JP2012505655A - 無細胞体液中のnpm1核酸の検出 - Google Patents

無細胞体液中のnpm1核酸の検出 Download PDF

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Abstract

本発明は、無細胞体液試料中のNPM1核酸を検出し、その核酸が挿入および欠失を含む1つまたは複数の変異を含有するかどうかを決定する方法に関する。本方法は、NPM1遺伝子中に変異を有する細胞を有するAML患者の予後を予測するのに有用である。

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、2008年10月17日に出願された米国特許出願第61/106,532号、2008年11月3日に出願された米国特許出願第61/110,941号、および2008年12月16日に出願された米国特許出願第12/336,475号に基づく優先権を請求するものであり、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
技術分野
開示される発明は、癌の診断および治療を含む腫瘍学の分野に関する。
本発明の背景技術に関する以下の考察は、読み手が本発明を理解するのを支援するために提供されているに過ぎず、本発明に対する従来技術を記述またはそれを構成すると認めるものではない。
ヌクレオフォスミンは、B23、ヌマトリン(numatrin)、およびNO38としても知られており、核と細胞質との間を絶え間なく行き来する遍在的発現性の核小体リンタンパク質である。ヌクレオフォスミンの機能には、核酸の結合、中心体複製およびリボソーム機能の制御、ならびにARF−p53腫瘍抑制因子経路の制御が含まれる。
ヌクレオフォスミンをコードする遺伝子は、NPM1である。NPM1遺伝子は、染色体5q35に位置している。染色体相互転座によるNPM1の分断は、いくつかの血液リンパ球悪性疾患(hematolymphoid malignancy)に関与する(Faliniら、Hematologica.2007年;92巻(4号):519〜532頁)。これら転座は、ヌクレオフォスミンのN末端を保持する種々の融合タンパク質の形成に帰着し、未分化大細胞リンパ腫のNPM−未分化大細胞リンパ腫キナーゼ(NPM−ALK)(Morrisら、Science.1994年;263巻:1281〜1284頁)、急性前骨髄球白血病のNPM−レチノイン酸受容体α(NPM−RARα)(Rednerら、Blood.1996年;87巻:882〜88頁)、およびAML/骨髄異形成症候群のNPM−骨髄異形成症/骨髄性白血病第1因子(NPM−MLFl)(Yoneda−Katoら、Oncogene.1996年;12巻:265〜275頁)を含む新生物状態と関連づけられてきた。
NPM1遺伝子のヘテロ接合変異は、急性骨髄白血病(AML)を有する成人患者のおよそ35%、ならびに小児の6.5%で同定されている(Faliniら、N.Engl.J.Med.2005年;352巻:254〜266頁;Cazzanigaら、Blood.2005年;106巻:1419〜1422頁)。現在までNPM1変異の多数の分子変異体が、AML患者で記述されており、その大多数がエキソン12の中にある(Faliniら、Blood.2007年;109巻:874〜85号)。AMLで同定されているNPM1変異の多くは、単純なテトラヌクレオチド1個または2個の挿入、9bp挿入と組み合わされた4塩基対(bp)もしくは5bp欠失、または14bp挿入と組み合わされた9bp欠失を特徴とする(Faliniら、Blood.2007年:109巻:874〜85頁;Chenら、Arch.Pathol.Lab Med.2006年;130巻:1687〜1692頁)。NPM1遺伝子のエキソン12の変異は、フレームシフトを起こすことが多く、細胞質中に保持される長いタンパク質を産生する。
NPM1変異は、高レベルの骨髄芽細胞、高い白血球(WBC)数および血小板数、ならびにfms関連チロシンキナーゼ3の遺伝子内縦列重複(FLT3−ITD)と関連している(Thiedeら、Blood.2006年;107巻:4011〜4020頁)。FLT3変異を有していないNPM1変異を表す患者は、この研究では、有意に良好な全体的な無病の生存率を示した(Thiedeら、Blood.2006年;107巻:4011〜4020頁)。NPM1変異は、正常な核型を有するAMLにおいて一般的である(Schnittgerら、Blood.2005年;106巻:3733〜3739頁)。種々の研究によると、正常核型を有するAMLの患者群内では、NPM1変異AMLの患者は、野生型NPM1 AMLの患者の完全寛解率と類似しているかまたはそれより有意に高い完全寛解率を有したことが示されている(Boisselら、Blood.2005年;106巻:3618〜3620頁;Faliniら、N.Engl.J.Med.2005年;352巻:254〜266頁;Suzukiら、Blood.2005年;106巻:2854〜2861頁;Dohnerら、Blood.2005年;106巻:3740〜6頁)。
本発明は、無細胞体液中のNPM1核酸を検出する方法を提供する。ある種の態様では、本発明は、NPM1核酸が、1つまたは複数の変異を含むかどうかを決定することを含む。本発明は、NPM1遺伝子変異(複数可)の有無を決定することに基づいて、AMLを有すると診断された個体の診断または予後を決定する方法も提供する。
1つの態様では、本発明は、ある個体の無細胞体液中のNPM1核酸の有無を検出する方法を提供する。個体は、悪性疾患(例えば、AMLまたはMDS)を有すると診断されていてもよく、またはその発症が疑われていてもよい。
別の態様では、本発明は、血液障害(例えば、AMLまたはMDS)と診断された個体の予後を決定する方法であって、該個体の無細胞体液から取得されたNPM1核酸中の1つまたは複数の変異の有無を決定するステップと、前記個体の予後を示すステップであり、該NPM1遺伝子中に1つまたは複数の変異が存在することが、AMLと診断されたが1つまたは複数の変異をもたない個体と比べて、該個体のより良好な予後を示すステップとを含む方法を提供する。好適な無細胞体液には、例えば、血清および血漿が含まれる。単離および/または評価される好適なNPM1核酸には、例えば、ゲノムDNAおよびRNA(例えば、mRNA)が含まれる。
好ましい実施形態では、NPM1変異は、配列番号1のNPM1配列と比べて決定される。幾つかの実施形態では、評価されるNPM1変異の1つまたは複数は、図2Aまたは2Bの変異から選択される。他の実施形態では、NPM1変異は、例えば、配列番号1の1018位に対応するヌクレオチド後の挿入を含む挿入変異である。他の実施形態では、挿入は、CTCTまたはCTCG挿入である。挿入変異を含むNPM1変異の存在は、予後の向上(つまり、血液疾患と診断されNPM1変異をもたない個体よりも良好な予後)と関連する。好ましい実施形態では、予後の向上は、血液障害を有すると診断されNPM1変異をもたない個体と比べた、寛解率の向上または全生存率の向上である。
他の実施形態では、無細胞体液から得られた核酸は、FLT3遺伝子中の1つまたは複数の変異の有無について、さらに評価される。幾つかの実施形態では、FLT3遺伝子変異は、遺伝子内縦列反復の重複である。1つの解釈に基づくと、FLT3変異をもたず、さらにNPM1変異を含有する個体は、血液疾患をもち、NPM1変異およびFLT3変異のいずれかまたは両方を有すると診断された個体と比べて、予後の向上を示す。
他の実施形態では、本方法は、個体の細胞遺伝学的特性を決定するステップをさらに含む。1つの解釈に基づくと、中程度の細胞遺伝学的特性を有し、NPM1変異をさらに含む個体は、NPM1変異をもたず、中程度、正常、または不良な細胞遺伝学的特性を有する個体と比べて、予後の向上を示す。別の解釈に基づくと、正常な細胞遺伝学的特性を有し、NPM1変異をさらに含む個体は、正常な細胞遺伝学的特性を有し、NPM1変異をもたない個体と比べて、予後の向上を示す。
他の実施形態では、NPM1変異の有無は、NPM1核酸の少なくとも一部分のヌクレオチド配列を決定することにより評価される。別の実施形態では、NPM1変異の有無は、NPM1核酸の少なくとも一部分のサイズを決定することにより評価される。任意に、NPM1核酸を増幅してもよい。増幅は、配列番号3および/または配列番号4のオリゴヌクレオチド増幅プライマーを使用して実施することができる。任意に、個体の接合状態を決定してもよい。
別の態様では、本発明は、個体が血液疾患を有すると診断する方法であって、無細胞体液から得られたNPM1核酸中の転座の有無を決定し、NPM1核酸中の転座が検出される場合に、前記個体が血液疾患と診断することを特徴とする方法を提供する。ある種の実施形態では、血液疾患は、未分化大細胞リンパ腫、急性前骨髄球性白血病、および急性骨髄性白血病である。他の実施形態では、転座は、NPM1遺伝子と、未分化大細胞リンパ腫キナーゼ、レチノイン酸受容体α、または骨髄異形成症/骨髄性白血病第一因子遺伝子の遺伝子との間に生じる。任意に、個体は、先述の態様に記述されているように、NPM1遺伝子および/またはFLT3遺伝子中の1つまたは複数の変異について評価してもよい。
「試料」または「患者試料」という用語は、本明細書で使用される場合、組織および体液などの生体試料を含む。「体液」には、これらに限定されないが、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、胸膜液、涙、乳管液(lactal duct fluid)、リンパ、痰、尿、羊水、および精液が含まれていてもよい。試料は、「無細胞」である体液を含んでいてもよい。「無細胞体液」は、約1%(重量/重量)未満の全細胞物質を含んでいる。血漿または血清は、無細胞体液の例である。試料は、天然または合成由来(つまり、無細胞となるよう調製された細胞試料)の標本を含んでいてもよい。
本明細書中で使用される場合、「血漿」は、血液中に見出される無細胞液体を指す。「血漿」は、当技術分野で公知の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により、血液から全細胞物質を除去することにより、血液から得ることができる。本明細書で使用される場合、「末梢血血漿」は、末梢血試料から得られた血漿を指す。
「血清」は、本明細書中で使用される場合、血漿または血液を凝固させ、凝固画分を除去した後に得られる血漿の画分を含む。
