JP4872880B2 - 動力出力装置 - Google Patents

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    • F16H3/00Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion
    • F16H3/006Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion power being selectively transmitted by either one of the parallel flow paths

Description

本発明は、原動機として内燃機関とモータを備えた動力出力装置に関し、詳細には、内燃機関の機関出力軸及びモータのロータから出力される機械的動力を、変速機構により変速して、推進軸に出力可能な動力出力装置に関する。
動力出力装置の変速機構には、近年、変速時における機械的動力の伝達の途切れをなくすために、奇数段の変速段で構成される第1変速機構の入力軸(以下、第1入力軸と記す)と、内燃機関の出力軸(以下、機関出力軸と記す)とを係合可能な第1のクラッチと、偶数段の変速段で構成される第2の変速機構の入力軸(以下、第2入力軸と記す)と、機関出力軸とを係合可能な第2のクラッチとを備え、これら2つのクラッチを交互につなぎ替えることで変速を行う、いわゆるデュアルクラッチ式変速機が知られている。
デュアルクラッチ式変速機は、例えば、奇数段から偶数段に変速する際には、偶数段の歯車対を予め噛み合わせておき、奇数段に機械的動力を伝達する第1のクラッチを解放状態にすると共に、偶数段に機械的動力を伝達する第2のクラッチを係合状態にすることで、変速時における動力伝達の途切れを抑制している(例えば、特許文献1,2参照)。
また、特許文献1には、上述のデュアルクラッチ式変速機を有し、2つの変速機構の入力軸にそれぞれモータが接続されている動力伝達装置が開示されている。特許文献1には、モータによる車両走行中において、第2摩擦クラッチを係合状態にして、第2モータにより内燃機関(エンジン)を始動することが記載されている。
また、下記の特許文献3には、変速機の入力軸と結合されたモータ(モータジェネレータ)の回転軸の回転を受けて(駆動されて)油圧を発生し、第1クラッチ及び第2クラッチに供給する機械式のオイルポンプ(メカオイルポンプ)について開示されている。特許文献3には、内燃機関(エンジン)が非作動状態にある場合(エンジン停止中)においては、モータにより機械式オイルポンプを駆動することで、クラッチやブレーキに必要な油圧を確保することが記載されている。
特許第3621916号公報 特開2002−89594号公報 特開2007−15679号公報
ところで、特許文献1,2のようなデュアルクラッチ式変速機に、特許文献3のような機械式のオイルポンプを適用した場合、内燃機関及びモータの双方が非作動状態にある車両停止中において内燃機関を始動するため、モータから第2入力軸に出力された機械的動力を、第2クラッチを介して機関出力軸に伝達させてクランキングを行おうとしても、第2クラッチを即座に係合状態にすることができない。内燃機関及びモータの双方が非作動状態にあるときに、第2クラッチには、油圧が供給されておらず、モータの力行を開始して、モータのロータ回転速度をある程度上昇させないと、ロータの回転速度に応じて油圧を発生する機械式オイルポンプは、第2クラッチの係合動作に必要な油圧を供給することができないためである。
加えて、第2クラッチの係合動作が遅れると、モータのロータ回転速度が上昇した状態、すなわちロータに係合する第2入力軸と、機関出力軸との間に回転速度差が付いた状態で、第2クラッチの係合状態にすることとなる。このような回転速度差がある状態で第2クラッチを係合状態にすると、当該回転速度差に起因して第2クラッチに振動が生じてしまう虞がある。
なお、電動のオイルポンプを用いて上述のクラッチに油圧を供給する構成とすることや、電磁式のクラッチを用いることは、油圧が供給されて作動するクラッチと、油圧を供給する機械式オイルポンプとを組み合わせた構成に比べて、コスト上の観点から問題がある。
したがって、原動機として内燃機関とモータと、第1及び第2変速機構を備えた動力出力装置であって、所定の油圧を受けて作動可能となり、機関出力軸と第2変速機構の第2入力軸とを係合可能な第2クラッチと、モータのロータの回転速度に応じて油圧を発生して第2クラッチに供給可能なオイルポンプとを有する動力出力装置においては、モータのロータ回転速度を上昇させて、第2クラッチの係合動作に必要な油圧を確保すると共に、第2クラッチの係合動作時に生じる振動を抑制可能な技術が要望されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、係合動作に必要な油圧をクラッチに供給しつつ、当該クラッチの係合動作時に生じる振動を抑制可能な動力出力装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る動力出力装置は、原動機として内燃機関とモータとを備え、内燃機関の機関出力軸及びモータのロータから出力される機械的動力を、変速機構により変速して推進軸に出力可能な動力出力装置であって、機関出力軸からの機械的動力を第1入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第1出力軸から推進軸に伝達可能な第1変速機構と、機関出力軸及びロータからの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第2出力軸から推進軸に伝達可能な第2変速機構と、機関出力軸と第1入力軸とを係合可能な第1クラッチと、予め設定された最低作動圧以上の油圧を受けて作動可能となり、機関出力軸と第2入力軸とを係合可能な第2クラッチと、モータのロータ回転速度に応じて発生した油圧を、第2クラッチに供給可能なオイルポンプと、オイルポンプから第2クラッチに供給される油圧を検出可能な油圧検出手段と、第2クラッチの係合状態と、モータのロータ回転速度とを制御可能な制御手段と、を有し、制御手段は、内燃機関の始動を行う際に、油圧検出手段により検出された油圧が最低作動圧以上となるようロータ回転速度を上昇させた後、ロータ回転速度を、当該最低作動圧に達した時点のロータ回転速度に比べて低下させて、第2クラッチを係合状態にすることを特徴とする。
本発明に係る動力出力装置において、制御手段は、前記モータのロータ回転速度を、予め設定されたクラッチ係合回転速度まで低下させて第2クラッチを係合状態にするものとすることができる。
本発明に係る動力出力装置において、内燃機関には、機関出力軸を回転駆動可能なスタータモータが設けられているものとすることができ、制御手段は、始動要求を受けてスタータモータを作動させて、機関回転速度を上昇させると共に、前記モータのロータ回転速度を機関回転速度と略一致するまで低下させて第2クラッチを係合状態にするものとすることができる。
本発明に係る動力出力装置において、制御手段は、第2クラッチを係合状態にした後は、スタータモータと、原動機としてのモータとを併用して機関出力軸を回転駆動するものとすることができる。
本発明によれば、油圧が予め設定された最低作動圧以上となるようロータ回転速度を上昇させた後、ロータ回転速度を、最低作動圧に達した時点のロータ回転速度に比べて低下させて、第2クラッチを係合状態にすることで、第2変速機構の第2入力軸と機関出力軸の回転速度差が小さい状態を作り出して、第2クラッチの係合動作を行うことができ、当該回転速度差に起因して第2クラッチに生じる振動を抑制することができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
まず、本実施例に係る動力出力装置が適用される車両の構成について、図1を用いて説明する。図1は、動力出力装置を備えた車両の概略構成を示す模式図である。
本実施例に係る車両1は、駆動輪88を回転駆動するための原動機として、内燃機関5とモータ50とを備えた、いわゆるハイブリッド車両である。車両1には、内燃機関5及びモータ50からの機械的動力を、変速機構により変速して、車両推進軸66に出力可能な動力出力装置3が搭載されている。
