JP4881679B2 - シート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置 - Google Patents

シート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

この発明は、搬入された用紙、記録紙、転写紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、単に「シート」と称す)を整合するシート整合装置、このシート整合装置を備え、シートに対して仕分け、スタック、綴じ、折り、穴明けなどの所定の処理を実行するシート処理装置及びこのシート処理装置を一体又は別体に備えた画像形成装置に関する。
複数枚の用紙(シート)からなるシート束の搬送方向及び搬送方向に直交する方向を整合し、中折りする装置が知られている。このような装置として特許文献1又は2に記載された発明が知られている。これらの特許文献には、搬入さえたシートに対して所定の処理を施す用紙処理装置において、シート束に対して整合及びスティプル処理を行うスティプル処理トレイと、スティプル処理トレイで整合し、スティプル処理されたシート束をそのまま排紙する排紙トレイ側の搬送路と、シート束を中折り処理する中折り処理トレイ側に搬送する束搬送ガイドと、前記排紙トレイ側又は中折り処理トレイ側にシート束の搬送路を切り換える分岐ガイド板及び可動ガイド板とを備え、これらの分岐ガイド板及び可動ガイド板は中折り処理を行う場合には、スティプル処理トレイの最下流側に位置する放出ローラの外周に沿ってシート束を偏向させ、束搬送ガイド側にシート束を導き、中折り処理トレイにシート束を搬送することが開示されている。
特開2003−095506号公報 特開2004−099187号公報
ところで、前記従来技術では、スティプル処理トレイに端綴じスティプラと中綴じスティプラが設けられ、中折り処理トレイに用紙束を搬送する場合には、用紙束は綴じられた状態で搬送されていた。すなわち、用紙束は分岐ガイド板に設けられた従動ローラによって用紙束を放出ローラ側に押圧され、当該放出ローラから駆動力を得て、可動ガイド板の内面と放出ローラの外面との間の湾曲した搬送路(ターン搬送路)に沿って搬送されるようになっていた。このような構成では用紙束はターン搬送路の内側から駆動力を得ることになるので、外周側の搬送路長が長くなること、外周側の面からの摩擦力により内周側よりも外周側のシートが遅れ、先端側にズレが生じることになる。しかし、シート束は綴じられているので一体に搬送され、中折り処理トレイに収納されたときには、用紙シート束先端部にはズレが生じることはなく、中折り位置で精度良く中折りされる。
しかし、シート束を綴じない状態で中折り処理トレイ側に搬送する場合には、前記ターン搬送路を搬送する際に前記ズレを解消することはできない。そこで、シート束の外側から搬送力を与えて搬送するように構成すると、前記ターン搬送路における搬送差は少なくなるが、生じた搬送差を補正することまではできない。具体的には、
1)搬送手段がシート束搬送時、搬送手段のローラ対のうち一方が駆動側で、他方が従動側として構成すると、シート束内全てのシートに十分に搬送力が伝わらず、駆動側が先行し従動側が遅れシート束内にズレが生じる。
2)搬送手段がシート束を搬送し、ターン搬送路でターンさせる場合、ターン搬送路におけるシート束の外側のシートはターン外側のガイド板の摩擦等による抵抗の影響を受けて内側のシートが先行し、外側のシートが遅れてシート束内にズレが生じる。
3)前記ズレに加えて、シート束のサイズによってシート束とガイド板の接触面積が変わり、シートがガイド板から受ける抵抗が変化することによりズレの程度が変わる。
4)前記ズレに加えて、シートに対する画像の占める割合などでシート表面の抵抗が変わり、シートがガイド板から受ける抵抗が変化することによりズレの程度が変わる。
5)シートの種類によりシート表面の抵抗やシートの硬さが変わり、ガイド板から受ける抵抗が変化し、あるいは紙厚の違いでシート束の厚さが変わってターン内側と外側のシートの搬送経路差が変化し、ズレの程度が変わる。
等の問題点がある。
そこで、本発明が解決すべき課題は、ターン搬送路におけるシート束のズレを少なくすることにある。
前記課題を解決するため、第1の手段は、シートを湾曲した搬送路に沿って搬送するシート搬送装置において、前記シート束を挟持して湾曲した搬送路に搬送する一対の搬送手段と、前記シート束の後端に当接し、当該シート束を押し上げて前記一対の搬送手段に受け渡す押し上げ手段と、を備え、前記押し上げ手段の前記シート束後端への当接面が前記湾曲した搬送路の搬送差を解消する分前記湾曲した搬送路の外側に位置するシートが内側に位置するシートよりも先行するように傾斜していることを特徴とする。
また、第2の手段は、シート束を湾曲した搬送路に沿って搬送するシート搬送装置において、前記湾曲した搬送路から搬送されてきた前記シート束の両面側から当該シート束を挟持してさらに下流側に搬送する一対の搬送手段を備え、前記一対の搬送手段のうち前記湾曲した搬送路の外側に対応する搬送手段の搬送速度が内側に対応する搬送手段の搬送速度よりも高速に設定されていることを特徴とするシート搬送装置。
なお、後述の実施形態では、湾曲した搬送路はターン搬送路57に、一対の搬送手段は
搬送機構35のローラ36,42又は束搬送ローラ対71(ローラ71a,71b)に、
押し上げ手段は放出爪52aに、それぞれ対応する。
本発明によれば、搬送手段のローラを両側駆動としたので、ターン搬送路におけるシート束のズレを少なくすることができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は実施例1に係るシート後処理装置PDと画像形成装置PRとからなるシステムを説明するための図である。
図1において、シート後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出されたシートはシート後処理装置PDに導かれる。前記シートは、1枚のシートに後処理を施す後処理手段(この実施例1では穿孔手段としてのパンチユニット100)を有する搬送路Aと、この搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路B、シフトトレイ202へ導く搬送路C、整合及びスティプル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)へ導く搬送路Dへ、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
画像形成装置PRは、特に図示しないが入力される画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像をシートに転写する転写装置、及びシート転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着されたシートをシート後処理装置PDに送り出し、シート後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。なお、この実施例1では、前記画像処理回路、光書き込み装置、現像装置、転写装置、及び定着装置が画像形成手段を構成している。
搬送路A及びDを経て端面綴じ処理トレイFへ導かれ、この端面綴じ処理トレイFで整合及びスティプル等を施されたシートは、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられるように構成され、中綴じ処理トレイGで折り等を施されたシートは搬送路Hを通り下トレイ203へ導かれる。また、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送されるシートの後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9、10、スティプル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、シートをターンガイド8に沿って逆行させる。これにより、シート後端からシートをシート収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次シートと重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上のシートを重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304はシートをプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れるシートを検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかすホッパ101、搬送ローラ2、分岐爪15及び分岐爪16が順次配置されている。分岐爪15、分岐爪16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、両者の組み合わせを変えることによって、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへシートを振り分ける。
