JPH10140387A - 金属箔電着ドラム - Google Patents

金属箔電着ドラム

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JPH10140387A
JPH10140387A JP29883896A JP29883896A JPH10140387A JP H10140387 A JPH10140387 A JP H10140387A JP 29883896 A JP29883896 A JP 29883896A JP 29883896 A JP29883896 A JP 29883896A JP H10140387 A JPH10140387 A JP H10140387A
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JP
Japan
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copper
plating
drum
outer cylinder
alloy
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JP29883896A
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Hiroshi Goto
弘 後藤
Masanori Mizuta
正則 水田
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NAIKAI AAKIT KK
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NAIKAI AAKIT KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼材、銅材からなるインナドラムとチタン
材、ステンレス材からなるアウタシリンダの焼嵌め接合
部の接触抵抗を小さくして、ホットスポットや変色点の
ない良質な金属箔の生産を可能とする表面処理を、従来
の高価な貴金属でのメッキ又はコーティングから汎用金
属でのそれらに代替し、主としてプリント配線板用電解
銅箔の製造に供される電着ドラムを経済的に提供する。 【解決手段】 インナドラム9外面とアウタシリンダ10
内面に銅メッキ層11と亜鉛又は錫メッキ層12の複層被膜
又は、複合被膜を形成し両面を焼嵌め前又は焼嵌め後に
加熱処理して被膜の表層を黄銅又は青銅と呼ばれる展
性、延性、耐食性、導電性に優れたCu−Zn合金又は
Cu−Sn合金に変化させ、焼嵌め接合の接触抵抗を小
さくできる黄銅又は青銅の同種合金の接触とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解金属箔の生産
に供される回転陰極式の金属箔電着ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術】電解金属箔には銅箔、ニッケル箔などが
あるが、今日最も大量に利用されているのが電子機器に
使用されるプリント配線基板用銅箔であり、チタンある
いはステンレスを電着面とする回転陰極式電着ドラムを
装備した電解銅箔製造装置によって製造される。金属箔
製造の代表例であるこの装置は図1に示すように銅メッ
キ液の器となる浴槽1の中心に回転陰極式電着ドラム2
が回転軸3の両端を軸受4に支持してセットされ、その
容積の約1/2をメッキ液5に浸漬し、陰極となる電着面
に対面して配置される陽極6との間にメッキ液を供給し
ながら集電リング7、直流電源8を介して直流が通電さ
れ、メッキ浴液面の一方の側から液中に侵入した電着面
に銅がメッキされ始め、他方の側のメッキ浴液面から気
中に出るまでに所定の厚みの銅箔となった後、電着面か
ら剥がされてボビンに巻き取られるようにして連続的に
製造される。
【0003】図2は電着ドラムの一部破断正面図で、回
転軸3を中心に構成される炭素鋼、ステンレス鋼あるい
は銅合金製インナドラム9の機械加工された外面に、チ
タン圧延板をリング状にロール成形し、その両端部を突
合わせ溶接して作られた内径がインナドラム外径より僅
かに小さいアウタシリンダ10が焼嵌めにより嵌め合わさ
れた上、電着面となるチタンの表面を機械仕上げ後研磨
して使用される。このような銅箔用電着ドラムの代表的
寸法は直径約2〜3m、幅約1〜3mであり電着面にな
るチタンの厚みは5〜8mmである。本発明は図2に示す
記号Aの部位における炭素鋼、ステンレス鋼あるいは銅
