JP2015521472A - 核酸分子における高感度変異検出のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本開示は、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーのローリングサークル増幅によって標的核酸分子の変異を検出する方法を提供する。本明細書にはこのほか、標的核酸分子を濃縮する方法が提供される。【選択図】図1
Description
(関連出願の相互参照)
本願は米国特許法第119条(e)の下、2012年6月14日に出願された米国仮特許出願第61/659,837号に対する利益を主張するものであり、前述出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
本願は米国特許法第119条(e)の下、2012年6月14日に出願された米国仮特許出願第61/659,837号に対する利益を主張するものであり、前述出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
(配列表に関する記述)
本願に付随する配列表は紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、本明細書に参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は360056_414WO_SEQUENCE_LISTING.TXTである。このテキストファイルは2.1KBであり、2013年6月12日に作成され、EFS−Webを通して電子的に提出されている。
本願に付随する配列表は紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、本明細書に参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は360056_414WO_SEQUENCE_LISTING.TXTである。このテキストファイルは2.1KBであり、2013年6月12日に作成され、EFS−Webを通して電子的に提出されている。
本開示は、個別にタグ付けした二本鎖核酸分子にローリングサークル増幅を用いて標的核酸分子の変異を正確に検出するための組成物および方法に関する。
(関連技術の説明)
癌の早期検出、予後評価および抗癌治療の効果の監視は、血漿をはじめとする体液から抽出した循環無細胞DNAをバイオマーカーとして利用し得る(Gormallyら,2007,Mutat.Res.635:105−117;Diehlら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102:16368−16373;Diehlら,2008,Nat.Med.985−990;Schwarzenbachら,2011,Nat.Rev.Cancer 11:426−437;Swisherら,2005,Am.J.Obstet.Gynecol.193:662−667;Boardら,2010,Breast Cancer Res.Treat.,2010,120:461−467 ;Yungら,2009,Clin.癌Cancer.15:2076−2084)。生物学的薬剤が特定の経路を標的とし、腫瘍耐性が特定の変異によって調節されるのであれば、腫瘍変異プロファイルの特徴を明らかにすることが患者の治療法に対する奏効を予測するのに有用であり得る(BanerjeeおよびKaye,2011,Eur.J.Cancer 47:S116−S130;Keedyら,2011,J.Clin.Oncol.29:2121−2127;Matulonisら,2011,PLoS One 6:e24433;Engelmanら,2008,Nat.Med.14:1351−1356)。しかし、転移性腫瘍細胞と原発性腫瘍細胞との間および異なる転移間には遺伝的異質性がみられる(Campbellら,2010,Nature 467:1109−1113;Shahら,2009,Nature 461:809−813)。癌内での進化的変化が腫瘍の変異プロファイルおよび治療に対する反応性を変化させる可能性があることから、腫瘍遺伝子型の連続的モニタリングが必要となる場合がある(Inukaiら,2006,Cancer Res.66:7854−7858;Edwardsら,2008,Nature 451:1111−1115;Maheswaranら,2008,N.Engl.J.Med.359:366−377;Norquistら,2011,J.Clin.Oncol.29:3008−3015)。生検は侵襲的で費用がかかり、特定の時点に特定の標本から腫瘍多様性のスナップショットが得られるだけである。いくつかの応用では、血液中の個々の循環腫瘍細胞の特徴を明らかにすることが、腫瘍細胞における分子変化を評価するのに侵襲的な生検の代わりとなり得る「液体生検」としての役割を果たし得る(Diehlら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102:16368−16373;Diehlら,2008,Nat.Med.985−990;Schwarzenbachら,2011,Nat.Rev.Cancer 11:426−437;Swisherら,2005,Am.J.Obstet.Gynecol.193:662−667;Boardら,2010,Breast Cancear Res.Treat.,2010,120:461−467;Yungら,2009,Clin.Cancer Res.15:2076−2084)。早期検出スクリーニング(Gormallyら,2007,Mutat.Res.635:105−117)、予後判定、疾患過程での腫瘍動態のモニタリングまたは残存腫瘍の検出(Diehlら,2008,Nat.Med.14:985−990;Learyら,2010,Sci.Transl.Med.2:20ral4;McBrideら,2010,Genes Chromosomes Cancer 40:1062−1069)には、血漿または血清中の循環遊離DNAの癌変異を検出する高感度の方法を用い得る。高悪性度漿液性卵巣癌の97%にTP53癌抑制遺伝子変異が認められている(Ahmedら,2010,J.Pathol.221:49−56;Cancer Genome Atlas Research Network,2011,Nature 474:609−615)。しかし、TP53変異は遺伝子全体の広範囲にわたって存在しており、多くの変異がほとんど表れないか過小報告さる。TP53遺伝子の対立遺伝子頻度を検出および測定する非侵襲的で費用効果の高い方法であれば、高悪性度漿液性卵巣癌に有用なバイオマーカーとなり得る(Bast,2011,Ann.Oncol.22(Suppl.8)viii5−viii15;Forshewら,2012,Sci.Transl.Med.4:136ra68)。
癌の早期検出、予後評価および抗癌治療の効果の監視は、血漿をはじめとする体液から抽出した循環無細胞DNAをバイオマーカーとして利用し得る(Gormallyら,2007,Mutat.Res.635:105−117;Diehlら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102:16368−16373;Diehlら,2008,Nat.Med.985−990;Schwarzenbachら,2011,Nat.Rev.Cancer 11:426−437;Swisherら,2005,Am.J.Obstet.Gynecol.193:662−667;Boardら,2010,Breast Cancer Res.Treat.,2010,120:461−467 ;Yungら,2009,Clin.癌Cancer.15:2076−2084)。生物学的薬剤が特定の経路を標的とし、腫瘍耐性が特定の変異によって調節されるのであれば、腫瘍変異プロファイルの特徴を明らかにすることが患者の治療法に対する奏効を予測するのに有用であり得る(BanerjeeおよびKaye,2011,Eur.J.Cancer 47:S116−S130;Keedyら,2011,J.Clin.Oncol.29:2121−2127;Matulonisら,2011,PLoS One 6:e24433;Engelmanら,2008,Nat.Med.14:1351−1356)。しかし、転移性腫瘍細胞と原発性腫瘍細胞との間および異なる転移間には遺伝的異質性がみられる(Campbellら,2010,Nature 467:1109−1113;Shahら,2009,Nature 461:809−813)。癌内での進化的変化が腫瘍の変異プロファイルおよび治療に対する反応性を変化させる可能性があることから、腫瘍遺伝子型の連続的モニタリングが必要となる場合がある(Inukaiら,2006,Cancer Res.66:7854−7858;Edwardsら,2008,Nature 451:1111−1115;Maheswaranら,2008,N.Engl.J.Med.359:366−377;Norquistら,2011,J.Clin.Oncol.29:3008−3015)。生検は侵襲的で費用がかかり、特定の時点に特定の標本から腫瘍多様性のスナップショットが得られるだけである。いくつかの応用では、血液中の個々の循環腫瘍細胞の特徴を明らかにすることが、腫瘍細胞における分子変化を評価するのに侵襲的な生検の代わりとなり得る「液体生検」としての役割を果たし得る(Diehlら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102:16368−16373;Diehlら,2008,Nat.Med.985−990;Schwarzenbachら,2011,Nat.Rev.Cancer 11:426−437;Swisherら,2005,Am.J.Obstet.Gynecol.193:662−667;Boardら,2010,Breast Cancear Res.Treat.,2010,120:461−467;Yungら,2009,Clin.Cancer Res.15:2076−2084)。早期検出スクリーニング(Gormallyら,2007,Mutat.Res.635:105−117)、予後判定、疾患過程での腫瘍動態のモニタリングまたは残存腫瘍の検出(Diehlら,2008,Nat.Med.14:985−990;Learyら,2010,Sci.Transl.Med.2:20ral4;McBrideら,2010,Genes Chromosomes Cancer 40:1062−1069)には、血漿または血清中の循環遊離DNAの癌変異を検出する高感度の方法を用い得る。高悪性度漿液性卵巣癌の97%にTP53癌抑制遺伝子変異が認められている(Ahmedら,2010,J.Pathol.221:49−56;Cancer Genome Atlas Research Network,2011,Nature 474:609−615)。しかし、TP53変異は遺伝子全体の広範囲にわたって存在しており、多くの変異がほとんど表れないか過小報告さる。TP53遺伝子の対立遺伝子頻度を検出および測定する非侵襲的で費用効果の高い方法であれば、高悪性度漿液性卵巣癌に有用なバイオマーカーとなり得る(Bast,2011,Ann.Oncol.22(Suppl.8)viii5−viii15;Forshewら,2012,Sci.Transl.Med.4:136ra68)。
循環DNAを平均140〜170塩基対の長さに断片化して、血漿1ミリリットル当たり数千フラグメントしか存在しないようにすると、変異体DNAフラグメントの数が正常な循環DNAに比べて少なく、0.1%未満になる場合もあるため、信頼できる検出は困難になる(Diehlら,2005,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:16368−16373;Diehlら,2008,Nat.Med.14:985−990;Chanら,2008,Clin.Cancer Res.14:4141−4145;Fanら,2010,Clin.Chem.56:1279−1286;Loら,2010,Sci.Transl.Med.2:61ra91)。循環遊離DNA中に極めてまれな対立遺伝子を検出するアッセイが開発されており(Gormallyら,2007,Mutat.Res.635:105−117;Diehlら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102:16368−16373;Boardら,2010 Breast Cancer Res.Treat.120:461−467;Yungら,2009,Clin.Cancer Res.15:2076−2084;Chenら,2009,PLoS One 4:e7220;Kindeら,2011,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 108:9530−9535;Liら,2008,Nat.Med.14:579−584)、所定のホットスポットまたは変異ホットスポットを検索することができる。しかし、このようなアッセイは遺伝子全体ではなく個々のまたは少数の遺伝子座を検索するものであり、TP53およびPTEN癌抑制遺伝子など変異ホットスポットのない遺伝子の変異を検出する性能は低い(Forbesら,2011,Nucleic Acids Res.39:D945−D950)。
一態様では、本開示は標的核酸分子の変異を検出する方法を開示し、この方法は、a)第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマーによるバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーのローリングサークル増幅を含み、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーが、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、二本鎖核酸分子がそれぞれベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と3’暗号が異なり、ローリングサークル増幅により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じる、第一の増幅段階と;b)段階a)で生じた縦列核酸分子の各鎖上の第一の標的核酸分子またはその一部ならびに隣接する5’暗号および3’暗号の増幅を含む、第二の増幅段階と;c)段階b)で生じた第一の標的核酸分子またはその一部をシーケンシングすることによって、第一の標的核酸分子の参照配列と比較した第一の標的核酸分子の変異を検出することとを含む。
