JP5582550B2 - 溶解装置の運転方法 - Google Patents

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本発明は、溶解装置の運転方法に関するものであって、特に、溶解液中に含まれる微小気泡を消滅させるとともに、ミクロゲルのような半溶解状態の物質を完全に溶解させることができるようにした溶解装置の運転方法に関するものである。
従来、溶質(例えば、粉体)に溶媒(例えば、液体)を溶解(拡散を含む。以下、同じ。)する溶解装置として、回転翼を回転させて、吸入部から溶質及び溶媒を原料として導入室に吸入して、絞り流路を通過させ、回転翼によって攪拌して、吐出部から溶解液を吐出させるとともに、吐出部から吐出された溶解液の一部を前記吸入部に循環させる循環流路及び排出流路を有する溶解ポンプを備えた溶解装置が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特開2006−281017号公報 特開2007−216172号公報
ところで、上記従来の溶解装置では、導入室に吸入する原料、具体的には、溶質である粉体と共に気体(粉体の粒子間に存在する気体を含む。)を吸引してしまうことによって、溶解ポンプの効率が低下するとともに、特に、溶解液の粘度が高い場合には、溶解液中に微小気泡が残存し、溶解液の品質が低下するという問題があった。
また、吸入部に循環させる溶解液中に微小気泡が存在することによって、溶解ポンプの効率が低下し、特に、溶質が澱粉や高吸水性ポリマ(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC))のように吸水してゲル化するような難溶解の物質の場合には、ミクロゲルのような半溶解状態の物質が残存し、溶解液の品質が低下するという問題があった。
本発明は、上記従来の溶解装置が有する問題点に鑑み、溶解液中に含まれる微小気泡を消滅させるとともに、ミクロゲルのような半溶解状態の物質を完全に溶解させることができるようにすることによって、高品質の溶解液を得ることができる溶解装置の運転方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の溶解装置の運転方法は、回転翼を回転させて、吸入部から溶質及び溶媒を一次原料として導入室に吸入して、絞り流路を通過させ、回転翼によって攪拌して、吐出部から溶解液を吐出させるとともに、吐出部から吐出された溶解液の一部を前記吸入部に循環させる循環流路及び排出流路を有する溶解ポンプと、該溶解ポンプの吸入部に溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を閉止する閉止手段と、溶解ポンプによって一次溶解を行った溶解液を貯留し、該溶解液中に含まれる気泡の脱気を行うことができるようにした貯留手段とを備えた溶解装置の運転方法であって、前記溶質及び溶媒を一次原料として、前記溶解ポンプを用いて一次溶解を行った後、貯留手段に貯留された一次溶解を行った後、前記貯留手段において溶解液中に含まれる気泡の脱気を行った溶解液を二次原料として、前記閉止手段によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプの導入室に吸入するようにすることによって二次溶解を行うことを特徴とする。
この溶解装置の運転方法は、溶解ポンプの吸入部から溶質及び溶媒を一次原料として導入室に吸入して一次溶解を行った後、溶解ポンプの吸入部から一次溶解を行った溶解液を二次原料として導入室に吸入して二次溶解を行うことにより、溶解ポンプによる二次溶解において、気体の吸引をなくすことができる。
この場合において、溶解装置の絞り流路を、回転翼と導入室の間に配設したステータに形成した透孔によって構成することができる。
また、溶解装置の第1の溶解ポンプ及び第2の溶解ポンプの吐出部に、比重によって溶解液を循環流路と排出流路とに分離して供給する分離手段を設けることができる。
この分離手段は、比重の大きい完全に溶解していない溶解液成分を循環流路に、比重の小さい溶解が完了した溶解液成分を排出流路に、それぞれ分離して供給することができる。
ここで、溶解ポンプの吸入部に溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を閉止する閉止手段と、一次溶解を行った溶解液を貯留する貯留手段とを備え、該貯留手段に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、閉止手段によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプの導入室に吸入するようにする。
