JPH108286A - 電着ドラム - Google Patents

電着ドラム

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JPH108286A
JPH108286A JP16471696A JP16471696A JPH108286A JP H108286 A JPH108286 A JP H108286A JP 16471696 A JP16471696 A JP 16471696A JP 16471696 A JP16471696 A JP 16471696A JP H108286 A JPH108286 A JP H108286A
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JP
Japan
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drum
inner drum
outer cylinder
contact
titanium
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JP16471696A
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English (en)
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Hiroshi Goto
弘 後藤
Masanori Mizuta
正則 水田
Noboru Maehara
登 前原
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NAIKAI AAKIT KK
Original Assignee
NAIKAI AAKIT KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼材あるいは銅材製インナードラムと電極と
なるチタン製アウターシリンダーの焼嵌め接合における
両面の接触不良にもとづく不十分な電気的接続を改良
し、電極面の電流分布を均整化して、厚みむらの小さい
良質銅箔の製造が可能な、主としてプリント配線板用電
解銅箔の製造に供される電着ドラムの提供を目的とす
る。 【解決手段】 鋼材あるいは銅材からなるインナードラ
ムとこれに焼嵌めされるチタン製アウターシリンダーと
の接合界面にあって、該インナードラムの円周を所定の
間隔で分割する位置に、回転軸と平行に両面を電気的に
接続する複数の導電リブを設けてなる金属箔電着ドラム
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解金属箔の生産
に供される回転陰極式電着ドラムのチタン製アウターシ
リンダー内周面と鋼材又は銅材製インナードラム外周面
との接合部の電気的接続を良好にするための新規な構造
の電着ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の電着ドラムは、基本的にアウタ
ーシリンダーの素材になるチタン圧延板が原料チタンの
鋳塊を鍛造工程、圧延工程にかけて製造された熱間又は
冷間圧延板であって機械加工されていないため、その表
面の平滑度および平坦度が機械加工面の精度に比べて低
いことと、圧延板をリング状にロール成形し両端部を突
合わせ溶接して作られるために真円度が十分でないこと
などの理由により、たとえインナードラムの表面が機械
加工された真円度及び平滑度を有していても、焼嵌めさ
れたアウターシリンダー内周面とインナードラム外周面
との全接触界面に密着部と隙間部を生じ、両者の接触に
バラツキを生じることは避けられず、そのため電着面の
電流分布が不均整になり銅箔の厚みムラを生じることに
なる。その上、隙間部に位置した酸化され易いインナー
ドラム表面が経時的に腐食されて錆を生じるに伴いその
バラツキは更に増加するとともに、接触不良域が広い範
囲に拡大するとチタンシリンダー内面の局所からインナ
ードラム表面に電流が放電的に流れて、チタン板の局所
をジュール熱により熔融し変質する結果、以後その局所
の電着面の銅箔にホットスポットと呼ばれる変質を生じ
て製品価値を失う不利益を蒙ることになる。よって、こ
のような焼嵌めの欠点を改善するために現在までに多く
の提案がなされてきた。
【0003】これらの改善提案には焼嵌めされるアウタ
ーシリンダーのグリップ力を強め接触面圧を高めるため
