JP4876535B2 - リチウム二次電池用正極板の製造方法およびこの製造方法による正極を用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極板の製造方法およびこの製造方法による正極を用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池の製造方法、特にリチウム二次電池用正極用極板の製造方法の改良に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用の電子・通信機器等に用いられる電池として、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料などを負極活物質とし、リチウム遷移金属複合酸化物として高容量化のためリチウム含有ニッケル複合酸化物等を正極活物質とするリチウム二次電池が実用化されるようになった。
通常、リチウム二次電池の製造方法は以下のような方法である。正極板の製造工程において、正極活物質にリチウム含有ニッケル複合酸化物、導電材に炭素質物、結着剤にアクリル系ゴム質共重合体を用いて正極板用ペースト化を作製する。その正極板用ペーストを集電体となるアルミニウム(以下、Alと略す)箔に塗工し、乾燥し、その後所定の密度に圧延し、正極板を作製する。巻回工程において、正極板の製造工程で作製した正極板と、負極板とを、セパレータを介して渦巻き状に巻いて極板群を作製する。組立工程において、その極板群を電池ケースに入れ、非水電解液を所定量注液し、封口板で封口して、リチウム二次電池を作製する。
このように、結着剤にアクリル系ゴム質共重合体を用いることにより、正極板用ペーストとAl箔との密着性を向上させ、リチウム二次電池の充放電サイクル寿命を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2000−21407号公報
しかしながら、正極用活物質にリチウム含有ニッケル複合酸化物、例えばLiNixMnyCo(1-x-y)2を用いた場合、従来の正極板製造工程においては、結着剤にアクリル系ゴム質共重合体を用いることにより正極板の合剤層と、集電体となるアルミニウム(以下、Alと略す)箔との密着性は格段に上昇し、かつ圧延により合剤層がAl箔に食い込み易くなる。また、リチウム含有ニッケル複合酸化物は活物質自体の硬度が高いことから、正極板の柔軟性が少なくなる。正極板と負極板とをセパレータを介して渦巻き状に巻回する巻回工程において、曲率半径が小さくなる極板群の最内周付近で正極板が切れるという問題があった。また、リチウム二次電池においても、充放電による極板の膨張・収縮によるストレスにより、曲率半径が小さくなる極板群の最内周付近で正極板が切れ、リチウム二次電池の電池機能を失ってしまうという問題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、曲率半径が小さくなる極板群の最内周付近で正極板が切れることなく、生産性ならびに電池特性に優れたリチウム二次電池用正極板の製造方法を提供するものである。
前記従来の課題を解決するために,本発明のリチウム二次電池用正極板の製造方法は、正極活物質としてリチウム含有ニッケル複合酸化物、結着剤、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースとを分散媒に混練分散させた正極板用ペーストを、集電体に塗着、熱処理、圧延してなるリチウム二次電池用正極板の製造方法において、前記リチウム含有ニッケル複合酸化物、前記結着剤、および前記カルボキシメチルセルロースとを前記分散媒に混練分散して正極板用ペーストを作製する工程と、前記正極板用ペーストを前記集電体に塗着し正極板前駆体にする工程と、前記正極板前駆体を熱処理する工程と、前記正極板前駆体を熱処理した後、圧延する工程とからなるリチウム二次電池用正極板の製造方法であって、前記結着剤はアクリル系ゴム質共重合体フッ素系樹脂からなり、前記アクリル
系ゴム質共重合体は200〜400℃で接着力が低下する結着剤であり、前記フッ素系樹脂は200〜400℃で接着力が低下しない結着剤であり、前記熱処理の温度は200〜400℃であるリチウム二次電池用正極板の製造方法である。
結着剤として200〜400℃で接着力が低下するアクリル系ゴム質共重合体と200〜400℃で接着力が低下しないフッ素系樹脂との2種類を入れている。かつ熱処理を200℃〜400℃の温度としている。熱処理により、アクリル系ゴム質共重合体の一部が分解しガス化し消失するため、正極板の合剤層と集電体との接着力が低下する。そのため、正極板が局所的に固くならずに柔軟性を維持することができるようになる。従って、こうすることにより、極板群の生産性を向上させることができることによって、リチウム二次電池の生産性も改善することができるようになる。
