JP2880212B2 - 電着ドラム - Google Patents

電着ドラム

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電解金属箔の製造に用いられる電着ドラム
に関する。
(従来の技術) 電解金属箔としては銅箔、ニッケル箔、鉄箔などがあ
るが、今日最も大量に生産されているのは印刷回路用電
解銅箔である。そこで電解銅箔を例として従来の製造装
置及び方法を説明する。
電着ドラムを、軸方向が水平になるようにして、その
一部分を例えば硫酸酸性硫酸銅溶液からなる電解液に浸
して回転させ、ドラム面と陰極とし、電解液中にあって
ドラム面に対抗して配設された陽極との間に直流電流を
流して、ドラム面に電解銅層を形成させ、所望の層厚と
なったとき、電解銅箔をドラム面より剥離し、これを巻
取ることにより電解銅箔が生産されている。電着ドラム
の表面は、繰返し行なわれる強酸性液中での電着や剥離
に耐えねばならず、また定期的に行なわれるバフ研磨な
どの表面清浄作用による磨損がさけられず、他方均一厚
の銅箔を商業ベースで生産するためには表面に大電流が
均一に供給されなければならない。そのため電着ドラム
には、ステンレススチール製、チタン製又は表面にクロ
ムメッキなどを施した交換可能なアウタースキンをイン
ナードラムに焼嵌めした構造のものが使われている。
そしてこの電着ドラムのアウタースキンに給電する方
法としては、アウタースキンから側板を通って直接ドラ
ム軸の給電ラインに流す方法と、アウタースキンからそ
れに面接触したインナードラムを通って流す方法があ
る。前者では、高価なチタン材で厚いアウタースキンを
作らなければならないこと、ドラムの縁部から中央部に
なるほど表面の電流密度が小さくなり易いこと、さらに
アウタースキンと給電ラインとの電気的接続が容易でな
いなどの問題がある。後者では、アウタースキンは厚く
なくても良いが、その内表面とインナードラム外表面と
の電気的接触を均一安定に行なうことに問題がある。本
発明は電解電流のアウタースキンからインナードラムに
流す後者の方法を改善するものである。
(発明が解決しようとする課題) 上記のようにインナードラムの外側にアウタースキン
を嵌着した電着ドラムは、加温された電解液に浸され、
かつ大電流が流れた部分は温度が上昇し、他方電解液か
らでた部分は大気で冷され、かつ通電による発熱もな
い。電解銅箔の製造においては、電着ドラムはこのよう
に加温と冷却がくり返されるために、インナードラムと
アウタースキンの接触面ではかなりの相対移動がくり返
される。その結果、両者の界面において均一安定した電
気的接触が不可能となり、局部的に大電流が流れた部分
がアウタースキン表面にいわゆるホットスポットとして
現われる。この現象は使用電流が大きい程発生しやす
く、電解銅箔の生産速度を制限する要因の1つとなって
いる。
本発明の目的は、前記ホットスポットの発生を防ぐと
共に、インナードラムとアウタースキンの間の通電ロス
を少なくすることである。そのためには、従来も焼嵌め
圧力を高くしたり、インナードラム外面とアウタースキ
ン内面の接触力を強めるこころみが種々なされた。例え
ばインナードラム表面に溝を彫ってアウタースキン内面
と接触する面積を減らして接続性を高め、さらに接触面
に銀めっき層を存在させる方法(特公昭58−24507号公
報)、円筒面全面で接触し、その接触面に銀めっき層を
存在させる方法(特公昭62−233号公報)、円筒面全面
で接触し、その接触面に銀めっき、金めっき、白金めっ
き等の層を存在させる方法(特公昭61−60149号公報)
など、結果として接触力を高める方法が工夫されてい
る。
しかしながら、上記に例示した、従来のインナードラ
ム表面に溝を彫ってアウタースキンを焼嵌める方法(特
公昭58−24507号公報)は、両者の電気的接続が改良さ
れるが、このようなインナードラムを製作するには、そ
の全外表面に亘って、例えば山部分を巾1.5mm、谷部分
を巾約3.5mm、深さ約0.3mmの交互に高められた部分を設
けた外表面とするため、費用と時間を要し、より効果的
にするためにより微細化すれば、この弱点は、更に顕著
なものとなるので、十分満足できるものではなかった。