動力出力装置3は、内燃機関5と、駆動装置10から構成されており、駆動装置10には、原動機としてのモータ50が設けられている。加えて、駆動装置10には、内燃機関5からの機械的動力を、変速して車両推進軸66に伝達可能な第1及び第2変速機構30,40が設けられており、さらに、第1及び第2変速機構30,40と内燃機関5との間における機械的動力の伝達と遮断を切替え可能にデュアルクラッチ機構20が設けられている。駆動装置10は、内燃機関5と結合されて、動力出力装置3を構成し、車両1に搭載される。車両1には、動力出力装置3、すなわち内燃機関5、デュアルクラッチ機構20、第1及び第2変速機構30,40、及びモータ50を協調して制御する制御手段として、動力出力装置用の電子制御装置100(以下、単に「ECU」と記す)が車両1に設けられている。
内燃機関5は、図示しない燃料噴射装置、点火装置、及びスロットル弁装置を備えている。これら装置は、ECU100により制御される。内燃機関5が発生した機械的動力は、出力軸(クランク軸)8から出力される。内燃機関5の出力軸8(以下、機関出力軸と記す)には、後述する駆動装置10のデュアルクラッチ機構20の入力側、例えば、クラッチハウジング14a(図2参照)が結合される。ECU100は、内燃機関5の機関出力軸8から出力する機械的動力を調整することが可能となっている。なお、内燃機関5には、機関出力軸8の回転角位置(以下、クランク角と記す)を検出する図示しないクランク角センサが設けられており、クランク角に係る信号をECU100に送出している。
また、車両1には、原動機としての内燃機関5及びモータ50からの機械的動力を、変速して、駆動輪88に伝達する動力伝達装置として、機関出力軸8及びモータ50からの機械的動力を変速してトルクを変化させて車両推進軸66に伝達可能な駆動装置10と、原動機から車両推進軸66に伝達された機械的動力を、減速すると共に、駆動輪88に係合する左右の駆動軸80に分配する終減速装置70が設けられている。
駆動装置10は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22のいずれかを用いて内燃機関5からの機械的動力を後述する変速機構に伝達するデュアルクラッチ機構20と、内燃機関5から第1クラッチ21を介して伝達される機械的動力を、第1入力軸27で受けて、第1群の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第1出力軸37から車両推進軸66に伝達可能な第1変速機構30と、内燃機関5から第2クラッチ22を介して伝達される機械的動力を、第2入力軸28で受けて、第2群の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第2出力軸48から車両推進軸66に伝達可能な第2変速機構40を有している。
第1変速機構30及び第2変速機構40は、前進に第1速ギヤ段31から第6速ギヤ段46までの6つの変速段を有しており、後進に1つの変速段39を有している。前進の変速段である第1速〜第6速ギヤ段31〜46の減速比は、第1速ギヤ段31、第2速ギヤ段42、第3速ギヤ段33、第4速ギヤ段44、第5速ギヤ段35、第6速ギヤ段46の順に小さくなるよう設定されている。
第1変速機構30は、複数の歯車対を備えた平行軸歯車装置として構成されており、第1群の変速段は、奇数段、すなわち第1速ギヤ段31と、第3速ギヤ段33と、第5速ギヤ段35に加えて、後進ギヤ段39で構成されている。第1変速機構30の前進の変速段31,33,35のうち、第5速ギヤ段35が最も高速側の変速段(最高速段)となっている。
第1速ギヤ段31は、第1入力軸27に結合されている第1速メインギヤ31aと、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられ、第1速メインギヤ31aと噛み合う第1速カウンタギヤ31cと、第1速カウンタギヤ31cと第1出力軸37とを係合させることが可能な第1速カップリング機構31eを有している。
ECU100が第1速ギヤ段31を選択する、即ち第1速カップリング機構31eを係合状態にして、第1速カウンタギヤ31cと第1出力軸37を係合させることで、第1入力軸27からの機械的動力は、第1速メインギヤ31a及び第1速カウンタギヤ31cを介して第1出力軸37に伝達される。これにより、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、第1速ギヤ段31により変速し、トルクを変化させて第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
第3速ギヤ段33は、第1速ギヤ段31と同様に、第1入力軸27に結合されている第3速メインギヤ33aと、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられ、第3速メインギヤ33aと噛み合う第3速カウンタギヤ33cと、第3速カウンタギヤ33cと第1出力軸37とを係合可能な第3速カップリング機構33eを有している。
ECU100が第3速ギヤ段33を選択する、即ち第3速カップリング機構33eを係合状態にして、第3速カウンタギヤ33cと第1出力軸37を係合させることで、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、第3速ギヤ段33により変速し、トルクを変化させて、第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
また、第5速ギヤ段35は、第1入力軸27に結合されている第5速メインギヤ35aと、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられ、第5速メインギヤ35aと噛み合う第5速カウンタギヤ35cと、第5速カウンタギヤ35cと第1出力軸37とを係合可能な第5速カップリング機構35eを有している。
ECU100が第5速ギヤ段35を選択する、即ち第5速カップリング機構35eを係合状態にして、第5速カウンタギヤ35cと第1出力軸37とを係合させることで、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、第5速ギヤ段35により変速し、トルクを変化させて、第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
また、後進ギヤ段39は、第1入力軸27に結合されている後進メインギヤ39aと、後進メインギヤ39aと噛み合う後進中間ギヤ39bと、後進中間ギヤ39bと噛み合い、第1出力軸37を中心に回転可能に設けられた後進カウンタギヤ39cと、後進カウンタギヤ39cと第1出力軸37とを係合可能な後進カップリング機構39eを有している。
ECU100が後進ギヤ段39を選択する、即ち後進カップリング機構39eを係合状態にして、後進カウンタギヤ39cと第1出力軸37とを係合させることで、第1変速機構30は、第1入力軸27から受けた機械的動力を、後進ギヤ段39により、回転方向を逆方向に変えると共に変速し、トルクを変化させて第1出力軸37に伝達することが可能となっている。
第1変速機構30における各カップリング機構31e,33e,35e,39eの係合状態と非係合状態(解放状態)との切替えは、図示しないアクチュエータを介してECU100により制御される。ECU100は、第1変速機構30の各変速段31,33,35,39のうちいずれか1つの変速段を選択して、選択した変速段に対応するカップリング機構を係合状態にする。これにより、第1変速機構30は、内燃機関5の機関出力軸8から第1入力軸27が受けた機械的動力を、各変速段(奇数段)31,33,35,39のうちいずれか1つにより変速し、トルクを変化させて第1出力軸37から出力することが可能となっている。
第1変速機構30において、第1出力軸37には、第1推進軸駆動ギヤ37cが結合されており、当該第1推進軸駆動ギヤ37cは、車両推進軸66に結合された動力統合ギヤ58と噛み合っている。これにより、第1変速機構30は、第1入力軸27から第1出力軸37に伝達された機械的動力を、第1推進軸駆動ギヤ37cから動力統合ギヤ58を介して車両推進軸66に伝達することが可能となっている。