本発明によれば、曲率半径が小さくなる極板群の最内周付近で正極板が切れることなく、充放電を繰り返しても電池機能を失うことがない。また、正極板の柔軟性が維持できるようにしたため、電池の巻回工程における正極板の切れがなくなることにより、極板群の生産性を改善させると共にリチウム二次電池の生産性も改善することができる。
本発明のリチウム二次電池用正極板の製造方法は、
正極活物質としてリチウム含有ニッケル複合酸化物、結着剤、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースとを分散媒に混練分散させた正極板用ペーストを、集電体に塗着、熱処理、圧延してなるリチウム二次電池用正極板の製造方法において、
前記リチウム含有ニッケル複合酸化物、前記結着剤、および前記カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと略す)とを前記分散媒に混練分散して正極板用ペーストを作製する工程と、前記正極板用ペーストを前記集電体に塗着し正極板前駆体にする工程と、前記正極板前駆体を熱処理する工程と、前記正極板前駆体を熱処理した後、圧延する工程とからなるリチウム二次電池用正極板の製造方法であって、前記結着剤は結着剤Aと結着剤Bからなり、前記結着剤Aは200〜400℃で接着力が低下する結着剤であり、前記結着剤Bは200〜400℃で接着力が低下しない結着剤であり、前記熱処理の温度は200〜400℃である。
結着剤として200〜400℃で接着力が低下する結着剤Aと200〜400℃で接着力が低下しない結着剤Bとの2種類を入れている。かつ熱処理を200℃〜400℃の温度としている。熱処理により、結着剤Aの一部が分解しガス化し消失するため、正極板の合剤層と集電体との接着力が低下する。そのため、正極板が局所的に固くならずに柔軟性を維持することができるようになる。従って、こうすることにより、極板群の生産性を向上させることができることによって、リチウム二次電池の生産性も改善することができるようになる。
結着剤Aは、200〜400℃で50%以上分解し、接着力が低下する材料であり、具体的にはアクリル系ゴム質共重合体およびゴム系重合体が好ましい。結着剤Bは、200〜400℃で50%以下しか分解せず、接着力が低下しない材料であり、具体的にはフッ素系樹脂およびシリコン系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂の中でも、ポリテトラフロオロエチレン(以下、PTFEと略す)、フッ化エチレンプロピレン(以下、FEPと略す)
、およびフロロアコキシ(以下、PFAと略す)が好ましい。
結着剤Aと結着剤Bは、結着剤A:結着剤B=0.2:1〜5:1(重量比)で混合するのが好ましい。この理由は、結着剤Bが1に対して結着剤Aが0.2の場合は、結着剤Aの効果が充分に活かせず、柔軟性を維持できない場合があるためである。また、結着剤Aが5より大きい場合は、熱処理後に結着剤Aの結着力が劣化するため、熱処理後や圧延後の密着性が保てない場合があるためである。
熱処理温度を200〜400℃とした理由は、200℃より低い温度では、増粘剤が正極板中に残渣として残り、ガス発生の要因となり、電池特性が悪化してしまう。400℃より高い温度では、結着剤AとBの両方が分解するため、正極板の合剤層と集電体との接着力が著しく低下してしまう。以上のことから、熱処理温度は200〜400℃がよい。
導電材は、アセチレンブラック、グラファイト、および炭素繊維等を単独、或いは二種類以上の混合物が好ましい。
分散媒としては、結着剤が溶解可能な溶剤が好ましい。水または温水が好ましい。
塗工方法は、特に限定されるものではない。混合分散させた正極板用ペーストを、例えば、スリットダイコーター、リバースロールコーター、リップコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、およびディップコーター等を用いて、塗工することができる。
集電体は、例えば、Al箔やラス加工やエッチング処理された箔が好ましい。
また、熱処理温度は1〜10分間が好ましい。
圧延方法は、ロールプレス機によって所定の厚みになるまで数回圧延を行うか、プレス圧を変えて圧延するのが好ましい。
正極板は厚みが0.08〜0.20mmで、柔軟性があることが好ましい。
本発明の好ましい実施の形態におけるリチウム二次電池用正極板の製造方法は、結着剤Aはアクリル系ゴム質共重合体であり、結着剤Bはフッ素系樹脂が好ましい。
こうすることにより、結着剤Aは熱処理温度が200〜400℃の範囲でほぼ100%分解し、結着剤Bはほとんど分解せずに正極板中に残留するため、結着剤Aと結着剤Bとの組み合わせが好ましい。
上述した製造方法の正極板を用いたリチウム二次電池は、充放電の繰り返しで極板が膨張・収縮しても、曲率半径が小さくなる極板群の最内周付近で極板が切れることなく、リチウム二次電池の電池機能を失うこともない。
