JP4873450B2 - 粉体吸引溶解ポンプ - Google Patents
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この装置は、液を送るポンプと、粉体を吸い込むためのエゼクター部と、エゼクター部に液を送る手段が必要である。この場合、エゼクター部ヘの送液のための装置(通常ポンプ)が必要であることから、結果として、液送りポンプが2基必要となり、さらに、粉体吸い込み部及びエゼクター部等からなる装置全体が大掛かりになり、広い場所や多くの動力を必要とするという問題があった。
また、配管やバルブ等が必要であり、食品を扱う上ではその洗浄に時間や手間がかかるという問題があった。
この粉体吸引溶解ポンプは、液体と粉体を混合する場合に、粉体の吸い込みと液体の送り及び両者の混合を1つのポンプ内で行うことができ、これにより、粉体の吸い込みと液体の送り及び両者の混合を1つのポンプ内で行い、省スペースと省エネルギーを実現するとともに、食品を扱う上でもその洗浄に時間や手間をかけることなく簡単に取り扱うことができる作用効果を奏するものであった。
しかしながら、この粉体吸引溶解ポンプは、流動化しにくい粉体、具体的には、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド、メチルセルロース等の増粘剤のほか、脱脂粉乳、カゼイン、デンプン等の粉体の場合、液体に接した粉体の表面のみが湿潤して不透水膜が生成され、凝固体(ダマ)となって、チャンバの粉体導入口の近傍域において滞留し、粉体を均一に液体中に懸濁、溶解することがしにくくなるとともに、処理に時間を要することとなって、生産物である溶解液の品質が低下するという問題があった。
さらに、仕切板のチャンバ側に備えた掻出翼によって、チャンバに連通する粉体導入口から導入される粉体を積極的に掻き出すことができ、流動化しにくい粉体でも、チャンバの粉体導入口の近傍域において粉体が滞留することを防止でき、処理に時間を要することがなく、粉体をチャンバに液体導入口から供給される液体中に均一に懸濁、溶解することができることと相俟って、生産物である溶解液の品質を向上することができる。
これにより、粉体の吸い込みと液体の送り及び両者の混合を1つのポンプ内で行い、省スペースと省エネルギーを実現するとともに、例えば、食品を扱う上でもその洗浄に時間や手間をかけることなく簡単に取り扱うことができる。
この粉体吸引溶解ポンプは、円筒状ケーシング1の内部に、攪拌翼2を備えたロータ3を同心状に配設し、攪拌翼2の回転により、ロータ3の前方に設けた液体導入口4から液体を導入するもので、ケーシング1の後方には、ロータ3を回転させるモータMが配設されている。
そして、この粉体吸引溶解ポンプは、攪拌翼2をロータ3の外周部に突設し、攪拌翼2の内側(中心側)にスリットSを有する筒状のステータ5を配設するとともに、ロータ3にステータ5の内側(中心側)を液体流路7とチャンバ8とに区画する仕切板9を配設し、仕切板9のチャンバ8側に、チャンバ8に連通する粉体導入口10から導入される粉体を掻き出す掻出翼6を配設するようにしている。
攪拌翼2の内側(中心側)には、前面ケーシング12に固定されたステータ5が位置するようにしている。
ロータ3には、図7に示すように、ステータ5の内側(中心側)に、チャンバ8を区画形成する先端部9aを漏斗状に形成した仕切板9を、所定の間隔をあけて、固定することにより、ロータ3と共に回転するようにしている。
このように、ステータ5のスリットS(S1、S2)を、液体流路7側とチャンバ側とで異なる形状に形成することにより、液体と粉体の量的な調整をすることができるようにしている。
この掻出翼6は、仕切板9に複数個を等間隔(特に限定されるものではないが、本実施例においては、4個を90゜間隔)に、先端部に引き込み方向に傾斜角θ1を、基端部に放射方向に傾斜角θ2を有するように配設するようにしている。
そして、この掻出翼6は、チャンバ8内において仕切板9と前面ケーシング12とによって区画、形成された周溝状の粉体導入溝16に挿入されて、仕切板9を介して、粉体導入溝16内を高速で旋回しながら、粉体導入溝16に導入された粉体(粉体と共に導入された流体)を連続的にすくい取るようにしながらチャンバ8内に引き込むとともに、基端部で放射方向に拡散させる機能を有している。
このように、掻出翼6は、チャンバ8に連通する粉体導入口10から導入される粉体を積極的に掻き出すことができ、流動化しにくい粉体でも、チャンバ8の粉体導入口10の近傍域において粉体が滞留することを防止でき、処理に時間を要することなく、粉体を均一に液体中に懸濁、溶解することができ、生産物である溶解液の品質を向上することができる。