一方、第2変速機構40は、第1変速機構30と同様に、複数の歯車対を備えた平行軸歯車装置として構成されており、第2群の変速段は、偶数段、すなわち第2速ギヤ段42と、第4速ギヤ段44と、第6速ギヤ段46で構成されている。第2変速機構40の変速段42,44,46のうち、第2速ギヤ段42が最も低速側の変速段となっている。
第2速ギヤ段42は、第2入力軸28に結合されている第2速メインギヤ42aと、第2出力軸48を中心に回転可能に設けられ、第2速メインギヤ42aと噛み合う第2速カウンタギヤ42cと、第2速カウンタギヤ42cと第2出力軸48とを係合可能な第2速カップリング機構42eを有している。
ECU100が第2速ギヤ段42を選択する、即ち第2速カップリング機構42eを係合状態にして、第2速カウンタギヤ42cと第2出力軸48とを係合させることで、第2入力軸28からの機械的動力は、第2速メインギヤ42a及び第2速カウンタギヤ42cを介して第2出力軸48に伝達される。これにより、第2変速機構40は、第2入力軸28から受けた機械的動力を、第2速ギヤ段42により変速し、トルクを変化させて、第2出力軸48に伝達させることが可能となっている。
第4速ギヤ段44は、第2入力軸28に結合されている第4速メインギヤ44aと、第2出力軸48を中心に回転可能に設けられ、第4速メインギヤ44aと噛み合う第4速カウンタギヤ44cと、第4速カウンタギヤ44cと第2出力軸48とを係合可能な第4速カップリング機構44eを有している。
ECU100が第4速ギヤ段44を選択する、即ち第4速カップリング機構44eを係合状態にして、第4速カウンタギヤ44cと第2出力軸48とを係合させることで、第2変速機構40は、第2入力軸28から受けた機械的動力を、第4速ギヤ段44により変速し、トルクを変化させて、第2出力軸48に伝達することが可能となっている。
また、第6速ギヤ段46は、第2入力軸28に結合されている第6速メインギヤ46aと、第2出力軸48を中心に回転可能に設けられ、第6速メインギヤ46aと噛み合う第6速カウンタギヤ46cと、第6速カウンタギヤ46cと第2出力軸48とを係合可能な第6速カップリング機構46eを有している。
ECU100が第6速ギヤ段46を選択する、即ち第6速カップリング機構46eを係合状態にして、第6速カウンタギヤ46cと第2出力軸48とを係合させることで、第2変速機構40は、第2入力軸28から受けた機械的動力を、第6速ギヤ段46により変速し、トルクを変化させて、第2出力軸48に伝達することが可能となっている。
第2変速機構40における各カップリング機構42e,44e,46eの係合状態と非係合状態(解放状態)との切替えは、図示しないアクチュエータを介してECU100により制御される。ECU100は、第2変速機構40の各変速段42,44,46のうちいずれか1つの変速段を選択して、選択した変速段に対応するカップリング機構42e,44e,46eを係合状態にする。これにより、第2変速機構40は、内燃機関5の機関出力軸8及びモータ50のロータ52からの機械的動力を、第2入力軸28から受けた機械的動力を、変速段(偶数段)42,44,46のうちいずれか1つにより変速し、トルクを変化させて第2出力軸48から出力することが可能となっている。
第2出力軸48には、第2推進軸駆動ギヤ48cが結合されており、第2推進軸駆動ギヤ48cは、車両推進軸66に結合された動力統合ギヤ58と噛み合っている。第1変速機構30は、第2入力軸28から第2出力軸48に伝達された機械的動力を、第2推進軸駆動ギヤ48cから動力統合ギヤ58を介して車両推進軸66に伝達することが可能となっている。第2変速機構40が第2出力軸48から出力する機械的動力は、第1変速機構30が第1出力軸37から出力する機械的動力と、動力統合ギヤ58において統合されて、車両推進軸66に伝達される。
また、動力出力装置3の駆動装置10には、原動機としてのモータ50が設けられている。モータ50は、供給された電力を機械的動力に変換して出力する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えた回転電機、いわゆるモータジェネレータである。モータ50は、永久磁石式交流同期電動機で構成されており、後述するインバータ110から(三相)交流電力の供給を受けて回転磁界を形成するステータ54と、回転磁界に引き付けられて回転するロータ52とを有している。ロータ52は、第2入力軸28に結合されており、モータ50が発生する機械的動力は、第2変速機構40の第2入力軸28に出力される。また、モータ50は、第2出力軸48からロータ52に伝達された機械的動力を、交流電力に変換することも可能となっている。モータ50は、後述するインバータ110を介して、ECU100により制御される。
また、動力出力装置3には、モータ50に交流電力を供給する電力供給装置として、インバータ110が設けられている。インバータ110は、二次電池120から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ50に供給することが可能に構成されている。また、インバータ110は、モータ50からの交流電力を直流電力に変換して二次電池120に回収することも可能に構成されている。このようなインバータ110からモータ50への電力供給、及びモータ50からの電力回収は、ECU100により制御される。
ECU100は、インバータ110を介して、モータ50の電動機/発電機としての機能の切替えと、モータ50のロータ52から第2変速機構40の第2入力軸28に出力するトルクを調整することが可能となっている。なお、以下の説明において、モータ50のロータ52から機械的動力(トルク)を出力させることを、「力行」と記す。すなわち、モータ50の力行は、ECU100により制御される。
また、動力出力装置3には、デュアルクラッチ機構20に油圧を供給するために、モータ50と第6速ギヤ段46との間に、オイルポンプ90が設けられている。オイルポンプ90は、機械式のオイルポンプで構成されており、第2入力軸28の回転、すなわちモータ50のロータ52の回転に応じて油圧を発生するよう構成されている。オイルポンプ90が発生した油圧は、すなわちオイルポンプ90が吐出したオイルは、供給管路92によりデュアルクラッチ機構20に導かれて、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を駆動する油圧式アクチュエータ(図示せず)に供給される。
加えて、供給管路92には、オイルポンプ90から第1及び第2クラッチ21,22に供給される油圧を検出する油圧センサ96が設けられている。油圧センサ96は、検出した油圧に係信号を、ECU100に送出している。
また、動力出力装置3の駆動装置10には、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第1変速機構30及び第2変速機構40のうちいずれか一方に伝達させる動力伝達手段として、デュアルクラッチ機構20が設けられている。デュアルクラッチ機構20は、機関出力軸8と第1変速機構30の第1入力軸27とを係合させることが可能な第1クラッチ21と、機関出力軸8と第2変速機構40の第2入力軸28とを係合させることが可能な第2クラッチ22とを有している。第1クラッチ21及び第2クラッチ22には、オイルポンプ90から所定の圧力のオイルが供給されて作動することが可能となる。
第1クラッチ21は、円板状の摩擦板を有し、摩擦板の摩擦力により機械的動力を伝達する摩擦式ディスククラッチ等で構成されている。第1クラッチ21は、内燃機関5の機関出力軸8と第1変速機構30の第1入力軸27とを係合させることが可能に構成されている。第1クラッチ21を係合状態にすることで、機関出力軸8と第1入力軸27が係合して一体に回転することが可能となる。
第2クラッチ22は、第1クラッチ21と同様に、摩擦式ディスククラッチ等で構成されており、内燃機関5の機関出力軸8と第2変速機構40の第2入力軸28とを係合させることが可能に構成されている。第2クラッチ22を係合状態にすることで、機関出力軸8と第2入力軸28が係合して一体に回転することが可能となる。なお、第1クラッチ21及び第2クラッチ22には、湿式多板クラッチや、乾式単板クラッチを用いることができる。
