JP4881049B2 - 電気メッキ用コンダクターロール - Google Patents

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Description

本発明は、鋼板及び電解銅箔等の電気メッキ設備におけるコンダクターロールに関し、特に電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生を抑制すると共に耐摩耗性及び耐腐食性に優れ、更には消費電力を削減することができる、電気メッキ用コンダクターロールに関するものである。
従来、鋼板及び電解銅箔等の連続電気メッキ設備で使用するコンダクターロールは、通電金属ロールであるロール胴部と、該ロール胴部の両端部の軸に給電部材を嵌着したロールエンドにより構成される。
上記ロール胴部は、高電流通電のもとにおいて強酸性のメッキ液と接触するため通電腐食抵抗性が必要であり、SUS−316L又はニッケル基合金である「インコネル」又は「ハステロイ」相当のニッケル基合金で形成されたコンダクターロールが使用されている。特に製鉄所における電気亜鉛メッキ設備のコンダクターロールにおいては、前記ニッケル基合金である「インコネル」又は「ハステロイ」相当のニッケル基合金で形成された遠心鋳造スリーブ又はHIP(Hot Isostatic Pressing:熱間等方圧加圧)加工スリーブを焼嵌めした上、仕上げ加工を施した二層構造のコンダクターロールが使用されている。
上記従来のコンダクターロールにより鋼板に通電しつつ通板すると、始めは良質な電気メッキ鋼板を製造することができる。しかしながら、数週間のうちにコンダクターロールの表面の電流が不均一となり、線状マークや電蝕マークが発生してしまうという問題点があった。
この問題は、
a)焼嵌め時におけるロール胴部と外部スリーブとの内部接触部のグリップ力の不均一。
b)ロール胴部金属材と外部スリーブ金属材の熱膨張係数の差による焼嵌め部接触部分の相対的移動。
c)供給電力の急降下又は中断時に発生する逆起電力により起こる電気化学的陰極作用による腐食。
d)鋼板とロール表面との、実接触点を減らし、滑りやすくするロール表面の摩耗。
等の諸要因により、ロール胴部と外部スリーブとの接触部分に分離と腐食が発生し、該接触部分に電流が集中することにより大電流が流れて過熱され、その結果として、ロール胴部の熱変形が生じ、鋼板との接触状態が不均一になるためと考えられる。
さらに、コンダクターロールにより鋼板に通電しつつ通板する際、該鋼板がコンダクターロールの表面と確実に密着通板できない場合、局部的にコンダクターロールと接触/非接触を繰り返しながら通板することになる。この時、鋼板とコンダクターロールの接触時に発生する火花により、アークスポットが発生してしまうという問題点があった。電蝕マークは、前述の製品であるメッキ鋼板表面のアークスポットの転写であるといわれており、アークスポットを防ぐことで、電蝕マーク等を低減させることができる。これは、鋼板とロールの密着を改善しようとコンダクターロールの表面粗度を粗めのRa0.6μm以上の鏡面加工にした場合でも、同様である。
このアークスポットを改善する対策として、コンダクターロールと鋼板とが確実に密着するようにテンションを強くすると、一般的なコンダクターロールのロール表面硬度がHv180と軟硬度のため、鋼板エッジによるエッジ摩耗が著しく進み、鋼板に転写されたり、該エッジ摩耗による金属メッキの不均一析出が発生してエッジから離れた中央部にまで不均一析出範囲が拡散してしまったりという新たな問題点が発生してしまう。このため、コンダクターロールの寿命は短くなり、該コンダクターロールの交換作業を頻繁に行う必要が生じてしまうという問題点があった。
また、コンダクターロールの下地に熱伝導性の良い銅を用いてロール表面の熱変形を抑制して、前述の鋼板との接触状態を改善しようとする技術も公開されている。(下記特許文献参照)
