JP6969466B2 - 接合用成形体の製造方法及びこの方法で得た接合用成形体を用いた接合方法 - Google Patents

接合用成形体の製造方法及びこの方法で得た接合用成形体を用いた接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、被接合部材である半導体チップ素子、LEDチップ素子等の電子部品と基板との間に介在させて、被接合部材である電子部品を基板に実装するのに好適に用いられる接合用成形体の製造方法及びこの方法で得た接合用成形体を用いた接合方法に関するものである。
近年、200℃を超える高温でも動作する、SiCのようなワイドギャップ半導体が注目されている。高温で動作する半導体チップ素子の接合方法として、CuとSnを含む接合材料を半導体チップ素子と基板との間に介在させ、Snの融点より高い温度で加熱し、前記接合材をCu6Sn5やCu3Snからなる組成の金属間化合物(Inter-Metallic Compound:IMC)とする遷移的液相焼結法(Transient Liquid Phase Sintering:TLP法)と呼ばれる接合方法が注目されている。この接合方法を用いた半導体モジュールの製造方法及び電子部品の実装方法が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1の半導体モジュールの製造方法は、半導体チップ素子又は基板の接合面に、Cu粒子とSn粒子を含む接合剤を塗布する工程と、半導体チップ素子の接合面と基板の接合面を接合剤を介在して合わせる工程と、Snの融点より高い温度で加熱し、接合剤のCuとSnを遷移的液相焼結させて、この接合剤をCu6Sn5とCu3Snを含む組成にする工程と、更に加熱し接合剤のCu6Sn5をCu3Snに変化させて、接合剤におけるCu3Snの比率を増やす工程とを有する。即ち、この製造方法では、粉末状のCuと粉末状のSnを混合し、この混合物に溶剤やフラックスを加えてペースト化し、このペーストを半導体チップ素子の電極と基板の電極に印刷する。この製造方法によれば、高温で動作する半導体チップ素子の接合に、従来のはんだを用いる方法を用いた場合、高温動作時に、はんだの再溶融、界面に金属間化合物(IMC)の形成などにより半導体チップ素子の性能が劣化していたが、これを解決できるとされる。
一方、特許文献2の電子部品の実装方法は、Cu及びCuとSnとのCu3Sn、Cu6Sn5等の金属間化合物からなる中心核とこの中心核を被覆するSnからなる被覆層で構成されたはんだ粉末とはんだ用フラックスを混合して作製されたはんだ用ペーストを用いて電子部品を実装する方法である。この実装方法によれば、リフロー後、再溶融及び接合強度の低下が起こりにくく、特に高温雰囲気に晒される電子部品を好適に実装できるとされる。
特開2014−199852号公報(請求項1、段落[0005]、段落[0006]) 特開2014−193473号公報(請求項1〜4)
しかしながら、特許文献1に記載された半導体モジュールの製造用の接合剤を作製するときにCu粒子表面に形成される酸化物の除去が難しいため、接合剤を加熱したときに、溶融した液相のSnがCu粒子表面に濡れにくく、高い強度で半導体チップ素子を基板に接合することが困難であった。その一方、特許文献2に記載された電子部品の実装方法では、中心核のCuはSnで被覆されているため、特許文献1のようにCu粒子表面に酸化物が形成される恐れがなく、加熱時にCu及びCuとSnとの金属間化合物からなる中心核を被覆するSnが液相になって、Snが中心核と一体化する利点がある。しかし、Sn液相は流動性があるためSn液相が局所的に偏り、均一な接合組織を形成できずに、接合強度が劣ることがあった。
本発明の目的は、上記課題を解決し、組成の偏りのない接合組織を形成して、初期接合強度及び冷熱サイクル時の接合強度が高い接合を実現する接合用成形体の製造方法及びこの方法で得た接合用成形体を用いた接合方法を提供することにある。
本発明者らは、外殻がSn層を有しないCuコアCu6Sn5シェル構造の接合用粉末であっても、この粉末を微細化し、この粉末同士を接触させて加熱すれば、外殻が凝固開始温度が415℃と高いCu6Sn5であっても、外殻の焼結が進行するという微細サイズ効果があること、及びCuコアCu6Sn5シェル構造の接合用粉末の集合体を加圧すると、接合用粉末同士が連結し、ペレット状又はシート状の接合用成形体になることを知見し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、平均粒径が0.05μm〜1μmであって、Cuを65質量%〜95質量%の割合で、Snを35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含有するCuコアCu 6 Sn 5 シェルからなる接合用粉末の集合体を10MPa〜1000MPaの圧力でプレス成形又はロール圧延成形して厚さ5μm〜200μmの接合用成形体を製造する方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記集合体が前記接合用粉末に活性剤含有物を混合した混合物である接合用成形体の製造方法である。
本発明の第3の観点は、第1の観点又は第2の観点の接合用成形体を第1及び第2被接合部材間に介在させた後、窒素ガス雰囲気下又はギ酸ガス雰囲気下、第1及び第2被接合部材が互いに密着するように0.1MPa〜50MPaの圧力を加えて250℃〜400℃の温度で5分〜120分間加熱することにより、前記第1及び第2被接合部材を接合することを特徴とする接合方法である。
