JP5602355B2 - 癌患者の外科的手術後の治療選択方法及び予後診断 - Google Patents

癌患者の外科的手術後の治療選択方法及び予後診断 Download PDF

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本発明は、癌患者の外科的手術後の治療選択及び予後診断方法に関する。より詳しくは、癌患者のLINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することにより手術予後が良好か否かを判定する方法に関する。加えて、該メチル化頻度の測定結果より外科的手術後の化学療法及び/又は免疫療法の効果予測並びに最適な抗癌剤・免疫療法剤の選択に関する。
哺乳類のゲノムDNA配列中に存在する5'-CG-3'DNA部分(以下、CpG部位又は単にCpGと称する)では、グアニン(G)の5'側に位置するシトシン(C)がメチル化される現象が知られている。CpGのメチル化修飾は、遺伝子の発現に影響を及ぼすことが知られている。特に、CpGに富む領域(CpG島)が遺伝子のプロモーター領域内に存在する場合、CpGは遺伝子発現に対して重要な影響を及ぼすことが知られている。
通常、染色体における多くのCpG島はメチル化から保護されている。しかし、何らかの原因により、プロモーター領域に存在するCpG島がメチル化されると、その遺伝子の転写が抑制される。例えば、ヒト生体内における癌抑制遺伝子において、そのプロモーター領域に存在するCpG島の異常なメチル化が起こり、当該癌抑制遺伝子の転写が不活性化された場合、細胞増殖の制御が効かなくなり、癌などの細胞増殖性疾患が進行する。
また、DNAのメチル化有無を検出することにより癌や腫瘍の早期発見及び治療をモニタリングすることが可能になってきている。例えば、特表2000-511776号公報(特許文献1)、国際公開第02/38801A1号パンフレット(特許文献2)及びNcucleic Acids Res. 1997 June 15:25(12):2532-4(非特許文献1)には、CpG含有核酸中のメチル化を迅速に検出するために、PCR法を利用し、癌等を診断する方法が開示されている。これらの方法では、メチル化DNAを特異的に検出することに重点が置かれている。
さらに具体的には、各種体液、組織又は細胞系から核酸試料を調製し、重亜硫酸塩等により非メチル化シトシンをウラシルに変換する修飾を行い、次いで、(1)非メチル化DNAとメチル化DNAとを区別し得る特異的なプライマーによりPCR法(Methylation-Specific-PCR:MSP法)で増幅し、メチル化DNAを検出する方法と、(2)非メチル化DNAとメチル化DNAとを区別しない非特異的なプライマーによりPCRで増幅し、そのPCR増幅産物の内部の塩基配列の違いを認識する制限酵素で処理することによりメチル化DNAの有無及び/又は割合を検出する方法(Combined Bisulfite Restriction Analysis:COBRA法)が知られている。これらの方法により、特定の遺伝子の塩基配列中におけるメチル化DNAの存在を検出することで、癌や腫瘍の早期発見及び治療をモニタリングすることが可能になる。
また、癌におけるゲノムの不安定性は癌の悪性度を評価する指標である。その測定方法としては、loss of heterozygosity (LOH)解析、Fluorescence in situ hybridization (FISH)、comparative genomic hybridization (CGH)、array CGH、SNP array等が知られている。しかし、これらの方法は、煩雑な手法を用いて判定されており、臨床診断には不向きである。そこで、ゲノム不安定性を判定できる簡便なマーカーを必要としている。
一方、大腸癌は我が国でも増加の一途をたどっており、克服すべき最重要疾患の一つである。しかしながら、大腸癌患者の外科的切除後の予後判断に有用な分子マーカーはまだ確立されていないのが現状である。大腸癌患者の外科的切除後の予後を客観的に判断できない現状では、多くの大腸癌患者に対して化学療法などの画一的な治療を施していた。一方、化学療法を施しても、その効果は患者によりばらつきがあった。
外科的切除後の患者の予後が分子マーカーの有無により客観的に判断できれば、外科的切除後の治療方法を適切に選択することが可能となり、患者への負担や治療費の軽減化が図られるなどのメリットは非常に大きい(特許文献3)。
なお、本発明者らは、LINE-1繰り返し配列とCpG島位置のメチル化レベルの相関関係について報告している(非特許文献2)。
しかしながら、上記いずれの文献においても、癌患者のLINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することにより手術予後が良好か否かを判定すること、さらには化学療法及び免疫療法の効果予測並びに最適な抗癌剤・免疫療法剤の選択については言及されていない。
特表2000-511776号公報 国際公開第02/38801A1号パンフレット 特開2003-259874号公報 Ncucleic Acids Res. 1997 June 15:25(12):2532-4 Cancer Sci September 2007;Vol.98, no.9:1454-1460