この溶解装置は、溶質及び溶媒からなる一次原料を吸入しながら行う一次溶解と、閉止手段によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプに、貯留手段に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として吸入しながら行う二次溶解を、1台の溶解ポンプで、それぞれバッチ式で行うことができる。
この場合において、一次原料の吸入を閉止した状態において、貯留手段に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、前記吸入部における前記溶媒の供給部に供給するように構成することができる。
本発明の溶解装置の運転方法によれば、気体の吸引をなくした状態で二次溶解を行うことができることによって、溶解ポンプの効率を向上することができ、導入室を高真空状態にして、絞り流路を通過する溶解液にキャビテーションを起こさせ、溶解液に含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、溶解を促進させるとともに、溶解液中に残存している微小気泡を消滅させることができる。
また、吸入部に循環させる溶解液中に残存している微小気泡を消滅させることができることによって、溶解ポンプの効率を一層向上することができ、溶質が難溶解物質の場合でも、半溶解状態の物質を完全に溶解させることができる。
これにより、溶解液中に微小気泡や半溶解状態の物質が残存しない高品質の溶解液を得ることができる。
また、絞り流路を、回転翼と導入室の間に配設したステータに形成した透孔によって構成することにより、一次原料及び二次原料並びに循環する溶解液に対して、透孔を通過する際に、回転翼によって剪断力を作用させることができ、これによって、溶解を一層促進させることができる。
また、前記循環路の入口に比重によって溶解された被溶解物質を循環路と排出路とに分離して供給する分離手段を設けることにより、比重の大きい完全に溶解していない溶解液成分を選択的に循環流路に循環させることができ、完全に溶解していない溶解液成分が排出流路から排出されることを防止するとともに、装置の運転効率を向上することができる。
また、溶解ポンプを1台の溶解ポンプで構成することにより、装置のコストを低減できるとともに、装置の設置スペースを小さくすることができ、さらに、装置、特に、溶解ポンプの洗浄やメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
また、一次原料の吸入を閉止した状態において、貯留手段に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、前記吸入部における前記溶媒の供給部に供給するように構成することにより、溶解ポンプに二次原料の供給部を別途設ける必要がなく、溶解ポンプの構造を簡略化することができる。
本発明の溶解装置の運転方法を実施するための溶解装置の一実施例を示す概略図である。 溶解装置に使用する溶解ポンプの断面図である。 ステータの説明図で、(a)は断面図、(b)は透孔の説明図である。 同溶解装置に使用する溶質供給機構及び分離手段を示し、(a)は溶質供給機構の断面図、(b)は分離手段の断面図である。 溶解装置の参考例を示す概略図である。
以下、本発明の溶解装置の運転方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図4に、本発明の溶解装置の運転方法を実施するための溶解装置の一実施例を示す。
この溶解装置Aは、回転翼13Aを回転させて、吸入部11から溶質及び溶媒を一次原料として導入室15に吸入して、絞り流路Sを通過させ、回転翼13Aによって攪拌して、吐出部12から溶解液を吐出させるとともに、吐出部12から吐出された溶解液の一部を吸入部11に循環させる循環流路26及び排出流路25を有する一次溶解を行う第1の溶解ポンプ1Aと、回転翼13Aを回転させて、吸入部11から第1の溶解ポンプ1Aの排出流路25から排出された溶解液を二次原料として導入室15に吸入して、絞り流路Sを通過させ、回転翼13Aによって攪拌して、吐出部12から溶解液を吐出させるとともに、吐出部12から吐出された溶解液の一部を吸入部11に循環させる循環流路26及び排出流路25を有する二次溶解を行う第2の溶解ポンプ1Bとから構成するようにしている。
