JP4881623B2 - Cea核酸増幅用プライマー、プライマーセット、及びがんの診断支援方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、生体から採取された生体試料、逆転写活性を有する酵素、dNTPs、鎖置換型DNAポリメラーゼ、及び上記プライマーセットを混合して反応液を調製する工程と、
上記プライマーセットを用いたCEAのmRNAに基づく増幅反応が行なわれるように上記反応液を加温する工程と、上記増幅を測定し、測定結果に基づいて前記生体試料中にCEAのmRNAが存在するか否かを判定する工程と、を含む診断支援方法を提供する。
核酸増幅法としては特に限定されないが、例えばPCR法、RT−PCR法、LAMP法、RT−LAMP法等が挙げられる。
F1c−1:配列番号1の881−901番目の領域に相補的な領域(配列番号2)
F1c−2:配列番号1の881−898番目の領域に相補的な領域(配列番号3)
F1c−3:配列番号1の881−899番目の領域に相補的な領域(配列番号4)
F2−1:配列番号1の830−848番目の領域(配列番号5)
F2−2:配列番号1の830−849番目の領域(配列番号6)
R1−1:配列番号1の911−931番目の領域(配列番号7)
R1−2:配列番号1の913−931番目の領域(配列番号8)
R2c−1:配列番号1の956−974番目の領域に相補的な領域(配列番号9)
R2c−2:配列番号1の954−972番目の領域に相補的な領域(配列番号10)
R2c−3:配列番号1の958−974番目の領域に相補的な領域(配列番号11)
R2c−4:配列番号1の957−974番目の領域に相補的な領域(配列番号12)
F3−1:配列番号1の798−817番目の領域(配列番号13)
この場合、F2配列と、F1c配列との間に、CEAmRNAに依存しない配列(以下、介在配列とする)が介在していても良い。介在配列が存在する場合、介在配列の長さは、好ましくは1〜100塩基、より好ましくは1〜50塩基である。
FIP−1 :CTTGGCACGTATAGGATCCACTCCAGCAATCCACCCAAGA
(配列番号14)
FIP−2 :GGCACGTATAGGATCCACTCCAGCAATCCACCCAAGA
(配列番号15)
FIP−3 :TGGCACGTATAGGATCCACTCCAGCAATCCACCCAAGA
(配列番号16)
FIP−4 :CTTGGCACGTATAGGATCCACTCCAGCAATCCACCCAAGAG
(配列番号17)
RIP−1:CAGACACTGGCCTCAATAGGAGGTTTGGGTGGCTCTGCAT
(配列番号18)
RIP−2:CAGACACTGGCCTCAATAGGATTTGGGTGGCTCTGCATAG
(配列番号19)
RIP−3:CAGACACTGGCCTCAATAGGAGGTTTGGGTGGCTCTGC
(配列番号20)
RIP−4:GACACTGGCCTCAATAGGAGGTTTGGGTGGCTCTGCAT
(配列番号21)
RIP−5:CAGACACTGGCCTCAATAGGAGGTTTGGGTGGCTCTGCA
(配列番号22)
F3P−1: TGCACAGTACTCTTGGTTTG(配列番号13)
1)RIPが、鋳型となりうるCEAmRNA(以下、鋳型RNAとする)にハイブリダイズし、相補鎖が合成される(以下、RIP及びRIPからの伸長鎖をRIP鎖とする)。RIP鎖の合成反応は、逆転写活性を有する酵素、例えばトリ骨髄芽球症ウイルス(Avian Myeloblastosis Virus)由来のAMV Reverse Transcriptaseのような逆転写酵素等を用いて行なうことができる。この時、AMV Reverse Transcriptaseのように、逆転写活性及びRNase活性を有する逆転写酵素を用いることが好ましい。
2)次に、mRNAと二本鎖を形成していたRIP鎖を一本鎖にする。例えば、上述のようなRNase活性を有する逆転写酵素を用いることにより、鋳型RNAが分解され、RIP鎖は一本鎖となる。逆転写酵素がRNase活性を持たない場合は、RNase活性を有する酵素をさらに用いることが好ましい。
