JP4243929B2 - 液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に低減し、更に電気−光学特性が急峻であることを特徴とする液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の中でも、スーパーツイステッドネマチック液晶表示素子(以下、STN-LCDと言う。)は、幅広い用途の表示装置として使用されており、用途展開に伴い様々な特性が要求されている。携帯用表示端末に対しては、多くの情報量を表示でき、広い使用温度域で良好な表示特性を示すSTN-LCDが求められている。これに対して、電気的な温度補償回路を駆動回路に付加することにより、使用温度の影響を軽減する方法が行われている。しかし、余分な回路を付加するため、プロセスの複雑化等による収率の低減を招いていた。このため、使用温度範囲で液晶表示素子の閾値電圧が使用温度の影響を受けにくいことが求められている。更に、多くの情報量を表示するための時分割駆動において、時分割数及び表示内容による駆動電圧の周波数の変化によりSTN-LCDの閾値電圧が変動しないことが要求されている。すなわち、使用温度範囲において、閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度が同時に小さいSTN-LCDが求められている。これらの特性を達成できれば、戸外等の過酷な温度環境下でも、置かれた環境温度に依存しない良好な表示を得ることが可能となる。これに対して、例えば、特開平4-296387号公報、特開平4-300681号公報、特開平7-209624号公報、特開平9-157654号公報、WO89/08102、WO91/08184などの改善方法が提案されている。また、特開2000-96059号公報では周波数依存度の改善方法が提案されている。しかし、これらの改善方法によるSTN-LCDの閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に改善する程度はまだ十分とは言えず、現在もこれらを改善した高時分割駆動が可能な液晶化合物、液晶組成物あるいはSTN-LCDの提案が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、使用温度範囲における閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に低減した、高時分割駆動が可能な急峻な電気−光学特性を有する液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、一般式(I)及び一般式(II)を同時に使用することで、閾値電圧の温度依存性、周波数依存性及び電気−光学特性の急峻性が驚くべきほど改善されるとの知見に基づき本発明に至った。
【0005】
すなわち、本発明は、第一成分として、一般式(I)
【0006】
【化11】
【0007】
(式中、n及びrはそれぞれ独立して0〜10を表す。)で表される化合物を1種又は2種以上を含有し、第二成分として、一般式(II)
【0008】
【化12】
【0009】
(式中、m及びsはそれぞれ独立して0〜10を表す。)で表される化合物を1種又は2種以上を含有し、なおかつネマチック相-等方性液体相転移温度が75〜130℃の範囲であり、スメクチック相又は固体相-ネマチック相転移温度が-60〜-20℃の範囲であり、屈折率異方性(Δn)が0.07〜0.30の範囲である液晶組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(一般式(I)で表される化合物)
一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)と言う。)は、rが0又は2であることが電気-光学特性の急峻性γ(γ=Vth/Vsat)及び応答速度τの点から好ましく、特にrが0であることが好ましい。更に具体的には、式(I-a)〜(I-d)
【0011】
【化13】
【0012】
で表される化合物が好ましい。液晶組成物中で、化合物(I)の含有率は5〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。更に具体的には、式(I-a)又は式(I-b)で表される化合物を10〜20質量%含有することが好ましい。特に、式(I-a)で表される化合物を10〜20質量%含有することが好ましい。
【0013】
また、液晶組成物は化合物(I)を2〜4種含有することがより好ましく、2種含有することが特に好ましい。2種含有する場合には、rが0である化合物(I)を2種含有する、又はrが0である化合物(I)とrが2である化合物(I)をそれぞれ1種含有することが好ましく、rが0である化合物(I)を2種含有することが特に好ましい。更に具体的には、式(I-a)と式(I-b)で表される化合物を含有することが好ましい。式(I-a)又は(I-b)で表される化合物を含有する液晶組成物は、電気-光学特性の急峻性γの改善、応答速度τの高速化に効果的である。
(一般式(II)で表される化合物)
一般式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)と言う。)は、rが0又は2であることが電気-光学特性の急峻性γ及び応答速度τの点から好ましく、特にrが0であることが好ましい。更に具体的には、化合物(II)として、式(II-a)〜(II-d)
【0014】
【化14】
【0015】