いくつかの実施形態では、複数の二本鎖核酸分子はゲノムDNAまたはミトコンドリアDNAである。
いくつかの実施形態では、第一のセンスプライマーおよび第一の標的核酸分子に特異的な第一のアンチセンスプライマーはそれぞれ、タグ分子をさらに含み、タグ分子はビオチンであり得る。
いくつかの実施形態では、この方法は、複数の異なる標的核酸分子に特異的な複数のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーによる増幅を含む。
いくつかの実施形態では、標的核酸分子は癌抑制遺伝子または発癌遺伝子を含む。またさらなる態様では、標的核酸分子はBCR−ABL、RAS、RAF、MYC、P53、ER(エストロゲン受容体)、HER2、EGFR、mTOR、PI3K、AKT、VEGF、ALK、pTEN、RB、DNMT3A、FLT3、NPM1、IDH1またはIDH2を含む。
別の態様では、本開示は標的核酸分子を濃縮する方法を提供し、この方法は、第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーまたはアンチセンスプライマーによるバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーのローリングサークル増幅を含み、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーが、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、二本鎖核酸分子がそれぞれベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と3’暗号が異なり、ローリングサークル増幅により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖が生じることによって、標的核酸分子が濃縮される、第一の増幅段階を含む。
上に挙げた態様をはじめとする本発明の態様は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照すれば明らかになるであろう。本明細書に開示される参考文献はいずれも、それぞれ個々に組み込まれた場合と同様にその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一態様では、本開示は、標的核酸分子の変異を検出する方法を提供する。第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマーを用いて、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーにローリングサークル増幅を含む第一の増幅段階を実施する。バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーは、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、二本鎖核酸分子はそれぞれがベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と3’暗号は異なっている。ローリングサークル増幅により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じる。ローリングサークル増幅産物を鋳型として用いる第二の増幅段階により、隣接する5’暗号および3’暗号を含めた第一の核酸分子またはその一部が増幅される。第二の増幅段階で得られたアンプリコンをシーケンシングすることによって、第一の標的核酸分子の参照配列と比較した第一の標的核酸分子の変異を検出する。二本鎖核酸分子を固有の暗号でタグ付けすることにより、ローリングサークル増幅産物の一方の鎖上にある標的核酸分子またはその一部の各反復から得られた配列データを相互におよび元の標的核酸分子と関連付けることができる。このほか各鎖上の固有の暗号により、ローリングサークル増幅産物の一方の鎖上にある標的核酸分子またはその一部の各反復を、相補鎖上にある標的核酸分子またはその一部の各反復と関連付け、鎖内およびその相補鎖上にある各反復配列を内部標準として用いることが可能になる。さらに、二本鎖標的核酸分子の一端から得られた配列データを、同じ二本鎖標的核酸分子の反対端から得られた配列データと特異的に関連付けることができる(例えば、ライブラリーの標的核酸分子全体にわたって配列データを得ることが不可能な場合)。
本開示の組成物および方法により、当業者が真の変異(すなわち、自然に生じる核酸分子のin vivo変異)とアーチファクト「変異」(すなわち、下流の増幅エラー、シーケンシングエラーまたは物理的もしくは化学的損傷などの様々理由で生じ得る核酸分子のex vivo変異)とをより正確に区別することが可能になる。例えば、単離、増幅またはシーケンシング前に元の二本鎖核酸分子に変異が予め存在していた場合、一方の鎖に認められるアデニン(A)からグアニン(G)へのトランジション変異は、他方の鎖に認められるチミン(T)からシステイン(C)への転移と相補的なものとなる。これに対して、のちに単離、増幅またはシーケンシングの過程でポリメラーゼのエラーにより個々の(別々の)DNA鎖に生じるアーチファクト「変異」が相補鎖にマッチする塩基変化を有する可能性は極めて低い。本開示のアプローチは、標的核酸分子内の1つもしくは複数の領域を調べるか、多重反応における1つもしくは複数の標的核酸分子を調べ、系統誤差(例えば、ポリメラーゼの読取り忠実度によるエラー)および生物学的エラー(例えば、化学的損傷をはじめとする損傷)と、実在する既知のまたは新たに確認された変異または一塩基多型(SNP)とを区別するための組成物および方法を提供する。
天然のゲノム二本鎖DNA分子の両鎖には、何らかの自然に発生した変異または誘導された変異がバックグラウンドとして存在する。したがって、エラーのないPCRを用いてこのような変異DNA鋳型を増幅すれば、PCRによって生成した分子の100%に変異が含まれるPCR産物が生じる。元の自然に発生した変異とは対照的に、ポリメラーゼエラーによる変化は最初の鋳型DNA分子の一方の鎖にのみ現れる(一方、他方の鎖にはアーチファクト変異はみられない)。PCR反応のDNA鎖がすべて等しく効率的にコピーされる場合、最初のPCRサイクルで出現したポリメラーゼエラーが全PCR産物の少なくとも25%にみられる。しかし、DNA分子または鎖は等しく効率的にコピーされることはないため、最初の増幅時に誤りのあるヌクレオチド塩基が組み込まれた鎖から増幅されたDNA配列が、増幅効率に応じて増幅DNA配列の集団の25%前後を占めることになる。同様にして、のちのPCRサイクルでポリメラーゼが生じれば、一般にPCR産物のさらに少ない割合を占めることになる(すなわち、2回目のサイクルでは12.5%、3回目のサイクルでは6.25%など)。PCRにより生じる変異は、ポリメラーゼエラーが原因である場合もあれば、ポリメラーゼが損傷ヌクレオチドを避けることによってエラーが生じることが原因である場合もある(例えば、BielasおよびLoeb,Nat.Methods 2:285−90,2005を参照されたい)。例えば、よくみられるDNAの変化にシトシンの脱アミノ化があるが、これはTaqポリメラーゼにウラシルとして認識され、シトシンからチミンへのトランジション変異が生じるものである(Zhengら,Mutat.Res.599:11−20,2006)。つまり、損傷したDNAをシーケンシングするときに元のDNA配列の変化が検出され得るが、このような変化は、シーケンシング反応のエラーまたはex vivoで生じる(例えば、核酸の単離中または単離後に生じる)損傷に起因するエラーとして認識される場合もあれば、そうでない場合もある。
単離、増幅およびシーケンシングによってアーチファクトおよび核酸分子の変化が生じる可能性があるため、増幅された核酸分子をシーケンシングする際に真の体細胞DNA変異を正確に同定するのは困難である。したがって、ある特定の変異が様々な病的状態(例えば、癌)または加齢によるものなのか、あるいは様々な病的状態(例えば、癌)または加齢のバイオマーカーとなるのかを評価するのは複雑なものとなる。
次世代シーケンシングにより、ディープシーケンシングと呼ばれる増幅された単一核酸分子の複数のコピーをシーケンシングする道が開かれた。ディープシーケンシングの概念は、核酸分子の特定のヌクレオチドに複数回シーケンシングを実施すると、まれな配列変異体または変異をさらに容易に同定することができるというものである。しかし実際には、増幅およびシーケンシングの過程には一定のエラー率がみられるため、核酸分子のシーケンシングの回数がどれだけ少なくてもまたは多くても、当業者にはポリメラーゼエラーによるアーチファクトと真の変異とを区別することができない。
多数の異なるDNA分子をまとめてシーケンシングすることが可能であることはコストおよび時間の点で有利であるが、この効率と便利さの代償として、様々なPCRエラーにより変異解析が複雑になるという問題が発生する。
本明細書には標的核酸分子の変異を検出する方法が開示され、この方法では、標的核酸分子特異的プライマーを使用し複数のバーコード付加二本鎖核酸分子を含むベクターのライブラリーにローリングサークル増幅を用いて、配列解析する標的核酸分子を選択的に増幅する。ローリングサークル増幅では同じ環状鋳型分子からそれぞれ円形または環状のコピーが生じるため、連続的なPCRサイクルにみられるポリメラーゼエラーのクローン的増幅が回避される。標的核酸分子またはその一部の各コピーに隣接する固有の暗号により、当業者はポリメラーゼエラーによるアーチファクトと真の変異とを正確に区別することが可能になる。
本開示についてより詳細に記載する前に、本明細書で使用されるある特定の用語の定義を記載しておけば、その理解に役立つと考えられる。追加の定義については本開示全体を通じて記載する。
本記載では、特に明示されない限り、「約」および「〜から実質的になる」という用語は示される範囲、数値または構造の±20%を意味する。本明細書で使用される「a」および「an」という用語は「1つまたは複数の」列挙される構成要素を指すことを理解するべきである。選択肢(例えば、「または(あるいは、もしくは)」の使用は、その選択肢のうちの1つ、両方またはその任意の組合せのいずれかを意味することを理解するべきである。本明細書で使用される「含む(include、comprise)」および「有する(have)」という用語は同意語として用いられ、これらの用語およびその変形語は非限定的なものとして解釈されるものとする。
「核酸分子変異」または「変異」は、核酸分子のヌクレオチド配列の変化を指す。変異は放射線照射、ウイルス、トランスポゾン、変異原性化学物質、減数分裂もしくはDNA複製の過程で生じるエラーまたは超変異によって引き起こされるものであり得る。変異によりヌクレオチド(1つまたは複数)の置換、挿入または欠失を含めた複数の異なる配列の変化が生じ得る。
「核酸分子」は、3’−5’−ホスホジエステル結合によって結合したデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれかを含む一本鎖または二本鎖の直線状または環状ポリヌクレオチドを指す。核酸分子にはゲノムDNA分子またはミトコンドリアDNA分子が含まれる。
本明細書で使用される「標的核酸分子」およびその変異体は、変異状態または変異スペクトルの検索の対象となる核酸分子またはそのフラグメントを指す。標的核酸分子には遺伝子またはそのフラグメント(例えば、ドメイン、エキソン、イントロン、UTR)、コード配列または非コード配列が含まれる。標的核酸フラグメントは、機械的剪断や制限酵素による特異的切断などの当該技術分野で公知の様々な技術を用いて、より長い分子から作製され得る。
本明細書で使用される「バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリー」は、しかるべき宿主細胞に形質転換または形質移入され得るベクター内に組み込まれた標的核酸分子を含めた二本鎖核酸分子の配列またはフラグメントの収集物を指す。本開示の標的核酸分子は、選択された宿主細胞(細菌、酵母、哺乳動物細胞など)で核酸分子ライブラリーの組換え産生が維持されるよう様々な異なるベクター骨格(プラスミド、コスミド、ウイルスベクターなど)に導入され得る。ベクター内に組み込まれる二本鎖核酸分子は天然の試料(例えば、ゲノム)に由来するものであってよく、またこの核酸分子は合成試料、組換え試料またはその組合せであってもよい。ベクター内に挿入する前に、最適なクローン化のために複数の核酸分子に機械的剪断や制限酵素による切断などの追加の反応を実施してもよい。
例えば、全ゲノムに相当する核酸分子の収集物はゲノムライブラリーと呼ばれる。核酸分子ライブラリーを構築する方法は当該技術分野で周知である(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York,1995;Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Vols.1−3,1989;Methods in Enzymology,Vol.152,Guide to Molecular Cloning Techniques,BergerおよびKimmel編,San Diego:Academic Press,Inc.,1987を参照されたい)。
作製するライブラリーのタイプに応じて、二本鎖核酸分子の末端がオーバーハングを有するか、「滑らかにされて」(すなわち、平滑末端化されて)いてよい。同時に、二本鎖核酸分子を、例えば、ベクターに直接クローン化してベクターライブラリーを作製するか、アダプター(例えば、固有の5’および3’暗号を含むアダプター)と連結することができる。ある特定の実施形態では、二本鎖核酸分子を固有の5’暗号および固有の3’暗号またはクローン化部位に隣接する固有の5’−3’暗号対とともにベクターにクローン化する。増幅およびシーケンシングを目的とする核酸分子の二本鎖核酸分子は、大きさが数ヌクレオチド(例えば、15ヌクレオチド)から何千ものヌクレオチド(例えば、10,000ヌクレオチド)に及ぶ範囲内にあり得る。好ましくは、ライブラリー中の二本鎖核酸分子は、大きさが約100ヌクレオチド〜約3,000ヌクレオチドまたは約150ヌクレオチド〜約2000ヌクレオチドの範囲内にある。
