜5 ) とは、各領域における被写体反射率に関係する変数であり、単位EVで表したものである。GV[i] は、以下の数式3によって求める。
【0053】
GV[i]=log2(GNp1)+log2(Qpre)+GaV[i]+log2(IGstop/IG[i])+Gofset …(3)
【0054】
ここで、log2( )は( )内の2を底とした対数を表す。IGstopは、ストップ信号が出るときのIG[i] の理論値である。IG[i]=IGpre[i]-IGtei[i](IG[i]>0)である。
S120では、GV[i] の結果などを基に、後に説明する手法により、各領域の重みwt[i] とレベル補正値deltaYを算出する。
S121では、以下の数式4により、撮影時の本発光量指示値kgnを算出する。
【0055】
kgn=deltaY-log2(GNp1)-log2(Qpre)-log2( Σ(wt[i]/2^GV[i]))+C …(4)
【0056】
ここで、log2( )は( )内の2を底とした対数、Cは、オフセット値である。また、本発光量指示値Kgnは、SB側で本発光量を算出するためのもとになる変数であり、総予備発光回数から無効予備発光回数stnを引いた予備発光の総光量に、この本発光量指示値Kgnを真数変換した値を掛け合わせることによって算出する。
【0057】
S122では、本発光量指示値kgnと無効プリ発光回数stn を、SBマイコン35へ通信により伝達する。
無効プリ発光回数stn は、予備発光やり直しがなかった場合には、カラ打ち回数(2回)、やり直した場合には、カラ打ち回数と1回目の予備発光回数(1回)の和となる。
S123では、シャッターを開く。
S124では、閃光発光部36により、本発光の発光量制御、撮像素子12への露出を行う。
【0058】
S125では、シャッター、絞り、ミラーを初期位置に復帰させる。
S126では、半押しタイマー起動後、所定時間経過したか否かを判別し、所定時間内であれば、ステップS101へ戻って処理を繰り返し、タイマー切れであれば、処理を終了する。
【0059】
図17は、本実施形態による閃光制御装置の予備発光の方法を示したフローチャートである。
S201では、以下の数式5によって、実際に閃光測光部22に設定するゲインDApre[i]を算出する。
【0060】
DApre[i]=(pre _level[i]−GaV[i]*pre_gamma )*T/Tref (i= 1〜5 )…(5)
【0061】
ここで、pre _level[i]は、予備発光調光レベルの基準値、pre _gammaは、ガンマ調整値、T は、現在の温度、Trefは、調整時の温度をそれぞれ示している。また、-GaV[i] とマイナスになっている理由は、図6に示した閃光測光部22のDA端子電圧を低くすると、ゲインが高くなる仕様のためである。
【0062】
S202では、カラ打ちを2回行う。
S203では、trpeの計時を開始する。IS=Lとして積分を開始する。
S204では、予備発光のプリ発光数を示す変数Qpreに0をセットする。
【0063】
S205では、Qpreに1を加算する。
S206では、発光量GNp1でプレ発光する。
S207では、ストップ信号が出たかを判定し、肯定の場合には、S209にジャンプし、否定の場合には、S208へ進む。
S208では、プリ発光数がQpre_ max回に達したかを判定し、肯定の場合には、S209に進み、否定の場合には、S205へ戻る。
S209では、tpreの計時を終了する。
S210では、積分値IGpre[i]を読み出し、IGpre[i]へ格納した後に、リターンする。
【0064】
プレ発光回数の上限Qpre_ maxは、カメラマイコン30内に設けられた最大予備発光量設定部(不図示)によって算出される。以下に、Qpre_ maxの算出の仕方について説明する。
そもそも、プレ発光1回あたりの光量GNp1及び最大本発光量(フル発光時の光量)GNh は、装着されるSBに応じて任意の値を持ち得るものである。一例として、仮に、GNp1が等しくGNh の異なる2つのSBがあった場合を考えると、予備発光時の負担は、当然GNh の小さいSBの方が大きい。
【0065】
つまり、同回数のプレ発光からなる予備発光を行った場合でも、最大本発光量の小さいSBの方が最大本発光量の大きいSB(以下、単に大きいSBと呼ぶ)よりも全発光量に対する予備発光量の割合が大きく、本発光時に残っているエネルギー量が小さいことになる。
【0066】
逆に、GNh が同じだとすれば、GNp1の大きいSBの方が本発光時に残っているエネルギー量は小さい。これより、最低限必要な本発光時の残留エネルギーを確保するためには、プレ発光回数の上限Qpre_ maxを装着されるSBの特性に応じて変化させることが望ましいことがわかる。上記のような関係より、そのSBに最適なQpre_ maxの値はGNp1とGNh によって求めることができる。
【0067】
ところで、ガイドナンバーGNp1の発光をn回行った場合、その総発光量は、次式により求められる。
【0068】
GNp1*√n
【0069】
しかし、消費エネルギーについてはこの通りにはならない。これは、SBを発光させるためのトリガに消費する分や発光量に応じた発光効率などに起因するものと思われる。従って、あるGNh 及びGNp1の定まったSBにおいて、ある一定エネルギーを予備発光分に割り当てようとする場合、その最適なQpre_ maxを上記のようなエネルギー換算の式で求めることは、一般的には不可能である。従って、最適なQpre_ maxは、実験に基づいた値に沿うような近似式を用いる方が実際的である。
【0070】
図18は、近似式によってGNh と最適なQpre_ maxの関係を示した図である。以下に示す数式6,7は、その近似式の一例である。
【0071】