「核酸」という用語は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および類似体を任意の組合せで含有する、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含むことが意図されている。核酸は三次元構造を有していてもよく、既知または未知の任意の機能を果たしてもよい。核酸という用語には、二本鎖、一本鎖、部分的二本鎖、ヘアピン、および三重らせん分子が含まれる。別様の指示がない限りまたは要求されていない限り、核酸である本明細書に記述されている本発明の任意の実施形態は、二本鎖形態と、DNA、RNA、またはハイブリッド分子のいずれかの二本鎖形態を形成することが知られているかまたは予測される2つの相補的形態の各々とを両方とも包含する。核酸は、増幅されてもよく、組換えでもよく、または天然供給源から直接単離されてもよい。核酸は、増幅された核酸(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して)を含んでいてもよい。核酸の特定の例には、遺伝子または遺伝子断片、ゲノムDNA、mRNA、tRNA、およびrRNAを含むRNA、リボザイム、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ならびにベクターが含まれる。核酸は、天然のものであってもよく、または合成であってもよい。
「ゲノムの核酸」という用語は、本明細書で使用される場合、その生物の細胞の種々のタンパク質をコードする遺伝子を含有する生物の細胞染色体(複数可)に存在する細胞の核酸を指す。好ましいタイプのゲノム核酸は、真核生物細胞の核に存在するタイプである。好ましい実施形態では、ゲノム核酸はDNAである。ゲノムの核酸は、二本鎖もしくは一本鎖の、または部分的に二本鎖の、または部分的に一本鎖の、またはヘアピン状の分子であってもよい。ゲノム核酸は、完全であってもよく、または断片化されていてもよい(例えば、制限エンドヌクレアーゼによる消化、または超音波処理により、または当技術分野で公知の方法による剪断力の適用により)。ある場合には、ゲノム核酸は、単一の遺伝子または複数の遺伝子のすべてまたは部分に由来する配列、1つまたは複数の染色体に由来する配列、または細胞の全染色体に由来する配列を含んでいてもよい。周知のように、ゲノム核酸には、遺伝子コード領域、イントロン、5’および3’非翻訳領域、5’および3’隣接DNA、ならびにテロメアおよびセントロメアDNA、複製起点、および遺伝子間DNAなどの構造セグメントが含まれる。ゲノム核酸とは、ゲノムの全核酸であり、「全ゲノム核酸」と呼ばれる。
当技術分野で周知のように、ゲノム核酸は、無細胞体液から抽出/精製する方法により得ることができる。ゲノム核酸の最終的な供給源は、正常細胞であってもよく、またはゲノムの核酸中に1つまたは複数の変異、例えば、重複、欠失、転座、および塩基転換を含有する細胞であってもよい。ゲノム核酸の意味には、ゲノム核酸中の他の核酸配列と比較して、検出が求められている目的の標的配列の量を増加させる増幅ステップに供されたゲノム核酸が含まれる。
本明細書で使用される場合、「cDNA」という用語は、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性(例えば、逆転写酵素)の作用によりRNAテンプレートから産生される相補的または複製ポリヌクレオチドを指す。cDNAは、一本鎖、二本鎖、または部分的に二本鎖であってもよい。cDNAは、非天然ヌクレオチドを含有していてもよい。cDNAは、合成後に修飾することができる。cDNAは、検出可能な標識を含んでいてもよい。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、自然には結合している細胞高分子から実質的に分離されている分子を指す。ある分子が、自然には結合している細胞高分子の少なくとも25%、50%、75%、90%、95%、または99%を組成物中で占める場合に、その分子は単離されているという。
「遺伝子」は、RNAの産生に必要な制御配列およびコード配列を含むDNA配列を指し、これは非コード機能を有していてもよく(例えば、リボソームまたはトランスファーRNA)、またはポリペプチドもしくはポリペプチド先駆体を含んでいてもよい。RNAまたはポリペプチドは、全長コード配列によりコードされてもよく、または所望の活性または機能が保持される限り、コード配列の任意の部分によりコードされてもよい。
「野生型」という用語は、天然に存在する供給源から単離された場合、その遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、ある集団中で最も頻繁に観察される遺伝子であり、したがって任意に「正常」形態または「野生型」形態と呼ばれる。「野生型」は、特定のヌクレオチド位置(複数可)の配列、特定のコドン位置(複数可)の配列、または特定のアミノ酸位置(複数可)の配列を表していてもよい。本明細書で使用される場合、「変異体」、「改変された」、または「多形性」は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較して、配列または機能的特性の改変(つまり、特徴の変更)を示す遺伝子または遺伝子産物を指す。「変異体」、「改変された」、または「多形性」は、特定のヌクレオチド位置(複数可)の配列、特定のコドン位置(複数可)の配列、または特定のアミノ酸位置(複数可)の配列も指す。
「変異」は、正常な配列と比較して、ヌクレオチド配列における少なくとも1つのヌクレオチド変異を包含することを意味する。変異は、置換、欠失、逆位、または挿入を含んでいてもよい。コードされたポリペプチドに関して、変異は、「サイレント」であって、コードされたポリペプチド配列に変化をもたらさないものであってもよく、または変異は、コードされたポリペプチド配列に変化をもたらすしてもよい。例えば、変異は、コードされたポリペプチド配列に置換をもたらしてもよい。変異は、コードされたポリペプチド配列に関して、フレームシフトをもたらしてもよい。
「相同性」または「相同的」という用語は、同一性の度合いを指す。部分的な相同性または完全な相同性があってもよい。部分的に相同的な配列とは、別の配列と比較して、100%未満の配列同一性を有するものである。
「ヘテロ接合性」は、相同染色体セグメントの1つまたは複数の遺伝子座に、異なる対立遺伝子を有することを指す。本明細書で使用される場合、「ヘテロ接合性」は、1つまたは複数の遺伝子座にある異なる対立遺伝子が検出される可能性のある試料、細胞、細胞集団、または生物を指すことができる。ヘテロ接合性試料は、例えば核酸塩基配列決定などの当技術分野で公知の方法により決定することができる。例えば、塩基配列決定用電気泳動図が、単一の遺伝子座に2つのピークを示し、両ピークがほぼ同じサイズである場合、その試料は、ヘテロ接合性であると特徴付けることができる。または、1つのピークが、もう1つのピークより小さいが、より大きなピークのサイズの少なくとも約25%である場合、その試料は、ヘテロ接合性であると特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、より小さなピークは、より大きなピークの少なくとも約15%である。幾つかの実施形態では、より小さなピークは、より大きなピークの少なくとも約10%である。幾つかの実施形態では、より小さなピークは、より大きなピークの少なくとも約5%である。他の実施形態では、最小量のより小さなピークが検出される。
本明細書中で使用される場合、「核酸」または「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、またはポリヌクレオチド、およびその断片または部分を指し、それらは一本鎖または二本鎖であってもよく、センス鎖またはアンチセンス鎖であってもよい。核酸は、DNAまたはRNAを含んでいてもよく、天然または合成由来であってもよく、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはヌクレオチド類似体を任意の組合せで含有していてもよい。
ポリヌクレオチドの非限定的な例には、遺伝子または遺伝子断片、ゲノムDNA、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、合成核酸、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。ポリヌクレオチドは、天然のものであってもよく、または合成であってもよい。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチド、ウラシル基、フルオロリボースおよびチオラートなどの他の糖および連結基、ならびにヌクレオチド分岐を含んでいてもよい。核酸は、結合などにより標識成分で修飾されていてもよい。この定義に含まれる他のタイプの修飾は、キャップ構造、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数を類似体で置換すること、およびタンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチド、または固体支持体などの他の分子にポリヌクレオチドを結合させるための化学物質の導入である。核酸は、増幅された核酸(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して)を含んでいてもよい。
核酸の断片は、一般的に、少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、200、300、400、500、または1000個以上のヌクレオチドを含有する。より大きな断片は可能であり、約2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000、7,500、または10,000塩基を含んでいてもよい。
「特異的ハイブリダイゼーション」という用語は、高度な相補性を共有する2つの核酸配列間のハイブリダイゼーション相互作用を指し、このハイブリダイゼーションは、目的の核酸と他の関連核酸との間のハイブリダイゼーションを排除する。特異的ハイブリダイゼーション複合体は、許容的アニーリング条件下で形成され、その後の任意の洗浄ステップ後でもハイブリダイズしたままである。核酸配列のアニーリングの許容的条件は、当業者であれば日常的に決定可能であり、例えば、約6×SSCの存在下、65℃で発現し得る。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、部分的に、洗浄ステップが実施される温度を基準にして表すことができる。そのような温度は、典型的には、明確なイオン強度およびpHにおける特異的配列の熱融点(Tm)より約5℃〜20℃低く選択される。Tmは、標的配列の50%が完全一致プローブにハイブリダイズする温度である(明確なイオン強度およびpH下で)。核酸ハイブリダイゼーションのTmおよび条件を計算するための数式は、当技術分野で公知である。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも下記と同じ程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を指す:50%ホルムアミド、5×SSC、50mM NaHPO、pH6.8、0.5%SDS、0.1mg/mLの超音波処理サケ精子DNA、および5×デンハルト溶液中、終夜42℃でのハイブリダイゼーション;2×SSC、0.1%SDSによる45℃での洗浄;および0.2×SSC、0.1%SDSによる45℃での洗浄。別の例では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、20個の一連の隣接ヌクレオチドにわたって3個以上の塩基が異なる2つの核酸のハイブリダイゼーションを可能にすべきでない。