合金製インナドラム9の外面とチタン製アウタシリンダ
1Oの内面との接合部両面の表面処理された金属箔電着ド
ラムに関する。
【0004】この種のチタン製アウタシリンダをインナ
ドラムに焼嵌めして一体化される電着ドラムの接合部
は、基本的に(1)接触する面の一方がその表面に不動態
皮膜を形成するチタンであり、他方の面の鋼材又は銅材
との電気的物性差が大きい異種金属の接触であること、
(2)焼嵌め時の高温加熱によってアウタシリンダのチタ
ン表面に電気抵抗の大きい酸化チタン皮膜が形成するこ
と、(3)アウタシリンダが表面精度の粗いチタン圧延板
をシリンダ状にロール成形し両端部を突合わせ溶接して
作られるために真円度及び平面度が十分でないために、
焼嵌めされたアウタシリンダ内面とインナドラム外面と
の全接触界面に密着部と隙間部を生じることなどの3つ
の主要因により、接触抵抗を高めるような欠点を有す
る。特に、隙間部に位置した酸化され易いインナドラム
外面は経時的に酸化されて接触不良域を増加させる結
果、電着金属箔の厚みのバラツキあるいは局所発熱によ
るホットスポットなどの変色、変質を生じて製品価値を
失う不利益を被ることになる。よって、このような焼嵌
め接合の接触面に生じる諸欠点を改善するために、例え
ば焼嵌めされるアウタシリンダのグリップ力を強め接触
面圧を高める方法(特公昭58-24507号)、インナドラムと
アウタシリンダの両接触面に銀又は金、パラジウムなど
の貴金属メッキを施す方法(特公昭62-233号)、銀メッ
キ、白金メッキあるいは金メッキ層を施して焼嵌めする
方法(特公昭61-60149号)など現在まで多くの提案がなさ
れてきたが、それぞれ実効性、経済性などに一長一短が
あって必ずしも十分満足されているとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はインナドラム
とアウタシリンダとの焼嵌め接触面の接触抵抗を小さく
することを目的とした従来の種々の改善提案の中、接触
する両面の表面処理に着目してなされたものである。す
なわち、前記特公昭61-60149号では銀メッキ、白金メッ
キあるいは金メッキからなるメッキ層を施して焼嵌めす
ることが提案されており、また、前記特公昭62-233号で
は銀又は金、パラジウムのような貴金属をコーティング
することが提案されている。
【0006】本発明者らは、これらの貴金属のメッキあ
るいはコーティングが高価な金属材料を使用するために
コストが嵩むことを重視し、貴金属に代わる価格の安
い、汎用金属を用いても貴金属に類似する効果を発現で
きる表面処理法を開発することを課題として研究に取り
組んだ結果、本発明の完成をみたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転式電着ド
ラムを構成するインナドラムの外面又はアウタシリンダ
の内面に、銅と亜鉛又は銅と錫の複層あるいは複合被膜
を形成した上、これらの両面を焼嵌め接触面とすること
を特徴とするのである。
【0008】更に、本発明では、回転式電着ドラムを構
成するインナドラムの外面又はアウタシリンダの内面
に、銅と亜鉛又は銅と錫の複層あるいは複合被膜を形成
したうえ、加熱処理を施してCu−Zn合金又はCu−
Sn合金被膜に改質し、これらの両面を焼嵌め接触面と
することを特徴とするのである。
【0009】すなわち、各種の鋼材、銅材等からなるイ
ンナドラムの外面及びチタン材、ステンレス材からなる
アウタシリンダの内面に電着法により銅と亜鉛、又は、
銅と錫の複層又は複合被膜を形成した後、焼成処理を施
して展性、延性、導電性、耐食性の優れたCu−Zn合
金又はCu−Sn合金被膜に改質し、この両面を焼嵌め
接触面とすることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の解決手段は、上述のよう
にインナドラム側とアウタシリンダ側とに施す2つの手
段からなる。第1の手段は、インナドラムの外面及びア
ウタシリンダの内面に銅と亜鉛又は銅と錫の複層又は複
合被膜を電着法によって形成する手段であり、それには
次の2通りがある。すなわち、1つは図3に示すように
インナドラム側(鋼材)9とアウタシリンダ側10が接触す
るそれぞれの表面に先ず銅メッキ層11を形成し、次いで
その上に亜鉛メッキ層又は錫メッキ層12を形成して銅と
亜鉛又は銅と錫の二層被膜を形成するものであり、他の
1つは銅イオンと亜鉛イオン又は錫イオンを含むメッキ
浴により、銅と亜鉛又は銅と錫を同時に電着させて黄銅
成分の被膜を形成するものであり、何れの場合も公知の
電着法によって形成される。