本発明の第1の観点の製造方法では、Cuを65質量%〜95質量%の割合で、Snを35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含有するCuコアCu6Sn5シェルからなる接合用粉末の集合体を原料として所定の圧力でプレス成形又はロール圧延成形して接合用成形体を製造する。上記集合体をプレス成形又はロール圧延成形することにより、Cuコアが圧縮変形するとともにCuコアを被覆していたCu6Sn5シェル同士が連結したCu6Sn5相に変化して、内部に空隙の少ない成形体にすることができる。この結果、この接合用成形体は、第1及び第2被接合部材間に介在させた状態で加熱(以下、接合加熱という。)したときに接合層を緻密化させ易くなる。また接合加熱時に、接合用成形体に特許文献2のように流動性のあるSn液相が発生しないため、組成の偏りのない接合組織を形成することができる。接合用粉末のシェル(外殻)のCu6Sn5は凝固開始温度が415℃と高いが、接合用粉末の平均粒径が0.05μm〜1μmと微細化しているため、微細サイズ効果により、接合加熱時に粉末接点で焼結が進行し、接合層を一体化することができる。即ち、接合加熱によりCu6Sn5相にCuコアが略均一に拡散して、Cu6Sn5相は凝固開始温度676℃のCu3Sn相に変化する。この結果、Cuコア粒子がCu3Sn化合物で囲まれてなる高温耐性のある緻密な接合層が形成され、初期接合強度が高く、かつ冷熱サイクル試験後も高い接合強度を維持する接合を実現することができる。また接合層の内部にCuが残存することで、この接合用成形体を用いて接合層を形成した場合には、接合層に高い熱伝導性や電気伝導性も得られる。
本発明の第2の観点の製造方法では、前記集合体が前記接合用粉末に活性剤含有物を混合した混合物である。このため、前記集合体をプレス成形又はロール圧延成形すると、接合用成形体の内部の閉空孔及び開空孔の双方に活性剤含有物が存在するようになる。この活性剤含有物は、接合加熱時に上記開空孔表面の酸化物を除去し、Cu6Sn5相からCu3Sn相への液相焼結をより速やかに進行させることができる。
本発明の第3の観点の接合方法では、上記接合用成形体を第1及び第2被接合部材間に介在させた後、窒素ガス雰囲気下又はギ酸ガス雰囲気下、第1及び第2被接合部材が互いに密着するように少なくとも0.1MPaの圧力を加えて250℃〜400℃の温度で5分〜120分間加熱することにより、初期接合強度及び冷熱サイクル時の接合強度が高い接合を実現することができる。
本発明の第1の実施形態の接合用成形体をプレス成形により製造する工程を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態の接合用成形体をロール圧延成形により製造する工程を模式的に示す図である。 本発明の第3の実施形態の接合用成形体をプレス成形により製造する工程を模式的に示す図である。 本発明の第4の実施形態の接合用成形体をロール圧延成形により製造する工程を模式的に示す図である。 本発明の第1〜第4の実施形態の接合用成形体を第1及び第2被接合部材間に介在させて加圧したときの断面を示す模式図である。 図5に示した接合用成形体の加熱が完了したときの断面を示す模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の接合用成形体10は、CuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15(図1(a))をプレス成形して厚さ5μm〜200μmのペレット状に作製される。
〔CuコアCu6Sn5シェル粉末〕
接合用成形体の原料となるCuコアCu6Sn5シェル粉末11は、図1(a)の拡大図に示すように、Cuからなるコア11aと、このコア11aを被覆するCu6Sn5からなるシェル11bとにより構成される。このCuコアCu6Sn5シェル粉末11の平均粒径は0.05μm〜1μm、好ましくは0.2μm〜0.5μmである。平均粒径が下限値である0.05μm未満では、粉末の製造が困難であるだけでなく、プレス成形又は後述するロール圧延成形のいずれの場合でも脆い成形体となり、取扱い中に容易に割れてしまう不具合がある。一方、平均粒径が上限値の1μmを超えると、微細サイズ効果による低温焼結性を発揮できず、十分な接合強度が得られなかったり、電気抵抗率が高くなったりする不具合がある。ここで、粉末の平均粒径(体積基準)はレーザー回折散乱装置(堀場製作所社製、LA960)により測定した値である。
またCuコアCu6Sn5シェル粉末11は、CuコアCu6Sn5シェル粉末を100質量%とするとき、Cuを65質量%〜95質量%の割合で、Snを35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含有する。好ましい含有量はCuが70質量%〜90質量%であり、Snが30質量%〜10質量%である。Cuの含有量が95質量%を超えてSnの含有量が5質量%未満では、粉末製造時に粉末表面のシェルが高融点のCu3Sn相となり、シェル同士の連結が行われにくい不具合がある。またCuの含有量が65質量%未満であってSnの含有量が35質量%を超えると、熱伝導性に優れるCuの割合が少なくなり、接合層の高温耐熱性が低くなるとともに所望の電気抵抗率が得られない。