搬送路Bへシートを導く場合は、図1の状態で前記ソレノイドはOFF、搬送路Cへシートを導く場合は、図1の状態から前記ソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となり、搬送ローラ3から排紙ローラ4を経て上トレイ201にシートを排出する。搬送路Dへシートを導く場合は、分岐爪16は図1の状態で前記ソレノイドはOFF、分岐爪15は図1の状態から前記ソレノイドをONすることにより、上方に回動した状態となり、搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシートをシフトトレイ202側に搬送する。
このシート後処理装置では、シートに対して、穴明け(パンチユニット100)、シート揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じスティプラS1)、シート揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じスティプラS2)、シートの仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。
2.シフトトレイ部
図1に示すように、このシート後処理装置PDの最下流部に位置するシフトトレイ排紙部は、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202をシート搬送方向に直交する方向に往復動させる図2に示すシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とにより構成される。
図1において、符号13は戻しコロを示し、戻しコロ13はシフト排紙ローラ対6から排出されたシートと接して前記シートの後端をエンドフェンス32に突き当てて揃えるためのスポンジ製のコロからなる。この戻しコロ13は、シフト排紙ローラ対6の回転力で回転するようになっている。戻しコロ13の近傍にはトレイ上昇リミットスイッチ333が設けられており、シフトトレイ202が上昇して戻しコロ13を押し上げると、前記トレイ上昇リミットスイッチ333がオンしてトレイ昇降モータが停止する。これによりシフトトレイ202のオーバーランが防止される。また、戻しコロ13の近傍には、図1に示すように、シフトトレイ202上に排紙されたシートもしくはシート束の紙面位置を検知する紙面位置検知手段としての紙面検知センサ330が設けられている。
本実施例1では、紙面検知センサ(スティプル用)330a及び紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bは、遮蔽部30bによって遮られたときにオンするようになっている。したがって、シフトトレイ202が上昇して紙面検知レバー30の接触部30aが上方に回動すると、紙面検知センサ(スティプル用)330aがオフし、さらに回動すると紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bがオンする。シートの積載量が所定の高さに達したことが紙面検知センサ(スティプル用)330aと紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bによって検知されると、シフトトレイ202はトレイ昇降モータ168の駆動により所定量下降する。これにより、シフトトレイ202の紙面位置は略一定に保たれる。
すなわち、図3に示すようにシフトトレイ202は駆動軸21を駆動ユニットが駆動することにより昇降する。駆動軸21と従動軸22との間にはタイミングプーリを介してタイミングベルト23がテンションをもって掛けられている。このタイミングベルト23にシフトトレイ202を支持する側板24が固定されており、この構成によってシフトトレイ202を含むユニットが昇降可能に吊り下げられている。
シフトトレイ202を上下方向に移動させる駆動源としての正逆転可能なトレイ昇降モータ168で発生した動力がウォームギヤ25を介して駆動軸21に固定されたギヤ列の最終ギヤに伝達されるようになっている。途中ウォームギヤ25を介しているため、シフトトレイ202を一定位置に保持することができ、シフトトレイ202の不意の落下事故等を防止することができるようになっている。
シフトトレイ202の側板24には、遮蔽板24aが一体に形成されており、下方には
積載シートの満載を検出する満杯検知センサ334と下限位置を検出する下限センサ335が配置されており遮蔽板24aによって満杯検知センサ334と下限センサ335とがオン・オフされるようになっている。満杯検知センサ334と下限センサ335はフォトセンサであり、遮蔽板24aによって遮られたときにオンするようになっている。なお、図3において、シフト排紙ローラ6は省略している。
シフトトレイ202の揺動機構は図2に示すように、シフトモータ169を駆動源にシフトカム31を回転させる。そのシフトカム31には回転軸中心から一定量離れた位置にピンが立っておりそのピンと、シフトトレイ202上の積載紙の後端をガイドしシート排紙方向と直交する方向に嵌合しているエンドフェンス32の長穴部と遊嵌しており、シフトカム31の回転によりエンドフェンス32はシート排紙方向と直交する方向に移動し、それに伴いシフトトレイ202も移動する。前記シフトトレイ202は手前と奥の2つの位置で停止しその停止位置はシフトセンサ336により検出され、シフトモータ169のON、OFFによりシート排紙方向と直交する方向の移動制御が行われる。
シフト排紙ローラ6は、駆動ローラ6aと従動ローラ6bを有し、図1及び図4に示すように、従動ローラ6bはシート排出方向上流側が支持され上下方向に回動自在設けられた開閉ガイド板33の自由端部に回転自在に支持されている。従動ローラは6b自重又は付勢力により駆動ローラ6aに当接しシートは両ローラ間に挟持されて排出される。綴じ処理されたシート束が排出されるときは、開閉ガイド板33が上方に回動され、所定のタイミングで戻されるようになっており、このタイミングはシフト排紙センサ303の検知信号に基づいて決定される。その停止位置は排紙ガイド板開閉センサ331の検知信号に基づいて決定され、排紙ガイド板開閉モータ167により駆動される。
3.端面綴じ処理トレイ部
スティプル処理を施す端面綴じ処理トレイFの構成を図5、図6、図12及び図13に示す。
3.1 端面綴じ処理トレイの全体構成
スティプル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートは、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、シート毎に戻しコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(シート搬送方向と直交する方向−シート幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、シート束の最終紙から次のシート束先頭紙までの間で、制御装置350(図33参照)からのスティプル信号により端面綴じスティプラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われたシート束は、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排出される。
3.2 シート放出機構
放出爪52aは、図12に示すように放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52a,52a′が配置され、端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束を交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これからシート束を移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52a′の背面で端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。したがって、この放出爪52aはシート束のシート搬送方向の揃え手段としても機能する。
また、図5に示すように、放出ベルト52はシート幅方向の整合中心に位置し、駆動プーリ52dと従動プーリ52e間に張架されて図12に示すように駆動軸52b及びプーリ52cを介して放出モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸52bに対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板、符号51a及び51bはそれぞれ前側及び後ろ側の後端フェンス(図1では符号51で示す)、符号53a、53bは前側及び後ろ側のジョガーフェンスである。
3.3 処理機構
図6に示すように、戻しコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれたシートに間欠的に作用してシート後端を後端フェンス51に突き当てる。なお、戻しコロ12は反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図5に示すように前後一対設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動されてシート幅方向に往復移動する。
