JP4876979B2 - 接合部材および接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接合部材および接合方法に関し、詳しくは、電子材料の実装に使用される接合部材および当該接合部材を使用した接合方法に関する。
近年、地球環境保全の意識の高まりから、電子材料の実装に使用されるハンダ材料として、鉛を使用しない鉛フリーハンダの開発が行われている。しかしながら、RoHS規制においても例外の一つとして定められているように、パワーモジュール実装に使用される鉛リッチな高温ハンダの代替材料としては、金属微粒子を利用する手法が検討されているものの、未だ決定的な代替材料が存在しないのが実情である。
金属微粒子の融点は、粒子径が小さくなると降下するため、金属微粒子はバルクの融点に比べ低温で焼結する現象が知られている。中でも銀粒子は、バルクの融点以下での加熱により基材間を接合でき、一度焼結すると微粒子はバルクとなるために、ハンダ材料と異なりより高温まで溶融しないという性質を有するため、接合部材として期待されている。
例えば、平均粒子径100nm以下の銀を含む金属微粒子を核とし、その周囲をC、H及び/又はOを主成分とする有機物で結合・被覆した複合型金属ナノ粒子に対し、10%以上の有機溶剤やゲル化剤を添加して調製したゼリー状またはクリーム状の接合部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、平均粒子径10nm以下の銀粒子の表面を有機物で被覆した有機−銀複合微粒子と有機溶媒とを混合して成るペースト状接合部材も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
上記の接合部材は、金属微粒子の活性な表面を保護する目的や、ペーストの溶剤中での分散安定性を維持するための目的で、分散剤および有機溶剤を含有しているため、これらの有機物成分は加熱または加熱・加圧時にガスとして分解・飛散する。
ところで、上記の金属微粒子は、回路配線材料用の導電性ペーストへの使用も検討されている。例えば、基材に導電性ペーストを塗布した後、加熱炉に導入し、加熱することによりペースト内部の有機物成分をガスとして分解・飛散させ、金属微粒子同士を焼結させることにより、導電性膜が形成させる。この場合、ペースト内部からのガスは、基材方向へ抜け出すことは困難なものの、基材とは反対方向の導電性膜表面から外部へ抜け出すことは出来る。
一方、接合部材は、基材間に挟まれている状態で加熱または加熱・加圧されるために、導電性ペースト内部からの有機物由来のガスが接合部材外部へ抜け出すことが上記の回路配線材料用の導電性ペーストと比較して困難であり、接合部材外部へ抜け出すことが出来なかったガスは接合後の接合部材内部に滞在し、ボイドを形成する。このようなボイドは基材との接合に関与しないため、接合強度を弱める原因となる。また、ボイドにより内部の密度が減少してしまうため、全体の接合強度を弱めると共に導電性や熱伝導性も減少する。
そのため、接合部材として金属微粒子を使用する場合、回路配線材料用の導電性ペーストに含まれる有機物成分を大幅に削減することが必要とされる。
ところで、接合部材に分散体であるペーストを使用する理由の一つとして、接合プロセス時に接合内部の密度向上があげられる。ペースト中の金属微粒子の分散安定性が悪いと金属微粒子同士があらかじめ凝集し、接合時にはその凝集箇所でのみ焼結が生じるため、接合部材内が不均一となり、密度を上げることが難しくなる。そのため、分散安定性を確保するための分散体として分散剤および有機溶剤を添加することが必要となる。
このように、接合部材内部の密度を向上させるためには分散剤や有機溶剤などの有機成分が必要であるが、その反面、有機成分の添加はボイド発生による密度の減少要因となるというトレードオフの問題がある。
また、金属微粒子の活性な特性(融点降下)を金属フィラー表面にのみ付与する方法として、より大きな銀粉表面に銀粒子を析出させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では銀粒子の液中における分散安定性を考慮する必要がないため、有機成分の添加量を大幅に削減することが出来るという利点がある。しかしながら、この方法は、単に銀粉の表面の活性を向上させる方法であり、この方法を接合材に応用することに関しては知られていない。上記方法により形成された銀粉についての評価としては、有機溶剤と混合され導電性ペーストとして行われた場合について知られているだけで、接合材における有機物成分の削減という課題の解決には至っていない。