にインナードラムの外周面に交互に高められた凹凸を設
けて凸面を接触面とする方法(特公昭58-24507号)、イン
ナードラムとアウターシリンダーの接触面に接触抵抗を
減ずるために銀メッキ又は白金メッキあるいは金メッキ
を施す方法(特公昭61-60149号)、インナードラムとこれ
に嵌合するチタンシリンダーとの隙間にはんだ等の低融
点金属を充填する方法(特公平2-55510号)、網状又は多
孔状の導電性金属シートを介してアウターシリンダーを
インナードラムに焼嵌めする方法(特開平3-191079号)、
インナードラムの外周面に熱膨張率の大きい導電性線材
を巻回して、アウターシリンダーを焼嵌めする方法(特
開平4-116190号)、インナードラム外周面とアウターシ
リンダー内周面との間に導電性,耐食性の軟質中間素材
を介在させて一体化する方法(特開平4-103788号)など多
くの提案がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術には、それぞれ実効性,作業性,経済性など
に一長一短があって必ずしも十分満足されるに至ってい
ない。例えば、焼嵌めされたアウターシリンダーを解体
した内周面にはインナードラム外周面と如何に接触して
いたかを物語る形跡が残されており、摩擦によって金属
組織が露出して光を反射する接触部は多くの場合30〜40
%に過ぎないので、従来技術を代表する特公昭58-24507
号記載のインナードラム表面に形成される交互に高めら
れた凸状接触面も、非接触域にあっては両面間に不均一
な隙間が存在するし、また、両面に銀,金などをメッキ
し接触抵抗の減少を図った特公昭61-60149号において
も、同様の隙間がそのまま取り残されるので接触部のオ
ーム損を減少できても電着面全体の電流分布を均整化す
るには至らない。更にまた、特公平4-103788号などのイ
ンナードラムとアウターシリンダーとの間に中間素材を
介在させる提案は、中間素材をアウターシリンダーに一
体化するために爆着等の特殊手段を必要とするので施工
の容易性に欠け経済的とは言えない。
【0005】本発明者らはこれらの諸提案がかかえる問
題を重視してアウターシリンダー内周面のインナードラ
ム外周面との接触の形跡と、それぞれの形跡をもった電
着ドラムから製造された銅箔の厚みのバラツキとの関係
を調べた結果、次の事実が判明した。すなわち、銅箔製
造に数年間運転された炭素鋼製インナードラムにチタン
製アウターシリンダーを焼嵌めしただけの電着ドラムを
対象にして運転期間を通じて厚みむらが比較的少なかっ
たドラムと、比較的多かったドラムに区別してそれぞれ
の接触状態を比較してみると、前者の共通点として光沢
のある接触面と無光沢の非接触面とがそれぞれ10乃至20
mmの幅で交互にドラムの幅方向に帯状に配列した接触パ
ターンを略全面に有していることが、また、後者の共通
点として帯状接触面に切れ目すなわち非接触面が多く介
在して接触パターンに均一性がないことが認められた。
特にホットスポットが発生したチタンシリンダーの内面
には、非接触部が広い領域にまたがっていてその中に加
熱した跡の変質点が存在していた。このような接触パタ
ーンの相違は、チタン圧延板をシリンダー状にロール成
形して両端を突き合わせ溶接して製作されたチタンシリ
ンダーの素材の平面度および製缶精度の良否によって生
じることが確かめられた。
【0006】従って、良好な接触を得るにはチタンシリ
ンダーの製缶精度を高めることが求められるがこれには
限界があり、更にはチタン圧延板の平面度及び面の粗さ
が重なって焼嵌め接触の問題解決を困難ならしめてい
る。本発明者らは現状では避けられないチタン素材と製
缶加工に起因して生じる両接合面のバラツキのある隙間
を肯定した上で、前記の事実、すなわち厚みむらが比較
的小さい銅箔を製造できた電着ドラムの共通点として、
接触面積率としては30%程度に過ぎないにも拘わらず規
則的な間隔でドラムの幅方向すなわち回転軸に対して平
行にシリンダーの幅一杯に伸びた接触帯が全面に及んで
いる如き接触パターンを有することに着目し、焼嵌め接
合では困難であった陰極電流分布の均整化を実現して、
高密度プリント配線板に求められている厚みむらの小さ
い薄厚銅箔の製造に適用できる電気的接合構造の確立を
課題としてその解決手段を追求した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の解決手段は、鋼
材あるいは銅材からなるインナードラムとこれに嵌合さ
れるチタンあるいはステンレス鋼からなるアウターシリ