端面綴じスティプラS1は、図13に示すように、正逆転可能なスティプラ移動モータ159によりタイミングベルトを介して駆動され、シート端部の所定位置を綴じるためにシート幅方向に移動する。その移動範囲の一側端には、端面綴じスティプラS1のホームポジションを検出するスティプラ移動HPセンサ312が設けられており、シート幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じスティプラS1移動量により制御される。
図14はスティプラS1の斜め綴じ機構を示す斜視図である。端面綴じスティプラS1は、針の打ち込み角度をシート端部と平行あるいは斜めに変更できるように、さらに、前記ホームポジション位置でスティプラS1の綴じ機構部だけを所定角度斜めに回転させ、スティプル針の交換が容易にできるように構成されている。すなわち、スティプラS1は斜めモータ160によって斜め回転し、針交換位置センサによって所定の斜めの角度に、あるいは、前記針の交換位置まで達したことが斜めセンサ313によって検出されると、斜めモータ160は停止する。斜め打ちが終了し、あるいは針交換が終了すると、元の位置まで回転して次のスティプルに備える。なお、図1及び図5中符号310は端面綴じ処理トレイF上のシートの有無を検出する紙有無センサである。
3.4 シート束後端押さえ機構
端面綴じ処理トレイFに積載されたシート束の後端部の膨らみを押さえる機構を図7ないし図11に示す。
端面綴じ処理トレイFに排出されたシートは、前述のようにシート毎に戻しコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載されたシート後端がカールしていたり、腰が弱かったりするとシート自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端フェンス51内の次のシートが入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、シート後端の膨らみを少なくしてシートが後端フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構である。図7はその後端押さえ機構を正面から見た概略構成図である。後端押さえレバー110は、後端フェンス51に収容されたシートの後端を押さえることができる後端フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレ
イFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。
図8に示すように端面綴じ処理トレイFに積載されたシート後端を押さえる後端押さえレバー110a,110b,110cは機械手前、中央、奥に各々配置されている。ここでは、手前の後端押さえレバー110aの機構について説明する。まず、後端押さえレバー110aはタイミングベルト114aに固定されており、タイミングベルト114aは後端押さえレバーモータ112aとプーリ113aを介しているため、後端押さえレバーモータ112aの回転に合わせて動作する。また、後端押さえレバー110aに突設された凸形状の遮蔽部がホームセンサ111aを遮蔽することにより後端押さえレバー110aのホームポジションが検出される。後端押さえレバー110aのホームポジションはスティプラS1が図13のような矢印方向(シート端部を綴じるためにシート幅方向)に移動する範囲において、スティプラS1と干渉しない位置に設定されている。シート後端を押さえる方向、すなわち図12の矢印方向に動作させる量は、後端押さえレバーモータ112aへの入力パルス数で決められており、後端押さえレバー110aの先端がシート束に接触してシート束後端の膨らみを押さえる位置まで動作する。積載されているシート束の厚さの変化には、スプリング115aの伸縮動作によって吸収し、対応するようにしている。後端押さえレバー110b,110cの動作も上記後端押さえレバー110aと同等である。したがって、後端押さえレバー110b,110cに関する周辺機構に関しても添え字aに対して添え字b及びcを付して、説明は省略する。
各綴じモードにおける後端押さえレバー110a,110b,110cと端面綴じスティプラS1との関係については、図9が手前綴じ、図10が2箇所綴じ、図11が奥綴じのときのスティプラS1の待機位置になる。各待機位置で、後端押さえレバー110a,110b,110cのいずれかが作動したときにスティプラS1と干渉しないようにしなければならない。図9の手前綴じのときには、後端押さえレバー110b,110c、2箇所綴じのときには、後端押さえレバー110a,110b、110c、奥綴じのときには、後端押さえレバー110a,110bが作動する。図9から図11に各綴じモードにおける後端押さえレバーの作動位置を示す。これらの後端押さえレバー110a,110b,110cの作動タイミングは、排出されたシートが後端フェンス51内に積載されてジョガーフェンス53によってシート幅方向の揃えが行われてから、次のシートが戻しコロ12によって整合されるまでの間に設定されている。
4.シート束偏向機構
図15はシート束偏向機構の要部を示す図である。
図1及び図15に示すように端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束を送る搬送路、及びシート束を搬送する搬送手段は、シート束に搬送力を与える搬送機構35、シート束をターンさせる放出ローラ56、シート束のターン搬送路57のガイドを行うガイド部材44とから構成されている。各々の詳細な構成を説明すると、図15に示すように搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルト38によって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアーム39によって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸41を中心に回転し、駆動はモータM1から伝達される。搬送機構35を回転移動させるカム40のホームポジションはセンサSN1で検知される。ホームポジションからの回転角度は図15に示した機構に対してセンサを増設して制御しても良いし、モータM1のパルス制御で調整しても良い。なお、この搬送機構35の構成としては例えば大きく分けて図16(a),(b)の2つの構成がある。すなわち駆動軸37をシート搬送方向上流側(図16(a))に配置するか下流側(図16(b))に配置するかである。いずれかを選択するかは、他の機構との配置の問題であり、優劣があるわけでない。
搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によってシート束を挟み、弾性材43によって加圧し搬送力を与えている。またシート束Pの紙厚が厚くなるほど搬送力、つまり加圧力が必要になるため、図17のような構成として、弾性材43を介して搬送機構35のローラ36をカム40によって押し付ける構成にし、加圧力はカム40の押し付け角度で調整しても良い。また図18(a)のように搬送機構35のローラ36と対向するローラを従動ローラ42に代えて放出ローラ56としても良く、このときローラ36と放出ローラ56とのニップ位置は、束の搬送軌跡線D1と放出ローラ56の同心円C1とが接する接点位置近傍とすることが望ましい。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束を搬送する搬送路であるターン搬送路57は、放出ローラ56と放出ローラ56の対向する側のガイド部材44から構成され、ガイド部材44は支点45を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161から伝達される。またガイド部材44のホームポジションはセンサSN2によって検知される。また、端面綴じ処理トレイFから積載手段であるシフトトレイ202へシート束を搬送する搬送路は、図18(b)のようにガイド部材44が支点45を中心に図示時計方法に回動し、ガイド部材44とガイド板46間の空間を搬送路として使用する。
図19ないし図22は、前記搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56を使用したシート束変更機構の基本動作を示す動作説明図である。
ここで端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束Pを送る場合、図19のように端面綴じ処理トレイFで整合されたシート束の後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と対向する従動ローラ42とでシート束を挟み搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、シート束P先端にぶつからないような位置で待機している。