接合強度や信頼性を向上させるために、ペースト中に銀粒子と共に金属フィラーを混合させ、これを接合部材として使用した場合、銀粒子と金属フィラーとを同一溶剤に安定分散させる必要がある。すなわち、例えば、銀粒子が分散している溶剤に金属フィラーが安定分散できるように、金属フィラーに表面処理を施したり、分散剤を選定する必要がある。
また、接合強度を上げるために、接合時の基材表面の酸化膜の除去も重要である。通常、ハンダ中には、基材表面の酸化膜除去および濡れ性向上のために、有機物または塩基性有機化合物もしくは無機物あるいはこれらの混合物であるフラックスという薬剤が含有されている。しかしながら、このフラックスを上記のペースト中に含有させた場合、接合後の接合部材内部に更なるボイドが発生し、基材表面に作用するフラックス量が激減するため、基材表面の改善作用も低下する問題がある。
特開2004−107728号公報 特開2005−146408号公報 MES2004、第14回マイクロエレクトロニクスシンポジウム2004年10月
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、銀粒子の安定分散とそれによる接合部内密度の向上の目的で分散剤や溶剤などの有機物成分を多量に含有していた従来の導電性ペーストにおける問題点である、接合後の接合部材内部に有機物由来のガスが残留することによるボイドの発生およびそれによる接合強度の低下ならびに接合部材内密度の減少を解決した、銀粒子を使用した鉛ハンダ代替接合部材を提供することにある。
本発明の他の目的は、接合強度や信頼性を向上させるために銀粒子と共に金属フィラーを混合させた接合部材において、同一の溶剤に対する金属フィラーの分散安定性を向上させるための表面処理や分散剤選定など煩雑な作業が不要である、銀粒子を使用した鉛ハンダ代替接合部材を提供することにある。
本発明の他の目的は、接合基材表面の酸化膜除去して接合強度を向上させるために添加されるフラックスに起因する、接合部材内部のボイドの発生および酸化膜に対する作用の低下を防止した、銀粒子を使用した鉛ハンダ代替接合部材を提供することにある。
本発明の他の目的は、鉛成分を含まず低温処理での接合が可能で、接合強度および信頼性が向上した、接合基材を接合する接合方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定の粒径を有する銀粒子と特定量の有機成分とを予め圧粉成型して、例えば平板状にした接合部材は、低温焼結性に優れ、銀粒子が接合面に対しより均一に接することが出来、接合部材内部もより均一な構造でかつ密度が予め高い状態にあり、接合プロセス時には銀粒子同士の焼結により更に密度を高めることが出来、鉛を含有しない接合部材として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、平均粒子径が100nm以下の銀粒子および全質量の3質量%以下の有機成分から成る混合物を圧粉成型することによって得られることを特徴とする接合部材に存する。
本発明の第2の要旨は、2つ以上の接合基材を接合する接合方法であって、(1)接合基材間に上記の接合部材を挟む工程と、(2)接合基材および接合部材を加圧した後に加熱する工程または加圧と加熱を同時に行う工程とから成ることを特徴とする接合方法に存する。
本発明の接合部材は、鉛を含まず、接合後の接合部材内部にボイド発生が少なく、接合内部密度の高い接合が可能であり、さらに銀粒子の特徴である低温焼結により300℃以下での接合が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の接合部材は、平均粒子径が100nm以下の銀粒子および全質量の3質量%以下の有機成分から成る混合物を圧粉成型することによって得られる。混合物中の銀粒子の平均粒子径は、好ましくは100〜10nmである。銀粒子の平均粒子径が100nmより大きい場合、低温焼結性の効果が小さくなり、低温での十分な接合が困難となる。
銀粒子とともに圧粉成型される有機成分の含有量は、好ましくは全質量の2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。有機成分の含有量の下限値は、通常0.5質量%である。有機成分の含有量が全質量の3質量%より大きい場合、接合プロセス時に有機成分由来のガスが接合部内部に残存してしまい、接合強度を著しく損なってしまう。有機成分の含有量が0.5質量%より少ない場合でも接合可能であるが、常温下あるいは通常作業において取り扱う温度範囲での銀粒子の表面活性を抑えることが困難となる場合があり、銀粒子が上述した粒子径より粗大化してしまい、低温焼結性に劣る場合がある。