本発明の目的は上記の問題点を解消して、高品質の金
属箔が高い生産性で製造できる電着ドラムを提供するこ
とである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、表面及び裏面に凹凸を有する金属シートを
介して、アウタースキンをインナードラムに焼嵌めてな
る電解金属箔製造用の電着ドラムである。
本発明では、表面及び裏面に凹凸を有する金属シート
を介して、アウタースキンをインナードラムに焼嵌める
ので、アウタースキンとインナードラム両者の間の接触
力が確実に高まり、電気的接続の十分な電着ドラムとす
ることができる。
インナードラムは、軟鋼、銅、ステンレススチールな
どで作られ、外周表面を旋削仕上げし、表面が汚れて電
気的接続を損うおそれのある場合は、銅めっき、銀めっ
きなどを必要に応じて行なう。アウタースキンは、チタ
ン、タンタル、ジルコニウム等、又はこれらの合金ある
いはステンレススチールもしくはそれにクロムめっきし
たものなどが用いられる。
本発明に使用する表面及び裏面に凹凸を有する金属シ
ートの作成には種々の方法が採用可能である。
即ち、金属シートの材質は銅、ニッケル、銀、ステン
レススチール、チタン等またはそれらの合金あるいは、
それらにニッケル、銀、金などをめっきしたものでよ
い。金属シートの厚さは数ミクロンから数ミリメートル
のものまで使用できる。凹凸の形成方法は、 (i)ロールを通す波形加工 (ii)クレープ加工 (iii)刃物による切削加工 (iv)ケミカルまたはエレクトロケミカルなエッチング
やミーリング (v)電着または化学的な金属析出 (vi)レーザー加工、放電加工 など、既に関連産業に於て実用されている方法が広く採
用可能である。
金属シートの凹凸の形状は特に限定されないが装着さ
れた状態で、凸部の先端の平坦部が、金属シートの見掛
け面積の10〜90%の割合でアウタースキン内表面または
インナードラム外周表面と接していることが好ましい。
更にこの割合が20〜70%であることが、密着力即ち電気
的接続の目的から、一層好ましい。凹凸の高さも特に限
定されないが1μ以上数百μまで使用可能である。余り
深い凹凸は、概して加工が難しく、不経済であると共
に、金属シートの1面の凸部から他面の凸部への電気の
通りを悪くして、アウタースキンとインナードラムとの
電気的通過を低下させる。
かかる加工処理を平板状の金属シートに施してから丸
めてもよく、または円筒状に丸めた金属シートの表面及
び裏面を粗面化してもよい。
また金属シートは、アウタースキンとインナードラム
の間に丸めて円筒状のものを介在させるだけでよく、必
要によりその合わせ目を溶接、ろう付、半田づけ、かし
めなどしてあってもよい。
取付け加工の方法は、金属シートをインナードラムに
かぶせてアウタースキンに挿入し、焼嵌めるか、金属シ
ートをアウタースキンの内側においてインナードラムを
挿入し焼嵌めてもよく、これらの加工方法は任意に行な
うことができる。
焼嵌め加工時または使用中に金属シートの表面が酸化
ないし変色してアウタースキンまたはインナードラムと
の電気的接続の低下が懸念される場合には、金属シート
の表面に銅、ニッケル、銀、金、白金、ロジウム、パラ
ジウム、オスミウム、ルテニウムあるいは、それらの合
金などの金属層を電気めっきまたは化学めっきなどによ
って施しておくことは有効である。
表面及び裏面に凹凸を持つ金属シートを介して、アウ
タースキンをインナードラムに焼嵌め挿入したあと、ア
ウタースキン外周表面に旋盤がけ、砥石研磨、バフ研磨
して、真円筒に仕上げる。
なおアウタースキン外周表面は、そこに電着した銅な
どの金属層を適当な剥離効力で剥がすことのできる材質
と仕上げ粗さであれば適宜なものが使用できる。
またインナードラムは上記アウタースキン円筒より熱
膨張率が高く、ドラムの使用時に熱膨張して、焼嵌めら
れた状態より、アウタースキン/金属シート/インナー
ドラム間の押付け圧が一層高まり、アウタースキンとイ
ンナードラムとの電気的接続が、より確実なものとな
る。
(作用) 本発明の電着ドラムにおいては、アウタースキンとイ
ンナードラムとの間に介在させた表面及び裏面に凹凸を
有する金属シートに均一分布した微小な凸部群は、アウ