また、R2よりも下流の領域にハイブリダイズするプライマー(R3P)を用いることにより、RIP鎖を一本鎖にすることもできる。
一本鎖となったRIP鎖は、5’末端側にループ構造を形成する。
3)以降、伸長鎖の合成反応は鎖置換型DNAポリメラーゼによる。鎖置換型DNAポリメラーゼとしては例えば、バシラス・ステロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来のBst DNA Polymerase Large Fragment等を用いることができる。
RIP鎖にFIPがハイブリダイズし、相補鎖が合成され、RIP鎖と、FIPを含む相補鎖(以下、FIP及びFIPからの伸長鎖をFIP鎖とする)の二本鎖が形成される。
4)F3Pが、FIP鎖と二本鎖を形成しているRIP鎖にハイブリダイズし、相補鎖が合成される。この結果、F3Pを含む相補鎖とRIP鎖が二本鎖を形成し、FIP鎖は一本鎖となる。一本鎖となったFIP鎖は、両端(5’末端及び3’末端)にループ構造を形成する。
5)両端にループ構造を有するFIP鎖は、DNAポリメラーゼのはたらきにより、3’末端から自己を鋳型として相補鎖を合成し、ヘアピン状の構造となる。ループ構造にRIPがハイブリダイズし、相補鎖が合成されることによってヘアピン鎖の二本鎖部分が解離し、一本鎖が形成される。この一本鎖がループ構造を形成し、3’末端から自己を鋳型とした相補鎖が合成される。さらにループ構造にFIPがハイブリダイズし、相補鎖が合成される。
このような合成反応が繰り返されることにより、核酸増幅が進行する。
上記の領域は、配列番号1に記載の塩基配列上の領域、または、配列番号1に記載の塩基配列に相補的な塩基配列上の領域で表すことができる。
配列番号1の970−988番目の領域に相補的な領域(配列番号23)
LR−1:配列番号1の1048−1065番目の領域(配列番号24)
LR−2:配列番号1の1047−1065番目の領域(配列番号25)
LR−3:配列番号1の1048−1066番目の領域(配列番号26)
LPF−1:TCACAGTGATGTTGGGGAT(配列番号23)
LPR−1:ACAGTCACGACGATCACA(配列番号24)
LPR−2:CACAGTCACGACGATCACA(配列番号25)
LPR−3:ACAGTCACGACGATCACAG(配列番号26)
本実施形態では、CEAmRNAにおいて、CEA遺伝子の第4エクソン(配列番号1の704〜958)に対応する領域を第4エクソン対応領域とし、CEA遺伝子の第5エクソン(配列番号1の959〜1237)に対応する領域を第5エクソン対応領域とする。上述した複数のプライマーのうち少なくとも1つは、第4エクソン対応領域と第5エクソン対応領域との連接部を含む領域にハイブリダイズすることが好ましい。この連接部を含む領域とは、第4エクソン対応領域の3’末端の塩基と第5エクソン対応領域の5’末端の塩基とを含む領域である。このようなプライマーを用いることによって、CEA遺伝子由来の配列のDNAが増幅されにくくなり、CEA mRNA由来の配列のDNAを選択的に増幅することが可能となる。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例としては、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム、pH7.6、5×デンハーツ溶液、10%デキストラン硫酸、及び20μg/mlのDNAを含む溶液中、42℃で一晩ハイブリダイゼーション、といった条件があげられる。
本実施形態のプライマーを用いてRT−LAMP法を行う場合、少なくとも3種のプライマー(FIP、F3P、及びRIP)を組み合わせて、プライマーセットとして使用することができる。さらに、1種以上のループプライマーを組み合わせて、プライマーセットとして使用することもできる。