ンダーとの接合界面の、インナードラムの外周面を所定
分割する位置に、導電リブを設けてなることを特徴とす
る電着ドラムとしたことにある。
【0008】更に詳しくは、アウターシリンダーとイン
ナードラムとの接合界面のインナードラムの円周約100
乃至300mmの間隔で等分割する回転軸に平行な面にアウ
ターシリンダーと電気的に接続する導電リブを設けて、
陰極面からの電流の大部又は一部を導電リブを通じてイ
ンナードラムに伝達させるものである。前記の焼嵌め接
合面の電気的接触不良の問題を改善する目的の提案の手
段の多くは陽極からチタンシリンダーの電着面に流入す
る電流をできるだけストレートにインナードラムに伝達
させようとするものである。
【0009】その主な理由は、チタンの電気比抵抗が82
×10~6Ω・cmであり、銅の1.73×10~6Ω・cm,鉄の10×
10~6Ω・cmに比べて大きいためと思われる。たしかにチ
タンは銅や炭素鋼に比べれば電気伝導度が小さく電気の
良導体とは言えないが、電気化学工業を代表するソーダ
工業においては、チタンは食塩電解槽のDSEと呼ばれ
る金属陽極の基材として、またその導電リブ材として広
く大量に使用されており、電流の導体として許容される
電流密度の範囲内で使用する限りオーミックロスやジュ
ール熱による障害はなく問題になることはない。注目す
べきは、電流密度が30乃至40A/dm2で使用されるDSE
陽極の厚みがわずか1乃至2mmであり、100乃至200mmの
間隔で平行に配置される給電リブに点溶接によって取付
けられていることで、陽極と陰極の違いはあるが接合面
全体の接触に努力が払われて来た電着ドラムの場合とは
大きく相違するところである。
【0010】本発明の導電リブの構成は、インナードラ
ム外周面で回転軸に平行に設けられる凹状溝とインナー
ドラムに嵌合されるアウターシリンダーの内周面とによ
って形成される空所に、ビスマス,錫,鉛から選ばれた
2乃至3成分の凝固膨張性可融合金を充填して形成して
なる。
【0011】もう一つの導電リブの構成は、インナード
ラム外周面で回転軸に平行に設けられる凹状溝に、錫,
鉛から選ばれた1乃至2成分のモース硬度が2以下であ
る導電性金属バーを嵌合し、焼嵌めされるアウターシリ
ンダー内周面のかしめ作用によって形成してなる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは解体されたチタンシ
リンダー内周面の接触形跡における接触部の配列がDS
E陽極の給電リブの配列に共通することに着目し、チタ
ン陰極板すなわちアウターシリンダーと、その背面の導
電体すなわちインナードラムとの導電構造への応用を検
討して、その可能性を確認するための試験を重ねた結
果、前記した従来の諸提案の手段とは基本的に異なる導
電リブ式接触手段を完成するに至った。
【0013】図1及び図2は本発明の導電リブ式電着ド
ラムの構造を示すものである。電着ドラム1は回転軸2
により支持されてメッキ液中で通電しながら回転するも
のである。ここで、鋼材あるいは銅材からなるインナー
ドラム3とこれに嵌合されるチタンあるいはステンレス
鋼からなるアウターシリンダー4との接合界面にこの場
合はインナードラム3の表面に溝状の導電リブ5を形成
する。図中の導電リブ5の構成と配置は一例を示すもの
で本発明はこれに限定されるものではない。導電リブ5
はこれに接するインナードラム3とアウターシリンダー
4の電気的接続を完全ならしめるよう工夫されており、
この例においてはドラム円周を12等分する位置に12ヶ所
設けられている。図3には導電リブ5を配置するインナ
ードラムの表面に加工された導電リブ形成用溝6を示
す。
【0014】本発明の導電リブ5の一形態は、ビスマス
を主成分とするBi−Sn,Bi−Pbの2成分系又は、B
i−Sn−Pbの3成分系の凝固膨張性可融合金によって
形成される。この場合における導電リブ形成用溝6の一
端はドラム側面に抜け、他端は約30mm手前までに止めら
れる。凝固膨張性可融合金の種類には錫,鉛の他、カド
ミウムを含むものもあり、また、その融解温度は約70℃
乃至約150℃の範囲で多数あるが、融解温度が電着ドラ
ムの運転時の温度より安全を見て20℃以上高いものが選
ばれる。その代表的合金の成分と性質は表1の如くであ
る。
【0015】
【表1】
【0016】一例として、表1のBi−Sn−Pb合金を
使用した導電リブは次の加工によって形成される。先
ず、導電リブ形成用凹状溝の寸法の中幅のみを0.2mm小