CuコアCu6Sn5シェル粉末11を製造する方法としては、先ずCuコアSnシェル粉末を製造する。このCuコアSnシェル粉末を製造する方法としては、コアとシェルの双方を湿式法で製造する方法と、コアにCu微粉末を用いて、シェルのみを湿式法で製造する方法が挙げられる。前者の製造方法では、先ずCuイオン及びSnイオンが共存する水溶液に還元剤を投入し、酸化還元電位の貴なCuを還元析出させ、続いてこのCuを覆うように酸化還元電位の卑なSnを還元析出させることでCuコアSnシェル構造の粉末前駆体を製造する。還元剤はCuのみを還元する弱還元剤とSnも還元する強還元剤を段階的に投入して、Cuの還元析出反応とSnの還元析出反応を分離した操作としてもよい。また後者の製造方法では、Cu微細粉末を予め準備し、これをSnイオンを含有する水溶液に高分散させ、ここに還元剤を投入して分散Cu微細粉末表面にSnを還元析出させてもよい。また水溶液には、合成したCuコアSnシェル構造の粉末前駆体の凝集を防止する目的で、水溶液調製時にヒドロキシプロピルメチルセルロースやポリビニルピロリドンなどの分散剤を投入してもよい。合成したCuコアSnシェル構造の粉末前駆体を洗浄した後、回収し乾燥することで、CuコアSnシェル構造の微細な粉末が得られる。次に得られたCuコアSnシェル粉末を乾燥機内で200Pa以下の減圧下、30℃〜80℃の温度で6時間〜48時間加熱乾燥することでCuコアSnシェル粉末表面のシェルであるSnがコアのCuと相互拡散してCuコアCu6Sn5シェル粉末が得られる。
〔接合用成形体の製造〕
図1(b)及び(c)に示すように、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下、CuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15を一軸プレス機50でプレス成形を行って成形体前駆体16を作製する。一軸プレス機50は、金型となるダイ50a、上パンチ50b及び下パンチ50cを有する。この一軸プレス機50により、成形体前駆体16を製造するには、先ずダイ50aに下パンチ50cを組み合わせた状態で、CuコアCu6Sn5シェル粉末11を所定量秤量し、この粉末の集合体15をダイ50aの上パンチ挿入孔から下パンチ50c上に投入する(図1(b))。CuコアCu6Sn5シェル粉末の投入量は作製する接合用成形体の厚さと後述する成形圧力に応じて決める。図示しないが、治具でCuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15を上からタッピングして略均等な厚さとする。次に上パンチ50bをダイ50aに挿入して下降させる(図1(c))。この上パンチ50bの加圧力により、集合体15を構成するCuコアCu6Sn5シェル粉末11は変形して、粉末間の絡み合いや接着が起こって、集合体15は独立した成形体前駆体16になる。このようにして、一軸プレス機50でCuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15を一軸プレスして5μm〜200μmの所定の厚さとなるように成形する。厚さが5μm未満では、均一な厚さに成形することが難しく、接合用成形体が被接合部材の被接合面に十分に密着することができない。この結果、接合面積が小さくなり接合強度が低下し、十分な冷熱サイクル特性が得られない。厚さが200μmを超えると、後述する接合用成形体を接合加熱して接合層にしたときに接合層の電気抵抗率が大きくなる不具合がある。
成形圧力は、CuコアCu6Sn5シェル粉末11の粒径や組成で変化するため、それぞれの微細粉末の粒径、組成、形状に応じた圧力とするため、個別に限定することができないが、10MPa〜1000MPaの範囲でプレス成形する。このとき、成形体前駆体16の断面を観察してCuとSnの金属成分以外から構成される空隙部の面積が5%〜0.1%となるように投入粉末量を決定し、上記所定の厚さとなるように圧力調整する。図示しないが、上記空隙部は閉空孔及び開空孔から構成される。圧縮された集合体である成形体前駆体中、コアのCuを符号11aで示す(図1(c))。プレス成形時の圧力が10MPa未満では、後述する接合用成形体を接合加熱して接合層にしたときに接合層が緻密にならず、電気抵抗率が大きくなり、また冷熱サイクル試験において、接合層内部の空隙を起点に亀裂が進展する不具合がある。1000MPaを超えると、成形体前駆体が緻密になり過ぎて硬くなり、所望の寸法に加工することや成形体を変形することが困難になる。
一軸プレス成形後、上パンチ50bを脱型して、図1(d)に示すように、接合用成形体10を取り出す。金型の形状により、ペレット状の接合用成形体10が得られる。この接合用成形体の形状及びサイズは、被接合部材である電子部品の接合面の形状及びサイズに応じて決められる。このために一軸プレス機の金型を、例えば4mm径〜20mm径の円板状の成形体を作製できるようにその大きさを選定し、得られた円板状の成形体を、例えば2.5mm□〜10mm□の正方形に機械加工する。一軸プレス成形で得られた接合用成形体は、圧縮されたCuコアCu6Sn5シェル粉末の集合体により構成される。接合用成形体中のCuは65〜95質量%の割合でSnは35〜5質量%の割合でそれぞれ含まれる。接合用成形体10は圧縮変形したCuコア11aとCuコアを被覆していたCu6Sn5シェル同士が連結したCu6Sn5相11cからなる。
<第2の実施形態>
図2に示すように、本発明の第2の実施形態の接合用成形体20は、第1の実施形態と同一のCuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15(図2(a))をロール圧延成形して厚さ5μm〜200μmのシート状に作製される。この厚さ範囲にする理由は、第1の実施形態と同じである。