本発明は、上記した問題点を解決することを課題とした。より詳しくは、癌患者のメチル化頻度を測定することにより手術予後が良好か否かを判定する方法を提供することである。加えて、該メチル化頻度の測定結果より化学療法及び免疫療法の効果予測並びに最適な抗癌剤・免疫療法剤の選択方法も提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために、癌患者のLINE-1遺伝子のメチル化頻度に着目し、そして各癌患者でのLINE-1遺伝子のメチル化頻度により外科的手術後の予後に違いがあることを見出した。
本発明者らは、上記知見を基にして、癌患者の外科的手術後の治療選択方法及び予後診断方法を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
「1.癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することを特徴とする癌患者の外科的手術後の治療選択のための癌患者から採取した検体の検査方法。
2.上記治療が、免疫療法又は化学療法である前項1に記載の検査方法。
3.上記癌が、大腸癌又は肺癌である前項1又は2に記載の検査方法。
4.癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より低い場合には化学療法を選択し、メチル化頻度が基準値より高い場合には免疫療法を選択することを特徴とする癌患者の外科的手術後の治療選択のための癌患者から採取した検体の検査方法。
5.肺癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より高い場合には、外科的手術後の免疫療法を選択することを特徴とする肺癌患者の外科的手術後の治療選択のための肺癌患者から採取した検体の検査方法。
6.大腸癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より低い場合には、外科的手術後の化学療法を選択することを特徴とする大腸癌患者の外科的手術後の治療選択のための大腸癌患者から採取した検体の検査方法。
7.癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することを特徴とする癌患者の外科的手術後の治療選択方法。
8.上記治療が、免疫療法又は化学療法である前項7に記載の治療選択方法。
9.上記癌が、大腸癌又は肺癌である前項7又は8に記載の治療選択方法。
10.上記LINE-1遺伝子のメチル化頻度の測定方法が、非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の同時測定方法である前項7〜9のいずれか1に記載の治療選択方法。
11.癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より低い場合には化学療法を選択し、メチル化頻度が基準値より高い場合には免疫療法を選択することを特徴とする癌患者の外科的手術後の治療選択方法。
12.大腸癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より低い場合には、外科的手術後の化学療法を選択することを特徴とする大腸癌患者の外科的手術後の治療選択方法。
13.肺癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より高い場合には、外科的手術後の免疫療法を選択することを特徴とする肺癌患者の外科的手術後の治療選択方法。
14.癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することを特徴とする癌患者の外科的手術後の予後診断方法。
15.さらに、上記メチル化頻度の測定結果を基にして、癌患者の外科的手術後の化学療法又は免疫療法の効果を判定することを含む前項14に記載の予後診断方法。
16.上記LINE-1遺伝子のメチル化頻度の測定方法が、非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の同時測定方法である前項14又は15に記載の予後診断方法。
17.さらに、上記メチル化頻度の測定結果を基にして、癌患者の外科的手術後の抗癌剤又は免疫療法剤を選択することを含む前項14〜16のいずれか1に記載の予後診断方法。
18.上記癌が大腸癌又は肺癌である、前項14〜17のいずれか1に記載の予後診断方法。
19.癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することを特徴とする癌患者の薬剤感受性の判断方法。
20.上記薬剤が、免疫療法剤又は化学療法剤である前項19に記載の判断方法。」
本発明の予後診断方法では、癌患者のメチル化頻度を測定することにより手術予後が良好か否かを判定することが可能である。加えて、本発明の外科的手術後の治療選択方法では、癌患者のメチル化頻度を測定することにより化学療法又は免疫療法の選択を可能である。
(LINE-1配列)