さくした溝と略同形状の内容積の鋳型を用いてBi−Sn
−Pb合金のロッド状インゴットが所要数準備され、イ
ンナードラムの溝に嵌め合わされる。次いで、焼嵌め用
電気炉内で垂直に配置されて300℃に加熱され内径を拡
張したチタンシリンダーに、ドラム側面7まで溝が抜け
ている面すなわち、合金のインゴットの端部が見られる
面を上にして垂直に吊り降ろされて嵌め合わされた後、
ドラム表面温度を合金の融解温度(100℃)に加熱され
る。融解温度に達するとチタン製のアウターシリンダー
4の内面によって四囲を封じられた溝穴に配置された合
金のインゴットは熔融して周囲の隙間に浸入しこれを満
たす結果、溝の上端に有った合金のレベルが低下する。
この時点で予め用意された合金の湯が溝の上端まで注入
された後、加熱が停止され放冷される。全体の温度が10
0℃以下になれば合金は凝固して体積膨張するので、こ
れと接するチタン及び炭素鋼の表面に圧接し良好な電気
的接触を完成し導電リブ5としての機能を発現する。か
かる接触におけるチタンシリンダーと導電リブおよび導
電リブと炭素鋼のオーミック電圧が導電リブとチタンシ
リンダーの接触面電流密度=500A/dm2のもとで測定され
た結果は、前者が5mV以下、後者が1mV以下の好ましい
電気的接触が得られる。なお、上記は予め合金のインゴ
ットを凹状溝に嵌合した後焼嵌めする手法であるが、焼
嵌めにより四囲を封じられた溝穴に合金の湯を注入する
手法によっても同様の効果が得られる。
【0017】導電リブの条数は次式によって求められ
る。
【数1】
【0018】但し R−電着ドラムの直径 t−電極(チタン)の厚み D−電着面電流密度 d−電極断面電流密度 l−導電リブ間の距離 N−導電リブの必要数
【0019】数1は、図5に示す如く導電リブ5間の陰
極面に流入する電流の全量が電極の厚み方向に向きを変
えチタン導体を流れて導電リブに達した位置の電極断面
電流密度dが陰極電流密度Dのl/2t倍になることか
ら導かれる。一例としてR=2000mm,t=5.2mm,D=1
00A/dm2(0.01A/mm2)の電着ドラムの場合の必要数をチタ
ン導体の許容電流密度を0.5A/mm2として上式より求める
と12条になる。因にDSE陽極のチタン基材の厚みを決
める電極断面電流密度の設計基準には特開平8-35098号
に述べられている如く一般に1A/mm2が用いられてい
る。また、電極面を均一電流密度分布で電流が流入(ま
たは流出)する電極導体内でのオーム損は文献{(高橋,
増子「工業電解の化学」P135,アグネ(1979)}に紹介さ
れているので、この例におけるチタン導体のオーム損を
電気比抵抗=80×10~6Ω・cmとして求めると50mVにな
る。但しこの値は図5に示すように導電リブ5間のアウ
ターシリンダー内面とインナードラム外面との間に間隙
Gが存在して全く接触していない極端な場合におけるも
のであるが、実際には図4に示すように導電リブ5間の
両面は従来の焼嵌め接触を保つので電流の大部又は一部
はその接触部を通じて直接インナードラムに流入するた
めチタン導体のオーム損は上記数値より遥かに小さくな
る。電着ドラムはその容積の約45%を電解浴に浸漬した
状態で回転するので、全周の導電リブの数が12条の場
合、電解浴中に存在する導電リブの数は5条であったり
6条であったりの変化があるが、電流がチタン導体の許
容電流密度以内であればこれに起因する陰極電流分布の
乱れはなくオーミックロスの変化も計算上数mV以下で十
分無視できる。また、導電リブとして機能する表1のビ
スマス合金の電気伝導度は3〜5%IACSであり、チ
タンの2倍以上の導電性を有するので全く問題になるこ
とはない。
【0020】本発明の導電リブの他の形態は錫,鉛又は
その合金、すなわち、はんだを素材として形成される。
これらの金属又は合金は耐食性,導電性に優れかつ硬度
が2以下で変形し易く、また融解温度が低い特性を有す
るので、従来の提案例えば特公平2-55510号にも隙間を
埋める充填材として利用されている。この場合において
も前記と略同様にインナードラムの表面に設けられる凹
状溝にこれらの素材の鋳造されたロッドを嵌合しアウタ
ーシリンダーの焼嵌めによって自動的にその機能が発現
される。この場合のインナードラムの凹状溝とこれに嵌
合する素材ロッドとの関係と、導電リブの形成過程は図
6(a),(b)及び(c)に示す如くである。
【0021】図6(a)に見られるように、インナードラ
ム3の凹状溝6はその側面の下端の底面の外周に切込溝