〔接合用成形体の製造〕
図2(b)に示すように、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下、CuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15をロール圧延機60で粉末ロール圧延成形を行って成形体前駆体17を作製する。ロール圧延機60は一対の円柱状のロール60a、60bとこれらのロール上面に接して設けられたホッパー60cを有する。ロール60aとロール60bは互いに逆方向に回転し、図2ではホッパー60cに投入されるCuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15を下方に圧延し、圧延体はガイドローラ60d〜60gで水平方向に案内されるように構成される。ロール圧延時の圧力は、線圧となり、実際に圧延成形されるCuコアCu6Sn5シェル粉末に印加される圧力の確認及び管理が難しいため、圧力は限定することができないが、第1の実施形態の一軸プレス成形と同様に成形体前駆体17が5μm〜200μmの所定の厚さとなるようにロール間ギャップを調整するとともに成形体前駆体17の断面を観察して空隙部が5%〜0.1%になるようにホッパー20cによるCuコアCu6Sn5シェル粉末11の集合体15の投入量を調整する。図示しないが、上記空隙部は閉空孔及び開空孔から構成される。圧縮された集合体である成形体前駆体中、コアのCuを符号11aで示す(図2(b))。
ロール圧延成形後、圧延された成形体前駆体を所定のサイズに切断することにより、図2(c)に示すように、シート状の接合用成形体20が得られる。この接合用成形体20の形状及びサイズは、被接合部材である電子部品の接合面の形状及びサイズに応じて決められる。このためにロール圧延機のロール長さを、例えば3mm幅〜12mm幅のシート状の成形体を作製できるように選定し、得られたシート状の成形体を、例えば2.5mm□〜10mm□の正方形に機械加工する。ロール圧延成形で得られた接合用成形体は、圧縮されたCuコアCu6Sn5シェル粉末の集合体により構成される。接合用成形体のCuは65質量%〜95質量%の割合でSnは35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含まれる。接合用成形体20は圧縮変形したCuコア11aとCuコアを被覆していたCu6Sn5シェル同士が連結したCu6Sn5相11cからなる。上記Cu及びSnの含有量にする理由は、第1の実施形態と同じである。
<第3の実施形態>
図3に示すように、本発明の第3の実施形態の接合用成形体30は、第1の実施形態と同一のCuコアCu6Sn5シェル粉末11に活性剤含有物23を均一に混合した混合物24の集合体25(図3(a))を、第1の実施形態と同様に、プレス成形して厚さ5μm〜200μmのペレット状に作製される。この厚さ範囲にする理由は、第1の実施形態と同じである。
〔活性剤含有物〕
接合用成形体のもう一つの原料となる活性剤含有物23は、活性剤成分を含有するフラックスであるか、又は活性剤成分を含有する溶剤である。活性剤としては、ハロゲン化水素酸アミン塩が好ましく、具体的には、トリエタノールアミン、ジフェニルグアニジン、エタノールアミン、ブチルアミン、アミノプロパノール、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンラウレルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メトキシプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、エチルヘキシルアミン、エトキシプロピルアミン、エチルヘキシルオキシプロピルアミン、ビスプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、アニリン、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、3−アミノ−1−プロペン、イソプロピルアミン、ジメチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン等のアミンの塩化水素酸塩又は臭化水素酸塩が挙げられる。この中でシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩が好ましい。
上記溶剤としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、α−テルピネオール等の沸点が180℃以上である有機溶剤が挙げられる。この中でα−テルピネオールが好ましい。活性剤成分を含有する溶剤からなる活性剤含有物には、例えば、セバシン酸を5質量%の濃度でαテルピネオールに溶解した溶剤に活性剤成分を含有させたものが挙げられる。
またフラックスには、活性剤の他に、上記溶剤、ロジン、チキソ剤を含んでもよい。活性剤成分を含有するフラックスからなる活性剤含有物には、例えば、無鉛はんだ用の汎用フラックス(92MS、荒川化学製)が挙げられる。フラックス又は溶媒に含まれる活性剤の含有割合は、後述する混合物100質量%に対して0.01質量%〜2質量%が好ましく、0.5質量%〜1質量%が更に好ましい。この活性剤は、CuコアCu6Sn5シェル粉末の表面酸化物を除去し、焼結を促した後に接合層内部から排出され,最終的に接合用成形体になったときには、ほとんど接合層の内部に残らない.