ところで、本実施例においては、第1の溶解ポンプ1Aと第2の溶解ポンプ1Bを1台の溶解ポンプ1で構成するようにしているが、このため、図1に示すように、溶解ポンプ1の吸入部11に溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を閉止する閉止手段6と、一次溶解を行った溶解液を貯留する貯留手段7とを備え、貯留手段7に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、閉止手段6によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプ1Aの導入室に吸入するようにしている。
これにより、この溶解装置Aは、溶質及び溶媒からなる一次原料を吸入しながら行う一次溶解と、閉止手段6によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプ1に、貯留手段7に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として吸入しながら行う二次溶解を、1台の溶解ポンプ1で、それぞれバッチ式で行うことができるようにしている。
溶解ポンプ1には、溶解ポンプ1に対して溶質を供給する溶質供給機構3と、溶媒を供給する溶媒供給機構4とを配設し、ミキシングノズル5に溶媒供給機構4から溶媒を旋回させながら供給することによって、溶質及び溶媒の初期混合を行った後、溶解ポンプ1の吸入部11から吸入するようにして、溶質及び溶媒からなる一次原料の溶解ポンプ1への供給を円滑に行うことができるようにしている。
溶質供給機構3は、溶質としての粉体を、所定量ずつ溶解ポンプ1に供給するもので、本実施例においては、ケーシング30内に回転可能に配設した計量回転体34と、計量回転体34を回転駆動する駆動機構M’とから構成するようにしている。
そして、この溶質供給機構3は、溶質排出口32から作用する吸引力によって、溶質供給口31よりも低圧に維持される膨張室33が形成されるとともに、計量回転体34の回転に伴って、各溶質収容室34aの状態が正圧状態と負圧状態とに変化するように構成されている。
また、溶質収容室34aは、計量回転体34の外周面及び中心部において開口するように構成し、計量回転体34の外周面側の開口は、溶質供給口31と連通する溶質供給口開放状態及び膨張室33と連通する膨張室開放状態以外ではケーシング30によって閉鎖されるとともに、計量回転体34の中心部側の開口は、密閉状態(溶質供給口31及び膨張室33と連通しない状態)及び溶質供給口開放状態において閉鎖されるように計量回転体34の中心部に開口閉鎖部材35を偏在させてケーシング10に固定して配設するようにしている。
また、溶質収容室34aが計量回転体34の外周面及び中心部において開口するように、計量回転体34を、駆動機構M’の駆動軸に配設した円盤部材34cに、この円盤部材34cの中心部を除いて放射状に複数枚(本実施例においては、8枚。)の板状の隔壁34bを等間隔に取り付けることによって、周方向に等間隔に溶質収容室34aを区画、形成するようにしている。
なお、溶質としての粉体の供給量は、計量回転体34を回転駆動する駆動機構M’による計量回転体34の回転数を変化させることによって調節することができる。
そして、この溶質供給機構3は、溶質収容室34a等に粉体が付着、堆積することがなく、粉体の流量を安定させて、粉体を所定量ずつ連続して供給することができる。
溶媒供給機構4は、流量計を備え、溶媒としての液体を、所定量ずつ溶解ポンプ1に供給するものである。
溶解ポンプ1は、一次原料及び二次原料並びに循環する溶解液の吸引及び溶解を1台の溶解ポンプで行うことができるものである限りにおいて、その構成は特に限定されるものではないが、本実施例においては、図2〜図3に示すように、円筒状のケーシング10の内部に駆動機構Mの駆動軸に取り付けたロータ13の外周部に複数の回転翼13Aを突設し、ロータ13を回転させることによって、吸入部11から溶質及び溶媒を一次原料として導入室15に吸入して攪拌し、吐出部12から溶解液を吐出させるように構成している。
この場合において、ケーシング10は、円筒状のケーシング本体10Aと、ケーシング本体10Aの前側(図2において左側)及び後側(図2において右側)に配設された前面ケーシング10B及び後面ケーシング10Cとを備え、ケーシング本体10Aには攪拌して溶解した溶解液を吐出する吐出部12が設けられている。
前面ケーシング10Bには、回転翼13Aと導入室15との間に位置するように円筒状のステータ14Aを配設し、絞り流路Sを、このステータ14Aに形成した透孔Sa、Sbによって構成するようにしている。
なお、絞り流路Sは、透孔のほか、スリットやノズルによって構成することもできる。
