JP2008266763A - 金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール - Google Patents
金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール Download PDFInfo
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Abstract
【課題】金属電気メッキ及び電解銅箔設備におけるコンダクターロールにおいて、電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生を抑制すると共に耐摩耗性に優れた、電解処理用コンダクターロールを提供する。
【解決手段】コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い銅を溶射又はメッキして下地層4を形成し、該下地層の表面に表面硬度の高いWC/NiCr複合材合金層5を溶射し、表面硬度をHV900〜1200の高硬度に担持させる。
【選択図】図1
【解決手段】コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い銅を溶射又はメッキして下地層4を形成し、該下地層の表面に表面硬度の高いWC/NiCr複合材合金層5を溶射し、表面硬度をHV900〜1200の高硬度に担持させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属電気メッキ及び電解銅箔設備におけるコンダクターロールに関し、特に電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生を抑制すると共に耐摩耗性に優れた、電解処理用コンダクターロールに関するものである。
従来、金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理設備で使用するコンダクターロールは、通電金属ロールであるロール胴部と、該ロール胴部の両端部の軸に給電部材を嵌着したロールエンドにより構成される。
上記ロール胴部は、高電流通電のもとにおいて強酸性のメッキ液と接触するため通電腐食抵抗性が必要であり、ニッケル基合金である「インコネル」又は「ハステロイC」相当のニッケル基合金で形成された遠芯鋳造スリーブ又は粉末焼結合金のHIP(Hot Isostatic Pressing:熱間等方圧加圧)加工スリーブを焼嵌めした上、仕上げ加工を施した二層構造のコンダクターロールが使用されている。
特開昭63−033537号公報 特開平01−147090号公報
上記従来のコンダクターロールにより鋼鈑及び銅箔に通電しつつ通板すると、始めは良質な電気メッキ鋼鈑及び銅箔を製造することができる。しかしながら、数週間のうちにコンダクターロールの表面の電流が不均一となり、熱線や電蝕マークが発生してしまうという問題点があった。該発生要因として下記が考えられる。
1)焼嵌め時におけるロール胴部と外部スリーブとの内部接触部のグリップ力の不均一。
2)ロール胴部金属材と外部スリーブ金属材の熱膨張係数の差による焼嵌め部接触部分の相対的移動。
3)供給電力の急降下又は中断時に発生する逆起電力により起こる電気化学的陰極作用による腐食。
1)焼嵌め時におけるロール胴部と外部スリーブとの内部接触部のグリップ力の不均一。
2)ロール胴部金属材と外部スリーブ金属材の熱膨張係数の差による焼嵌め部接触部分の相対的移動。
3)供給電力の急降下又は中断時に発生する逆起電力により起こる電気化学的陰極作用による腐食。
上記要因により、ロール胴部と外部スリーブとの接触部分に分離と腐食が発生し、該接触部分に電流が集中することにより大電流が流れて過熱されるためである。
また、コンダクターロールにより鋼鈑及び銅箔に通電しつつ通板すると、該鋼鈑及び銅箔がコンダクターロールの表面と確実に密着通板できないため、局部的にコンダクターロールと接触/非接触を繰り返しながら通板することになる。この時、鋼鈑及び銅箔とコンダクターロールの接触時に発生する火花により、アークスポットが発生してしまうという問題点があった。更にコンダクターロールの表面粗度を鏡面加工にした場合にもアークスポットが発生してしまうという問題点があった。
また、鋼鈑及び銅箔のエッジ部によりコンダクターロールの表面が局部的に磨耗することによるアークスポットの発生と、前記エッジ磨耗による金属メッキの析出という新たな問題点が発生した。
本発明は、上記のような問題点を解決するために成されたものであり、金属電気メッキ及び電解銅箔設備におけるコンダクターロールにおいて、電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生を抑制すると共に耐摩耗性に優れた、電解処理用コンダクターロールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロールにおいては、コンダクターロールのロール胴部の表面に、電気抵抗の低い銅を溶射又はメッキして下地層を形成し、該下地層の表面に表面硬度の高いWC/NiCr複合材合金層を溶射し、表面硬度をHV900〜1200の高硬度に担持させる。
本発明のコンダクターロールを金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロールとして使用すれば、電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生が抑制される共に耐摩耗性に優れているため長寿命となり、コンダクターロールの交換作業回数も激減することになる。従って、高品質且つ安価な製品の提供が可能となるという効果を奏する。
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロールの溶射構成を説明するための正面部分断面図であり、図2は図1におけるA部拡大図である。