〔混合物の調製〕
CuコアCu6Sn5シェル粉末11と活性剤成分を含有する活性剤含有物23を窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下で、乳鉢、Vブレンダ、ボールミル、シェイカーミル等を用いて十分に時間をかけて混合して、二層構造粉末であるCuコアCu6Sn5シェル粉末と活性剤含有物を略均一な組成の混合物24に調製する。この混合物の状態で、CuコアCu6Sn5シェル粉末間の隙間、即ち閉空孔及び開空孔の各内壁が活性剤含有物で被覆され、粉末間に活性剤含有物が存在するようになる。
〔接合用成形体の製造〕
図3(b)及び(c)に示すように、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下、CuコアCu6Sn5シェル粉末11と活性剤含有物23の混合物24の集合体25を、第1の実施形態と同じ一軸プレス機50でプレス成形を行って成形体前駆体26を作製する。プレス成形条件は第1の実施形態のプレス成形条件と同じである。一軸プレス成形後、上パンチ50bを脱型して、図3(d)に示すように、接合用成形体30を取り出す。金型の形状により、ペレット状の接合用成形体30が得られる。この接合用成形体の形状及びサイズは、第1の実施形態と同様に決められる。一軸プレス成形で得られた接合用成形体は、圧縮されたCuコアCu6Sn5シェル粉末間に活性剤混合物の集合体により構成される。接合用成形体のCuは65質量%〜95質量%の割合でSnは35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含まれる。接合用成形体30は圧縮変形したCuコア11aとCuコアを被覆していたCu6Sn5シェル同士が連結したCu6Sn5相11cからなる。上記Cu及びSnの含有量にする理由は、第1の実施形態と同じである。
<第4の実施形態>
図4に示すように、本発明の第4の実施形態の接合用成形体40は、第1の実施形態と同一のCuコアCu6Sn5シェル粉末11に第3の実施形態と同じ活性剤含有物23を均一に混合した混合物24を、第2の実施形態と同様に、ロール圧延成形して厚さ5μm〜200μmのシート状に作製される。この厚さ範囲にする理由は、第1の実施形態と同じである。
図4(b)に示すように、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下、CuコアCu6Sn5シェル粉末11と活性剤含有物23の混合物24の集合体25を、第2の実施形態と同じロール圧延機60で粉末ロール圧延成形を行って成形体前駆体27を作製する。圧縮された集合体である成形体前駆体中、コアのCuを符号11aで示す(図4(b))。
ロール圧延成形後、圧延された成形体前駆体を所定のサイズに切断することにより、図4(c)に示すように、シート状の接合用成形体40が得られる。この接合用成形体40の形状及びサイズは、第1の実施形態と同様に決められる。ロール圧延成形で得られた接合用成形体は、圧縮されたCuコアCu6Sn5シェル粉末の集合体により構成される。接合用成形体のCuは65質量%〜95質量%の割合でSnは35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含まれる。接合用成形体40は圧縮変形したCuコア11aとCuコアを被覆していたCu6Sn5シェル同士が連結したCu6Sn5相11cからなる。上記Cu及びSnの含有量にする理由は、第1の実施形態と同じである。
〔接合用成形体を用いた接合方法〕
次に、接合加熱により、接合用成形体が接合層に変わるまでの粉末の焼結過程を図5及び図6により説明する。図5の模式図に示すように、先ず接合加熱前の第1〜第4の実施形態の接合用成形体10、20、30、40のいずれかの接合用成形体を第1被接合部材70の接合面上に配置する。接合用成形体は圧縮変形したCuコア11aとCuコアを被覆していたCu6Sn5シェル同士が連結したCu6Sn5相11cからなる。
次いでこの状態で接合用成形体の上に第2被接合部材71を配置し、窒素ガス雰囲気下又はギ酸ガス雰囲気下で、この第2被接合部材71の上から0.1MPa〜50MPa、好ましくは0.2MPa〜10MPaの荷重Pを加えて加圧する。窒素ガス雰囲気下にすることにより、接合が完了するまでの間、接合用成形体及び/又は接合層の酸化を防ぐ。ギ酸ガス雰囲気下にすることにより、接合が完了するまでの間、接合用成形体及び/又は接合層に含まれる酸化物を還元する。圧力が0.1MPa未満では成形体が自立せず、50MPaを超えるとシート又はペレットは剛直で可撓性に劣り、シート又はペレットに反りが発生すると、被接合体を全面で接触させることができなくなる。この加圧により接合用成形体が第1被接合部材70及び第2被接合部材71の各被接合面に密着する。この加圧した状態で、図6に示すように、接合用成形体を加圧しながら、250℃〜400℃の温度で5分〜120分間加熱する。