本発明の「LINE-1配列」とは、ゲノム上の位置を転移(transposition)することのできる塩基配列トランスポゾン(広義)を意味する。なお、トランスポゾンにはDNA断片が直接転移するDNA型(狭義のトランスポゾン)と、RNAに転写された後再度逆転写により転移するRNA型(レトロポゾン)がある。LINE-1は後者であるレトロポゾンに分類される。
また、転移能を保持するLINE-1配列は約6Kbの長さがあり、逆転写酵素などをコードしている。ヒトゲノム中に認められるLINE-1配列の大部分は配列の欠失により短くなり、転移能を失っている。加えて、LINE-1由来の配列はヒトゲノムの約17%を占める。
(LINE-1配列とゲノムの不安定化)
また、LINE-1が高メチル化状態であれば、ゲノムが安定化する。一方、LINE-1が低メチル化状態であれば、LINE-1の転写が促進され、ゲノムの不安定化が生じて、発癌、癌の悪性化が起こると考えられている(参照:図1、2)。
(外科的手術後の治療選択方法)
本発明の「外科的手術後の治療選択方法」とは、外科的手術後に行う最適な治療方法を選択する方法である。
特に、本発明では、癌患者のLINE-1遺伝子のメチル化頻度を基にして、化学療法又は免疫療法を選択することができる。
(予後診断方法)
本発明の「予後」とは、外科的手術(治癒切除)後の約36ヶ月、好ましくは48ヶ月、より好ましくは約60ヶ月での生存率を意味する。
すなわち、本発明の「予後診断方法」とは、外科的手術(治癒切除)後の約36ヶ月、好ましくは48ヶ月、より好ましくは約60ヶ月での生存の確率を診断する方法である。
(免疫療法)
本発明の「免疫療法」とは、癌患者の免疫力を向上させることを目的とした療法を意味する。例えば、免疫療法では、OK432、ベスタチン、クレスチン等を癌患者に投与する。
(化学療法)
本発明の「化学療法」とは、公知の抗癌剤を癌患者に投与する療法を意味する。例えば、化学療法では、VP-16、UFT、フルツロン、5−FU、ミフロール、TS-1等を癌患者に投与する。
(癌種)
本発明の予後診断方法の対象となる癌種は、大腸癌、肺癌、胃癌、乳癌、膵癌等が挙げられる。しかしながら、本発明の予後診断方法では、好ましくは、大腸癌、肺癌を対象とする。
(検体)
本発明の「検体」とは、LINE-1遺伝子を含む生物学的試料であれば良く、特に限定されない。このような生物学的試料としては、一般に生体から採取した組織の他、血液、血清、糞便、射出精液、喀痰、唾液、脳脊髄液などが挙げられる。生体から採取した組織では、例えば手術により得られた組織の癌(例えば、大腸癌、肺癌)の組織切除物や手術前の内視鏡検査により得られた癌(例えば、大腸癌、肺癌)の組織生検材料などが挙げられる。
なお、本発明の外科的手術後の予後診断方法又は治療選択方法は、癌の外科的手術後の予後又は治療方法を判断するためのものであるから、術前の生検材料や、切除後の組織切除物を有効に利用することが望ましい。
(検体中のDNAの抽出方法)
検体中のDNAの抽出方法は、上記検体を例えばブレンダーを用いて組織を破砕し、フェノール・クロロホルム法などの公知の遺伝子抽出方法で行うことができる。
(LINE-1遺伝子のメチル化頻度の測定)
LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定するには、一般的には、得られた検体中のDNAの重亜硫酸反応処理を行い、さらに該DNAの遺伝子増幅を行う。そして、該DNA中のメチル化頻度を算出する。詳細は、以下の通りである。
(重亜硫酸反応)
重亜硫酸反応によりLINE-1配列上の非アルキル化シトシン(非メチル化シトシン)は速やかに脱アミノ化されウラシルに転換されるが、それに比べてLINE-1配列上のアルキル化シトシン(メチル化シトシン)は脱アミノ化の速度が著しく遅いという事実より、重亜硫酸によるゲノミックDNAの修飾シトシンを検出することができる。
なお、本発明に使用される重亜硫酸は特に限定されないが、例えば重亜硫酸ナトリウムが主に使用される。
(遺伝子増幅反応)
遺伝子増幅反応としては、自体公知の方法を適用することができ、例えばPCR法(Science, 230:1350-1354(1985))、NASBA法(Nature, 350, 91-92(1991))、LAMP法(WO 00/28082国際公開公報)などが挙げられ、好ましくはPCR法、より好ましくはreal-time PCRが適用される。
なお、遺伝子増幅反応では、アルキル化シトシンはシトシンとして、非アルキル化シトシンはウラシルまたはチミンとして検出される。
PCR法により増幅した産物の塩基配列を決定する方法は、Frommerら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 1827-1831 (1992))およびClarkら(Nucleic Acids Research 22, 2990-2997 (1994))等を参照することができる。
(検体での重亜硫酸反応)
以下に、一般的な検体中での重亜硫酸反応を示す。しかしながら、当然に以下の方法には限定されない。
まず、200pg〜50μgのゲノミックDNAをアルカリ条件化にて変性させる。変性の条件は、PCRの測定系で採用しうる条件であれば特に限定されないが、例えば0.2M〜0.3Mの水酸化ナトリウム溶液中にて、通常、37℃にて5〜30分間インキュベーションする条件が挙げられる。