標的核酸を特異的に増幅する(つまり、特定の標的核酸配列を増幅する)か、または特異的に検出する(つまり、特定の標的核酸配列を検出する)ためのプライマーまたはプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、一般的に、標的核酸と特異的にハイブリダイズすることが可能である。
本明細書で使用される場合、増幅用の「プライマー」とは、DNAまたはRNAポリメラーゼの存在下で、プライマー伸長が開始され(例えば、PCRなどの応用に伴うプライマー伸長)、プライマーの3’末端へのヌクレオチドの付加に結び付く条件下に置かれると、合成の開始点として作用することが可能である、標的ヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドである。好ましい実施形態では、プライマーの3’−ヌクレオチドは、最適な発現および増幅のためには、対応するヌクレオチド位置の標的配列に相補的である。「プライマー」は、精製された制限酵素消化物のように天然に生じてもよく、または合成的に生成されてもよい。「プライマー」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチド核酸プライマー、ロックド核酸プライマー、ホスホロチオアート修飾プライマー、および標識プライマーなどを含む、合成し得るすべての形態のプライマーを含む。プライマーは、典型的には、長さが、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50またはそれより多いヌクレオチドである。特定のプライマー応用に最適な長さは、H.Erlich、PCR Technology, Principles and Application for DNA Amplification(1989年)に記述されている様式で、容易に決定することができる。
「プローブ」は、ハイブリダイゼーションにより標的核酸と相互作用する核酸を指す。プローブは、オリゴヌクレオチド、人工染色体、断片化人工染色体、ゲノム核酸、断片化ゲノム核酸、RNA、組換え核酸、断片化組換え核酸、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、環式ヘテロ環のオリゴマー、または核酸の結合体であってもよい。プローブは、修飾核酸塩基および修飾糖部分を含んでいてもよい。プローブは、標的核酸配列に対して完全に相補的であってもよく、または部分的に相補的であってもよい。プローブは、標的核酸の有無を検出するために使用することができる。プローブ(複数可)は、例えば、標的の配列特徴に基づいて、核酸配列における変異の有無を検出するために使用することができる。プローブは、当技術分野で周知の多数の方法のいずれかで、標識化または非標識化、または修飾することができる。プローブは、特異的に標的核酸とハイブリダイズすることができる。プローブは、典型的には、長さが、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、50またはそれより多いヌクレオチドである。好ましい実施形態では、NPM1プローブは、ヌクレオチド1018位および1019位を包含する配列番号1の領域と実質的に同一である少なくとも20個のヌクレオチドを含む核酸と特異的にハイブリダイズする。好ましくは、プローブは、野生型NPM1配列または挿入変異を含むNPM1配列のいずれかと特異的にハイブリダイズする。
本明細書で使用される場合、「検出可能な標識」という用語は、目的の標的分子を同定するために使用される分子または化合物または一群の分子(例えば、検出系)を指す。典型的には、検出可能な標識は、検出系の成分であり、標的分子と特異的に結合する別の分子に結合されている。ある場合には、検出可能な標識は、直接的に検出することができる。他の場合では、検出可能な標識は、結合対の一部であってもよく、その後それを引き続き検出することができる。検出可能な標識に由来するシグナルは、種々の手段により検出することができ、検出可能な標識の性質に依存する。検出可能な標識を検出する手段の例には、これらに限定されないが、蛍光、化学蛍光、または化学ルミネセンスなどの、分光法的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電磁気的、放射化学的、または化学的手段、または他の適切な手段が含まれる。
「標的核酸」および「標的配列」という用語は、本明細書では同義的に使用されており、同定しようとする核酸配列を指す。標的配列は、DNAまたはRNAであってもよい。「標的配列」は、ゲノム核酸であってもよい。標的配列には、野生型配列、点突然変異、欠失、または重複を含有する核酸配列、単一の遺伝子または複数の遺伝子のすべてまたは部分に由来する配列、1つまたは複数の染色体に由来する配列、または任意の他の目的配列が含まれていてもよい。標的配列は、特定の遺伝子の選択的配列または対立遺伝子であってもよい。標的配列は、二本鎖もしくは一本鎖の、または部分的に二本鎖の、または部分的に一本鎖の、またはヘアピン状の分子であってもよい。標的配列は、約1〜5塩基、約10塩基、約20塩基、約50塩基、約100塩基、または約500塩基以上であってもよい。
本明細書で使用される場合、「増幅」または、「増幅する」という用語は、標的核酸を複製し、それにより選択された核酸配列の複製数を増加させるための方法を含む。増幅は、指数関数的であってもよく、または線形であってもよい。標的核酸は、DNAまたはRNAのいずれであってもよい。このようにして増幅された配列は、「アンプリコン」または「増幅産物」を形成する。以降に記述されている例示的方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する増幅に関連するが、核酸増幅のための多数の他の方法(例えば、等温法、ローリングサークル法など)が、当技術分野で公知である。当業者であれば、これら他の方法は、PCR法の代わりに使用されても、またはPCR法と一緒に使用されてもいずれでもよいことを理解されよう。例えば、Saiki、“Amplification of Genomic DNA”in PCR Protocols(1990年)、Innisら編、Academic Press、San Diego、カリフォルニア州、13〜20頁;Wharamら、Nucleic Acids Res.(2001年)、1月1日;29巻(11号):E54〜E54頁;Hafnerら、Biotechniques(2001年)、4巻:852〜6頁、858頁、860頁を参照されたい。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量的な関係でプラスまたはマイナス10%を意味する。
本明細書で使用される場合、「正常核型」という用語は、これらに限定されないが、転座、逆位、およびマイクロサテライトDNAなどの追加的な染色体エレメントの存在を含む染色体異常を有していない細胞を意味する。
本明細書で使用される場合、「接合状態」という用語は、当技術分野で公知であり、本明細書に記述されている試験方法により、ヘテロ接合性、ホモ接合性、または半接合性と考えられる試料、細胞集団、または生物を指す。「核酸の接合状態」という用語は、核酸の供給源が、ヘテロ接合性、ホモ接合性、または半接合性と考えられるかどうかを決定することを意味する。「接合状態」は、配列の単一のヌクレオチドの違いを表すことができる。幾つかの方法では、単一変異に関連する試料の接合状態は、ホモ接合性野生型、ヘテロ接合性(つまり、1つの野生型対立遺伝子および1つの変異対立遺伝子)、ホモ接合性変異、または半接合性(つまり、野生型または変異対立遺伝子のいずれかの単一コピー)として分類することができる。臨床検査室で日常的に実施されるような血漿または細胞サンプルの直接配列決定では、半接合性とホモ接合性との区別は確実ではなく、幾つかの実施形態では、これらのクラスは、グループ化されている。例えば、野生型核酸が全く検出されないか、または最小限の量で検出される試料は、「半接合性/ホモ接合性変異体」と称される。
本明細書で使用される場合、「予後を決定すること」という語句は、患者の状態の経過または転帰が予測されるプロセスを指す。「予後」という用語は、状態の経過または転帰を100%の確実性で予測する能力を指してはいない。そうではなく、この用語は、所与の状態/マーカーを示す患者において、ある種の経過または転帰が生じる可能性が、その状態を示さない個体と比較して増加するかまたは減少するかを同定することを指す。予後の性質は、評価されている特異的疾患および状態/マーカーに依存する。例えば、予後は、患者の生存を期待することができる時間の長さ、その疾患が寛解に至る可能性、その疾患が寛解したままであることが期待できる時間の長さとして表すことができる。
ヌクレオフォスミン(NPM1)遺伝子、およびヌクレオフォスミンタンパク質、NPM1の遺伝子産物の略図である。「NES」、「NLS」、および「NoLS」という用語は、それぞれヌクレオフォスミンタンパク質の核外輸送シグナル、核局在化シグナル、および核小体局在化シグナルを示す。「**」は、NPM1遺伝子およびヌクレオフォスミンタンパク質の変異部位を示す。 AML患者で同定されたエキソン12における種々のNPM−1変異のヌクレオチド配列を示す図である。NPM1変異配列は、野生型(「WT」)NPM1配列に対して示されている。 図2Aで同定された変異から生じるヌクレオフォスミンタンパク質の核小体局在化シグナルの一部(配列番号2のアミノ酸286から始まる)を示す図である。 骨髄細胞、血漿、および末梢血細胞に存在するNPM1変異の検出結果を示す図である。パネルAは、1人のAML患者に由来する末梢血細胞(PB細胞;最上段)、骨髄細胞(BM細胞;中段)、および末梢血血漿(最下段)のPCR増幅産物のサイズ分析を表す図である。WT NPM1(212bp)は各試料タイプに存在するが、4bp挿入(216bp)を含有するNPM1変異体は、骨髄および血漿のみで検出される。最も左側のピークは、200bp標準物質を表す。パネルBは、WT患者と比較した、ヘテロ接合性患者におけるNPM1の変異の配列分析を表す。挿入部位は黒線で囲まれており、その結果生じるRNAにおけるフレームシフトの開始位置を示す(挿入地点から、左から右に向かって解読される)。 サイズ分析によるNPM1変異の結果を示す図である。分析は、AML患者の血漿について実施された。結果は、新規の4bp欠損変異体を明らかにする。PCR増幅産物のサイズ分析により、WT NPM1(212bp;最下段)、以前に記述されている4bp挿入変異(216bp;中段)、およびNPM1の新規の4bp欠損変異体(208bp;最上部)が区別される。最も左側のピークは、200bp標準物質を表す。 AML患者におけるNPM1挿入変異の存在と臨床転帰の向上との相関性を示す図である。NPM1変異は、治療に応答するのが遅いAML患者に、有意な生存優位性を付与する。カプラン−マイヤープロットでは、週単位での患者の生存率が、治療に対する応答を示すのに35日を超えてかかったAML患者の集団の割合として示されている。このプロットでは、NPM1変異陽性と変異陰性患者とが比較され、NPM1変異を保持する患者の有意な生存優位性を示している(P=0.027)(E、全事象、N、死亡数)。