平均粒子径が100nm以下の銀粒子の調製方法としては、ガス中蒸発法に代表される気相法、液相還元法、有機銀塩の熱分解法などが挙げられるが、上述した銀粒子の平均粒子径を達成でき、混合物中の有機成分の含有量が上述の範囲内であるならば特に限定されない。中でも、特別な装置を必要とせずに、100nm以下の粒子径が均一な銀微粒子が得られることから、液相還元法が好ましい。
液相還元法としては、例えば、硝酸銀のメタノール−水混合溶液と水溶性アルキルアミンを使用して硝酸銀のアンミン錯体を調製し、次いでアスコルビン酸を添加して液相還元し、得られた銀粒子を水洗する方法、硝酸銀のエタノール−水混合溶液とアンモニア水を使用して硝酸銀のアンミン錯体を調製し、次いで高分子分散剤存在下でアスコルビン酸を添加して液相還元し、得られた銀粒子を水洗する方法などが挙げられる。上記の高分子分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が使用できる。
有機成分としては、上記のような銀粒子の調製時に結晶成長抑制剤または凝集防止剤あるいは粒子分散剤として混入する有機成分が挙げられる。例えば上記の液相還元法を使用して銀粒子を調製した場合、残留する水溶性アルキルアミン、硝酸銀のアンミン錯体、高分子分散剤などが挙げられる。これらの有機成分は、適宜水洗またはアルコールによる洗浄などによる除去操作を行い、所定範囲内の含有量となるように調製する。
また、銀粒子の調製方法によっては、有機成分の含有量が0.5質量%より少なくなることもあるが、この場合、適宜、有機成分として同水溶性アルキルアミン、高分子分散剤を添加して所定範囲内の含有量となるように調製してもよい。添加方法としては該有機成分を溶解した溶剤と銀粒子とを混合した後に溶剤を蒸発させるか、あるいは混合した後にろ過するなどの方法が挙げられる。
その他、非水性のオレイルアミン等のアルキルアミンと硝酸銀をトルエン等の非水性溶剤中で混合した後、アスコルビン酸により液相還元することで銀粒子を調製することも出来る。この場合には銀粒子と金属フィラーとを混合した後、蟻酸や酢酸などの有機酸を使用してアルキルアミンを除去することで、有機成分の含有量を所定範囲内とするように調製する。
上記の方法により調製された、平均粒子径が100nm以下の銀粒子および全質量の3質量%以下の有機成分から成る混合物を圧粉成型して接合部材を得る。圧粉成型は、例えば、ハンドプレス機や打錠機などの公知の圧粉成型機を使用して行うことが出来る。加圧時の圧力は後述する接合部材の密度との関係から100MPa以上が好ましい。加圧時の圧力が100MPa未満の場合、圧粉成型した接合部材の密度が小さくなり、接合プロセス時における加圧に際し、より大きな圧力が必要となる。
本発明の接合部材の形状としては特に制限されず、例えば、平板形状(円板、楕円板なども含む)、棒状(各種角柱形状、円筒(楕円円筒も含む))形状、球状(楕円球も含む)などの各種成形可能な形状が挙げられる。また、本発明の接合部材は、接合の容易さの観点から、1mm以下の肉厚部分を有することが好ましい。すなわち、接合部材を接合基材に挟んだ際の接合基材同士の間隔が1mm以下となるような部分が存在することが好ましい。例えば、接合部材が平板形状を有する場合、厚さが1mm以下であることが好ましく、接合部材が棒状形状を有する場合、接合部材断面の高さ又は短径が1mm以下であることが好ましく、球状形状を有する場合、直径または短径が1mm以下であることが好ましい。接合部材に1mm以下の肉厚部分が無い場合、通常の加圧や加熱によって接合することが困難な場合がある。
本発明の接合部材は、マイグレーション特性や信頼性の向上、ハンダ食われの防止の目的で、更に平均粒子径100nm以上の金属フィラーを含有させてもよい。金属フィラーの金属種としては、Au、Ag、Pt、Pd、Cu、Ni、Sn、Zn、Bi、Al等が挙げられる。中でも、マイグレーション特性を向上させるためにはCu、Pd、Ptなどを含有させることが好ましい。また接合強度を向上させるためにはAu、Ag等を含有させることが好ましい。更に、はんだ食われを防止するためにはSn、Cu等を含有させることが好ましい。これらの金属フィラーは2種以上組合せて含有させてもよい。金属フィラーの平均粒子径は、好ましくは1μm以上であり、その上限値は通常100μmである。金属フィラーの平均粒子径が100nm未満の場合、粒子の凝集が著しく、銀粒子と均一に混合することが困難な場合がある。金属フィラーの平均粒子径が100μmを超える場合は、接合部材の接合面の表面粗さが著しく悪化し、接合基材と接合部剤との接合面同士の密着性を取達成することが困難な場合がある。