この接合加熱の条件は接合用粉末の平均粒径によって、上記加熱温度及び加熱時間が上記範囲から決められる。接合用粉末の平均粒径が小さい程、上記範囲内で低い加熱温度及び短い加熱時間が決められ、接合用粉末の平均粒径が大きい程、上記範囲内で高い加熱温度及び長い加熱時間が決められる。加熱温度が250℃未満又は加熱時間が5分未満では、平均粒径が0.01μmであっても、粉末の焼結が進行しない。また加熱温度が400℃を超える場合又は加熱時間が120分を超える場合には、被接合部材であるシリコンチップ素子に熱損傷を与えてしまう不具合がある。好ましい加熱温度は280〜350℃であり、好ましい加熱時間は10〜60分間である。
上記温度と時間での加熱により焼結が進んでCu6Sn5相11cにCuコア11aが略均一に拡散して、Cu6Sn5相11cは凝固開始温度676℃のCu3Sn相11dに変化する。この結果、Cuコア粒子がCu3Sn化合物で囲まれてなる高温耐性のある緻密な接合層45が形成され、初期接合強度が高く、かつ冷熱サイクル試験後も高い接合強度を維持する接合を実現することができる。また接合層45の内部にCu11aが残存することで、この接合用成形体を用いて接合層を形成した場合には、接合層45に高い熱伝導性や電気伝導性も得られる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
接合用粉末として、平均粒径が0.05μmであって、Cu割合が80質量%かつSnの割合が20質量%のCuコアCu6Sn5シェル粉末を用意した。ここでCuコアCu6Sn5シェル粉末のCuとSnの組成割合は、ICP発光分光法(Thermo Fisher Scientific社製、iCAP-6500 Duo)により測定した。またコアシェル構造の結晶構造が主としてCu及びCu6Sn5から構成されることは、粉末X線回折法(PANalytical社製、多目的X線回折装置Empyrean)により確認した。
次いで窒素ガス雰囲気下、CuコアCu6Sn5シェル粉末を乳鉢に入れ、CuコアCu6Sn5シェル粉末に汎用フラックス(荒川化学製92MS)を添加し、30分間均一に混合して混合物を得た。この混合物ではCuコアCu6Sn5シェル粉末間に隙間、即ち閉空孔及び開空孔の各内壁が活性剤含有物で被覆された。このときのCuコアCu6Sn5シェル粉末と汎用フラックスとの混合割合は、CuコアCu6Sn5シェル粉末が99質量%、汎用フラックス中の活性剤成分が1質量%であった。得られた混合物を図1に示す一軸プレス機50のダイ50aの上パンチ挿入孔から下パンチ50c上に投入し、上パンチ50bをダイ50aに挿入し、成形荷重500MPaで5分間一軸プレス成形し、厚さ30μmで3mm□のペレット状の接合用成形体を得た。
得られた接合用成形体を銅板上に載せ、この接合用成形体の上に、裏面をAuスパッタした2.5mm□のシリコンチップ素子を搭載した。シリコンチップ素子に1MPaの荷重を加えて接合用成形体をシリコンチップ素子と銅板に密着させた状態で、リフロー炉を用いて、窒素ガス雰囲気下、最高温度300℃で10分間保持して、銅板とシリコンチップ素子を接合して接合サンプルを得た。
<実施例2〜4及び比較例1、2>
実施例2〜4及び比較例1、2では、表1に示すように、接合用成形体を作製するためのCuコアCu6Sn5シェル粉末の平均粒径について、実施例1とは異なる平均粒径のCuコアCu6Sn5シェル粉末を用いて、表1に示す条件で、実施例1と同様にして4種類の接合用成形体を得た。比較例1では、CuコアCu6Sn5シェル粉末の平均粒径が0.03μmであって微細過ぎたため、接合用成形体が脆弱で割れてしまった。このため、比較例1を除いた4種類の接合用成形体を表1に示す実施例1と同じ接合条件で、実施例1と同様にして接合サンプルを得た。
<実施例5〜10及び比較例3、4>
実施例5〜10及び比較例3、4では、表1に示すように、接合用成形体を作製するためのCuコアCu6Sn5シェル粉末のCuとSnの組成について、実施例1とは異なるCuとSnの組成のCuコアCu6Sn5シェル粉末を用いて、表1に示す条件で、実施例1と同様にして8種類の接合用成形体を得た。8種類の接合用成形体を表1に示す実施例1と同じ接合条件で、実施例1と同様にして接合サンプルを得た。
<実施例11〜14及び比較例5、6>
実施例11〜14及び比較例5、6では、表1に示すように、接合用成形体を作製するための混合物の一軸プレス成形圧力について、実施例1とは異なる成形圧力に設定して、表1に示す条件で、実施例1と同様にして6種類の接合用成形体を得た。荷重を加えた時間は実施例1と同一の5分間であった。6種類の接合用成形体を表1に示す実施例1と同じ接合条件で、実施例1と同様にして接合サンプルを得た。
<実施例15〜19及び比較例7、8>
実施例15〜19及び比較例7、8では、表1に示すように、接合用成形体の厚さについて、混合物の一軸プレスの下パンチ上に投入する量を変え、実施例1とは異なる厚さになるようにプレス成形した。それ以外は、表1に示す条件で、実施例1と同様にして7種類の接合用成形体を得た。7種類の接合用成形体を表1に示す実施例1と同じ接合条件で、実施例1と同様にして接合サンプルを得た。
Figure 0006969466
<実施例20〜25及び比較例9、10>