【0011】すなわち銅メッキは硫酸酸性硫酸銅浴が錫
メッキは硫酸酸性硫酸錫浴が、亜鉛メッキは酸性亜鉛メ
ッキ浴が、また、Cu−Zn又はCu−Snメッキはシ
アン浴又はピロリン酸浴などが用いられ、インナドラム
に対しては図1に示す電解銅箔製造装置と同様の回転陰
極式メッキ装置により、また、アウタシリンダに対して
は図4に示すシリンダ回転ロール付メッキ装置により、
電着面となる表面の一部をメッキ浴に陽極に対面させて
浸漬し、回転させながらそれぞれの適性メッキ条件のも
とで所要厚みのメッキ量に相当する電流量を通電して行
われる。
【0012】図4において符号21はメッキ浴槽、22は焼
嵌め前のアウタシリンダ、23は支持ロール、24は駆動ロ
ール、25はメッキ浴、26は陽極、27は集電装置、28は直
流電源、29はメッキ液入口、30はメッキ液出口である。
これらの複層又は複合金属被膜は鋼材、銅材などの発錆
し易い表面に対してはピンホールがなく防錆効果を確実
にするためにも15μm以上にするのが望ましい。
【0013】第2の手段は第1の手段によって形成され
た銅と亜鉛又は銅と錫の複層又は複合被膜を展性、延
性、耐食性、導電性に優れたCu−Zn合金すなわち黄
銅又は真鍮と呼ばれる合金、又はCu−Sn合金、すな
わち青銅と呼ばれる合金に変化させる手段である。ある
種の異種金属を接触させて加熱圧着すると接触界面にお
いてそれぞれの金属原子が相互に拡散し合って合金相に
変化することは良く知られるところであり、プリント配
線板用銅箔の表面処理にCu−Zn、Cu−Ni−Zn
などの複合合金被膜を形成するのに利用されている。ま
た、近年レーザーによる複層メッキ表面の表層合金化が
開発されているのでこれも応用できる。
【0014】ここで注意すべきは前記の複層メッキにお
ける亜鉛メッキ又は錫メッキの厚みである。すなわち熱
処理による銅及び亜鉛又は錫原子の拡散合金化には与え
られた条件によって拡散速度に限度があるので、それぞ
れの表面を導電性、耐食性に富んだ黄銅又は青銅に完全
に変化させるにはある適正な厚みに制約する必要があ
る。すなわち、その厚みが大きすぎるとその表面は亜鉛
又は錫のまま残ることになり、小さすぎると合金化して
いない酸化され易い銅の部分が表面に残って十分な耐食
性を発現せず、目的とする接触抵抗が小さくしかも安定
した焼嵌め接合面が得られない。試験の結果、亜鉛又は
錫の被膜の厚みは0.1〜10μmが望ましいことが判明して
いる。
【0015】Cu−Zn又はCu−Snの合金成分を電
着して形成した被膜は、メッキ金属粒子間の結合が粗く
吸湿性があって耐食性、導電性などの特性が不十分であ
り、そのままでは完全に合金化されていないので、黄銅
又は青銅化させるためには相応の熱処理を必要とする。
この場合、アウタシリンダ側は焼嵌め時における内径拡
張のために300℃以上に加熱されるのでその時点で合金
化が進行するが、一方のインナドラム側は常温で加熱拡
張されたアウタシリンダに挿入されるため、アウタシリ
ンダよりの伝熱だけでは熱量が不足して殆ど合金化が進
まない。従って焼嵌め前又は焼嵌め後に合金化を目的と
した熱処理が必要である。このようにして、熱処理が施
された焼嵌め接触面はインナドラム側は黄銅又は青銅の
耐食・導電性被膜としてアウタシリンダ側と対面するこ
とになり良好な接触抵抗を発現するが、アウタシリンダ
側にも同じ表面処理が施される場合には電気比抵抗の小
さい同種金属の接触となって更に満足できる優れた接触
抵抗が発現される。
【0016】近年銅箔の生産性を向上させる目的で高電
流密度運転が指向されており、これに対応するために電
着ドラムは電流容量を増加させるため、鋼材製インナド
ラムの外周に銅材を巻回することが行われるようになっ
た。このようなインナドラムの表面が銅材である場合に
は、一層目の銅メッキは省略し銅材表面に直接、亜鉛メ
ッキ又は錫メッキを施して熱処理を施せば良い。
【0017】このように、本発明の表面処理はCu−Z
n又はCu−Snの二元合金を主体としているが、例え
ばCu−Zn系に小量のSnを加えた錫入り黄銅(ネー
バル黄銅)のような、小量の第3成分(Al、Mnなど)
を加えたものも包含される。第3成分としてはSnのほ
かAl、Mnなどが挙げられる。
【0018】以下の実施例により、本発明の実施形態を
具体的に説明する。 実施例1 図2の構造の回転軸を備えた直径500mm、幅300mmの電着
ドラムが次によって製作された。まず、インナドラムの
外周9が厚み12mmの炭素鋼(SS400)で形成され、その
表面が旋削仕上げされた。表面粗さ計で測定した表面粗
