JP4876352B2 - 液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を低減した液晶組成物及び液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の中でも、特にスーパーツイステッドネマチック液晶表示素子(以下、STN-LCDと言う。)は、幅広い用途の表示装置として使用されており、用途展開に伴い様々な特性が要求されている。携帯用表示端末に対しては、多くの情報量を表示でき、広い使用温度域で良好な表示特性を示すSTN-LCDが求められている。これに対し、使用温度の影響を、電気的な温度補償回路を駆動回路に付加することにより軽減する方法が行われている。しかし、余分な回路を付加するため、プロセスの複雑化等による収率の低減を招いていた。このため、使用温度範囲で液晶表示素子の閾値電圧が使用温度により影響を受けにくいことが求められている。更に、多くの情報量を表示するための時分割駆動において、時分割数及び表示内容により変化する駆動電圧の周波数範囲でSTN-LCDの閾値電圧が変動しないことが要求されている。すなわち、使用温度範囲において、閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度の小さいSTN-LCDが求められている。これらの特性を達成できれば、戸外等の過酷な温度環境下でも、置かれた温度に依存しない良好な表示を得ることが可能となる。これに対して、例えば、特開平4-296387号、特開平4-300681号、特開平7-209624号、特開平9-157654号、WO89/08102、WO91/08184などの改善方法が提案されているが、これらの改善方法によるSTN-LCDの閾値電圧の温度依存度や周波数依存度の改善の程度はまだ十分とは言えず、現在もこれらを改善した液晶化合物、液晶組成物あるいはSTN-LCDの提案が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、使用温度範囲における閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に低減した液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次に述べる液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子を提供する。
【0005】
すなわち、本発明は、第一成分として、一般式(I)
【化16】
【0006】
(式中、R1は炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基、X1は水素原子またはフッ素原子を表す。) で表される化合物を1種もしくは2種以上を含有し、第二成分として、
【0007】
一般式(II)
【化17】
(式中、R2はフッ素置換されていても良い炭素原子数1〜16のアルキル基またはアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基またはアルコキシアルキル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基を表す。) 及び
【0008】
一般式(III)
【化18】
(式中、R3は前記R2と同じ意味を有する。) で表される化合物群から選ばれる化合物を1種もしくは2種以上を含有し、なおかつネマチック相-等方性液体相転移温度が75〜130℃であり、スメクチック相または固体相-ネマチック相転移温度が-60〜-20℃であり、屈折率異方性(Δn)が0.07〜0.30の範囲であることを特徴とする液晶組成物であり、これを用いることを特徴とする条件式(i)
【0009】
【数3】
(但し、Vth(-20℃)は-20℃の温度下で周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される閾値電圧、Vth(50℃)は50℃の温度下で周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される前記液晶表示素子の閾値電圧を表す。)及び条件式(ii)
【0010】
【数4】
(但し、Vth(5000Hz)及びVth(100Hz)は、-20℃の温度下で周波数5000Hz及び100Hzの矩形波の電圧をそれぞれ印加して測定される前記液晶表示素子の閾値電圧をそれぞれ表す。)で表される閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度を満たす液晶表示素子である。
【0011】
閾値電圧の温度依存度は、前記条件式(i)の左辺で定義される。この値が3mVを越えると、低温領域では表示が薄くなり、高温領域では逆に表示が濃すぎて良好な表示品位が得られない。また、閾値電圧の周波数依存度は前記条件式(ii)の左辺で定義される。STN-LCDの駆動方式である時分割駆動では、時分割数や表示内容により印加される電圧の周波数が変化するため、閾値電圧の周波数依存度が0.3を越えると、表示内容による閾値電圧の変化が視認され表示にムラが生じる。
本発明の液晶組成物を用いたSTN-LCDの閾値電圧の温度依存度は3mV以下であり、かつ閾値電圧の周波数依存度は0.3以下となるため、本発明のSTN-LCDは使用温度範囲で、ムラのない良好な表示品位を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
液晶組成物が含有する一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)と言う。)の式中R1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基が好ましく、コントラスを高くするためには式(p)または(q)
【0013】
【化19】