次いで、ハイドロキノン(hydroquinone)溶液およびpH5.0の重亜硫酸ナトリウム溶液を終濃度がそれぞれ0.5mMおよび3.1mMとなるように添加し、50〜55℃にて16〜40時間インキュベートすることで、非アルキル化シトシンが修飾される。
さらに、段階的な透析{例えば、5mM 酢酸ナトリウム/0.5mMのハイドロキノン(pH5.2)、次いで0.5mM酢酸ナトリウム、最後に純水}を行うことで余剰の重亜硫酸が除去される。透析された検体は、真空オーブンによる濃縮またはエタノール沈澱の後、適当な緩衝液(例えば10mM Tris-HCl, 1mM EDTA, pH7.4〜8.0)または純水に溶解し、通常のPCRまたはアルキル化特異的PCRに用いることができる。
(遺伝子増幅用プライマー)
アルキル化特異的PCR(Hermanら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 9821-9826 (1996))による遺伝子の増幅では、LINE-1配列のアルキル化シトシン特異的プライマーおよび/または非アルキル化シトシン特異的プライマーを用いて実施される。
一般的には、アルキル化シトシン特異的プライマーは、アルキル化解析の対象となるゲノミックDNA中のCpG配列のシトシンに対応する部位のみがシトシンに対応した塩基であり、それ以外のシトシンに対応する部位はすべてウラシルに対応するように設計される。一方、非アルキル化シトシン特異的プライマーは、ゲノミックDNAのすべてのシトシンがウラシルに転換された配列に対応した配列となる。一般的に、アルキル化特異的PCRでは、プライマー配列と重亜硫酸修飾後のゲノミックDNA配列とが完全に相補的にアニーリングしたときにDNAの増幅が起こり、プライマー配列と重亜硫酸修飾後のゲノミックDNA配列との間に一塩基以上のミスマッチが存在するときにはDNAの増幅が起こらないようにプライマーおよびPCRの反応系を設計する。このことによって、アルキル化特異的PCRでは1塩基のアルキル化の有無も識別することが可能である。
(本発明のLINE-1遺伝子のメチル化頻度の測定方法)
本発明において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定するために、大きく以下の2つの測定方法を使用する。
非メチル化LINE-1配列増幅物量の定量とメチル化LINE-1配列増幅物量の定量を別々に行うことを特徴とする{非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の個別測定方法(「個別測定方法」と略する場合がある)}。
一方、非メチル化LINE-1配列増幅物量の定量とメチル化LINE-1配列増幅物量の定量を同時に行うことを特徴とする{非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の同時測定方法(「同時測定方法」と略する場合がある)}。
(非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の個別測定方法)
本測定方法は、非メチル化LINE-1配列増幅物量とメチル化LINE-1配列増幅物量を別々に定量することを特徴とする。より詳しくは、real-time PCRを使用して、非メチル化LINE-1配列増幅物量とメチル化LINE-1配列増幅物量を異なる容器、例えばマルチプレートの異なるwellで測定する。
測定順序の概要は、図3の通りである。
加えて、本測定方法に使用される遺伝子増幅用プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、具体的には、以下の配列を使用する(参照:図3)。
非メチル化LINE-1配列フォワードプライマー(LINE a: unmethylated LINE-1 forward primer):TGTGTGTGAGTTGAAGTAGGGT(配列番号1)
非メチル化LINE-1配列リバースプライマー(LINE b: unmethylated LINE-1 reverse primer):ACCCAATTTTCCAAATACAACCATCA (配列番号2)
メチル化LINE-1配列フォワードプライマー(LINE c: methylated LINE-1 forward primer):CGCGAGTCGAAGTAGGGC(配列番号3)
メチル化LINE-1配列リバースプライマー(LINE d: methylated LINE-1 reverse primer):ACCCGATTTTCCAAATACGACCG(配列番号4)
(非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の同時測定方法)
本測定方法は、非メチル化LINE-1配列増幅物量とメチル化LINE-1配列増幅物量を同時に定量することを特徴とする。より詳しくは、real-time PCRを使用して、非メチル化LINE-1配列増幅物量とメチル化LINE-1配列増幅物量を同じ容器、例えばマルチプレートの同じwellで測定する。
