JP2003201591A - 電着ドラムとその製造方法 - Google Patents

電着ドラムとその製造方法

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JP2003201591A
JP2003201591A JP2002000872A JP2002000872A JP2003201591A JP 2003201591 A JP2003201591 A JP 2003201591A JP 2002000872 A JP2002000872 A JP 2002000872A JP 2002000872 A JP2002000872 A JP 2002000872A JP 2003201591 A JP2003201591 A JP 2003201591A
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Hiroshi Sato
博 佐藤
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NAIKAI AAKIT KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大電流、高電流密度のもとでホットスポット
などの不具合を生じることなく、銅箔厚みのバラツキの
ない薄箔を安定して生産できる電着ドラムとその製造方
法を提供する。 【解決手段】 チタン電着ドラムの支持体となり、かつ
電着面から流入する電流をドラム側板に導電する導電体
となる炭素鋼製又はステンレス鋼製インナードラム9の
内周面に、インナードラムの導電容量を補強する銅又は
銅合金板を導電リング11として付設したことを特徴とす
る電着ドラムである。電着ドラムの製造方法は、導電す
る電流に対して銅又は銅合金の許容電流密度に相応する
必要最小厚み以上の板材により、インナードラムの内径
に近似する外径の導電リングを形成し、インナードラム
に圧入又は焼き嵌めあるいは冷やし嵌めするか、もしく
は導電リング素材の分割板14をインナードラム外周板内
面に溶接又は半田蝋付けして一体化することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解メッキ法によ
り銅箔、ニッケル箔などの金属箔を製造するための電着
ドラムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン電着ドラムが銅箔業界に普及して
以来今日まで、電着面の電流分布を均整化し銅箔の厚み
のバラツキを小さくしてより薄い銅箔を生産すること、
及びドラムを大型化し通電容量を大きくして生産性を高
めることを課題とした改良がなされてきた。特に近年プ
リント配線基板用銅箔の需要が著しく増大したことか
ら、銅箔の生産性を上げるために既設電着ドラムは通電
電流を構造体の電気容量の限度一杯に高めると同時に、
新増設するドラムは従前より遥かに大きい大電流高電流
密度仕様とするようになった。例えば、従来2〜2.3
mφ×50A/dm であったものが、近年2.7〜3
mφ×80A/dm、あるいは100A/dmを超
える性能が求められるようになった。
【0003】また、銅箔の厚みに関しても、精密度が高
度に進歩した電子機器用銅箔に要求される厚みは、従来
の35μmから18μm以下、あるいは10μm以下が求
められるようになり、かつ厚みのバラツキが厳しく問わ
れるようになった。
【0004】プリント配線板用電解銅箔を中心とする金
属箔の製造に使用されるチタン電着面とする電解銅箔製
造装置は、図5に示すように銅メッキ液の器となる浴槽
1の中心に回転ドラム陰極2が回転軸3の両端を軸受4
によりセットされ、その容積の約1/2が銅メッキ浴5
に浸漬される。そして、陰極2に対面して配置される陽
極6との間に集電リング7、整流器8を介して直流が通
電され、メッキ浴の一方の側から浴に浸入したチタン面
に銅がメッキされ始め他方の側の浴面から出るまでに所