なお、必要に応じて、回転翼13Aの外周側に、絞り流路Sとして透孔(本実施例においては、スリット状の長孔)を形成したステータ14Bを配設することができる。
これにより、溶解液に対して、透孔を通過する際に、回転翼によって剪断力を作用させることができ、溶解を促進させることができる。
また、回転翼13Aの内側のさらにステータ14Aの内側には、濾斗状の仕切板16が複数のボス16aを介してロータ13に固定されている。
この仕切板16は、吸入部11の一方の吸入部11Aから、ミキシングノズル5において初期混合を行った溶質及び溶媒からなる一次原料を吸入する溶質及び溶媒が導入される導入室15A(この導入室15Aには、二次溶解の際には、貯留手段7に貯留された一次溶解を行った溶解液が二次原料として導入される。)と、吐出部12から吐出された溶解液の一部が、他方の吸入部11Bを介して循環し、導入される導入室15Bとを区画するもので、この仕切板16とケーシング10との摺動部は、階段状のラビリンス構造となっており、導入室15Aへの一次原料の吸入を円滑に行うことができるようにしている。
ここで、導入室15を、導入室15Aと導入室15Bとに区画して形成するようにしたため、本実施例においては、図3に示すように、ステータ14Aに形成する透孔Sa、Sbの形状を、導入室15Aに対向する透孔Saを一次原料が詰まりにくい円形に、導入室15Bに対向する透孔Sbを溶解液に対して回転翼による剪断力が作用しやすい長円形に設定するようにしている。
ここで、透孔Sa、Sbの形状は、一次原料及び二次原料並びに循環する溶解液の性状等に応じて任意に設定することができ、例えば、後述の参考例のように、一次溶解を行う第1の溶解ポンプ1Aと二次溶解を行う第2の溶解ポンプ1Bを個別の溶解ポンプで構成するような場合には、第1の溶解ポンプ1Aと第2の溶解ポンプ1Bとで、ステータ14Aに形成する透孔Sa、Sbの形状を異なるようにすることもできる。
溶解ポンプ1の吐出部12には、比重によって溶解液を循環流路26と排出流路25とに分離して供給する分離手段2を設けるようにしている。
この分離手段2は、本実施例においては、溶解ポンプ1の吐出部12に連なる導入パイプ21を円筒状容器20の底面から内部に突出して配設し、円筒状容器20の上部に排出流路25と連なる排出口22を備えるとともに、下部に循環流路26と連なる循環口23を備え、導入パイプ21の吐出端に、導入パイプ21から吐出される溶解液の流れを旋回させる捻り板24を配設して構成している。
なお、捻り板24に代えて、又は捻り板24と共に、導入パイプ21の吐出端の上部に、導入パイプ21から吐出される溶解液を攪拌する攪拌羽根を配設することもできる。
この分離手段2を設けることによって、比重の大きい完全に溶解していない溶解液成分を循環流路26に、比重の小さい溶解が完了した溶解液成分を排出流路25に、それぞれ分離して供給することができ、完全に溶解していない溶解液成分が排出流路25から排出されることを防止するとともに、装置の運転効率を向上することができる。
閉止手段6は、溶解ポンプ1の吸入部11への溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を選択的に閉止することができるようにするもので、本実施例においては、流路の内径と略同径の通過孔を形成した仕切板をシリンダの先端に配設し、仕切板を流路に対して直交して移動させるシャッタバルブを用いるようにしている。
閉止手段6は、溶解ポンプ1の吸入部11への溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を選択的に閉止することができるようにする限りにおいて任意の箇所に配設することができるが、本実施例においては、溶質供給機構3とミキシングノズル5との間にシャッタバルブを配設し、溶媒の溶解ポンプ1の吸入部11への吸入の閉止は、溶媒の供給路40に配設した開閉弁41によって行うようにしている。
そして、本実施例においては、一次原料の吸入を閉止した状態において、貯留手段7に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、溶媒の供給路である供給路40に供給するように構成するようにしている。
これにより、溶解ポンプ1に二次原料の供給部を別途設ける必要がなく、溶解ポンプ1の構造を簡略化することができる。
貯留手段7は、一次溶解が行われ、分離手段2の排出口22から排出された溶解液を、排出流路25を介して貯留するためのもので、タンク、ホッパ等の任意の形式の貯留手段を用いることができる。
そして、本実施例において、貯留手段7には、タンク70を使用し、タンク70の上部に形成した導入口71に排出流路25を接続するとともに、下部に形成した排出口72に二次原料流路44を接続し、二次原料流路44を溶媒の供給部である供給路40に開閉弁42を介して接続するようにしている。