以下、本発明の詳細について図面を参照しながら説明する。
図1に本発明のリチウム二次電池の一実施形態として円筒形リチウム二次電池の概略縦断面図を示す。
極板群は、正極板5と負極板6とを、セパレータ7を介して、渦巻き状に捲回して作製
されている。このような極板群は有底電池ケース8に挿入されている。有底電地ケース8に挿入した極板群には非水電解液が注入されている。正極板5に正極リード3を溶接により接続され、負極板6に負極リード9を溶接により接続されている。極板群の上端部には上部絶縁板4が配置され、極板群の下端部には下部絶縁板10が配置されている。有底電池ケース8の開口部と封口板1は、絶縁ガスケット2を介してかしめにより封口されている。このようにして直径17mm、高さ50mmの円筒形リチウム二次電池を作製する。正極板5は集電体としてAl箔の両面に形成したものである。セパレータ7はポリプロピレン(以下、PPと略す)製微多孔質フィルムである。有底電池ケース8は、耐有機電解液性のステンレス鋼板を深絞り成形することにより得られたものである。
負極板6の製造方法を説明する。
負極活物質として、鱗片状黒鉛粉末50重量部、結着剤として、スチレンブタジエンゴム5重量部、そして増粘剤として、カルボキシルメチルセルロース1重量部に対して水99重量部に溶解した増粘剤水溶液23重量部とを混合分散して負極用ペーストを得た。得られた負極用ペーストをダイコーターで厚さ15μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布乾燥し、厚み0.2mmに圧延し、切断してシート状の負極板6を作製した。
非水電解液は、炭酸エチレン(以下、ECと略す)30vol%と、炭酸ジエチル(以下、DECと略す)50vol%と、およびプロピオン酸メチル20vol%との混合液に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(以下、LiPF6と略す)を1mol/Lの濃度になるように調整する。この非水電解液は、有底電池ケース8内に収容され、正極板5および負極板6内に含浸されている。PP製微多孔質セパレータの微少孔は正極板5と負極板6との間のLiイオンの移動を担っている。
以下に、正極板の詳細な製造方法について述べる。
(実施例1)
正極活物質としてリチウム含有ニッケル複合酸化物のLiNixMnyCo(1-x-y)2粉末(X=Y=0.33)を50重量部、導電剤としてアセチレンブラックを1.5重量部、CMC1重量部を水99重量部に溶解した水溶液43.5重量部、結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部が溶解した水溶液1.5重量部、および結着剤BとしてPTFE50重量部が水に分散したもの1.5重量部とを配合した。これらを混合分散することにより正極用ペーストを得た。次に、この正極用ペーストを集電体として厚み20μmのAl箔にダイコーターを用いて0.22mmの厚みになるように塗工し、乾燥した。その後、結着剤Aのアクリル系ゴム質共重合体分解させガス化させるために300℃で10分間熱処理を行った。この後、ロールプレス機により厚みが0.17mmになるまで圧延した。所定の寸法に切断して正極板5を得た。この正極板を用いて作製した円筒形リチウム二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例1の熱処理温度を200℃とした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例3)
実施例1の熱処理温度を400℃とした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例4)
実施例1の結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液2.5重量部に、結着剤BとしてPTFE50重量部を水に分散させたもの0.5重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例5)
実施例1の結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液0.5重量部に、結着剤BとしてPTFE50重量部を水に分散させたもの2.5重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例6)
実施例1の正極の作製において、結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液を1.5重量部に、およびFEP50重量部を水に分散させたもの溶液を1.5重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例7)