(構造式は右端で環に連結しているものとする。) で表されるアルケニル基が更に好ましく、式(q)で表されるアルケニルが特に好ましい。式中X1は、水素原子がより好ましい。
【0014】
化合物(I)の好ましい化合物は、一般式(I-a)
【化20】
【0015】
または一般式(I-b)
【化21】
(式中、R13は炭素原子数1〜16のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。) で表される化合物(以下、それぞれ化合物(I-a)、化合物(I-b)と言う。)である。液晶組成物中で、化合物(I)の含有率は5〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。また、その液晶組成物は化合物(I-a)及び化合物(I-b)から選ばれる化合物を1〜4種含有することが好ましく、1〜2種含有することが特に好ましい。
更に、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(II)及び化合物(III)と言う。)から成る群から選ばれる化合物の液晶組成物中における含有率は、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%がより好ましい。液晶組成物は、化合物(II)を含むこと、または、化合物(III)を含むことが好ましいが、化合物(III)を含むことが閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度の低減のためにはより好ましい。更に、化合物(II)と化合物(III)を同時に含有することが、閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度の低減のためには更に好ましい。式中R2及びR3は、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基がより好ましく、式(p)〜(t)
【0016】
【化22】
(構造式は右端で環に連結しているものとする。) で表されるアルケニル基が特に好ましい。更に、(r)または(s)で表されるアルケニル基がコントラストの改善を同時に図るためには、特に好ましい。
【0017】
本発明のSTN-LCDに使用する液晶組成物のネマチック相-等方性液体相転移温度(以下、Tniと言う。)は、閾値電圧の温度依存度を更に低減するためには高い方が望ましいが、Tniを高くし過ぎると応答速度が悪化するため、75℃以上130℃以下であることが好ましく、80℃以上120℃以下が更に好ましく、85℃以上110以下が特に好ましい。また、固体相またはスメクチック相-等方性液体相転移温度(以下、T-nと言う。)は、低い方が閾値電圧の温度依存度を改善されるために好ましく、-60℃以上-20℃以下が好ましく、-60℃以上-30℃以下が更に好ましい。屈折率異方性(Δn)は0.07〜0.30が好ましいが、0.08〜0.25が好ましく、0.12〜0.20がより好ましい。
【0018】
本発明で使用する液晶組成物は、好ましくは更に一般式(IV)
【化23】
(式中、R4、R5は、R2と同じ意味を表し、Aは1,4-フェニレン基またはトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、nは0または1を表す。) で表される化合物(以下、化合物(IV)と言う。)を含有する。これにより、閾値電圧の周波数依存度を改善することができる。液晶組成物は化合物(IV)を1〜5種含有することが好ましく、その含有率は5〜40質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
【0019】
化合物(IV)の好ましい例は、一般式(IV-a)
【化24】
(式中、R7、R8はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。) で表される化合物(以下、化合物(IV-a)と言う。)である。その液晶組成物中における含有率は、5〜40質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
【0020】
また、化合物(IV)の別の好ましい例は、一般式 (IV-b)
【化25】
(式中、R9、R10はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。) で表される化合物(以下、化合物(IV-b)と言う。)である。その液晶組成物中における含有率は5〜40質量%が好ましく、10〜40質量%が更に好ましい。化合物(IV-a)または化合物(IV-b)を使用することは、閾値電圧の周波数依存度の改善に対し、より効果的である。また、化合物(IV-b)は、液晶温度範囲の拡大にも効果がある。また、化合物(IV-a)及び化合物(IV-b)の両方を使用することが更に好ましい。
【0021】
本発明で使用する液晶組成物は、好ましくは一般式(V)
【化26】
(式中、R6は炭素原子数1〜8のアルキル基または2〜8のアルケニル基を表し、Gは1,4-フェニレン基またはトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、X3はシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基を表し、X2、X4はそれぞれ独立的に水素原子またはフッ素原子を表す。) で表される化合物(以下、化合物(V)と言う。)を含有する。これにより閾値電圧の温度依存度を更に改善することができる。化合物(V)の液晶組成物中における含有率は5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
【0022】
化合物(V)の好ましい例は、一般式(V-a)
【化27】