実施例20〜25及び比較例9、10では、表2に示すように、成形方法をロール圧延成形に変更し、圧延機のロール間ギャップを調整して、得られる接合用成形体の厚さについて、実施例1と同じ厚さの30μmになるようにした。また接合用成形体を作製するためのCuコアCu6Sn5シェル粉末のCuとSnの組成について、実施例1とは異なるCuとSnの組成のCuコアCu6Sn5シェル粉末を用いた。それ以外は、表2に示す条件で、実施例1と同様にして7種類の接合用成形体を得た。比較例10では、CuコアCu6Sn5シェル粉末中のSnの組成が3質量%であって少な過ぎたため、ロール圧延成形ではシェル同士の連結が十分に行われず、接合用成形体を作製することができなかった。比較例10を除いた7種類の接合用成形体を表2に示す実施例1と同じ接合条件で、実施例1と同様にして接合サンプルを得た。
<比較例11>
比較例11では、接合用粉末として、平均粒径が0.5μmであって、Cu割合が80質量%かつSnの割合が20質量%のシェルがSnからなるCuコアSnシェル粉末を用意した。このCuコアSnシェル粉末を用いて、表2に示す条件で、実施例1と同様にして接合用成形体を得た。この接合用成形体を表2に示す実施例1と同じ接合条件で、実施例1と同様にして接合サンプルを得た。
<実施例26、27>
実施例26、27では、表2に示すように、成形方法を実施例1と同じ一軸加圧成形に変更した。それ以外は、表2に示す条件で、実施例1と同様にして2種類の接合用成形体を得た。接合する雰囲気をギ酸ガス雰囲気にし、それ以外はこの接合用成形体を表2に示す実施例1と同じ接合条件で接合して、実施例1と同様にして2種類の接合サンプルを得た。
<実施例28〜30及び比較例12、13>
実施例28〜30及び比較例12、13では、表2に示す条件で、実施例1と同様にして5種類の接合用成形体を得た。接合する圧力を実施例1とは異なる圧力に設定し、それ以外はこの接合用成形体を表2に示す実施例1と同じ接合条件で接合して、実施例1と同様にして5種類の接合サンプルを得た。
<実施例31〜34及び比較例14、15>
実施例31〜34及び比較例14、15では、表2に示す条件で、実施例1と同様にして6種類の接合用成形体を得た。接合する温度を実施例1とは異なる温度に設定し、それ以外はこの接合用成形体を表2に示す実施例1と同じ接合条件で接合して、実施例1と同様にして6種類の接合サンプルを得た。
<実施例35〜37及び比較例16、17>
実施例35〜37及び比較例16、17では、表2に示す条件で、実施例1と同様にして5種類の接合用成形体を得た。接合する時間を実施例1とは異なる時間に設定し、それ以外はこの接合用成形体を表2に示す実施例1と同じ接合条件で接合して、実施例1と同様にして5種類の接合サンプルを得た。
Figure 0006969466
<比較評価>
実施例1〜37及び比較例2〜9、11〜17で得られた52種類の接合サンプルについて、次に述べる方法により、初期接合強度試験、冷熱サイクル試験及び電気抵抗率試験を行い、評価した。それらの評価結果を表3及び表4に示す。
(1)初期接合強度試験
接合強度はダイシェアテスタ(エー・アンド・デイ社製、テンシロン万能試験機RTF−1310)により、52種類の接合サンプルの銅板をそれぞれ固定し、シリコンチップ素子側面から銅板と平行方向に力を加え、シリコンチップ素子が剥がれる際の力又は破壊された際の力(単位はニュートン、N)を計測し、この値を接合面積2.5mm×2.5mm=6.25mm2で除した値を接合強度(単位はMPa)とした。初期の接合強度が25MPa以上であるときを合格とした。
(2)冷熱サイクル試験(信頼性評価試験)
52種類の接合サンプルを冷熱サイクル試験機(エスペック社製、冷熱衝撃試験装置TSA―73ES)にそれぞれ入れ、下限温度−40℃で20分間、上限温度200℃で15分間それぞれ維持した。この降温と昇温の冷熱サイクルを2000回繰り返し、上記(1)の初期接合強度試験法と同様の方法で接合強度を測定した。この冷熱サイクル試験後の接合強度S1の初期接合強度S0に対する比(S1/S0)を求めた。この比が0.85以上であるときを合格とした。
(3)電気抵抗率試験
52種類の接合サンプルの厚さを求めた後、抵抗率計(三菱化学アナリテック製ロレスターGP)を用いて、各接合サンプルのシート抵抗を測定し、厚さとシート抵抗値から電気抵抗率を算出した。電気抵抗率は40μΩ・cm以下であるときを合格とした。
Figure 0006969466
Figure 0006969466
表3及び表4から実施例1〜37と比較例2〜9、11〜17とを比較すると次のことが分かった。
比較例2では、平均粒径が1.5μmである粗大過ぎるCuコアCu6Sn5シェル粉末を用いたため、微細サイズ効果による低温焼結性を発揮できず、接合サンプルの初期接合強度が15MPaと低く、また電気抵抗率が50μΩ・cmと高かった。
比較例3では、CuコアCu6Sn5シェル粉末中のCuの含有量が60質量%と少な過ぎ、Snの含有量が40質量%と多過ぎたため、接合サンプルにおいて、Cuコアが少なくなり、冷熱サイクル試験で発生する応力を緩和することが十分にできず、S1/S0の比が0.75と低く、また電気抵抗率が48μΩ・cmと高かった。
比較例4では、CuコアCu6Sn5シェル粉末中のCuの含有量が97質量%と多過ぎ、Snの含有量が3質量%と少な過ぎたため、一軸加圧成形では接合用成形体を作製できたが、接合サンプルの初期接合強度S0は18MPaと低過ぎ、かつ冷熱サイクル試験後の接合強度S1が殆どゼロMPaとなり、S1/S0の比が0.00であった。
