JP4874271B2 - 鋼管矢板とその製造方法 - Google Patents
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Description
母管に爪を溶接すると、当該溶接部が冷却する際に熱収縮のため、歪が発生し、鋼管が曲がったり、径が円周方向でいびつになり、真円度が悪化したりするという問題が発生していた。
管端部が水平でないと、例えば鋼管矢板同士を長手方向に接合する場合、管端同士を溶接する際に溶接面の間隔が周方向の位置によって異なり、鋼管矢板管端部の全周にわたって均一な溶接品質が得られなくなる。
あるいは、最近導入されつつある機械継手を鋼管矢板の管端部に溶接接合する場合にも同様に溶接の品質が悪化したり、溶接に長時間を要したり、機械継手が曲がって接合されたりするという問題が発生していた。加えて、爪溶接後に歪付与部材を取り外すことから、その作業が面倒であり、非能率的であった。
また、本発明では、上記鋼管矢板において、前記リブの前記鋼管矢板の管端側端部の位置が、前記爪の前記鋼管矢板の管端側端部の位置よりも管端側に配置されていることを特徴とする。加えて、前記鋼管矢板の管端部に更に機械継手を接合したことを特徴とする。
一方、本発明に係る鋼管矢板の製造方法は、上記に記載した鋼管矢板の製造方法であって、前記リブを鋼管矢板の原管となる鋼管の管端部に取り付け、次に、前記原管の管端部内周面における前記リブの接合位置方向に前記爪を仮付け溶接し、その後、前記爪を本溶接することを特徴とする。この製造過程では、爪の仮付け溶接の前に、リブを所定部位に取り付ける場合である。
また、本発明の鋼管矢板の製造方法は、前記爪を鋼管矢板の原管となる鋼管の所定の位置に仮付け溶接し、次いで前記爪が仮付け溶接された部位と少なくともその90°の方向もしくは45°の方向に位置する部位とを互いに固定するようにリブを接合し、その後、前記爪を本溶接することを特徴とする。この製造過程では、爪の仮付け溶接の後に、リブを所定部位に取り付け、更に爪の本溶接を行う場合である。
さらに、上記の本発明の製造方法において、前記爪を仮付け溶接した後に、前記鋼管矢板の母材である鋼管の長手方向中央部の爪を接合する方向、あるいは、その90°の方向の径を拡大することを特徴とする。
更に、本発明の上記したいずれかの鋼管矢板の製造方法においては、前記管端部に機械継手を接合することも可能である。
1)リブの取り付け
まず、図1及び図2に示すように、本発明の特徴である固定リブ3を、爪(継手)2を仮付け溶接する予定の個所である、鋼管矢板1の管端部内側の所定の位置に取り付ける。取り付ける際には、爪2の本溶接の際に最も熱収縮を受ける爪を取り付けた部位、即ち、円周方向のある爪2の位置を0°とすると、0°と180°の位置である。それと最も熱収縮の影響を受けない90°と270°の位置とを互いに一体的に固定するリブ3を溶接などの接合方法で完全に一体的に接合する。リブ3は、図示の例では、鋼管内部円に対し90°ずつ円周方向にずらした状態で接合されるため、鋼板を十字状に形成したものを使用することが好ましい。
なお、上記のように爪2を0°と180°の位置だけでなく、90°あるいは270°の位置にも接合する場合は、さらにその45°ずれた位置にも一体的に固定するリブ3を接合しても良い。
また、リブ3の鋼管矢板1の長手方向における取り付け位置は、できる限り管端部に近い方が良い。また、図1のように少なくとも爪2の端部位置よりもリブ3の端部位置が鋼管矢板1の端部側に配置することが好ましい。その理由は、少なくともリブの一部が最も熱収縮の影響を受け易い部位の変形を抑制することができるからである。
次に、仮付け溶接する爪2を鋼管矢板1の所定の位置に取り付ける。これは従来通りの方法で、熱影響がない程度に点付け溶接により爪2を所定の位置に固定する。爪2の数は、通常は対向する位置(0°、180°の位置)に2箇所、あるいは場合によって、更に90°あるいは270°の位置にも取り付ける場合もある(合計で3箇所あるいは4箇所となる)。
通常、前記のようにリブ3の取り付けを先に行い、その後に爪2の仮付けを行うが、爪2の本溶接を行う前であれば、最初に爪2を仮付けし、その後にリブ3を取り付けても良い。
爪取り付け位置の収縮力を予め緩和するために爪2の仮付け後、爪取り付け方向の径を予め拡径しておくことが望ましい。拡径することにより、爪2の本溶接時に爪の収縮により爪部の管長手方向の長さは本来の所定の長さに戻ることになり、熱収縮力が小さくなり収縮力を拘束しようとするリブ3にかかる負担が小さくなるからである。