本発明は、いくつかの血液悪性疾患の根底にあるNPM1遺伝子中の変異が、患者から取得される無細胞体液(例えば、血清または血漿)から単離される核酸を使用して確実に検出することができるという発見に基づく。特に、末梢血血漿が、AML患者のNPM1変異を検出するための信頼性の高い試料タイプであることを発見した。骨髄細胞および血漿を比較試験した際には、対試料に完全な一致があった。さらに、血漿分析は、末梢血細胞を使用したNPM1変異分析より高い感度を示した。
理論により束縛されることは全く望まないが、正常細胞と比べて腫瘍細胞の代謝回転速度がより高いことは、末梢血細胞と比べてNPM1変異検出血漿の感度がより増加されることの根底をなすと考えられている。この代謝回転のため、腫瘍細胞は、それらのDNA、RNA、およびタンパク質を循環中に注ぎ込み、それらのすべては検査対象の基質となり得る。AMLおよびMDSなどの血液悪性疾患では、腫瘍細胞の大部分は骨髄に存在する。しかしながら、一部の患者では、比較的少数の白血病細胞が末梢血中で循環するに過ぎず、したがって末梢血解析は、一部の患者のNPM1変異を検出するには信頼性が低いことが判明した。
血漿および/または血清検査は、骨髄腫瘍細胞に由来する核酸を含有しているため、有利である。さらに、血漿/血清検査は、取得測定値に対する残留正常細胞の寄与を最小限に抑え、したがって残留正常細胞で骨髄試料が「希釈」されることにより時々引き起こされる過小評価を回避するのに役立つ。これは、血漿中では、正常細胞のプログラム細胞死により生成される残屑は、細網内皮系により速やかに除去されるが、白血病細胞の代謝回転に起因する残骸の除去は、はるかに効率が悪いという事実によると考えられる。
本明細書に記載されているように、血漿は、細胞に基づく検査の8%が偽陰性結果をもたらす末梢血細胞より感度が高いことが判明した。末梢血細胞での偽陰性結果は、主に骨髄疾患が白血病細胞を循環させないためである可能性があるが、血漿は、骨髄で死滅していた可能性がある悪性細胞に由来する遺伝物質を含有し、したがって陽性結果をもたらした。加えて、血漿は、末梢血細胞と同じように収集が容易であり、有痛性で侵襲性の骨髄試料採取の必要性を回避する。
変異結果は、骨髄検査を実施した際に報告された結果に類似した臨床観察と相関しており、血漿を検査する臨床的価値をさらに確認した。中程度の細胞遺伝学的特性を有し、寛解を達成するのに35日を超える治療が必要であるNPM1変異陽性患者において、より良好な生存率の有意な相関性があった。この観察は、寛解の徴候を示さずに35日間の治療を生存するAML患者は、NPM1変異を内包する場合、高リスクとみなされるべきでないことを示す。
ヌクレオフォスミン遺伝子(NPM1)
ヌクレオフォスミン遺伝子(NPM1)のヘテロ接合性変異は、急性骨髄白血病(AML)で最も頻度が高い遺伝子病変の1つであることが最近になって記述されている。NPM1遺伝子は、ヒトの染色体5q35に位置している。NPM1遺伝子は、12個のエキソンを含有している。NPM1遺伝子の略図は、図1に示されている。NPM1遺伝子を含むゲノムDNAの例示的な配列は、NCBI GenBankの受入番号NW_001838954に見出すことができる。その配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
NPM1 mRNAのいくつかの変異体は、当技術分野で公知である。既知配列の多くは、全長cDNA配列であり、いくつかは、部分的cDNA配列である。例示的なNPM1 cDNA配列には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:NCBI GenBank受入番号:NM_002520、NM_199185、NM_001037738、BC002398、BC050628、BC021983、BC021668、BC016824、BC016768、BC016716、BC014349、BC012566、BC008495、DQ303464、BC009623、BC003670、AY740640、AY740639、AY740638、AY740637、AY740636、AY740635、AY740634、M28699。上記に示されているNPM1変異体の配列はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。NPM1遺伝子の1つの例示的cDNA配列は、配列番号1に提供されている(図6)。
AMLで同定されている最も一般的なNPM1変異は、テトラヌクレオチド1個または2個の挿入、9bp挿入と組み合わされた4塩基対(bp)もしくは5bp欠失、または14bp挿入と組み合わされた9bp欠失である。これら変異の大多数は、エキソン12に位置しており、図2Aに示されている。
NPM1は、2つの選択的スプライスアイソフォームで存在する。B23.1、優勢アイソフォームは、すべての組織に存在しており、294個のアミノ酸を含有している一方で、B23.2、切断型タンパク質は、B23.1の最後の35個のC末端アミノ酸を欠失しており、非常に低レベルで発現される。NPM1分子(図1に概略的に示されている)は、NPM二量体および六量体の形成に必要なN末端ホモオリゴマー化ドメイン、ヌクレオリンおよびサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p14/選択的リーディングフレーム(p14ARF、以降ARFと称する)などの他のタンパク質の標的化に関与するヘテロダイマー化ドメイン、およびリボソームRNAプロセシングに関与するRNAとの結合に不可欠なC末端核酸結合ドメインを含む別個の機能的ドメインを含有している。B23.1 NPM1アイソフォームのアミノ酸配列は、配列番号2に提供されている(図7)。
ほとんどのNPM1は核小体に存在するが、それは核と細胞質を行き来する。NPM1がその核小体局在化シグナル(NoLS)により核小体に転位置される場合は、核局在化シグナル(NLS)が、NPM1を細胞質から核質まで駆動する。NoLSの特に重要な残基は、配列番号2のトリプトファン288およびトリプトファン290残基である。NPM1は、たとえそれが、NPM1を核外へと駆動する配列番号2の残基94〜102および42〜49内の高度に保存された疎水性のロイシンに富む核外輸送シグナル(NES)モチーフを含有していても、核小体にとどまる。
NPM1変異体の最も独特な特徴の1つは、白血病細胞の細胞質中にそれらの異常が局在化していることである。これは、白血病変異体C末端の2つの変化:(i)追加的なロイシンに富むNESモチーフの産生および(ii)NPM1核小体局在化に重要である配列番号2のトリプトファン288および290位の一方または両方のトリプトファン残基の欠失と因果関係がある。両トリプトファンの変異は、高度に共通しているNESモチーフ、L−xxx−V−xx−V−x−Lと関連しており、トリプトファン288の維持は、2位のバリンが、ロイシン、フェニルアラニン、システイン、またはメチオニンと置換されている希少NES変異体と関連している(Faliniら、Blood.2006年;107巻:4514〜23頁)。NPM1変異体の大多数は、最後の5個のアミノ酸残基VSLRKを共有している。
AMLのNPM1変異体は、正常な細胞遺伝学的特性およびFLT3遺伝子内縦列重複(FLT3−ITD)と関連していることが多い。種々の研究によると、正常核型を有するAML患者群内では、NPM1変異を有する患者は、野生型のNPM1 AMLの患者の完全寛解率と類似しているかまたはそれより有意に高い完全寛解率を有していたことが示されている(Boisselら、Blood.2005年;106巻:3618〜3620頁;Faliniら、N.Engl.J.Med.2005年;352巻:254〜266頁;Suzukiら、Blood.2005年;106巻:2854〜2861頁;Dohnerら、Blood.2005年;106巻:3740〜6頁)。
ほとんどの研究では、無再発生存率および全生存率が好ましい転帰へと向かう統計学的傾向が示されている。他の分子的異常に関するさらなる分析により、NPM1変異を有し、fms−関連チロシンキナーゼ3の遺伝子内縦列重複(FLT3−ITD)を随伴しない患者が、FLT3−ITDを有するAML患者より好ましい予後さえ示し、より若い患者では5年でおよそ60%の生存可能性と関連することが示されている(Dohnerら、Blood.2005年;106巻:3740〜6)。
FLT3遺伝子
FLT3遺伝子は、ヒトでは染色体13に位置している。ヒト染色体のFLT3遺伝子の例示的な配列は、NCBI GenBank受入番号NG_007066に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。FLT3遺伝子の例示的なcDNA配列は、図8に示されている。
いくつかの実施形態では、本発明は、無細胞体液中のFLT3遺伝子を、単独でまたはNPM1と同時に検出する方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、FLT3遺伝子の1つまたは複数の変異を、単独でまたはNPM1遺伝子の1つまたは変異の検出と同時に検出する方法を提供する。
生体試料の収集および調製
本発明の方法および組成物は、個体から得られる生体試料を使用して、NPM1核酸(例えば、ゲノムDNAおよび/またはRNA)中の変異を検出するために使用することができる。核酸は、当業者に周知である任意の方法により試料から単離することができる。必要に応じて、試料は、遠心分離などにより収集または濃縮することができる。試料の細胞は、無細胞体液を調製するために、酵素、熱、界面活性剤、超音波処理、またはそれらの組合せによる処理などの溶解にかけることができる。あるいは、NPM1遺伝子中の変異は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0248961号明細書に記述されている方法により、無細胞体液を使用して検出することができる。
血漿または血清調製方法
血漿および血清を調製する方法は、当技術分野で周知である。「新鮮」な血漿もしくは血清、または冷凍(保存)され、その後解凍された血漿もしくは血清のいずれかを使用することができる。冷凍(保存)血漿または血清は、解凍および使用されるまで最適には−20〜−70℃の保存条件で維持されるべきである。「新鮮」な血漿または血清は、使用するまで冷却または氷上で維持し、核酸(例えば、RNA、DNA、または全核酸)抽出をできるだけ早く実施するべきである。例示的な方法が、下記に記述されている。