第1クラッチ21及び第2クラッチ22の係合状態と非係合状態(解放状態)との切替えは、図示しないアクチュエータを介してECU100により制御される。ECU100は、デュアルクラッチ機構20において、第1クラッチ21又は第2クラッチ22のうちいずれか一方を係合状態にして、他方を解放状態にすることで、内燃機関5からの機械的動力を、第1変速機構30及び第2変速機構40のうちいずれか一方を介して車両推進軸66に伝達させることが可能となっている。
ここで、第1クラッチ21と第2クラッチ22で構成されるデュアルクラッチ機構20の構造について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、デュアルクラッチ機構の構造を説明する模式図である。図3は、変形例のデュアルクラッチ機構の構造を説明する模式図である。
図2に示すように、デュアルクラッチ機構20において、機関出力軸8には、デュアルクラッチ機構20のクラッチハウジング14aが結合されている。すなわち、クラッチハウジング14aは、機関出力軸8と一体に回転する。クラッチハウジング14aは、後述する摩擦板27a,28aを収容可能に構成されている。これに対して、第1変速機構30の第1入力軸27と、第2変速機構40の第2入力軸28は、同軸に配置されており、2重軸構造となっている。具体的には、第1入力軸27は、中空シャフトとして構成されており、第1入力軸27内には、第2入力軸28が延びている。内側の軸である第2入力軸28は、外側の軸である第1入力軸27に比べて長く構成されている。機関出力軸8側から車両推進軸66側に向かうに従って、まず、第1変速機構30の各変速段のメインギヤ31a,33a,35a,39aが配設されており、次に、第2変速機構40の各変速段のメインギヤ42a,44a,46aが配設されている。
第1入力軸27の端には、円板状の摩擦板27aが結合されており、一方、第2入力軸28の端にも、同様に、摩擦板28aが結合されている。これら摩擦板27a,28aは、上述のクラッチハウジング14a内に収容されている。第1クラッチ21は、摩擦板27aと対向して設けられた摩擦相手板(図示せず)と、摩擦相手板を駆動するアクチュエータ(図示せず)とを有している。摩擦相手板が摩擦板27aをクラッチハウジング14aに押し付けることで、第1クラッチ21は、機関出力軸8と、第1変速機構30の第1入力軸27とを係合することが可能となっている。
これと同様に、第2クラッチ22は、摩擦板28aに対向して設けられた摩擦相手板(図示せず)が、摩擦板28aをクラッチハウジング14aに押し付けることで、機関出力軸8と、第2変速機構40の第2入力軸28とを係合することが可能となっている。デュアルクラッチ機構20における、第1及び第2クラッチ21,22にそれぞれ対応して設けられた摩擦相手板の駆動は、ECU100により制御されることとなる。
また、本実施例に係る変形例のデュアルクラッチ機構20においては、図3に示すように、機関出力軸8の端に、駆動ギヤ14cが結合されている。駆動ギヤ14cには、第1ギヤ16と、第2ギヤ18が噛み合っており、第1ギヤ16は、第1クラッチ21に結合されており、第2ギヤ18は、第2クラッチ22に結合されている。第1クラッチ21は、第1変速機構30の第1入力軸27と、機関出力軸8に係合する第1ギヤ16とを係合可能に構成されている。一方、第2クラッチ22は、第2変速機構40の第2入力軸28と、機関出力軸8に係合する第2ギヤ18とを係合可能に構成されている。
第1及び第2クラッチ21,22は、それぞれ円板状の摩擦式クラッチ等の任意のクラッチで構成することができる。第1クラッチ21及び第2クラッチ22において交互に係合状態と解放状態を切替ることで、機関出力軸8から出力される内燃機関5の機械的動力は、駆動ギヤ14cから、第1変速機構30の第1入力軸27、又は第2変速機構40の第2入力軸28のいずれかに伝達されることとなる。
以上のように構成されたデュアルクラッチ機構20においては、図1に示すように、ECU100が第1クラッチ21を係合状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態にすると、機関出力軸8と、第1入力軸27、第1出力軸37、動力統合ギヤ58、車両推進軸66が係合する。これにより、駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力を、第1変速機構30の変速段31,33,35,39のうちいずれか1つの変速段により変速して、車両推進軸66に伝達することが可能となる。
一方、ECU100が第2クラッチ22を係合状態にすると共に第1クラッチ21を解放状態にすることで、機関出力軸8と、第2入力軸28、第2出力軸48、及び車両推進軸66が係合する。これにより、駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力を、第2変速機構40の変速段42,44,46のうちいずれか1つの変速段により変速して、車両推進軸66に伝達することが可能となる。
また、第1クラッチ21及び第2クラッチ22は、これを構成する摩擦板又は摩擦相手板を操作するために、図示しない油圧式のアクチュエータ(図示せず)を有しており、オイルポンプ90から所定の圧力でオイルが供給されて、係合動作を行うことが可能となる。つまり、第1クラッチ21及び第2クラッチ22は、所定の油圧の供給を受ける必要があり、所定圧以上の油圧が供給されて作動可能となる。
また、車両1には、原動機から車両推進軸66に伝達された機械的動力を、減速すると共に、駆動輪88に係合する左右の駆動軸80に分配する終減速装置70が設けられている。終減速装置70は、車両推進軸66に結合された駆動ピニオン68と、駆動ピニオン68と直交して噛み合うリングギヤ72と、リングギヤ72に固定された差動機構74とを有している。終減速装置70は、原動機すなわち内燃機関5及びモータ50のうち少なくとも一方から車両推進軸66に伝達された機械的動力を、駆動ピニオン68及びリングギヤ72により減速し、差動機構74により左右の駆動軸80に分配して、駆動輪88を回転駆動することが可能となっている。このように、車両推進軸66は、終減速装置70を介して、駆動輪88と係合しており、車両1の速度に応じて回転する。
以上のように構成された車両1において、動力出力装置3の制御手段としてのECU100は、内燃機関5のクランク角に係る信号、二次電池120の蓄電状態(SOC)に係る信号、駆動輪88の回転速度に係る信号、モータ50のロータ52の回転速度(以下、ロータ回転速度と記す)に係る信号等を検出している。また、ECU100は、第1変速機構30及び第2変速機構40において選択されている変速段、すなわちカップリング機構31e〜46eの係合状態と、第1及び第2クラッチ21,22の係合状態とを検出している。
これら信号に基づいて、ECU100は、各種制御変数を検出している。制御変数には、内燃機関5の機関出力軸8の回転速度(以下、機関回転速度と記す)と、モータ50のロータ52の回転速度(以下、ロータ回転速度と記す)と、車両1の走行速度(以下、車速と記す)、二次電池120の蓄電状態等がある。
ECU100は、これら制御変数から、内燃機関5及びモータ50の運転状態を把握して、駆動装置10、詳細には、第1変速機構30及び第2変速機構40における変速段の選択、すなわち各カップリング機構31e〜46eの係合状態と、第1クラッチ21及び第2クラッチ22の係合状態と、モータ50が出力する機械的動力、及びロータ回転速度とを制御することが可能となっている。
以上のように構成された動力出力装置3は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を交互につなぎ替えることで、変速時において、機関出力軸8と車両推進軸66との間における動力伝達の途切れを抑制しており、以下、これについて説明する。