8が設けられている。この凹状溝にその幅が溝幅よりわ
ずかに小さく高さが溝の深さより約0.5mm大きい素材ロ
ッド9が嵌合される。すなわち、図6(b)において溝6
に嵌合された素材ロッド9は溝の上端、すなわちインナ
ードラム3の外表面より約0.5mm突き出た状態になる。
次いでアウターシリンダー4が焼嵌めされると図6(c)
に示す如くその内面は先ず素材ロッド9の突き出た面に
接触しそのグリップ力によって素材ロッドを溝の内部に
押し潰す結果として素材ロッドのチタン面との接触面は
チタン粗面の形状に合わせて変形し密着すると同時に押
し潰し圧力のかしめ作用によって溝の側面及び底面に圧
接し、体積バランスを超える余分は溝底面の切込溝8に
移動する。焼嵌め前の素材ロッド9の突き出しの長さは
原則として隙間の原因になるチタン製アウターシリンダ
ー4内面の凹凸の高さの最大値よりわずかに大きめにす
るのが好ましい。こうすることによって主として製缶精
度に起因するアウターシリンダー内面の非接触領域にド
ラムの幅全長にまたがる導電リブ5の電気的接触が形成
されるのである。
【0022】
【実施例】以下の実施例により、本発明の実施形態を更
に具体的に説明する。 実施例 1 図1乃至図3は、本発明の導電リブ式電着ドラムの具体
例を示すもので、その効果を確認するために実施したテ
ストドラムの製作と通電試験に関して以下に説明する。
直径500mm,幅300mmの電着ドラム1が次によって製作さ
れた。回転軸2を中心に厚み15mmの炭素鋼(SS400)で外
径492mmのインナードラム3が形成され、その外周表面
の円周を12等分する面の各々に、幅12mm,深さ6mm,長
さ295mmの導電リブ形成用溝6が中ぐり盤によりドラム
の幅の一端の幅5mmを残して切削された。次いで、厚み
4.6mmのチタン圧延板で内径491mm,幅310mmのアウター
シリンダー4が製作され、焼嵌め用加熱炉内に垂直にセ
ットされて350℃に加熱された上、インナードラム3が
導電リブ形成用溝6のドラム側面7に開口している側面
を上にして嵌め合わされた。続いてドラム表面温度を10
5℃に調温後、予め用意された表1のBi−Sn−Pb合金
の110℃の湯が溝6に注入され、全ての溝の上端まで満
たされた後冷却凝固されて鋳造式導電リブが形成され
た。この後、チタン側板の取り付け、電着面の切削研磨
が行われて導電リブ式電着ドラムが完成した。これと比
較するために、焼嵌めのみの従来式電着ドラムが導電リ
ブ以外の仕様を全く同じくして製作された。この2台の
テストドラムを銅箔製造試験装置に組み込んで、DSE
陽極,極間距離6mm,硫酸銅(5水塩)濃度280g/l,極間
流速60cm/秒,温度65℃,陰極電流密度60〜100A/dm2
銅箔の厚み25μmの運転条件により銅箔製造比較試験が
行われた。
【0023】その結果、従来ドラムは70A/dm2で銅箔の
幅の片側が焼けメッキになり、80A/dm2を超えると局所
に染み状の変色点が発生して正常な製箔が不能になっ
た。これに対し、本発明ドラムは100A/dm2まで全く異常
無く製箔できた。電流密度=60A/dm2おける両ドラムの
銅箔をドラム一回転分採り、幅の両端25mmずつを除いた
250mm幅を5等分し、長さ方向を約31等分した50mm角の
小片に裁断して全数を計量した結果、従来ドラムのバラ
ツキ(%)={(最大値−最小値)/平均値}×100が5.6%
であったのに対して、本発明ドラムはわずか0.8%であ
った。これより、電着面の幅方向に規則性をもって配置
される導電リブが電極面の電流分布を均整化する上で極
めて効果があることが確認された。試験終了後試験ドラ
ムが図6(a)に示す接合断面が観察できる如く解体され
て、ビスマス合金の炭素鋼及びチタンとの接触状態が12
箇所にわたって調査された。その結果は、全箇所共に気
泡などによる隙間は全くなく、チタンシリンダーの真円
度不良にもとづく溝上端部にできたわずかな隙間にも入
り込んで、恰も溶接して一体化した如くに四囲の面に完
全に密着しているのが確認された。
【0024】実施例 2 実施例1と導電リブ形成用溝6の形状の一部以外は全く
同じ製作仕様によりテストドラム用インナードラム3が
製作された。凹状溝はその長さがインナードラムの幅に
等しく、底面に図6に示す切込溝が縦1mm,横1mmの正
三角形状に切削された。導電リブの素材として電気鉛が
用いられ、図6(a)に示す素材の如く幅が溝幅12mmより
0.2mm小さい11.8mm、高さが溝深さ6mmより0.5mm長い6.
