JP6305029B2 - 鋼管矢板基礎工法 - Google Patents
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つまり、図6(c)に示すように、閉合用の鋼管矢板本管P2を打設する位置の両側に既に打設されている鋼管矢板本管P1どうしの間隔Lが、計画(図6(a)参照)よりも広くなっている場合には、閉合用の鋼管矢板本管P2は、隣接鋼管矢板本管P1の矢板継手j1と噛み合う際に、閉合用の鋼管矢板本管P2の矢板継手j2どうしが拡径方向(離間する方向)に引っ張られて、その方向が長径となる楕円形に変形しながら設置される。
また、図6(b)に示すように、前記鋼管矢板本管P1どうしの間隔Lが、計画(図6(a)参照)よりも狭くなっている場合には、打設に伴って、閉合用の鋼管矢板本管P2は、隣接鋼管矢板本管P1の矢板継手j1から縮径方向の押圧力を受け、その方向が短径となる楕円形に変形しながら設置される。
従来の目違い調整は、連結する鋼管の下端部を、変形した下の鋼管の断面形状に合わせて変形させる方法で実施されていた。
また、このような連結作業は、鋼管どうしの連結手法として突き合わせ端部どうしを溶接によって連結する場合には適用できるものの、例えば、鋼管の端部にネジ嵌合式の鋼管継手を備えたものどうしを連結する手法においては、継手断面形状が真円形状を保持していることが必要条件となることから適用できず、鋼管どうしの連結手法によっては採用できない問題点もある。
前記鋼管矢板本管は、前記鋼管矢板本管どうしを上下に連結するための鋼管継手を有し、
前記閉合用の鋼管矢板本管は、縦に連設する複数の鋼管で構成すると共に、先行して建て込まれた鋼管の上端部に、次の鋼管の下端部を連結しながら、順次、建て込む方法で設置し、
上下に連結される鋼管の内の下方の鋼管は、予め、前記鋼管の内面と前記鋼管継手の内面とに跨って、上端部を他の部分より径方向に変形し難い状態に補強しておくところにある。
その結果、上下の鋼管どうしの連結手法に左右されず、鋼管どうしを迅速に効率よく連結できるようになる。
前記閉合用の鋼管矢板本管は、縦に連設する複数の鋼管で構成すると共に、先行して建て込まれた鋼管の上端部に、次の鋼管の下端部を連結しながら、順次、建て込む方法で設置し、
上下に連結される鋼管の内の下方の鋼管は、予め、前記鋼管の内空部に、管軸芯から放射状に複数の支持部材を設けることにより、上端部を他の部分より径方向に変形し難い状態に補強しておくところにある。
その結果、上下の鋼管どうしの連結手法に左右されず、鋼管どうしを迅速に効率よく連結できるようになる。
前記鋼管矢板本管は鋼管と鋼管継手とからなり、
前記矢板継手は隣合う前記矢板継手に対向して軸心方向にスリットが設けられ、
前記矢板継手のうち前記鋼管継手に接する部分が前記鋼管に接する部分より前記スリット幅を大きくしてあり、
前記閉合用の鋼管矢板本管の矢板継手と、径方向に隣接する設置済みの前記鋼管矢板本管の矢板継手とは、嵌合状態で隣接方向に沿って近接離間自在に構成しておくところにある。
従って、閉合用の鋼管矢板本管の各鋼管どうしを、変形の無い(又は、ほとんど無い)状態で連結しながら打設することができる。
その結果、上下の鋼管どうしの連結手法に左右されず、鋼管どうしを迅速に効率よく連結できるようになる。
図1は、本発明の鋼管矢板基礎工法の一実施形態を示しており、複数の鋼管矢板本管Pを、環状に打設することで、鋼管矢板基礎Kを形成する為の鋼管矢板基礎外郭1を形成している状況を示している。
鋼管矢板基礎外郭1は、先行して地盤に設置した鋼管矢板本管P1の矢板継手j1に、後から設置する鋼管矢板本管P1の矢板継手j1を嵌め合わせながら建て込んで鋼管矢板本管P1どうしを連結状態に設置し、順次、複数の鋼管矢板本管P1を環状配置となるように連設し、最後に閉合用の鋼管矢板本管P2を設置することで、環状の閉合構造が構成されている。
金属バンドR1は、鋼管2の筒軸芯方向に沿う寸法(バンド幅寸法)は、例えば、200〜500mm、鋼管2の径方向に沿う寸法(バンド厚み寸法)は、例えば、9mmや12mmに設定するのが好ましい。