図1及び図2に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い銅を溶射又はメッキして下地層4を形成し、該下地層4の表面に表面硬度の高いWC/NiCr複合材合金層5を溶射し、表面硬度をHV900〜1200の高硬度に担持させる。
上記下地層4の厚さは、0.5mm〜5.0mmの範囲内とし、2.0mm程度が好適である。また、上記WC/NiCr複合材合金層5の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲内とし、0.3mm程度が好適である。
本発明の実施例を実験結果に基づき説明する。まず、図1及び図2に示すように、コンダクターロール1のロール胴部3の表面に、電気抵抗の低い銅を厚さ2.0mmで肉盛溶射を実施し、下地層4を形成した。
次に、上記下地層4の表面に、表面硬度の高いWC/NiCr複合材合金層5を厚さ0.3mmで肉盛溶射を実施し、表面硬度をHV900〜1200の高硬度に担持させた。
上記コンダクターロール1にて金属電気メッキ及び電解銅箔電解処理試験を行ったところ、従来のコンダクターロールの表面粗度がRa0.6以内ではアークスポットが発生していたのに対し、本発明のコンダクターロールは表面粗度をRa0.05の超鏡面加工にした場合でもアークスポットの発生はなかった。更に鋼鈑及び銅箔のエッジ部付近の磨耗も見られなかった。この結果、従来の遠芯鋳造スリーブ及び引き抜き鋼管等と異なり、WC/NiCr複合材合金層5の表面が超鏡面状態であっても、アークスポットが発生しないことが判明した。
上記コンダクターロール1のロールエンド2の両端部より給電を行うと、電流は始めに電気抵抗の低い銅〔比電気抵抗:16.7μΩ・cm〕に流れ、その後、電気抵抗の高いWC/NiCr複合材合金層5を経由して鋼鈑又は銅箔に流れる。この時、コンダクターロール1のロール胴部3におけるWC/NiCr複合材合金層5は溶射層によるものであるためコンダクターロール1の表面の電流は均一となる。図3はWC/NiCr複合材合金溶射層に流れる電流の模式図であり、電気抵抗の低い下地層4のa−aより流れた電流は、WC/NiCr複合材合金層5の内部で均一に鋼鈑又は銅箔に流れることを表している。従って、電流は偏ることなくコンダクターロール1の表面に均一に分散され且つ確実に流れることから電飾マークが発生することがない。また、該溶射層にミクロの気孔が内在していても電流が分散して流れることからスパークが発生することもない。
図4は本発明の金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロールの表面強度を説明するための比較グラフであり、図5は図4の比較グラフをまとめた表である。該図表に示すように、一般的なコンダクターロールのロール表面硬度がHV180、HIP加工によるロール表面硬度がHV307、HVAF(High Velocity Air Fuel)溶射によるロール表面硬度がHV483であるのに対し、本発明の溶射によるロール表面硬度はHV1000(900〜1200の代表値)と非常に高い硬度を有しているのがわかる。
以上のように構成したコンダクターロール1を使用して金属電気メッキ及び電解銅箔電解処理試験を行ったところ、2ヶ月間コンダクターロール1を交換することなく稼動することができ、更には電蝕マークやアークスポット及びロール表面へのメッキ析出の発生も抑制できたことにより、ここに長寿命の金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロールの完成となった。
上記実施例は新規のコンダクターロールに関して述べたものであるが、現在使用中のコンダクターロールのロール胴部の表面又は焼嵌めされた外部スリーブの表面に実施しても同様の効果を得ることができる。また、使用済みロールに対して実施しても同様の効果を得ることができるため、リサイクルに貢献することもできる。
1 コンダクターロール
2 ロールエンド
3 ロール胴部
4 下地層
5 WC/NiCr複合材合金層
2 ロールエンド
3 ロール胴部
4 下地層
5 WC/NiCr複合材合金層
Claims (3)
- コンダクターロールのロール胴部の表面に、電気抵抗の低い銅を溶射又はメッキして下地層を形成し、該下地層の表面に表面硬度の高いWC/NiCr複合材合金層を溶射し、表面硬度をHV900〜1200の高硬度に担持させることを特徴とした、金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール。
- 上記下地層の厚さが0.5mm〜5.0mmの範囲内であり、上記WC/NiCr複合材合金層の厚さが0.1〜1.0mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール。
- 請求項1に記載のコンダクターロールが、使用中又は使用済みのコンダクターロールであることを特徴とする、金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール。
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JP2007132139A JP2008266763A (ja) | 2007-04-17 | 2007-04-17 | 金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール |
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JP2007132139A JP2008266763A (ja) | 2007-04-17 | 2007-04-17 | 金属電気メッキ及び電解銅箔設備における電解処理用コンダクターロール |
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2007
- 2007-04-17 JP JP2007132139A patent/JP2008266763A/ja active Pending
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