実施例1の正極の作製において、結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液を1.5重量部におよび、PFA50重量部を水に分散させたもの水溶液を1.5重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例8)
実施例1の結着剤Aとしてゴム系樹脂50重量部を溶解した水溶液1.5重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例9)
実施例1の結着剤Bとしてシリコン系樹脂50重量部を水に分散させたもの1.5重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例10)
実施例1の結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液2.7重量部に、結着剤BとしてPTFE50重量部を水に分散させたもの0.3重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(実施例11)
実施例1の結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液0.3重量部に、結着剤BとしてPTFE50重量部を水に分散させたもの2.7重量部にした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(比較例1)
実施例1の熱処理温度を180℃とした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(比較例2)
実施例1の熱処理温度を450℃とした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(比較例3)
結着剤としてアクリル系ゴム質共重合体50重量部を溶解した水溶液3.0重量部のみにした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
(比較例4)
結着剤としてフッ素系樹脂50重量部を水に分散させたもの3.0重量部のみにした以外は実施例1と同じ電池を作製した。
このようにして得られた実施例1〜11および比較例1〜4の正極板と電池について以下の評価を行った。
正極板の評価として以下の2つの評価を行った。
塗工後および圧延後における正極合剤と集電体との密着性を調べるため、引張試験機で剥離強度試験を行った。試験方法は次の通りである。正極板を幅2cm×長さ10cmに切り出し、塗工面をガラス板に両面テープで貼り付けた。正極板の一方の端を90度の角度に保ちながら一定の速度で剥離させ、その際の強度を測定した。その強度を密着強度とし、その結果を表1に示した。
次に、圧延後の正極板の切れ性を調べるために次のような試験を行った。正極板を幅2cm×長さ10cmの極板に切り出し、幅方向に直径2mmの丸棒に沿って正極板を100回折り曲げの繰り返し試験を行った。丸棒に沿った部分のクラックの大きさを目視により観察し計測し、クラック率を算出した。クラック率は以下のような式で定義し、その結果を表1に示した。
クラック率=(クラックの入った長さ[mm]÷極板全般の長さ[mm])×100
クラック率は0%が望ましいが、正極板と負極板とをセパレータ7を介して渦巻き状に捲回して極板群を作製する場合において、クラック率が20%までなら極板群を作製することができる。しかし、クラック率が20%より大きくなると、正極板が切れ易くなり極板群が作製できなくなり、極板群の生産性が低下する。このことから、クラック率の閾値として20%までが良好な範囲とする。
電池の評価として以下の2つの評価を行った。
20℃の環境下で、定電流500mAで充電し、電池電圧が4.1Vになった時点で定電圧4.1Vで充電し、充電時間の合計が2時間になるように充電した。放電は、20℃の環境下で、定電流720mAで放電し、電池電圧が3.0Vになった時点で放電を終了した。このような条件で充電と放電を繰り返した。1サイクル目の放電容量を基準とした500サイクル後の容量維持率を表2に示した。
電池を上述した充電条件で充電し、充電状態で恒温60℃中に20日間保存した。その後、20℃の環境下で充放電を数回行った後、定電流720mAで放電し、電池電圧が3.0Vに達するまで放電した。その時の放電容量を求めた。保存前の放電容量に対する割合を容量維持率として表2に示した。
Figure 0004876535
Figure 0004876535