まず、ECU100が第1及び第2変速機構30,40の変速段31〜46のうちいずれか1つの変速段を選択する。例えば、選択した変速段が第1変速機構30の第1群(奇数段)の変速段31〜39のうち第1速ギヤ段31である場合、ECU100は、第1速ギヤ段31に対応する第1速カップリング機構31eを係合状態にすると共にカップリング機構33e,35eを解放状態にする。これと共に、ECU100は、第1クラッチ21を係合状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態にする。これにより、駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力を、第1入力軸27で受け、第1群(奇数段)の変速段31〜39のうち選択した変速段である第1速ギヤ段31により変速し、第1出力軸37から車両推進軸66に伝達して、駆動輪88を回転駆動することができる。
このとき、ECU100は、第2変速機構40の第2群(偶数段)の変速段42,44,46のうち、第1変速機構30において選択している第1速ギヤ段31より一段高速(ハイギヤ)側の変速段である第2速ギヤ段42に対応する第2速カップリング機構42eを係合状態にすることで、第2変速機構40の第2入力軸28を空転させて、次の第2速ギヤ段42への変速(アップシフト)時における第2クラッチ22の係合動作に備えている。
そして、第2変速機構40の第2群(偶数段)の変速段である第2速ギヤ段42への変速(アップシフト)が選択されると、ECU100が、第1クラッチ21を解放状態にしながら第2クラッチ22を係合状態にすることで、駆動装置10は、第1クラッチ21と第2クラッチ22とを掴み替える動作、いわゆる「クラッチ・トゥ・クラッチ」を行う。この動作により、駆動装置10は、機関出力軸8からの動力伝達経路を、徐々に第1変速機構30の第1入力軸27から第2変速機構40の第2入力軸28に移していき、第2速ギヤ段42への変速が完了することとなる。
このようにして、駆動装置10は、奇数段である第1速ギヤ段31から、偶数段である第2速ギヤ段42への変速時において、機関出力軸8から車両推進軸66への動力伝達に途切れを生じさせることなく変速することができる。
以上のように構成された車両1は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用又は選択使用することが可能な「ハイブリッド車両」であり、様々な車両走行(走行モード)を実現することができる。例えば、原動機として内燃機関5のみを選択使用する「エンジン走行」、原動機として内燃機関5及びモータ50を併用する「HV走行」、原動機としてモータ50のみを選択使用する「モータ走行」等がある。これら車両走行は、運転者が要求する車両駆動力や、モータ50に供給する電力を貯蔵する二次電池120の蓄電状態に応じて、ECU100により、逐次、自動的に切替えられる。以下に、各走行モードにおけるECU100の制御と、内燃機関5、第1クラッチ21及び第2クラッチ22、第1変速機構30及び第2変速機構40、及びモータ50の動作を併せて説明する。
ECU100が、第1クラッチ21を係合状態にすると共に第2クラッチ22を解放状態にすることで、駆動装置10は、内燃機関5の機関出力軸8からの機械的動力を、第1入力軸27で受け、第1変速機構30の変速段31,33,35,39のいずれか1つにより変速し、第1出力軸37から車両推進軸66に伝達して駆動輪88を回転駆動することができる。このようにして、車両1は、原動機として内燃機関5のみを選択使用する「エンジン走行」を実現することができる。
この場合、車両推進軸66には、動力統合ギヤ58を介して第2出力軸48が係合しているため、第2変速機構40のカップリング機構42e,44e,46eのいずれか1つが係合状態にある場合、第2入力軸28と、これに係合するロータ52は、車両1の走行速度(以下、車速と記す)に応じて回転することとなる。
このとき、ECU100がモータ50を力行させて、ロータ52から第2入力軸28に出力トルクを伝達することで、駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力とモータ50からの機械的動力とを、それぞれ第1変速機構30及び第2変速機構40により変速し、動力統合ギヤ58で統合して車両推進軸66に伝達することができる。このようにして、車両1は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する「HV走行」を実現することができる。
また、ECU100が第1クラッチ21を解放状態にすると共に第2クラッチ22を係合状態にすることで、駆動装置10は、機関出力軸8からの機械的動力を、第2入力軸28で受け、第2変速機構40の変速段42,44,46のいずれか1つにより変速し、第2出力軸48から車両推進軸66に伝達して駆動輪88を回転駆動することができ、車両1は、原動機として内燃機関5のみを選択使用する「エンジン走行」を実現することができる。
この場合、車両推進軸66には、動力統合ギヤ58を介して第1出力軸37が係合しているため、第1変速機構30のカップリング機構31e,33e,35e,39eのいずれか1つが係合状態にある場合、第1入力軸27は、車両1の走行速度(以下、車速と記す)に応じて回転することとなる。
このとき、ECU100がモータ50を力行させて、ロータ52から第2入力軸28に出力トルクを伝達することで、駆動装置10は、内燃機関5からの機械的動力とモータ50からの機械的動力とを、第2入力軸28で統合し、第2変速機構40により変速して、動力統合ギヤ58を介して車両推進軸66に伝達することができ、車両1は、原動機として内燃機関5とモータ50とを併用する「HV走行」を実現することができる。
一方、車両1にモータ走行を行わせる場合、上述のエンジン走行及びHV走行の制御とは異なり、ECU100は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22をいずれも解放状態に制御すると共に、モータ50を力行させる。ECU100は、第2変速機構40の変速段42,44,46のうち、いずれか1つの変速段を選択して、当該変速段に対応するカップリング機構を係合状態にする。駆動装置10は、モータ50からの機械的動力を、第2入力軸28で受け、第2変速機構40の変速段42,44,46のうち選択した変速段で変速して、第2出力軸48から車両推進軸66に伝達する。
このような車両1のモータ走行中においては、ECU100が第1及び第2クラッチ21,22の双方を解放状態にしているため、モータ50の力行により、非作動状態にある内燃機関5の機関出力軸8が回転駆動されて、内燃機関5のポンピングロス等の動力損失が生じてしまうことを防止している。
以上のように本実施例に係る動力出力装置3は、原動機として内燃機関5とモータ50とを備えており、内燃機関5とモータ50と併用又は選択使用して車両1を推進することが可能となっている。動力出力装置3は、非作動状態にある内燃機関5の機関出力軸8を、モータ50からの機械的動力により回転駆動することで、ファイアリングを行って内燃機関5を始動させることが可能となっている。なお、非作動状態にある内燃機関5の機関出力軸8を、外部動力により回転駆動することを、以下の説明において「クランキング」と記す。
このような動力出力装置3において、内燃機関5及びモータ50の双方が非作動状態にある場合、第2クラッチ22には、オイルポンプ90から油圧が供給されておらず、解放状態にある第2クラッチ22は、係合動作を行って係合状態にすることができない。内燃機関5の始動を行うため、モータ50からの機械的動力を機関出力軸8に伝達させるには、第2クラッチ22を係合状態にする必要がある。この第2クラッチ22の係合動作を行うには、モータ50の力行を開始し、モータ50のロータ52の回転速度(以下、ロータ回転速度と記す)、すなわち第2入力軸28の回転速度を上昇させて、オイルポンプ90から第2クラッチ22に供給される油圧が、第2クラッチ22の係合動作に必要な油圧に達しないと、第2クラッチ22を係合状態にすることはできない。