Qpre_ max=GNh /GNp1 …(6)
【0072】
Qpre_ max=Hgn−Pgn−30 …(7)
【0073】
ただし、Hgn =12*log2(GNh )、Pgn =12*log2(GNp1)、log2( )は、( )内の2を底とした対数をとる関数である。
【0074】
数式7の場合は、カメラ〜SB間の通信によって交信するデータがHgn 、Pgn という形式をとる場合に、比較的簡単な近似式によってQpre_ maxを求めることができる例である。
また、近似式は、数式6,7に限らず、実状にあったものを適宜使用すればよい。
【0075】
次に、図16のステップS120のwt[i] 、deltaY算出方法について説明する。まず、数式3で求められた各領域のGV[i] を用いて、各領域の被写体反射率RefEV[i]を、数式8を用いて算出する。
【0076】
RefEV[i]=2*X+AV−GV[i] (i= 1〜5 ) …(8)
【0077】
ただし、Xは、撮影距離(単位は、m)、AVは、撮影絞り値(単位は、AV)である。
ここで、RefEV[i]は、反射率が標準値であった場合は0、反射率が標準よりも1段高かった(+1段)場合は+1、同様に、1段低かった(−1段)場合には−1となるような変数である。
【0078】
次に、RefEV[i]を用いて、反射率に応じた各領域に対する重み付け数RefG[i] を数式9を用いて算出する。
【0079】
RefG[i]=1/(2^(Abs(RefEV[i]))) (i=1〜5)・・・(9)
【0080】
ただし、Abs ( )は、( )内の絶対値を求める関数である。RefG[i] は、図19に示すように、被写体の反射率が標準値の場合には、1、また、標準値からから離れるに従って小さくなっていく変数である。
次に、数式10により、RefG[i] を規格化し、各領域対する重みwt[i] を算出する。
【0081】
wt[i] =RefG[i] /Σ(RefG[i] ) (i= 1〜5 ) …(10)
【0082】
ただし、Σ( )は、( )内の変数RefG[i] (i= 1〜5 )の総和を求める関数である。
次に、数式8で求めたRefEV[i]を再び用いて、数式11により被写界全体での反射率補正値RefMain を算出する。
【0083】
RefMain =log2(Σ(wt[i]*2^RefEV[i]) ) (i= 1〜5 ) …(11)
【0084】
ただし、Σ( )は、数式10と同様の関数であり、log2( )は、( )内の2の対数を表す関数である。
次いで、RefMain を用いて、本発光量補正値deltaYを、数式12により算出する。
【0085】
deltaY=krm*RefMain …(12)
【0086】
反射率とdeltaYの関係を図20に示す。ここで、krm は、反射率の補正度合いを調節する定数でありkrm =0.5程度の数値を用いるが、必要に応じて変更可能にしてもよい。
【0087】
図21は、本実施形態による閃光制御装置の本発光の動作を示したフローチャートである。
S301では、本発光量演算のためのkgn、stn が通信されたか否かを判定し、肯定の場合には、S302に進み、否定の場合には、S303へ進む。
S302では、本発光量を算出する。
S303では、通信データが来ない場合には外部調光モードにセットする。外部調光モードとは、SB本体53に内蔵されたセンサ(不図示)によって被写体からの反射光を検出し、その反射光が一定値に達したら、発光をストップするモードである。
S304では、発光トリガ(X信号)が来たかを判定し、肯定の場合には、S305に進み、否定の場合には、S301へ戻る。
S305では、セットされたモードで本発光制御を行う。
【0088】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、本実施形態では、CCD等の撮像素子を用いた電子スチルカメラを例にして説明したが、銀塩フィルムを露光するカメラにも同様に適用することができる。
また、本実施形態において、カメラ本体51内のカメラマイコン30が最大予備発光量を決定して制御する例を示したが、これに限らず、例えば、SB本体53内のSBマイコン35に予備発光規制部を設け、この予備発光規制部が予め最大予備発光量を決めていて、カメラ本体51側からの指示に対して予備発光量を規制するようにしてもよい。
【0089】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、閃光発光部の最大発光量情報に基づいて、最大予備発光量を設定するようにしたので、閃光発光部の最大発光量が少ない場合であっても、予備発光を行いつつ本発光時に必要な発光量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による閃光制御装置の実施形態の光学系を示した図である。
【図2】本実施形態による閃光制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による閃光制御装置の定常光測光部の分割形状を示す図である。
【図4】本実施形態による閃光制御装置の焦点検出部の領域と光学系を示した図である。
【図5】本実施形態による閃光制御装置の閃光測光部の光学系及び分割形状を示した図である。
【図6】本実施形態による閃光制御装置の調光素子の端子とその動作をわかりやすく示した図である。
【図7】本実施形態による閃光制御装置の調光素子の端子とその動作をわかりやすく示した図である。
【図8】本実施形態による閃光制御装置の調光素子の端子とその動作をわかりやすく示した図である。
【図9】本実施形態による閃光制御装置の発光動作をわかりやすく説明した図である。
【図10】本実施形態による閃光制御装置の発光動作をわかりやすく説明した図である。