表1の結果より、比較例3にように結着剤Aとしてアクリル系ゴム質共重合体50重量部水溶液3.0重量部のみを用いた場合、塗工後の密着強度は155gfと強かったが、300℃で熱処理し圧延した後では密着強度は18gfととても弱くなった。そのため、極板群を作製できず電池にすることができなかった。これは、塗工後に密着性を発揮していた結着剤A(アクリル系ゴム質共重合体)が、熱処理によりガス化し、正極合剤層と集電体との密着性が失われたものと考えられる。実施例11、5、1、4、および10の順に結着剤Bとしてフッ素系樹脂のPTFEを、アクリル系ゴム質共重合体の一部に置き換え増やしていったところ、圧延後の密着強度は徐々に上昇し、圧延後の密着強度は徐々に減少した。ただし、実施例11のようにアクリル系ゴム質共重合体が0.3重量部では、正極板のクラック率は15%と大きくなった。これは圧延後の密着力が108gfと高くなり、正極合剤層と集電体との密着力が低下しにくくなり、正極板が硬くなったため正極板の柔軟性が不足したためと考えられる。さらに、比較例4のようにPTFEを3.0重量部のみにすると、正極板の柔軟性がさらに不足しクラック率が85%となった。
これより、結着剤Aと結着剤Bは、結着剤A:結着剤B=0.2:1〜5:1(重量比)で混合するのが好ましいことがわかる。この理由は、結着剤Bが1に対して結着剤Aが0.2の場合は、結着剤Aの効果が充分に活かせず、柔軟性を維持できない場合があるためである。また、結着剤Aが5より大きい場合は、熱処理後に結着剤Aの結着力が劣化するため、熱処理後や圧延後の密着性が保てない場合があるためである。
また、実施例6〜8のように、アクリル系ゴム質共重合体の代わりにゴム系共重合体、フッ素系樹脂のPTFEの代わりにFEP、PFA、シリコン系樹脂を用いても同様の効果が得られる。
また、実施例1のように熱処理温度300℃だけでなく、実施例2および3のように熱処理温度200および400℃にしても、アクリル系ゴム質共重合体がガス化は進行し、接着力が低下するため、柔軟性の低下が防がれることにより、クラックは発生していない(実施例1〜3)。
しかし、比較例1のように熱処理温度を180℃にしたところ、アクリル系ゴム質共重合体がガス化できないため、正極合剤層と集電体との密着力が低下せず、正極板が硬くなったため柔軟性が低下し、クラック率が90%も発生した。一方、比較例2のように熱処理温度を450℃で行った場合、圧延後の密着強度が弱かったためクラック率の評価に至
らなかった。これは、400℃より高くすると、アクリル系ゴム質共重合体のほとんどがガス化することにより、密着強度が極端に弱くなったものと考えられる。
したがって、以上の結果から、塗工後の熱処理温度は200〜400℃が望ましい。
表2の結果から、500サイクル後容量維持率、60℃20日保存後の容量維持率ともに、実施例の電池は容量維持率が高いことがわかる。これは、実施例の正極板は柔軟性に富み、電池の充放電に伴う正極活物質の膨張収縮に追従できる空間を有しているため、容量劣化を小さくすることができると考えられる。
本発明によれば、正極板の柔軟性が改善されるため、正極板が切れることがなく、生産性を向上させることができる。また、充放電を繰り返しても、電池の機能を失うことがない。そのため、小型電子機器用電源や産業用用途における電源としても有用である。
本発明の実施例に用いたリチウム二次電池の概略縦断面図
符号の説明
1 封口板
2 絶縁ガスケット
3 正極リード
4 上部絶縁板
5 正極板
6 負極板
7 セパレータ
8 有底電池ケース
9 負極リード
10 下部絶縁

Claims (2)

  1. 正極活物質としてリチウム含有ニッケル複合酸化物、結着剤、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースとを分散媒に混練分散させた正極板用ペーストを、集電体に塗着、熱処理、圧延してなるリチウム二次電池用正極板の製造方法において、前記リチウム含有ニッケル複合酸化物、前記結着剤、および前記カルボキシメチルセルロースとを前記分散媒に混練分散して正極板用ペーストを作製する工程と、前記正極板用ペーストを前記集電体に塗着し正極板前駆体にする工程と、前記正極板前駆体を熱処理する工程と、前記正極板前駆体を熱処理した後、圧延する工程とからなるリチウム二次電池用正極板の製造方法であって、前記結着剤はアクリル系ゴム質共重合体フッ素系樹脂からなり、前記アクリル系ゴム質共重合体は200〜400℃で接着力が低下する結着剤であり、前記フッ素系樹脂は200〜400℃で接着力が低下しない結着剤であり、前記熱処理の温度は200〜400℃であるリチウム二次電池用正極板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製法方法による正極、炭素材料を活物質とする負極、セパレータおよびリチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液とを備えたリチウム二次電池。
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