定の厚みの銅箔となった後、チタン面から剥がされてボ
ビンに巻き取られるごとくして連続的に製造される。
【0005】図6は代表的な汎用回転ドラム陰極2の一
部破断正面図であり、回転軸3を中心に構成されるステ
ンレス又は炭素鋼製インナードラム9の外周面に電着面
となるチタン製アウタードラム10が焼き嵌めによって嵌
合された上表面を機械仕上げ後研磨して使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の炭素鋼又はステ
ンレス鋼製インナードラム9にチタン製アウタードラム
10を焼き嵌めして製作される一般的な電着ドラムでは、
インナードラム外周板の高電流に対する電流容量の不足
やアウタードラム10とインナードラム9との接触のバラ
ツキや不安定さが主因となって、チタン電着ドラムの局
所過熱や箔厚のバラツキを生じることが避けられず、大
電流化に伴う新たな問題として浮かび上がってきた。
【0007】前述したように、電気的には支持体全体を
電気抵抗が最も小さく導電性に優れた銅又は銅合金とす
るのが電力ロス、局所過熱防止の上から好ましい(特公
昭58−24507号)。しかし、今日一般的に使用さ
れているチタン電着ドラムのインナードラムの多くは、
電気抵抗の比較的大きい炭素鋼又はステンレス鋼で形成
されている。従来アウタードラム支持体に銅又は銅合金
が一般に使用されなかった理由については、銅又は銅合
金は材料費が比較的に高く、かつ溶接及び機械加工性並
びに構造体の機械的強度が炭素鋼又はステンレス鋼に比
べて劣り製作コストが高くつくことと、銅箔の需要が今
日より少なく電着ドラムの通電電流が比較的小さくて良
かったことに因ると推測される。
【0008】当然のことであるが、厚みのバラツキのな
い銅箔は電流分布が均整な陰極表面から得られる。そし
て電流分布を均整にするには、電着面を形成するチタン
製アウタードラムの電流容量を充分大きくするか、チタ
ン電着面に流入する電流をアウタードラムから電流容量
の充分大きいインナードラム外周板に円滑に導電させる
ことが必要である。こうした観点から近年、次の3種類
の提案が出されている。すなわち、第1は導電性軟質中
間素材をチタン製アウタードラムの内周面に爆発圧着等
によってクラッド化する特開平4−103788号の提
案であり、第2はインナードラム外周板とアウタードラ
ムチタン板との間に銅板もしくは銅合金板を中間素材と
して介在させる特許第3121775号の提案であり、
第3はインナードラム外周板の素材表面に導電性軟質中
間素材を爆発圧接したクラッド型板材で外周板を形成さ
せる特開2001−49482の提案である。
【0009】前記それぞれの提案は、チタン電着面に流
入する大電流を中間素材を通じてドラム側板に導電させ
る目的にかなっているが、一方次の問題が存在する。す
なわち、爆発圧着の加工手段は特殊加工に属し高価であ
ることと、加工後のクラッド型板材を円筒状に曲げ加工
して両端部をそれぞれの材質同士板継ぎ溶接すること
は、曲げにおける異質金属間の伸縮率の違いや溶接にお
ける熱膨張収縮率の違いから歪を生じるなど加工上の問
題をクリアする必要があることと、第1の提案で特に重
要な問題はチタン溶接部にビード跡を消すための特許第
2967239号、特許第3115982号等に準じる
後処理を施すことは極めて困難であることである。
【0010】また、中間素材として銅板もしくは銅合金
板を焼き嵌めされるインナードラム〜アウタードラム間
に介在させる方法は、銅系中間素材の有する特性、即ち
チタンや軟鋼に比べて大きい線膨張係数と小さい硬度を
もってしても爆発圧着や圧延加工における著しく大きな
応力がかかる場合とは基本的に異なり、5〜6×9.8N
/cm程度の比較的小さい焼き嵌め応力のもとでは中
間素材の上下面と対面するチタンリング内面あるいは炭
素鋼又はステンレス鋼の加工表面との接触は中間素材自
体の膨張変形によって窪みに食い込むような密着は起こ
り難いので中間素材とチタンあるいは炭素鋼との面接触
にバラツキを生じ、結果として電流分布を均整化するこ