特開昭63−033537号公報 特開平01−147090号公報 特開昭60− 46395号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するために成されたものであり、鋼板及び電解銅箔等の電気メッキ設備におけるコンダクターロールにおいて、電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生を抑制すると共に耐摩耗性及び耐腐食性に優れ、更には消費電力を削減することができ、高品質且つ安価な製品の提供できる、コンダクターロールを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者は、
・ロール胴部表面に要求される硬さ、耐食性などの機械的特性
・コンダクターロール通電部位の構造
について広く研究を行った。
これにより、以下の知見を得た。
1)ロール胴部への高耐食、高硬度な溶射皮膜の適用が有効であること
2)ロール胴部表面近傍に配置した電気抵抗の低い材料の層が電流の偏りを改善できること
3)通電を必要としないロール胴部表面の部位には絶縁を施すと、さらに電流の偏りを改善できること
本発明は上記の知見を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)ロール胴部の表面に、厚さ50μm〜10mmの厚さのニッケル基合金皮膜を有し、当該合金皮膜の表層に、Hv480以上の硬度の窒化層が形成され、前記ニッケル基合金皮膜はHVAF溶射により成膜され、溶射すると同時に前記窒化層を成形していることを特徴とする電気メッキ用コンダクターロール。
(2)前記合金皮膜の下に、銅、銀、金、白金のいずれかまたはこれらの合金を厚さ5μm〜500μmの溶射又はメッキした下地層を形成したことを特徴とする(1)に記載の電気メッキ用コンダクターロール。
(3)コンダクターロールのロール胴部の両端部や側面及び軸部に、ガラス質層であるセラミックスが鋼板エッジより両端各10〜50mm内側まで被覆されたことを特徴とする(1)または(2)に記載の電気メッキ用コンダクターロール。
(4)ロール胴部の表面に、厚さ50μm〜10mmの厚さのニッケル基合金皮膜をHVAF溶射により成膜し、溶射すると同時に当該合金皮膜の表層にHv480以上の硬度の窒化層を成膜することを特徴とする電気メッキ用コンダクターロールの製造方法。
(5)前記合金皮膜の下に、銅、銀、金、白金のいずれかまたはこれらの合金を厚さ5μm〜500μmの溶射又はメッキした下地層を形成することを特徴とする(4)に記載の電気メッキ用コンダクターロールの製造方法。
(6)コンダクターロールのロール胴部の両端部や側面及び軸部に、ガラス質層であるセラミックスが鋼板エッジより両端各10〜50mm内側まで被覆することを特徴とする(4)または(5)に記載の電気メッキ用コンダクターロールの製造方法。
本発明のコンダクターロールは表面のニッケル合金皮膜に硬質の窒化層が形成されているので、ストリップとの接触により摩耗、摩耗に伴う肌荒れを抑制する効果がある。特にNiは、記載の他の元素と結合して複合炭窒化物を生成し、硬質化に寄与するので、表面の硬度を高めることができる。また、ニッケル合金皮膜の組成がCr14〜29%、Mo0〜17%、Fe0〜19%、Co0〜2.5%、Cu0〜3.5%、Nb,Ta,Ti,W,V,C,Al,Y2O3,Si,N,Zrの合計が5%未満、残Niからなる合金である通称インコネル合金、または、Cr15〜23%、Mo8〜29%、Fe5〜19%、Co0〜2%、W0〜5%、C0.01〜0.1%、Si0.1%未満、残Niからなる合金である通称ハステロイ合金であると、耐食性、硬度ともに高い特性が得られる。さらに、硬度の向上によって耐摩耗性も向上するので、耐食性の向上と合わせて耐久性の良いコンダクターが得られる。
また、ロールの胴部の表面に銅、銀、金、白金のいずれかの導電性材料を薄く施す場合では、銅、銀、金、白金またはこれらの合金は電気抵抗が非常に低いので、電気スポット発生の原因の一つである電流の偏りを解消する効果が得られる。