この補強は、鋼管2どうしの連結の際に、先行して建て込まれた鋼管2が、径方向に変形する外力を受けた時に、少なくとも、鋼管2の上端側の鋼管継手3が変形するのを抑制するために実施してあり、変形を抑制することで、鋼管継手3の形状を維持して上下の鋼管2どうしの連結が手間取るのを防止でき、スムーズに鋼管2の打設を実施することができるようになる。
また、矢板継手jは、鋼管2の両側面にそれぞれ溶接によって取り付けてある。
断面「C」字形状の開口部7は全長にわたって設けられており、スリットSを構成している。図6に示すように、このスリットSを通して、隣接させる鋼管2の矢板継手jどうしが嵌合することで、互いの鋼管2は連結される。
尚、上下に連結する鋼管2の連結作業は、径方向に隣接する設置済みの鋼管矢板本管Pの上端部レベルで実施される。
また、図には示さないが、嵌合済みの矢板継手jどうしの内部には、両鋼管矢板本管Pどうしの良好な連結状態を維持できるように、例えば、セメントミルク等の充填材が充填される。
その結果、上下の鋼管2どうしの連結手法に左右されず、鋼管2どうしを迅速に効率よく連結できるようになる。
尚、鋼管2は、鋼管部2Aの端部に鋼管継手3を設けてあるものを例に挙げたが、鋼管継手3を設けずに、上下鋼管2どうしを溶接によって連結する場合でも同様の効果を叶えることができる。
第2の実施形態は、閉合用の鋼管矢板本管P2における各鋼管2どうしの連結高さレベルを、第1実施形態の場合と異ならせて実施するところに特徴がある。
この鋼管2どうしの連結高さレベルの考え方は、閉合用の鋼管矢板本管P2の打設時に、両側に既に打設されている鋼管矢板本管P1からの径方向に沿った外力を受けるとしても、その影響が出ない範囲まで上方に離間した位置を意味する。
具体的には、径方向に隣接する設置済みの鋼管矢板本管P1の上端部より、少なくとも1m程度高い位置に連結高さレベルを設定するのが好ましい。また、実用上は、2m程度高い位置で実施することが多いが、2mを超えた位置に連結高さレベルを設定するものであってもよい。
従って、連結位置の鋼管2の上端部は、変形の無い(又は、ほとんど無い)状態が維持されており、上下の鋼管2の連結時に、目違い調整を無くして(又は、最小限度にして)、効率よく作業を進めることができる。
その結果、上下の鋼管2どうしの連結手法に左右されず、鋼管2どうしを迅速に効率よく連結できるようになる。
また、第2実施形態においては、先に説明した金属バンドR1等を設けて鋼管2を補強しておく必要は無いが、補強してあれば、連結部分の変形をより確実に防止できる。
第3の実施形態は、閉合用の鋼管矢板本管P2、及び、閉合用の鋼管矢板本管P2に隣接する鋼管矢板本管P1のそれぞれの矢板継手jを、先の実施形態の場合と異ならせてあるところに特徴がある。
このように、スリット幅寸法hを大きく設定することで、矢板継手jどうしは、嵌合状態において隣接方向に沿って近接離間移動が許容される。
その結果、上下の鋼管2どうしの連結手法に左右されず、鋼管2どうしを迅速に効率よく連結できるようになる。
また、第3実施形態においては、先に説明した金属バンドR1等を設けて鋼管2を補強しておく必要は無いが、補強してあれば、連結部分の変形をより確実に防止できる。
また、前記スリット幅寸法hは、鋼管2の全長にわたって広幅のh1とすること以外にも、図9に示すように、鋼管2の上端部はh1とし、下端部側にかけて漸次h0に近づけるように設定してあってもよい。
以下に他の実施の形態を説明する。
第1の実施形態においは、閉合用の鋼管矢板本管P2の鋼管2の上端部を、他の鋼管矢板本管P1の鋼管2の対応部分より径方向に変形し難い状態に補強して構成した補強部Rとして、金属バンドR1を鋼管2の内周部に沿って設ける例を示したが、この実施例に限るものではない。
例えば、図10に示すように、鋼管継手3を使用する場合には、鋼管継手3の内周側に金属製の増圧部R2を一体に設け、鋼管継手3そのものの補強によって、径方向に変形し難くするものであってもよい。