とは難しいことである。
【0011】因みに、前記の各提案が密着の原動力とし
ている軟質中間素材(銅又は銅合金)とこれと接触する
チタン及び炭素鋼の線膨張係数と硬度(H)の物性値
は次の通りである。 線膨張係数(/℃) 硬度(H) チタン 8.4×10-6 約120 炭素鋼 12×10-6 121〜156 銅 17×10-6 35〜75
【0012】実際のドラムを用いて行った実験により明
らかになったが、比較の上で物性値に差はあるものの、
焼き嵌めした5〜6×9.8N/cm程度の面接触にお
いて60℃乃至80℃の使用温度のもとでは膨張率の差
による銅系中間素材の対面する金属表面の窪みへの変形
密着は起こらず、中間素材を介在させる手段によっては
反って次の問題が発生することを認めた。
【0013】すなわち、銅系中間素材の全量を適度に分
割した板材をインナードラムの外周板表面にスポット溶
接、栓溶接、ビス螺子等により仮付けした後、分割板相
互を板継ぎ溶接して介在せしめると、溶接時の熱影響に
より溶接フリー部位が溶接部位より僅かに湾曲して外周
板表面との間に隙間を生じることを認めた。この状態を
無視してチタンドラムを焼き嵌めすると、溶接部位と溶
接フリー部位との間に接触圧の差を生じて全面均整な接
触は得難いことが判った。
【0014】よって、中間素材層の表面の真円精度を修
正するために機械加工を試みたが、切削バイトの押し圧
により溶接部位とフリー部位の削り代に差を生じ、加工
後の表面に新たな波面を生じることを認めた。従って、
中間素材を介在させる提案は導電容量の増加対策として
有効ではあるが、アウタードラム〜インナードラム間の
電気的接触にバラツキを生じて銅箔の厚みを均整化し難
いことを認めた。
【0015】以上から本発明者は、高電流及び薄箔の要
求が著しく高まった現在、電着ドラムの構成を改めて見
直す必要を認め種々検討した結果、 1)チタン電着面とその支持体との電気的接触の安定化 2)チタン電着面支持体の導電容量増加 の2点が重要であると判断し、1)に対しては機械強度
及び熱安定性が大きく円筒精度及び表面精度が充分なイ
ンナードラムが不可欠であること、そのためにはインナ
ードラムを機械強度及び加工性に優れ膨張収縮の熱影響
が小さい炭素鋼又はステンレス鋼により製作してその表
面を精密仕上げすることが有効であること、また、2)
に対しては炭素鋼又はステンレス鋼製インナードラムの
不足する電流容量を補強する必要があること、そのため
にはその内周面に導電性に優れた銅板又は銅合金板を付
設一体化することが有効であることを実験により確認し
本発明の完成に至った。
【0016】すなわち、発明者は、銅又は銅合金が高電
流の目的には適材であるが、その付設方法によっては上
記の問題があることに留意し、チタン製アウタードラム
を炭素鋼又はステンレス鋼製インナードラムに焼き嵌め
する従来のドラム基本構造に影響を与えることなく大電
流、高電流密度に適応するアウタードラム支持導電体を
簡易な手段により構成する方法について検討し試験を重
ねた結果、従来の提案に無かった次の手段により銅箔厚
みのバラツキのない薄箔が、高電流密度のもとでホット
スポットなどの不具合を生じることなく安定して生産で
きることを確認して本発明の電着ドラムとその製造方法
を完成するに至ったのである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、チタン電着ド
ラムの支持体となり、かつ電着面から流入する電流をド
ラム側板に導電する導電体となる炭素鋼製又はステンレ
ス鋼製インナードラムの内周面に、インナードラムの導
電容量を補強する導電性金属板を付設したことを特徴と
する。ここにいう導電性金属板は、銅又は銅合金が好ま
しい。
【0018】この電着ドラムの製造方法は、導電する電
流に対してそれぞれの材質の許容電流密度に相応する必
要最小厚み以上の板材により、インナードラムの内径に
近似する外径の導電リングを形成し、インナードラムに
圧入又は焼き嵌めあるいは冷やし嵌めして一体化するこ