上記の所定量の有機成分を含有する銀粒子と金属フィラーとの混合は、サンプルミル、ボールミル等の一般的な粉体混合機を使用して行うことが出来る。混合方法としては、圧粉成型が可能な粉体状が得られるのであれば特に制限されず、ペーストやインクなどの銀粒子の分散体と上記金属フィラーとを混合した後に、銀粒子に含まれる分散剤を化学的に除去しながら金属フィラーと混合する方法が挙げられる。
本発明の接合部材は、接合界面の接合強度を向上させる目的で、接合部材の表面の少なくとも一部に、金属の酸化皮膜を除去または還元する作用を有するフラックスが塗布されていることが好ましい。フラックスは、接合部材の表面の少なくとも一部に塗布される。これは、次の理由に基づく。
通常のハンダを使用した接合プロセス時において、ハンダ金属が溶融しているために接合部外へ除かれやすい。一方、銀粒子を使用した接合の場合、銀粒子は接合プロセス時に溶融してある大きさまで焼結すると途端に融点が上昇しそれ以上溶融しなくなるために、フラックスは接合部内部に残留し易く、これにより溶融後の接合部材中にボイドを発生させ、接合部材の密度を下げる要因となる。銀粒子を使用した接合部材で、溶融後にフラックスが内部に残留し易いということは、本来の接合基材界面での酸化皮膜の還元あるいは除去作用が希薄になるということでもある。すなわち、接合界面にのみフラックスが集中して存在することが重要である。従来の銀粒子を含むペーストでは、ペースト全体にフラックスが拡散してしまい、フラックス成分を加えることによる銀粒子の分散性悪化の問題があったが、本発明の接合部材では、平板状の形状を有するために接合部材の表面の少なくとも一部にフラックスが塗布でき、従来の問題点を解決できる。そして、フラックスの接合部材内部への残留が大幅に軽減され、接合基材表面の酸化皮膜の還元あるいは除去が効果的に行われる。
フラックスとしては、有機酸、塩基性有機化合物、塩基性有機化合物塩、その他の有機化合物、無機物またはこれらの混合物が使用できる。有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、オレイン酸、ステアリン酸、グルタミン酸、安息香酸、蓚酸、アビエチン酸などが例示される。塩基性有機化合物としては、尿素、ジエチレントリアミン等が例示される。塩基性有機化合物塩としては、グルタミン酸塩酸塩、アニリン塩酸塩、臭化セチルピリジニウム等が例示される。その他の有機化合物としては、グリセリン等が例示される。無機物としては、ヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン臭素酸、塩塩化亜鉛、塩化錫、塩化アンモニウム、塩酸、燐酸などが例示される。
接合部材の表面の少なくとも一部にフラックスを塗布する場合、フラックスを溶剤に溶かして塗布してもよい。溶剤としては、水、アルコール(エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等)が例示される。フラックスは、銀粒子を圧粉成型した後に平板状の接合部材を得た後に、接合面の少なくとも一部に塗布する。
従来の接合部材および接合方法では、銀粒子を含むペーストを接合面に塗布し、加熱あるいは加熱・加圧することで接合部の密度を高めていたが、この場合、上述したようにボイドの発生や分散剤および有機溶剤の含有により密度を高めることに限界があった。本発明の接合部材は、平均粒子径が100nm以下の銀粒子と、常温下で銀粒子の表面活性を抑えることが出来る全質量の3質量%以下の有機成分とから成る混合物を圧粉成型することで得られるため、接合前の接合部材の密度を高くすることが可能である。圧粉成型されて得られた接合部材の密度は、通常6000〜8000kg/m、好ましくは6500〜8000kg/mである。接合部材の密度が6000kg/m未満の場合は、接合プロセス時により大きな圧力が必要となり好ましくない。接合部材の密度が8000kg/mより大きい場合は、バルクの銀が有する性質に近づくため、銀粒子の低温焼結性が損なわれてしまうことがある。