本明細書で使用される「核酸分子プライマー」または「プライマー」およびその変異体は、DNAポリメラーゼが、プライマーと結合した分子の相補的なDNA鎖の合成を開始するのに用いることができる、短い核酸配列を指す。プライマー配列の長さは5ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約10ヌクレオチド〜約35ヌクレオチドで変化し得るが、好ましくは、長さが約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35ヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、目的とする標的核酸に相補的な核酸分子プライマーを用いて増幅反応、シーケンシングまたはその両方を開始し得る。
本明細書で使用される「ランダム暗号」、「暗号」、「バーコード」または「認識タグ」およびその変異体は互換的に使用され、長さ約5〜約50ヌクレオチドからなる核酸配列を指す。ある特定の実施形態では、暗号のヌクレオチドがすべて同一なのではなく(すなわち、少なくとも2つの異なるクレオチドを含み)、任意選択で、連続する3つの同一のヌクレオチドを含まない。さらなる実施形態では、暗号は約5〜約15ヌクレオチド、好ましくは約6〜約10ヌクレオチド、さらに好ましくは6、7または8ヌクレオチドからなる。二本鎖環状鋳型分子のライブラリーは、ローリングサークル増幅によって生じた縦列核酸分子の鎖内および相補鎖上にある各標的核酸分子またはその一部のシーケンシングを元の分子と結び付けるか関連付けることができるよう各末端に異なる暗号、5’暗号および3’暗号を含む。各ローリングサークル増幅鎖上の標的核酸分子またはその一部に隣接する固有の暗号により、各標的核酸分子またはその一部が相互にまたは元の(例えば、任意の増幅の前の)相補鎖と関連付けられるため、関連付けられた各配列はそれ自体の内部標準としての役割を果たす。換言すれば、二本鎖核酸分子を個別にタグ付けすることによって、単一核酸分子の縦列反復の一本の鎖から得られた配列データを鎖内で比較し、その同じ二本鎖核酸分子の相補鎖から得られた配列データと特異的に関連付けることができる。さらに、二本鎖標的核酸分子の一端から得られた配列データを、その同じ二本鎖標的核酸分子の反対端から得られた配列データと特異的に関連付けることができる(例えば、ライブラリーの二本鎖核酸分子全体にわたって配列データを得ることが不可能な場合)。複数の核酸分子と複数のランダム暗号もしくは複数のランダム暗号を含む複数の核酸ベクターを含む二本鎖核酸分子ライブラリーに関連する組成物または有用な方法が、2013年2月15日に出願された「Compositions and Methods for Accurately Identifying Mutations」と題する国際出願PCT/US2013/026505号に記載されており、上記明細書はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される「ローリングサークル増幅」、「ローリングサークル複製」または「ローリングサークル合成」は、核酸分子の複数のコピーを合成するのに環状鋳型を用いる等温増幅法を指す。ローリングサークル増幅の過程では複製フォークが環状鋳型に沿って何回転も進む。1回転ごとに新たに合成される核酸鎖が前回の回転で合成された鎖に取って代わる形で後者の鎖が環状鋳型から「次々と離れ」、「コンカテマー」または「縦列核酸分子」とも呼ばれる環状鋳型鎖に相補的な直線状に連続した配列を含むテールが生じる。ローリングサークル増幅技術には、環状化した標的核酸分子を鋳型として用いる方法または直線状標的核酸分子を調べるのに環状化したプローブを用いる方法が含まれる。ローリングサークル増幅では、一方向の鎖合成にセンスプライマーまたはアンチセンスプライマーのいずれかを使用するか、相補的な鎖の両方向の合成にセンスプライマーとアンチセンスプライマーの両方を使用する。
本明細書で使用される「核酸分子プライミング部位」または「PS」およびその変異体とは、ベクターに含まれる短い既知の核酸配列のことである。PS配列は、長さが5ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約10ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド、好ましくは約15ヌクレオチド〜約20ヌクレオチドで変化し得る。ある特定の実施形態では、PS配列がランダム暗号核酸分子の一端または両端に含まれるか、ランダム暗号核酸分子の不可欠な部分になっているか、アダプター配列の一端または両端に含まれるか、アダプター配列の不可欠な部分になっているか、ベクターの一部として含まれ得る。本開示のライブラリーに含まれるPSに相補的な核酸分子プライマーを用いて、シーケンシング反応を開始することができる。
例えば、ランダム暗号が暗号の上流(5’)にのみPSを有する場合、このPSに相補的なプライマーをシーケンシング反応のプライミングに用いて、ランダム暗号の配列および暗号の下流にクローン化された標的核酸分子の一部の配列を得ることができる。別の例では、ランダム暗号が暗号の上流(5’)に第一のPSを有し、下流(3’)に第二のPSを有する場合、第一のPSに相補的なプライマーをシーケンシング反応のプライミングに用いて、ランダム暗号の配列、第二のPSおよび第二のPSの下流にクローン化された標的核酸分子の一部の配列を得ることができる。これに対して、第二のPSに相補的なプライマーをシーケンシング反応のプライミングに用いて、第二のPSの下流にクローン化された標的核酸分子の配列を直接得ることができる。この後者の例では、第二のPSから始まるシーケンシング反応の方が、暗号と標的分子の両方に広がる必要のある反応よりも深く標的分子に広がることができるため、標的分子配列に関する情報がより多く得られる。
本明細書で使用される「アダプター」または「アダプター配列」は、5’暗号の上流もしくは3’暗号の下流またはその両方に位置する長さ約20ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドの範囲の配列を指す。アダプター配列は、ローリングサークル増幅後の標的核酸分子の増幅、シーケンシングをはじめとする処理に有用な配列を含み得る。アダプター配列は、制限酵素部位またはブリッジ増幅、PCR増幅もしくはシーケンシングのためのプライマー部位を含み得る。
本明細書で使用される「次世代シーケンシング」は、何千または何百万もの分子のシーケンシングを同時に実施することを可能にするハイスループットなシーケンシング法を指す。次世代シーケンシング法の例としては、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、ポロニーシーケンシングおよびパイロシーケンシングが挙げられる。固体基質および核酸分子に相補的な配列にプライマーを結合させることにより、プライマーを介して核酸分子を固体基質とハイブリダイズさせることができ、次いで、ポリメラーゼを用いて固体基質上の個別の領域に複数のコピーを生成させて増幅することができる(このようにグループ分けされたものをポリメラーゼコロニーまたはポロニーと呼ぶこともある)。したがって、シーケンシングの過程で、特定の位置にあるヌクレオチドを何回も(例えば、何百回または何千回)シーケンシングすることが可能であり、この対象範囲の深さは「ディープシーケンシング」と呼ばれる。
本明細書で使用される「単一分子シーケンシング」または「第三世代シーケンシング」は、単一分子シーケンシング機器で得られたリードが単一分子のDNAのシーケンシングとなるハイスループットなシーケンシング法を指す。所与のDNA鋳型のクラスターを増殖させるのにPCRに依存し、DNA鋳型のクラスターを固体表面に結合させ、クラスターが段階的方法での合成によってシーケンシングされるとその固体表面が画像化される次世代シーケンシング法とは異なり、単一分子シーケンシングでは単一分子のDNAを調べ、PCR増幅または同期化を必要としない。単一分子シーケンシングには、各塩基の組込み後にシーケンシング反応の停止(「wash−and−scan」サイクル)が必要な方法および読取り段階の間に停止を必要としない方法がある。単一分子シーケンシングの例としては、単一分子リアルタイムシーケンシング、ナノポアベースのシーケンシングおよび高度な顕微鏡法を用いるDNAの直接的な画像化が挙げられる。
ある特定の実施形態では、本開示は標的核酸分子の変異を検出する方法を提供し、この方法は、a)第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマーによるバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーのローリングサークル増幅を含み、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーが、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、二本鎖核酸分子がそれぞれ、ベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と3’暗号とが異なり、ローリングサークル増幅により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じる、第一の増幅段階と;b)段階a)で生じた縦列核酸分子の各鎖上の第一の標的核酸分子またはその一部ならびに隣接する5’暗号および3’暗号の増幅を含む、第二の増幅段階と;c)段階b)で生じた第一の標的核酸分子またはその一部をシーケンシングすることによって、第一の標的核酸分子の参照配列と比較した第一の標的核酸分子の変異を検出することとを含む。
標的核酸分子とは、変異の検出が望まれる、ゲノムDNAまたはミトコンドリアDNAを含めた任意の核酸分子のことである。ある特定の実施形態では、核酸分子はゲノムDNAである。他の実施形態では、核酸分子はミトコンドリアDNAである。参照標的核酸分子配列とは、選択された標的核酸分子の野生型配列または正常配列のことである。標的核酸分子には参照配列が2つ以上存在し得る。本明細書に記載される方法に使用する核酸分子を単離する方法は当該技術分野で周知である。
ある特定の実施形態では、変異は1つまたは複数のヌクレオチドの欠失である。他の実施形態では、変異は1つまたは複数のヌクレオチドの挿入または置換である。変異としてはほかにも、染色体の転座、逆位または重複などの大きなセグメントのヌクレオチドの再構成が挙げられる。本開示の方法を用いて標的核酸分子内の任意の変異を検出することができる。
バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーを形成するには複数の二本鎖核酸分子をベクターにクローン化する。「ベクター」とは、別の核酸を運搬することが可能な核酸分子のことである。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルスまたはファージであり得る。「発現ベクター」とは、しかるべき環境下にあるとき、ベクターが運ぶ1つまたは複数の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を指令することが可能なベクターのことである。
ある特定の実施形態では、複数の核酸分子をヒト対象から入手する。他の実施形態では、複数の核酸分子を原核生物、真核生物、ウイルスまたはウイロイドを含めた他の対象から入手する。原核生物としては、細菌および古細菌が挙げられる。真核生物としては、原生動物、藻類、植物、粘菌類、真菌(例えば、酵母)および動物が挙げられる。動物としては、霊長類、ウシ、イヌ、ネコ、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット)、ウサギなどの哺乳動物、線形動物、鳥類、両生類、爬虫類または魚類などの非哺乳動物が挙げられる。複数の核酸分子は血液、腫瘍生検、組織生検、唾液、痰、脳脊髄液、膣分泌物、乳房分泌物または尿を含めた対象、組織または体液から得られた任意の試料に由来するものであり得る。試料は正常な組織または細胞も異常な(疾患がある、感染した、損傷した、罹患した)組織または細胞もともに含有し得る。試料はこのほか、細胞系に由来するものであり得る。ある特定の実施形態では、複数の核酸分子は単一のタイプの核酸分子、例えばゲノムDNA、mtDNAまたはmRNAから実質的になる。他の実施形態では、複数の核酸分子は2つ以上のタイプの核酸分子、例えば、ゲノムDNAとmtDNAの混合物から実質的になる。複数の核酸分子として、疾患組織および正常組織または野生型細胞および変異細胞(例えば、循環正常細胞および循環腫瘍細胞)を含めた対象内の様々な細胞、組織、器官および入手源由来の核酸分子が挙げられる。複数の核酸分子はほかにも、無細胞核酸分子として循環している核酸分子および対象の血漿をはじめとする体液から抽出された核酸分子であり得る。複数の核酸分子は2つ以上の対象に由来する核酸分子、例えば、母体および胎児由来の核酸分子または宿主および感染病原体(宿主に感染症または感染を引き起こすウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生虫)由来の核酸分子を含み得る。
試料から複数の核酸分子を単離した後、ベクターにクローン化する前にこれをさらに処理してもよい。このような処理には、さらに短い核酸分子フラグメントを作製するための機械的剪断または制限酵素による切断が含まれる。末端がオーバーハングしている核酸フラグメントには、T4 DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIクレノーフラグメントを用いて修復(すなわち、平滑末端化)を施し得る。リボ核酸分子では逆転写およびcDNA合成を実施して、ベクターに挿入する複数の二本鎖核酸分子を作製し得る。一本鎖核酸分子には合成段階を実施して、ベクターに挿入する複数の二本鎖核酸分子を作製し得る。ベクターに含まれる複数の二本鎖核酸分子は、大きさが約10ヌクレオチド〜数千ヌクレオチド(例えば、5,000)の範囲内にある。好ましくは、ベクターに含まれる複数の二本鎖核酸分子は、大きさが約50ヌクレオチド〜約3,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド〜約2,000ヌクレオチドまたは約150ヌクレオチド〜約1,000ヌクレオチドの範囲内にある。ある特定の実施形態では、複数の二本鎖核酸分子は、大きさが約100〜約1,000ヌクレオチド、約150〜約750ヌクレオチドまたは約250ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドの範囲内にある。