とを特徴とする。
【0019】また、インナードラム内周のドラム幅方向
又は周方向に約1/2〜1/20の大きさに分割した分
割板を導電リングの素材としてインナードラム内周面全
面に、蝋付け、継ぎ手溶接、栓溶接等よって付設一体化
することを特徴とする。
【0020】本発明における銅板又は銅合金板からなる
導電性金属板は、チタン製アウタードラムの支持体及び
導電体としてのインナードラム外周板に内接する電流容
量補強材料としての機能を有している。これは、特許第
3121775号に見られるようなアウタードラム内周面とイ
ンナードラム外周面との間に中間素材として銅板もしく
は銅合金板を介在させたり、インナードラム外周板の素
材表面に銅板もしくは銅合金板を爆発圧着させるといっ
た従来の提案における加工性、経済性、実効性の問題を
解決したものである。
【0021】そのための本発明の基本となる構成は次の
通りである。 1)チタン製アウタードラム電着面を安定して保持する
に充分な機械強度を有する炭素鋼又はステンレス鋼製イ
ンナードラム外部円筒を形成する。 2)次いで、外部円筒の内径に近似する外径を有し、か
つチタン電着面から流入する電流をドラム側板に導電す
る電導体として電流の大きさに相応する所要厚みの銅又
は銅合金板で外周板に内接する導電リングを形成する。 3)導電リングを外部円筒の内周面に嵌め合わせ一体化
する。 4)外部円筒表面を精密機械加工にかけて、円筒精度、
真円精度、表面精度が充分なインナードラムを完成す
る。
【0022】上記の嵌め合わせ手段には圧入、焼き嵌
め、冷やし嵌めが適用できるが、これに代えて次の手段
が容易に実施できる。即ち、前項の導電リングの全面積
を内周方向もしくは幅方向に約1/2〜1/20に分割
した仕様の分割板外面を順次炭素鋼又はステンレス鋼製
円筒の内周面に合わせて蝋付け、継ぎ手溶接等によって
内張りする方法によって達成される。
【0023】銅系分割板をインナードラム外周板内面に
溶接によって付設した場合に留意すべきは外周板からの
電流の導入である。即ち、溶接フリー部位の外周板との
接触面は外周板の内面に完全には密着しないため電流の
多くは外周板内面→分割板側面及び分割板側面同士の継
ぎ手溶接部位を通じて導電リングに流入する。従って、
継ぎ手溶接部がインナードラム外周板からの電流を導電
リングに導電する導電リブの役目をすることになる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態及び実施例を直
径2.7m、幅1.3m(電着面有効幅=1.2m)、通
電電流60,000A(電着面電流密度=125A/d
)のチタン電着ドラムを例にして説明する。図1は
本発明の電着ドラムの一部破断正面図であり、図2は図
1中のA部拡大図である。図3は導電リングを円周方向
に3分割し、それぞれをインナードラム内周面に半田蝋
付けした実施例の図1中B−B相当電着ドラム断面図で
ある。図4は導電リングをドラムの幅方向に11分割し
てインナードラム内周面に継ぎ手溶接により付設した実
施例のドラム断面の詳細を示す一部破断正面図である。
【0025】実施例1 一般に汎用のチタン製アウタードラム10は、図6に示
したようにインナードラム9の表面に焼き嵌めされて相
互の電気的接触が完成されるが、本発明の第1実施例に
おいては、図1、図2に示すように、インナードラム9
はドラム構造体の機械強度を重視して厚み約20mmの
ステンレス鋼板により外径約2680mm、幅1300
mmに成形した。次いで、厚み5mmの圧延銅板をロー
ル曲げして両端部を突き合わせ、プラズマ溶接してその
外径がステンレス製円筒のインナードラム9内径より1
mm大きい銅製導電リング11を成形した。厚み5mm
としたのは、銅板の許容電流密度=1A/mmとし電
着面に流入する全電流がドラム幅の中央から2分して銅
板を経由してドラム側板に分流すると仮定したときに求
められる数値(2.5mm)をもとに加工性を考慮して
決めたもので、電流容量は必要量の2倍あり、必要充分