血液は、標準的方法により、血清の調製には抗凝血剤を含まない、または血漿の調製にはEDTA、クエン酸ナトリウム、ヘパリン、もしくは類似の抗凝血剤を含んだ収集管、好ましくはシリコーン処理ガラスに採取してもよい。保管用に血漿または血清を調製する場合、好ましい方法は、必ずしも必要とされる訳ではないが、血漿または血清を、凍結する前に全血から最初に分画することである。これは、ポルフィリンおよびヘマチンなどのPCR阻害剤を放出することにより、増幅アッセイの感度を低減するかまたは増幅アッセイを妨害する場合もある凍結解凍細胞の溶解から放出される外来の細胞内RNAの負荷を低減する。「新鮮」な血漿または血清は、好ましくは重力の300〜800倍で穏やかに5〜10分間遠心分離することを使用する遠心分離により全血から分画してもよく、または他の標準的方法により分画してもよい。アポトーシス小体を分画可能な高遠心分離速度は、回避されるべきである。ヘパリンは、RT−PCRを妨害する場合があるため、ヘパリン処理血液を使用するには、ヘパリナーゼで前処理し、その後、逆転写の前にカルシウムを除去することが必要である。Imai,H.ら、J.Virol.Methods 36巻:181〜184頁(1992年)。したがって、EDTAは、PCR増幅が計画されている血液標本用の好ましい抗凝血剤である。
核酸抽出および増幅
無細胞体液の核酸は、変異分析を容易にするために、任意に増幅することができる。
種々の抽出法が、DNAまたはRNAを単離するのに好適である。好適な方法には、フェノールおよびクロロホルム抽出が含まれる。Maniatisら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、16.54頁(1989年)を参照されたい。多数の市販のキットも、これらに限定されないが、QIAamp(商標)ミニ血液キット、Agencourt社製Genfind(商標)、Roche社製Cobas(登録商標)、Roche社製MagNA Pure(登録商標)、またはEppendorf社製Phase Lock Gels(登録商標)を使用するフェノール:クロロホルム抽出、およびNucliSens抽出キット(Biomerieux社製、Marcy l’Etoile、フランス)を含め、好適なDNAおよびRNAを生じる。他の方法では、mRNAは、MagNA Pure LC mRNA HSキットおよびMag NA Pure LC機器(Roche Diagnostics Corporation社製、Roche Applied Science社製、インディアナポリス、イリノイ州)を使用して、患者の血液/骨髄試料から抽出することができる。
組織、細胞、血漿、または血清から抽出された核酸は、当技術分野で周知の核酸増幅技術を使用して増幅することができる。これら増幅方法の多くは、特異的な様式で特定の標的配列と相互作用またはハイブリダイズするようにオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブを単に設計することにより、変異の存在を検出するために使用することもできる。限定ではなく一例として、これら技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、ネステッドPCR、リガーゼ連鎖反応が含まれていてもよい。Abravaya. K.ら、Nucleic Acids Research 23巻:675〜682頁(1995年)、branched DNA signal amplification、Urdea,M.S.ら、AIDS 7巻(suppl 2):S11〜S14頁、(1993年)、増幅可能なRNAリポーター、Q−ベータ複製、転写に基づく増幅、ブーメランDNA増幅(boomerang DNA amplification)、鎖置換活性化、サイクリングプローブ技術(cycling probe technology)、等温性の核酸配列に基づく増幅(NASBA)を参照されたい。Kievits,T.ら、J Virological Methods 35巻 273〜286頁、(1991年)、Invader技術または他の配列複製アッセイまたはシグナル増幅アッセイを参照されたい。
血清および血漿RNAは、感度が高く、特異的で豊富であり、(ゲノム)DNAに基づく検査の代わりに使用することができる。RNAは、Boom,R.ら、J.Clin.Micro.28巻 495〜503頁、(1990年)の方法または適応のように、シリカ粒子、ガラスビーズ、または珪藻を使用して血漿または血清から抽出することができる。Cheung,R.C.ら、J.Clin Micro.32巻:2593〜2597、(1994年)により適応されたこの方法の応用が記述されている。
例えば、サイズ分画されたシリカ粒子を、500ミリリットルの脱塩滅菌再蒸留水中に、60グラムの二酸化ケイ素(SiO、Sigma Chemical Co.社製、セントルイス、ミズーリ州)を懸濁することにより調製する。その後懸濁物を、室温で24時間沈降させる。430ミリリットルの上清を、吸引により取り除き、粒子を、500ミリリットルの容積と等しくなるように加えられた脱塩滅菌再蒸留水に再懸濁する。さらに5時間沈降させた後、440ミリリットルの上清を吸引により取り除き、600マイクロリットルのHCl(32%、重量/容積)を添加して、懸濁物をpH2に調整する。懸濁物を等分して暗所に保管する。
溶解緩衝液は、120グラムのチオシアン酸グイニジン(guinidine thiocyanate)(GuSCN、Fluka Chemical社製、ブックス、スイス)を、100ミリリットルの0.1Mトリス塩酸塩(Tris−HCl)(pH6.4)、およびNaOHでpH8.0に調整された22ミリリットルの0.2M EDTA、および2.6グラムのトリトンX−100(Packard Instrument Co.社製、ダウナーズグローヴ、イリノイ州)に溶解することにより調製する。その後、この溶液をホモジナイズする。洗浄緩衝液は、120グラムのチオシアン酸グイニジン(GuSCN)を100ミリリットルの0.1M Tris−HCl(pH6.4)に溶解することにより調製する。
100マイクロリットル〜250マイクロリットル(疾患が最小限の場合は、より大量に必要とされる)の血漿または血清を、上記のように調製した40マイクロリットルのシリカ懸濁液、および上記のように調製した900マイクロリットルの溶解緩衝液と、Eppendorf社製5432型ミキサーを使用して室温で10分間にわたって混合する。その後、混合物を12,000×gで1分間遠心分離し、上清を吸引して廃棄した。その後、シリカ−RNAペレットを、上記のように調製した450マイクロリットルの洗浄緩衝液で2回洗浄する。その後、ペレットを、1ミリリットルの70%(容積/容積)エタノールで2回洗浄する。その後、ペレットを、1ミリリットルのアセトンで最終洗浄し、56℃のヒートブロックで10分間乾燥する。ペレットを、20〜50マイクロリットルのジエチルプロカルボネート(diethyl procarbonate)処理水に10分間56℃で再懸濁して、RNAを溶出する。あるいは、試料は、Boom,R.ら、J.Clin.Micro.29巻:1804〜1811頁、(1991年)により記述されているように、RNase阻害剤(RNAsin、0.5U/マイクロリットル、Promega社製)を有し、プロテイナーゼK(100ng/ml)を有するか、または有していない10ミリモルのTris−HCl、1ミリモルのEDTA(pH8.0)で構成されるTE緩衝液により、10分間56℃で溶出することができる。その後、溶出した後で、試料を12,000×gで3分間遠心分離し、RNA含有上清を回収する。
代替的な方法として、RNAは、Chomczynski,P.およびSacchi,N.、Analytical Biochemistry 162巻:156〜159頁、(1987年)に記述されているチオシアン酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム抽出法、またはChomczynski,P.、Biotech 15巻:532〜537頁、(1993年)に記述されているような改良法を使用して、血漿または血清から抽出することができ、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
また、腫瘍由来の細胞外DNAを含む循環細胞外DNAも、血漿および血清中に存在する。このDNAは、上記で記述されているRNA抽出法の実施中に、様々な程度でさらに抽出されるため、さらなるRNA分析に移行する前に、RNA抽出物をさらに精製して、微量DNAを除去することが望ましいまたは必要とされる場合がある(臨床の目的に応じて)。これは、例えば、Rashtchian,A.、PCR Methods Applic.4巻:S83〜S91頁、(1994年)により記述されているような方法により、DNaseを使用して達成することができる。
あるいは、RNAのスプライスジャンクションをまたぐプライマー、またはイントロンをまたぐプライマーなどを使用することにより、夾雑DNAではなくRNA産物の増幅に好ましい、さらなるRNA分析用プライマーを構築することができる。RNAを増幅するが夾雑DNAは増幅しない代替的な方法には、Moore,R.E.ら、Nucleic Acids Res.18巻:1921頁、(1991年)により記述されているような方法、およびアダプタープライマーとしてdU含有オリゴヌクレオチドを使用するBuchman,G.W.ら、PCR Methods Applic.3巻:28〜31頁、(1993年)により記述されているような方法が含まれる。
RNAは、日常的な処理および分析の間、相対的に不安定であるため、DNAを分析することではなく、RNAを抽出することが望ましい場合がある。単離されたRNA配列は、逆転写を使用しDNAとして再生することができ、逆転写は、これまでに発表されている手順に従って実施することができる。以下のものを含むが、それらに限定されない種々の逆転写酵素を使用することができる:MMLV RT、SuperscriptおよびSuperscript II(Life Technologies社製、GIBCO BRL社製、ゲーサーズバーグ、メリーランド州)などのMMLV RTのRNase H変異体、AMV RT、およびサーマス・サーモフィラス(Thermus Thermophilus)に由来する熱安定性逆転写酵素。例えば、血漿または血清から抽出されたRNAをcDNAに変換するために使用することができる1つの方法は、Rashtchian,A.、PCR Methods Applic.4巻:S83〜S91頁、(1994年)により記述されているような、Superscript II前増幅システム(Life Technologies社製、GIBCO BRL社製、ゲーサーズバーグ、メリーランド州;カタログ番号18089−011)を適応したプロトコールであるが、それが唯一の方法ではない。
変異の検出
核酸(例えば、全核酸)は、任意の適切な方法を使用して、患者の生体試料から抽出および増幅することができる。その後、増幅産物を、例えばゲル精製により精製することができ、その結果生じた精製産物を配列決定することができる。核酸配列決定法は、当技術分野で公知であり、例示的な配列決定法には、ABI Prism BigDyeターミネーターv3.1サイクル配列決定キット(Applied Biosystems社製、フォスターシティ、カリフォルニア州)が含まれる。その後、配列決定データを、標的核酸(例えば、NPM1またはFLT3核酸)中の1つまたは複数の変異の有無を分析することができる。配列決定データを分析して、試料中に存在する変異核酸に対する野生型の割合を決定することもできる。