ベクター内では、二本鎖核酸分子がそれぞれ5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と3’暗号とが異なっている。暗号またはバーコードとは、約5〜約50ヌクレオチドからなる二本鎖核酸配列のことである。ある特定の実施形態では、暗号内のヌクレオチドがすべて同一なのではなく(すなわち、少なくとも2つの異なるクレオチドを含み)、任意選択で、連続する3つの同一のヌクレオチドを含まない。さらなる実施形態では、暗号は約5〜約15ヌクレオチド、好ましくは約6〜約10ヌクレオチド、さらに好ましくは6、7または8ヌクレオチドからなる。
さらなる実施形態では、二本鎖核酸分子ライブラリーに使用する複数のランダム暗号またはランダム暗号のプールは、約5ヌクレオチド〜約40ヌクレオチド、約5ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド、約6ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド、約6ヌクレオチド〜約20ヌクレオチド、約6ヌクレオチド〜約10ヌクレオチド、約6ヌクレオチド〜約8ヌクレオチド、約7ヌクレオチド〜約9もしくは約10ヌクレオチド、約6、約7または約8ヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、核酸配列と結合している固有のランダム5’暗号とランダム3’暗号の対は長さが異なっているか、長さが同じである。例えば、二本鎖核酸分子は、長さが約6ヌクレオチドの5’(上流)暗号と長さが約9ヌクレオチドの3’(下流)暗号を有し得るか、二本鎖核酸分子は、長さが約7ヌクレオチドの5’(上流)暗号と長さが約7ヌクレオチドの3’(下流)暗号を有し得る。
ある特定の実施形態では、5’暗号および3’暗号がともにそれぞれ、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチドまたは10ヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、5’暗号が6ヌクレオチドを含み、3’暗号が7ヌクレオチドまたは8ヌクレオチドを含むか、5’暗号が7ヌクレオチドを含み、3’暗号が6ヌクレオチドまたは8ヌクレオチドを含むか、5’暗号が8ヌクレオチドを含み、3’暗号が6ヌクレオチドまたは7ヌクレオチドを含む。
暗号またはバーコードのそれぞれに含まれるヌクレオチドの数が、ライブラリーに使用可能であると考えられるバーコードの総数を左右する。バーコードが短いほど固有の暗号の数を少なくすることが可能であり、このことは1つまたは数個のヌクレオチド配列のディープシーケンスを実施する場合に有用であり得るが、cDNAまたはゲノムフラグメントなどの核酸分子の集団を調べる場合はバーコードが長い方が望ましいものであり得る。例えば、7ヌクレオチドのバーコードであれば式5’−NNNNNNN−3’(配列番号1)を有し、式中、Nは任意の天然に存在するヌクレオチドであり得る。4つの天然に存在するヌクレオチドはA、T、CおよびGであるため、可能なランダム暗号の総数は47通り、すなわち16,384通りの可能なランダム配列(すなわち、16,384種類の異なる暗号、すなわち固有の暗号)となる。6ヌクレオチドおよび8ヌクレオチドのバーコードでは、ランダム暗号の数はそれぞれ4,096および65,536となる。6、7または8のランダムなヌクレオチド暗号の特定の実施形態では、例えば、ヌクレオチドがすべて同一である(例えば、すべてA、すべてT、すべてCまたはすべてGである)配列を除外する場合、連続する3つのヌクレオチドが同一である配列を除外する場合またはこの両方のタイプの分子を除外する場合、使用可能なものがそれぞれ4,094種類、16,384種類または65,536種類の固有の暗号のプールよりも少なくなり得る。さらに、標的核酸分子配列の最初の約5ヌクレオチド〜約20ヌクレオチドをさらなる認識タグとして、結合しているランダム暗号の配列とともに使用し得る。
例えば、ランダム暗号の長さが7ヌクレオチドである場合、第一のランダム5’暗号および第二の3’暗号として使用可能な異なるバーコードが計16,384種類になる。この場合、第一の二本鎖核酸分子が番号1のランダム5’暗号と番号2のランダム3’暗号との間に結合して配置され、第一の二本鎖核酸分子が番号16,383のランダム5’暗号と番号16,384のランダム3’暗号との間に結合して配置されれば、第三の二本鎖核酸分子は3〜16,382から選択される番号のランダム5’暗号とランダム3’暗号の任意の対の間にのみ結合して配置されることが可能であり、これがライブラリーの二本鎖核酸分子について、異なる各ランダム暗号が使用される(16,382種類すべてであっても、そうでなくてもよい)まで続く。この実施形態では、ライブラリーの各二本鎖核酸分子は、ライブラリーの他の各二本鎖核酸分子と結合している他の5’暗号と3’暗号の対のそれぞれとは異なる固有の5’暗号と3’暗号の対を有することになる。
ある特定の実施形態では、各二本鎖核酸分子が異なる(固有の)5’暗号と3’暗号の対を有する限り、特定の暗号プール(例えば、4,094種類、16,384種類または65,536種類の固有の暗号のプール)のランダム暗号配列2回以上使用してもよい。例えば、第一の二本鎖核酸分子が番号1のランダム5’暗号と番号100のランダム3’暗号との間に結合して配置される場合、第二の二本鎖核酸分子は異なる二重暗号対、例えば、番号1のランダム5’暗号と番号65のランダム3’暗号や番号486のランダム5’暗号と番号100のランダム3’暗号のような対と隣接する必要があるが、この対は1と100以外の任意の組合せであってよい。
ある特定の実施形態では、ライブラリーの二本鎖核酸分子はそれぞれ、二重の固有の5’暗号と3’暗号を有し、いずれの5’暗号も他のいずれの5’暗号とも配列が同じではなく、いずれの3’暗号も他のいずれの3’暗号とも配列が同じではなく、いずれの5’暗号もいずれの3’暗号とも配列が同じではない。またさらなる実施形態では、ライブラリーの二本鎖核酸分子は固有の5’暗号−3’暗号対を有し、5’暗号も3’暗号も配列が同じではない。
またさらなる実施形態では、複数のランダム5’暗号および3’暗号は、5’バーコード配列の上流もしくは下流または3’バーコード配列の上流もしくは下流に核酸分子プライミング部位をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、複数のランダム暗号がそれぞれ第一の核酸分子プライミング部位(PS1)と第二の核酸分子プライミング部位(PS2)との間に結合して配置されてよく、PS1の二本鎖配列とPS2の二本鎖配列とが異なるものである。ある特定の実施形態では、固有の5’暗号−3’暗号対がそれぞれ、上流と下流の第一の核酸分子プライミング部位(PS1)の間に結合して配置され得る。さらなる実施形態では、固有の5’暗号−3’暗号対がそれぞれ、2つ以上の上流および下流の核酸分子プライミング部位の間に結合して配置され得る。5’暗号の上流および3’暗号の下流の核酸分子プライミング部位を、のちの内部に配置された5’暗号−二本鎖核酸分子−3’暗号の増幅およびシーケンシングに用いることができる。5’暗号上流のプライミング部位および3’暗号下流のプライミング部位を配置することにより、のちの増幅およびシーケンシングでバーコード配列を二本鎖核酸分子ベクター挿入配列に結合させ得る。
さらなる実施形態では、第一のランダム5’暗号の上流(5’)に第一の核酸分子プライミング部位PS1が配置し、第二のランダム3’暗号の下流(3’)にも第一の核酸分子プライミング部位PS1が配置される。ある特定の実施形態では、PS1のセンス鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、第一のランダム5’暗号のセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いるか、第二のランダム3’暗号のアンチセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いることができ、またPS1のアンチセンス鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、第一のランダム5’暗号のアンチセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いるか、第二のランダムランダム暗号3’のセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いることができる。
さらなる実施形態では、第一のランダム5’暗号の下流(3’)に第二の核酸分子プライミング部位PS2が配置され、第二のランダム3’暗号の上流(5’)にも第二の核酸分子プライミング部位PS2が配置される。ある特定の実施形態では、PS2のセンス鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、結合した二本鎖標的核酸分子の5’末端からセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いるか、結合した二本鎖標的核酸分子の3’末端からアンチセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いることができ、またPS2のアンチセンス鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、結合した二本鎖標的核酸分子の5’末端からアンチセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いるか、結合した二本鎖標的核酸分子の3’末端からセンス鎖の配列を得るシーケンシング反応のプライミングに用いることができる。
ある特定の実施形態では、複数のランダム5’暗号および3’暗号は制限酵素部位をさらに含む。ほかの実施形態では、複数のランダム5’暗号および3’暗号は、特定の試料に特異的な固有のインデックス配列(約4ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドの範囲の長さを含む)を含むため、ライブラリーを異なるインデックス配列を有する他のライブラリーとともにプールすることができ、多重シーケンシング(多重化とも呼ばれる)が容易になる。さらなる実施形態では、複数のランダム5’暗号および3’暗号は、約20ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドの範囲の長さを含むアダプター配列をさらに含み、このようなアダプター配列をブリッジ増幅に使用し得る。
ベクターにクローン化する前に5’暗号および3’暗号を複数の二本鎖核酸分子に連結してもよい。好ましい実施形態では、複数のランダム5’暗号および3’暗号を含むベクターライブラリーを構築し、これに二本鎖核酸分子をクローン化する。
二重のランダム5’暗号と3’暗号、複数の核酸分子と複数のランダム暗号とを含む二本鎖核酸分子ライブラリー、複数のランダム暗号を含む核酸ベクターライブラリーおよび有用な方法については、2013年2月15日に出願された「Compositions and Methods for Accurately Identifying Mutations」と題する国際出願PCT/US2013/026505号に既に記載されており、上記明細書はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含むバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーは、ローリングサークル増幅を含む第一の増幅段階の鋳型となる。ローリングサークル増幅のプライミングに第一の標的核酸分子に特異的な少なくとも1つのプライマー(センスまたはアンチセンス)を選択する。ある特定の実施形態では、第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマーをローリングサークル増幅のプライミングに用いる。いくつかの実施形態では、第一の標的核酸分子に特異的な複数のセンスプライマーもしくは複数のアンチセンスプライマーまたは複数のセンスプライマーとアンチセンスプライマーをローリングサークル増幅に用いる。ある特定の実施形態では、標的核酸分子に特異的な少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90〜約100のプライマーを第一の増幅段階に用いる。標的核酸分子に特異的なプライマーの数は、すべてがセンスプライマーを含むものであっても、すべてがアンチセンスプライマーを含むものであっても、センスとアンチセンスに均等に(例えば、50のセンスと50のアンチセンス)または不均等に(例えば、49のセンスと51のアンチセンス;40のセンスと60のアンチセンス;30のセンスと70のアンチセンス;20のセンスと80のアンチセンス;10のセンスと90のアンチセンス;5のセンスと95のアンチセンス;またはその任意の組合せ)振り分けられたものであってもよい。
第一の標的核酸分子に特異的なセンスプライマーを用いて、標的核酸分子のアンチセンス鎖とアニールさせ、センス鎖の伸長をプライミングすることができる。第一の標的核酸分子に特異的なアンチセンスプライマーを用いて、標的核酸分子のセンス鎖とアニールさせ、アンチセンス鎖の伸長をプライミングすることができる。第一の標的核酸分子に特異的なセンスプライマーとアンチセンスプライマーの対を用いて、標的核酸分子ならびにセンス鎖およびアンチセンス鎖のプライマー伸長のそれぞれアンチセンス鎖およびセンス鎖とアニールさせることができる。