LAMP法では、増幅反応の過程で副産物として生成するピロリン酸マグネシウムの量が多いため、白濁が生じる。そこでこの反応液の濁りを目視により確認する、あるいは、反応液の散乱光強度や、透過光と散乱光の強度比から濁度を測定することにより、mRNAに基づく増幅反応の結果を測定することができる。
LAMP法で合成されたDNA鎖は、その大部分が二本鎖となっている。この特徴を利用して、mRNAに基づく増幅反応の結果を測定することが可能である。エチジウムブロマイド、SYBR Green I、あるいはPico Greenのような蛍光色素の存在下で核酸増幅を実施すれば、増幅産物の増加に伴って蛍光強度の増大が観察される。これをリアルタイムでモニターすれば、閉鎖系でmRNAに基づくDNAの増幅と蛍光の増加が同時に追跡可能である。
本実施形態に用いる試薬類は、試薬キットとして提供することもできる。試薬キットは、相補鎖合成の基質となるdNTPs(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTPを含むdeoxynucleoside triphosphate)、逆転写活性を有する酵素、DNAポリメラーゼとを含む酵素類、及びプライマーを含む。試薬キットはさらに、反応液を増幅反応に好適な条件に調製することができる試薬類を含むことが好ましい。また、試薬キットは、RNase活性を有する酵素を含むことが好ましい。プライマーは、予めTEバッファー等の溶媒に溶解し、溶液として提供してもよいし、乾燥した状態で提供してもよい。
表2は、RT−LAMP反応に用いられる反応液の組成である。例えば表2に示す反応試薬類、プライマー溶液、及び酵素類を試薬キットとして提供する場合、反応試薬類とプライマー溶液を同一の容器に収容し、別の容器に酵素類のみを収容することができる。
上記の試薬類は、Tmや反応に用いる酵素の種類等によって適宜選択し得る。したがって、反応液が増幅反応に好適な条件で調製されていれば、上記全ての試薬類が反応液に含まれなくてもよい。
CEAmRNAの検出結果に基づいて、がんの診断支援情報を提供することができる。
がんとしては例えば、直腸癌、結腸癌、胃癌、食道癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、膀胱癌、前立腺癌、陰嚢癌、子宮癌、子宮体癌、子宮頸癌、及び卵巣癌などが挙げられる。
がんの診断支援情報としては例えば、生体試料中にCEAmRNAが含まれるか否か、CEAmRNAに基づく増幅反応における増幅産物の濃度(濁度)が所定の値に到達するまでの時間(検出時間)、または、所定の時間内に到達する増幅産物の濃度(濁度)、検出時間から算出したCEAmRNAのコピー数等が挙げられる。さらに、上記の情報に基づいて、生体試料中のがん細胞の有無、生体試料中のがん細胞の含有量等をがんの診断支援情報として提供することができる。
がんの診断支援情報を用いて、医師等の医療従事者は、前記生体試料における微小転移の有無、転移がある場合のがん細胞の転移の程度等も判定することができる。また、がんの診断支援情報を用いて、がん細胞の転移のしやすさ、再発のしやすさ、予後の悪さ、抗がん剤に対する感受性などを判定することもできる。
RT−LAMP法を行って、がんの診断支援情報を得る方法としては、CEAmRNAの検出結果と、予め設定された閾値とを比較することが好ましい。例えば、RT−LAMP法を行なってCEAmRNAに基づく増幅反応における増幅産物の検出時間を測定し、この検出時間と、対応する閾値と比較し、比較結果をがんの診断支援情報とすることができる。RT−LAMP法を所定の時間内で行なって、CEAmRNAに基づく増幅反応における増幅産物の濃度(濁度)を測定し、この濃度(濁度)と、対応する閾値とを比較して、がんの診断支援情報を得ることもできる。また、検出時間からmRNAのコピー数を算出して、このコピー数と対応する閾値とを比較してもよい。