しかし、モータ50のロータ回転速度を所定速度まで上昇させて、第2クラッチ22に供給される油圧が係合動作に必要な油圧に達した状態で、第2クラッチ22の係合動作を行おうとすると、第2クラッチ22は、ロータ52に結合されて所定速度で回転している第2入力軸28と、静止状態にある機関出力軸8との間に、回転速度差が付いた状態で係合動作を行うこととなるため、当該回転速度差に起因する振動が第2クラッチ22に生じてしまうことがある。
そこで、本実施例に係る動力出力装置において、制御手段としてのECUは、内燃機関の始動を行う際に、検出された油圧が予め設定された最低作動圧以上となるようモータのロータ回転速度を上昇させた後、ロータ回転速度を、当該最低作動圧に達した時点の回転速度に比べて低下させて第2クラッチを係合状態にすることを特徴としている。以下に、車両停止中において、ECUが実行する内燃機関の始動に係る制御処理(以下、単に「始動制御」と記す)について、図1、図4及び図5を用いて説明する。図4は、ECUが実行する始動制御を示すフローチャートである。図5は、内燃機関が始動する際のモータのロータ回転速度を示すタイミングチャートである。
車両1の停止中において、内燃機関5及びモータ50は非作動状態にあり、機関出力軸8は静止している。そして、ECU100は、車両1の運転者により内燃機関5の始動が指示された場合や二次電池120の蓄電状態が所定値以下に低下した場合等、内燃機関5の始動が必要であると判断した場合や、他の制御ルーチンから内燃機関5の始動要求を受けた場合に、以下の始動制御を実行する。
なお、内燃機関5の始動制御が開始される以前において、ECU100は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を双方とも解放状態にすると共に、第2変速機構40のカップリング機構42e,44e,46eを全て解放状態にしている。これにより、駆動装置10は、モータ50を力行させると、ロータ52と係合する第2入力軸28が回転して、オイルポンプ90が駆動されるが、モータ50からの機械的動力は、第2出力軸48には伝達されない状態となっている。
まず、ステップS102において、ECU100は、内燃機関5の始動要求を受けて、モータ50を力行させて、オイルポンプ90により油圧を発生させる。モータ50の力行開始、即ちロータ52及び第2入力軸28の回転開始に応じてオイルポンプ90は作動開始する。モータ50の力行開始、すなわちオイルポンプ90が油圧の発生を開始するタイミングを図5に時点T1で示す。この時点T1より、ECU100は、モータ50のロータ回転速度を上昇させて、オイルポンプ90から第2クラッチ22に油圧を供給する。モータ50のロータ回転速度が上昇するに従って、オイルポンプ90から第2クラッチ22に供給されるオイル量は増大し油圧が上昇していく。ECU100は、この第2クラッチに供給される油圧を、油圧センサ96を介して検出している。
そして、ステップS110において、ECU100は、油圧センサ96により検出された油圧、すなわち第2クラッチ22に供給される油圧が、予め設定された最低作動圧以上となったか否かを判定する。なお、最低作動圧は、第2クラッチ22が十分に係合動作を行うことが可能な油圧に設定されている。最低作動圧は、予め適合実験等により求められており、制御定数としてECU100のROMに記憶されている。
第2クラッチ22に供給される油圧が、最低作動圧を下回る(No)と判定された場合、ECU100は、モータ50のロータ回転速度の上昇を継続して、第2クラッチ22に供給される油圧をさらに上昇させる。
一方、第2クラッチ22に供給される油圧が、最低作動圧以上となった(Yes)と判定された場合、ECU100は、ステップS112において、ロータ回転速度を低下させる。ECU100は、第2クラッチ22に供給される油圧が最低作動圧に達した時点T2においてロータ回転速度の低下を開始する。ECU100は、最低作動圧に達した時点T2から時間が経過するに従って、ロータ回転速度が低下するようモータ50を制御する。このようにして、時点T2以降は、時点T2のロータ回転速度S2に比べてロータ回転速度が低いものとなる。ロータ回転速度の低下は、ECU100がモータ50の力行を停止することや、モータ50を発電機として機能させてロータ52を制動することで実現することができる。
そして、ECU100は、ロータ回転速度が予め設定されたクラッチ係合回転速度S1まで低下した時点T3aにおいて、第2クラッチ22を係合状態にして、機関出力軸8と第2入力軸28とを係合させる(S114)。この時点T3aから、モータ50がロータ52から第2入力軸28に出力する機械的動力を、第2クラッチ22を介して機関出力軸8に伝達させることが可能となる。
なお、クラッチ係合回転速度S1は、当該回転速度で回転している第2入力軸28と、静止している機関出力軸8とを第2クラッチ22が係合させても、第2入力軸28と機関出力軸8の回転速度差に起因する振動が生じないような回転速度に設定されている。なお、クラッチ係合回転速度S1は、予め適合実験等により求められており、制御定数としてECU100のROMに記憶されている。
この時点T3aから、ECU100は、モータ50が出力するトルクを増大させて、機関出力軸8の回転駆動すなわちクランキングを行う(S116)。時点T3aからロータ回転速度は、上昇していく。
そして、ステップS118に進み、ECU100は、内燃機関5のファイアリング制御を実行する。具体的には、機関回転速度が、予め設定された回転速度に達した時点T4aにおいて、内燃機関5の筒内混合気への着火を開始して初爆を行う。そして、内燃機関5を、機関出力軸8から機械的動力を出力可能な作動状態にする。
このようにして、ECU100は、第2クラッチ22に供給される油圧が予め設定された最低作動圧以上となるようモータ50のロータ回転速度を上昇させた後、ロータ回転速度を、最低作動圧に達した時点T2のロータ回転速度S2に比べて低下させる。ECU100は、予め設定されたクラッチ係合回転速度S1まで低下させて、第2クラッチ22を係合状態にする。
ECU100は、ロータ回転速度を油圧が最低作動圧以上となるまでロータ回転速度を上昇させているので、この時点T2において第2クラッチ22は、良好に係合動作を行うことが可能となる。その後、ECU100は、ロータ回転速度を、最低作動圧に達した時点T2のロータ回転速度S2から、クラッチ係合回転速度S1まで低下させて、第2クラッチ22を係合状態にしている。このようにロータ回転速度を低下させることで、第2入力軸28と機関出力軸8の回転速度差が時点T2に比べてより小さい状態を作り出して第2クラッチ22の係合動作を行うため、当該回転速度差に起因して第2クラッチ22に生じる振動を抑制することができる。
以上に説明したように本実施例においては、内燃機関5の機関出力軸8及びモータ50のロータ52からの機械的動力を、当該ロータ52に係合している第2入力軸28で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第2出力軸28から車両推進軸66に伝達可能な第2変速機構40と、最低作動圧の油圧を受けて作動可能となり、機関出力軸8と第2入力軸28とを係合可能な第2クラッチ22と、モータ50のロータ回転速度に応じて発生した油圧を第2クラッチ22に供給可能なオイルポンプ90と、オイルポンプ90から第2クラッチ22に供給される油圧を検出可能な油圧検出手段としての油圧センサ96と、第2クラッチ22の係合状態と、モータ50のロータ回転速度とを制御可能な制御手段としてのECU100とを有している。
ECU100は、内燃機関5の始動を行う際に、油圧センサ96により検出された油圧が、予め設定された最低作動圧以上となるようロータ回転速度を上昇させた後、ロータ回転速度を、当該最低作動圧に達した時点T2のロータ回転速度S2に比べて低下させて、第2クラッチ22を係合状態にするものとしたので、第2入力軸28と機関出力軸8の回転速度差が、最低作動圧に達した時点に比べて小さい状態を作り出して第2クラッチ22の係合動作を行うことができ、当該回転速度差に起因して第2クラッチ22に生じる振動を抑制することができる。
また、本実施例においては、モータ50のロータ回転速度を、予め設定されたクラッチ係合回転速度S1まで低下させて第2クラッチ22を係合状態にするものとした。予め適合実験等を行って、クラッチ係合回転速度S1を、第2クラッチ22の係合動作時に振動が生じないような値に設定しておくことで、第2クラッチ22の係合動作時に生じる振動をより確実に抑制することができる。