ここで図20(a)のように、シート束が端面綴じ処理トレイFにおいて整合時に積載される面、もしくは放出爪52aで押し上げられるときにシート束Pがガイドされる面とローラ36との距離L1は、端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ送るシート束の最大紙厚L2よりも広くし、シート束先端とローラ36との衝突を回避する。その際、端面綴じ処理トレイFで整合するシート枚数や、シート種(紙種)によってシート束の厚みが変わるため、ローラ36がシート束Pの先端との衝突を回避する必要最小限の位置も変わる。そこで、前記シート枚数、シート種(紙種)の情報によって退避位置を変動させれば、退避位置から搬送力を与える位置までの移動時間も必要最小限にでき、生産性に有利に働くこととなる。この枚数やシート種(紙種)の情報は画像形成装置PR本体からのjob情報でも良いし、シート後処理処理装置PD内のセンサで得ても良い。しかし、端面綴じ処理トレイFで整合したシート束Pに想定外の大きなカールが発生している場合、そのシート束Pを放出爪52aで押し上げるときにシート先端とローラ36とが接触してしまう場合も考えられるため、図20(b)のようにローラ36の直前にガイド47を設け、シート先端とコロとの接触角度が小さくなるような構成にしておく必要がある。このガイド47は固定部材でも弾性部材でも同様の効果を得ることができる。
次に、図21のようにシート束P先端が通過してからシート表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路57のガイドを形成し、シート束Pを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束Pを送る場合には、図22のようにガイド部材44を中綴じ処理トレイGに送り込む図21に示した角度よりもさらに図示時計方向に回動させ、ガイド部材44とガイド板46とでシフトトレイ202へつながる搬送路を形成する。そして、端面綴じ処理トレイFで整合されたシート束Pの後端を放出爪52aで押し上げ、シフトトレイ202へと搬送する。この場合には、搬送機機構35のローラ36の搬送力は使用しない。
なお、本発明では放出ローラ56を、放出ベルト52を駆動する駆動軸に対して拘束されず、シート束の搬送に追従する従動ローラとして機能させているが、モータ157によって駆動される駆動ローラとして機能させることもできる。駆動ローラとして機能させる場合には、放出ローラ56の周速が放出ベルト52の周速より速くなるように設定する。
5.中綴じ処理トレイ
中綴じ及び中折りは端面綴じ処理トレイFの下流側設けられた中綴じ処理トレイGにおいて行われる。シート束は端面綴じ処理トレイFから前記シート束偏向機構により中綴じ処理トレイGに導かれる。以下、中綴じ処理トレイGの構成について説明する。
5.1 折り処理トレイの構成
図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなるシート束
偏向機構の下流側に中綴じ処理トレイGが設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記シート束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている箇所に中綴じスティプラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、用搬送方向に直交する方向(シートの幅方向)の整合動作を行う。中綴じスティプラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、シートの幅方向に所定の間隔をおいて2対設けられている。なお、ここでは、2対固定した状態で設けているが、一対のクリンチャ部とドライバ部とをシートの幅方向に移動させて2箇所綴じを行うように構成することもできる。
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構によりシート搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記シート束偏向機構から離れる方向とシート束の後端(シート束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサである。
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られたシート束を搬送する搬送路Hとからなっている。
5.2 折りプレート及びその作動機構
図23は折りプレート74の移動機構を示す動作説明図である。
折りプレート74は前後側板に立てられた各2本の軸に長穴部74aを遊嵌させることによって長穴部74aの長軸方向に移動可能に支持され、軸部74bとリンクアーム76の長穴部76bは嵌合されており、リンクアーム76が支点76aを中心に揺動することにより折りプレート74は図23中を左右に往復移動する。このリンクアーム76の長穴部76cには折りプレート駆動カム75の軸部75bが遊嵌しており、折りプレート駆動カム75の回転運動によりリンクアーム76が揺動する。折りプレート駆動カム75は折りプレート駆動モータ166により図23中の矢印方向に回転する。その停止位置は半月形状の遮蔽部75aの両端部を折りプレートHPセンサ325により検知することで決定される。
図23(a)は、中綴じ処理トレイGのシート束収容領域から完全に退避したホームポジション位置を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、中綴じ処理トレイGのシート束収容領域に突出する。図23(b)は、中綴じ処理トレイGのシート束中央を折りローラ81のニップに押し込むときの各部の状態を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、中綴じ処理トレイGのシート束収容領域から退避する。
なお、この実施例1では、中折りについてはシート束を綴じることを前提にしているが、この発明は1枚のシートを折る場合でも適用できる。この場合は、1枚だけの場合には中綴じは不要なので、1枚排紙された時点で中綴じ処理トレイG側に送り込み、折りプレート74と折りローラ81とによって折り処理を実行して排紙ローラ83から下トレイ203に排紙するようにする。符号323は中折りされたシートを検出するための折り部通過センサ、符号321はシート束が中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端フェンス73のホームポジションを検出する稼働後端フェンスホームポジションセンサである。
また、この実施例1では、下トレイ203に中折りされたシート束の積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
5.3 モードと排出形態
本実施例1では、下記の後処理モードが設定され、そのモードに応じてシートが排出される。その後処理モードとは、
・ノンスティプルモードa:搬送路A及び搬送路Bを通り上トレイ201へシートが排出されるモード。
・ノンスティプルモードb:搬送路A及び搬送路Cを通りシフトトレイ202へシートが排出されるモード。
・ソート、スタックモード:搬送路A及び搬送路Cを通りシフトトレイ202へシートが排出され、排出の際、シフトトレイ202が、部の区切れ毎に排紙方向と直交方向に揺動し、排出されるシートの仕分けを行うモード。
・スティプルモード:搬送路A及び搬送路Dを経て端面綴じ処理トレイFでシート束の整合及び綴じが施され、シート束が搬送路Cを通りシフトトレイ202へ排出されるモード。
・中綴じ製本モード:搬送路A及び搬送路Dを経て端面綴じ処理トレイFでシート束の整合及び中央綴じが施され、さらにシート束が処理トレイGで中央折りを施され、搬送路Hを通り下トレイ203へ排出されるモード。
の5つのモードである。以下、各モードの動作を示す。
(1)ノンスティプルモードaの動作
搬送路Aから分岐爪15で振り分けられたシートは搬送路Bに導かれ、搬送ローラ3と上排紙ローラ4によって上トレイ201へ排出される。また、上排紙ローラ4の近傍に配置されシートの排出を検出する上排紙センサ302によって排紙の状態を監視する。
(2)ノンスティプルモードbの動作
搬送路Aから分岐爪15分岐爪16で振り分けられたシートは搬送路Cに導かれ、搬送ローラ5シフト排紙ローラ6によってシフトトレイ202へ排出される。また、シフト排紙ローラ6の近傍に配置されシートの排出を検出するシフト排紙センサ303によって排紙の状態を監視する。
(3)ソート、スタックモードの動作
(2)ノンスティプルモードb時と同様の搬送排紙を行う。その際、シフトトレイ202が部の区切れ毎に排紙方向と直交方向に揺動することにより、排出されるシートは仕分けられる。
(4)スティプルモードの動作
搬送路Aから分岐爪15分岐爪16で振り分けられたシートは、搬送路Dに導かれ、搬送ローラ7搬送ローラ9搬送ローラ10スティプル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFに排出される。前記端面綴じ処理トレイFでは、排紙ローラ11により順次排出されるシートを整合し、所定枚数に達すると端面綴じスティプラS1により綴じ処理を行う。その後、綴じられたシート束は放出爪52aにより下流へ搬送されシフト排紙ローラ6によりシフトトレイ202へ排出される。またシフト排紙ローラ6の近傍に配置されシートの排出を検出するシフト排紙センサ303によって排紙の状態を監視する。
(4−1)スティプル後の放出処理