第一の標的核酸分子に特異的なプライマーは、核酸分子内の選択された領域(例えば、変異ホットスポット、エキソン、エキソン/イントロン境界、遺伝子フラグメント)、核酸分子内の複数の領域を増幅するよう設計しても、核酸分子全体を増幅するよう設計してもよい。第一の標的核酸分子に特異的なプライマーは、第一の標的核酸分子の同じ鎖上で約30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,500または2,000ヌクレオチドの間隔で離れていてよい(例えば、センスプライマーが約50ヌクレオチドの間隔で離れている)。ある特定の実施形態では、第一の標的核酸分子に特異的なプライマーは、第一の標的核酸分子の同じ鎖上で約50〜約1,000ヌクレオチドの間隔で離れている。選択的な位置および間隔で設計された複数のプライマーを用いることによって、核酸分子全体(例えば、遺伝子、転写産物、ゲノム)を単一のアッセイで調べることができる。
ある特定の実施形態では、第一の標的核酸分子に特異的なプライマーは、暗号またはその一部に特異的なヌクレオチドをさらに含む。
ある特定の実施形態では、ローリングサークル増幅は、少なくとも第二の標的核酸分子に特異的な少なくとも1つまたは複数のセンスプライマー、アンチセンスプライマーまたはその組合せを含む。さらなる実施形態では、複数の異なる標的核酸分子に特異的な複数のセンスプライマー、アンチセンスプライマーまたはその組合せをローリングサークル増幅に使用して、複数の標的核酸分子の変異の多重検出を可能にする。本明細書に記載される方法を用いて、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100の標的核酸分子の変異を検出し得る。ある特定の実施形態では、ローリングサークル増幅を含む第一の増幅段階に、最大100の異なる標的核酸分子について各標的核酸分子に特異的な約10のプライマー(例えば、100の異なる標的核酸分子を調べるのに使用する計1,000プライマー)を使用する。
ある特定の実施形態では、標的核酸分子に特異的でローリングサークル増幅のプライミングに使用するプライマーはエキソヌクレアーゼ耐性である。クレノーフラグメント、VENT(登録商標)DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼおよびΦ29 DNAポリメラーゼなどのプルーフリーディングDNAポリメラーゼは、PCRによるDNA配列増幅時の忠実度が高い。しかし、プルーフリーディングDNAポリメラーゼは同時に、DNA合成に必要なオリゴデオキシヌクレオチドプライマーを分解する3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。このように短くなったプライマー分子でも依然として鋳型とアニールすることは可能であるが、アニール温度が低く、特異性も低下する。5’末端の配列が鋳型とマッチしないよう(例えば、クローン化を目的とする制限部位の導入または隣接ヌクレオチドの付加のため)プライマーが修飾されている場合、分解されたプライマーが増幅産物を生じる可能性は低くなる。
エキソヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドプライマーは当該技術分野で公知である。エキソヌクレアーゼ耐性プライマーは、dA−Me−ホスホンアミダイトなどのアルキルホスホナートモノマー、RO−P(=O)(−Me)(−OR)および/またはdA−Me−ホスホラミダイト(Glen Research、Sterling、Vaから入手可能)などのトリエステルモノマー、RO−P(=O)(−OR’)(−OR)および/またはロックト核酸モノマー(Exiqon、Woburn、Massから入手可能)および/またはボラノリン酸モノマー、RO−P(−BH3)(=O)(−OR)を含み得る。エキソヌクレアーゼ耐性が得られるリン酸骨格の変形物が当該技術分野で公知である(米国特許第5,256,775号;国際公開第89/05358号;Deanら,2001,Genome Res.11:1095−1099を参照されたい)。ある特定の実施形態では、プライマーは3’末端にホスホロチオアート(PTO)修飾(または2つ、3つ、4つもしくはそれ以上のホスホロチオアート修飾)を含み得る。例えば、3’末端にホスホロチオアート修飾を1つ有するプライマーは、プライマーの2つの末端3’塩基の間にホスホロチオアート結合を有する。3’末端にホスホロチオアート修飾を2つ有するプライマーは、2つの末端3’塩基の間および3’末端上流の2つ目の塩基と3つ目の塩基との間にホスホロチオアート結合を有する。
バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーはローリングサークル増幅によって増幅され、この増幅では、標的核酸分子に特異的なプライマーが環状の標的または環状化された標的とアニールし、同じ環状鋳型分子の周囲を連続的に進むことによって、ハイブリダイズしたプライマーのポリメラーゼによる等温性の伸長を何ラウンドも受ける。ローリングサークル増幅法は、多くのプラスミドおよびウイルスによって用いられるローリングサークル複製を応用したものである(GilbertおよびDressier,1968,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.33:473−484;BakerおよびRomberg,1991,DNA Replication,Freeman,New York)。ローリングサークル増幅法は既に記載されており、直鎖ローリングサークル増幅や超分岐ローリングサークル増幅がこれに含まれる(例えば、米国特許第5,648,245号;FireおよびXu,1995,Proc.Acad.Sci.USA 92:4641−4645;Liuら,1996,J.Am.Chem.Soc.118:1587−1594;Lizardiら,1998,Nat.Genet.19:225−232;Zhangら,1998,Gene 211:277−285)。ローリングサークル増幅ではほかにも、環状化したプローブを用いて直鎖状の鋳型分子とハイブリダイズさせることもある(例えば、パッドロックプローブ)(Nilssonら,1994,Science 265:2085−2088)。
標的核酸分子に特異的なセンスプライマーからは、ローリングサークル増幅によりバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のアンチセンス配列に相補的な縦列核酸分子の鎖が生じる。縦列核酸分子の鎖は、標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む。ローリングサークル増幅により標的核酸分子の不完全なコピーが、具体的には鎖の3’末端に生じ得る。標的核酸分子に特異的なアンチセンスプライマーからは、ローリングサークル増幅によりバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のセンス配列に相補的な縦列核酸分子の鎖が生じる。縦列核酸分子の鎖は、標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む。標的核酸分子に特異的なセンスプライマーとアンチセンスプライマーの両方をローリングサークル増幅に使用する場合、両方向の合成により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む2つの互いに相補的な縦列核酸分子の鎖が生じる。標的核酸分子に特異的な複数のセンス(またはアンチセンス)プライマーを使用する場合、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖が複数生じる。この複数の鎖は同じ環状鋳型分子から同時に分岐したものであり得る。ローリングサークル増幅の産物は、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子内に存在し直線状に反復して配列している、ベクター配列、5’暗号および3’暗号、プライミング部位、アダプター配列、制限部位またはインデックス配列を含めた他の構成要素の1つまたは複数の配列をさらに含み得る。
ある特定の実施形態では、各プライマーが「タグ分子」をさらに含む、第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマー。ある特定の実施形態では、複数の異なる標的核酸分子に特異的な複数のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーがそれぞれタグ分子を含む。タグまたはアフィニティータグは、そのタグがその結合基質との相互作用を介して結合するパートナー分子(例えば、標的特異的プライマーによるローリングサークル増幅の産物)の単離または選択を可能にする、検出可能な分子(生物学的分子または化学的分子)を含む。タグにより、タグのパートナー分子の構造または配列とは無関係な単離または選択が可能になる。タグ分子は遺伝学的方法を用いて結合させるか、化学的に結合させることができる。タグ分子は当該技術分野で周知であり、例えば、ビオチン、HISタグ、Flag(登録商標)エピトープ、GST、キチン結合タンパク質およびマルトース結合タンパク質がこれに含まれる。ある特定の実施形態では、タグ分子はビオチンである。さらなる実施形態では、ローリングサークル増幅後、第二の増幅段階の前にストレプトアビジンまたはアビジンを用いて、ビオチンでタグ付けした第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖を選択または単離する。さらなる実施形態では、精製したバーコード付加二本鎖環状鋳型分子ライブラリーに本明細書に記載される方法を再び用いて、ビオチンでタグ付した縦列核酸分子の鎖を取り出すことができる。
ローリングサークル増幅で生じた縦列核酸分子の各鎖上にある第一の核酸分子またはその一部ならびに隣接する5’暗号および3’暗号の増幅を含む、第二の増幅段階(例えば、PCR)を実施する。第二の増幅段階では、のちのシーケンシング段階に望ましくない配列(例えば、ベクター配列)を選択的に排除することができる。第二の増幅段階では、のちのシーケンシング段階のためにローリングサークル増幅で生じた縦列核酸分子の一本鎖を二本鎖DNAに変換することができる。ある特定の実施形態では、暗号と結合したアダプター配列、暗号と結合したプライミング部位、暗号と結合したインデックス配列または5’暗号および3’暗号の上流および下流のベクター配列ならびに介在する標的核酸分子に特異的なプライマーを第二の増幅段階に使用し得る。さらなる実施形態では、プライミング部位に特異的なプライマーを第二の増幅段階および/またはシーケンシングに使用することができるように、暗号と結合したプライミング部位を設計する。いくつかの実施形態では、第二の増幅段階に同じプライマーセット(例えば、ライブラリー全体に存在するベクター配列、プライミング部位またはアダプター配列に特異的なプライマー)を用いて、多重ローリングサークル増幅反応で生じた複数の標的核酸分子またはその一部を増幅する。ある特定の実施形態では、5’暗号および3’暗号に特異的な配列を含むようプライマーを設計する。
さらなる実施形態では、第二の増幅段階で生じた第一の標的核酸分子またはその一部をシーケンシングすることによって、第一の標的核酸分子の参照配列と比較した第一の標的核酸分子の変異を検出する。当該技術分野で公知の様々なシーケンシング法、例えば合成によるシーケンシング、パイロシーケンシング、可逆的ダイターミネーターシーケンシング、ポロニーシーケンシングまたは単一分子シーケンシングなどを用い得る。
標的核酸分子の長さに応じて、核酸分子全体の配列が得られる場合(例えば、用いる特定のシーケンシング技術の限界が約100ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドであれば、約100ヌクレオチド〜約250ヌクレオチド未満の場合)もあれば、標的核酸分子全体の配列の一部のみが得られる場合(例えば、用いる特定のシーケンシング技術の限界が約100ヌクレオチド〜約250ヌクレオチドであれば、約100ヌクレオチド〜約250ヌクレオチド)もある。本開示の組成物および方法の利点は、本開示のライブラリーの各核酸分子が二重の固有の5’暗号および3’暗号または固有の5’暗号−3’暗号対を有することから、標的核酸分子が長すぎて分子またはフラグメント全体の配列データが得られなくても、二本鎖標的核酸分子の一端から得られた配列データと、同じ二本鎖標的核酸分子の反対端から得られた配列データとを特異的に関連付けることができるという点にある。
ある特定の実施形態では、シーケンシング段階は、(ローリングサークル増幅で生じた)縦列核酸分子の一方の鎖に由来する各第一の標的核酸分子またはその一部の配列を互いに配列比較することをさらに含む。例えば、ローリングサークル増幅で生じた鎖(または同じ方向の複数の鎖)上に存在する第一の標的核酸分子またはその一部の各コピーをその固有の5’暗号および3’暗号によって識別することができる。これらの配列は配列比較され、当業者によって変異がポリメラーゼエラーによるアーチファクトと真の変異に識別され得る。ローリングサークル増幅では複製の各ラウンドに同じ環状鋳型を使用するため、同じ鋳型分子から生じた同じ方向の全鎖上に存在するコピーすべてに標的核酸分子の真の変異が存在する可能性が高く、これは固有の5’暗号および3’暗号によって識別され得る。鎖(または同じ方向の複数の鎖)上に存在する第一の標的核酸分子またはその一部の全コピーをこのように比較することにより、エラー率が約10−4〜約10−5以下に減少し得る。
さらなる実施形態では、シーケンシング段階は、(ローリングサークル増幅で生じた)縦列核酸分子の一方の鎖に由来する各第一の標的核酸分子またはその一部の配列を互いに配列比較することと、(ローリングサークル増幅で生じた)縦列核酸分子の相補鎖の各第一の標的核酸分子またはその一部の配列と配列比較することとをさらに含む。例えば、ローリングサークル増幅で生じた相補鎖(複数のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む)上に存在する第一の標的核酸分子またはその一部の各コピーをその固有の5’暗号および3’暗号によって識別することができる。これらの配列は配列比較され得る。同じ鋳型分子から生じた同じ方向の全鎖および同じ鋳型分子から生じた全相補鎖上に存在するコピーすべてに標的核酸分子の真の変異が存在する可能性が高く、これは固有の5’暗号および3’暗号によって識別され得る。相補鎖(センス鎖およびアンチセンス鎖)上に存在する第一の標的核酸分子またはその一部の全コピーをこのように比較することにより、エラー率が少なくとも10−6未満〜約10−10以下に減少し得る。