本実施例に係る動力出力装置の構成について、図6を用いて説明する。図6は、動力出力装置を備えた車両の概略構成を示す模式図である。本実施例に係る動力出力装置において、内燃機関には、機関出力軸を回転駆動可能なスタータモータが設けられており、制御手段としてのECUが、始動要求を受けてスタータモータを作動させ、機関出力軸の回転速度である機関回転速度を上昇させる機関回転速度上昇手段を備え、ロータ回転速度と機関回転速度が略一致させて第2クラッチを係合状態にする点で、第1実施例とは異なり、以下に詳細を説明する。なお、実施例1と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例に係る動力出力装置3Bは、内燃機関5Bと駆動装置10から構成されており、車両1Bに搭載される。内燃機関5Bには、機関出力軸8を回転駆動するため、スタータモータ7が装着されている。スタータモータ7の出力軸7aは、機関出力軸8と係合している。スタータモータ7は、巻線式直流電動機いわゆるブラシ付きDCモータで構成されており、出力軸7aの回転速度と、出力トルクは、略反比例の関係にある。すなわち回転速度が低いほど、高いトルクを出力することが可能となっている。スタータモータ7における作動と非作動の切替え、及び作動時間は、ECU100Bにより制御される。ECU100Bは、スタータモータ7を作動させて機関出力軸8を回転駆動することで、モータ50を用いることなく内燃機関5Bのクランキングを行うことが可能となっている。
このように構成された動力出力装置3Bは、内燃機関5Bを非作動状態にして車両走行を行うことがあるため、原動機として内燃機関のみを備えるものに比べて、内燃機関5Bを始動する回数が多く、クランキングを行う頻度が高い。このため、ブラシ付き直流電動機であるスタータモータ7のみを用いて内燃機関5Bのクランキングを行ったのでは、スタータモータ7の耐久性の点で問題が生じる虞がある。
一方、実施例1のように、第2入力軸28にロータ52が係合するモータ50のみを用いてクランキングを行う場合、第2クラッチ22の係合動作に必要な油圧をオイルポンプ90により確保できるものの、原動機として設けられたモータ50は、スタータモータ7のように短時間に高トルクを出力するものではないため、第2クラッチ22を係合状態にしてから内燃機関5Bのファイアリングを行うことが可能な回転速度(以下、初爆回転速度と記す)まで機関出力軸8の回転速度を上昇させるのに時間を要するという問題がある。
加えて、モータ50のみを用いてクランキングを行う場合、第2クラッチ22に供給される油圧が予め設定された最低作動圧以上となるようロータ回転速度を上昇させてから、最低作動圧に達した時点から、予め設定されたクラッチ係合回転速度までロータ回転速度を低下させる必要があるため、内燃機関5Bの始動要求を受けてから第2クラッチ22を係合状態にするまでに時間を要するという問題もある。
そこで、本実施例に係る動力出力装置3Bでは、駆動装置10に原動機として設けられたモータ50と、内燃機関5Bに設けられたスタータモータ7とを併用してクランキングを行うことで内燃機関5Bを始動させる。以下に、車両停止中において、ECUが実行する内燃機関の始動制御について、図6〜図8を用いて説明する。図7は、ECUが実行する始動制御を示すフローチャートである。図8は、内燃機関が始動する際におけるモータのロータ回転速度と機関回転速度を示すタイミングチャートである。
車両停止中において、内燃機関5Bは非作動状態にあり、機関出力軸8は静止している。そして、ECU100Bは、内燃機関5Bの始動が必要であると判断した場合や、他の制御ルーチンから内燃機関5Bの始動要求を受けた場合に、以下の始動制御を実行する。なお、内燃機関5Bの始動制御が開始される以前において、ECU100は、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を双方とも解放状態にすると共に、第2変速機構40のカップリング機構42e,44e,46eを全て解放状態にしている。
図7に示すように、まず、ステップS202において、ECU100Bは、内燃機関5Bの始動要求を受けて、モータ50を力行させて、オイルポンプ90により油圧を発生させる。モータ50の力行開始、すなわちオイルポンプ90が油圧の発生を開始するタイミングを図8に時点T1で示す。モータ50のロータ回転速度が上昇するに従って、第2クラッチ22が受ける油圧が上昇していく。
この時点T1において、ECU100Bは、内燃機関5Bの始動要求を受けて、スタータモータ7を作動状態にして、クランキングを開始する(S206)。スタータモータ7は、出力軸7aからの機械的動力により機関出力軸8を回転駆動する。これにより、内燃機関5Bの機関回転速度は、図8に示すように始動要求を受けた時点T1より上昇していく。
そして、ステップS210において、ECU100Bは、第2クラッチ22が受ける油圧が、予め設定された最低作動圧以上となったか否かを判定する。当該油圧が最低作動圧を下回る(No)と判定された場合、ECU100Bは、モータ50のロータ回転速度の上昇を継続して、第2クラッチ22が受ける油圧をさらに上昇させる。
一方、第2クラッチ22が受ける油圧が、最低作動圧以上となった(Yes)と判定された場合、ECU100Bは、ステップS212において、ロータ回転速度を低下させる。ECU100Bは、第2クラッチ22が受ける油圧が最低作動圧に達した時点T2においてロータ回転速度の低下を開始する。ECU100Bは、最低作動圧に達した時点T2から時間が経過するに従って、ロータ回転速度が低下するようモータ50を制御する。
そして、ステップS214において、ECU100Bは、時点T1より上昇している機関回転速度と、時点T2より低下しているロータ回転速度が、略一致したか否かを判定する。すなわち、ECU100Bは、ロータ52と係合する第2入力軸28と機関出力軸8との間に回転速度差がなくなったか否かを判定している。機関回転速度とロータ回転速度が未だ一致していない(No)と判定された場合、ECU100Bは、モータ50のロータ回転速度の低下と、スタータモータ7の作動による機関回転速度の上昇とを継続する。
一方、機関回転速度とロータ回転速度が略一致した(Yes)と判定された場合、ECU100Bは、第2クラッチ22を係合状態にして、機関出力軸8と第2入力軸28とを係合させる(S216)。この時点T3cから、モータ50がロータ52から第2入力軸28に出力する機械的動力を、第2クラッチ22を介して機関出力軸8に伝達させることが可能となる。
この時点T3cから、ECU100Bは、モータ50が出力するトルクを増大させる(S218)。加えて、ECU100Bは、時点T3c以降も、スタータモータ7の作動を継続させる。このようにして、ECU100Bは、第2クラッチ22が係合状態にした時点T3c以降は、スタータモータ7と、原動機としてのモータ50とを併用して機関出力軸8を回転駆動する。この時点T3c以降、ロータ回転速度及び機関回転速度は、同じ速度で上昇していく。
そして、ステップS220に進み、ECU100Bは、内燃機関5Bのファイアリング制御を実行する。具体的には、機関回転速度が、予め設定されたファイアリング可能回転速度に達した時点T4cにおいて、内燃機関5の筒内混合気への着火(ファイアリング)を開始して初爆を行う。そして、内燃機関5Bを、機関出力軸8から機械的動力を出力可能な作動状態にする。
このようにして、ECU100Bは、始動要求を受けてスタータモータ7を作動させ、時点T1から機関回転速度を上昇させると共に、モータ50のロータ回転速度を最低作動圧に達する時点T2まで上昇させる。その時点T2以降、ECU100Bは、モータ50のロータ回転速度を、スタータモータ7により上昇している機関回転速度と略一致する((時点T3c)まで低下させてから、第2クラッチ22を係合状態にする。