スティプルモードが選択されると、図6に示すように、ジョガーフェンス53はホームポジションから移動し、端面綴じ処理トレイFに排出されるシート幅より片側7mm離れた待機位置で待機する。シートがスティプル排紙ローラ11によって搬送され、シート後端がスティプル排紙センサ305を通過すると、ジョガーフェンス53が待機位置から5mm内側に移動して停止する。また、スティプル排紙センサ305はシート後端通過時点にそれを検知し、その信号がCPU360に入力される(図33参照)。CPU360ではこの信号の受信時点からスティプル排紙ローラ11を駆動する図示しないスティプル搬送モータからの発信パルス数をカウントし、所定パルス発信後に叩きSOL170をオンさせる。戻しコロ12は、叩きSOL170のオン・オフにより振り子運動をし、オン時にはシートを叩いて下方向に戻し、後端フェンス51に突き当てて紙揃えを行う。このとき、端面綴じ処理トレイFに収容されるシートが入口センサ101あるいはスティプル排紙センサ305を通過するたびにその信号がCPU360に入力され、シート枚数がカウントされる。
叩きSOL170がオフされて所定時間経過後、ジョガーフェンス53は、ジョガーモータ158によってさらに2.6mm内側に移動して一旦停止し、横揃えが終了する。ジョガーフェンス53はその後7.6mm外側に移動して待機位置に戻り、次のシートを待つ。この動作を最終頁まで行う。その後再び7mm内側に移動して停止し、シート束の両側端を押さえてスティプル動作に備える。その後、所定時間後に図示しないスティプルモータにより端面綴じスティプラS1が作動し、綴じ処理が行われる。このとき2箇所以上の綴じが指定されていれば、1箇所の綴じ処理が終了した後、スティプル移動モータ159が駆動され、端面綴じスティプラS1がシート後端に沿って適正位置まで移動され、2箇所目の綴じ処理が行われる。また、3箇所目以降が指定されている場合は、これを繰り返す。
綴じ処理が終了すると、放出モータ157が駆動され、放出ベルト52が駆動される。このとき、排紙モータも駆動され、放出爪52aにより持ち上げられたシート束を受け入れるべくシフト排紙ローラ6が回転し始める。このとき、ジョガーフェンス53はシートサイズ及び綴じ枚数により異なるように制御される。例えば、綴じ枚数が設定枚数より少ない、あるいは設定サイズより小さい場合には、ジョガーフェンス53によりシート束を押さえながら放出爪52aによりシート束後端を引っかけ搬送する。そして、紙有無センサ310あるいは放出ベルトHPセンサ311による検知より所定パルス後にジョガーフェンス53を2mm退避させジョガーフェンス53によるシートへの拘束を解除する。この所定パルスは、放出爪52aがシート後端と接触してからジョガーフェンス53の先端を抜ける間で設定されている。また、綴じ枚数が設定枚数より多い、あるいは設定サイズより大きい場合には、予めジョガーフェンス53を2mm退避させ、放出を行う。いずれの場合もシート束がジョガーフェンス53を抜けきると、ジョガーフェンス53は、さらに5mm外側に移動して待機位置に復帰し、次のシートに備える。なお、シートに対するジョガーフェンス53の距離により拘束力を調整することも可能である。
(5)中綴じ製本モードの動作
図24は端面綴じ処理トレイFと中綴じ処理トレイGを示す正面図、図25ないし図32は中綴じ製本モードの場合の動作説明図である。
図1において、搬送路Aから分岐爪15と分岐爪16とによって振り分けられたシートは、搬送路Dに導かれ、搬送ローラ7、搬送ローラ9、搬送ローラ10、及びスティプル排紙ローラ11により図24に示す端面綴じ処理トレイFに排出される。端面綴じ処理トレイFでは、前記(4)で説明したスティプルモード時と同様に排紙ローラ11により順次排出されるシートを整合し、スティプルする直前までは前記スティプルモード時と同様に動作する(図25参照−シート束が後端フェンス51で整合された状態を示す)。
シート束が端面綴じ処理トレイFで仮整合された後、図26に示すようにシート束先端部は放出爪52aにより押し上げられ、シート束先端と干渉しない間隔まで開放されたコロ36と従動ローラ42を通過し、ガイド部材44の内面と放出ローラ56の外周面とが対向する位置まで進入する。次いで、ローラ36が揺動駆動機構であるモータM1とカム40とによって閉じ、シート束先端部はローラ36と従動ローラ52とによって所定圧で挟持され、ローラ36がタイミングベルト38から駆動力を得て回転し、また、放出ローラ56の回転により図27に示すように中綴じ処理トレイGへ導かれる経路に沿って下流側へ搬送される。放出ローラ56は放出ベルト52の駆動軸に設けられており放出ベルト52と同期して駆動される。
シート束は、図27の位置から図28の位置まで搬送されるが、中綴じ処理トレイGに入ってからは束搬送ローラ上71と束搬送ローラ下72によって搬送される。そのとき、各シート束の搬送方向のサイズに応じて可動後端フェンス73は異なる停止位置で待機している。待機している可動後端フェンス73にシート束先端が当接してスタックされたとき、図28に示すように束搬送ローラ下72の圧が解除され、図29に示すように後端叩き爪251によりシート束の後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う。これは、端面綴じ処理トレイFで仮整合されたシート束が可動後端フェンス73にスタックされるまでにシート束にズレが発生している可能性があるため、最終的な揃えを後端叩き爪251で行う必要があるからである。
図29に示す位置は、中綴じ位置であり、可動後端フェンス73は前記中綴じ位置で待機し、中綴じ上ジョガーフェンス250aと中綴じ下ジョガーフェンス250bによって幅方向の最終的な揃えが行われ、その中央を中綴じスティプラS2により綴じ処理する。ここで、可動後端フェンス73は可動後端フェンスHPセンサ322からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪251は後端叩き爪HPセンサ326からのパルス制御により位置決めされる。
図30に示すように、中綴じされたシート束は束搬送ローラ下72の加圧が解除されたまま、可動後端フェンス73の移動に伴って中折り位置が折りプレート74に対応する位置まで上方に運ばれ、その後、図31に示すように、綴じられた針部近傍を折りプレート74により略直角方向に押し込み、折りプレート74の進出方向に配置された対向する折りローラ81のニップへと導かれる。予め回転していた折りローラ81はそのシート束を銜え込み、加圧搬送することによってシート束中央に折りを施す。このように中綴じされたシート束を折り処理のために上方に移動させると、可動後端フェンス73の移動のみで確実にシート束を搬送することができる。仮に折り処理のために下方に移動させようとすると可動後端フェンス73の移動のみでは確実性に乏しくなり、搬送ローラ等の別の手段を要することになり、構成的にも複雑になる。
図32に示すように、折りを施されたシート束は第2の折りローラ82により折りぐせを強化され、下排紙ローラ83により下トレイ203へ排出される。このとき、シート束後端が折り部通過センサ323に検知されると、折りプレート74と可動後端フェンス73はホームポジションに復帰し、束搬送ローラ下72の加圧も復帰し、次のシートの搬入に備える。なお、次のジョブが同シートサイズ同枚数であれば、可動後端フェンス73は再び図24の位置に移動して待機しても良い。なお、図1には図31及び図32に示した第2の折りローラ82は図示されていないが、この第2の折りローラ82を設置するか否かは設計条件に応じて決定される。
6.制御回路
図33は本実施例1に係るシステム全体の制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置PDの制御回路350は、図33に示すように、CPU360、I/Oインターフェース370等を有するマイクロコンピュータであり、画像形成装置PR本体の図示しないコントロールパネルの各スイッチ、及び紙面検知センサ330、第1及び第2のセンサ621,622等の各センサからの信号がI/Oインターフェース370を介してCPU360へ入力される。CPU360は、入力された信号に基づいて、シフトトレイ202用のトレイ昇降モータ168、開閉ガイド板を開閉する排紙ガイド板開閉モータ167、シフトトレイ202を移動するシフトモータ169、戻しコロ12を駆動する戻しコロモータ、叩きSOL170等の各ソレノイド、各搬送ローラを駆動する搬送モータ、各排紙ローラを駆動する排紙モータ、放出ベルト52を駆動する放出モータ157、端面綴じスティプラS1を移動させるスティプラ移動モータ159、端面綴じスティプラS1を斜めに回転させる斜めモータ160、ジョガーフェンス53を移動させるジョガーモータ158、ガイド部材44を回動させる束分岐駆動モータ161、シート束を搬送する搬送ローラ56を駆動する束搬送モータ、可動後端フェンス73を移動させる後端フェンス移動モータ、折りプレート74を移動させる折りプレート駆動モータ166、折りローラ81を駆動する折りローラ駆動モータ等の駆動を制御する。スティプル排紙ローラを駆動する図示しないスティプル搬送モータのパルス信号はCPU360に入力されてカウントされ、このカウントに応じて叩きSOL170及びジョガーモータ158が制御される。
なお、後述の制御は図示しないROMに格納されたプログラムをCPU360が読み込み、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行する。
7.ターン搬送路におけるシート束の搬送動作
