JP4879303B2 - 橋桁送出し工法 - Google Patents
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ここで、橋桁部材が曲線部を有している場合や、地組ヤードが架橋位置延長上に確保できない場合がある。この場合には、送出した橋桁部材を回転させる回転工程が必要となる。従来、回転工程を行うのに、回転軌道を用いることが行われているが、回転軌道を製作するのに精密な工作が必要となるため、コストアップする問題がある。また、橋脚上等は、狭いスペースであるため、架設する場所によっては、回転軌道を設置するのが困難な場合がある。
回転中心機構105の上に橋桁部材106の第1橋脚側の中心部を載置する。一方、直線軌道103上には、台車107が移動可能に設置され、図19に示すように、台車107の上には台車107に対して回転可能なクローラプレート108が設置されている。クローラプレート108の上に橋桁部材106の第2橋脚側が載置される。
そして、台車107を図17に実線で示す状態から、2点鎖線で示す状態まで移動することにより、回転中心機構105を中心として、橋桁部材106を回動させる。このとき、橋桁部材106は、台車107上でクローラプレート108上を移動することで、直線軌道を用いて、橋桁部材106の回動が可能となっており、図19において、クローラプレート108は、実線で示す位置から、2点鎖線で示す位置に移動・回転する。
すなわち、特許文献1の技術では、橋桁部材の第1橋脚側の中心位置を回転中心機構105で支持しているため、橋桁部材106が複数の主桁を備える広幅のものである場合に、一点支持となるため、橋桁部材106の第1橋脚側のバランスが不安定となる問題があった。
特に、特許文献1の技術では、回転中心機構105が、橋桁部材106の回動に伴って発生する水平力と、橋桁部材106の重量を支える鉛直力とを同時に一点支持で受けているため、水平力と鉛直力のバランスを同時に取らなければならないため、橋桁部材106の第1橋脚側のバランスがより不安定となる問題があった。
(1)橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法であって、前記橋桁部材が、複数の主桁を備える広幅の橋桁であり、前記第1橋脚上に設置された回転中心軸機構により、前記主桁の一方を支え、前記第2橋脚上に設置された直線軌道を用いて、前記橋桁部材の前記第1橋脚側の前記両主桁を移動させることにより、前記橋桁部材を、前記回転中心軸機構を支点として回動させる回動工程を有することを特徴とする。この発明は、橋桁部材が曲線部を有する場合、または地組ヤードが架橋位置の延長上に確保できない場合に、解決手段として有効である。
(2)(1)に記載する橋桁送出し工法において、前記回転中心軸機構が、前記回動工程における水平力を受ける水平力受け手段と、前記橋脚部材の重量を支える前記水平力受け手段とは別体の鉛直力受け手段とを有することを特徴とする。
(4)(3)に記載する橋桁送出し工法において、前記主桁の他方を移動させるときに使用する水平ジャッキのストローク誤差の調整を、油圧ポンプのリリーフバルブにより行うことを特徴とする。
(1)橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法であって、前記橋桁部材が、複数の主桁を備える広幅の橋桁であり、前記第1橋脚上に設置された回転中心軸機構により、前記主桁の一方を支え、前記第2橋脚上に設置された直線軌道を用いて、前記橋桁部材の前記第1橋脚側の前記複数の主桁を移動させることにより、前記橋桁部材を、前記回転中心軸機構を支点として回動させる回動工程を有することを特徴とするので、橋桁部材が曲線部を有する場合、または地組ヤードが架橋位置の延長上に確保できない場合には、橋桁部材の第1橋脚側の主桁の一方を中心として、橋桁部材を回動させるため、橋桁部材を安定したバランスで橋桁部材を回動させることができる。
(2)(1)に記載する橋桁送出し工法において、前記回転中心軸機構が、前記回動工程における水平力を受ける水平力受け手段と、前記橋脚部材の重量を支える前記水平力受け手段とは別体の鉛直力受け手段とを有することを特徴とするので、回転中心となる回転中心軸機構が、回動工程で発生する水平力と、橋桁部材の重量を支える鉛直力とを別々に支持できるため、特許文献1の一点支持と比較して、安定したバランスで橋桁部材を回動させることができる。
(4)(3)に記載する橋桁送出し工法において、前記主桁の他方を移動させるときに使用する水平ジャッキのストローク誤差の調整を、油圧ポンプのリリーフバルブにより行うことを特徴とするので、橋桁部材を第2橋脚側で大きく移動させたときに、第1橋脚側の主桁の他方が想定外の移動を必要とする場合であっても、リリーフバルブで逃げを取れるため、広幅の橋桁部材に対しても、安定したバランスで橋桁部材を回動させることができる。