増幅または変異検出の代替的方法は、対立遺伝子特異的PCR(ASPCR)である。ASPCRでは、当技術分野で周知である、テンプレートとプライマーの3’末端塩基との間の適正または不適正が使用される。例えば、米国特許第5,639,611号明細書を参照されたい。
変異検出の別の方法は、核酸配列決定である。配列決定は、当分野で公知である任意の数の方法、キット、またはシステムを使用して実施することができる。1つの例は、染料ターミネーター化学およびABI配列決定装置(Applied Biosystems社製、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用することである。配列決定は、また、単一ヌクレオチドプライマー伸長(「SNapShot」配列決定法)などの単一塩基決定法、または対立遺伝子もしくは変異特異的PCRを伴っていてもよい。
他の実施形態では、標的核酸変異は、検出可能な標識を任意に含むポリヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションにより評価することができる。プローブは、当技術分野で公知の方法により、検出可能に標識化することができる。有用な標識には、例えば、蛍光染料(例えば、Cy5(登録商標)、Cy3(登録商標)、FITC、ローダミン、ランタミド(lanthamide)リン光体、Texas red、FAM、JOE、Cal Fluor Red610(登録商標)、Quasar670(登録商標)、放射性同位元素(例えば32P、35S、H、14C、125I、131I、高電子密度の試薬(例えば、金)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、比色定量用標識(例えば、コロイド金)、磁気標識(例えば、Dynabeads(商標))、ビオチン、ジオキシゲニン(dioxigenin)、またはその抗血清もしくはモノクローナル抗体が利用可能なハプテンおよびタンパク質が含まれる。他の標識には、それぞれ、対応する受容体またはオリゴヌクレオチド相補体との複合体を形成可能なリガンドまたはオリゴヌクレオチドが含まれる。標識は、検出しようとする核酸に直接組み込まれていてもよく、または標識は、検出しようとする核酸にハイブリダイズまたは結合するプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド)または抗体に結合されていてもよい。
他の実施形態では、プローブは、TaqMan(登録商標)プローブ、分子ビーコン、およびScorpion(例えば、Scorpion(商標)プローブ)である。これらタイプのプローブは、蛍光消光の原理に基づいており、供与蛍光体および消光部分が関与している。「蛍光体」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の波長(励起周波数)の光を吸収し、その後でより長い波長(発光周波数)の光を発光する分子を指す。「供与蛍光体」という用語は、本明細書で使用される場合、消光体部分に近接近していると、発光エネルギーを消光体に供与または転移させる蛍光体を意味する。消光体部分にエネルギーを供与した結果として、供与蛍光体それ自体は、近くに位置する消光体部分がなければ有すると思われる、特定の発光周波数の光をそれほど発光しなくなろう。
「消光体部分」という用語は、本明細書で使用される場合、供与蛍光体のすぐ近くで、供与体により生成された発光エネルギーを吸収し、エネルギーを熱として消散させるか、または供与体の発光波長より長い波長の光を発光するかのいずれかである分子を意味する。後者の場合、消光体は、受容蛍光体であるとみなされる。消光部分は、近接(つまり、衝突)消光により、またはフェルスターもしくは蛍光共鳴エネルギー転移(「FRET」)により作用することができる。FRETによる消光は、一般的にTaqMan(登録商標)プローブで使用され、近接消光は、分子ビーコンおよびScorpion(商標)タイプのプローブで使用される。好適な消光体は、特定の蛍光体の蛍光スペクトルに基づいて選択される。有用な消光体には、例えば、Black Hole(商標)消光体 BHQ−1、BHQ−2、およびBHQ−3(Biosearch Technologies,Inc.社製)、およびATTOシリーズの消光体(ATTO540Q、ATTO580Q、およびATTO612Q;Atto−Tec GmbH社製)が含まれる。
TaqMan(登録商標)プローブ(Heidら、Genome Res 6巻:986〜994頁、1996年)では、Taqポリメラーゼの蛍光発光性5’エキソヌクレアーゼ活性を使用して、cDNA試料中の標的配列の量を測定する。TaqMan(登録商標)プローブは、通常は5’塩基にまたは5’塩基付近に供与蛍光体を含有し、典型的には3’塩基にまたは3’塩基付近に消光部分を含有するオリゴヌクレオチドである。消光体部分は、TAMRAなどの染料であってもよく、または4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)などの非蛍光性分子であってもよい。Tyagiら、16巻 Nature Biotechnology 49〜53頁(1998年)を参照されたい。照射されると、励起した蛍光性供与体は、蛍光を発するのではなくFRETにより近くの消光部分にエネルギーを転移させる。したがって、プローブが完全である間は、供与体および消光体がすぐ近くにあることにより、供与体蛍光の発光が防止される。
TaqMan(登録商標)プローブは、PCR産物の内部領域にアニーリングするように設計される。ポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)が、TaqMan(登録商標)プローブが結合しているテンプレートを複製する際に、その5’エキソヌクレアーゼ活性によりプローブが切断される。これにより、消光体の活性が終了し(FRETではない)、供与蛍光体は蛍光を発光し始め、この発光は、各サイクルにおいてプローブ切断速度に比例して増加する。PCR産物の蓄積は、リポーター染料の蛍光増加をモニターすることにより検出される(プライマーは標識化されていないことに留意されたい)。消光体が受容蛍光体である場合、PCR産物の蓄積は、受容蛍光体の蛍光の減少をモニターすることにより検出することができる。
Scorpionプライマーを用いる場合、配列特異的プライマー結合およびPCR産物検出は、単一の分子を使用して達成される。Scorpionプライマーは、ハイブリダイズされていない状態ではステムーループ構造を維持する。蛍光体は、5’末端に結合されており、3’末端に結合されている部分により消光されるが、好適な実施形態では、この配置は切替えられていてもよい。ステムの3’部分は、プライマーの伸長産物に相補的な配列も含有する。この配列は、非増幅可能なモノマーを介して、特異的プライマーの5’末端に結合される。プライマー部分が伸長された後、特異的プローブ配列は、伸長された増幅産物内のその相補体に結合することができ、したがってヘアーピンループを解消する。これにより、蛍光の消光が妨げられ、シグナルが観察される。特異的標的は、逆方向プライマーおよびScorpionプライマーのプライマー部分により増幅され、その結果として伸長産物がもたらされる。蛍光シグナルは、Scorpionプライマーのプローブエレメント(例えば、JAK2プローブ)が伸長産物に結合する結果として、消光体と蛍光体とが分離されることにより生成される。
接合状態、および試料中の変異体核酸に対する野生型比率は、配列特異的で定量的な検出方法を含む、当技術分野で公知の方法で決定することができる。他の方法には、ABI配列決定システム(Applied Biosystems社製、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用して生成された配列決定電気泳動図などの、標準的な配列決定電気泳動図の配列決定ピークの曲線下面積を決定することが含まれていてもよい。例えば、電気泳動図で、特定のヌクレオチドを示す位置に「G」などの単一のピークのみが存在することは、試料中の核酸が、その位置「G」において1つのヌクレオチドのみを含有していることを示す。その後試料は、1つの対立遺伝子のみが検出されているため、ホモ接合と分類することができる。電気泳動図の同じ位置に、2つのピーク、例えば「G」ピークおよび「T」ピークが存在することは、試料が、核酸の2つの種を含有していることを示し、1つの種は、問題のヌクレオチド位置に「G」を保持しており、他方は、問題のヌクレオチド位置に「T」を保持している。その後試料は、1つを超える対立遺伝子が検出されているため、ヘテロ接合と分類することができる。
2つのピークのサイズを決定することができ(例えば、各々の曲線下面積を決定することにより)、2つの異なる核酸種の比率を計算することができる。変異体核酸に対する野生型の比率を使用して、疾患進行をモニターすること、治療を決定すること、または診断を行うことができる。例えば、特定の変異を保持する癌細胞の数は、疾患または療法の経過中に変化する場合がある。基線比率がその疾患の初期に確立されている場合、野生型核酸に対する変異体核酸の比率がより高くなっていると後に決定されることは、その疾患がより悪化しつつあるか、または治療が効果的でないことを示している可能性があり、変異を保持する細胞の数が、患者の中で増加している可能性がある。野生型核酸に対する変異体の比率がより低いことは、治療が順調であるか、その疾患が進行していないことを示している可能性があり、変異を保持する細胞の数が、患者の中で減少している可能性がある。
ある種の実施形態では、NPM1核酸は、挿入変異または欠失変異を含んでいる。これら変異は、患者から単離されたNPM1核酸の少なくとも一部のサイズを決定することにより、便利に同定することができる。様々なサイズのポリヌクレオチドの存在または量を検出する方法は、当技術分野で周知であり、それらはいずれも、本明細書に記述されている方法で使用することができる。使用されるサイズ分離/検出技術は、核酸の少なくとも1つのヌクレオチドが互いに異なっている限り、核酸の分離を可能にするはすである。分離は、変性条件下、または非変性条件下、または天然条件下で実施することができ、つまり分離は、一本鎖または二本鎖核酸で実施することができる。分離および検出は、1個のヌクレオチドまでの小さな長さの違いの検出を可能にすることが好ましい。サイクル反応中に得られる複数の反応等量中の核酸含有量のリアルタイムまたは同時決定を可能にするハイスループット形式で、分離および検出を行うことができることがさらに好ましい。増幅産物を分離および分析するための有用な方法は、これらに限定されないが、電気泳動法(例えば、アガロースゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法(CE))、クロマトグラフィー(HPLC)、および質量分析が含まれる。