図1に示すように、端綴じ処理トレイFにおいて整合処理されたシート束は放出爪52aにより搬送機構35まで持ち上げられる。その後、搬送機構35により搬送され、ターン搬送路57を通過する。ここで搬送機構35により搬送され、ターン搬送路57を通過するとき、片側ローラのみの駆動の場合には、従動側のローラからは搬送力が与えられない。このため搬送抵抗の大きいターン搬送路57では駆動側のローラの搬送力が従動側のローラ側まで十分に伝達されない場合がある。このような場合には、シート束のうち駆動側のシートが先行し、従動側のシートが駆動側のシートから遅れ、後行することになる。このように同一シート束内で先行と後行の状態が生じると、シート束内にズレが生じることになる。そこで、本実施例1では、このようなズレの発生を回避するため、搬送機構35のローラ36を駆動するとともに、当該ローラ36と対向し、シート束を挟んで搬送する前記従動ローラ42を駆動ローラとし、両者によってシート束の両側、言い換えればターン搬送路の内側と外側の両側から搬送力を与えるように構成した。これによりターン搬送路57通過時のシート束のズレを抑えることができる。
搬送機構35によりシート束をターン搬送路57に沿って搬送するとき、ターン搬送路57の搬送負荷が大きい場合、ターン外側のシートはガイド部材44に接触するため搬送負荷の影響を直接受け、シート束の内側のシートに対して搬送差を生じる場合がある。その場合、外側に位置するローラ36の搬送速度が内側のローラ42の搬送速度以上になるように線速差を持たせることで搬送差をなくすことができる。又は、ターン搬送路57に進入する前までは内側のローラ36と外側のローラ42の線速を同一にし、ターン搬送路57を通過するときに外側のローラ36の搬送速度が内側のローラ42の搬送速度以上になるような線速差を持たせることでも搬送差をなくすことができる。
図34は線速差があるターン搬送路57におけるシート束先端の状態を示す図である。このときの線速差は図34に示すように、ターン搬送路57の曲率σ、シート束厚がt、内側のローラ42の線速V1、外側のローラ36の線速V2としたとき、
V2=(1+σt)V1 もしくは V1=(1−σt)V2・・・(1)
により計算される。なお、前記内側のローラ42の線速V1、外側のローラ36の線速V2は(1)式の関係、もしくはこれに近い関係の値にする。
シート束がターン搬送路57を通過するときに発生する搬送差はシート束の厚みによって異なり、一般にシート束の厚みが厚い方が搬送差も大きくなる。また、カラー画像の割合や画像がシートに占める面積(印字率)が多い場合は、シート表面の摩擦が低下するためシート間の摩擦も低くなる。シートのサイズが小さい場合もシート同士の接触面積が少なくなるのでシート間の抵抗が低くなる。この場合、搬送負荷の大きいターン搬送路57ではシート間のズレ量が大きくなる。そのため、画像形成装置から得られる画像状態の情報からズレ量が大きくなると予想された場合は、シート束の最内シートに対する外側シートの線速差を前記計算値よりも大きくする必要がある。また、画像形成装置PRもしくは搬送経路内の紙面検知手段から得られるシート枚数や紙厚の情報からシート束の厚みが厚いと判断されたら、同様にシート束の最内シートに対する外側シートの線速差を前記計算値よりも大きくする必要がある。なお、搬送負荷は曲率が小さいほど、シートの腰が強いほど、シート束の厚さが厚いほど、それぞれ一般に大きくなる。
シート束の厚みは、1枚のシートの厚さとシート枚数から画像形成装置PR側で判別されるが、後端押さえレバー110でシート束の後端部を押さえる際に検出することもできる。この検出は、CPU360に例えば後端押さえレバー110のシートを押さえる際のストロークと、後端押さえレバー110で検出される反力あるいはシートを受ける側で検出される圧力とを入力し、これらの関係から求めることも可能である。なお、反力や圧力の検出は圧力検知センサによって行う。
搬送機構35によりシート束をターン搬送路57に沿って搬送するとき、前述のようにターン搬送路57の最も外側のシートはガイド部材44の内面に接触するため搬送負荷の影響を直接受ける。そこで、外側のシートが内側のシートに対して遅れを生じないように、
外側のコロの搬送力>搬送負荷
とし、また、内側のシートが先行しないように、
内側のローラの搬送力<搬送負荷
とすることにより、外側シートの搬送遅れを抑制することができる。
その際、内側のコロ42とシート間の摩擦、外側のローラ36とシート間の摩擦によって搬送差が生じないようにすることも可能である。すなわち、外側の方の搬送経路長が大きいことからどうしても遅れるので、内側のコロ42のシートに対する摩擦力を外側のローラ36のシートに対する摩擦力よりも小さくすれば、外側よりも内側で滑りが大きくなり、搬送差を小さくすることができる。なお、この場合、内側のコロ42のシートに対する摩擦力があまりに小さいと、シート表面でコロ42が滑って搬送力が付与されず、湾曲した内側のシートが外側のシートよりも遅れることも考えられる。そのため、摩擦力を設定する場合には、想定されるシートとの摩擦力と滑り量を勘案して決定すべきであることは言うまでもない。
図35ないし図37はターン搬送路57に沿ったシート束を搬送するときに生じるズレを放出爪52aによって補正する例を示す図で、図35は放出爪52aによってシート束が搬送されるときの初期状態を、図36は放出爪52aから離れ、ターン搬送路57に沿って搬送されているときの状態をそれぞれ示し、図37は放出爪52の傾斜角度設定の根拠を説明するための図である。
すなわち、前述のようにターン搬送路57の上流側と下流側とでそれぞれシート束を搬送するような構成の場合、束搬送ローラ7一対より下流では搬送差がある状態で搬送され続けるので、その後の後処理品質に悪影響を及ぼすことがあるが、これを回避するため、図35のように放出爪52aの形状をターン外側のシートが内側のシートよりも先行するような形状にした。すなわち、ターン搬送路の内側のシートとターン搬送路の外側のシートでターン角度に応じて発生する搬送差の分、予め逆の搬送差を持たせることによって図36に示すようにターン搬送路57通過後のシート束先端に搬送差がなくなるようにした。これによりシート束先端に搬送差がなく、搬送方向に対して一直線上に揃った状態でシート束を束搬送ローラ7一対に受け渡すことができる。
なお、放出爪52aの傾斜角度φは図37に示すように、ターン角をθとしたとき
φ=tan−1(θ)・・・(2)
の式で計算される。傾斜角度φはこの(2)式で計算される値もしくはそれに近い値とする。これにより、搬送差はほぼ解消される。
前述の実施例1における搬送差の解消は束搬送ローラ対71にシート束が至る前に行われるものであった。そこで、実施例2として束搬送ローラ対71にシート束が到達した後に搬送差を解消する例について説明する。なお、前述の実施例1とは、ターン搬送路57における動作が異なるだけで、その他の各部は実施例1と同等に構成され、同等に機能するので、重複する説明は省略し、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
前述のようにターン搬送路57の上流側と下流側とでそれぞれシート束を搬送するような構成の場合、束搬送ローラ7一対より下流では搬送差がある状態で搬送され続けるので、その後の後処理品質に悪影響を及ぼすことがあるが、これを回避するため、本実施例2では、ターン搬送路57下流の束搬送ローラ7一対において外側ローラ71bの搬送速度が内側ローラ71aの搬送速度以上になるような線速差を持たせることによって搬送差をなくすようにした。このとき、前述の図34に示すように、ターン曲率σ、シート束厚t、内側ローラの線速V1、外側ローラの線速V2としたとき線速V1,V2の関係は(1)式で計算される。そこで、線速V1,V2を前記(1)式で計算される関係もしくはそれに近い関係に設定して束搬送ローラ対71を駆動する。
図38は、このときの動作手順を示すフローチャートである。
図38のフローチャートにおける動作手順では、まず、シート枚数、シートサイズ、シートの状態(例えば印字率)、シートの種類(例えば厚紙、普通紙、薄紙などの種類)の各情報を取得し、ローラ対71に線速差(線速V1とV2の速度差)を持たせて回転させ(ステップS101)、ローラ対71にシート束が進入し(ステップS102)、規定量搬送された時点で(ステップS103−YES)ローラ対71を等速で回転させ(ステップS104)、シート束がローラ対71を通過すると(ステップS105)、下流側の処理部に移行する。このときのステップS101の線速差と称している線速V1,V2の関係は(1)式で示されたものである。
このように制御することにより、束搬送ローラ対71でターン搬送路57よりも下流側で搬送差(シート束のズレ)を解消することができる。
図34に示すように、ターン搬送路に沿って理想的に搬送された場合でもシート束の内側と外側の搬送経路差による搬送差が生じて内側のシートが先行し、外側のシートが遅れる。実施例2で説明したように、前記(1)式に基づいて束搬送ローラ対71を駆動し、搬送差を補正することができるが、ターン搬送路57の搬送負荷などの影響があるとこの搬送差は理想的に搬送された場合よりも大きくなることがある。このように理想的に搬送された場合より大きくなると、前記(1)式で線速差を計算し、この計算に基づいて制御しただけでは補正しきれない場合がある。このような場合に対応する例が実施例3である。
図39は実施例3に係るターン搬送路57近傍の構成を示す図である。この実施例3では、図1あるいは図15においてターン搬送路57の下流側であって、束搬送ローラ対71の上流側にシート束検知用のセンサ621(以下、第1のセンサとも称す)を設けている。その他の各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