で表される化合物が好ましい。化合物(II)の液晶組成物中における含有率は、5〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。更に具体的には、式(II-a)又は式(II-b)で表される化合物を5〜20質量%含有することが好ましい。特に、式(II-a)で表される化合物を5〜20質量%含有することが好ましい。
【0016】
また、液晶組成物は化合物(II)を2〜4種含有することがより好ましく、2種含有することが特に好ましい。2種含有する場合には、rが0である化合物(I)を2種含有する、又はrが0である化合物(II)とrが2である化合物(II)をそれぞれ1種含有することが好ましく、rが0の化合物(II)を2種含有することが特に好ましい。更に具体的には、式(II-a)と式(II-b)で表される化合物を同時に含有することが好ましい。
【0017】
式(II-a)又は(II-b)で表される化合物を含有する液晶組成物は、応答速度τの高速化、急峻性γの改善、すなわち、コントラストCRを改善することに効果的である。
(液晶組成物の液晶相温度範囲など)
本発明の液晶表示素子に使用する液晶組成物のネマチック相−等方性液体相転移温度(以下、Tniと言う。)は、閾値電圧の温度依存度を更に低減するためには高い方が望ましいが、Tniを高くし過ぎると応答速度が悪化するため、80℃〜120℃であることが好ましく、85℃〜110℃が更に好ましい。また、固体相又はスメクチック相-等方性液体相転移温度(以下、T-nと言う。)は、低い方が閾値電圧の温度依存度を改善されるために好ましく、-30℃以下が更に好ましい。屈折率異方性(Δn)は0.08〜0.25が好ましく、0.12〜0.20が特に好ましい。
(化合物(I)と化合物(II)の組み合せ)
化合物(I)と化合物(II)の組み合せは、(I-a)又は(I-b)で表される化合物と(II-b)又は(II-b)で表される化合物との組み合せが好ましく、(I-a)と(II-a)、(I-a)と(II-b)、及び(I-b)と(II-a)で表される化合物の組み合せが好ましい。特に(I-a)と(II-a)で表される化合物の組み合せが好ましい。
【0018】
本発明の液晶組成物は、一般式(III)
【0019】
【化15】
【0020】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基を表し、Aは1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、qは0又は1を表す。)で表される化合物(以下、化合物(III)と言う。)を含有することが好ましく、化合物(III)を含有することで、閾値電圧の周波数依存度をより改善することができる。この液晶組成物は、化合物(III)を1種又は2種以上を含有するが、1〜8種含有することが好ましく、1〜4種含有することがより好ましい。また、その含有量は10〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
【0021】
化合物(III)の好ましい例は、一般式(III-a)
【0022】
【化16】
【0023】
(式中、R3及びR4は、R1と同じ意味を有する。)で表される化合物(以下、化合物(III-a)と言う。)である。
【0024】
また、化合物(III)の別の好ましい例は、一般式(III-b)
【0025】
【化17】
【0026】
(式中、R5及びR6は、R1と同じ意味を有する。)で表される化合物(以下、化合物(III-b)と言う。)である。
化合物(III-a)又は化合物(III-b)を使用することは、閾値電圧の周波数依存度の改善に対してより効果的である。特に、化合物(III-b)は液晶温度範囲の拡大にも効果がある。なお、化合物(III-a)及び化合物(III-b)の両方を同時に使用することが更に好ましい。
【0027】
R1、R2、R3、R4及びR5は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが電気-光学特性の改善のためには特に好ましい。
より具体的には、アルケニル基は式(a)〜(e)の構造がさらに好ましく、
【0028】
【化18】
【0029】
(構造式は右端で環に連結しているものとする。)その中でも(c)、(d)が特に好ましい。
【0030】
更に、本発明の液晶組成物は、一般式(IV)
【0031】
【化19】
【0032】
(式中、R7は炭素原子数1〜8のアルキル基又は2〜8のアルケニル基を表し、Bは1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、X2はシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、X1及びX3はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表す。)で表される化合物(以下、化合物(IV)と言う。)を含有することが好ましく、化合物(IV)を含有することで、閾値電圧の温度依存度をより改善することができる。液晶組成物中における化合物(IV)の含有率は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
【0033】
化合物(IV)の好ましい例は、一般式(IV-a)
【0034】
【化20】
【0035】
(式中、R8はR7と同じ意味を有する。)で表される化合物(以下、化合物(IV-a)と言う。)である。
【0036】
また、化合物(IV)の別の好ましい例は、一般式(IV-b)
【0037】
【化21】
【0038】
(式中、R9はR7と同じ意味を有する。)で表される化合物(以下、化合物(IV-b)と言う。)である。なお、化合物(IV-a)又は化合物(IV-b)を使用することは、閾値電圧の温度依存度をより改善できる。
【0039】