タースキン内表面とインナードラム外周表面とが直接全
面接触するよりも少ない表面積で均一確実に接触し、更
にアウタースキンとインナードラムとの熱膨張力および
弾性の相互作用によって、その効果を倍加し、両者の電
気的接続を高め、より接触を確実なものとすることがで
きる。
(実施例) 第1図は電着ドラムを用いた一般的な電解金属箔製造
装置の1例を示す1部欠損側面図である。
電着ドラム1はシャフト2に固定され、シャフト2は
その両端を軸受3,4により電着ドラム1を回転可能に支
持する。シャフト2の1端にはシャフト2と共に電着ド
ラム1を回転させるための回転駆動源を連結する。前者
電着ドラム1は陰極となり、その1部は電解槽5中の電
解液6に浸される。陽極7を電着ドラム1の電解液6中
のドラム面に相対して配設する。シャフト2の端部に設
けたドラム通電用のコンタクトリング8に直流電源9の
陰極側を接続し、陽極7に陽極側を接続する。
前記で電着ドラム1はシャフト2の周りに組立てられ
た軟鋼製等のインナードラム10の外側にアウタースキン
11を焼嵌めしている。その他は、シャフト2の筒軸12、
円板状の側板13、電解液によるインナードラムの腐蝕を
守るためのカバー14である。
第2図〜第5図は本発明の電着ドラムに用いる表面及
び裏面に凹凸をもつ金属シートの形状、装着状態などを
示す図面である。
実施例1 第2図において、厚さt=0.4mmのステンレスシート
を波形加工して高さh=約0.8mm、周期l=約2mmの波板
12として、これを丸めて、アウタースキン11とインナー
ドラム10との焼嵌め時、両者の間に介在させた。
実施例2 第3図において、厚さt=0.8mmの銅シートにエンボ
シング加工して、表面及び裏面に直径d=約1mm、深さ
h=約0.3mmの凹部が間隔l=約1.7mmで分布したシート
12を作り、これを丸めてアウタースキン11とインナード
ラム10との焼嵌め時、両者間に介在させた。
実施例3 第4図において、厚さt=70μの電解ニッケル箔の表
面及び裏面にニッケルの粗面電着(例えば、特公昭46−
32483号公報、米国特許第3454376号明細書)を行ない、
軽く圧延して、凸部先端を平坦にした。この平坦部の面
積は、全見掛け表面の約30%であった。このシート12を
丸めてアウタースキン11とインナードラム10との焼嵌め
時、両者を介在させた。
実施例4 実施例3のニッケル箔、ニッケル粗面電着の代わりに
電解銅箔を用い、銅粗面電着(例えば、特公昭40−1532
7号公報)により製造した表面及び裏面粗化銅箔を用
い、実施例3と同様にして電着ドラムを製作した。
実施例5 第5図において、実施例4の表面及び裏面粗化電解箔
銅の両面に銀めっき層13を厚さ1μで施し、丸めて合せ
目を銀ろう付けし、このシート12を介在させた状態でア
ウタースキンをインナードラムに焼嵌めた。
(発明の効果) 本発明は上述の如く、表面及び裏面に凹凸を持つ金属
シートを介して、アウタースキンをインナードラムに焼
嵌めることにより、アウタースキンからインナードラム
への電気的接続を均一確実なものとすることができ、大
電流を通しても全体の通電状況を均一にし、かつ局部的
なホットスポットの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は電着ドラムを用いた一般的な電解金属箔製造装
置の1例を示す1部欠損側面図であり、第2〜第5図は
本発明の電着ドラムに用いる表面及び裏面に凹凸をもつ
金属シートの形状及び装着状況を示す図面である。 1……電着ドラム、2……シャフト 3,4……軸受、5……電解槽 6……電解液、7……陽極 8……コンタクトリング、9……直流電源 10……インナードラム、11……アウタースキン 12……表面及び裏面に凹凸を有する金属シート 13……銀めっき層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面及び裏面に凹凸を有する金属シートを
    介して、アウタースキンをインナードラムに焼嵌めてな
    る電解金属箔製造用の電着ドラム。
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