な厚みである。
【0026】次いで、ステンレス製円筒のインナードラ
ム9を焼き嵌め炉に垂直にセットし、その表面全体を2
00℃に加熱して内径が拡張された直後に、円筒内に導
電リング11を垂直に挿入した後、自然放熱させて嵌め
合わせを終了した。次いで、ドラム側板16、回転軸3
を取り付けた後に、インナードラム外周板表面に幅1m
m、溝深さ0.3mm、溝ピッチ2mmの凹凸面を機械
加工してインナードラムを形成した後、その外周面を特
許第2927726号に準じて錫メッキ(導電金属被覆12)
を施した。
【0027】次に、厚み8mmのチタン圧延板によりイ
ンナードラムの外径より数mm小さいアウタードラム1
0を製作した後、その内周面を特許第2927726号に準じ
て白金被覆13を施した後、溝加工したインナードラム
外周板に焼き嵌めして高電流電着ドラムを完成させた。
【0028】実施例2 実施例1と同様に厚み約20mmの炭素鋼板を曲げ加
工、MIG溶接して外径2684mm、幅1300mm
のインナードラム9を形成した。次いで、その内周面を
脱脂剤により脱脂した後非腐食性フラックス入りペース
ト半田を所要量刷毛塗りした。次いで、実施例1の銅製
導電リング11を円周方向に3等分した大きさの円弧状
分割板3枚(図3中の14)を準備し、1枚ずつ順に円
弧状外周面にペースト半田を塗布した上でインナードラ
ム炭素鋼板内周面にビス螺子により仮止めした後、焼き
嵌め炉に移して約200℃に加熱して炉内半田蝋付け17
を実施した。次いで、分割板間の隙間を半田蝋付け18
して銅板内張りされたインナードラム外周板を完成させ
た。
【0029】次に、側板、回転軸を取り付けた後、イン
ナードラムの真円精度及び表面精度を充分ならしめるた
めに炭素鋼表面を機械加工して、高電流に対応するに充
分な電流容量を保有するインナードラムを完成させた。
次いで、その外周面をワット浴を用いて光沢ニッケルメ
ッキを施し、厚み8mmのチタン圧延板により成形され
内周面に白金被覆されたアウタードラム10をその表面
に焼き嵌めして高電流電着ドラムを完成した。
【0030】実施例3 実施例2と同様に厚み20mmの炭素鋼板により外径2
684mm、幅1300mmのインナードラムを形成し
た。次いで、実施例1の導電リングを幅方向に12分割
しかつ分割間に溶接加工用の隙間5mmを開ける仕様の
分割銅板に加工し、1枚ずつ順にインナードラムの炭素
鋼外周板内面に5mmずつの間隔を取って点溶接により
全面を覆った後、炭素鋼表面と隣り合う分割板側面の3
面を銅系溶接棒によりTIG溶接し、約2mm肉盛りし
てインナードラムに内接する導電リングを完成した(図
4参照)。次いで、ドラム側板16、回転軸3を取り付け
た後、機械加工に掛けて真円精度、表面精度の充分なイ
ンナードラムを完成した。次いで、焼き嵌めされるチタ
ンドラムとの電気的接触を完全ならしめるためにその表
面にシアン化銀を用いて銀被覆を施した。
【0031】一方、厚み7mmのチタン圧延板によりそ
の内径がインナードラム外径より数mm小さく溶接線跡
処理を施したアウタードラムを製作し、その内面に白金
コーティングをした上で、焼き嵌め炉内で数100℃に
加熱して内径を拡張し、その中にインナードラムを挿入
して焼き嵌めが完了した。次いで、その表面を機械加
工、研磨加工して、高電流電着ドラムを完成した。
【0032】図4は導電リング11をドラムの幅方向に
上記の12枚に分割した分割板14の隣り合う分割板と
の隙間を溶接線15によってインナードラム外周板内面
と一体化した状態を示す。溶接線15は導電リブとして
機能し、その必要条数は次式によって求められる。 N=πR/I=πRD/2td
【0033】但し、上式はメッキ液に浸漬し陰極として
機能するチタン電着ドラムの円弧の長さをドラム円周の
1/2に設定しており、それぞれの記号を次のように規