比較例5では、一軸プレス成形時の成形荷重が8MPaと低過ぎたため、予め緻密な成形体とすることができなかった。このため、接合サンプルの初期接合強度S0は25MPaと高かったが、冷熱サイクル試験後の接合強度S1が低く、S1/S0の比が0.75と低かった。また接合サンプルが緻密にならず、電気抵抗率が41μΩ・cmと大きかった。
比較例6では、一軸プレス成形時の成形荷重が1200MPaと高過ぎたため、成形体が硬くなり成形体が変形しにくく、基板と素子との間に介挿して加圧加熱しても均一な厚さに成形することが難しく、接合用成形体が被接合部材の被接合面に十分に密着の反りに追従して変形することができずに接触面を十分に確保できなかったことから、接合サンプルの初期接合強度S0が19MPaと低かった。
比較例7では、一軸プレス成形後の成形体の厚さが3μmと薄過ぎたため、均一な厚さに成形することが難しく、接合用成形体が基板や素子に十分に密着せず、接合サンプルの初期接合強度S0は24MPaと低く、S1/S0の比も0.50と低かった。
比較例8では、一軸プレス成形後の成形体の厚さが250μmと厚過ぎたため、熱抵抗及び電気抵抗の増大を招き、接合サンプルのS1/S0の比が0.78と低く、また接合サンプルの電気抵抗率が42μΩ・cmと大きかった。
比較例9では、CuコアSnシェル粉末中のCuの含有量が60質量%と少な過ぎ、Snの含有量が40質量%と多過ぎたため、接合サンプルにおいて、Cuコアが少なくなり、冷熱サイクル試験で発生する応力を緩和することが十分にできず、S1/S0の比が0.75と低く、また電気抵抗率が48μΩ・cmと高かった。
比較例11では、接合用粉末として、 CuコアCu6Sn5シェル粉末でないCuコアSnシェル粉末を用いたため、接合加熱時に、接合用成形体に流動性のあるSn液相が発生して、組成の偏りのある接合組織を形成したため、S1/S0の比が0.78と低かった。
比較例12では、接合サンプルを作製するときの接合圧力をゼロMPaにしたため、接合材料と被接合材界面の密着不良になり、接合サンプルの初期接合強度S0は21MPaと低過ぎ、強固な接合界面を形成できなかった。
比較例13では、接合サンプルを作製するときの接合圧力を60MPaにしたため、接合組織が緻密になりすぎ、基板と素子間の線膨張係数差により生じる応力を接合層の変形による逃がすことができなかった。この結果、亀裂発生し、S1/S0の比が0.85を下回った。
比較例14では、接合サンプルを作製するときの接合温度を230℃にしたため、焼結が十分に進まずに、良好な接合界面を維持できなかった。
比較例15では、接合サンプルを作製するときの接合温度を450℃にしたため、搭載するチップは高温に弱く、熱破損するおそれがあった。
比較例16では、接合サンプルを作製するときの接合時間を1分にしたため、十分に焼結が進まず、接合界面を十分に形成できなかった。
比較例17では、接合サンプルを作製するときの接合時間を130分にしたため、接合性は悪くないが、高温で長時間素子を晒すと素子へのダメージ確率が上がり不良率が上がる不具合が生じた。
これに対して、実施例1〜37の接合サンプルは、第1又は第2の観点に規定する要件で接合用成形体を製造し、かつ第3の観点に規定する要件で製造されたサンプルであったため、初期接合強度は25MPa(実施例10)〜67MPa(実施例26)と高く、また冷熱サイクルは0.85(実施例11)〜0.99(実施例15)の範囲にあり、冷熱サイクル試験による接合強度の低下はみられなかった。更に電気抵抗率は0μΩ・cm(実施例14)〜38μΩ・cm(実施例20)と低かった。
本発明の方法で製造された接合用成形体は、接合加熱後に高温雰囲気に晒される電子部品の実装に好適に利用できる。
10、20、30、40 接合用成形体
11 CuコアCu6Sn5シェル粉末
11a コア(Cu)
11b シェル(Cu6Sn5
11c Cu6Sn5
11d Cu3Sn相
15、25 集合体
16、17、26、27 成形体前駆体
23 活性剤含有物
24 混合物
45 接合層
50 一軸プレス機
60 ロール圧延機

Claims (3)

  1. 平均粒径が0.05μm〜1μmであって、Cuを65質量%〜95質量%の割合で、Snを35質量%〜5質量%の割合でそれぞれ含有するCuコアCu 6 Sn 5 シェルからなる接合用粉末の集合体を10MPa〜1000MPaの圧力でプレス成形又はロール圧延成形して厚さ5μm〜200μmの接合用成形体を製造する方法。
  2. 前記集合体が前記接合用粉末に活性剤含有物を混合した混合物である請求項1記載の接合用成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の接合用成形体を第1及び第2被接合部材間に介在させた後、窒素ガス雰囲気下又はギ酸ガス雰囲気下、第1及び第2被接合部材が互いに密着するように0.1MPa〜50MPaの圧力を加えて250℃〜400℃の温度で5分〜120分間加熱することにより、前記第1及び第2被接合部材を接合することを特徴とする接合方法。
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