この実施例3では、図39に示すようにターン搬送路57の下流に配置した第1のセンサ621によってシート束の搬送ズレを検出し、その検出量の値に応じて前記束搬送ローラ対71に線速差を持たせ、搬送差をなくすようにしている。具体的にはシート束先端が第1のセンサ621によって検知されてからシート束後端が第1のセンサ621を抜けるまでの時間t1、線速V0、及びシートの搬送方向長さLから搬送ズレδを、
δ=V0×t1−L ・・・(3)
から求める。そして、シート束がΔ搬送される間にズレ量δを補正する場合の線速を、内側ローラ71aの線速をV1、外側ローラ71bの線速をV2として、
V2=(1+δ/Δ)V1 もしくは V1=(1−δ/Δ)V2 ・・・(4)
から計算する。
この計算結果に応じて内側ローラ71aの線速V1と外側ローラ71bの線速V2との関係が、(4)式の関係を満たすように、あるいは(4)式で計算される値もしくはそれに近い値にする(関係になる)ようにV1とV2との関係を設定する。図40はこのときの動作手順を示すフローチャートである。
図40のフローチャートにおける動作手順では、まず、シート先端が第1のセンサ621位置に達すると(ステップS201)、シート通過時間の測定を開始し(ステップS202)、束搬送ローラ7一対を等速で回転させ(ステップS203)、束搬送ローラ7一対にシート束が進入し(ステップS204)、シート束後端が第1のセンサ621に到達すると(ステップS205−YES)、シート束通過時間測定を終了し(ステップS206)、シート通過時間、シート枚数、シートサイズ、シートの状態(例えば印字率)、シートの種類(例えば厚紙、普通紙、薄紙)の各情報を取得し、束搬送ローラ7一対を前記(4)式で計算される線速差(V1とV2の関係)を持たせて回転駆動する(ステップS207)。そして、規定量搬送すると(ステップS208−YES)、束搬送ローラ7一対を等速で回転させ(ステップS209)、シート束が束搬送ローラ7一対を通過すると(ステップS210)、下流側処理部に移行する。
なお、センサ621としては例えばフォトリフレクタやフォトインタラプタなどの光反射式もしくは光透過式光のセンサが使用される。
このように構成すると、ターン搬送路57の搬送負荷などの影響により搬送差が理想的なものから変動し、大きくなったとしても、第1のセンサ621によってシート束の搬送長を検出して補正するので、搬送差を解消することができる。
実施例3では、ターン搬送路57における搬送負荷などの影響により搬送差が理想的なものから変動し、大きくなった場合を想定して補正しているが、ターン搬送時に搬送ローラ(ローラ36,42)で滑りが生じた場合は、シート束の搬送に遅れが生じる場合もある。その場合、実施例3のように1個のセンサ621で検知される搬送ズレδには、シート束内の相対的なズレに、前記ローラ36,42の滑りによるシート束全体のズレが加わった値が検出されるので、シート束内の相対的なズレのみを検出することができない。実施例4はこのような場合に対応する例である。その他の各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
図41は実施例4に係るターン搬送路57近傍の構成を示す図である。この実施例4は、実施例3に対して第1のセンサ621の下流にさらに第2のセンサ622を配置し、第1及び第2の2つのセンサ621,622によってシート束の端部を検知するようにしたものである。これにより、ローラ36,42(搬送ローラ)に滑りが生じた場合にもシート束の相対的なズレのみを検出することができる。具体的には、第1及び第2の2つのセンサ621,622をシートの搬送方向長さと同じ間隔Lで配置する。そして搬送されてきたシート束先端が第2のセンサ622により検出されてからシート束後端が第1のセンサ621によって検出されるまでの時間t2を検出する。検出される時間はシート束の搬送方向長さLがズレにより変化した分、つまり搬送差δの通過時間であるので、この時間t2と線速V0の積からズレ量δを、
δ=t2×V0 ・・・(5)
から算出することができる。そして、シート束が束搬送ローラ対71によって搬送される間にズレ量δを補正する場合は、(5)式で算出したズレ量δを使用し、搬送ローラ対71の内側のローラ71aの線速をV1、外側のローラ71bの線速をV2として前記(4)式で計算し、前記線速V1,V2で、あるいは、前記線速V1,V2に近い値に搬送ローラ71a,71bの線速を設定してズレを補正する。図42は、このときの動作手順を示すフローチャートである。
図42のフローチャートにおける動作手順では、まず、シート枚数、シートサイズ、シートの状態(例えば印字率)、シートの種類(例えば厚紙、普通紙、薄紙)の各情報を取得し、前記(1)式で計算されるV1,V2の線速に内側ローラ71a及び外側ローラ71bの線速を設定し、内側ローラ71aの線速をV1、外側のローラ71bの線速をV2として外側のローラ71bの線速が速くなるように線速差を持たせて束搬送ローラ対71を回転させ(ステップS301)、束搬送ローラ対71にシート束が進入し(ステップS302)、規定量搬送された時点で(ステップS303−YES)束搬送ローラ対71を等速で回転させる(ステップS304)。次いで、シート束先端が第2のセンサ622に到達すると(ステップS305−YES)、シート通過時間の測定を開始し(ステップS306)、シート束後端が第1のセンサ621に到達すると(ステップS307−YES)、シート束通過時間測定を終了する(ステップS308)。そして、シート通過時間、シート枚数、シートサイズ、前記シートの状態、前記シートの種類の各情報を取得し、(3)式で計算されるズレ量δを使用して前記(4)式で計算される線速V1,V2に内側ローラ71a、外側ローラ71bの線速を設定し、両者間に線速差を持たせて回転させる(ステップS309)。その後、規定量シート束を搬送すると(ステップS310−YES)、束搬送ローラ対71を等速で回転させ(ステップS311)、シート束が束搬送ローラ対71を通過すると(ステップS312)、下流側処理部に移行する。
これにより搬送ズレδにシート束内の相対的なズレに、前記ローラ36,42の滑りによるシート束全体のズレが加わったとしてもステップS309で補正し、シート束先端部にズレを生じさせることなく、可動後端フェンス73側に搬送することができる。
一方、シート束の搬送方向長さは搬送されてくるシートのサイズによって異なる。搬送ズレ量δは第1及び第2のセンサ621,622をシートの搬送方向長さと同じ間隔で配置することによりシート束のズレ量δの通過時間を検知し算出する。そのため、搬送されてくるシートのサイズや方向によって第1及び第2のセンサ621,622の配置間隔を変化させるか、センサを複数個配置しなければならない。図43は、第1及び第2のセンサ621,622間の距離を変更することができるようにした例を示す図である。
このように第1及び第2のセンサ621,622間の距離をシートサイズに応じて変更するために、本実施例では、モータ630の駆動軸に設けられた駆動プーリ631と従動プーリ632間にタイミングベルト633を張設し、タイミングベルト633に第2のセンサ622を設けた。これにより、シートサイズに応じてモータ630を所定量回転させることにより第2のセンサ622を検出対象となるシートサイズのシート先端位置に移動させて当該シート先端位置の通過を検知することができる。なお、図43に示すように、第1及び第2のセンサ621,622の配置間隔を変化させる方がセンサの数が少なくて済むので、シートサイズに対応した位置に複数個のセンサを設けるよりも制御上及びコスト上好ましい。
シート束がターン搬送路を通過時に発生する搬送差はシート束の厚みによって異なり、一般にシート束の厚みが厚い方が搬送差も大きくなる。また、カラー画像や画像がシートに占める面積が多い場合(印字率が多い場合)はシート表面の摩擦が低下するためシート間の摩擦も低くなる。シートのサイズが小さい場合もシート同士の接触面積が少なくなりシート間の抵抗が低くなる。そのため搬送負荷の大きいターン搬送路ではシート間のズレ量が大きくなる場合がある。そこで、画像状態の情報からズレ量が大きくなると予想された場合には、シート束の最内シートに対する外側シートの線速差を前記(1)及び(4)式の計算値よりも大きくする必要がある。また、シート枚数やシート厚の情報からシート束の厚みが厚いと判断されたら、同様にシート束の最内シートに対する外側シートの線速差を前記計算値よりも大きくする必要がある。
また、ターン搬送路57の下流において搬送ローラ対71に線速差を与えてズレを補正するとき、前記理由によりシート厚が厚い場合、カラー画像や画像がシートに占める面積が多い場合、シートのサイズが小さい場合は搬送差が生じやすく、シートがズレやすいので、補正され過ぎることを防ぐために画像形成装置PRもしくは搬送経路内のシート面検知手段から得られるシート枚数、紙厚、画像状態、及びシートサイズ情報等に応じて搬送ローラ対71の線速差を前記計算値よりも小さくする必要がある。これらの大きくする度合いや小さくする度合いは、予め実験室で得られた多数のデータに基づいて決定される。
なお、この実施例においても第1及び第2のセンサ621,622として、例えばフォトリフレクタやフォトインタラプタなどの光反射式もしくは光透過式光のセンサが使用される。
以上のように本実施形態によれば、
1)シート束に両面から搬送力を与えているのでシート束全体に搬送力を十分に伝達することができる。