【図11】本実施形態による閃光制御装置の各種条件とゲインの関係を簡潔に示した図である。
【図12】本実施形態による閃光制御装置の各種条件とゲインの関係を簡潔に示した図である。
【図13】本実施形態による閃光制御装置の各種条件とSB光の到達距離との関係を簡潔に示した図である。
【図14】本実施形態による閃光制御装置の各種条件とゲインの関係を簡潔に示した図である。
【図15】本実施形態による閃光制御装置の各種条件とSB光の到達距離との関係を簡潔に示した図である。
【図16】本実施形態による閃光制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態による閃光制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図18】近似式によってGNh と最適なQpre_ maxの関係を示した図である。
【図19】反射率と各変数との関係を簡潔に示した図である。
【図20】反射率と各変数との関係を簡潔に示した図である。
【図21】本実施形態による閃光制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図22】従来のTTL調光を示す図である。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 メインミラー
3 拡散スクリーン
4 コンデンサレンズ
5 ペンタプリズム
6 接眼レンズ
7 測光用プリズム
8 測光用レンズ
10 絞り
11 シャッター
12 撮像素子
13 サブミラー
14 調光用レンズ
16 視野マスク
19 フィールドレンズ
20 セパレータレンズ
21 定常光測光部
22 閃光測光部
23 焦点検出部
24 レンズ駆動部
25 感度設定部
26 レリーズ・スイッチ
27 絞り制御部
30 カメラマイコン
31 レンズ光学系
32 距離エンコーダ
33 レンズマイコン
34 AF用センサ
35 SBマイコン
36 閃光発光部
37 発光モニター部

Claims (9)

  1. 本発光の前に予備発光を行う閃光発光部を制御する閃光制御装置であって、
    前記閃光発光部が発光可能な最大値に対応する最大発光量情報と、予備発光の1回当たりの発光量に対応する予備発光情報とに基づいて、前記最大発光量より発光量が少ない予備発光時の最大予備発光量を設定する最大予備発光量設定部と、
    前記最大予備発光量を上限として前記閃光発光部予備発光を行わせる制御部とを含むこと、
    を特徴とする閃光制御装置。
  2. 請求項1に記載の閃光制御装置において、
    前記最大予備発光量設定部は、前記最大発光量情報と前記予備発光情報との比率にしたがって前記最大予備発光量を設定すること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の閃光制御装置において、
    前記制御部は、予備発光時に前記閃光発光部に所定発光量の小発光を繰り返して行わせるように制御し、
    前記最大予備発光量設定部は、前記小発光を繰り返す回数の上限を設定することにより前記最大予備発光量を設定すること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の閃光制御装置において、
    前記閃光発光部は、カメラ本体に着脱可能な閃光装置に備えられ、
    前記最大予備発光量設定部は、前記カメラ本体に備えられており、
    前記最大発光量情報及び前記予備発光情報は、前記閃光装置側から前記最大予備発光量設定部へ伝えられること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の閃光制御装置において、
    前記閃光発光部及び前記最大予備発光量設定部は、カメラ本体に着脱可能な閃光装置に備えられていること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  6. カメラ本体に着脱可能な閃光装置であって、
    前記カメラ本体からの指示を受信可能な受信部と、
    本発光の前に予備発光を行う閃光発光部と、
    前記閃光発光部が本発光可能な最大値に対応する最大本発光量情報と、予備発光の1回当たりの発光量に対応する予備発光情報とに基づいて、前記最大本発光量より発光量が少ない予備発光時の最大予備発光量を設定する最大予備発光量設定部と、
    前記最大予備発光量を上限として前記閃光発光部に予備発光を行わせる制御部とを含み、
    前記制御部は、前記受信部を介して前記カメラ本体から前記最大予備発光量を超える予備発光量の指示があったとき、前記最大予備発光量を超える予備発光を行わないように規制すること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  7. 請求項6に記載の閃光制御装置において、
    前記最大予備発光量設定部は、前記最大発光量情報と前記予備発光情報との比率にしたがって前記最大予備発光量を設定すること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の閃光制御装置において、
    前記制御部は、予備発光時に前記閃光発光部に所定発光量の小発光を繰り返して行わせるように制御し、
    前記最大予備発光量設定部は、前記小発光を繰り返す回数の上限を設定することにより前記最大予備発光量を設定すること、
    を特徴とする閃光制御装置。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の閃光制御装置を含むこと、
    を特徴とするカメラシステム。
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