しかし、場合によっては、例えば鋼管本体がスパイラル鋼管の場合、造管の条件によって残留応力が変化し、爪の90°方向の位置が長手方向に収縮するケースもあり、その場合は、90°方向に拡管する。
リブ3を取り付けた後、爪2を本溶接する。リブ3を図示のように熱収縮力に耐えることができる拘束力を発揮する部位に取り付けた後なので本溶接した後の収縮にも耐えて、管端の真円度や平面度が保たれることとなる。
爪2の本溶接の後、必要に応じて機械継手を取り付ける。機械継手は鋼管矢板や鋼管杭を軸方向に接続するための継手であり、溶接手段を用いずに接続しうるものである。例えば、一方の鋼管本体の管端部にボックス継手を、他方の鋼管本体の管端部にピン継手をそれぞれ溶接にて取付けておき、両継手をかん合することで接続する方式である。
本発明では上記の如くリブ3の働きにより鋼管矢板の管端部の平面度が保たれているので、機械継手と鋼管矢板とが均一の溶接条件で全周を溶接できるため、機械継手が均一な溶接品質で曲がることなく取り付けることができる。
本発明の鋼管矢板1は、リブ3を取り付けた後はそのままの状態で使用することができる。その理由は、当該鋼管矢板を例えば土中に埋める場合、リブ3自体が十分な空間を有しているので、埋設作業時に土がスムーズに鋼管矢板の中を通るので、鋼管矢板はスムーズに土中に埋設されるからである。
実際に本発明を適用した例とそれ以外の比較例とを対比しながら本発明の効果を説明する。
図1及び図2の定義に従い、表1に鋼管矢板の製造条件とその結果についてまとめた。ここで、真円度は、爪方向とその45°、90°、135°の径の最大値と最小値との差をあらわしている。また平面度は、管端に水平な基準板をあてた場合の管と板との隙間の最大値を記載している。また、aは鋼管矢板1の端部とリブ3の端部との距離、bはリブ3の端部と爪2と端との距離を示している。
本発明によって得た鋼管矢板では、真円度は、4〜10mmと小さく好ましい範囲に保たれているが、比較例では、14〜48mmと大きくなっており、真円度としては満足できないものが認められる。特に、原管(母管)の肉厚の薄い比較例1では、48mmと非常に大きく、好ましくない。
また、平面度については、本発明の鋼管矢板では、0.9〜2.2mmと小さく好ましい範囲に保たれているといえるが、比較例では、2.4〜3.0mmと大きくなっており、本発明のものに対して平面度でも劣っているといえる。
2‥爪(接続継手)
3‥リブ
Claims (7)
- 鋼管の長手方向外周上に、鋼管同士を接続するための溶接された爪を有する鋼管矢板において、前記鋼管矢板の管端部の内周部に、少なくとも爪が溶接された最も熱収縮の影響を受ける部位と、それ以外の熱収縮の影響を受けない部位とを互いに固定するリブを接合したことを特徴とする鋼管矢板。
- 前記リブの前記鋼管矢板の管端側端部の位置が、前記爪の前記鋼管矢板の管端側端部の位置よりも管端側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の鋼管矢板。
- 前記鋼管矢板の管端部に更に機械継手を接合したことを特徴とする請求項1乃至2記載の鋼管矢板。
- 請求項1乃至2記載の鋼管矢板の製造方法であって、前記リブを鋼管矢板の原管となる鋼管の管端部に取り付け、次に、前記原管の管端部内周面における前記リブの接合位置方向に前記爪を仮付け溶接し、その後、前記爪を本溶接することを特徴とする鋼管矢板の製造方法。
- 請求項1乃至2記載の鋼管矢板の製造方法であって、前記爪を鋼管矢板の原管となる鋼管の所定の位置に仮付け溶接し、次いで前記爪が仮付け溶接された部位と少なくともその90°の方向もしくは45°の方向に位置する部位とを互いに固定するようにリブを接合し、その後、前記爪を本溶接することを特徴とする鋼管矢板の製造方法。
- 前記爪を仮付け溶接した後に、前記鋼管矢板の母材である鋼管の長手方向中央部の爪を接合する方向、あるいは、その90°の方向の径を拡大することを特徴とする請求項4乃至5記載の鋼管矢板の製造方法。
- 更に前記管端部に機械継手を接合することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の鋼管矢板の製造方法。
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