ある特定の実施形態では、シーケンシング段階は、縦列核酸分子の一方の鎖に由来する各第一の標的核酸分子またはその一部の配列を互いに配列比較することと、縦列核酸分子の相補鎖の各第一の標的核酸分子またはその一部の配列と配列比較することとをさらに含み、配列比較される縦列核酸分子の各鎖の各第一の標的核酸分子またはその一部の配列が、マッチする5’暗号および3’暗号を有し、配列比較により、測定可能なシーケンシングエラー率が10−6に等しいか少なくとも10−6未満であるかまたはこれより低い(例えば、10−7、10−8、10−9または10−10以下)コンセンサス配列が得られる。
ある特定の実施形態では、第二の増幅段階で生じた複数の標的核酸分子またはその一部をシーケンシングすることによって、標的核酸分子の参照配列と比較した複数の標的核酸分子の変異を検出する。このほか、高感度で正確な変異の検出のために、マッチする5’暗号および3’暗号を有する複数の標的核酸分子またはその一部の配列を本明細書に記載される通りに配列比較し得る。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、血中循環変異DNAの検出、母体血中胎児DNAの検出、直接シーケンシングによる疾患およびまれな変異のモニタリングまたは検出、疾患または薬物応答に関連する変異のモニタリングまたは検出など、大きいバックグランドシグナルに対してまれな変異体を検出するのに有用である。治療法に対する奏効の指標となり得る、または疾患進行もしくは再発のモニタリングに有用であり得るほかの実施形態を用いて、DNA損傷の定量化するか、感染病原体の変異を定量化または検出(例えば、HIVをはじめとするウイルス感染時)し得る。さらに別の実施形態では、これらの組成物および方法は、化学療法によるDNA損傷の検出またはDNA配列の特異的メチル化の検出および定量化に有用である。
例えば、本明細書に記載される方法を用いて、対象由来の試料中の癌抑制遺伝子または発癌遺伝子の変異スペクトルをモニターすることができる。目的とする例示的な標的は、例えばBCR−ABL、RAS、RAF、MYC、P53、ER(エストロゲン受容体)、HER2、EGFR、AKT、PI3K、mTOR、VEGF、ALK、pTEN、RB、DNMT3A、FLT3、NPM1、IDH1、IDH2などを含めた癌などの1つまたは複数の高増殖性疾患に関連するものである。ある特定の実施形態では、ある特定の標的分子変異を同定することによりある対象集団が明らかになり、その特異的に特定された対象集団の治療に治療的もしくは予防的効果が得られることが知られている1つもしくは複数の薬剤(イマチニブ、ベムラフェニブ、タモキシフェン、トレミフェン、トラズツズマブ、ラパチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、バンデタニブ、ベバシズマブ、クリゾチニブなど)を選択することが可能であり、また特異的に特定されたその対象集団に治療的もしくは予防的効果が得られないことがわかっている場合にはその1つまたは複数の薬剤は選択されない。
本願の別の態様は、ローリングサークル増幅を用いて標的核酸分子をバックグラウンドレベルよりも濃縮する方法を提供する。この方法を用いて、核酸分子の混合集団から単一の標的核酸分子または複数の標的核酸分子を濃縮し得る。濃縮後、標的核酸分子をシーケンシングして変異、多型などを検出することができる。
ある特定の実施形態では、標的核酸分子を濃縮する方法は、(a)第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーまたはアンチセンスプライマーによるバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーのローリングサークル増幅を含み、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーが、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、二本鎖核酸分子がそれぞれベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と3’暗号とが異なり、ローリングサークル増幅により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖が生じることによって、標的核酸分子が濃縮される、第一の増幅段階を含む。
ある特定の実施形態では、ローリングサークル増幅のプライミングに使用するプライマーはエキソヌクレアーゼ耐性プライマーである。いくつかの実施形態では、プライマーは、その3’末端に少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上のホスホチオアート修飾されたサブユニット間結合を含む。
ある特定の実施形態では、暗号は約5ヌクレオチド〜約10ヌクレオチドの範囲の長さを含む。
ある特定の実施形態では、暗号は核酸分子プライミング部位をさらに含む。ある特定の実施形態では、暗号は少なくとも1つのアダプター配列をさらに含む。
ある特定の実施形態では、第一のプライマーはタグ分子をさらに含む。いくつかの実施形態では、タグ分子はビオチンである。タグ付したプライマーにより、タグに特異的な基質を用いて第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖を単離することによってローリングサークル増幅産物の精製が可能になる。精製段階後、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーは標的核酸分子の濃縮の別のラウンドに再利用することができる。
ある特定の実施形態では、複数の二本鎖核酸分子はゲノムDNAである。いくつかの実施形態では、複数の二本鎖核酸分子はヒトである。いくつかの実施形態では、複数の二本鎖核酸分子を細胞系、腫瘍試料、血液試料または生検試料から入手する。
ある特定の実施形態では、複数の二本鎖核酸分子は約100〜約3,000塩基の範囲の長さを含む。いくつかの実施形態では、ベクターに含まれる複数の二本鎖核酸分子は、大きさが約50ヌクレオチド〜約3,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド〜約2,000ヌクレオチド、約150ヌクレオチド〜約1,000ヌクレオチド、約100〜約1,000ヌクレオチド、約150〜約750ヌクレオチドまたは約250ヌクレオチド〜約500ヌクレオチドの範囲内にある。
ある特定の実施形態では、標的核酸分子は発癌遺伝子、癌抑制遺伝子またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、癌抑制遺伝子はTP53である。いくつかの実施形態では、標的核酸分子はBCR−ABL、RAS、RAF、MYC、P53、ER(エストロゲン受容体)、HER2、EGFR、AKT、PI3K、mTOR、VEGF、ALK、pTEN、RB、DNMT3A、FLT3、NPM1、IDH1またはIDH2である。
ある特定の実施形態では、標的核酸分子をバックグラウンドレベルの少なくとも102倍、103倍、104倍、105倍、106倍、107倍、108倍または109倍に濃縮する。
ある特定の実施形態では、ローリングサークル増幅段階は第一の標的核酸分子に特異的な第二のプライマーをさらに含み、ローリングサークル増幅により、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの鎖が生じる。第二のプライマーは、方向が第一のプライマーと同じである(ともにセンスであるか、ともにアンチセンスである)ため、第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む同じ方向の縦列核酸分子の鎖が2つ生じ得る。第二のプライマーは、ローリングサークル増幅により第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じるように、第一のセンスプライマーに対してアンチセンスであるか、第一のアンチセンスプライマーに対してセンスであってよい。いくつかの実施形態では、ローリングサークル増幅段階は、第一の標的核酸分子に特異的な3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、90、100またはそれ以上のプライマーをさらに含む。ある特定の実施形態では、この方法は、多重反応のための複数の異なる標的核酸分子に特異的な複数のプライマーによるローリングサークル増幅をさらに含む。
ある特定の実施形態では、この方法は、ローリングサークル増幅段階後に、段階(a)で生じた縦列核酸分子の各鎖上にある第一の標的核酸分子またはその一部のならびに隣接する5’および3’暗号の増幅を含む、第二の増幅段階;ならびに段階(b)で生じた第一の標的核酸分子またはその一部のシーケンシングをさらに含む。
変異の検出方法のための本明細書に記載される標的核酸分子、複数の二本鎖核酸分子、ベクター、バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリー、プライマー、プライマー修飾、ローリングサークル増幅、暗号、アダプター、プライミング部位、インデックス配列、標的核酸分子のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖およびシーケンシング法に関する上述の態様、説明および実施形態はいずれも、濃縮方法の様々な実施形態に用いることができる。
実施例
実施例
実施例1
腫瘍ゲノムライブラリーのローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシング
癌細胞にはクローン性変異、すなわち、腫瘍のほとんどまたはすべての悪性細胞中に存在し、増殖上の利点を付与することから淘汰されてきたと推定される変異が多数含まれている。重要な問題は、癌細胞にはランダム変異、すなわち、腫瘍の1個または数個の細胞のみにみられランダムに分布する、淘汰されていない変異も多数含まれているかどうかである。このようなランダム変異は癌の形態的および機能的不均一性に寄与し、治療に対する耐性を付与する変異を含む可能性がある。クローン性変異とランダム変異とを区別すること。
腫瘍ゲノムライブラリーのローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシング
癌細胞にはクローン性変異、すなわち、腫瘍のほとんどまたはすべての悪性細胞中に存在し、増殖上の利点を付与することから淘汰されてきたと推定される変異が多数含まれている。重要な問題は、癌細胞にはランダム変異、すなわち、腫瘍の1個または数個の細胞のみにみられランダムに分布する、淘汰されていない変異も多数含まれているかどうかである。このようなランダム変異は癌の形態的および機能的不均一性に寄与し、治療に対する耐性を付与する変異を含む可能性がある。クローン性変異とランダム変異とを区別すること。
悪性細胞が、化学療法剤耐性を付与し得る遺伝子のランダム変異を発生させるミューテーターの表現型を示すかどうかを検討するため、正常なゲノムライブラリーおよび腫瘍ゲノムライブラリーに本開示のローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシングを実施する。
簡潔に述べると、QIAGEN(登録商標)キット(Valencia、CA)を用いて患者にマッチする正常組織および腫瘍組織のゲノムDNAを調製し、光吸収および定量的PCR(qPCR)により定量化する。単離されたゲノムDNAを剪断により約150〜250塩基対の大きさ(短い挿入ライブラリー)または約300〜700塩基対の大きさ(長い挿入ライブラリー)に断片化する。オーバーハング末端を有するDNAフラグメントをT4 DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIクレノーフラグメントを用いて修復した(すなわち、平滑末端化した)後、精製する。次いで、末端を修復したDNAフラグメントを、2013年2月15日に出願された「Compositions and Methods for Accurately Identifying Mutations」と題する国際出願PCT/US2013/02650号5に記載される通りに二重暗号ベクターのライブラリーのSmaI部位内に連結して、標的ゲノムライブラリーを得る。連結した暗号ベクターライブラリーを精製し、ER(タモキシフェン、トレミフェン)、HER2(トラズツズマブ、ラパチニブ)、EGFR(セツキシマブ、パニツムマブ)、mTOR(テムシロリムス、エベロリムス)、VEGF(バンデタニブ、ベバシズマブ)およびALK(クリゾチニブ)の列挙される薬物に対する耐性変異に隣接する領域とアニールするセンスおよびアンチセンスビオチン結合プライマーによるローリングサークル増幅(RCA)を用いることによって、標的ゲノムライブラリーフラグメントを増幅する。調製標的の濃縮には、連結した暗号ベクターライブラリー0.1ng〜100ngを20mMトリス−HCl(pH7.5)100μL、40mM NaCl、1mM EDTAおよび50pmol pUC19特異的プライマー(1つまたは複数)からなるアニーリング緩衝液中でインキュベートする。試料を72℃で5分間インキュベートした後、室温まで緩徐に冷却させる。RCA試料の反応はすべて、200μg/mLウシ血清アルブミン、200μM dNTP、0.02U酵母無機ピロホスファターゼおよび1U phi29ポリメラーゼ(New England Biolabs)を添加したDNAポリメラーゼ反応緩衝液(New England Biolabs)1×phi2920μL中で実施する。反応時間中、試料を30℃でインキュベートした後、65℃で10分間、加熱不活性化してローリングサークル増幅を停止させる。ローリングサークル増幅後、ビオチン化したDNAフラグメント20μlを予備洗浄したDynabeads M−280−Streptavidin 50μgおよびKilobase結合溶液20μl(Dynal Biotech)に懸濁させ、室温で3時間、ローラーでインキュベートする。次いで、ビーズ溶液をDynal Magnetic Particle Concentrator(MPC)(Dynal Biotech)に入れ、上清を除去する。Dynabead−DNA複合体を洗浄溶液(10mMトリス−HCl、1mM EDTA、2.0M NaCl)40μlで2回洗浄し、10mMトリス−HCl(pH7.9)50μlに再懸濁させる。試料を100℃で5分間インキュベートしてから直ちにMPCに入れ、1M NaCl 500μlで洗浄し、1M NaCl 100μlに再懸濁させる。次いで、二重暗号に隣接するプライマーによるPCRを用いて、例えば次のような、98℃で30秒間;98℃で10秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間を5〜39サイクル;72℃で5分間;次いで4℃で保管というPCRプロトコルを用いて、精製アンプリコンに第二の増幅段階を実施する。Illuminaブリッジシーケンシングには、アダプター領域内に位置し、AS(または場合によってはAS配列の一部)、固有の暗号および標的ゲノム挿入物の上流(および多重シーケンシングが望まれる場合、インデックス配列が存在すればその上流)にある配列とアニールするセンス鎖およびアンチセンス鎖プライマーを用いて増幅を実施する。上記ライブラリーのシーケンシングは、例えば、Illumina(登録商標)Genome Analyzer IIシーケンシング機器を製造業者が指定する通りに用いて実施する。