また、ストリップと接触しない部位でもメッキ液などが付着する範囲に絶縁を伴うガラス溶射を施した場合では、エッジ摩耗が防止され、ロール表面へのメッキ付着が防止されるので、さらなる電流の偏りを無くす効果が得られる。また、この場合、ロール表面へのメッキ付着が防止され、電流の偏りがなくなるので、無駄な電流がなくなり、消費電力を削減することができる。
また、ロール再生の際に焼き嵌めされるスリーブの表面に前述の諸溶射を施すことで、新規にロールを製作する場合より安価にロールを製造する効果が得られる。
したがって、本発明の電気メッキ用コンダクターロールを鋼板及び電解銅箔等の電気メッキ設備におけるコンダクターロールとして使用すれば、電蝕アークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生が抑制される共に耐摩耗性及び耐腐食性に優れているため長寿命となり、コンダクターロールの交換作業回数も激減し、消費電力も削減でき、高品質且つ安価な製品の提供が可能となるという効果を奏する。更にはコンダクターロールの両端部にセラミックスを溶融溶射した場合、鋼板接触部以外には電流が流れないため、消費電力を削減することができるという効果も奏する。
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の電気メッキ用コンダクターロールの第一実施例による溶射構成を説明するための正面部分断面図であり、図2は図1におけるA部拡大図である。
図1及び図2の(a)に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、通電腐食抵抗性を有するニッケル基合金6を厚さ50μ〜10mm程度に溶射すると同時に当該ニッケル基合金6の表面に窒化層を形成し、表面硬度をHv480程度の高硬度に担持させる。ニッケル基合金6の厚さは薄すぎると通板時の摩耗によって短期間でその機能が消失してしまうため、50μm以上であることが好ましい。逆に、厚すぎると溶射コストが上昇し、経済的な効果が薄れてしまうため10mm以下が好ましい。
図2の(b)に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い銅、銀、金又は白金等の金属を厚さ5μ〜500μ程度に溶射又はメッキして下地層4を形成し、該下地層4の表面に通電腐食抵抗性を有するニッケル基合金6を厚さ50μ〜10mmに溶射すると同時に当該ニッケル基合金6の表面に窒化層を形成し、表面硬度をHv480程度の高硬度に担持させる。電気抵抗の低い銅、銀、金又は白金等の金属の溶射又はメッキの厚さは、薄すぎると電流の偏りを低減する効果が減少するため、5μm以上が好ましい。逆に厚すぎると溶射またはメッキのコストが上昇し、経済的な効果が薄れてしまうため500μm以下が好ましい。
図3は本発明の電気メッキ用コンダクターロールの異なる形態による溶射構成を説明するための正面部分断面図であり、図4は図3におけるB部拡大図である。
図3及び図4の(a)に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、通電腐食抵抗性を有するニッケル基合金6を厚さ50μ〜10mm程度に溶射すると同時に当該ニッケル基合金6の表面に窒化層を形成し、表面硬度をHv480程度の高硬度に担持させ、更にロール胴部3の両端部や側面及び軸部に、エッジ摩耗防止とロール表面へのメッキ付着防止のための絶縁層としてガラス質層であるセラミックス7を厚さ50μ〜1mm程度に溶融溶射する。尚、当該ロール端部の溶融溶射膜厚の厚さは絶縁機能が保持できれば、前述の範囲内でいかなる厚さにしても良いが、絶縁層としてガラス質層であるセラミックス7の厚さが薄すぎると、わずかなキズなどで絶縁機能を消失するため50μm以上が望ましい。逆に厚い場合、溶融溶射皮膜が剥離しやすくなるため、1mm以下が望ましい。
また、この絶縁を目的とした溶融溶射皮膜の範囲は、鋼板のエッジが通過する部位を含むロール端部全周が望ましく、鋼板のエッジが通過する位置より内側までをその範囲とすることが好ましい。前述の溶融溶射皮膜の範囲は、特に通常の通板ストリップのパスライン変動量を考慮して、通常、鋼板のエッジが通過する位置より10〜50mm内側であることが望ましい。