より詳しくは、メチル化に依存しない2つのプライマーを使用し、非メチル化特異的TaqManプローブとメチル化特異的TaqManプローブを使用した2種類の蛍光(FAM, TET)標識プローブを使用した2蛍光real-time methylation specific PCRより、非メチル化LINE-1配列増幅物量とメチル化LINE-1配列増幅物量を同じwellで同時に定量する。
測定順序の概要は、図4の通りである。
加えて、本測定方法に使用される遺伝子増幅用プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、具体的には、以下の配列を使用する(参照:図4)
Real-time PCR(TaqMan法)
フォワードプライマー: GGGAGTGTTAGATAGTGGG(配列番号5)
リバースプライマー: CTTCCCAAATAAAACAATACCTC(配列番号6)
非メチル化特異的TaqMan probe:FAM-CCTACTTCAACTCACACACAATAC(配列番号7:下線の核酸にはLocked Nucleic Acid (LNA)を使用)-BHQ1
メチル化特異的TaqMan probe:TET-CCTACTTCGACTCGCGCACGATAC(配列番号8)-BHQ1
(メチル化頻度の測定方法)
本発明の「メチル化頻度の測定方法」では、以下の式(数1)を用いて算出する。
なお、高LINE-1メチル化とは、メチル化頻度の分布から決定した中央値以上のメチル化頻度を意味し、低LINE-1メチル化とは、中央値未満のメチル化頻度を意味する。メチル化頻度の分布中央値は、各癌腫において実際に測定した臨床検体での解析値から決定される。
なお、メチル化頻度の分布から決定した中央値を「メチル化頻度の基準値」と称する。
加えて、癌患者から採取した検体のLINE-1遺伝子のメチル化頻度が、該基準値により、高い又は低いと判定できる。そして、医師ではない医療従事者が、該基準値より、癌患者の最適な治療を選択することも可能である。
すなわち、本発明では、「癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定して癌患者の外科的手術後の治療選択のための癌患者から採取した検体の検査方法」も含む。
さらに、外科的手術後の癌患者の治療選択方法のためのプログラムも設計することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例は、長期予後追跡のため1998年以前に癌の外科的切除を受けた患者群を対象に、レトロスペクティブに行われた研究である。DNAメチル化の定量はDNAの塩基配列等の解析とは異なり、次世代には受け継がれない体細胞性変化の解析であるためヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の対象とはならないが、当該指針に準じて金沢大学倫理委員会の承認の基に実施したものである。尚、癌組織は病理組織検査のために作成されたホルマリン固定・パラフィン包埋組織を利用して採集しており、病理検査組織の研究利用に関するインフォームドコンセントは得られていないため、DNAの抽出に際し連結不可能匿名化により個人情報を破棄して研究は実施された。
(検体の調製)
大腸癌及び肺癌と診断された癌患者について、LINE-1配列のメチル化状態を調べるために、検体を調製した。これらの検体はいずれも手術の実施以前に化学療法および放射線療法を受けていない患者に由来するものである。詳細は以下の通りである。
外科的切除後、病理組織検査のために作成されたホルマリン固定・パラフィン包埋組織より10μm厚の組織切片を作成し、癌組織の部分をメスで掻き取り1.5mlチューブに採集した。そして、採集した癌組織をキシレン、エタノールで脱パラフィン処理した後、QIAmp DNA Mini kit (QIAGEN)により、DNAを抽出して検体とした。
(非メチル化LINE-1配列及びメチル化LINE-1配列の定量)
各検体中のLINE-1配列のメチル化頻度を検出した。詳細は、以下の通りである。なお、LINE-1配列のメチル化頻度の測定には、非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の個別測定方法を使用した。
(重亜硫酸反応処理)
上記実施例1の検体を重亜硫酸ナトリウム処理により、非メチル化シトシンの修飾を行った。具体的には、18μl (約1μg)のDNAに3M水酸化ナトリウム溶液を2μl加え、50℃、20分間インキュベーションし、アルカリ変性した。次いで、125mMハイドロキノン(hydroquinone)と2.5M重亜硫酸ナトリウムを含有する溶液(pH5.0)を500μl添加し、50℃にて12時間インキュベートした。Wizard DNA cleanup kit (Promega)を用いて、DNAを精製した後、DNAをエタノール沈殿し、20μlの5mMトリス緩衝液に溶解した。
(pTA/LINEa-dプラスミドの作成)
非メチル化LINE-1配列及びメチル化LINE-1配列の定量に用いる検量線作成用サンプルとしてpTA/LINEa-dプラスミドを作成した。詳細は、以下の通りである。