また、タンク70には、駆動機構74によって回転駆動される攪拌翼73を配設し、内部に貯留した溶解液の攪拌を行うことができるようにしている。
また、タンク70には、必要に応じて、大気開放弁(図示省略)を配設し、溶解液中に含まれる気泡の脱気を行うようにすることができる。
この溶解装置Aは、溶質供給機構3及び溶媒供給機構4から溶質及び溶媒を一次原料として溶解ポンプ1に供給しながら溶解ポンプ1の運転を開始する。
溶質及び溶媒は、ミキシングノズル5において、初期混合を行った後、溶解ポンプ1の吸入部11Aから導入室15Aに導入される。
そして、回転翼13Aの内側と外側とに配設されたステータ14Aに形成した透孔Sa及びステータ14Bに形成した透孔を通過することによって、剪断作用を受けながら攪拌、溶解され、吐出部12から吐出される。
吐出部12から吐出された溶解液は、分離手段2により、比重の大きい完全に溶解していない溶解液成分は、循環流路26を介して、溶解ポンプ1の吸入部11Bから導入室15Bに導入され、ステータ14Aに形成した透孔Sb及びステータ14Bに形成した透孔を通過することによって、剪断作用を受けながら攪拌、溶解され、吐出部12から吐出され、一方、比重の小さい溶解が完了した溶解液成分は、排出流路25を介して、貯留手段7としてのタンク70に貯留される。
そして、所定量の一次原料の供給がなされたとき、閉止手段6によって、溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を閉止し、一次溶解を終了するとともに、貯留手段7に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、閉止手段6によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプ1の吸入部11Aから導入室15Aに導入し、一次溶解と同様に溶解ポンプ1を運転することにより、二次溶解を行う。
この二次溶解においては、一次原料の吸入を閉止し、気体の吸引をなくした状態で溶解ポンプ1が運転されることによって、溶解ポンプ1の効率を向上することができ、導入室15A、15Bを高真空状態にして、絞り流路Sとしてのステータ14Aに形成した透孔Sa及びステータ14Bに形成した透孔を通過する溶解液にキャビテーションを起こさせ、溶解液に含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、溶解を促進させるとともに、溶解液中に残存している微小気泡を消滅させることができるものとなる。
また、吸入部11Bに循環させる溶解液中に残存している微小気泡を消滅させることができることによって、溶解ポンプ1の効率を一層向上することができ、溶質が難溶解物質の場合でも、半溶解状態の物質を完全に溶解させることができるものとなる。
なお、本実施例においては、二次溶解を行った溶解液は、排出流路25を介して、貯留手段7としてのタンク70に一旦戻すようにし、さらに、必要に応じて、溶解ポンプ1への循環を繰り返した後、開閉弁42、43を開閉操作することによって、次工程Nに送られる。
これにより、溶解液中に微小気泡や半溶解状態の物質が残存しない高品質の溶解液を得ることができる。
図5に、溶解装置の参考例を示す。
この溶解装置Bは、第1の溶解ポンプ1Aと第2の溶解ポンプ1Bを個別に構成し、第1の溶解ポンプ1Aの排出流路25と第2の溶解ポンプ1Bの吸入部11とを接続流路27を介して接続するようにしている。
これにより、この溶解装置Bは、溶質及び溶媒からなる一次原料を吸入しながら行う一次溶解と、一次溶解を行った溶解液を二次原料として吸入しながら行う二次溶解を、連続して行うことができるようにしている。
ここで、第1の溶解ポンプ1A及び第2の溶解ポンプ1Bの構成は、上記実施例の溶解装置Aの溶解ポンプ1と、一次原料の吸入を閉止する閉止手段6等を必ずしも必要としない点を除き、基本的に同様である。
そして、本参考例においては、第1の溶解ポンプ1Aを、1台の溶解ポンプ1Aで、第2の溶解ポンプ1Bを、2台の溶解ポンプ1Ba、1Bbで構成し(ここで、溶解ポンプ1Bbは、一次溶解及び二次溶解を行った溶解液を原料としている。)、3台の溶解ポンプ1A、1Ba、1Bbを直列に接続した例を示すが、溶解ポンプの数や接続方式(直列接続のほか、並列接続を併用することもできる。)は、一次原料及び二次原料の性状等に応じて任意に設定することができる。
