JP3987897B2 - 橋桁の送り出し方法及びそれに使用する送り装置 - Google Patents
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ところで、橋桁には、図6に示すような直線傾斜桁を有する複数の桁で構成される拡幅桁、図10に示すような片側方向に拡幅する拡幅桁、図14に示すような湾曲桁等がある。
図6では、幅寸法が変化しない1〜数本の直線桁と、幅寸法が変化しないがその直線桁に対して傾斜する直線傾斜桁(平面視で傾斜)とから構成され、図10では、拡幅桁の片側縁が平面視で傾斜する傾斜ウェブで構成され、図14では左右両側縁が平面視で湾曲する湾曲ウェブで構成されている。
このような拡幅桁(図6や図10)、湾曲桁(図14)等の各ピア上への送りに際して、従来、橋桁の送りに伴ってウェブ位置が変位すると、ピア上に組立られる仮受け用サンドルでいったんその橋桁を盛り替えてから、変位するウェブ直下に水平送り装置を移動させる、所謂橋桁の盛り替え作業と水平送り装置の移動作業を交互に繰り返して、拡幅桁(図6や図10)、湾曲桁(図14)等の橋桁の橋軸方向への送りに対処している。
しかしながら、橋桁の盛り替え作業、水平送り装置の移動作業によって橋桁の連続送りが中止される。しかも水平送り装置における送り面中間部位にウェブを載承して橋桁を安全に送る必要性のため、その盛り替え、移動を頻繁に行わねばならず、送り効率を非常に悪くし、工期の長期化を招く。
また、前記橋桁の盛り替え作業、水平送り装置の移動作業を、各ピア上で位置を異にして複数箇所で度々行う必要があり、高所であることから、仮受け用サンドル及び水平送り装置の支持サンドルの組立作業及び撤去作業が煩雑で非常に危険でもある。
尚、前記する拡幅桁や湾曲桁の送り方法及びその装置に関する先行技術文献は、出願人としては不知である。
また、橋軸方向への送り出しに伴って左右のウェブ位置が所定間隔を保持したまま変位する拡幅桁、湾曲桁の送り方法であって、ピア手前側に設置した組立ヤードで橋桁を組立つつ橋軸方向に連続して送り出しながら、橋桁の下フランジを案内するガイド装置を、橋桁の送り出し力から変換される下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に所定の間隔を保持して移動させ、且つそのガイド装置の移動力で左右のウェブの水平送り装置を従動させるものである(請求項2)。
ここで、連続しての送り出しとは、例えば組立ヤードでの橋桁後端への橋桁の組立ての度に、例えば橋桁先端が順次前方側のピアの水平送り装置に載承されるまでの所定量(数百メートル)を連続して組立ヤードから搬送させたり、牽引したりすることを指している。
前記送り出しは、組立ヤードに敷設した軌条を走行する自走台車に橋桁を載承させ、その自走台車を走行させて行なうのが好適である(請求項3)。即ち、組立ヤードでの橋桁後端への橋桁の組立ての度に、橋桁先端がピアの水平送り装置に載承され同橋桁後端が台車盛替用の仮受架台に載承されるまでの所定量を、橋桁を載承する自走台車で送り出す。
また、請求項2にあっては、図6に示すような拡幅桁の直線傾斜桁や、図14に示すような湾曲桁を連続送りすることができる。
そのため、仮受け用サンドルでいちいち盛り替え、更に水平送り装置を設置する支持サンドルを移動させる一連の作業の度に、橋桁の送り出し動作を中断することなく、図10で示すような片側方向に拡幅する拡幅桁を連続送りすることができる。
しかも、請求項2のように橋軸方向への送り出しに伴って左右のウェブ位置が所定間隔を保持したまま変位する拡幅桁、湾曲桁の送り方法であって、ピア手前側に設置した組立ヤードで橋桁を組立つつ橋軸方向に連続して送り出しながら、橋桁の下フランジを案内するガイド装置を、橋桁の送り出し力から変換される下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に所定の間隔を保持して移動させ、且つそのガイド装置の移動力で左右のウェブの水平送り装置を従動させるように構成していると、図6に示すような直線傾斜桁を有する拡幅桁、図14に示すような湾曲桁等の橋桁を連続送りすることができる。
その上、仮受け用サンドル及び支持サンドルの組立作業及び撤去作業を全く行う必要がなく安全である。
また、直線傾斜桁を有する前記拡幅桁、湾曲桁の左右のガイド装置は、左右の摺動部各々に左右のウェブの水平送り装置を各々取付けて形成された左右の送り部を互いに連結して構成される。
そして、その直線傾斜桁を有する前記拡幅桁、湾曲桁は、左右のガイド装置が、その拡幅桁や湾曲桁の送り出し力から変換される下フランジのベクトルを受けてピア上を同拡幅桁、湾曲桁と交差する方向に移動されるその移動力でウェブを載承する左右の水平送り装置を従動させることによって同じく連続送りされる。