例えば検出時間に対応する閾値は、以下のようにして設定することができる。まず、多数のがん細胞を含む検体(がん陽性検体)を用いて、検出時間を測定する。次に、多数のがん細胞を含まない検体(がん陰性検体)を用いて、検出時間を測定する。がん陽性検体の検出時間より長い値であり、且つがん陰性検体の検出時間より短い値を閾値とすることができる。閾値より長い検出時間を示すがん陽性検体及び/または閾値より短い検出時間を示すがん陰性検体が含まれる場合は、がん陽性検体とがん陰性検体とを最も高確率で分けられる検出時間を閾値とすることができる。がん陽性検体は、病理医によってがん陽性と判断された検体を用いることができる。がん陰性検体は、がん陰性患者から採取した検体を用いることもできるし、がん陽性患者から採取した検体であっても、病理医ががん陰性と判断した検体であれば、用いることができる。
がんの摘出手術中に上記のようながんの診断支援情報を得ることにより、摘出する組織の辺縁やリンパ節の郭清範囲を決定することができる。術中に適切な摘出範囲を決定し、摘出手術を行うことにより、がん細胞の摘出が不十分で再手術を余儀なくされることや、正常な組織にまで及ぶ過度の摘出を回避することができる。
プライマーセットA〜J及び既に報告されているプライマーセット(プライマーセット24とする)を用いて、CEAmRNAを検出できるかどうか、実験を行った。
プライマーセット24に含まれるプライマーは、配列番号27〜32に示す。
CEAmRNAの塩基配列を基に設計したフォワードプライマー(5’CGGAATTCATGGAGTCTCCCT 3’:配列番号33)及びアウタープライマー(5’CGTCTAGACTATATCAGAGCAA 3’:配列番号34)、KATO III細胞から抽出したRNA、及びOne−step RT−PCR(QIAGEN社)を用いて、RT−PCRを行った。
得られた増幅産物及びプラスミドベクターであるpGEM-3Z(Promega社)を制限酵素(EcoR I、Xba I)処理し、ligation kit(TAKARA社)を用いて増幅産物をpGEM-3Zに組み込んで、組換えプラスミドを作製した。この組換えプラスミドを大腸菌にトランスフォームし、この大腸菌を培養した。培養した大腸菌を溶菌し、CEAmRNAに対応する cDNA(以下、CEAcDNA とする)を抽出した。得られたCEAcDNAから、Riboprobe in vitro transcription system(Promega社)を用いて、CEAmRNAと実質的に同一の配列を有するCEARNAを合成した。得られたCEARNA溶液の濃度を260nmでの吸光度測定により算出した。このCEARNA溶液の濃度をもとに、50 ng/mL yeast RNA(Ambion社)を用いて、CEARNAのコピー数が2μlあたり10,000,000コピーであるテンプレート溶液a、CEARNAのコピー数が2μlあたり100,000コピーであるテンプレート溶液b、及びCEARNAのコピー数が2μlあたり1,000コピーであるテンプレート溶液cを希釈調製した。
表2の組成で反応液を調製した。テンプレート溶液は、テンプレート溶液a〜cのいずれかを2μlを用いた。また、ネガティブコントロールとして、テンプレート溶液の代わりに50 ng/mL yeast RNA(Ambion社)を2μl用いた。プライマーセットは、上述したプライマーセット24、または上記表1のプライマーセットA〜Jのいずれかを用いた。なお、プライマーセット24を含む反応液は、F3Pとは異なるもう1種類のアウタープライマーであるR3Pを含むR3P溶液(5pmol/μl)1μlをさらに含有させ、4.21μlの純水ではなく3.21μlの純水を含有させること以外は、表2の組成で調製した。
調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置LA−200(テラメックス社)を用いて65℃で20分加温した。全ての反応液について、同様の実験を4回行なった。
反応液の濁度が0.1に達する時間(検出時間)をリアルタイムで測定した。測定には、2)と同様、LA−200(テラメックス社)を用いた。
実施例1の結果を表3に示す。