また、仕切板9には、仕切板9の液体流路7側に、液体流路7に連通する液体導入口4から導入される液体を攪拌する攪拌翼21を配設する。
この攪拌翼21は、仕切板9に複数個を等間隔(特に限定されるものではないが、本実施例においては、4個を90゜間隔)に配設するようにしている。
この液体導入口18a、18bは、液体導入口4に液体を供給する液体供給路19に接続し、必要に応じて、液体供給路19から供給される液体を導入するようにするとともに、さらに、ポンプ吐出口17(本実施例においては、溶解液吐出口14とは別に形成しているが、溶解液吐出口14から分岐、形成することもできる。)と循環流路18を介して接続し、必要に応じて、ポンプ吐出口17から供給される溶解液を導入するようにすることができる。
また、循環流路18は、液体導入口4にも接続し、必要に応じて、ポンプ吐出口17から供給される溶解液を導入するようにすることができる。
このように、チャンバ8の粉体導入溝16及び粉体導入口10から液体及び/又は溶解液を導入するようにするようにしたり、液体導入口4から溶解液を導入するようにすることにより、粉体と液体との混合を促進し、粉体をより一層均一に液体中に懸濁、溶解することができる。
モータMにより、回転軸20を介してロータ3を回転させると、ロータ3の攪拌翼2が回転し、液体導入口4から液体が吸い込まれるが、このとき、液体流路7と隣接するチャンバ8に、ステータ5のスリットS(S2)を介して負圧が作用し、チャンバ8に粉体が吸い込まれる。
このようにして、粉体吸引溶解ポンプ内に導入された液体と粉体は、ステータ5を通ることにより量的な調整がなされ、粉体の混合が連続的かつ安定的に行われるとともに、攪拌翼2によって混合、溶解、懸濁され、溶解液吐出口14から送り出される。
図9は、溶解液吐出口14から分岐、形成した循環流路18を介して、溶解液を液体導入口4に導入するようにすることにより、溶解液を循環させながら粉体と液体との混合を促進するようにした例である。
図10は、溶解液吐出口14から分岐、形成した、有孔板等のフィルタ22aを備えた分離フィルタ22を介在した循環流路18を介して、溶解液(未溶解物を含有)を液体導入口4に導入するようにすることにより、溶解液を循環させながら粉体と液体との混合を促進するようにした例である。この場合、分離フィルタ22によって濾過された溶解液は、未溶解物を含有しない状態で送り出することができる。
図11及び図12は、この粉体吸引溶解ポンプを組み込んだプラントの一例を示し、粉体吸引溶解ポンプへの粉体の供給方式として、図11に示すように、袋詰めされた粉体を吸引ホースを介して供給するようにしたり、図12に示すように、粉体タンクに貯留された粉体をホッパーを介して供給するようにしたものである。
2 攪拌翼
3 ロータ
4 液体導入口
5 ステータ
6 掻出翼
7 液体流路
8 チャンバ
9 仕切板
10 粉体導入口
11 ケーシング本体
12 前面ケーシング
13 後面ケーシング
14 溶解液吐出口
15 メカニカルシール
16 粉体導入溝
17 ポンプ吐出口
18a 液体導入口
18b 液体導入口
19 液体供給路
20 回転軸
21 攪拌翼
22 分離フィルタ
S スリット
S1 液体流路側のスリット
S2 チャンバ側のスリット
Claims (3)
- 円筒状ケーシング(1)の内部に、攪拌翼(2)を備えたロータ(3)を同心状に配設し、該攪拌翼(2)の回転により、ロータ(3)の前方に設けた液体導入口(4)から液体を導入するようにした粉体吸引溶解ポンプにおいて、前記攪拌翼(2)をロータ(3)の外周部に突設し、該攪拌翼(2)の内側にスリット(S)を有する筒状のステータ(5)を配設するとともに、前記ロータ(3)にステータ(5)の内側を前記液体導入口(4)からの液体が導入される液体流路(7)とチャンバ(8)とに区画する仕切板(9)を配設し、該仕切板(9)のチャンバ(8)側に、チャンバ(8)に連通する粉体導入口(10)から導入される粉体を掻き出す掻出翼(6)を配設し、さらに、前記チャンバ(8)に粉体と混合する液体を導入する液体導入口(18a、18b)を形成したことを特徴とする粉体吸引溶解ポンプ。
- 前記ステータ(5)の液体流路(7)側のスリット(S1)を並列に配列された長孔に、チャンバ(8)側のスリット(S2)を千鳥状に配列された丸孔に形成したことを特徴とする請求項1記載の粉体吸引溶解ポンプ。
- ポンプ吐出口(17)と、前記液体流路(7)に液体を導入する液体導入口(4)及び/又はチャンバ(8)に液体を導入する液体導入口(18a、18b)とを導通する循環流路を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の粉体吸引溶解ポンプ。
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