固有の暗号タグを用いてシーケンシングデータにコンピュータによるデコンボリューションを実施し、全配列リードを単一分子にマップする(すなわち、PCRおよびシーケンシングのエラーと真の変異とを区別する)。ベースコーリングおよび配列比較を、例えばElandパイプライン(Illumina、San Diego、CA)を用いて実施する。作成されたデータから、単一ヌクレオチドの分解能により前例のない感度で腫瘍不均一性および薬物耐性変異の同定が可能となる。
実施例2
mtDNAライブラリーのローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシング
ミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異は診断および治療が困難な多種多様な疾患を引き起こす。ヒト細胞のそれぞれが何百から何千ものミトコンドリアゲノムを有し、疾患に関連するmtDNAの変異は本来、ホモプラスミーである、すなわち、組織内の優勢なミトコンドリア中に同一の変異が存在する(TaylorおよびTurnbull,Nat.Rev.Genet.6:389,2005;Chatterjeeら,Oncogene 25:4663,2006)。疾患発生におけるmtDNA変異蓄積の正確な機序は依然として把握し難いが、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌および肺癌にホモプラスミー変異が多数報告されている(Copelandら,Cancer Invest.20:551,2002;Brandonら,Oncogene 25:4647,2006)。したがって、ミトコンドリアゲノムには、既に記載されている他の疾患バイオマーカーよりも特異性の高い疾患バイオマーカーとしての優れた可能性が秘められており、それにより治療転帰の改善が可能となり全生存率が増大し得る。
mtDNAライブラリーのローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシング
ミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異は診断および治療が困難な多種多様な疾患を引き起こす。ヒト細胞のそれぞれが何百から何千ものミトコンドリアゲノムを有し、疾患に関連するmtDNAの変異は本来、ホモプラスミーである、すなわち、組織内の優勢なミトコンドリア中に同一の変異が存在する(TaylorおよびTurnbull,Nat.Rev.Genet.6:389,2005;Chatterjeeら,Oncogene 25:4663,2006)。疾患発生におけるmtDNA変異蓄積の正確な機序は依然として把握し難いが、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌および肺癌にホモプラスミー変異が多数報告されている(Copelandら,Cancer Invest.20:551,2002;Brandonら,Oncogene 25:4647,2006)。したがって、ミトコンドリアゲノムには、既に記載されている他の疾患バイオマーカーよりも特異性の高い疾患バイオマーカーとしての優れた可能性が秘められており、それにより治療転帰の改善が可能となり全生存率が増大し得る。
本開示のローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシング法を利用して循環腫瘍細胞(CTC)を定量化することが可能であり、循環腫瘍mtDNA(ctmtDNA)を癌の診断および病期分類、治療法に対する反応の評価ならびに術後の進行および再発の評価に用いることが可能である。最初に同じ患者の前立腺癌および末梢血細胞から単離したmtDNAをシーケンシングして、体細胞のホモプラスミーmtDNA変異を同定する。このmtDNAバイオマーカーをグリーソンスコア、臨床病期、再発、治療反応および進行に関する基本的な臨床的有意性の可能性を統計的に評価する。
個人の腫瘍から特定のホモプラスミー変異を同定した後、患者にマッチする血液標本を血漿およびバフィーコート中に同一の変異が存在するかどうかについて検査して、ctmtDNAおよびCTCの頻度を慎重に決定する。これを本開示のローリングサークル増幅および二重暗号シーケンシング技術を用いて、および実施例1に記載される通りに実施して、複数のmtDNA変異を同時に高感度でモニターする。様々な血清中PSA値およびグリーソンスコアの患者由来の末梢血におけるCTCの分布を求める。
実施例3
ローリングサークル増幅による二重暗号ライブラリー分子の標的化濃縮
高悪性度漿液性卵巣癌(HGSC)には多くの場合、体細胞TP53変異がみられる(Cancer Genome Atlas Research Network,Nature 474:609,2011)。p53の喪失があると好ましくない転帰となる(Kobelら,2010,J.Pathol.222:191−198)。したがって、HGSCのTP53変異の頻度および臨床的価値により、TP53はHGSCの早期検出および疾患モニタリングの有望なバイオマーカーとなる。本開示の濃縮法を用いて、卵巣癌細胞系に由来する、癌で高頻度に変異がみられる領域のTP53エキソン4を濃縮した。
ローリングサークル増幅による二重暗号ライブラリー分子の標的化濃縮
高悪性度漿液性卵巣癌(HGSC)には多くの場合、体細胞TP53変異がみられる(Cancer Genome Atlas Research Network,Nature 474:609,2011)。p53の喪失があると好ましくない転帰となる(Kobelら,2010,J.Pathol.222:191−198)。したがって、HGSCのTP53変異の頻度および臨床的価値により、TP53はHGSCの早期検出および疾患モニタリングの有望なバイオマーカーとなる。本開示の濃縮法を用いて、卵巣癌細胞系に由来する、癌で高頻度に変異がみられる領域のTP53エキソン4を濃縮した。
10%ウシ胎仔血清、1.5mM/Lグルタミン、2200mg/L炭酸水素ナトリウムおよびペニシリン/ストレプトマイシンを添加したマッコイ5a培地でCaOV(ヒト卵巣癌細胞系)細胞を増殖させた。CaOV細胞を回収し、DNeasy Blood and Tissue Kit(Qiagen)を用いてDNAを抽出した。長さが平均150bpのDNAフラグメントにランダムに剪断したCaOVの全ゲノムDNAを含む標的ゲノムライブラリーを作製した。T4 DNAポリメラーゼを用いてオーバーハング末端を有するDNAフラグメントを修復し(すなわち、平滑末端化し)、平滑末端化したDNAの5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Quick Blunting Kit I、New England Biolabs)でリン酸化した後、精製した。末端を修復したDNAフラグメントを二重暗号ベクターのライブラリーのSmaI部位に平滑末端連結した。このベクター挿入部位は、それぞれがランダムな7ヌクレオチドバーコードを含む固有の二本鎖暗号に隣接している。ベクターライブラリーの増幅を可能にするため、ほかにも5’暗号の5’側および3’暗号の3’側に位置するライブラリープライミング配列を含めた。二本鎖核酸分子を二重暗号で固有にタグ付けすることにより、各核酸分子を個別に識別することが可能であり、単一の核酸分子の一方の鎖から得られた配列データと、その同じ二本鎖核酸分子の相補鎖から得られた配列データとを特異的に関連付けることが可能である。二重暗号ベクターおよびCypherSEQライブラリーを構築する方法は国際出願PCT/US2013/026505号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
簡潔に述べると、Φ29ポリメラーゼおよびp53エキソン4に特異的な5’ビオチン化したホスホチオアート修飾プライマーを用いて、このライブラリーにローリングサークル増幅(RCA)を実施した。磁性ストレプトアビジンビーズにより各反応体積の一部を精製した。p53エキソン4の63bp領域に特異的なプライマーおよび標的外対照としてRNアーゼPに特異的な別のプライマーセットを用いたSYBR Greenベースの定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)により、鋳型を使用しない対照、プライマーを使用しない対照およびポリメラーゼを使用しない対照を含めたRCA反応を測定した。さらに、p53エキソン4のRCAプライマーと同じ塩基と結合するp53エキソン4順方向プライマーと、順方向CypherSEQライブラリープライマーまたは逆方向CypherSEQライブラリープライマーのいずれかとを対にして、増幅されたp53エキソン4逆方向プライマー結合部位を含まないp53エキソン4分子を測定した。
既に記載した通りに、CaOV卵巣癌細胞由来のゲノムDNAを約150bpにランダムに剪断しCypherSEQライブラリー構築物に統合した。p53のエキソン4内の目的とする領域を含む分子を濃縮するため、大量並列シーケンシングの前にライブラリーに標的特異的プライマーによるローリングサークル増幅(RCA)を実施した。磁性ストレプトアビジンビーズによる下流精製のため、5’−ビオチン修飾を含むようRCAプライマーを改変した。さらに、このオリゴヌクレオチドに対してプライマーの3個の3’塩基の間にある2つのヌクレオチド間結合にホスホチオアート修飾を加えた。このホスホチオアート修飾はΦ29ポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性に耐性であり、プライマー分解を防ぎ、ローリングサークル増幅を最大で106倍向上させる。最初に500pg/μLのCaOV CypherSEQライブラリーDNAと、5μMのp53エキソン4 RCAプライマー(5’−ビオチン−CTGCCCTCAACAAGATGTTT−3’(配列番号2))とを変性緩衝液(40mM NaCl、1mM EDTAおよび4mMトリス−HCl pH7.8)中で混合した。DNAを含まない混合およびRCAプライマーを含まない混合を対照として含めた。上記混合物1μL、1×Φ29ポリメラーゼ緩衝液(New England Biolabs)、Φ29ポリメラーゼ(New England Biolabs)10単位、500nMの各dNTPおよびBSA 4ngを用いて20μLのRCA反応を実施した。このほか、ポリメラーゼを含まない対照を含めた。RCA反応物を37℃で5日間インキュベートした。Dynabeads(登録商標)kilobaseBINDER(商標)Kit(Life Technologies)を業者の推奨プロトコルの通りに用いて、各反応物の一部に磁性ストレプトアビジンビーズによる精製を実施した。
次いで、実施例1または国際出願PCT/US2013/026505号に記載される通りに、p53エキソン4を含むローリングサークル増幅産物を次世代シーケンシングプラットフォーム(例えば、Illumina(登録商標)Genome Analyzer II)用に調製する。野生型TP53エキソン4配列と実際のシーケンシングの結果とを比較して変異の多様性を検出する。
実施例4
定量的PCRによるローリングサークル増幅の測定
p53エキソン4を標的とするプライマー(順方向:5’−CTGCCCTCAACAAGATGTTT−3’(配列番号3)、逆方向:5’−AATCAACCCACAGCTGCAC−3’(配列番号4))または標的外ゲノム対照としてRPP30(順方向:5’−AGATTTGGACCTGCGAGC−3’(配列番号5)、逆方向:5’−GAGCGGCTGTCTCCACAAGT−3’(配列番号6))を用いた定量的PCRにより、RCA反応の効果および特異性を測定した。ライブラリー構築前のランダムな剪断により、RCAにより増幅されたライブラリー分子からp53エキソン4逆方向プライマーの結合部位が排除される可能性が高くなる。このことが起こる頻度を調べるため、p53エキソン4順方向プライマーおよびCypherSEQ構築物の挿入部位に隣接する2つの「ライブラリー」プライマー(順方向:5’−AATGATACGGCGACCACCGA−3’(配列番号7)、逆方向:5’−CAAGCAGAAGACGGCATACGA−3’(配列番号8))のうちの一方を入れたウェルを含めて、p53エキソン4 RCAプライマーにより増幅されたあらゆるRCA産物を測定した。1×GoTaq HotStart Master Mix(Promega)、1:50,000希釈のSYBR Green I(Lonza)、500nMの各プライマーおよびしかるべき希釈の各RCA反応物を含む25μLの反応体積をqPCRウェルに入れた。CFX96 Real−Time PCR Detection System(Bio−rad)で次のような条件:95℃で10分間ならびに95℃で30秒間、61℃で60秒間および72℃で90秒間を45サイクル、次いで72℃で5分間を用いて、反応体積にサーマルサイクルを実施した。CFX Managerソフトウェア(Bio−rad)で比較的C(t)法を用いて定量化を実施した。
定量的PCRによるローリングサークル増幅の測定