さはRa=8.4μmであった。次いで、その表面がアルカ
リ脱脂、酸エッチング、水洗されたのち、図1の電解銅
箔製造装置と基本的に同様の銅メッキ槽に電着面以外を
マスキングして表面の約1/6がメッキ液に浸漬するよう
にセットされ、DSEを陽極として0.5〜1r.p.mで回転
させながら次の条件により平均厚み50μmの銅メッキ層
が形成された。 ・メッキ浴組成: CuSO4・5H2O 250g/リットル H2SO4 100 〃 ゼラチン 適量 ・メッキ条件 : 浴温度 40℃ 陰極電流密度 30A/dm2 厚み5.5mm、表面粗さ(Ra)=1.6μmの純チタン圧延板
がリング成形、溶接されてインナドラムの外径より0.2m
m小さい内径499.8mm、幅320mm、のアウタシリンダが製
作された。次いでその内周面が充分に清浄された上、図
4のメッキ装置にセットされ、インナドラムと同じ条件
により平均厚み50μmの銅メッキ層が形成された。
【0019】次いで、それぞれの銅メッキ層の表面に次
の条件により平均厚み1μmの亜鉛メッキ被膜が形成され
た。 ・メッキ浴組成: ZnCl2 60g/リットル KCl 240 〃 H2BO3 30 〃 添加剤 適量 pH 4.5〜5.5 ・メッキ条件 : 浴温度 20〜30℃ 電流密度 4A/dm2
【0020】次いで、それぞれの銅と亜鉛の複層被膜の
表層を黄銅又は真鍮と呼ばれるCu−Znに変化させる
ための熱処理がそれぞれ次によって実施された。すなわ
ち一方のインナドラム側は250℃の電気炉内に1時間放
置後炉外で自然放冷させて行われた。これによって処理
前には白色であった表面が黄色に変化し、合金化したこ
とが確認された。もう一方のアウタシリンダ側は焼嵌め
時に行われる内径拡張のための加熱によって行われ、チ
タンシリンダを回転させながらプロパンガス焔により表
面温度約400℃に加熱されて黄色に変化するのが確認さ
れた。この400℃に加熱されて内面が黄銅化したチタン
シリンダに、同じくその外面に黄銅被膜を形成したイン
ナドラムを挿入して焼嵌めした後、側板取り付け、電着
面研磨が施されて本発明の電着ドラムが完成された。
【0021】本発明の効果を確かめるために表面処理以
外は全く同じ仕様で焼嵌めのみの、すなわち、チタンと
炭素鋼との接触面からなる比較用電着ドラムが製作さ
れ、基本的に図1と同じ構造の銅箔製造試験装置にセッ
トされて、メッキ液の銅濃度280g/リットル(CuSO4
・5H2O)、硫酸濃度100g/リットル、極間距離6mm、
メッキ液極間流速60cm/秒、DSE陽極、温度50℃、箔
厚み35ミクロン、電流密度60〜100A/dm2の運転条件のも
とで製箔テストが実施された。初めの1ケ月は60A/dm2
で行い、続いて80A/dm2で1ケ月、100A/dm2で1ケ月の
延べ3ケ月間運転された。全期間を通じて本発明ドラム
の銅箔は染み、焼け、ホットスポット等の異常は全く見
られなかったが、比較ドラムの銅箔は80A/dm2以上では
箔の幅の端部に焼けを生じ、100A/dm2では局所に染み状
の変色が発生して正常な銅箔の製造ができなかった。こ
れより本発明の表面処理を施した電着ドラムはインナド
ラムとアウタドラムの接触を改善して良質の電着金属箔
を製造する上で効果があることが確かめられた。
【0022】実施例2 実施例1においては、銅と亜鉛の複層被膜の合金化のた
めの熱処理をインナドラムとアウタシリンダの各々につ
いて色調観察により合金化したことを確認して行った
が、今回は実施例1と同様に二重メッキした両者を350
℃で焼嵌め接合した後、ドラム全体を電気炉内に移し25
0℃×1時間の熱処理を行って電着ドラムを完成させ
た。図3は炉内熱処理を実施する前における焼嵌め接合
境界の複層被膜の断面を示すもので熱処理後には実施例
1におけると同様に銅と亜鉛の境界層は黄銅に変質す
る。かくして完成させた電着ドラムを実施例1と同じ条
件で銅箔製造試験を実施したところ電流密度100A/dm2
で全く異常なく良質の銅箔が製造できた。試験終了後ア
ウタシリンダを解体して両接触面を観察したところ、そ
れぞれ黄銅の色調を呈しており、合金化していることが
確認された。
【0023】実施例3 実施例1における亜鉛メッキに代えて一層目の銅層の表
面に次の条件で厚み1μmの錫メッキ被膜を形成した。 ・メッキ浴組成: SnSO4 40g/リットル H2SO4 100 〃 界面活性剤 20 〃 ・メッキ条件 : 浴温度 15〜20℃ 電流密度 3A/dm2 続いて、常法による焼嵌めを行った後、電気炉内で250
℃×2時間の熱処理を行った後、電着ドラムを完成させ