以上の結果より、プライマーセットA〜Jは、プライマーセット24と比較して、低コピーのRNAを含む反応液におけるDNAの増幅を検出することができた。また、より短時間での検出が可能であることがわかった。
本発明のプライマーセットを用いて、検出時間の再現性の検討を行なった。
e〜gのいずれかのテンプレート溶液を2μl用いて、表2の組成で反応液を調製した。プライマーセットは、24、上記表1のプライマーセットA、またはプライマーセットHのいずれかを用いた。なお、プライマーセット24を含む反応液については、実施例1と同様の組成で調製した。調製した反応液を、LA−200(テラメックス社)を用いて65℃で20分加温した。全ての反応液について、同様の実験を10回行ない、検出時間をリアルタイムで測定した。
ループプライマーを含まないプライマーセットを用いた増幅反応において、CEARNAに基づく増幅の確認を行なった。実施例1と同様の方法で得られたCEARNA溶液及び50 ng/mL yeast RNA(Ambion社)を用いて、CEARNAのコピー数が2μlあたり5,000コピーとなるよう希釈し、テンプレート溶液を得た。このテンプレート溶液を2μl用いて、表2に示す純水、反応試薬類、及び酵素類を含む混合液を調製した。
この混合液に対し、プライマーを表5のように添加し、反応液I〜IVを調製した。まず、反応液I〜IVに、FIP−1(配列番号14)を80pmol、RIP−1(配列番号18)を80pmol、F3P−1(配列番号13)を5pmol添加した。次に、反応液IIには、LPF−1(配列番号23)のみを60pmol添加した。反応液IIIには、LPR−1(配列番号24)のみを60pmol添加した。反応液IVには、LPF−1及びLPR−1を60pmol添加した。調製した反応液I〜IVを、リアルタイム濁度測定装置LA−200(テラメックス社)を用いて65℃で30分加温した。全ての反応液について、同様の実験を4回行ない、検出時間をリアルタイムで測定した。検出時間の平均を表5に示す。
本発明のプライマーセットを用いて、臨床検体中のCEAmRNAを特異的に検出できるかどうか検討した。臨床検体は、大腸癌転移陽性であることを組織学的に確認したリンパ節3検体(サンプル1、2、及び3)、及び大腸癌転移陰性であることを確認したリンパ節3検体(サンプル4、5、及び6)を用いた。サンプル1〜6にそれぞれ生体試料処理液(200mM Glicine−HCl、5% Brij35 (Polyoxyethylene(23)Lauryl Ether)、20% DMSO、及び0.05% KS−538(信越化学工業)を含む)を添加して電動ホモジナイザーにてホモジナイズした。ホモジナイズした生体試料から、RNeasy Kit(Quiagen社)を用いてRNAを抽出・精製した。次に、生体試料処理液を添加して10倍希釈し、テンプレート溶液1〜6を得た。テンプレート溶液1〜6のいずれかと、プライマーセットAまたはHを用いて、表2の組成で反応液を調製した。
プライマーセットAを用いた反応液について、テンプレート溶液1を含むものを反応液A1、テンプレート溶液2を含むものを反応液A2、テンプレート溶液3を含むものを反応液A3、テンプレート溶液4を含むものを反応液A4、テンプレート溶液5を含むものを反応液A5、テンプレート溶液6を含むものを反応液A6とする。
プライマーセットHを用いた反応液について、テンプレート溶液1を含むものを反応液H1、テンプレート溶液2を含むものを反応液H2、テンプレート溶液3を含むものを反応液H3、テンプレート溶液4を含むものを反応液H4、テンプレート溶液5を含むものを反応液H5、テンプレート溶液6を含むものを反応液H6とする。
ネガティブコントロールは、テンプレート溶液の代わりに上記生体試料処理液2μlを用いて、表2の組成で調製した。プライマーセットAを含むものをネガティブコントロールA(NA)、プライマーセットHを含むものをネガティブコントロールH(NH)とする。
反応液A1〜A6、反応液H1〜H6、NA、及びNHを、遺伝子増幅検出装置GD−100(シスメックス社)を用いて65℃で30分加温し、検出時間をリアルタイムで測定した。全ての反応液について、同様の実験を4回行なった。