図4の(b)に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い銅、銀、金又は白金等の金属を厚さ5μ〜500μ程度に溶射又はメッキして下地層4を形成し、該下地層4の表面に通電腐食抵抗性を有するニッケル基合金6を厚さ50μ〜10mm程度に溶射すると同時に当該ニッケル基合金6の表面に窒化層を形成し、表面硬度をHv480程度の高硬度に担持させ、更にロール胴部3の両端部や側面及び軸部に、エッジ摩耗防止とロール表面へのメッキ付着防止のための絶縁層としてガラス質層であるセラミックス7を厚さ50μ〜1mm程度に溶融溶射する。なお、上記ロール胴部3の両端部や側面及び軸部にセラミックス7を溶融溶射した実施形態の場合、ニッケル基合金6とセラミックス7との接合部表面は研磨処理により段差をなくした平坦面とする。
また、図7はニッケル基合金と鋼板の接触位置関係を表した図であり、ニッケル基合金6の溶射幅は鋼板8のエッジより両端各10〜50mm程度内側にし、該内側部分にセラミックス7を溶融溶射すれば、ニッケル基合金6と鋼板8のエッジ部との間で放電することもなく、アークスポットの発生を防止することができる。
図1〜図4に示したニッケル基合金は、通電腐食抵抗性を有する材質であれば、いかなる成分組成によるニッケル基合金でもかまわない。例えば通電腐食抵抗性に加え、当該材質の層の強度が比較的容易に得られる、Cr14〜29%、Mo0〜17%、Fe0〜19%、Co2.5%、Cu3.5%、Nb,Ta,Ti,W,V,C,Al,Y2O3,Si,N,Zrのいずれかまたは2つ以上の合計で5%未満を含み、残部がNiおよび不可避的不純物であるインコネル合金、または、Cr15〜23%、Mo8〜29%、Fe5〜19%、C0.01〜0.1%、Si0.1%未満、残部がNiおよび不可避的不純物であるハステロイ合金であることが望ましい。
また、前述のニッケル基合金層の施工方式として、図6に示すように、HIP法などに比べて、表面硬度を高くすることができるHVFによる溶射被覆であることが望ましい。
本発明の実施例を実験結果に基づき説明する。図2及び図4の(b)の実施例図に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に当該ロール胴部3を構成する金属とは異なる金属による肉盛溶射を実施した。
(発明例1並びに比較例1及び2)
まず、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い金属である銅を厚さ500μで肉盛溶射を行い下地層4を形成後、その上に通電腐食抵抗性を有するニッケル基合金6である「インコネル625」を厚さ1mmで肉盛溶射を行った。該「インコネル625」は、通電状態において接触する酸性腐食液であるメッキ浴液に対し、優れた通電腐食抵抗性を有するニッケル基合金(成分:21.5Cr、9Mo、2.5Fe、3.6(Nb+Ta)、残Ni)である。また、前記ニッケル基合金6の表面に窒化層を形成し、表面硬度をHv480程度の高硬度に担持させた。
次に、ロール胴部3の両端部や側面及び軸部に、絶縁材質であるガラス質セラミックス7としてケイ酸ガラス系材料を厚さ1mmで溶融溶射を行った。ロール表面は研磨して段差のない状態とし、ロール表面粗度は電蝕マークの発生しやすいRa0.1μmの鏡面加工とした。
これに対し、比較例1及び2として、ロール胴部にNi合金をHIP成形して製造したコンダクターロールを用いた。比較例1のロールの成分は (21.5Cr、9Mo、2.5Fe、3.6(Nb+Ta)、残Ni)の通称インコネル合金であり、比較例2のロールの成分は(16Cr、16Mo、4W、5.5Fe、残Ni)の通称ハステロイ合金である。これらには下地処理や両端部の絶縁処理はしていない。これらの表面硬度はHv300程度である。また、これらの表面粗度は比較例1についてはRa0.1μmの鏡面加工、比較例2についてはRa0.6μmになるように研磨を施した。