図に示す橋桁の送り装置の送り出し方法及びそれに使用する送り装置の第1の実施の形態を説明すると、この第1の実施の形態は図4に示すように1〜複数本の直線桁a2と、直線傾斜桁(平面視で傾斜している直線傾斜桁を指す)a1で構成された拡幅桁aの送り出し方法及びそれに使用する送り装置を示しており、この送り出し方法は、組立ヤードYに敷設する軌条L、Lを自走する自走台車M、Mと、橋桁の送り装置とを使用して実施される。
前記軌条L、Lは、所望縦断面形状を有する鋼材で形成され、拡幅桁aにおける各ウェブW、W間隔をおいて並設されている。
台車ブロックm…は、図2、図3に示すように、平行な軌条L、Lを跨ぐ長さを有したフレームm1の下位に左右一対の駆動機構m2、m2を懸架支持し、フレームm1の上面に軌条L、Lの幅に合わせて重量物支持板m3を配置して構成されている。
尚、軌条Lと車輪Oとの接触面に、摩擦付与手段を設けている。
この摩擦付与手段は、軌条Lの上面に形成したラックL1と車輪Oに一体的に形成した歯付き歯車O1とで構成したり、軌条Lの上フランジ上面に載承される車輪Oと、軌条Lの上フランジ下面に押圧接する押圧子O2とで挾着する挾着構造にする等が提案される(図3参照)。
前記案内手段41は、ピアP上に直線傾斜桁a1と直交する方向に向いて所定間隔をおいて長尺なガイドレール411、411を立設し、その間全長に亘って摺動抵抗を抑制するコロ付きの摺動用補助体412或いはボールベアリング等の球回転体で案内される摺動用補助体を敷設して構成され、この摺動用補助体412に左右のガイド装置11、11のベース板112、112各々をガイドレール411、411にスライド可能に係合して載承させてある。
この水平送り装置31各々は、鉛直油圧ジャッキ312…の下端をベース板112に載置し、前後に配置した方向修正用油圧ジャッキ313によって送り体31aを備えた機体311がそのストローク方向に所定幅移動可能になっている。
その方向修正用油圧ジャッキ313は、ベース板112にシリンダ側を連結し、前記鉛直油圧ジャッキ312…が貫通されるジャッキサポート314にロッド側を連結することによって水平送り装置31各々を間接的にベース板112各々に取付けてなり、伸縮させることによってベース板112上面上を前記のように前記機体311がストローク方向に所定幅移動可能になる。
そして、左右の送り部21、21は、左右の機体311、311同士を連結梁51で連結させてある。
前記送り装置は、拡幅側縁用の装置部分である第1送り装置1、非拡幅側縁用の装置部分を第2送り装置2と称して説明するが、第2送り装置2は、前記する第1の実施の形態と同様の構成とし、第1送り装置1は、第1の実施の形態の図7、図8に示す第1送り装置1における片側の送り部及び連結梁を排除した構成になっている。
また、第1送り装置1は、平面視で傾斜するウェブWと交差(例えば直交)する方向に設けた前記案内手段41で案内可能としてある。
この実施の形態では前記する第1の実施の形態で使用される自走台車Mと、送り装置として前記第1の実施の形態で示す直線傾斜桁用の第1送り装置1を使用している。
そして、湾曲桁a3の送り出し方向Xに対して、直交する方向に前記連結梁51で連結した左右の送り部21、21が案内手段41の案内作用でベクトルを受けて摺動するようにすると共に、その第1送り装置1における前記ガイド装置11、11のエンドレスローラ部111、111に作用する下フランジFとの接触力を常時検出してそのデータで送り体31a各々の首振り量を制御して送り時の左右のウェブW、Wの接線方向にその送り体31aを向けることができるようになっている。
図15において、符号31cがジャッキサポート314に設けたガイド長孔であり、前記支持体31bに下端を固定した首振り中心軸Dの上端をガイド長孔31cの孔縁に移動可能に係合させて、その係合部を中心に首振り角度が調整可能になっている。
そのため、この実施の形態にあっては、エンドレスローラ部111にかかる下フランジFとの接触力を圧力検出手段Sで継続的に検出して、その圧力データに応じて送り体31aの首振り角度を制御部(図示せず)を介して自動調整して、連続送りを可能にしている。
即ち、ウェブWの曲率が大きな場合にはエンドレスローラ部111に作用する接触力は小さく、曲率が小さな場合には、接触力は大きくなる。それを継続的に圧力検出手段Sで検出し、検出値に応じた量で送り体31aの首振り角度を調整するようにして、左右のウェブW、Wの接線方向に送り体31aを向けながら連続送り可能にしている。
尚、水平送り装置31がその送り体31aの橋桁送り方向後方寄りをその首振り中心軸Dにしていると、その首振り中心軸Dを中心とする送り方向前側の面積が広く大きな摩擦抵抗を生むため、送り体31aがウェブWと同方向に向き易く、水平送り装置31をピアP上に高精度に設置しなくとも良いものである。