この時点T3cにおいて、機関出力軸8と第2入力軸28は、略同一の回転速度で回転しているため、第2クラッチ22の係合動作を行っても回転速度差に起因する振動が生じることがない。加えて、供給される油圧が最低作動圧に達して第2クラッチ22が作動可能となった時点T2から、第2クラッチ22の係合状態にする時点T3cまでに要する時間を短縮することができる。
そして、第2クラッチ22を係合状態にした時点T3cからは、内燃機関5Bに設けられたスタータモータ7と、原動機として駆動装置10に設けられたモータ50とを併用して、機関出力軸8の回転駆動することでクランキングを行う。これにより、第2クラッチ22を係合状態にした時点T3から、内燃機関5Bにおいてファイアリングを開始する時点T4cまでに要する時間を短縮することができる。
以上に説明したように本実施例においては、内燃機関5Bには、機関出力軸8を回転駆動可能なスタータモータ7が設けられており、ECU100B(制御手段)は、内燃機関5Bの始動要求を受けて、スタータモータ7を作動させて機関出力軸8の回転速度(機関回転速度)を上昇させると共に、最低作動圧に達した時点T2から、モータ50のロータ回転速度を機関回転速度と略一致するまで低下させてから第2クラッチ22を係合状態にするものとした。
これにより、駆動装置10は、機関出力軸8と第2入力軸28との間に回転速度差が実質的にない状態において第2クラッチ22の係合動作を行うこととなるため、当該回転速度差に起因して第2クラッチ22に生じる振動を防止することができる。加えて、最低作動圧に達してから、第2クラッチ22を係合状態にするまでに要する時間を短縮することができる。
また、本実施例においては、第2クラッチ22を係合状態にした後、スタータモータ7と原動機としてのモータ50とを併用して機関出力軸8を回転駆動するものとしたので、第2クラッチ22を係合状態にした後、機関回転速度の上昇を速やかに行うことができ、内燃機関5Bのファイアリング開始までに要する時間を短縮することができる。
なお、本実施例においては、第2クラッチ22を係合状態にしてから、モータ50及びスタータモータ7を併用して、機関回転速度をファイアリング可能回転速度まで上昇させて内燃機関5Bのファイアリングを開始するものとしたが、内燃機関5Bの始動の態様は、これに限定されるものではない。例えば、モータ50のロータ回転速度と機関回転速度が略一致するまでに、機関回転速度がファイアリング可能回転速度に達した場合には、第2クラッチ22を係合状態にすることなく、内燃機関5Bにおいてファイアリングを開始するものとしても良い。
なお、上述した各実施例において、動力出力装置(3;3B)は、内燃機関(5;5B)及びモータ50からの機械的動力を統合して、車両推進軸66に伝達するものとしたが、本発明に係る推進軸の態様は、これに限定されるものではない。例えば、動力出力装置が、内燃機関及びモータからの機械的動力を統合して、駆動輪と同一の回転速度で回転する駆動軸(ドライブシャフト)に直接、伝達するものとしても良い。
また、上述した各実施例において、第1変速機構30の第1群の変速段31,33,35,39は、後進ギヤ段を含む奇数段で構成されており、第2変速機構40の第2群の変速段42,44,46は、偶数段で構成されているものとしたが、第1及び第2変速機構における変速段の構成は、これに限定されるものではない。例えば、第1変速機構の第1群の変速段を偶数段と後進段で構成し、第2変速機構の第2群の変速段を奇数段で構成する斧としても良い。
また、上述した各実施例において、動力出力装置(3;3B)に原動機として設けられたモータ50は、供給された電力を機械的動力に変換して出力する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えたモータジェネレータであるものとしたが、本発明に係るモータは、これに限定されるものではない。原動機としてのモータは、変速機構の入力軸に機械的動力を出力できれば良く、例えば、供給電力を機械的動力に変換して出力する機能のみを有する電動機として構成しても良い。
以上のように、本実施例に係る動力出力装置は、原動機として内燃機関とモータとを備えたハイブリッド車両に有用であり、特に、デュアルクラッチ式変速機を備えた車両に有用である。
実施例1に係る動力出力装置を備えた車両の概略構成を示す模式図である。 実施例1に係るデュアルクラッチ機構の構造を説明する模式図である。 実施例1に係る変形例のデュアルクラッチ機構の構造を説明する模式図である。 実施例1に係る動力出力装置の制御手段(ECU)が実行する始動制御を示すフローチャートである。 実施例1に係る内燃機関が始動する際のモータのロータ回転速度を示すタイミングチャートである。 実施例2に係る動力出力装置を備えた車両の概略構成を示す模式図である。 実施例2に係る動力出力装置の制御手段(ECU)が実行する始動制御を示すフローチャートである。 実施例2に係る内燃機関が始動する際のモータのロータ回転速度と機関回転速度とを示すタイミングチャートである。
符号の説明
1,1B 車両
3,3B 動力出力装置
5,5B 内燃機関
7 スタータモータ
8 機関出力軸
10 駆動装置
20 デュアルクラッチ機構
21 第1クラッチ
22 第2クラッチ
27 第1入力軸
28 第2入力軸
30 第1変速機構
31,33,35,39 ギヤ段(変速段)
37 第1出力軸
48 第2出力軸
40 第2変速機構
42,44,46 ギヤ段(変速段)
50 モータ(モータジェネレータ)
52 ロータ
58 動力統合ギヤ
58e カップリング機構
66 車両推進軸(推進軸)
70 終減速装置
80 駆動軸
88 駆動輪
90 オイルポンプ
96 油圧センサ
100,100B 動力出力装置用電子制御装置(ECU、制御手段)

Claims (4)

  1. 原動機として内燃機関とモータとを備え、内燃機関の機関出力軸及びモータのロータから出力される機械的動力を、変速機構により変速して推進軸に出力可能な動力出力装置であって、
    機関出力軸からの機械的動力を第1入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第1出力軸から推進軸に伝達可能な第1変速機構と、
    機関出力軸及びロータからの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、第2出力軸から推進軸に伝達可能な第2変速機構と、
    機関出力軸と第1入力軸とを係合可能な第1クラッチと、
    予め設定された最低作動圧以上の油圧を受けて作動可能となり、機関出力軸と第2入力軸とを係合可能な第2クラッチと、
    モータのロータ回転速度に応じて発生した油圧を、第2クラッチに供給可能なオイルポンプと、
    オイルポンプから第2クラッチに供給される油圧を検出可能な油圧検出手段と、
    第2クラッチの係合状態と、モータのロータ回転速度とを制御可能な制御手段と、
    を有し、
    制御手段は、
    内燃機関の始動を行う際に、
    油圧検出手段により検出された油圧が最低作動圧以上となるようロータ回転速度を上昇させた後、
    ロータ回転速度を、当該最低作動圧に達した時点のロータ回転速度に比べて低下させて、第2クラッチを係合状態にする
    ことを特徴とする動力出力装置。
  2. 請求項1に記載の動力出力装置において、
    制御手段は、
    前記モータのロータ回転速度を、予め設定されたクラッチ係合回転速度まで低下させて第2クラッチを係合状態にする
    ことを特徴とする動力出力装置。
  3. 請求項1に記載の動力出力装置において、
    内燃機関には、機関出力軸を回転駆動可能なスタータモータが設けられており、
    制御手段は、
    始動要求を受けてスタータモータを作動させて、機関回転速度を上昇させると共に、
    前記モータのロータ回転速度を機関回転速度と略一致するまで低下させて第2クラッチを係合状態にする
    ことを特徴とする動力出力装置。
  4. 請求項3に記載の動力出力装置において、
    制御手段は、
    第2クラッチを係合状態にした後は、スタータモータと、原動機としてのモータとを併用して機関出力軸を回転駆動する
    ことを特徴とする動力出力装置。
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