化合物(I)及び化合物(II)を含有する本発明の液晶組成物は、化合物(III)と化合物(IV)の両方を同時に含有することが、より優れた本発明の効果を得るために特に好ましい。
【0040】
本発明の効果を得るために、特に好ましい液晶組成物(以下、液晶組成物Pと言う。)は、化合物(I-a)を5〜30質量%と、化合物(II-a)を5〜30質量%と、化合物(III-b)を5〜30質量%と化合物(IV-b)を5〜30質量%とを含有する。この液晶組成物Pは、STN-LCDの閾値電圧の温度依存度を更に低減し、同時に閾値電圧の駆動周波数依存度をも更に低減し、優れた電気-学特性の急峻性γを有するためコントラストの改善するために好ましく、更に、応答速度τの高速化に対しても優れた効果を有する。このような液晶組成物を用いた液晶表示素子は、閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度が低減されており、電流値も抑制されているという優れた特徴を有する。このため、戸外などの過酷な温度環境下においても優れた表示特性を維持することができ、高信頼性の液晶表示素子を提供することができる。
【0041】
本発明に使用する液晶組成物は、上記化合物(I)〜(IV)以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、カイラル剤などを使用することができる。
【0042】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、スーパーツイステッドネマチック(STN)液晶表示素子にした場合、ツイスト角は180°〜270°が好ましく、220°〜260°がより好ましく、230°〜250°が特に好ましい。
【0043】
本発明のSTN-LCDは、従来のSTN-LCDと比較して閾値電圧の温度依存度が改善されている。このため、本発明のSTN-LCDは使用温度範囲である-20℃から50℃において、良好な表示特性を有する。具体的には、条件式(i)
【0044】
【数3】
【0045】
(但し、Vth(-20℃)は-20℃の温度下で周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される閾値電圧、Vth(50℃)は50℃の温度下で周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される閾値電圧を表す。)で表される閾値電圧の温度依存度を満たすSTN-LCDを作製することができる。
【0046】
更に、本発明のSTN-LCDは、従来のSTN-LCDと比較して、閾値電圧の周波数依存度が大幅に改善されている。具体的には、条件式(ii)
【0047】
【数4】
【0048】
(但し、Vth(5000Hz)及びVth(100Hz)は、-20℃の温度下で周波数5000Hz及び100Hzの矩形波の電圧をそれぞれ印加して測定される閾値電圧を表す。)で表される閾値電圧の周波数依存度を満たす液晶表示素子を作製することができる。
STN-LCDの駆動方式である時分割駆動では、時分割数や表示内容により印加される電圧の周波数が変化するため、閾値電圧の周波数依存度が0.3を越えると、表示内容による閾値電圧の変化が視認され表示にムラが生じる。また、本発明の液晶組成物を用いたSTN-LCDの閾値電圧の温度依存度は3mV以下であり、かつ閾値電圧の周波数依存度は0.3以下となるため、本発明のSTN-LCDは使用温度範囲で、ムラのない良好な表示品位を得ることができる。
【0049】
したがって、本発明のSTN-LCDは、閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に低減し、携帯電話などに求められている1/32〜1/480Duty、より好適には1/64〜1/240Dutyの時分割駆動において非常に優れた表示特性を有しており、なおかつ高信頼性であるという特徴を有している。
【0050】
本発明のSTN-LCDは透過型、半透過型、反射型などのいずれの表示方式であってもよい。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0052】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
Tni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
T-n :固体相またはスメクチック相−ネマチック相転移温度(℃)
η :20℃での粘度(mPa・s)
Δn :25℃での屈折率異方性
Vth :セル厚d(μm)のSTN液晶表示素子(STN-LCD)を構成したときの25℃での閾値電圧(V)。印加駆動波形は100Hz矩形波。セル厚d(μm)は、Δn・d=0.90の関係式により決定。(Vthは、透過率が90%のときの駆動電圧である。)
Vsat :セル厚d(μm)のSTN-LCDを構成した時の25℃での飽和電圧(V)。印加駆動波形は100Hz矩形波。セル厚d(μm)は、Δn・d=0.90の関係式により決定。(Vsatは、透過率が10%のときの駆動電圧である。)
γ :25℃における急峻性 γ=Vsat/Vth
τ :STN-LCDに注入したときの25℃における応答速度(msec)
【0053】
【数5】
【0054】
【数6】
【0055】
【数7】
【0056】
(但し、Vth(-20℃)、Vth(25℃)及びVth(50℃)は、STN-LCDを-20℃、25℃及び50℃の温度において、周波数100Hzの矩形波の電圧を印加して測定される閾値電圧を表す。)
【0057】
【数8】
【0058】