上記コンダクターロールにて、図8に示す電気メッキ試験を行った。ストリップ(連続鋼帯)14は、試験用コンダクターロール9−1、および9−2の2つのロールに巻きつき、シンクロール10を介して搬送される。搬送経路には、浴槽15を配しており、メッキ浴12で満たされている。ストリップは押し付けロール11−1,11−2のそれぞれによってコンダクターロール9−1、9−2に密着している。コンダクターロール9−1、9−2とメッキ浴中の電極16には電源13から電圧が印加されており、ストリップとメッキ浴との境界で電荷が授受されストリップ表面で電気メッキが行われる。試験では、Znメッキ浴を使用した。なお、電蝕マーク及びアークスポットは粗度が低く鏡面に近いほど発生しやすい。
その結果、表1に示すように、表面粗度をRa0.1μmの鏡面加工にした場合で、比較例1のコンダクターロールでは実験開始当初よりアークスポットや電蝕マークが発生していたのに対し、本発明のコンダクターロールでは鋼板の電蝕マークの発生は、50時間までなかった。更に鋼板エッジ部付近の摩耗や電蝕も軽減された。この結果、従来の遠芯鋳造スリーブ及び引き抜き鋼管等と異なり、ニッケル基合金6の溶射層の表面が鏡面状態であっても、アークスポットや電蝕マークが発生しないことが判明した。
ただし、初期の表面粗度がRa0.6μm以上である比較例2の場合、従来技術のコンダクターロールであっても鋼板の電蝕マークは、50時間近くまで発生しなかった。比較例2のコンダクターロールでは50時間後の表面粗度がRa0.2μmにまで摩耗して落ちており、これにより50時間近く経ってから電蝕マークが生じたものと考えられる。一方、本発明は初期から表面粗度がRa0.1μmと低かったが、銅の下地処理がしてあったので、電流が集中せず、電蝕マークが生じなかったものと考えられる。
上記コンダクターロール1のロールエンド2の両端部より給電を行うと、電流は始めに電気抵抗の低い銅〔比電気抵抗:16.7μΩ・cm〕に流れ、その後、電気抵抗が銅より遥かに高い「インコネル625」〔比電気抵抗:129.0μΩ・cm〕を経由して鋼板に流れる。この時、コンダクターロール1のロール胴部3におけるニッケル基合金6は溶射層によるものであるためコンダクターロール1の表面の電流は均一となる。図5はニッケル基合金に流れる電流の模式図であり、電気抵抗の低い下地層4のa−aより流れた電流は、ニッケル基合金6の内部で均一に鋼板に流れることを表している。従って、電流は偏ることなくコンダクターロール1の表面に均一に分散され且つ確実に流れることから電蝕マークが発生することがない。また、該溶射層にミクロの気孔が内在していても電流が分散して流れることからスパークが発生することもない。
(発明例2)
発明例2では、発明例1のコンダクターロールに対し、ロール胴部3の両端部や側面に絶縁材質を設けなかった例である。
同じく、図8に示す、電気メッキ試験を行ったところ、鋼板のエッジ部で50時間に到る前に電蝕マークが発生したが、それ以外の胴部中央近傍には、鋼板の電蝕マークは50時間まで発生しなかった。
(発明例3)
発明例3は、ニッケル基合金6に、ハステロイ合金(16Cr、16Mo、4W、5.5Fe、残Ni)の組成である金属を溶射した場合である。ニッケル合金6以外は発明例1と同じ構成のコンダクターロールである。発明例1、発明例2と同様に、50時間まで、鋼板の電蝕マークは発生しなかった。
図6は本発明の電気メッキ用コンダクターロールの表面強度を説明するための比較グラフである。図6に示すように、一般的なコンダクターロールのロール表面硬度がHv180であり、HIP加工によるロール表面硬度がHv307であるのに対し、本発明の溶射〔HVAF(High Velocity Air Fuel)溶射〕によるロール表面硬度はHv483と非常に高い硬度を有しているのがわかる。
(発明例4)