(式中、R11は炭素原子数1〜16のアルキル基または炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。) で表される化合物(以下、化合物(V-a)と言う。)である。その液晶組成物中における含有率は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
【0023】
また、化合物(V)の別の好ましい例は、一般式(V-b)
【化28】
(式中、R12は炭素原子数1〜16のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。) で表される化合物(以下、化合物(V-b)と言う。)である。その液晶組成物中における含有率量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。化合物(V-a)または化合物(V-b)を使用することは、閾値電圧の温度依存度の改善に対し、より効果的である。
また、化合物(IV)と化合物(V)の両方を同時に含有することが特に好ましい。
本発明で使用される特に好ましい液晶組成物は、化合物(I-a)を5〜40質量%と、化合物(II-a)を5〜40質量%と、化合物(IV-b)を5〜40質量%とを含有することを特徴とする。本発明で使用される別の特に好ましい液晶材料は、化合物(I-a)を5〜40質量%と、化合物(III-a)を5〜40質量%と、化合物(IV-b)を5〜40質量%とを含有することを特徴とする。これらの液晶組成物は、STN-LCDの閾値電圧の温度依存度を更に低減し、同時に閾値電圧の駆動周波数依存度をも更に低減するために好ましい。
【0024】
本発明に使用する液晶組成物は、上記化合物(I)〜(V)以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、カイラル剤などを使用することができる。
STN―LCDのツイスト角は180〜270°が好ましく、220〜260°の範囲がより好ましく、230〜250°の範囲が特に好ましい。
【0025】
本発明のSTN-LCDは、従来のSTN-LCDに比べ、閾値電圧の温度依存度が改善されている。このため、本発明のSTN-LCDは使用温度範囲である-20℃から50℃において、良好な表示品位を有する。具体的には、条件式(i)
【数5】
(但し、Vth(-20℃)は-20℃の温度下で周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される閾値電圧、Vth(50℃)は50℃の温度下で周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される閾値電圧を表す。)で表される閾値電圧の温度依存度を満たすことを特徴とするSTN-LCDである。
【0026】
更に、本発明のSTN-LCDは、従来のSTN-LCDに比べ、閾値電圧の周波数依存度が大幅に改善されている。具体的には、条件式(ii)
【数6】
(但し、Vth(5000Hz)及びVth(100Hz)は、-20℃の温度下で周波数5000Hz及び100Hzの矩形波の電圧をそれぞれ印加して測定される閾値電圧を表す。)で表される閾値電圧の周波数依存度を満たすことを特徴とする液晶表示素子である。このため、印加電圧の周波数が液晶表示に与える影響が小さくなり、ムラの少ないSTN-LCDを提供することが可能となる。一般に、時分割駆動の時分割数が大きくなると、印加電圧の周波数幅が大きくなる。このため、携帯電話などに求められている1/32〜1/480 Dutyの時分割駆動による高密度表示に、本発明のSTN-LCDは適している。また、本発明のSTN-LCDは1/64〜1/240 Duty駆動により好適である。
本発明のSTN-LCDは透過型、半透過型、反射型などのいずれであってもよく、表示型式により発明の効果が制限されることはない。
【0027】
本発明のSTN-LCDは、使用温度範囲における閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に低減し、携帯電話などに求められている1/32〜1/480 Duty、より好適には1/64〜1/240 Dutyの時分割駆動において非常に優れた表示特性を有する。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0029】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
Tni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
T-n :固体相またはスメクチック相-ネマチック相転移温度(℃)
η :20℃での粘度(mPa・s)
Δn :25℃での屈折率異方性
Vth :セル厚d(μm)のSTN液晶表示素子(STN-LCD)を構成したときの25℃での閾値電圧(V)。印加駆動波形は100Hz矩形波。セル厚d(μm)は、Δn・d=0.90 の関係式により決定。(Vthは、透過率が90%のときの駆動電圧である。)
Vsat :セル厚d(μm)のSTN-LCDを構成した時の25℃での飽和電圧(V)。印加駆動波形は100Hz矩形波。セル厚d(μm)は、Δn・d=0.90 の関係式により決定。(Vsatは、透過率が10%のときの駆動電圧である。)
γ :25℃における急峻性 γ=Vsat/Vth
τ :STN-LCDに注入したときの25℃における応答速度(msec)
【0030】
【数7】
【数8】
【数9】
(但し、Vth(-20℃)、Vth(25℃)及びVth(50℃)は、STN-LCDを-20℃、25℃及び50℃の温度において、周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定されるSTN-LCDの閾値電圧を表す。)
【0031】
【数10】
(但し、Vth(5000Hz)及びVth(100Hz)は、STN-LCDを-20℃の温度において、周波数500Hz及び100Hzの矩形波の電圧をそれぞれ印加して測定されるSTN-LCDの閾値電圧を表す。)