本発明の2つ以上の接合基材を接合する接合方法は、(1)接合基材間に上記の接合部材を挟む工程と、(2)接合基材および接合部材を加圧した後に加熱する工程または加圧と加熱を同時に行う工程とから成る。接合基材としては、無酸素銅基板、銀基板などの通常の基材が使用できる。なお、無酸素銅基板を使用する場合、接合前処理として、市販のソフトエッチング液などを使用して予め表面の酸化皮膜の除去を行ってもよい。接合基材によっては、大気中に放置または接合工程における加熱により基材表面に酸化物が形成される場合がある。そのため、より確実な接合を達成するために、被接合基材表面にAuやNiのめっき処理や蒸着処理行い、基材金属表面の酸化を防ぐことが好ましい。
上記の工程(2)における加圧時の圧力は、接合基材の強度にもよるが、通常100Mpa未満、好ましくは80MPa以下である。加圧時の圧力の下限は通常1MPaであり、1MPa未満では十分な接合強度が得られない場合がある。上記の工程(2)における加熱温度は、通常300℃以下、好ましくは280℃以下である。加熱温度の下限は150℃であり、150℃未満では十分な接合強度が得られない場合がある。
本発明の接合部材を使用し、本発明の接合方法により接合基材を接合した場合の接合強度は非常に優れ、実施例に後述する測定方法で測定した接合強度は、通常、0.5kN/m以上、好ましくは、1〜5kN/mである。
以下、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。各記載例における評価方法を以下に示す。
(1)銀粒子の平均粒径:
各記載例で調製した銀粒子の走査型電子顕微鏡写真(×10万倍、HITACHI製 S−4800)を撮影し、写真上の銀粒子100個の粒径を測定し、その平均値を算出し、平均粒径とした。
(2)有機成分の含有量:
有機成分の含有量は、熱分析装置(Seiko Instruments Inc. 製 EXSTAR 6000 TG/DTA6300)を使用して求めた。300ml/minの流量で乾燥空気を流した条件下、10℃/minの昇温速度で試料を室温から550℃まで加熱した。加熱前後のサンプルの質量を測定し、加熱前の試料の質量から加熱終了後のサンプルの質量を差し引いた量を有機成分の含有量とした。銀の酸化物は150℃程度で熱分解し、銀へと還元されるため、加熱後の質量は銀の質量に実質的に等しいとみなせる。
(3)接合強度:
接合基材として縦横30mm×30mm(厚さ0.1mm)の無酸素銅板の上に、直径13mm、厚み0.2mmの円盤状の本発明接合部材を設置した後に、縦横15mm×15mm(厚さ0.1mm)の無酸素銅板を上部に重ね、無酸素銅板/接合部材/無酸素銅板の3層構造とし、大気中にて250℃に加熱したプレス板により荷重1tonで加圧したまま5分間保持し、接合試料を作製した。得られた接合試料を5mm幅の帯状に切り出し、ピール接合強度試料を得た。ピール角度180°、引き剥がし速度50mm/minにて銅板を引き剥がし、その際に必要とする荷重をデジタルフォースゲージDPS−5R(イマダ社製)を使用して測定し、接合強度とした。
実施例1:
水/エタノール混合溶媒(重量比1:1)250mLに、硝酸銀10.0gを溶解した後に、硝酸銀が再溶解するまでアンモニア水(25%)を8.8g添加し、硝酸銀のアンミン錯体を調製した。これとは別に、水/エタノール混合溶媒(重量比1:1)250mLにアスコルビン酸15.6gと凝集防止剤としてポリアクリル酸(250,000(和光純薬工業社製))0.5gとを溶解した溶液を調製し、先に調製した硝酸銀のアンミン錯体の水溶液中に滴下し、銀粒子を還元析出させた。ビフネルロートとろ過瓶を使用し、ろ紙として定性ろ紙No.2を使用して、析出した銀粒子を吸引ろ過によりろ取した後、水1Lを使用して洗浄ろ過し、有機成分が全質量の2.9質量%である銀粒子を得た。銀粒子の電子顕微鏡写真より、平均粒子径は60nmであった(図1)。
ハンドプレス機(島津製作所社製)を使用して、得られた銀粒子0.2gを100MPaの圧力下で圧粉成型し、直径13mm、厚み0.2mmの円盤状の成型体を得た。成型体の体積と重量より、密度は7054kg/mであった。得られた成型体を使用して接合強度の測定を行ったところ、ピール強度は1.4kN/mであった。
実施例2:
10%アビチエン酸エタノール溶液に実施例1で得られた成型体を5分間浸した後、成型体を取り出し、室温で乾燥させた。アビエチン酸は銅表面の酸化膜を除去する効果があり、酸化皮膜を除去することにより接合強度を高めることが出来る。得られた成型体を使用して実施例1と同様に接合を実施し、接合強度の測定を行ったところ、ピール強度は1.8kN/mであった。
実施例3:
氷酢酸溶液に実施例1で得られた成型体を5分間浸した後、成型体を取り出し、室温で乾燥させた。酢酸は銅表面の酸化膜を除去する効果があり、酸化皮膜を除去することにより接合強度を高めることが出来る。得られた成型体を使用して実施例1と同様に接合を実施し、接合強度の測定を行ったところ、ピール強度は1.9kN/mであった。
実施例4:
トルエン250mLに、硝酸銀10.0gを溶解した後に、オレイルアミン34.7gを添加し、硝酸銀のオレイルアミン錯体を調製した。得られた硝酸銀のオレイルアミン錯体を含むトルエン溶液中にアスコルビン酸15.6gを直接投入した後、室温下で3時間攪拌した。攪拌終了後、メタノール2L中に得られた反応溶液を添加し、銀粒子を凝集沈殿させた。デカンテーションにより上部の上澄み溶剤を除去した。次いで、新たにメタノール1Lを添加し、充分に攪拌した後に静置させた。再び凝集沈殿した後に、デカンテーションにより上澄み溶剤を除去した。この洗浄操作を3回繰り返した後、凝集沈殿した銀粒子にトルエン10.5gを添加して再分散させ、50質量%銀粒子トルエン溶液を調製した。得られた溶液の有機成分の含有量は、銀粒子に対して25質量%であった。
次いで、平均粒子径45μmの電解銀10gと前記銀粒子を50質量%含むトルエン溶液2gとを混合し、乾燥させてトルエンを蒸発除去した後に、酢酸を10質量%含むメタノール溶液100mL中に添加し、1時間放置した後にろ取した。このようにして調製された銀粒子と電解銀との混合物に含まれる有機成分の含有量は、全質量の2.8質量%であった。
上記ハンドプレス機を使用して、得られた銀粒子0.2gを100MPaの圧力下で圧粉成型し、直径13mm、厚み0.2mmの円盤状の成型体を得た。得られた成型体を使用して接合強度の測定を行ったところ、ピール強度は1.9kN/mであった。
実施例5:
実施例1に記載の方法で得られた平均粒子径60nmの銀粒子と市販されている電解銀(平均粒子径45μm)とを1:9の重量比で混合し、混合銀粉を得た。上記ハンドプレス機を使用して、得られた混合銀粉0.2gを100MPaの圧力下で圧粉成型し、直径13mm、厚み0.2mmの円盤状の成型体を得た。成型体の体積と重量より、密度は7530kg/mであった。得られた成型体を使用して接合強度の測定を行ったところ、ピール強度は4.2kN/mであった。
比較例1:
実施例4で調製した銀粒子のトルエン分散溶液(分散剤としてオレイルアミンが銀粒子に対して25質量%含有、電解銀を混合する前の段階のもの)の固形分濃度を50質量%に調製し、分散溶液を得た。得られた分散溶液0.4g(銀固形分が0.2g)を)を片方の接合基材表面に塗布し、トルエンを蒸発させた後に上から別の接合基材を被せ、実施例1と同様の操作で接合試験を行ったところ、加熱中に接合部材内部から有機物が流出し、接合試験に耐えうるほどの接合強度が得られなかった。
比較例2:
上記ハンドプレス機を使用して、平均粒子径45μmの銀粉0.2gを圧粉成型し、直径13mm、厚さ0.18mmの平板状の成型体を得た。得られた成型体を使用して接合強度の測定を行ったが、接合できなかった。
実施例1で調製した銀粒子の走査型電子顕微鏡写真(図面代用写真)

Claims (6)

  1. 平均粒子径が100nm以下の銀粒子および全質量の3質量%以下の有機成分から成る混合物を圧粉成型することによって得られることを特徴とする接合部材。
  2. さらに、平均粒子径100nm以上の金属フィラーが含有されている請求項1に記載の接合部材。
  3. 金属の酸化皮膜を除去または還元する作用を有するフラックスが前記接合部材の表面の少なくとも一部に塗布されている請求項1又は2に記載の接合部材。
  4. 密度が6000〜8000kg/mである請求項1〜3の何れかに記載の接合部材。
  5. 接合部材が1mm以下の肉厚部分を有する請求項1〜4の何れかに記載の接合部材。
  6. 2つ以上の接合基材を接合する接合方法であって、(1)接合基材間に請求項1〜5の何れかに記載した接合部材を挟む工程と、(2)接合基材および接合部材を加圧した後に加熱する工程または加圧と加熱を同時に行う工程とから成ることを特徴とする接合方法。
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