(但し、Vth(5000Hz)及びVth(100Hz)は、STN-LCDを-20℃の温度において、周波数500Hz及び100Hzの矩形波の電圧をそれぞれ印加して測定される閾値電圧を表す。)
STN-LCDの作製は、以下のように行った。ネマチック液晶組成物にカイラル物質「S-811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製し、対向する平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成したツイスト角240°のSTN-LCDに注入した。なお、カイラル物質は、カイラル物質の添加による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセル厚dが、d/P=0.50となるように添加した。
【0059】
化合物の記載に下記の略号を使用する。
-末端の n(数字) : -CnH2n+1 ndm- : CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-1-
-T- : -C≡C- -ndm : -(CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-1)
-F : -F -On : -OCnH2n+1
-VO- : -COO- -CN : -C≡N
-Z- : -CH=N-N=CH-
【0060】
【化22】
【0061】
例えば、以下に表すように略号を用いる。
【0062】
【化23】
【0063】
(実施例1、実施例2、比較例1、比較例2及び比較例3)
液晶組成物No.1(実施例1)、液晶組成物No.2(実施例2)、液晶組成物M1(比較例1)、液晶組成物M2(比較例2)及び液晶組成物M3(比較例3)を調製した。また、これらの液晶組成物を使用したSTN-LCDを作製した。表1には、これらの液晶組成物の組成比と液晶組成物を使用したSTN-LCDの特性測定値を示す。
【0064】
【表1】
【0065】
液晶組成物M1(比較例1)95%に化合物(I)である0d1-Cy-Ph1-CNを5%添加することにより液晶組成物M2(比較例2)を作製し、液晶組成物M1(比較例1)95%に化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNを5%添加することにより液晶組成物M3(比較例3)を作製し、液晶組成物M1(比較例1)90%に化合物(I)である0d1-Cy-Ph1-CN及び化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNをそれぞれ5%ずつ添加することにより液晶組成物No.1(実施例1)を作製し、液晶組成物No.1に更に化合物(V)である0d1-Cy-Cy-Ph1-Fを添加した液晶組成物No.2(実施例2)を作製した。その結果、実施例1及び実施例2のSTN-LCDは、比較例1、比較例2及び比較例3と比較して、閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度が、大幅に改善されている。
【0066】
(実施例3、実施例4、比較例1、比較例4及び比較例3)
液晶組成物No.3(実施例3)、液晶組成物No.4(実施例4)、液晶組成物M1(比較例1)、液晶組成物M4(比較例4)及び液晶組成物M3(比較例3)を調製した。また、これらの液晶組成物を使用したSTN-LCDを作製した。表2には、これらの液晶組成物の組成比と液晶組成物を使用したSTN-LCDの特性測定値を示す。
【0067】
【表2】
【0068】
液晶組成物M1(比較例1)95%に化合物(I)である1d1-Cy-Ph1-CNを5%添加することにより液晶組成物M4(比較例4)を作製し、液晶組成物M1(比較例1)95%に化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNを5%添加することにより液晶組成物M3(比較例3)を作製し、液晶組成物M1(比較例1)90%に化合物(I)である1d1-Cy-Ph1-CN及び化合物(II)である0d1-Cy-Ph3-CNをそれぞれ5%ずつ添加することにより液晶組成物No.3(実施例3)を作製し、液晶組成物No.3に更に化合物(V)である0d1-Cy-Cy-Ph1-Fを添加した液晶組成物No.4(実施例4)を作製した。その結果、実施例3及び実施例4のSTN-LCDは、比較例1、比較例4及び比較例3と比較して、閾値電圧の温度依存度及び周波数依存度が大幅に改善されている。
【0069】
【表3】
【0070】
表3に示した組成比の液晶組成物No.5(実施例5)と比較のために、液晶組成物M5(比較例5)[特開2000-96059号公報記載、例1:液晶混合物A-1]を作製した。STN-LCDの特性測定値より、比較例5と比較して、実施例5の液晶組成物を使用したSTN-LCDは、急峻性γが大幅に改善されており、同時に、閾値電圧の温度依存度と周波数依存度が改善されていることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明は、閾値電圧の温度依存度と周波数依存度を同時に改善することを特徴とする液晶組成物を提供することにより、使用温度範囲で表示品位が大幅に改善されたSTN-LCDを得ることができる。したがって、本発明のSTN-LCDは使用温度範囲で表示ムラの少ない良好な表示品位を有する。
Claims (10)
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
- ツイスト角が180〜270°である請求項7記載の液晶表示素子。
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