また、図には示さないが、鋼管継手3そのものの材料強度や弾性係数を、従来品より高く設定したものを使用することによって、径方向に変形し難くするものであってもよい。
また、別の実施形態としては、図11に示すように、鋼管部2Aそのものを厚肉管R3で構成することで、鋼管2の上端部を径方向に変形し難くするものであってもよい。
また、別の実施形態としては、図12に示すように、鋼管2の内空部に、管軸芯から放射状に複数の支持部材R4を設けることで、鋼管2の上端部を径方向に変形し難くするものであってもよい。支持部材R4は、図に示すように、板面が鋼管2の長手方向に沿う状態に設けられた板状体に限らず、例えば、管径方向に沿った棒状体で構成してあってもよい。
鋼管2どうしの連結は、先の実施形態で説明した嵌合形式の鋼管継手3を使用することに限るものではなく、別の嵌合形式の鋼管継手3を用いるものであってもよい。
また、鋼管継手3を使用せずに、鋼管2のすべてを鋼管部2Aで構成して、鋼管部2Aどうしを溶接によって連結するようにしてもよい。
また、閉合用の鋼管矢板本管P2のみ、溶接による連結を行い、他の鋼管矢板本管P1は、鋼管継手3を用いて連結してあってもよい。
2 鋼管
j 矢板継手
j1 矢板継手
j2 矢板継手
P 鋼管矢板本管
P1 鋼管矢板本管
P2 閉合用の鋼管矢板本管
Claims (3)
- 先行して地盤に設置した鋼管矢板本管の矢板継手に、後から設置する鋼管矢板本管の矢板継手を嵌め合わせながら建て込んで前記鋼管矢板本管どうしを連結状態に設置し、順次、前記複数の鋼管矢板本管を環状配置となるように連設し、最後に閉合用の鋼管矢板本管を設置することで環状に閉合させた鋼管矢板基礎外郭を形成する鋼管矢板基礎工法であって、
前記鋼管矢板本管は、前記鋼管矢板本管どうしを上下に連結するための鋼管継手を有し、
前記閉合用の鋼管矢板本管は、縦に連設する複数の鋼管で構成すると共に、先行して建て込まれた鋼管の上端部に、次の鋼管の下端部を連結しながら、順次、建て込む方法で設置し、
上下に連結される鋼管の内の下方の鋼管は、予め、前記鋼管の内面と前記鋼管継手の内面とに跨って、上端部を他の部分より径方向に変形し難い状態に補強しておく鋼管矢板基礎工法。 - 先行して地盤に設置した鋼管矢板本管の矢板継手に、後から設置する鋼管矢板本管の矢板継手を嵌め合わせながら建て込んで前記鋼管矢板本管どうしを連結状態に設置し、順次、前記複数の鋼管矢板本管を環状配置となるように連設し、最後に閉合用の鋼管矢板本管を設置することで環状に閉合させた鋼管矢板基礎外郭を形成する鋼管矢板基礎工法であって、
前記閉合用の鋼管矢板本管は、縦に連設する複数の鋼管で構成すると共に、先行して建て込まれた鋼管の上端部に、次の鋼管の下端部を連結しながら、順次、建て込む方法で設置し、
上下に連結される鋼管の内の下方の鋼管は、予め、前記鋼管の内空部に、管軸芯から放射状に複数の支持部材を設けることにより、上端部を他の部分より径方向に変形し難い状態に補強しておく鋼管矢板基礎工法。 - 先行して地盤に設置した鋼管矢板本管の矢板継手に、後から設置する鋼管矢板本管の矢板継手を嵌め合わせながら建て込んで前記鋼管矢板本管どうしを連結状態に設置し、順次、前記複数の鋼管矢板本管を環状配置となるように連設し、最後に閉合用の鋼管矢板本管を設置することで環状に閉合させた鋼管矢板基礎外郭を形成する鋼管矢板基礎工法であって、
前記鋼管矢板本管は鋼管と鋼管継手とからなり、
前記矢板継手は隣合う前記矢板継手に対向して軸心方向にスリットが設けられ、
前記矢板継手のうち前記鋼管継手に接する部分が前記鋼管に接する部分より前記スリット幅を大きくしてあり、
前記閉合用の鋼管矢板本管の矢板継手と、径方向に隣接する設置済みの前記鋼管矢板本管の矢板継手とは、嵌合状態で隣接方向に沿って近接離間自在に構成しておく鋼管矢板基礎工法。
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