た。次いで、実施例と同じ条件で銅箔製造試験を実施
し、100A/dm2まで異常なく、良質銅箔が製造できること
が確認された。試験終了後アウタシリンダを取り外し
て、その内面及びインナドラム外面を観察したところ両
面共錫メッキ時における白色から青銅特有の色に変色し
て合金化していることが確認された。
【0024】実施例4 実施例1における銅メッキと亜鉛メッキの2層メッキに
代えて、Cu−Zn系合金成分を同時に電着させる以下
の組成の複合メッキ浴(黄銅メッキ)を用い実施例1と同
じメッキ装置及び実施例1と同じ材料、寸法のインナド
ラム、アウタドラムを使用してのそれぞれの接触面に厚
み10μmの黄銅成分被膜を形成した。 ・メッキ浴組成: NaCN 90g/リットル Na2CO3 30 〃 Cu(CN)2 53 〃 Zn(CN)2 30 〃 ロッセル塩 45 〃 NH3(28%) 80 〃 pH 10.3〜10.7 ・メッキ条件 浴温度 約40℃ 電流密度 2A/dm2 陽極(Cu/Zn) 70:30 形成されたメッキ層の成分は分析の結果銅約70%、亜鉛
約30%で、70/30黄銅に相当することが確かめられた。
以下実施例1と同様の熱処理を行って、完全に合金化し
た後焼嵌め、加工、研磨を施して本発明の電着ドラムを
完成した。続いて実施例1と同じ条件で銅箔製造通電試
験を行い60〜100A/dm2の電流密度範囲において延べ3ケ
月間全く異常なく良質の銅箔を製造できた。
【0025】実施例5 実施例4における黄銅メッキ浴の代わりに下記の組成の
銅−錫メッキ浴とメッキ条件により前記と同じメッキ装
置と同じ材料、寸法のインナドラム、アウタシリンダを
用いてそれぞれの接触面に厚み10μmの青銅成分被膜を
形成した。 ・メッキ浴組成: 錫酸ナトリウム 100g/リットル シアン化銅 13 〃 水酸化ナトリウム 15 〃 シアン化ナトリウム 25 〃 ・メッキ条件 : 浴温度 65℃ 電流密度 2.5A/dm2 陽極(Cu/Sn) (80/20) メッキ層の成分は銅約80%、錫約20%であった。以下実
施例1と同様の熱処理を行って青銅特有の色調に変化し
たことを確認した後焼嵌め、加工、研磨を施して本発明
の電着ドラムを完成した。続いて実施例1と同じ条件で
製箔運転を行い60〜100A/dm2、延べ3ケ月の運転期間中
全く異常なく正常な銅箔を製造できた。
【0026】
【発明の効果】上記各実施例から明らかなように、イン
ナドラムとアウタシリンダの接触面に対する本発明の表
面処理を行って製作された電着ドラムは、100A/dm2の高
電流密度においてホットスポットや変色などの変質のな
い良質の銅箔を製造できると共に、従来の銀、金、白金
等の貴金属メッキ処理に比べて経済的であり、総合的に
電解金属箔の製造コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解銅箔製造装置の正面略図である。
【図2】インナドラムにアウタシリンダを焼嵌め接合し
た電着ドラム構造と接合境界面を示す一部破断正面図で
ある。
【図3】本発明の実施形態の中、銅と亜鉛又は銅と錫の
2層メッキを行って嵌合した熱処理前のインナドラムと
アウタシリンダの焼嵌め接合部を示す図2のA部相当拡
大断面図である。
【図4】アウタシリンダ内面の連続メッキ処理装置の正
面及び側面図である。
【符号の説明】
1 浴槽 2 回転陰極式電着ドラム 3 回転軸 4 軸受 5 メッキ液 6 陽極 7 集電リング 8 直流電源 9 インナドラム(炭素鋼) 10 アウタシリンダ(チタン) 11 銅メッキ層 12 亜鉛又は錫メッキ層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転式電着ドラムを構成するインナドラ
    ムの外面又はアウタシリンダの内面に、銅と亜鉛又は銅
    と錫の複層あるいは複合被膜を形成した上、これらの両
    面を焼嵌め接触面とすることを特徴とする金属箔電着ド
    ラム。
  2. 【請求項2】 回転式電着ドラムを構成するインナドラ
    ムの外面又はアウタシリンダの内面に、銅と亜鉛又は銅
    と錫の複層あるいは複合被膜を形成した上、加熱処理を
    施してCu−Zn合金又はCu−Sn合金被膜に改質
    し、これらの両面を焼嵌め接触面とすることを特徴とす
    る金属箔電着ドラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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