そして、組立ヤードで橋桁である湾曲桁を後端側に組立てつつ橋軸方向(X)をもって自走台車Mで湾曲桁a3を所定量送り出すと、その接触力を基にして左右のウェブW、Wの接線方向に送り体31a、31aを向けながら、ベクトルでその水平送り装置31、31を取付けた左右のガイド装置11、11のベース板112、112が案内手段41でガイドされて摺動し、湾曲に追随して、連続して送り出される。
この浮上機構は、押上げ液室3と、その押上げ液室3よりも小さな横断面積を有し且つピアP上面に対面開口する下部液室4とを連通させ、該下部液室4に上下動可能なスリーブ5を液密状に嵌合させ、そのスリーブ5の下端をピアP上面に当接させ、押上げ液室3、下部液室4に油を封入し、押上げ液室3に設けたピストン6のロッド16でガイド装置11のベース板112を支承する構造である(実公平1−20323号公報記載の従来技術参照)。
この構造は、ベース板112を介して橋桁荷重が作用すると、その荷重によって液室内の油圧力が高まり、押上げ液室3の横断面積を下部液室4より大きくしたことにより上向きの浮圧力が働き、ピアPに加わる荷重を減少させて、ベース板112の移動時の摺動抵抗を非常に小さく抑制でき、摺動抵抗をより小さく抑制するガイド構造としては適したものとなる。符号7は、そのベース板112を案内するチルローラである。
Y:組立ヤード X:橋軸方向
P:ピア 1:第1送り装置
2:第2送り装置 31:水平送り装置
11:ガイド装置 F:下フランジ
31a:送り体(クローラ) W:ウェブ
a:拡幅桁 a2:直線桁
a1:直線傾斜桁 41:案内手段
112:摺動部(ベース板) 21:送り部
111:ガイド機能部(エンドレスローラ部)
a3:湾曲桁
Claims (7)
- 橋軸方向の送り出しに伴ってウェブ位置が変位する橋桁の送り出し方法であって、ピア手前側に設置した組立ヤードで橋桁を組立つつ橋軸方向に連続して送り出しながら、ウェブ位置が変位する側の下フランジを案内するガイド装置を、橋桁の送り出し力から変換される下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に移動させ、且つそのガイド装置のその移動力でウェブの水平送り装置を従動させることを特徴とする橋桁の送り出し方法。
- 橋軸方向への送り出しに伴って左右のウェブ位置が所定間隔を保持したまま変位する拡幅桁、湾曲桁の送り方法であって、ピア手前側に設置した組立ヤードで橋桁を組立つつ橋軸方向に連続して送り出しながら、橋桁の下フランジを案内するガイド装置を、橋桁の送り出し力から変換される下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に所定の間隔を保持して移動させ、且つそのガイド装置の移動力で左右のウェブの水平送り装置を従動させることを特徴とする橋桁の送り出し方法。
- 前記送り出しは、組立ヤードに敷設した軌条を走行する自走台車に橋桁を載承させ、その自走台車を走行させて行なうことを特徴とする請求項1または2記載の橋桁の送り出し方法。
- 請求項1の送り出し方法で使用する送り装置であって、橋桁の橋軸方向への送り出しに伴って変位するウェブ側の下フランジを案内するガイド装置を、下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に摺動可能とし、ウェブの水平送り装置を前記ガイド装置の移動力で同ガイド装置に従動させる構成にしていることを特徴とする橋桁の送り装置。
- 請求項1の送り出し方法で使用する送り装置であって、橋桁の橋軸方向への送り出しに伴って変位するウェブ側の下フランジを案内するガイド装置を、下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に摺動可能とし、前記ガイド装置における摺動部にウェブの水平送り装置を取付けていることを特徴とする橋桁の送り装置。
- 請求項2記載の送り出し方法で使用する送り装置であって、下フランジを案内する左右のガイド装置をその下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に摺動可能とすると共に前記左右のガイド装置における摺動部各々に左右のウェブの水平送り装置各々を取付けて左右の送り部を構成し、該左右の送り部を連結していることを特徴とする橋桁の送り装置。
- 請求項2記載の送り出し方法で使用する湾曲桁の送り装置であって、下フランジを案内する左右のガイド装置をその下フランジのベクトルを受けてピア上を橋桁と交差する方向に摺動可能とすると共に前記左右のガイド装置における摺動部各々に左右のウェブの水平送り装置各々を取付けて左右の送り部を構成し、該左右の送り部を連結すると共に、前記水平送り装置の送り体を首振り角度調節可能とし、前記ガイド装置のガイド機能部に生じる下フランジとの接触力を常時検出してそのデータに基づいて水平送り装置各々の送り体の首振り量を制御して送り時のウェブの接線方向にその送り体を向けることを特徴とする橋桁の送り装置。
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