STN-LCDの作製は以下のように行った。ネマチック液晶組成物にカイラル物質「S-811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製し、対向する平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成したツイスト角240°のSTN-LCDに注入した。なお、カイラル物質はカイラル物質の添加による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセル厚dが、d/P=0.50となるように添加した。
【0032】
化合物の記載に下記の略号を使用する。
【化29】
【0033】
例えば、以下に表すように略号を用いる。
【化30】
【0034】
(比較例1、比較例2、比較例3、実施例1及び実施例2)
液晶組成物 No.1(実施例1)、液晶組成物 No.2(実施例2)、液晶組成物 M1(比較例1)、液晶組成物 M2(比較例2)及び液晶組成物 M3(比較例3)を調製した。また、これらの液晶組成物を使用したSTN-LCDを作製した。表1には、これらの液晶組成物の組成比と液晶組成物を使用したSTN-LCDの特性測定値を示す。
【表1】
【0035】
液晶組成物 M1(比較例1)95%に化合物(I)である3-Ph1-VO-Ph3-CNを5%添加することにより液晶組成物 M2(比較例2)を作製し、液晶組成物 M1(比較例1)95%に化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNを5%添加することにより液晶組成物 M3(比較例3)を作製し、液晶組成物 M1(比較例1)90%に化合物(I)である3-Ph1-VO-Ph3-CN及び化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNを5%ずつ添加することにより液晶組成物 No.1(実施例1)を作製し、液晶組成物 No.1に更に化合物(V)である0d1-Cy-Cy-Ph1-Fを添加した液晶組成物No.2(実施例2)を作製した。その結果、実施例1及び実施例2のSTN-LCDは、閾値電圧の温度依存度が改善されていることがわかる。また、実施例1及び実施例2のSTN-LCDの閾値電圧の周波数依存度も比較例1、比較例2及び比較例3と比較して、大幅に改善されている。
【0036】
(比較例1、比較例2、比較例4、実施例3及び実施例4)
液晶組成物 No.3 (実施例3)及び液晶組成物No.4(実施例4)を調製し、これらの液晶組成物を使用したSTN-LCDを作製した。表2には、これらの液晶組成物の組成比と液晶組成物を使用したSTN-LCDの特性測定値を示す。
比較のために、比較例1、比較例2及び比較例4も表2に示す。
【表2】
【0037】
液晶組成物 M1(比較例1)95%に、化合物(II)である1d1-Cy-Ph1-CNを5%添加することにより液晶組成物 M4(比較例4)を作製し、液晶組成物 M190%に化合物(I)である3-Ph1-VO-Ph3-CN及び化合物(II)である1d1-Cy-Ph1-CNを5%ずつ添加することにより液晶組成物 No.3(実施例3)を作製し、さらに液晶組成物No.3に化合物(V)である0d1-Cy-Cy-Ph1-Fを添加した液晶組成物No.4(実施例4)を作製した。
その結果、実施例3及び実施例4のSTN-LCDは、閾値電圧の温度依存度に大きな改善がみられた。実施例3及び実施例4のSTN-LCDの閾値電圧の周波数依存度も比較例1、比較例2及び比較例4のSTN-LCDと比較して大幅な改善がみられた。
【0038】
(実施例5、実施例6、比較例5)
液晶組成物 No.5(実施例5)、液晶組成物 No.6(実施例6)及び液晶組成物 M5(比較例5)を調製し、これらの液晶組成物を使用したSTN-LCDを作製した。表3には、これらの液晶組成物の組成比と液晶組成物を使用したSTN-LCDの特性測定値を示す。
【表3】
【0039】
液晶組成物 M5(比較例5)中の4-Ph-VO-Ph1-CNを化合物(I)である3-Ph1-VO-Ph3-CNと化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNに置換することにより液晶組成物 No.5(実施例5)を作製し、液晶組成物 M5(比較例5)中の4-Ph-VO-Ph1-CN及び3-Cy-Ph-CNを化合物(I)である3-Ph1-VO-Ph3-CN及び5-Ph3-VO-Ph3-CN、化合物(II)である1d1-Cy-Ph1-CN及び化合物(V)である0d1-Cy-Cy-Ph1-Fに置換することにより液晶組成物No.6(実施例6)を作製した。その結果、実施例5及び実施例6のSTN-LCD閾値電圧の温度依存度が驚くべき改善をされていることがわかった。また、閾値電圧の周波数依存度も液晶組成物 M5から大きく改善されていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に改善することを特徴とする液晶組成物を提供することにより、使用温度範囲で表示品位が大幅に改善されたSTN-LCDを得ることができる。したがって、本発明のSTN-LCDは使用温度範囲で表示ムラの少ない良好な表示品位を有する。
Claims (13)
- 一般式(I)から選ばれる化合物の含有率が5〜40質量%の範囲であり、なおかつ一般式(II)及び(III)で表される化合物群から選ばれる化合物の含有率が5〜40質量%であることを特徴とする請求項1記載の液晶組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液晶組成物を用いたツイスト角が180〜270°であることを特徴とするスーパーツイステッドネマチック(STN)液晶表示素子。
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