あらかじめ非メチル化LINE-1配列増幅物をpGEM-T Easy Vector system(Promega, Madison, WI, USA)でクローン化した(「pTA/LINEa-b」と称する:参照図3)。一方、メチル化LINE-1配列増幅物をpGEM-T Easy Vector system(Promega, Madison, WI, USA)でクローン化した(「pTA/LINEc-d」と称する:参照図3)。
そして、非メチル化LINE-1配列をSacII及びSpeIによりpTA/LINEa-bから切断した。一方、メチル化LINE-1配列をEcoRI及びSpeIによりpTA/LINEc-dから切断した。該切断した断片をpGEM-T Easy VectorのSacIIとEcoRI間にサブクローン化した。これにより、pTA/LINEa-dプラスミド(非メチル化LINE-1配列及びメチル化LINE-1配列の両方を含みかつ直列に配置されている:参照:図3)を構築した。そして、このpTA/LINEa-dプラスミドを非メチル化LINE-1及びメチル化LINE-1両方の定量のための検量線作成に使用した。
(非メチル化LINE-1配列及びメチル化LINE-1配列の増幅)
上記のpTA/LINEa-dプラスミドを使用し、非メチル化LINE-1配列フォワードプライマー(配列番号1)及び非メチル化LINE-1配列リバースプライマー(配列番号2)を使用して、検体中の非メチル化LINE-1配列を増幅した。SYBER Green法にて増幅されたDNAをreal-time検出し、作成した検量線を用いて定量した。
一方、pTA/LINEa-dプラスミドを測定の基準値として使用し、メチル化LINE-1配列フォワードプライマー(配列番号3)及びメチル化LINE-1配列リバースプライマー(配列番号4)を使用して、検体中のメチル化LINE-1配列を増幅した。SYBER Green法にて増幅されたDNAをreal-time検出し、作成した検量線を用いて定量した。
なお、Real-time PCRは、ABI-PRISM 7700 Sequence Detection System (Applied Biosystmes, Foster, CA, USA)及びSYBR Premix Ex Taq(TaKaRa Bio, Otsu, Japan)を使用して、製造元のプロトコールに従って行った。非メチル化LINE-1配列及びメチル化LINE-1配列のReal-time反応は、96穴プレート上で同時に行った。
(LINE-1配列のメチル化頻度の測定)
上記実施例2の非メチル化LINE-1及びメチル化LINE-1の測定量を上記数1に記載の式を用いて各癌患者のLINE-1配列中のメチル化頻度として算出した。
(大腸癌におけるLINE-1メチル化頻度及び術後補助化学療法の有無と術後予後の関係)
StageII,IIIの大腸癌症例(全症例,n=139)のLINE-1メチル化頻度による外科的手術後の予後を検討した。詳細は、以下の通りである。
なお、補助化学療法施行症例群(n=78)で使用した抗癌剤は以下の通りである。
UFT:42症例
フルツロン:15症例
5−FU:12症例
ミフロール:9症例
(全症例におけるLINE-1メチル化と予後の関係)
結果を図5に示す。高LINE-1メチル化症例と低LINE-1メチル化症例の予後には有意な差異はなかった(p=0.32)。
(全症例における外科的手術後の補助化学療法の有無と予後の関係)
結果を図6に示す。外科的手術後の補助化学療法施行症例群では、手術単独症例(手術後の補助化学療法なし)群と比較して、生存率が高い傾向を認めた(p=0.053)。
{手術単独症例(手術後の補助化学療法なし)におけるLINE-1メチル化と予後の関係}
結果を図7に示す。高LINE-1メチル化症例群は、低LINE-1メチル化症例群と比較して、有意に生存率が高いことがわかった(p=0.013)。
{外科的手術後の補助化学療法施行症例におけるLINE-1メチル化と予後の関係}
結果を図8に示す。高LINE-1メチル化症例群と低LINE-1メチル化症例群の予後には有意な差異はなかった(p=0.27)。
(低LINE-1メチル化症例における外科的手術後の補助化学療法の有無と予後の関係)
結果を図9に示す。手術単独症例(手術後の補助化学療法なし)群は、外科的手術後の補助化学療法施行症例群と比較して、有意に生存率が低いことがわかった(p=0.0014)。
(高LINE-1メチル化症例における外科的手術後の補助化学療法の有無と予後の関係)
結果を図10に示す。手術単独症例(手術後の補助化学療法なし)群と外科的手術後の補助化学療法施行症例群の予後には有意な差異はなかった(p=0.51)。
図5〜10の結果により、高LINE-1メチル化症例群では手術単独で良好な予後が得られ、化学療法によるさらなる予後改善を確認できなかった。一方、低LINE-1メチル化症例群では手術単独では予後不良であるが、化学療法による著しい予後改善を確認できた。
すなわち、低LINE-1メチル化症例群では、外科的手術後において化学療法を行う必要がある。低LINE-1メチル化症例群は抗癌剤に対する感受性が高いと考えられる。大腸癌の外科的手術後に使用した抗癌剤は、フッ化ピリミジン系抗癌剤であり、したがって、低LINE-1メチル化症例群ではフッ化ピリミジン系抗癌剤が有効である可能性がある。