1つの実施形態では、CEは、少なくとも10〜1,000塩基対の範囲のポリヌクレオチドを単一塩基対の分解能で非常に良好に分離することがもたらされるため、好ましい分離手段である。CEは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,217,731号明細書、第6,001,230号明細書、および第5,963,456号明細書に開示されているように、当技術分野で周知の方法により実施することができる。ハイスループットCE装置は市販されており、例えば、Spectrumedix Corporation社製(ステートカレッジ、ペンシルベニア州)のHTS9610型ハイスループット分析システムおよびSCE9610型全自動96キャピラリー電気泳動法遺伝子分析システム、Beckman Instruments Inc社製(フラートン、カリフォルニア州)のP/ACE5000シリーズおよびCEQシリーズ、ならびにABI PRISM 3100型遺伝子分析機(Applied Biosystems社製、フォスターシティ、カリフォルニア州)である。これらデバイスのCEカラムの端部の付近で、増幅DNA断片は、蛍光性標識のシグナルを測定する蛍光検出器を通過する。これら装置は、蛍光標識化PCR産物検出用の自動ハイスループットを供給する。
本明細書に記述されている方法におけるCEの使用は、従来のスラブゲル電気泳動法と比較して、高い生産性を可能にする。毛細管ゲルを使用することにより、分離速度は従来のスラブゲルシステムより約10倍に増加する。
CEを用いると、同時に複数の試料を分析することもでき、それはハイスループットに不可欠である。これは、例えば、多毛細管システムを使用することにより達成される。いくつかの場合、DNA塩基からの蛍光検出は、多孔性マトリックスおよび毛細管壁からの光散乱により困難になる場合がある。しかしながら、共焦点蛍光スキャナーを使用して、光散乱による問題を回避することができる(Quesadaら、Biotechniques(1991年)、10巻:616〜25頁)。
いくつかの実施形態では、核酸は、アガロースゲル電気泳動を使用して、サイズにより分析および検出することができる。アガロースゲル電気泳動を実施する方法は、当技術分野で周知である。Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)(1989年)、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州を参照されたい。
1つの実施形態では、検出は、標識プローブを用いたサザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションによる。サザンブロッティングに関わる技術は、当業者に周知であり、分子プロトコールに関する多くの標準的な本に見出すことができる。Sambrookら、(1989年)を参照されたい。手短に言えば、増幅産物を、ゲル電気泳動法により分離する。その後、ゲルをニトロセルロースなどの膜と接触させ、核酸の転写および非共有結合を可能にする。その後、膜を、標的増幅産物とハイブリダイズ可能な、発色団が結合されたプローブと共にインキュベートする。検出は、X線フィルムまたはイオン放射検出デバイスに膜を曝露させることによる。
血漿由来核酸中のNPM1変異の検出
変異分析用の遺伝物質源としての血漿の実用性を評価するために、31人の新しく診断されたAMLの患者に由来する骨髄細胞、末梢血細胞、および末梢血血漿を、NPM1変異について同時に分析し、結果を3種の試料タイプ間で比較した。
ゲノムDNAを、BioRobot EZl血液DNAキット(Qiagen社製、バレンシア、カリフォルニア州)を使用して、患者の骨髄または全血試料から抽出した。全核酸を、EasyMagシステム(bioMerieux社製、ダーラム、ノースカロライナ州)でNucliSens抽出キットを使用して、血漿から抽出した。すべての試料タイプのNPM1遺伝子PCR増幅を、NPM1イントロン11にハイブリダイズするNPM1順方向プライマー、およびNPM1エキソン12にハイブリダイズする逆方向プライマーを使用して実施した。順方向および逆方向プライマーを、6−カルボキシフルオセイン(6−FAM;Eurogentec社製、サンディエゴ、カリフォルニア州)で標識する。NPM1変異型または野生型対立遺伝子は、ABI3100型遺伝子分析機(Applied Biosystems社製、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用して、PCR産物のサイズを決定することにより検証した。順方向および逆方向プライマーの配列は下記に示されている。
順方向プライマー:5’−tta act ctc tgg tgg tag aat gaa−3’(配列番号3)。
逆方向プライマー:5’−tgt tac aga aat gaa ata aga cgg−3’(配列番号4)。
これら増幅プライマーを使用すると、野生型(WT)NPM1核酸は、212bpピークを示すが、NPM1挿入変異体は、NPM1 WTピークに加えて追加的な216bpピークを示した(例えば、図3Aを参照)。図3Bは、野生型と比較して4つの塩基挿入/フレームシフト変異も、ヘテロ接合性患者で同定可能であり、変異がCTCT挿入の結果であることを実証している。これらの結果は、先述の方法がロバストであり、骨髄細胞、末梢血細胞、および血漿を含む検査されたすべての供給源から単離された野生型と4bp挿入NPM1変異体核酸とを区別できることを実証している。
31人の患者に由来する血漿は、骨髄細胞では完全な一致を示したが、末梢血細胞では不一致が観察された。変異NPM1核酸は、31対の末梢血血漿および骨髄細胞試料のうち6対で検出された。しかしながら、末梢血細胞を評価した場合、変異NPM−1核酸を含有する6つの試料の1つは(骨髄細胞および血漿中で評価されたように)、末梢血細胞分析を使用すると、野生型のNPM−1を含有すると誤って同定された。(図3A)。この単一の患者では、末梢血細胞のNPM1核酸の変異評価は、不正確であることが判明したが、骨髄細胞および血漿試料を使用した評価は、挿入による変異を間違いなく示した。血漿に基づくNPM1変異検査の正確性をさらに支持するものとして、血漿をアッセイした場合、変異陽性末梢血または骨髄細胞試料は、偽陰性を示さなかった。これらデータにより、血漿核酸サンプル中のNPM1変異を検出するための血漿に基づくアッセイの使用が認証された。
AMLおよびMDS患者のNPM1変異および新規変異の同定
NPM1核酸分析は、テキサス大学MDアンダーソン癌センターで治療されたAML患者(98試料)および骨髄異形成症候群(MDS)の患者(28試料)に由来する無作為収集した血漿および末梢血細胞の試料対で実施した。療法を開始する前に、試料はすべて、以前に治療を受けていない患者から収集した。MDSの患者はみな、分析用の試料を取得した時点でいかなる種類の治療も受けていなかった。試料はすべて、施設内治験審査委員会が承認したプロトコールを使用して収集し、患者はみなインフォームドコンセントを提供し、研究は、世界医師会(ヘルシンキ宣言)の倫理綱領を遵守した。臨床データは、カルテ審査により収集し、MDアンダーソン癌センターの白血病データベースの一部だった。診断は、完全な形態学的分析、免疫表現型分析、細胞遺伝学的分析、および分子的分析に基づいており、分類は、フランス−アメリカ−英国(FAB)分類によるものだった。MDS患者はすべて、少なくとも2つの系統において異形成の証拠を必要とした。細胞遺伝学的特性の状態を、好ましい(t(15;17)、t(8、21)、またはinv16))、好ましくない(−5、−7、または複合(≧3)異常)、または中程度(他のすべて)と分類した。一般状態(PS)を、Zubrod採点法で決定し、良好(0または1)または不良(2〜4)と分類した。応答者とは、CRの国際ワーキンググループ基準に従って、完全応答(CR)を達成した患者である。
この研究に含まれていたAMLおよびMDS患者の特徴は、表1に列挙されている。中央値年齢は、AML患者の場合は62(範囲、18〜82)、MDS患者の場合は68(範囲、43〜81)だった。ほとんどのAML患者は、中程度(34%)または不良(59%)な細胞遺伝学的状態のいずれかを示した。フランス−アメリカ−英国(FAB)分類によると、MDS患者の半分は、移行型の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB−T)を有すると分類され、46%は、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)を有していた。患者の3%のみが、急性前顆粒球白血病(APL)を有し、その一方で24%は、単球様分化を伴う白血病を有していた(表1)。AMLおよびMDS患者の分類は、世界保健機構(WHO)分類ではなく、FAB分類に基づいていた。
Figure 2012505655
NPM1核酸中の変異は、98個のAML血漿試料のうち24個(24%)で検出されたが、細胞サンプルのうち22個のみ(22%)が変異を明らかにした(表2)。したがって、末梢血細胞を分析した際に、陽性試料の8%が、偽陰性結果をもたらした。NPM1変異が血漿DNAで検出されたが、末梢血細胞DNAでは検出されなかった2つのAML症例は、循環芽球細胞を有していないと特徴付けした。しかしながら、芽球細胞を欠如するAML末梢血でNPM1変異を検出できないことは、普遍的ではなかった。循環芽球細胞が報告されなかった他の症例では、末梢血細胞DNAでNPM1変異が検出された。
Figure 2012505655
NPM1変異の最も高い割合は、FAB分類によりM2と分類されたAML患者で検出された(M2の38%)。症例数は少ないが、M4/M5群も、高い割合のNPM1変異を示した(表2)。AML患者に加えて、NPM1変異について以前に治療を受けていない28人のMDS患者に由来する血漿も、検査した。これら患者のうち1人の患者のみ(4%)が、NPM1変異を内包すると見出した。NPM1変異を有するこのMDS患者はRAEBを有していたが(表2)、比較的限定的な血球減少(4.5×10/mLの白血球数)を示し、これは骨髄異形成疾患ではなく初期白血病の可能性を示唆する。患者はみな、FAB分類に従って分類した。世界保健機構(WHO)の分類を使用したならば、RAEB−TはすべてAMLとして分類され、NPM1変異の有病率は、24%ではなく21%になったことであろう。RAEB−Tを有する患者にNPM1変異が欠如していることは、これら症例が、急性白血病よりMDSとより一致する特徴を有するという概念を裏付ける。
ほとんどの患者では、NPM1変異は、図3に示されているようなCTCTの4bp挿入を含んでいた。単一の患者では、新規の4塩基欠失が、NPM1のエキソン12で検出された(図4)。この患者は、急性前顆粒球白血病(APL)を有し、短縮形態のRARα−PML融合転写物を発現し、療法に応答した。
NPM1変異の存在下または非存在下におけるAML患者の臨床および病理学的特徴の比較