p53エキソン4を標的とするプライマー(順方向:5’−CTGCCCTCAACAAGATGTTT−3’(配列番号3)、逆方向:5’−AATCAACCCACAGCTGCAC−3’(配列番号4))または標的外ゲノム対照としてRPP30(順方向:5’−AGATTTGGACCTGCGAGC−3’(配列番号5)、逆方向:5’−GAGCGGCTGTCTCCACAAGT−3’(配列番号6))を用いた定量的PCRにより、RCA反応の効果および特異性を測定した。ライブラリー構築前のランダムな剪断により、RCAにより増幅されたライブラリー分子からp53エキソン4逆方向プライマーの結合部位が排除される可能性が高くなる。このことが起こる頻度を調べるため、p53エキソン4順方向プライマーおよびCypherSEQ構築物の挿入部位に隣接する2つの「ライブラリー」プライマー(順方向:5’−AATGATACGGCGACCACCGA−3’(配列番号7)、逆方向:5’−CAAGCAGAAGACGGCATACGA−3’(配列番号8))のうちの一方を入れたウェルを含めて、p53エキソン4 RCAプライマーにより増幅されたあらゆるRCA産物を測定した。1×GoTaq HotStart Master Mix(Promega)、1:50,000希釈のSYBR Green I(Lonza)、500nMの各プライマーおよびしかるべき希釈の各RCA反応物を含む25μLの反応体積をqPCRウェルに入れた。CFX96 Real−Time PCR Detection System(Bio−rad)で次のような条件:95℃で10分間ならびに95℃で30秒間、61℃で60秒間および72℃で90秒間を45サイクル、次いで72℃で5分間を用いて、反応体積にサーマルサイクルを実施した。CFX Managerソフトウェア(Bio−rad)で比較的C(t)法を用いて定量化を実施した。
結果から、完全なp53エキソン4の63bp領域が約105倍増幅または濃縮され、ストレプトアビジンビーズ精製後では104倍効果的に増幅されたことがわかる(図2、ハッチングが施されたバー)。比較上、p53エキソン4順方向プライマーとCypherSEQライブラリー順方向/逆方向プライマーとの対を用いたqPCRでは、ビーズ精製前およびビーズ精製後にそれぞれ約108倍および107倍の増幅がみられた(図2、灰色および黒色のバー)。RNアーゼP標的外対照のわずか1〜2コピーがRCA後に検出可能であり、これらはビーズビーズ精製によって排除された(図2、白色のバー)。
本明細書に記載される様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。本明細書で言及されるおよび/または出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。必要に応じて、実施形態の態様を修正し、様々な特許、出願および刊行物の概念を用いて、またさらなる実施形態を形成することができる。
上で詳述した説明を踏まえて、これらのおよびその他の改変を実施形態に施すことができる。以下の特許請求の範囲では一般に、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するものであると解釈するのではなく、このような特許請求の範囲が享有する均等物の全範囲とともに可能なあらゆる実施形態を包含するものであると解釈するべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって制限されるものではない。
Claims (47)
- 標的核酸分子の変異を検出する方法であって、
(a)第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマーによるバーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーのローリングサークル増幅を含み、
前記バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーが、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、
二本鎖核酸分子がそれぞれ前記ベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する前記5’暗号と前記3’暗号とが異なり、
ローリングサークル増幅により、前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じる、
第一の増幅段階と、
(b)段階a)で生じた縦列核酸分子の各鎖上の前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーならびに隣接する5’暗号および3’暗号の増幅を含む、第二の増幅段階と、
(c)段階b)で生じた前記第一の標的核酸分子またはその一部をシーケンシングすることによって、第一の標的核酸分子の参照配列と比較した前記第一の標的核酸分子の変異を検出することと
を含む、方法。 - 前記複数の二本鎖核酸分子がゲノムDNAまたはミトコンドリアDNAである、請求項1に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子がヒトである、請求項1に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子を腫瘍試料、血液試料または生検試料から入手する、請求項1に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子が、約15〜約3,000塩基対の範囲の長さを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記暗号が、約5ヌクレオチド〜約50ヌクレオチドの範囲の長さを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記暗号が、約5ヌクレオチド〜約10ヌクレオチドの範囲の長さまたは約5ヌクレオチド〜約8ヌクレオチドの範囲の長さを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記暗号が核酸分子プライミング部位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記暗号が少なくとも1つのアダプター配列をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の標的核酸分子に特異的な前記第一のセンスプライマーまたは前記第一のアンチセンスプライマーが、前記暗号またはその一部に特異的なヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の増幅段階が、前記第一の標的核酸分子に特異的な第二のセンスプライマーおよび第二のアンチセンスプライマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の増幅段階が、前記第一の標的核酸分子に特異的な複数のセンスプライマーおよび複数のアンチセンスプライマーをさらに含む、請求項7に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、
段階a)が、第二の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーおよび第一のアンチセンスプライマーによる前記二本鎖環状鋳型分子のローリングサークル増幅によって増幅することをさらに含み、ローリングサークル増幅により、第二の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じ、
段階b)が、段階a)で生じた縦列核酸分子の各鎖上にある前記第二の標的核酸分子またはその一部ならびに隣接する5’暗号および3’暗号を増幅することをさらに含み、
段階c)が、段階b)で生じた前記第二の標的核酸分子またはその一部をシーケンシングすることによって、第二の標的核酸分子の参照配列と比較した前記標的核酸分子の変異を検出することをさらに含む、
方法。 - 前記第一の増幅段階が、前記第二の標的核酸分子に特異的な第二のセンスプライマーおよび第二のアンチセンスプライマーをさらに含む、請求項13に記載の方法。
- 複数の異なる標的核酸分子に特異的な複数のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーによる増幅を含む、請求項1に記載の方法。
- 複数の異なる標的核酸分子が、約2〜約100の異なる標的核酸分子である、請求項15に記載の方法。
- 段階a)で生じた前記第一の標的核酸分子またはその一部を前記プライミング部位または前記アダプター配列に特異的なプライマーにより増幅する、請求項8または9に記載の方法。
- 前記シーケンシングが、合成によるシーケンシング、パイロシーケンシング、可逆的ダイターミネーターシーケンシング、ポロニーシーケンシングまたは単一分子シーケンシングである、請求項1に記載の方法。
- 前記シーケンシング段階が、縦列核酸分子の一方の鎖に由来する各第一の標的核酸分子またはその一部の配列を互いに配列比較することと、縦列核酸分子の相補鎖の各第一の標的核酸分子またはその一部の配列と配列比較することとをさらに含み、
配列比較される前記縦列核酸分子の各鎖の各第一の標的核酸分子またはその一部の配列が、マッチする5’暗号および3’暗号を有し、
前記配列比較により、測定可能なシーケンシングエラー率が10−6に等しいか少なくとも10−6より低いコンセンサス配列が得られる、請求項1に記載の方法。 - 前記第一の標的核酸分子がp53である、請求項1に記載の方法。
- 前記複数の異なる標的核酸分子が癌抑制遺伝子または発癌遺伝子を含む、請求項15に記載の方法。
- 前記第一の標的核酸分子に特異的な前記第一のセンスプライマーおよび前記第一のアンチセンスプライマーが、それぞれタグ分子をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記タグ分子がビオチンである、請求項22に記載の方法。
- 段階a)の後かつ段階b)の前に、ストレプトアビジンまたはアビジンによる前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖の選択をさらに含む、請求項22に記載の方法。
- ストレタビジン(stretavidin)またはアビジンによる選択後に、前記二本鎖環状バーコード鋳型分子のライブラリーに再び実施し得る、請求項24に記載の方法。
- 標的核酸分子を濃縮する方法であって、
(a)第一の標的核酸分子に特異的な第一のセンスプライマーまたはアンチセンスプライマーによるバーコード付加二本鎖環状鋳型分子ライブラリーのローリングサークル増幅を含み、
前記バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーが、複数の二本鎖核酸分子を含むベクターを含み、
二本鎖核酸分子がそれぞれ前記ベクター内で5’暗号および3’暗号と隣接し、各二本鎖核酸分子に対する5’暗号と前記3’暗号とが異なり、
ローリングサークル増幅により、前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖が生じることによって、前記標的核酸分子が濃縮される
第一の増幅段階を含む、方法。 - 前記第一のプライマーがエキソヌクレアーゼ耐性プライマーである、請求項26に記載の方法。
- 前記第一のプライマーが、その3’末端に少なくとも1つのホスホチオアート修飾されたサブユニット間結合をさらに含む、請求項27に記載の方法。
- 前記暗号が、約5ヌクレオチド〜約10ヌクレオチドの範囲の長さを含む、請求項26に記載の方法。
- 前記暗号がさらに核酸分子プライミング部位を含む、請求項26に記載の方法。
- 前記暗号が少なくとも1つのアダプター配列をさらに含む、請求項26に記載の方法。
- 前記第一のプライマーがタグ分子をさらに含む、請求項26に記載の方法。
- 前記タグ分子がビオチンである、請求項32に記載の方法。
- 前記ローリングサークル増幅段階後に精製段階をさらに含み、前記精製段階で、前記タグ分子により前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の鎖を単離する、請求項32または33に記載の方法。
- 前記精製段階後、第二の標的核酸分子を濃縮する方法に前記バーコード付加二本鎖環状鋳型分子のライブラリーを再利用する、請求項34に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子がゲノムDNAである、請求項26に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子がヒトである、請求項26に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子を腫瘍試料、血液試料または生検試料から入手する、請求項26に記載の方法。
- 前記複数の二本鎖核酸分子が、約100〜約3,000塩基の範囲の長さを含む、請求項26に記載の方法。
- 標的核酸分子が発癌遺伝子、癌抑制遺伝子またはそのフラグメントを含む、請求項26に記載の方法。
- 前記癌抑制遺伝子がTP53である、請求項40に記載の方法。
- 前記標的核酸分子が、少なくとも102倍、103倍、104倍、105倍、106倍、107倍、108倍または109倍濃縮される、請求項26に記載の方法。
- 段階(a)が、第一の標的核酸分子に特異的な第二のプライマーをさらに含み、ローリングサークル増幅により、前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの鎖が生じる、請求項26に記載の方法。
- 前記第二のプライマーが、前記第一のセンスプライマーまたはアンチセンスプライマーに対してそれぞれアンチセンスまたはセンスであり、ローリングサークル増幅により、前記第一の標的核酸分子またはその一部のコピーを複数含む縦列核酸分子の2つの相補的な鎖が生じる、請求項43に記載の方法。
- 段階(a)が、第一の標的核酸分子に特異的な3つ以上のプライマーをさらに含む、請求項26に記載の方法。
- 複数の異なる標的核酸分子に特異的な複数のプライマーによる増幅をさらに含む、請求項26に記載の方法。
- (b)段階(a)で生じた縦列核酸分子の各鎖上にある前記第一の標的核酸分子またはその一部ならびに隣接する5’暗号および3’暗号の増幅を含む、第二の増幅段階と、
(c)段階(b)で生じた前記第一の標的核酸分子またはその一部のシーケンシングと
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
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