以上により、LINE-1メチル化解析は、大腸癌患者の予後診断法として有用であると同時に、術後補助化学療法の効果を予測することができる。
(肺癌におけるLINE-1メチル化及び術後補助免疫療法の有無と術後予後の関係)
StageIの肺癌症例(全症例,n=154)のLINE-1メチル化頻度による外科的手術後の予後を検討した。詳細は、以下の通りである。
なお、補助免疫療法施行症例群(n=52)で使用した免疫療法剤は以下の通りである。
OK432+ (VP-16):40症例 (VP-16は併用抗癌剤)
OK432単独:1症例
ベスタチン:11症例
(全症例におけるLINE-1メチル化と予後の関係)
結果を図11に示す。高LINE-1メチル化症例群と低LINE-1メチル化症例群の予後には有意な差異はなかった(p=0.18)。
(全症例における外科的手術後の補助免疫療法の有無と予後の関係)
結果を図12に示す。外科的手術後の補助免疫療法施行症例群と手術単独症例(手術後の補助免疫療法なし)群の予後には有意な差異はなかった(p=0.53)。
{手術単独症例(手術後の補助免疫療法なし)におけるLINE-1メチル化と予後の関係}
結果を図13に示す。高LINE-1メチル化症例群と低LINE-1メチル化症例群の予後には有意な差異はなかった(p=0.96)。
{外科的手術後の補助免疫療法施行症例におけるLINE-1メチル化と予後の関係}
結果を図14に示す。高LINE-1メチル化症例群は、低LINE-1メチル化症例群と比較して、有意に生存率が高いことがわかった(p=0.019)。
(低LINE-1メチル化症例における外科的手術後の補助免疫療法の有無と予後の関係)
結果を図15に示す。手術単独症例(手術後の補助免疫療法なし)群と外科的手術後の補助免疫療法施行症例群の予後には有意な差異はなかった(p=0.47)。
(高LINE-1メチル化症例における外科的手術後の補助免疫療法の有無と予後の関係)
結果を図16に示す。手術単独症例(手術後の補助免疫療法なし)群は、外科的手術後の補助免疫療法施行症例群と比較して、有意に生存率が低いことがわかった(p=0.051)。
図11〜16の結果により、低LINE-1メチル化症例群では外科的手術後の免疫療法による予後改善を確認できなかった。一方、高LINE-1メチル化症例群では手術単独に比較して補助免疫療法による著しい予後改善を確認できた。よって、肺癌の高LINE-1メチル化症例群では、外科的手術後の免疫療法を行う必要がある。高LINE-1メチル化症例群は免疫療法剤に対する感受性が高いと考えられる。
以上により、LINE-1メチル化解析は、肺癌患者の術後補助免疫療法の効果を予測することができる。
大腸癌患者でのLINE-1メチル化解析結果と肺癌患者でのLINE-1メチル化解析結果から、LINE-1メチル化解析は術後の補助療法の効果を予測し、最適な治療法を選択するマーカーとなることが判明した。
詳しくは、大腸癌の低LINE-1メチル化症例群は外科的手術後の化学療法は有効である。一方、肺癌の高LINE-1メチル化症例群は外科的手術後の免疫療法が有効である。
なお、大腸癌の外科的手術後に使用した抗癌剤は、フッ化ピリミジン系抗癌剤である。一方、肺癌の外科的手術後に使用した免疫療法剤には、OK432が多く含まれている。また、肺癌では抗癌剤であるVP-16を併用した症例も多い。これらの使用した抗癌剤や免疫療法剤に併用する抗癌剤の違いがLINE-1メチル化と予後の関係に影響している可能性がある。LINE-1メチル化頻度による抗癌剤・免疫療法剤の予後改善効果の相違は、抗癌剤の種類や抗癌剤と免疫療法剤の併用方法によっても異なると考えられ、これらの知見は従来のゲノムのメチル化マーカーでは得られない結果である。
以上により、LINE-1配列のメチル化頻度は、抗癌剤と免疫療法剤の双方を含めた術後補助療法に対する各癌の感受性を診断することができるので、新規な外科的手術後の治療選択マーカーとして有用である。さらに、本発明では、「癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度を測定することを特徴とする癌患者の薬剤感受性の判断方法」も含む。
(個別測定方法と同時測定方法の関係)
個別測定方法による測定結果と同時測定方法による測定結果を比較した。詳細は、以下の通りである。
測定対象:大腸癌組織 24検体
正常粘膜組織 24検体
測定方法:個別測定方法は、実施例2と同様な方法で測定した。
:同時測定方法は、以下の方法で測定した。
(非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の同時測定方法)
実施例2と同様に処理した重亜硫酸ナトリウム処理済み検体を、最終濃度0.8μM のforward primer: GGGAGTGTTAGATAGTGGG(配列番号5)、最終濃度0.8μM のreverse primer: CTTCCCAAATAAAACAATACCTC(配列番号6)、最終濃度0.4μMの非メチル化特異的TaqMan probe: FAM-CCTACTTCAACTCACACACAATAC-BHQ1(配列番号7)、最終濃度0.4μMのメチル化特異的TaqMan probe: TET-CCTACTTCGACTCGCGCACGATAC-BHQ1(配列番号8)、EpiTect MethyLight Master Mix (最終濃度x1, QIAGEN)と混合し、ABI 7900HTにてPCR反応(95℃、5分反応後、95℃、15秒〜60℃、1分を40サイクル)を行った。非メチル化特異的TaqMan probeとメチル化特異的TaqMan probeのTm値が同一(69℃)となるように非メチル化特異的TaqMan probeの5カ所の核酸(上記下線の核酸)にはLocked Nucleic Acid (LNA)を使用した。