橋脚は、図示するように、左側からP1、P2、P3、P4、P5、P6が建設されている。請求項の第1橋脚は橋脚P2に相当し、請求項の第2橋脚は橋脚P1に相当する。橋脚Pの中間地点には、仮組脚であり、完成後撤去するベントBが組み立てられている。ベントBは、図示するように、左からベントB1、B2、B3、B4、B5、B6が組み立てられている。
橋脚P1の左方向には、高架桁D1が架設済みである。また、橋脚P2、P3、P4、P5の間には、高架桁D2が架設済みである。高架桁D2は、橋脚P2、P3、P4、P5、P6のみならず、ベントB1、B2、B3、B4、B5、B6によっても支えられている。
前方台車13と後方台車14には、橋桁部材Hが載置されている。橋桁部材Hの前方側には、手延機Tが連結されている。また、橋桁部材Hの後方側には、後方工事桁Uが連結されている。
自走式の前方台車13を駆動することにより、橋桁部材Hを橋桁P2付近まで移動する。後方台車14は、橋桁部材Hの移動に伴い、送出し側直線軌道11上を移動する。この移動により、手延機Tの先端がベントB1に到達する。ベントB1上には、ローラが設けられており、そのローラの上に手延機Tが載置される。また、ベントB2上には、ジャッキが設けられており、橋桁部材Hは、ベントB1、ベントB2、後方台車14により支持される。この状態で、前方台車13は、10m程度後退し、ベントB2上のジャッキを降下することで、橋桁部材Hを支持する。そして、再び自走して橋桁部材Hを前方に送出す。この作業を繰り返すことにより、橋桁部材Hを送り出すことができる。
そして、図2に示す位置まで、橋桁部材H、手延機T、後方工事桁Uを送り出す。
次に、橋桁部材Hを回動させるための装置、及びその作用について説明する。
図7に、橋脚P1上に設置された回動装置を、前方方向から見た図(図5のAA断面図)を示す。また、図8に、図5のB部拡大図を示す。橋脚P1の上には、複数の支持台24により、直線軌道21が配設されている。直線軌道21の上には、4台の移動台車23が、直線軌道21に沿って移動可能に保持されている。
図8に示すように、橋桁部材Hは、両側に主桁HA、HBを有し、主桁HAと主桁HBとは、中間材HCにより連結されている。主桁HAは、一対の主桁構成桁HA1と主桁構成桁HA2とが、連結材HACにより連結され構成されている。また、主桁HBは、一対の主桁構成桁HB1と主桁構成桁HB2とが、連結材HBCにより連結され構成されている。
また、残りの2台のクローラプレート108には各々、橋桁部材Hの第2主桁HBを構成する一対の主桁構成桁HB1、主桁構成桁HB2が載置されている。主桁構成桁HB2を載置した移動台車23には、水平ジャッキ22が取り付けられている。
次に、回転台31の構造を説明する。図12に、回転台31の中央断面図を示す。図13に、底部にテフロン(登録商標)板を取り付けたスライドジャッキ314の配置を、図12のC矢視図で示す。正方形の2枚の板を連結して形成した、2個の正方形台312、313の間に、4個のスライドジャッキ314が配置されている。正方形台312,313の中心には、中心孔が形成され、中心軸311が嵌合されている。中心軸311は、直径150mmのS45CN材であり、正方形台312、313を貫通し、上端の平らな面に、主桁HBの中心点を載置している。
このように、橋桁部材Hから伝わる自重による垂直力を4個の底部にテフロン(登録商標)板を有したスライドジャッキ314で支持し、回動に伴う水平力を正方形台312、313で受けているので、特許文献1の一点支持と比較して、安定したバランスで橋桁部材を回動させることができる。すなわち、回動作業により、中心軸311には、大きな水平力が作用するが、正方形板312及び正方形板313で、水平力を受けているので、垂直力を支持している4個のスライドジャッキ314に影響を与えることが少ない。また、回動作業により、橋桁部材Hの支持力に変化があっても、4個のスライドジャッキ314で分担して、橋桁部材Hの重量を支持しているので、バランスを崩すことがない。
架台32の上に、一対の直線軌条35が配設されている。直線軌条35の上面には、テフロン(登録商標)板333を底部に有したスライドジャッキ335が取付板332を貫通して、載置されている。取付板332の下面の両端部には、直線軌条35を挟んでガイド334が固設されている。直線軌条35とガイド334の隙間は、両側各々50mmとしている。取付板332の上面には、ブラケット331が付設され、ブラケット331の上面には、架台34が固設されている。架台34の上面には、2個のスライドジャッキ36を介して、橋桁部材Hの主桁HBの後端部が載置されている。図15に示すように、ブラケット331には、水平ジャッキ38のロッド先端38aが連結されている。水平ジャッキ38のシリンダ後端部38bは、直線軌条35に固設されている。