2)搬送負荷が大きく遅れやすい外側シートを積極的に搬送しているので、ターン搬送路通過時の搬送ズレを抑制することができる。
3)枚数、サイズ、画像の状態(印字率、白黒、カラー)、シート種(厚紙、普通紙、薄紙)などの違いで変化するシート束のズレに応じて線速差を調整するので、前記各相違に関係なく搬送ズレを抑制することができる。
4)外側シートとローラの摩擦力が大きく滑りが生じ難く、内側シートは搬送力を小さくして先行し難い構成なため、搬送ズレを抑制することができる。
5)シート束をターン搬送路通過時に生じる経路差による必然的なズレを打ち消す方向に予めずらしているので、ターン搬送路通過後のシート束のズレを抑制することができる。6)実際の搬送ズレ量を検知し、得られた検出量の値に応じて線速差を調整するので、シート束のズレを抑制することができる。
7)2つのセンサの間隔がシートの搬送方向長さに応じて変化するため、様々なサイズのシートの搬送ズレを精度良く検出することができる。
等の効果を奏する。
なお、前記各実施例は、好適な実施形態をそれぞれ示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
本発明の実施形態に係るシート後処理装置と画像形成装置とからなるシステムの全体構成図である。 図1におけるシート後処理装置のシフト機構を示す斜視図である。 図1におけるシート後処理装置のシフトトレイの昇降機構を示す斜視図である。 図1におけるシート後処理装置のシフト排紙ローラと開閉ガイド板の機構を示す斜視図である。 スティプル処理を施す端面綴じ処理トレイの構成を示す平面図である。 スティプル処理を施す端面綴じ処理トレイの構成を示す斜視図である。 端面綴じ処理トレイに積載されたシート束の後端部の膨らみを押さえる機構を示す図である。 図7のa方向矢視図である。 手前綴じ時の端面綴じレバーとスティプラの待機位置との関係を示す図である。 2箇所綴じ時の端面綴じレバーとスティプラの待機位置との関係を示す図である。 奥綴じ時の端面綴じレバーとスティプラの待機位置との関係を示す図である。 シート束を押し上げる放出ベルトと放出爪の駆動機構を示す斜視図である。 端面綴じスティプラの構成を示す斜視図である。 端面綴じスティプラの斜め綴じ機構を示す斜視図である。 シート束偏向機構を示す図である。 シート束偏向機構におけるシート束搬送機構の一例を示す図である。 シート束偏向機構におけるシート束搬送機構の他の例を示す図である。 シート束偏向機構によりシートを偏向させて送る場合と、偏向させないでシフトトレイ側に送る場合の動作説明図である。 端綴じ処理部で整合されたシート束の後端を放出爪で押し上げるときの状態を示す図である。 シート束を送るときにジャムを生じないようにする機構の動作説明図である。 シート束を偏向させる際に、シート先端が通過してからシート表面に搬送手段のコロを接触させ、搬送力を与えるときの動作説明図である。 ガイド部材を回動させ、ガイド部材とガイド板とでシフトトレイへつながる搬送路を形成し、端綴じ処理部で整合されたシート束の後端を放出爪で押し上げてシフトトレイへと搬送するときの動作説明図である。 中折り機構の動作を示す動作説明図である。 端面綴じ処理トレイと中綴じ処理トレイを示す正面図である。 スティプル処理トレイにシートが整合されて集積された状態を示す図である。 図25の状態から放出爪でシート束の押し上げを開始したときの状態を示す図である。 図26の状態からシート偏向機構に導入された初期の状態を示す図である。 図27の状態から中折り処理トレイにシート束が搬送されたときの状態を示す図である。 図28の状態から中折り処理トレイに搬送されたシート束を整合している状態を示す図である。 図29の状態から中折り位置までシート束を押し上げた状態を示す図である。 図30の状態から中折りを開始したときの状態を示す図である。 図31の状態から折りローラ位置で中折りを強化しているときの状態を示す図である。 本実施形態に係るシステムの制御構成を示すブロック図である。 実施例1における線速差があるターン搬送路におけるシート束先端の状態を示す図である。 実施例1における放出爪の形状とシート束の状態を示す図である。 実施例1におけるターン搬送路通過後のシート束先端に搬送差がない状態で搬送ローラ対にシート束を受け渡すときの状態を示す図である。 実施例1において、放出爪にターン角θに応じた傾斜角φを付けたときの状態を示す図である。 実施例2における動作手順の一例を示すフローチャートである。 実施例3におけるターン搬送路近傍の構成を示す図である。 実施例3における動作手順の一例を示すフローチャートである。 実施例4におけるターン搬送路近傍の構成を示す図である。 実施例4における動作手順の一例を示すフローチャートである。 実施例4における変形例に係るターン搬送路近傍の構成を示す図である。
符号の説明
35 搬送機構
36 外側コロ
42 内側コロ
44 ガイド部材
45 支点
52 放出ベルト
52a 放出爪
56 放出ローラ
57 ターン搬送路
71 束搬送ローラ対
71a 内側ローラ
71b 外側ローラ
360 CPU
621 第1のセンサ
622 第2のセンサ
E プレスタック経路
F 端面綴じ処理トレイ
G 中綴じ処理トレイ
PD シート後処理装置
PR 画像形成装置

Claims (15)

  1. シートを湾曲した搬送路に沿って搬送するシート搬送装置において、
    前記シート束を挟持して湾曲した搬送路に搬送する一対の搬送手段と、
    前記シート束の後端に当接し、当該シート束を押し上げて前記一対の搬送手段に受け渡
    す押し上げ手段と、
    を備え、
    前記押し上げ手段の前記シート束後端への当接面が前記湾曲した搬送路の搬送差を解消
    する分前記湾曲した搬送路の外側に位置するシートが内側に位置するシートよりも先行す
    るように傾斜していることを特徴とするシート搬送装置。
  2. 前記傾斜の角度は、前記湾曲した搬送路の湾曲部分の占める角度に応じて設定される
    とを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
  3. 前記角度は、押し上げ手段の押し上げ方向に対する角度をφ、前記湾曲部分の占める角
    度をθとしたときに、
    φ=tan −1 (θ)
    で示される角度を基準に設定されることを特徴とする請求項記載のシート搬送装置。
  4. シート束を湾曲した搬送路に沿って搬送するシート搬送装置において、
    前記湾曲した搬送路から搬送されてきた前記シート束の両面側から当該シート束を挟持
    してさらに下流側に搬送する一対の搬送手段を備え、
    前記一対の搬送手段のうち前記湾曲した搬送路の外側に対応する搬送手段の搬送速度が
    内側に対応する搬送手段の搬送速度よりも高速に設定されていることを特徴とするシート
    搬送装置。
  5. 前記湾曲した搬送路から搬送されてきた前記シート束の搬送差を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された搬送差に基づいて前記一対の搬送手段を構成する各搬
    送手段の搬送速度を設定し、前記搬送差を補正する補正手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項記載のシート搬送装置。
  6. 前記検出手段はシート搬送長を基準に設けられていることを特徴とする請求項5記載のシート搬送装置。
  7. 前記検出手段のうちシート搬送方向下流側の検出手段を、シート搬送方向のシートサイ
    ズに応じて移動させる移動手段を備えていることを特徴とする請求項6記載のシート搬送装置。
  8. 前記補正手段が、前記シート束のシート枚数に応じて前記搬送速度を設定することを特
    徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  9. 前記補正手段が、前記シート束の厚さに応じて前記搬送速度を設定することを特徴とす
    請求項5ないし7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  10. 前記補正手段が、前記シート束のシートサイズに応じて前記搬送速度を設定することを
    特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  11. 前記補正手段が、前記シート束のシートに形成された画像の状態に応じて前記搬送速度
    を設定することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  12. 前記補正手段が、前記シート束のシートの種類に応じて前記搬送速度を設定することを
    特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えていることを特徴と
    るシート処理装置。
  14. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えていることを特徴と
    する画像形成装置。
  15. 請求項13記載のシート処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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