ここで、第1の溶解ポンプ1Aと第2の溶解ポンプ1Baを接続する接続流路27及び第2の溶解ポンプ1Baと第2の溶解ポンプ1Bbを接続する接続流路27aには、貯留手段8を介在させるようにしている。
貯留手段8は、溶解液を一時貯留するためのもので、タンク、ホッパ等の任意の形式の貯留手段を用いることができる。
貯留手段8は、貯留した溶解液の量を計測するレベル計81を備え、レベル計81からのレベル信号によって開閉弁82を開閉操作して、第2の溶解ポンプ1Ba、1Bbに、二次原料としての溶解液を供給するようにしている。
また、貯留手段8には、必要に応じて、大気開放弁(図示省略)を配設し、溶解液中に含まれる気泡の脱気を行うようにすることができる。
この溶解装置Bは、第2の溶解ポンプ1Ba、1Bbを運転することにより行う二次溶解において、気体の吸引をなくした状態で第2の溶解ポンプ1Ba、1Bbが運転されることによって、第2の溶解ポンプ1Ba、1Bbの効率を向上することができ、導入室15A、15Bを高真空状態にして、絞り流路Sとしてのステータ14Aに形成した透孔Sa及びステータ14Bに形成した透孔を通過する溶解液にキャビテーションを起こさせ、溶解液に含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、溶解を促進させるとともに、溶解液中に残存している微小気泡を消滅させることができるものとなる。
また、吸入部11Bに循環させる溶解液中に残存している微小気泡を消滅させることができることによって、溶解ポンプ1の効率を一層向上することができ、溶質が難溶解物質の場合でも、半溶解状態の物質を完全に溶解させることができるものとなる。
なお、本参考例のその他の構成及び作用は、上記実施例と同様である。
以上、本発明の溶解装置の運転方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明の溶解装置の運転方法は、溶解液中に含まれる微小気泡を消滅させるとともに、ミクロゲルのような半溶解状態の物質を完全に溶解させることができるという特性を有していることから、溶質が難溶解物質の場合を含む溶解の用途に好適に用いることができることから、適用技術分野も、食品や薬品の技術分野に加え、化学、建設等の技術分野で用いられる溶解装置に広く適用することができる。
1 溶解ポンプ
1A 第1の溶解ポンプ
1B 第2の溶解ポンプ
1Ba 第2の溶解ポンプ
1Bb 第2の溶解ポンプ
10 ケーシング
11 吸入部
12 吐出部
13 ロータ
13A 回転翼
14A ステータ
14B ステータ
15 導入室
2 分離手段
25 排出流路
26 循環流路
27 接続流路
3 溶質供給機構
4 溶媒供給機構
40 供給路
44 二次原料流路
6 閉止手段
7 貯留手段
A 溶解装置
B 溶解装置
S 絞り流路
Sa 透孔
Sb 透孔

Claims (4)

  1. 回転翼を回転させて、吸入部から溶質及び溶媒を一次原料として導入室に吸入して、絞り流路を通過させ、回転翼によって攪拌して、吐出部から溶解液を吐出させるとともに、吐出部から吐出された溶解液の一部を前記吸入部に循環させる循環流路及び排出流路を有する溶解ポンプと、該溶解ポンプの吸入部に溶質及び溶媒からなる一次原料の吸入を閉止する閉止手段と、溶解ポンプによって一次溶解を行った溶解液を貯留し、該溶解液中に含まれる気泡の脱気を行うことができるようにした貯留手段とを備えた溶解装置の運転方法であって、前記溶質及び溶媒を一次原料として、前記溶解ポンプを用いて一次溶解を行った後、貯留手段に貯留された一次溶解を行った後、前記貯留手段において溶解液中に含まれる気泡の脱気を行った溶解液を二次原料として、前記閉止手段によって一次原料の吸入を閉止した状態の溶解ポンプの導入室に吸入するようにすることによって二次溶解を行うことを特徴とする溶解装置の運転方法。
  2. 溶解装置の絞り流路を、回転翼と導入室の間に配設したステータに形成した透孔によって構成したことを特徴とする請求項1記載の溶解装置の運転方法。
  3. 溶解装置の溶解ポンプの吐出部に、比重によって溶解液を循環流路と排出流路とに分離して供給する分離手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の溶解装置の運転方法。
  4. 一次原料の吸入を閉止した状態において、貯留手段に貯留された一次溶解を行った溶解液を二次原料として、前記吸入部における前記溶媒の供給部に供給するように構成するようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の溶解装置の運転方法。
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