定するものとする。 R=インナードラムの内径(mm) =導電リングの外径(mm) t=導電リングの厚み(mm) D=電着面の電流密度 =インナードラム外周板内面の電流密度(A/mm) d=導電リング断面の許容電流密度=1A/mm I=導電リブ間の距離(mm) N=導電リブの必要数
【0034】以上から銅系導電リング分割板の付設には
導電リブ必要数に見合う継ぎ手溶接等の溶接が必要にな
る。もし溶接を避けたい場合にはこれに代わる付設手段
として半田蝋付けがある。これにはペースト半田が適し
ており単位面積当り所要量の非腐食性フラックス入りペ
ースト半田を炭素鋼と銅の接触面に刷毛塗りした上ビス
ねじで仮止めし、焼き嵌め炉を利用してドラムを回転し
つつ半田の融解温度(183℃)+20℃まで昇温して
放冷することにより容易に完成できる。こうすれば、接
触面全面が蝋付けされて電気的接触はほぼ完全であるの
で極めて好ましい。
【0035】
【発明の効果】以上のように、電着ドラムとその製造方
法は、インナードラム外周板を先ず炭素鋼板又はステン
レス鋼板で形成し、次いで大電流を受け入れるに充分な
電流容量を有する銅又は銅合金製リングを嵌め合せ又
は、銅リングを数分割した分割板の内張りにより付設一
体化したことによって、チタン電着面に流入する大電流
を円滑に導電リングに導電するので、電着面の電流分布
を均整化して銅箔厚みを均一化すると共に、ホットスポ
ットなどの障害を起こすことなく生産性、安定性の高い
高電流運転を実現できることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電着ドラムの一部破断正面図である。
【図2】図1中のA部拡大図である。
【図3】導電リングを円周方向に3分割し、それぞれを
インナードラム内周面に半田蝋付けした実施例の図1中
B−B相当電着ドラム断面図である。
【図4】導電リングをドラムの幅方向に12分割してイ
ンナードラム内周面に継ぎ手溶接により付設した実施例
のドラム断面の詳細を示す一部破断正面図である
【図5】電解銅箔製造装置の正面略図である。
【図6】汎用回転ドラム陰極の一部破断正面図である。
【符号の説明】
1 浴槽 2 回転ドラム陰極 3 回転軸 4 軸受 5 銅メッキ浴 6 陽極 7 集電リング 8 整流器 9 インナードラム 10 アウタードラム 11 導電リング 12 導電金属被覆 13 白金被覆 14 分割板 15 溶接線 16 ドラム側板 17 半田蝋付け 18 半田蝋付け

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン電着ドラムの支持体となり、かつ
    電着面から流入する電流をドラム側板に導電する導電体
    となる炭素鋼製又はステンレス鋼製インナードラムの内
    周面に、インナードラムの導電容量を補強する導電性金
    属板を付設したことを特徴とする電着ドラム。
  2. 【請求項2】 導電性金属板は銅又は銅合金である請求
    項1記載の電着ドラム。
  3. 【請求項3】 導電する電流に対してそれぞれの材質の
    許容電流密度に相応する必要最小厚み以上の板材によ
    り、インナードラムの内径に近似する外径の導電リング
    を形成し、インナードラムに圧入又は焼き嵌めあるいは
    冷やし嵌めして一体化することを特徴とする電着ドラム
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 インナードラム内周のドラム幅方向又は
    周方向に約1/2〜1/20の大きさに分割した分割板
    をインナードラム内周面全面に、蝋付け、継ぎ手溶接、
    又は栓溶接によって付設一体化することを特徴とする電
    着ドラムの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114369851A (zh) * 2021-12-13 2022-04-19 西安泰金工业电化学技术有限公司 一种用于生产高强极薄铜箔的大幅宽阴极辊

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