5mm、長さが溝幅に等しい300mmの寸法に鋳造加工され
て、インナードラム3の凹状溝にぴったりと嵌め込まれ
た。次いで実施例1と同じ仕様のチタン製アウターシリ
ンダー4が製作され、その内周表面が熱分解還元法によ
り白金被覆された後、表面温度が350℃に加熱されて電
気鉛のロッドを嵌合したインナードラムに焼嵌めされ、
かしめ式導電リブ5が形成された。この後、チタン側板
の取り付け、電着面の切削研磨が行われて導電リブ式電
着ドラムが完成した。
【0025】この後、実施例1と同じ運転条件により銅
箔製造試験が行われ陰極電流密度100A/dm2まで全く異常
なく厚みのバラツキが1.2%以下の25μm銅箔が製造でき
た。試験終了後、図6(c)の導電リブとアウターシリン
ダーのチタン内面との接触状態が観察できるよう解体さ
れ、12条全数共幅50mmに分割する位置毎に接触状態が精
査された。その結果、12mmの溝幅の全面が完全に接触し
ていたもの32%,溝幅の50%以上が接触していたもの39
%、50%以下であったもの27%、全く接触していなかっ
たものわずか2%で、実施例1における100%接触に比
べれば劣るものの極めて良好な電気的接触が形成されて
いたことが確認された。
【0026】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、本発明
の電着ドラムは、アウターシリンダー内周面の真円度、
粗面度に影響されることなく両面の電気的接続を完成さ
せる導電リブの作用によって、厚みむらやホットスポッ
トなどの変質のない良質金属箔の製造を可能とし、かつ
従来法では避けられなかった電着ドラム製作ロット間の
バラツキが解消されるので、総合して金属箔の生産コス
トを大幅に低減することが可能になったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電リブ式電着ドラムの一部破断側面図であ
る。
【図2】導電リブ式電着ドラムの一部破断正面図であ
る。
【図3】導電リブ形成用溝が設けられたインナードラム
の斜視外観略図である。
【図4】導電リブ式電着ドラムの電流の流れを示す説明
図である。
【図5】導電リブ式電着ドラムの電流の流れを示す説明
図である。
【図6】(a)〜(c)は導電リブの形成手段の一例を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 電着ドラム 2 回転軸 3 インナードラム 4 アウターシリンダー 5 導電リブ 6 導電リブ形成用溝 7 ドラム側面 8 切込溝 9 素材ロッド

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材あるいは銅材からなるインナードラ
    ムとこれに嵌合されるチタンあるいはステンレス鋼から
    なるアウターシリンダーとの接合界面にあって、該イン
    ナードラムの外周面を所定分割する位置に、複数の導電
    リブを設けてなることを特徴とする電着ドラム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の導電リブは、インナード
    ラム外周面で回転軸と平行に設けられる凹状溝とインナ
    ードラムに嵌合されるアウターシリンダーの内周面とに
    よって形成される空所に、ビスマス,錫,鉛から選ばれ
    た2乃至3成分の凝固膨張性可融合金を充填して形成し
    てなることを特徴とする電着ドラム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の導電リブは、インナード
    ラム外周面で回転軸と平行に設けられる凹状溝に、錫,
    鉛から選ばれた1乃至2成分のモース硬度が2以下であ
    る導電性金属バーを嵌合し、焼嵌めされるアウターシリ
    ンダー内周面のかしめ作用によって形成してなることを
    特徴とする電着ドラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019093758A1 (ko) * 2017-11-09 2019-05-16 주식회사 엘지화학 전해 동박 제조 장치

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KR20190052895A (ko) * 2017-11-09 2019-05-17 주식회사 엘지화학 전해 동박 제조 장치
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