実施例2において特徴付けられた98個のAML患者試料を、それらの血液学的組成に基づいてさらに特徴付けた。NPM1変異を有する患者は、変異をもたない患者と比較して、有意に高い白血球(WBC)数を有することが見出された(表3)。これら患者は、より高い割合の芽球を末梢血および骨髄中に有してもいた。加えて、変異NPM1を有する患者の芽球は、有意に低レベルのHLADR、CD13、CD34、および有意に高いレベルのCD33を発現した(表3)。
Figure 2012505655
NPM1変異患者とWT NPM1 AML患者との間には、それらの細胞遺伝学的異常およびFLT3遺伝子における変異の存在に関連する相異も存在した(表4)。一般的に、NPM1変異を有する患者は、より良好な細胞遺伝学的プロファイルと関連しており、野生型NPM1群の41%に対し、12%が不良な細胞遺伝学的特性を有していた。
Figure 2012505655
治療に対する応答は、変異を有していないAML患者よりもNPM1変異を有するAML患者においてわずかに高かったことがさらに観察されたが、違いは全く有意ではなかった(P=0.06)。これらデータは、NPM1変異が、AMLの特徴であり、導入化学療法に対する患者の反応性を示すことを実証する以前のより大きな研究と一致している。例えば、Faliniら、N.Engl.Med(2005年)352巻:254〜266頁を参照されたい。すべての患者を考慮した場合、NPM1変異を有する患者と、変異を有しない患者との間で、生存率に有意差はなかった。しかしながら、中程度の細胞遺伝学的特性を有する患者のみを考慮した場合、NPM1変異を有する患者は、変異を有していない患者より比較的長い無再発生存率を実証した(P=0.056)。P値が低いのは、研究した患者が少数であったことによる可能性が考えられる。生存率の最も有意な相異は、治療に応答するのに35日超を必要とした、中程度の細胞遺伝学的特性を有する変異陽性患者に見出された。これら患者では、生存率は、NPM1変異をもたない患者よりも有意に長かった(図5)。
本明細書で言及されている出版物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべて、あたかも各々が参照により個々に組み込まれているのと同じ程度に、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先される。
本発明は、例示的および代替的な実施形態に関して記述されているが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、形態および詳細に変更を加え得ることを認識されよう。例えば、1つまたは複数の利点を有する1つまたは複数の特徴を含む異なる例示的および代替的な実施形態が記述されていてもよいが、記述されている特徴は、記述されている例示的実施形態または他の代替的な実施形態において互いに交換可能であるか、またはその代わりに互いに組み合わされてもよいことが企図される。本発明の技術は比較的複雑であるため、本技術における変更はすべてが予測可能であるとは限らない。例示的および代替的な実施形態に関して説明し、以下の特許請求の範囲に提示した本発明は、可能な限り幅広いことを明白に意図している。例えば、具体的にそうでないと指示されていない限り、単一の特定のエレメントを説明する請求項は、複数のそのような特定のエレメントも包含する。

Claims (35)

  1. 急性骨髄性白血病(AML)と診察された個体の予後を決定する方法であって、
    NPM1核酸中の1つまたは複数の変異の有無を決定し、ここで、前記NPM1核酸は前記個体の無細胞体液から取得されたものであり、そして
    前記個体の予後を提供し、ここで、前記NPM1遺伝子中の1つまたは複数の変異の存在はAMLと診断されたが前記1つまたは複数の変異をもたない個体と比べて、前記個体の予後が良好であることを示す、
    の各工程を含む方法。
  2. 前記無細胞体液は、血清または血漿である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つまたは複数の変異の有無は、配列番号1と比べて決定される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記NPM1核酸はゲノムDNAである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記NPM1核酸はmRNAである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記NPM1核酸中の前記変異の1つはCTCT挿入を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記挿入は、配列番号1の1018位に対応するヌクレオチドの後ろに存在する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記NPM1核酸中の前記変異の少なくとも1つは、図2Aまたは図2Bから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. FLT3遺伝子中の1つまたは複数の変異の有無を検出することをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. FLT3遺伝子中の前記1つまたは複数の変異は、遺伝子内縦列反復の重複である、請求項9に記載の方法。
  11. NPM1遺伝子中に1つまたは複数の変異が存在し、かつFLT3遺伝子中に1つまたは複数の変異が存在しないことは、AMLと診断された前記個体のより良好な予後を示す、請求項9に記載の方法。
  12. 前記個体の細胞遺伝学的特性を決定することをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記AML患者の無細胞体液から得られたNPM1核酸を増幅し、そして前記増幅されたNPM1核酸を、ハイブリダイズ条件下で少なくともNPM1核酸の変異の存在を特異的に検出可能なオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせることを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記方法は、前記NPM1核酸の少なくとも一部のサイズを決定することを含み、ここで、サイズの増加は挿入変異の存在を示す、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記予後は寛解率に関連する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記AML患者の前記予後は、全生存率に関連する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. AMLと診察された個体の予後を決定する方法であって、
    NPM1核酸中の挿入変異の有無を決定し、ここで、前記NPM1核酸は前記個体の無細胞体液から取得されたものであり、そして
    前記個体の予後を提供し、ここで、前記挿入変異の存在は、AMLと診断されたが前記挿入変異をもたない個体と比べて、前記個体の予後が良好であることを示す、
    の各工程を含む方法。
  18. 前記挿入変異は、配列番号1の1018位に対応するヌクレオチドの後に挿入されているCTCT挿入を含む、請求項17に記載の方法。
  19. FLT3遺伝子中の1つまたは複数の変異の有無を検出することをさらに含む、請求項17から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. FLT3遺伝子中の前記1つまたは複数の変異は、遺伝子内縦列反復の重複である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記挿入変異が存在し、かつ前記FLT3遺伝子中に変異が存在しないことは、AMLと診断された前記個体の予後がより良好であることを示す、請求項19に記載の方法。
  22. 前記予後は、寛解率または全生存率に関連する、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記方法は、前記NPM1核酸の少なくとも一部のサイズを決定することを含み、サイズの増加は挿入変異の存在を示す、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 配列番号3または配列番号4の配列を含む増幅プライマーを使用して、前記NPM1核酸を増幅することを含む、請求項17から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 配列番号3および配列番号4の配列を含む一対の増幅プライマーを使用して、前記NPM1核酸を増幅することを含む、請求項17から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 個体を血液疾患について診断する方法であって、
    NPM1核酸中の転座の有無を決定し、ここで、前記NPM1核酸は前記個体の無細胞体液から取得されたものであり、そして
    NPM1核酸中の転座が検出された場合には、前記個体が血液疾患を有すると診断する、の各工程を含む方法。
  27. 前記血液疾患は、未分化大細胞リンパ腫、急性前骨髄球性白血病、および急性骨髄性白血病からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記転座は、NPM1遺伝子と、未分化大細胞リンパ腫キナーゼ、レチノイン酸受容体α、および骨髄異形成症/骨髄性白血病第一因子からなる群から選択される第2の遺伝子との間にある、請求項26から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. NPM1核酸中の1つまたは複数の変異の有無を検出することをさらに含む、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 1つまたは複数の変異の有無は、配列番号1と比べて決定される、請求項29に記載の方法。
  31. 前記NPM1核酸中の前記変異の1つはCTCT挿入を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記挿入は、配列番号1の1018位に対応するヌクレオチドの後に存在する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記NPM1核酸中の前記変異の少なくとも1つは、図2Aまたは図2Bから選択される、請求項30に記載の方法。
  34. 前記NPM1核酸はゲノムDNAである、請求項26から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記NPM1核酸はmRNAである、請求項26から34のいずれか一項に記載の方法。

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