発明例4は、前述の発明例1〜3に対し、下地層の導電材料やロール胴両端部絶縁材料、を用いなかった場合である。表面ニッケル基合金6には、発明例1と同じインコネル組成の材料を用いた。その際、導電下地を用いていないことから、ロール表面粗度は、他の実施例とは異なりRa0.4μmとした。前述の表面硬度の改善により、従来技術であるHIP材料に比べ、表面粗度の低下が少なくなり、図8に示した電気メッキ試験において、鋼板中央部については50時間まで電蝕マークが発生しなかった。このように、ニッケル基合金6に高速ガスフレーム溶射(HVAF溶射)などにより表面に窒化層を形成する溶射方式を用いることだけでも、一定の電蝕マーク抑制効果が得られる。
上記実施例は新規のコンダクターロールに関して述べたものであるが、現在使用中のコンダクターロールのロール胴部の表面又は焼嵌めされた外部スリーブの表面に実施しても同様の効果を得ることができる。また、使用済みロールに対して実施しても同様の効果を得ることができるため、リサイクルに貢献することもできる。
Figure 0004881049
前述のように本発明は鋼板及び電解銅泊等の電気メッキ設備におけるコンダクターロールにおいて、電蝕マークやアークスポットおよびロール表面へのメッキ析出の発生を抑制するとともに、耐摩耗性及び耐食性に優れている。
その結果、当該メッキプロセスにおけるコンダクターロールに関係した修繕コストを大幅に低減できるとともに、メッキ品質に優れたメッキ鋼板などを効率よく生産することを可能にした。
本発明の電気メッキ用コンダクターロールの第一実施例による溶射構成を説明するための正面部分断面図である。 図1におけるA部拡大図である。 本発明の電気メッキ用コンダクターロールの第二実施例による溶射構成を説明するための正面部分断面図である。 図3におけるB部拡大図である。 ニッケル基合金に流れる電流の模式図である。 本発明の電気メッキ用コンダクターロールの表面強度を説明するための比較グラフである。 ニッケル基合金と鋼板の接触位置関係を表した図である。 電気メッキ試験を説明する図である。
符号の説明
1 コンダクターロール
2 ロールエンド
3 ロール胴部
4 下地層
6 ニッケル基合金
7 セラミックス
8 鋼板
9 コンダクターロール
10 シンクロール
11 押し付けロール
12 メッキ浴
13 電源
14 ストリップ(連続鋼帯)
15 浴槽
16 電極

Claims (6)

  1. ロール胴部の表面に、厚さ50μm〜10mmの厚さのニッケル基合金皮膜を有し、当該合金皮膜の表層に、Hv480以上の硬度の窒化層が形成され、前記ニッケル基合金皮膜はHVAF溶射により成膜され、溶射すると同時に前記窒化層を成形していることを特徴とする電気メッキ用コンダクターロール。
  2. 前記合金皮膜の下に、銅、銀、金、白金のいずれかまたはこれらの合金を厚さ5μm〜500μmの溶射又はメッキした下地層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電気メッキ用コンダクターロール。
  3. コンダクターロールのロール胴部の両端部や側面及び軸部に、ガラス質層であるセラミックスが鋼板エッジより両端各10〜50mm内側まで被覆されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電気メッキ用コンダクターロール。
  4. ロール胴部の表面に、厚さ50μm〜10mmの厚さのニッケル基合金皮膜をHVAF溶射により成膜し、溶射すると同時に当該合金皮膜の表層にHv480以上の硬度の窒化層を成膜することを特徴とする電気メッキ用コンダクターロールの製造方法。
  5. 前記合金皮膜の下に、銅、銀、金、白金のいずれかまたはこれらの合金を厚さ5μm〜500μmの溶射又はメッキした下地層を形成することを特徴とする請求項4に記載の電気メッキ用コンダクターロールの製造方法。
  6. コンダクターロールのロール胴部の両端部や側面及び軸部に、ガラス質層であるセラミックスが鋼板エッジより両端各10〜50mm内側まで被覆することを特徴とする請求項4または5に記載の電気メッキ用コンダクターロールの製造方法。
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