橋桁部材Hは、橋脚P1の上においては、図5及び図8に示す位置に配置されている。また、橋脚P2の上においては、図5に示す位置に配置されている。
図8において、水平ジャッキ22のシリンダ後端部を直線軌道21に固定し、水平ジャッキ22を油圧駆動する。水平ジャッキ22が駆動されることにより、主桁構成桁HA2を載置した移動台車23、及び主桁構成桁HB2を載置した移動台車23が、水平ジャッキ22のストローク分、図中左方向に移動する。これに伴い、残りの2台の移動台車23も移動するので、橋桁部材Hの主桁HA、HBが同時に左方向に、水平ジャッキ22のストローク分移動する。
一方、橋脚P2の上では、主桁HAの後端部が、回転台31に載置されているので、主桁HAは、回転台31の中心軸311を中心として、回動されるのみである。
橋脚P1上では、主桁HA1、HA2が左方向に移動されるときに、各々が載置されている移動台車23に対して、主桁HA1、HA2が、各々のクローラプレート上を前方方向に移動する。
一方、主桁HBの後端部は、橋脚P2の上において、中心軸311を中心として、移動する。すなわち、水平ジャッキ38の油圧供給部には、図示しないリリーフバルブが取り付けられており、水平ジャッキ38に過分な油圧がかかると、油圧が開放されるようにされている。
通常の動作では、水平ジャッキ38に油圧が供給され、取付板332は、テフロン(登録商標)板333で滑って移動できるため、直線軌条35に沿って移動する。このとき、回動作用のため、取付板332は、直線軌条35に対して、軸線から外れる方向に力が作用する。この場合には、取付板332のガイド334の余裕の範囲、すなわち、両側50mmずつの範囲で移動しながら、直線軌条35に沿って移動する。
次に、図4に示すように、回動して正規の位置にある橋桁部材Hを、ベントB1、B2に配設された垂直ジャッキにより下降させ、架設済みの高架桁D1、D2と接続する。これにより、橋桁部材Hの送出し工法が終了する。
また、主桁の他方HBを移動させるときに使用する水平ジャッキ38のストローク誤差の調整を、油圧ポンプのリリーフバルブにより行うことを特徴とするので、橋桁部材Hを第2橋脚P1側で大きく移動させたときに、第1橋脚P2側の主桁の他方HBが想定外の移動を必要とする場合であっても、リリーフバルブで逃げを取れるため、広幅の橋桁部材Hに対しても、安定したバランスで橋桁部材Hを回動させることができる。
例えば、本実施例では、主桁HA、HBが両側にある広幅の橋桁部材Hについて説明したが、さらに広幅で、主桁が3本以上ある場合でも、同様である。
また、本実施例では、橋桁部材が曲線部を有する場合について説明したが、橋桁部材が曲線部を有していない場合であっても、地組ヤードが架橋位置の延長上に確保できない場合には、同様の効果を奏することができる。
HA、HB 主桁
T 手延機
U 後方工事桁
P 橋脚
B ベント
21 直線軌道
22、38 水平ジャッキ
23 移動台車
31 回転台
311 回転軸
35 直線軌条
Claims (4)
- 橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法において、
前記橋桁部材が、複数の主桁を備える広幅の橋桁であること、
前記第1橋脚上に設置された回転中心軸機構により、前記主桁の一方を支え、前記第2橋脚上に設置された直線軌道を用いて、前記橋桁部材の前記第1橋脚側の前記複数の主桁を移動させることにより、前記橋桁部材を、前記回転中心軸機構を支点として回動させる回動工程を有することを特徴とする橋桁送出し工法。 - 請求項1に記載する橋桁送出し工法において、
前記回転中心軸機構が、前記回動工程における水平力を受ける水平力受け手段と、前記橋脚部材の重量を支える前記水平力受け手段とは別体の鉛直力受け手段とを有することを特徴とする橋桁送出し工法。 - 請求項1または請求項2に記載する橋桁送出し工法において、
回動工程において、前記第1橋脚上に設置された直線軌条を用いて、前記主桁の他方を移動させることを特徴とする橋桁送出し工法。 - 請求項3に記載する橋桁送出し工法において、
前記主桁の他方を移動させるときに使用する水平ジャッキのストローク誤差の調整を、油圧ポンプのリリーフバルブにより行うことを特徴とする橋桁送出し工法。
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