検量線作成用サンプルには重亜硫酸ナトリウム処理後の非メチル化LINE-1配列とメチル化LINE-1配列をタンデムに配置した244塩基の人工合成遺伝子(配列番号9)を使用した。該人工合成遺伝子をpUCベクターにクローニングしたプラスミドpUC-LINE/STDをEcoRI, BamHIで消化した。消化したプラスミドは段階希釈し、スタンダードとして使用した。
また、EcoRIにより非メチル化LINE-1配列をプラスミドから切り出し、電気泳動・精製後、非メチル化LINE-1の陽性コントロール、メチル化LINE-1の陰性コントロールとして使用した。
一方、BamHIによりメチル化LINE-1配列をプラスミドから切り出し、同様にメチル化LINE-1の陽性コントロール、非メチル化LINE-1の陰性コントロールとして使用した。PCR反応後のリアルタイムデータからFAM蛍光により非メチル化LINE-1量を、TET蛍光によりメチル化LINE-1量を定量した。
(LINE-1配列のメチル化頻度の測定)
上記個別測定法及び同時測定法から得られた測定量を上記数1に記載の式を用いて各癌患者のLINE-1配列中のメチル化頻度として算出した。
(個別測定方法による測定結果と同時測定方法による測定結果の関係)
結果を図17に示す。個別測定方法と同時測定方法の相関は非常に高かった。すなわち、両測定方法は同様な結果を得ることができる。
(両測定方法による大腸癌症例結果と正常例結果におけるLINE-1配列のメチル化頻度の関係)
結果を図18に示す。正常例(正常粘膜組織)の両測定結果において、同時測定結果は、個別測定結果と比較して、ばらつきがなかった(大部分が85%以上)。すなわち、同時測定方法では、LINE-1配列中のメチル化の低い検体を癌であると診断することも可能である。
全体の解析結果から判断すると、同時測定方法は、個別測定方法と比較して、最大値が高く、逆に最低値は低い。すなわち、LINE-1配列のメチル化頻度の差異を検出するのに優れている。
さらに、同時測定方法は、個別測定方法とは異なり、非メチル化LINE-1配列増幅物量とメチル化LINE-1配列増幅物量を同時に測定することができるので、簡便な操作である。
また、メチル化に依存しない2つのプライマーを使用しているため当該プライマーで検体をあらかじめPCR増幅させておき、増幅させた検体を測定に用いることもできるため、微量の臨床検体の解析も可能である。
上記詳述したように、本発明の予後診断方法では、癌患者のメチル化頻度を測定することにより手術予後が良好か否かを判定する方法を提供する。加えて、該メチル化頻度の測定結果より化学療法および免疫療法の効果判定(効果予測)方法も提供する。
LINE-1配列とゲノムの不安定化の模式図 大腸癌におけるLINE-1のメチル化と予後の関係 非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の個別測定方法の測定工程 非メチル化及びメチル化LINE-1配列増幅物量の同時測定方法の測定工程 大腸癌全症例群におけるLINE-1メチル化と予後の関係 大腸癌全症例群における術後補助化学療法の有無と予後の関係 手術単独症例群におけるLINE-1メチル化と予後の関係 術後補助化学療法施行症例群におけるLINE-1メチル化と予後の関係 低LINE-1メチル化症例群における術後補助化学療法の有無と予後の関係 高LINE-1メチル化症例群における術後補助化学療法の有無と予後の関係 肺癌全症例群におけるLINE-1メチル化と予後の関係 肺癌全症例群における術後補助免疫療法の有無と予後の関係 手術単独症例群におけるLINE-1メチル化と予後の関係 術後補助免疫療法施行症例群におけるLINE-1メチル化と予後の関係 低LINE-1メチル化症例群における術後補助免疫療法の有無と予後の関係 高LINE-1メチル化症例群における術後補助免疫療法の有無と予後の関係 個別測定方法による測定結果と同時測定方法による測定結果の関係 両測定方法による大腸癌症例結果と正常例結果におけるLINE-1配列のメチル化頻度の関係(図中の"N"は、「正常例」であり、"T"は「大腸癌例」である)

Claims (2)

  1. 大腸癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より低い場合には、外科的手術後の化学療法を選択することを特徴とする大腸癌患者の外科的手術後の治療選択を補助する方法
  2. 肺癌患者から採取した検体において、LINE-1遺伝子のメチル化頻度が基準値より高い場合には、外科的手術後の免疫療法を選択することを特徴とする肺癌患者の外科的手術後の治療選択を補助する方法
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