反応液A1〜A3、H1〜H3を用いた測定では、全ての反応液においてCEAmRNAに基づく増幅が確認でき、がん細胞に含まれるCEAmRNAを特異的に検出することができた。
反応液A4〜A6を用いた測定では、全ての反応液において、CEAmRNAに基づく増幅が確認されなかった。
反応液H5及びH6を用いた測定では、全ての反応液において、CEAmRNAに基づく増幅が確認されなかった。
反応液H4を用いた測定では、4回中1回の測定において、CEAmRNAに基づく増幅が確認された。検出時間は28.7分であった。
この実施例における検出時間の閾値は20分である。この閾値と上述の測定結果とを比較することにより、リンパ節検体のサンプル1、2、及び3をがん転移陽性、リンパ節検体のサンプル4、5、及び6をがん転移陰性と判定することができた。
以上の結果より、本実施形態のプライマーセットを用いて臨床検体中に含まれるがん細胞の有無を判定し、この判定結果に基づいてがんのリンパ節転移の有無を判定し、これらの結果をがんの診断支援情報として提供できることが確認できた。
Claims (7)
- 癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen:CEA)をコードする遺伝子のmRNAを検出するための核酸増幅法に用いる核酸増幅プライマーセットであって、
第1プライマー、第2プライマー、第3プライマー、第4プライマーおよび第5プライマーを含み、
前記第1プライマーが、配列番号14〜17の何れかの配列からなるオリゴヌクレオチドを含み、
前記第2プライマーが、配列番号18〜22の何れかの配列からなるオリゴヌクレオチドを含み、
前記第3プライマーが、配列番号13の配列からなるオリゴヌクレオチドを含み、
前記第4プライマーが、配列番号23の配列からなるオリゴヌクレオチドを含み、
前記第5プライマーが、配列番号24〜26の何れかの配列からなるオリゴヌクレオチドを含む、プライマーセット。 - 前記第1プライマーが、配列番号14または15の配列からなるオリゴヌクレオチドを含み、
前記第2プライマーが、配列番号18の配列からなるオリゴヌクレオチドを含み、
前記第5プライマーが、配列番号24の配列からなるオリゴヌクレオチドを含む、請求項1記載のプライマーセット。 - 請求項1または2に記載の核酸増幅プライマーセットと、
逆転写活性を有する酵素と、
dNTPsと、
鎖置換型DNAポリメラーゼと、を備えるCEAのmRNAを検出するための試薬キット。 - 生体試料中にCEAのmRNAが存在するか否かを判定することにより、がんの診断支援を行う診断支援方法において、
生体から採取された生体試料、逆転写活性を有する酵素、dNTPs、鎖置換型DNAポリメラーゼ、及び請求項1または2に記載のプライマーセットを混合して反応液を調製する工程と、
前記プライマーセットを用いたCEAのmRNAに基づく増幅反応が行なわれるように前記反応液を加温する工程と、
前記増幅を測定し、測定結果に基づいて前記生体試料中にCEAのmRNAが存在するか否かを判定する工程と、を含む診断支援方法。 - 前記判定工程において、前記増幅の測定が反応液の濁度の測定であり、
反応液の濁度が所定の値に到達するまでの時間、または、所定の時間内に到達する濁度を測定し、
測定された時間または濁度に基づいて前記判定を行なう請求項4に記載の方法。 - 前記生体試料が、組織、喀痰、尿、生検材料、体腔液、または体腔洗浄液である請求項4または5のいずれかに記載の方法。
- 前記がんが、直腸癌、結腸癌、胃癌、食道癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、膀胱癌、前立腺癌、陰嚢癌、子宮癌、子宮体癌、子宮頸癌、または卵巣癌由来である請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
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